JPH0826419B2 - 分散強化複合材料の製造方法 - Google Patents

分散強化複合材料の製造方法

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JPH0826419B2
JPH0826419B2 JP703387A JP703387A JPH0826419B2 JP H0826419 B2 JPH0826419 B2 JP H0826419B2 JP 703387 A JP703387 A JP 703387A JP 703387 A JP703387 A JP 703387A JP H0826419 B2 JPH0826419 B2 JP H0826419B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金属マトリックスの材質特性を改善、ある
いは複合化による新機能材料を創出することを目的とし
た分散強化型複合材料において、マトリックス以外に少
なくとも1種類以上の強化材を複合する方法において良
好な複合状態を達成することを可能にするものである。
(従来の技術) 複合材料は、その名の通り異なった特性を有する材料
を一体化することによって複合基材特性相互の欠点を補
うこと、あるいは本質的に特性を変えることなどを目的
として製造されている。
複合材料は、マクロ的組み合わせ型複合材料、ミクロ
的強化型複合材料に大別される。前者は、鍍金、積層材
およびクラッド材などであり、後者は、一方向整列繊維
強化複合材料、ランダム強化複合材料および粒子分散強
化複合材料などである。
本発明は、金属をマトリックスとしたミクロ的分散強
化型複合材料の製造方法に関するものである。
ミクロ的強化型複合材料は、金属マトリックスと該マ
トリックスと異なる物質からなる繊維、粒子およびウィ
スカーなどの複合によって作成された高機能材料であ
る。
高機能とは、例えば剛性、比剛性、強度、比強度、高
温強度、摩耗性、などの力学的機能や熱的機能を指し、
これらの機能に優れたものを言う。
強化材の形態は、連続繊維、短繊維、ウィスカー及び
粒子に分類される。
連続繊維強化の場合は、例えば構造部材は強化機能を
十分発揮させるために全体に亘って強化材が複合されて
いることが必要である。これは、強化部材の接合技術の
遅れによって、溶接等の接合は通常の金属溶接と異なり
接合部から破壊することに起因している。
従って、連続繊維強化材は、一体物として製作するこ
とが必要で、製品形状に応じて適切な設計製作を行なう
必要がある。
このような理由から、連続繊維強化材は、素材として
供給することが不可能であり汎用素材とはなり得ない。
また、繊維の配列方向のみ強化され材料異方性が避けら
れない。
これに対して、短繊維、ウィスカーあるいは粒子強化
された複合材料は、ランダム強化であるので連続繊維強
化と異なり材質異方性がない。
従って、後の工程において種々の形状に加工しても複
合材料の機能が失われないことから、汎用性が高く有用
な材料となる。
この種の複合材料は、マトリックスとしてAl合金を使
用した例が多いのでそれを例にして従来技術を考えてみ
る。
例えば、西山記念技術講座第108,109回(1985)によ
れば、複合方法は大別して固相法、液相法に分類され
る。
固相法は、予め強化材とマトリックス粉を混合し成型
焼結する粉末治金法や、Al粉末を焼結後内部酸化して強
化材(Al2O3)を形成させる方法などがある。また、粉
末治金法に属すると思われるが、強化材とマトリックス
粉末を均一に分散混合するためにメカニカルアロイング
によって品質向上が図られている。
液相法は、予め強化材のみを成型し必要に応じて予熱
を施した上で溶融したマトリックス金属を注入加圧含浸
する方法(例えば、日本金属学会会報25,5(1986),P44
7)や、溶融金属を攪拌してスラリーを製造しスラリー
に強化材を添加する方法(例えば、金属48(1978),P2
2)などが報告されている。
しかし、粉末治金法や加圧含浸のための予備成型法な
どは、製造工程の複雑化を招くことや、製造された複合
材料の均質性健全性を確保することは極めて困難である
など問題点が多い。
即ち粉末治金法は粉体を成型焼結してもミクロ的に存
在するボイド(空孔)が避けられないことや、成型前の
強化材均一分散が困難であることに起因している。ま
た、予備成型法においても溶湯の温度分布に基づく流動
不均一によって等方向に加圧力が作用しないことや溶湯
と強化材の濡れ性不良によるボイドが存在しやすいこ
と、更に加圧含浸時に予備成型体の破壊が起こり健全性
が失われることなどに起因している。
このように複合材料内にボイドなどの欠陥が存在すれ
ば、ボイドが破壊の起点となり材料強度などを著しく劣
化させ、複合強化を達成することにならないばかりかむ
しろマトリックスその物よりも特性が劣化し重大な欠点
となる。
こうした焼結法の欠点を補うために近年、高温で高圧
焼結する熱間静水圧プレス法(HIPと称する)や焼結原
料粉末の超微細化が図られている。しかし、HIPの設備
費が極めて高価であること、粉末の微細化には限界があ
り更にコストがかさむことと、粉末自身の反応性を防止
する(例えばAl粉末の場合Al2O3を形成するので使用前
に還元処理)必要があるなど、いづれもコスト負担が増
加するもので複合材料の低価格化を達成できず実用性に
乏しい技術であると言える。
例えば、剛性、強度、高温強度あるいは耐摩耗特性に
優れた高機能材料などは、その信頼性が高いことを期待
されて使用されることが多いのでこうした欠陥を内在し
ていることは、極めて重大な問題であり、複合材料その
物のありかたを問われ兼ねない。
また、溶融金属攪拌にるスラリー製造強化材添加複合
法は、その学術的研究によって可能性が提示されている
(金属48(1978)P22)。これによれば、Al-4%Cu,Al-5
%Si、などのAl合金を対象として、スラリーは溶融金属
容器(るつぼ)内に入っている溶湯の冷却攪拌を行なっ
て製造するものであり、るつぼと攪拌パドルとの間隙を
少なくすることが重要であるとし、複合化を良好にする
ため溶湯金属中にMg添加によるマトリックス金属と添加
物の濡れ性改善の必要性を示している。また、スラリー
は、温度を制御して固相率45%とし、添加材添加中は固
相率一定となるように加熱して複合する必要があるこ
と、更に添加速度はスラリー表面に添加材が堆積しない
速度で添加する必要があるなどを指摘している。そし
て、結論においてはこうしたスラリー法は、複合材料製
造に適用可能であるが、マトリックス組成が異なった場
合においては別途実験によって検証が必要であるとして
いる。
以上の様にその製造方法に関する学術的可能性は提示
されているが、マトリックス組成によって新たな検討が
必要であるなど実用性汎用性に欠けており、工業的見地
に立った方法の開示とは言い難く、これから直ちに工業
化を達成することは困難である。
かかる現状においては、製品品質を確保あるいは保証
するためには、これら欠陥を一掃する必要があるが、極
めて困難な状態であるため製品歩留まりを落として製造
する必要があるなど、結果的に小型で高価な材料となる
ことも避けられない。
従って、安価で、高品質の複合材料を製造する実用的
な方法の確率が重要と言える。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、こうした事情に鑑み発明がなされたもので
あり、マトリックス金属の溶融状態からの凝固過程に注
目し従来の液相法と固相法の中間段階である半溶融状態
での複合を試み、効率良くかつ高品質のミクロ的強化型
複合材料の製造方法を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 溶融金属攪拌によるスラリー製造強化材添加複合法
は、その技術的開示がないにしても複合材の汎用性、強
化材分散性および成型性などを考慮すると有効な方法で
あると考えられる。そこで、本発明においては、溶融金
属攪拌法による複合方法を詳細に検討し、発展させ金属
基複合材料の製造方法を確立し、以下の発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、マトリックスである金属の固
液共存状態で強化材料を分散し複合するにあたり、該金
属の固相率と強化材体積率の和を全固相率と見なし、全
固相率を該複合金属の粘度変化をもって検出し、粘度が
一定となるように制御し複合することを特徴とする分散
強化複合材料の製造方法であり、これを用いることによ
り効率良くかつ高品質のミクロ的強化型複合材料の製造
方法を可能ならしめるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に金属材料とくに機械構造用など主要材料は、特
別な場合を除いて合金系で使用される。更に、液相線温
度と固相線温度が一致しない非共晶系の材料である場合
が多い。また、仮に共晶成分系と称しても実用材料にお
いては、なんらかの不純物成分が不可避的に混入してい
るので、一般的に固液共存領域が存在すると言える。
従って、本発明方法は理論的には純金属及び共晶金属
など固液共存領域が存在しない場合を除いた条件で適用
可能となるが実用上ほとんど全ての金属を対象とするこ
とができる。
複合過程は、以下の通りである。
マトリックスとなる金属をるつぼなどの温度制御可能
な溶解装置に装入溶解し、溶融後攪拌装置を溶湯内に浸
漬し攪拌を行ないつつ冷却を開始する。冷却進行と共に
凝固核が生成成長し固相率が増加し、マトリックス金属
は半溶融状態(スラリーと呼ぶ)を呈する。このスラリ
ーは、固液共存状態にあり、温度の低下即ち固相率の増
加に伴って粘度が増加する。従って、必要以上の冷却は
スラリーの固化を意味するものであるから、スラリーの
粘度状態をある値に維持することが必要である。即ち、
温度管理が重要である。このスラリー中に目的とする強
化材を添加することによって強化材はスラリー中に分散
される。通常、複合の良否はマトリックス組成、強化材
組成などに影響され、特に比重差及び界面張力によって
著しく影響を受ける。
しかし、スラリーに添加する方法は攪拌によって界面
張力が動的に打ち破られ、マトリックス金属、強化材の
種類あるいは形状の影響をほとんど受けない。
しかし、スラリー法において全く問題がない訳ではな
く、強化材は固体であることから、添加によってスラリ
ーの見かけの固相率が増加し前述の如く粘度上昇をきた
し、ひどい場合には攪拌不能に陥り強化材の添加が不可
能になる。従って、スラリーの粘度管理の必要性を指摘
できる。
これらを明らかにすることが実用化にとって重要であ
る。
一般に、ミクロ強化型複合材料では、複合強化を達成
するために使用する強化材の大きさはある程度限定され
る。通常強化材の大きさは、粒子強化型の場合100μ以
下であり、ウィスカーに至ってはこの1/10〜1/1000程度
であるのでマトリックス金属を攪拌して得られるスラリ
ーの凝固組織(通常20〜300μ)より小さいか同程度で
ある。(攪拌によって得られる凝固組織の大きさについ
ては、例えば、日本金属学会誌45,8(1981)P853同48,6
(1984)P626に示されている。) こうした事実に鑑みれば、複合する強化材はスラリー
の固相即ち初晶の大きさと同等ないしそれ以下と考える
ことが可能である。
従って、スラリー中の全固相率は、スラリー中初晶と
強化材の体積率の和と見なすことが可能であり、全固相
率が増加すれば粘度が増加すると考えることは妥当であ
ると言える。例えば、セメント中に砂、砕石などの固体
分を混合した場合しばしば経験するところである。
以上から、スラリーの固相率を管理することが複合化
を図る場合において重要なパラメータと考えることがで
きる。
実際の製造においては、スラリーの全固相率はスラリ
ーの粘度と直接関係していることから、粘度を測定する
ことによって固相率に置き換えて測定することができ
る。
この粘度測定の利点は、スラリー粘度が温度及び強化
材添加速度によって著しく影響されるため温度測定法に
よる固相率推定よりも応答性および精度が良いので、粘
度変化を検出して加熱温度および添加速度へフィードバ
ックすることによって高度かつ応答性良く制御された系
を構築するとができることである。
即ち、本発明方法によれば、スラリー製造に要する攪
拌装置の一部に粘度(具体的には、トルクなどの)検出
器を設けることによって、温度変化に伴う固相率変化及
び強化材添加速度変化による見かけ固相率変化を同時に
直接検出するので高精度を維持することができる。ま
た、温度及び添加速度を単独に検出する方法と異なり、
検出端の減少につながるばかりでなく、スラリー状態を
直接検出しているので複合状態を監視した方法ともな
る。
更に、本法の優位性の根拠は以下にもある。良好な複
合材料を得るためには、加熱温度を制限する方法や強化
材添加速度を制限する方法があり一般的手法と考えられ
ている。しかし、加熱温度の制限は、直接絶対値を指定
するか液相線あるいは固相線温度からのずれとして表現
せざるを得ないことが多いことから、こうした指定方法
は、対象とする系が変化すると意味をなさない。従っ
て、極めて技術的意味が薄く制限の複雑化を招き無意味
と言わざるを得ない。更に、安定した製造方法に対する
保証がなく単なる必要条件を与えるにすぎない。
また、製造装置を制御の点から、温度監視法による制
御は装置内温度分布があった場合には応答遅れが生じる
ことが明白であり従って制御遅れにもつながることか
ら、実用に耐える装置の製作には経費がかさみコスト増
につながる。
同様なことが強化材供給速度に対しても言えることは
明白である。
本発明は、前述のように温度制御が可能な金属溶融手
段と凝固進行に伴う撹拌装置のトルク検出などの粘度測
定手段を具備していることが設備的に必要な要件であ
り、かつ強化材の投入速度測定手段、ひいては投入量測
定手段を設ける。
本発明法を用いた場合、粘度の上昇は、温度が降下し
たことによる溶融金属の凝固進行すなわち固相率増加の
場合と、強化材の投入速度が過剰な場合に発生し得るこ
とがある。かかる状況においては、如何なる原因で粘度
が上昇したかの判別を行って、適切な制御条件を選択す
ることが肝要である。
例えば、温度変化がほぼ一定である場合には、明らか
に強化材の投入速度が過剰である場合に粘度が上昇し、
不足の場合には粘度が上昇しないことになる。従って、
温度変化が一定で粘度上昇傾向にある場合には、強化材
の投入速度を減ずるか、あるいは投入の一時停止を行
い、粘度が一定となるように制御する。
また、強化材投入速度一定を意図した制御条件の場合
は、粘度上昇時に温度を上昇させることによって粘度を
一定に制御する。
一方、粘度の上昇が見られない場合には、強化材の投
入速度を速めることができ、所望配合量の強化材の投入
を早期に完了することが可能である。
即ち、温度一定状態、あるいは強化材投入速度一定の
何れかの条件の下では、粘度上昇時には加熱温度の制御
ないし強化材投入速度の変更の何れの組合せもとること
ができ、特に限定するものではない。強いて述べれば、
粘度上昇時には、強化材の投入速度を減じて、粘度を一
定にする制御を優先することが望ましい方法である。
従って、本発明で示した如く、スラリー温度と固相率
をスラリー粘度として同時検出する方法は、固液共存領
域を有する合金系(前述の如く、実用金属の殆どの金
属)てあれば本方法によって強化材添加中一定の固相率
を維持でき、加熱温度と強化材投入速度の制御を可能な
らしめ確実で汎用性が高い方法である。
以下実施例、比較例によって本方法の効果を明確にす
る。
マトリックス金属としてAl合金を用い、強化材料とし
てAl2O3を用いた。
実施例は、いずれも添加中のスラリー粘度即ち攪拌ト
ルクをほぼ一定になるようにした加熱温度、投入速度の
もとで実施した。比較例は、強化材添加開始まではトル
クを検出し実施例と開始条件を揃え添加開始と共に加熱
温度によってスラリー状況を捉えて複合化を試みた。
複合材製造条件を表1に示した。また、製造後得られ
た複合材を画像解析装置によって強化材の体積率(V)
を測定し、目標体積率(V0)で除いた値即ち強化材偏析
度(V/V0)を用いて整理した。その結果を第1図に示
す。
本発明方法によれば、低体積率においては強化材の沈
澱によると思われる現象が起こりボトム側に偏析する傾
向にあるが、体積率が高くなるにつれてほぼ一様に分散
する。これに対して、比較例は体積率が低い場合には殆
ど入らず体積率が増加しても一様には分散しない。
以上のように本発明方法によれば、製品全体に亘って
ほぼ偏析度1を達成でき良好な材料を得ることができ
る。
(発明の効果) 本発明方法を用いることによって、均質性、健全性に
優れた複合材料を極めて容易に得ることができ実用的で
あり、産業上極めて有益な発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、表1に示す実施例および比較例における複合
材中の強化材偏析度を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリックスである金属の固液共存状態で
    強化材を分散し複合するにあたり、該金属の固相率と強
    化材体積率の和を全固相率と見なし、全固相率を該複合
    金属の粘度変化をもって検出し、粘度が一定となるよう
    に制御し複合することを特徴とする分散強化複合材料の
    製造方法。
JP703387A 1987-01-14 1987-01-14 分散強化複合材料の製造方法 Expired - Lifetime JPH0826419B2 (ja)

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