JPH08262509A - 光駆動型光制御装置 - Google Patents

光駆動型光制御装置

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JPH08262509A
JPH08262509A JP6067695A JP6067695A JPH08262509A JP H08262509 A JPH08262509 A JP H08262509A JP 6067695 A JP6067695 A JP 6067695A JP 6067695 A JP6067695 A JP 6067695A JP H08262509 A JPH08262509 A JP H08262509A
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optical
light
signal light
control
incident
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JP6067695A
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Masao Yube
雅生 遊部
Itaru Yokohama
至 横浜
Hiroki Ito
弘樹 伊藤
Toshikuni Kaino
俊邦 戒能
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡便な構成で複雑な調整の必要がなく、信号
光の位相変化を効果的に利用することができ、信号光と
制御光のパルス広がりが小さく抑えられ、かつ両者のウ
オークオフ効果も小さく抑えられ、高速動作が可能で、
しかも低パワーで動作可能な非線形光学装置を提供す
る。 【構成】 光導波路の一方の終端に信号光および制御光
を反射する反射器を設けて、光導波路に入射した信号光
および制御光が該反射器でそれぞれ反射されて再び該光
導波路を通り入射端から外部に出射される配置とし、か
つ信号光入射手段に非対称な光路長と3つのファラデー
回転器を持つ光サーキュレータを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光データ・情報処理や
光通信システムにおいて将来的に用いられる光スイッチ
や光信号演算処理装置などの光駆動型光制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】非線形光学効果とは、物質中の電気分極
Pが下記のように光の電界Eに比例する項以外にE2
3 の高次項を持つために起こる効果である。
【0003】
【数1】 P=χ(1) E+χ(2)2 +χ(3)3 +… (1) 特に、第3項は、非線形屈折率効果としてよく知られて
いるように、下式で示される光のパワー密度に依存した
屈折率変化をもたらす。
【0004】
【数2】 n=n+n2 |E|2 (2) 非線形屈折率n2 (m2 /v2 )は、(1)式の3次非
線形感受率χ(3) (m2 /v2 )に対して、次式で与え
られる。
【0005】
【数3】 n2 =3/8n・χ(3) (3) ただし、nは通常の屈折率、cは光速、|E|は光の平
均電界である。
【0006】この効果を用いて種々の非線形光学素子を
構成することができるが、より小さな光パワーでこの効
果を利用するためには、非線形屈折率の大きな光学材料
を使用し、かつ光ファイバなどのように導波構造をとる
ことによって、光のパワー密度を高くし、長い相互作用
長を利用することが有効である。
【0007】従来、光ファイバを用いた非線形光学装置
としては、例えば、M.Asobe,H.Kobaya
shi,H.Itoh,and T.Kanamor
i,“Laser−diode−driven ult
rafast all−optical switch
ing by using highly nonli
near chalcogenide glass f
iber” Opt.Lett.18,1056−10
58(1993)に示されるような光Kerrシャッタ
などが知られている。
【0008】以下のこの種の非線形光学装置の原理を従
来例に従って簡単に説明する。この種の非線形光学装置
は、図1に示したように、情報を持った信号光の行き先
あるいは信号光の波形等を、別の制御光によって、制御
しようとするものである。図中に示したように、信号光
11と該信号光11とは波長の異なる制御光12とを合
波する合波器13と、カルコゲナイドガラスファイバな
どの光非線形屈折率効果を有する非線形光学媒質14
と、信号光11と制御光12とを分波する分波器15
と、そして偏光子16とによって、この種の装置の主要
部分は構成される。この場合、信号光11と制御光12
の偏波は、それぞれ図中17,18で示される方向に設
定され、互いに45度の角度をなすように、前記非線形
光学媒質14に入射される。
【0009】制御光12が入射されない場合、信号光1
1は偏波方向を保ったまま、非線形光学媒質14中を伝
搬し、偏光子16により光路19に出射される。
【0010】制御光12を入射すると、信号光11の制
御光12と同じ偏波成分は、次式で与えられる位相変化
を受ける。
【0011】
【数4】
【0012】ここで、n2 は単位(m2 /W)で定義さ
れる非線形屈折率、Lは媒質長、Iは制御光12のパワ
ー、λは信号光11の波長、Aは非線形光学媒質14中
のビーム断面積である。
【0013】また、同時に信号光11の制御光12と直
交する偏波成分は、次式で与えられる位相変化を受け
る。
【0014】
【数5】
【0015】これは平行成分の1/3の値である。
【0016】これらの位相変化の差分として、信号光の
2つの偏波成分の間には、次式で与えられる位相差が生
じる。
【0017】
【数6】
【0018】この結果、制御光12を入射した場合、信
号光11の偏波状態が変化し、偏光子16により光路1
10に信号が出射される。
【0019】この時、光路110に出射される信号光1
1の割合Tは、次式で与えられる。
【0020】
【数7】 T=sin2 (ΔΦB /2) (7) 従って、位相変化量ΔΦB がπになるように制御光12
を入射すれば、信号は完全に光路110に出射される。
【0021】しかしながら、こうした従来の光Kerr
シャッタでは、制御光12と偏波が直交する信号光11
の成分も、(5)式で与えられるように、平行成分の1
/3の位相変化を受けてしまうため、両者の位相差は平
行成分の位相変化の2/3となってしまい、信号光11
の受けた位相変化を効果的に利用することができない。
その結果、スイッチングに必要な制御光12のパワーが
大きくなってしまうという問題点があった。
【0022】このような問題を解決する方法として、
M.J.LaGasse,D.Liu−Wong,J.
G.Fujimoto,and H.A.Haus,O
pt.Lett.Vol.14,p.311(198
9)に示されるような、制御光の偏波面と直交する信号
光の偏波成分を制御光の偏波面と平行な信号光の偏波成
分から時間的に分離する方法が、知られている。
【0023】以下に、この方法について説明する。図2
に、この方法に基づく光スイッチの構成例を示す。信号
光21を、図中22に示されるように、偏波ビームスプ
リッタ23の軸に対して45°の角度に偏波方向を合わ
せて入射すると、二つの偏波ビームスプリッタ23,2
3間に構成される2つの光路長を異なる長さに設定する
ことにより、信号光21は、2つの直交する偏波成分を
持つ信号パルス24,25に時間的に分離される。この
2つの信号光パルス24,25の一方にタイミングと偏
波方向(図中27)を合わせて、制御光パルス26を合
波器28を介して入射すると、非線形導波路29を伝搬
する間に、一方の信号光パルス25のみに(4)式で与
えられる位相変化が加わる。非線形導波路を出射した
後、分波器210により制御光パルス26は分離され、
2つの信号パルス24,25は2つの偏波ビームスプリ
ッタ211,211間に構成される長さの異なる2つの
光路に分離された後に合波される。このとき、例えば、
偏波ビームスプリッタ211の前に設置した1/2波長
板212を用いて、2つの信号パルス24,25のう
ち、二つの偏波ビームスプリッタ23,23の間に構成
される2つの光路のうち長い光路を通った偏波方向を持
つ信号パルスが、2つの偏波ビームスプリッタ211,
211間に構成される2つの光路のうち短い光路を通る
ように設定し、かつ2つの偏波ビームスプリッタ21
1,211間に構成される2つの光路の差を前記の2つ
の偏波ビームスプリッタ23,23間に構成される2つ
の光路の差と同じに設定することにより、時間的に分離
していた2つの信号パルス24,25は時間的に重ねら
れ、1つのパルスとなる。そして、偏光ビームスプリッ
タ213をその後方に設けることにより、2つに分離し
ていた信号パルス24,25間に生じた位相変化量に応
じて偏波状態が変化し、出射端214または215にス
イッチングされる。
【0024】この構成では、信号光の一方のみに位相変
化を生じるために位相変化を効率的に利用できる。しか
しながら、こうした従来技術では、信号光パルスを2つ
に分離・合波するための光路長差を得る部分が2箇所必
要となり、その構成が極めて複雑になる。また、前記の
光路差を使用波長以下の精度で合わせる必要があるた
め、装置の精密な調整が必要になり、かつその光路長差
が使用光学部品の振動などによって変動すると、合波さ
れた2つの信号パルスの間の位相差が変動し、動作が不
安定になるといった問題があった。
【0025】さらに、従来技術では、速い動作速度を実
現しようとして制御光に非常に短いパルスを用いると、
制御光のパルス幅が短い場合、スイッチングパワーを小
さくしようとしても、非線形光学媒質の長さを長くする
と、制御光と信号光の群速度が異なることによって両者
が時間的にすれ違う、いわゆるウオークオフ効果によ
り、実効的に両者が相互作用する長さが制限され、スイ
ッチングパワーを小さくすることができない。
【0026】以下に、このウオークオフ効果について簡
単に説明する。
【0027】信号光と制御光に異なる波長を用いると、
群速度分散により信号パルスと制御パルスの群速度が異
なってくる。このとき、両者が非線形光学媒質中を伝搬
するのに必要な時間の差が、制御光パルスの幅に比べて
無視できないとすると、(4)式で与えられた位相変化
量は、次式で与えられる。
【0028】
【数8】
【0029】ここで、制御パルスがガウス形
【0030】
【数9】 I(t)=I0 exp(−t2 /T2 ) (10) であるとすると、
【0031】
【数10】
【0032】ここで、Δβは、信号光と制御光の単位長
さ当りの群遅延差、Tは制御パルスの半値幅をτとする
と、τ/(2√(In2))、Γ=t/Δβ、Erfc
はガウスの誤差関数である。また、ここでは簡単のため
に媒質の伝搬損失は省略している。
【0033】図3に(11)式の時間変化を示す。ここ
で、制御光のパルス幅を4ps、Δβは4ps/m、媒
質長を1,2,3,4mとしている。
【0034】この図からわかるように、ウオークオフ効
果がある場合は、媒質長を長くしても、実効的な相互作
用長は一定値に制限されてしまい、動作速度も信号光と
制御光の群遅延差に制限されてしまう。
【0035】さらに、従来技術では、速い動作速度を実
現しようとして制御光に非常に短いパルスを用いると、
非線形媒質中の群速度分散によるパルス広がりが起こ
り、動作速度が制限されてしまうとともに、パルス広が
りにより制御パルスのピークパワーが減少するために、
動作パワーが大きくなってしまう。
【0036】以下に、この群速度分散による光パルスの
広がりについて説明する。
【0037】光学媒質中を光パルスが伝搬する速度(群
速度)の光の波長(周波数)による違いは、群速度分散
として知られている。単位長さ当りの群遅延T(光パル
スがある距離を伝搬するのに必要な時間)の単位波長差
における違いを群速度分散Dで定義すると、次式のよう
になる。
【0038】
【数11】 D=(1/L)・δT/δλ=−(2πc/λ2 )・(δ2 β/δω2 ) (8) ここで、βは伝搬定数、ωは光の角周波数である。
【0039】特に、光スイッチの応用に重要な1.6μ
m以下の波長領域では、ほとんどの高い非線形屈折率を
持つ材料が、大きな負の群速度分散Dを持っている。こ
のために、パルス中の波長の短い(周波数の大きい)成
分ほど群速度が遅くなり(群遅延が大きくなる)、光学
媒質を伝搬するにしたがってパルスが広がってしまう。
パルス幅が狭くなるほど、パルスの持つ波長幅は、(パ
ルス幅に反比例して)大きくなるので、群速度分散の影
響は顕著になる。
【0040】このような群速度分散によるパルス広がり
を補償するための従来技術として、(1)対向した回折
格子対またはプリズム対を用いるもの(B.Nikol
aus and D.Grischkowsky,Ap
pl.Phys.Lett.Vol.43,p.228
(1993))と、(2)分散回折格子からの後方反射
を用いるもの(J.A.R.Williams,I.B
ennion,K.Sugden and N.J.D
oran,Electron.Lett.Vol.3
0,p.985(1994))と、が知られている。
【0041】以下に、上記(1)の回折格子対またはプ
リズム対を用いる方法について、説明する。
【0042】図4は、光ファイバの非線形効果を用いて
光パルスを圧縮するための装置構成を示したものであ
る。モード同期レーザ等から得られる光パルス41を負
の群速度分散を有する光ファイバ42に通すと、光ファ
イバ42の非線形効果により光パルス41の前端では光
の周波数が下がり、パルス41の後端では周波数が上が
る。この効果によりスペクトルの広がりを生じるととも
に、群速度分散により光パルス41の前端部は早い群速
度で伝搬し、後端部は遅い群速度で伝搬するために、出
射パルスは著しく広がり矩形パルス43に変形する。光
ファイバ42を出射した光は、第1の回折格子44で回
折され、波長に応じて異なる角度で発散する。この発散
光を第2の回折格子45で回折すると、平行光線が得ら
れる。この時、波長の長い(周波数の小さい)成分ほど
長い距離を進むため、パルスの前端は遅れ、逆にパルス
の後端が進み、パルスの圧縮が達成される(圧縮パルス
46が生成する)。ここでは、光を分散させる素子とし
て回折格子を用いたが、必要な分散が小さい場合には、
プリズムを用いても同様の分散補正を行うことができ
る。
【0043】次に、前記(2)の分散型回折格子からの
後方反射を用いる方法について、説明する。
【0044】ここでは、図5に示すような、光ファイバ
などの導波路中に作製された分散型の回折格子51を考
える。この回折格子51では、後方に進むに従って回折
格子の間隔が大きくなってゆく。すると、例えば、図5
中の波長成分53,54,55の順に長い波長成分を含
み分散により広がったパルス52を入射した場合、図に
示されるように、波長の長い波長成分ほど回折格子の後
方で反射されるため、大きな群遅延を生じ、回折格子全
体としては正の分散を持つ。この分散により、それぞれ
の波長成分の群速度が補正され、パルスが圧縮されて
(圧縮パルス56となって)反射される。
【0045】しかしながら、これらの従来技術は、いず
れも1種類の光パルスの圧縮を行うに過ぎず、従来の光
Kerrシャッタのような進行型の制御光と信号光の2
つの光を用いる光スイッチには適用されてない。
【0046】以上説明してきたように、こうした従来技
術では、信号光の位相変化を効果的に利用できないた
め、スイッチングパワーを小さくすることができない、
位相変化を効果的に利用しようとすると、装置の構成が
複雑になり、装置の調整が必要になる、動作が不安定に
なる、また、大きな群速度分散を持つ高非線形光学材料
を用いた場合、速い動作速度を実現しようとして短い制
御パルスを用いると、ウオークオフ効果によりスイッチ
ングパワーを小さくすることができない、パルス広がり
によって動作速度が制限されてしまう、パルス広がりに
よる制御パルスのピークパワーの減少によって動作パワ
ーが制限されてしまう、などの問題点があった。
【0047】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
のような従来技術の問題点を解決し、信号光の強度ある
いは方向を制御光に用いて制御する光駆動光制御素子に
おいて、簡便な構成で複雑な調整の必要がなく、信号光
の位相変化を効果的に利用することができ、その結果、
低パワーで動作可能な非線形光学装置を提供することに
ある。さらに、大きな群速度分散を持つ高非線形光学材
料を用いた場合も、短い制御パルスを用いても、信号光
と制御光のパルス広がりが小さく抑えられ、かつ両者の
ウオークオフ効果も小さく抑えられ、高速動作が可能
で、しかも低パワーで動作可能な非線形光学装置を提供
することも、課題とする。
【0048】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、非線形屈折率効果を有する非線形光学媒
質からなる光導波路と、信号光を前記光導波路に入射す
る信号光入射手段と、制御光を前記信号光と同じ終端か
ら前記光導波路に入射する制御光入射手段と、前記光導
波路を伝搬した前記制御光から前記信号光を分離する信
号光分離手段を少なくとも備え、前記制御光を用いて前
記信号光の強度あるいは方向を制御する光駆動型光制御
装置において、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0049】1)簡便な構成で制御光の偏波面と直交す
る信号光の偏波成分を、制御光の偏波面と平行な信号光
の偏波成分から、時間的に分離し、複雑な調整なしで信
号光の位相変化を効果的に利用することができるよう
に、光導波路の信号光および制御光の入射される終端と
は反対側の終端に信号光および制御光を反射する反射器
を設けて、光導波路に入射した信号光、および制御光が
前記反射器でそれぞれ反射され再び該光導波路を通り入
射端から外部に出射される配置とし、かつ信号光入射手
段は、第1と第2の偏波ビームスプリッタ間に2つの異
なる光路長を持つ光路を設定し、該2つの光路のそれぞ
れに1個づつのファラデー回転器を配置し、第3のファ
ラデー回転器を第2の偏波ビームスプリッタの、第1の
偏波ビームスプリッタの反対側に配置し、前記第1の偏
波ビームスプリッタに入射した信号光が、前記2つの異
なる光路長を持つ光路をそれぞれ通り、第2の偏波ビー
ムスプリッタで合波されたのち、第3のファラデー回転
器を透過するように配置した光サーキュレータとする。
【0050】この構成を取ることにより、従来技術とは
異なり、1つの光サーキュレータで、制御光の偏波面と
直交する信号光の偏波成分を、制御光の偏波面と平行な
信号光の偏波成分から時間的に分離する機能と、前記反
射器で反射され該光導波路の入射端から出射される信号
光の、制御光の偏波面と直交する偏波成分と制御光の偏
波成分と平行な偏波成分を時間的に一致する機能とを持
たせる。
【0051】2)大きな群速度分散を持つ高非線形光学
材料を用いた場合も、短い制御パルスを用いても、波長
の離れた信号光と制御光のそれぞれのパルス広がりが小
さく抑えられ、かつ両者のウオークオフ効果も小さく抑
えられるように、光導波路の一方の終端に制御および信
号光をそれぞれ反射する分散型回折格子を有し、光導波
路の他の終端から入射した信号光、および制御光が回折
格子でそれぞれ反射され再び前記光導波路を通り入射端
から外部に出射される配置とし、入射する信号光と出射
する信号光を分離するための光サーキュレータあるいは
光分配器を備える。
【0052】この構成を取ることにより、従来技術の、
対向した回折格子対またはプリズム対を用いる方法や、
分散型回折格子からの後方反射を用いる方法による、単
なる1つのパルスの広がりを補正する場合とは異なり、
波長の離れた信号光と制御光を用いた光制御光スイッチ
中での信号光および制御光のパルス広がりを小さく抑え
るとともに、両者のウオークオフ効果も小さく抑える。
なお、従来の分散型回折格子の後方反射を用いたパルス
広がりの補償は、単に1つのパルス幅の圧縮に用いられ
ていたに過ぎず、ウオークオフ効果を抑制する働きにつ
いては、従来技術である光Kerrシャッタなどの進行
波型光スイッチの構成に変えて、本発明の構成を取るこ
とにより初めて可能になるものである。
【0053】3)簡便な構成で制御光の偏波面と直交す
る信号光の偏波成分を、制御光の偏波面と平行な信号光
の偏波成分から、時間的に分離し、複雑な調整なしで信
号光の位相変化を効果的に利用することができ、かつ大
きな群速度分散を持つ高非線形光学材料を用いた場合
も、短い制御パルスを用いても、波長の離れた信号光と
制御光のそれぞれのパルス広がりが小さく抑えられ、か
つ両者のウオークオフ効果も小さく抑えられるように、
分散型回折格子を光導波路の一方の終端に有し、前記光
導波路の他の終端から入射した信号光、および制御光が
前記回折格子でそれぞれ反射され再び該光導波路を通り
入射端から外部に出射される配置とし、かつ信号光入射
手段は、第1と第2の偏波ビームスプリッタ間に2つの
異なる光路長を持つ光路を設定し、該2つの光路のそれ
ぞれに1個づつのファラデー回転器を配置し、第3のフ
ァラデー回転器を第2の偏波ビームスプリッタの、第1
の偏波ビームスプリッタの反対側に配置し、前記第1の
偏波ビームスプリッタに入射した信号光が、前記2つの
異なる光路長を持つ光路をそれぞれ通り、第2の偏波ビ
ームスプリッタで合波された後、第3のファラデー回転
器を透過するように配置した光サーキュレータとする。
【0054】本発明の構成を取ることにより反射器とし
て用いる分散型回折格子にウオークオフ効果を抑制する
働きを持たせると同時に、1つの光サーキュレータで、
制御光の偏波面と直交する信号光の偏波成分を、制御光
の偏波面と平行な信号光の偏波成分から時間的に分離す
る機能と、前記反射器で反射された該非線形導波路の入
射端から出射される信号光の、制御光の偏波面と直交す
る偏波成分と制御光の偏波成分と平行な偏波成分を時間
的に一致する機能を持たせる。
【0055】
【作用】本発明では、従来と異なり、信号光の強度ある
いは方向を制御光を用いて制御する光駆動光制御素子に
おいて、光導波路の一方の終端に信号光および制御光を
反射する反射器を設けて、光導波路に入射した信号光お
よび制御光が該反射器でそれぞれ反射されて再び該光導
波路を通り入射端から外部に出射される配置とし、かつ
信号光入射手段に非対称な光路長と3つのファラデー回
転器を持つ光サーキュレータを用いることにより、簡便
な構成で制御光の偏波面と直交する信号光の偏波成分
を、制御光の偏波面と平行な信号光の偏波成分から、時
間的に分離し、複雑な調整なしで信号光の位相変化を効
果的に利用することができる。
【0056】以下に、この本発明の原理について説明す
る。図6は、該原理を説明するための図である。
【0057】図中、信号光61を、第1の偏光ビームス
プリッタ63に対して62に示されるように偏光方向を
45度の角度に傾けて、入射すると、信号光61は、図
中611,612に示されるように直交する偏波方向を
持つ2つのパルス616,617に、分離する。2つの
パルス616,617は、ファラデー回転器65,6
6、1/2波長板68,69をそれぞれ通って、第2の
偏光ビームスプリッタ64により、合波される。このと
き、2つの偏光ビームスプリッタの間の2つの光路の長
さを、図中に示したように、等しくないように設定する
ことにより、2つの信号パルス616,617は、時間
的に分離される。合波された信号光は、第3のファラデ
ー回転器67、1/2波長板610を通った後、合波器
615を介して偏光方向614に設定された制御光61
3と合波され、非線形導波路618に入射される。この
とき、制御光パルス613の偏光方向のタイミングを一
方の信号光パルス617に合わせることにより、非線形
導波路618を伝搬する間に、一方の信号光パルス61
7に(4)式で与えられる位相変化が加わる。非線形導
波路618を伝搬した信号光パルスと制御光パルスは、
非線形導波路618の後方に設置された反射器619に
より、反射されて再び非線形導波路618を逆向きに伝
搬する間に、さらに信号光パルス617に(4)式で与
えられる位相変化が加わり、全体で(4)式の2倍の位
相変化を一方の信号光パルス617のみに与える。非線
形導波路618から出射してきた2つの信号パルスは、
合波器615により制御光から分離され、第3のファラ
デー回転器67に戻ってくる。ここで、2つの信号パル
スは、ファラデー回転器67によりそれぞれ入射時とは
直交する偏波に回転させられるため、第2の偏波ビーム
スプリッタ74により2つの偏光ビームスプリッタの間
の2つの光路のうち入射時とは逆側の光路に分離され、
それぞれファラデー回転器65,66を通って第1の偏
光ビームスプリッタ63によって合波される。このと
き、2つの信号光は、ファラデー回転器65,66によ
って偏波が回転させられているため、図6中に示したよ
うに、第1の偏光ビームスプリッタ63の入射端とは異
なる方向へ出射される。ここで、時間的に分離されいた
2つの信号光パルスは、2つの偏光ビームスプリッタの
間の2つの光路のうち入射時とは逆側の光路を通ってい
るため、時間的に重ねられ、1つのパルスとなる。そし
て、偏光ビームスプリッタ620をその後方に設けるこ
とにより、2つに分離していた信号間に生じた位相変化
量に応じて偏波状態が変化し、出射端621または62
2にスイッチングされる。
【0058】上述のように、本発明によれば、信号光の
直交する2つの偏波成分が、光サーキュレータ中の非対
称な光路長により時間的に分離されて非線形光学媒質中
を伝搬し、制御光の引き起こす位相変化が信号光の一方
の成分のみに加わるため、1回の伝搬で通常の光Ker
rシャッタの1.5倍の位相差を得ることができる。さ
らに、反射型のために同じ媒質を2回伝搬させることに
なり、トータルで光Kerrシャッタの3倍の位相差を
得ることができ、その結果、通常の光Kerrシャッタ
の1/3のパワーで動作させることが可能となる。ま
た、この構成では、反射してきた信号光は、同一の光サ
ーキュレータ中の非対称な光路長を逆向きに伝搬する
が、第3のファラデー回転器の働きにより、入射時に短
い光路を通った偏波成分は長い光路を通り、入射時に長
い光路を通った偏波成分は短い光路を通るため、往復で
の2つの偏波間の時間差が完全にキャンセルされる。従
って、非対称な光路長の微調整の必要がない。この結
果、複雑な調整なしに大きな位相変化が得られるため、
低パワーで安定に動作可能な光駆動光制御素子を実現す
ることができる。
【0059】さらに、本発明では、信号光の強度あるい
は方向を制御光を用いて制御する光駆動光制御素子にお
いて、従来と異なり、非線形光学媒質の後方に制御光と
信号光の波長をそれぞれ反射する分散型回折格子を設け
るとともに、反射してきた信号光を取り出すための光サ
ーキュレータまたは光分配器を信号光の入力手段として
設け、反射型の構成とすることにより、分散型回折格子
からの反射を利用して非線形光学媒質の群速度分散を補
正し、制御光と信号光それぞれの光パルスの広がりを抑
制するとともに、信号光と制御光用の分散型回折格子の
間隔を適当に設定することで、ウオークオフ効果を補正
・抑制することができる。以下に、その原理について説
明する。
【0060】図7は、本発明の原理を説明するための図
である。図中、71は光ファイバなどの非線形光学媒
質、72は信号光を反射する分散型回折格子、73は制
御光を反射する分散型回折格子、74は信号光と制御光
を合波する合波器、75は光サーキュレータ、76はフ
ァラデー回転器、77は1/2波長板、78は偏光ビー
ムスプリッタ、79は偏光子、710は信号光、711
は制御光である。
【0061】今、ここでは、非線形光学媒質71が負の
分散値を持っており、かつ制御光711の波長が信号光
710の波長より短いと仮定する。本発明による光スイ
ッチに入射された入射信号光710は、光サーキュレー
タ75を通って、合波器74により制御光711と合波
され、非線形光学媒質71に入射される。この時、信号
光710と制御光711の偏波方向が互いに45度の角
度をなすようにすると、非線形光学媒質71中を1回伝
搬する間に、制御光の引き起こす非線形効果により信号
光710の直交する2つの偏波成分の間に(9)式で与
えられる位相変化が加わる。非線形光学媒質71を伝搬
すると、群速度分散により信号パルスと制御パルスの広
がりを生じるが、それぞれのパルス広がりは分散型回折
格子72、73による反射により補正される。ここで、
非線形光学媒質71が負の分散が持っている場合、波長
の長い制御光711は信号光710よりも早い群速度を
持つため、ウオークオフを引き起こすが、図7中に示す
ように、それぞれの回折格子72、73を離して設置
し、制御光用の回折格子73を1回の伝搬によって生じ
る遅延時間差に相当する長さの半分だけ後方に設定する
ことにより、ウオークオフ効果で時間的ずれを生じた信
号光710と制御光711を再度時間的に揃えて非線形
光学媒質71中を逆向きに伝搬させることができる。本
発明の光駆動型光制御装置の構成では、信号光710は
回折格子72で反射されて非線形光学媒質71中を戻っ
てくるが、図7に示すように、光サーキュレータ75、
あるいは光分配器を信号光の入射手段として用いること
により、反射された信号光710を入射端側から取り出
すことができる。出射された信号光710を偏光子79
に入射することにより信号光の偏波面の変化を利用した
反射型の光制御装置が構成を入射端側から取り出すこと
ができる。出射された信号光710を偏光子79に入射
することにより信号光の偏波面の変化を利用した反射型
の光制御装置が構成できる。
【0062】上記のように信号光用の分散型回折格子7
2と制御光用の分散型回折格子73とを非線形光学媒質
の後方に設けて反射型の構成とすることにより、それぞ
れのパルス広がりを補正すると同時にウオークオフ効果
を抑制したまま、もう一度非線形光学媒質71を逆向き
に伝搬させるようになり、同じ長さの媒質を用いて、従
来の光Kerrシャッタの2倍の光路長を伝搬させるこ
とができる。このため、同じ媒質長で従来の光Kerr
の1/2の制御光パワーで動作させることができる。
【0063】このことにより、時間幅の細いパルスを用
いても光パルスの広がり、ウオークオフ効果を抑えるこ
とができ、そのために、高速に動作する光駆動型光制御
装置を実現することができる。さらに、ウオークオフ効
果によって相互作用長が制限されないので、動作パワー
の低減も図れる。
【0064】さらに、本発明では、信号光の強度あるい
は方向を制御光を用いて制御する光駆動光制御素子にお
いて、非線形光学媒質の後方に制御光と信号光の波長を
それぞれ反射する分散型回折格子を設けて、光導波路に
入射した信号光および制御光が前記分散型回折格子でそ
れぞれ反射されて再び前記光導波路を通り入射端から外
部に出射される配置をとるとともに、信号光入射手段に
非対称な光路長と3つのファラデー回転器を持つ光サー
キュレータを用いることにより、信号光、および制御光
のパルス広がりを補正すると同時にウオークオフ効果を
抑制することができ、同時に制御光の偏波面と直交する
信号光の偏波成分を、制御光の偏波面と平行な信号光の
偏波成分から、時間的に分離し、複雑な調整なしで信号
光の位相変化を効果的に利用することができる。このこ
とにより、時間幅の細いパルスを用いて、効率的に位相
変化が利用できるため、高速動作が実現されるととも
に、さらなる動作パワーの低減が図れる。この作用は、
本発明による装置構成をとることにより始めて実現可能
になるものである。
【0065】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を具体
的に説明する。
【0066】図8は、本発明の実施例を示す図である。
ここで、81は波長1.542μmの信号光パルス、8
2,83は偏光ビームスプリッタ、84,85,86は
ファラデー回転器、87,88,89は1/2波長板、
810は波長1.550μm、幅6psの制御光パル
ス、811は信号光と制御光を合波する合波器、812
は非線形光学媒質となる長さ2mのカルコゲナイドガラ
スファイバ、813は信号光の波長を反射する分散型回
折格子、814は制御光の波長を反射する分散型回折格
子、815は偏光子、816,817はスイッチングさ
れた信号光、818,819,820,821はそれぞ
れの場所における光の偏光方向を表している。
【0067】本実施例の動作原理について以下に述べ
る。偏波ビームスプリッタ82で信号光81が同じ強度
の直交する偏波に分かれるように、偏波ビームスプリッ
タ82の軸に対して45度の角度をなす方向818に偏
波を合わせて、信号光81を入射すると、それぞれの偏
波方向に分かれた信号光は、ファラデー回転器84,8
5、1/2波長板87,88を通って偏波ビームスプリ
ッタ83で合波されるが、そのとき、それぞれの通る光
路長が異なるため、光路長差に相当する時間間隔だけ離
れた直交した偏波を持つ2つの信号パルスとなる。合波
された2つの信号パルスは、もう一度ファラデー回転器
86、1/2波長板89を通り、お互いに直交関係を保
ったまま45度偏波を回転させられる。この後、合波器
811によって制御光810と合波され、非線形光学媒
質812に入射される。
【0068】図9に、非線形光学媒質中の信号光と制御
光の伝搬の様子を示す。ここで91,92は2つの直交
する偏波成分に分離された信号光パルス、93は制御光
パルスである。図中に示すように、制御光パルス93を
信号光の一方の光パルス92と同じ偏波でほぼタイミン
グを合わせて入射すると、制御光93は信号光を追い越
しながら非線形光学媒質中を伝搬し、信号光の一方のパ
ルス92にのみ式(9)〜(11)で与えられる位相変
化を与える。非線形光学媒質中を伝搬すると、群速度分
散により、制御光、信号光ともにパルス広がりを生じる
が、それぞれの波長を反射する分散型回折格子によって
分散補正を行うことにより、入射時のパルス幅まで戻す
ことができる。さらに、本実施例では制御光用の分散型
回折格子814を信号光用の分散型回折格子813の後
方に設置することにより、相対的に群速度の早い信号光
を遅らせ、それにより信号光と制御光のウオークオフ効
果を補正し、信号光とのタイミングを合わせて、再度非
線形光学媒質を逆向きに伝搬させることができる。
【0069】非線形光学媒質を再度逆向きに伝搬させる
ことにより、全体として式(9)〜(11)で与えられ
る値の2倍の位相変化が信号光に加わる。直交した偏波
を持つもう一方の信号パルスもパルス間隔を保ったまま
同様に非線形光学媒質を往復し、非線形光学媒質の入射
端に戻ってくる。反射してきた制御光は、図8中の合波
器811で分離され、非線形光学媒質812の入射端か
ら戻ってきた2つの信号光パルスは、1/2波長板8
9、ファラデー回転器86を通ることにより入射時と直
交する偏波に回転させられる。それぞれの信号パルス
は、入射時とは偏波が直交しているため、偏波ビームス
プリッタ83により分離される2つの光路のうち入射時
とは異なる側の光路を通って、1/2波長板87,8
8、ファラデー回転器84,85を通ることにより、偏
波を90度回転させられて偏波ビームスプリッタ82に
戻ってくる。ここで、入射時とは逆の光路を通るため
に、2つの信号光パルスは、時間的間隔を補正されて一
つのパルスとなり、さらにそれぞれの偏光は、入射時と
は直交しているため偏光子815に導かれる。ここで、
2つに分かれていた信号パルス間の位相変化により、式
(7)に与えられるように、偏光子815からの透過率
が変化し、制御光が入射されない場合、信号光817
へ、制御光が入射された場合は、信号光816へと信号
光がスイッチングされる。
【0070】本実施例では、可視光露光によるカルコゲ
ナイドガラスの屈折率変化を利用して、非線形光学媒質
であるカルコゲナイドガラスファイバ812中に直接、
分散型回折格子813,814を作製した。図10に、
その作製方法の概略を示す。図中、101は屈折率変化
を引き起こすための可視光、102は可視光を回折する
分散型回折格子マスク、103は+1次の回折光、10
4は−1次の回折光、105はカルコゲナイドガラスフ
ァイバ、106はファイバコアの屈折率分布である。本
実施例に用いたAsSカルコゲナイドガラスは、波長6
00nm付近の可視光を照射することにより、基礎吸収
端が長波長側へとシフトし、屈折率が増加する。ここで
は、屈折率変化を引き起こすために波長633nmの光
を用いた。この光を回折格子マスク102により回折さ
せると、+1次の回折光103と−1次の回折光104
が干渉して回折角度によって決まる周期を持つ干渉縞を
形成する。このような光をファイバに照射することによ
り干渉縞と同じ周期で屈折率が図中106に示されるよ
うに変化する屈折率型の回折格子をファイバ中に作製す
ることができる。また、可視光用の回折格子マスクの周
期を図中のように徐々に変化させることにより回折角も
場所によって徐々に変化し、干渉縞の周期も徐々に変化
するため、屈折率変化の周期が図中106に示されるよ
うに徐々に変化する分散型の回折格子を作製することが
できる。このような方法で制御光用と信号光用の波長に
対応する周期を持つ回折格子マスクを用いて、ウオーク
オフを補正する長さだけ離れた部分に、それぞれの波長
用の回折格子をファイバ中に作製した。
【0071】なお、ここでは、非線形光学媒質中に、直
接、分散型回折格子を作製しているが、同様な分散特性
を持つ石英ファイバ等を用いた回折格子を非線形光学媒
質の後方に接続しても、同様の効果を得ることができ
る。
【0072】本実施例では、有効コア断面積が5μm
2 、長さ2mのカルコゲナイドガラスファイバを用い
た。このファイバは、n2 =2×1014(cm2 /W)
という比較的大きな非線形光学定数を持っている。この
ファイバ中での信号光と制御光の群遅延差は3.2ps
/mであり、ファイバ長2mでの群遅延差は6.4ps
と制御パルス幅と同程度なため、ウオークオフ効果を抑
制したまま、1回の伝搬で式(9)〜(11)で与えら
れる位相変化が得られる。ただし、これ以上媒質長を長
くしても、位相変化量は増えずにスイッチングスピード
を劣化させるだけである。そこで、該回折格子を用いて
分散を補正して再度非線形媒質を逆向きに伝搬させるこ
とにより、式(9)〜(11)の2倍の位相変化が得ら
れる。さらに、本実施例では非対称な光路長を利用して
2つの信号成分の一方のみに位相変化が加わるために、
この位相変化をすべてにスイッチングに利用することが
できる。本実施例では、πの位相変化に必要な制御光の
ピークパワーは、242mwとなった。このパワーは、
パルス化された半導体レーザから直接得られる程度のパ
ワーである。
【0073】図11に、本実施例の光制御光スイッチ
に、信号光として、幅4ps、繰り返し10psの光パ
ルス列を入射させるとともに、パルス幅6psの光パル
スを制御光として入射した場合の、制御光パルス
(a)、入射信号パルス列(b)、スイッチングされた
信号光パルス波形(c)を示す。本実施例では、上記の
ような小さな制御光パワーで100GHzに相当する高
速の信号パルス列を制御することができる。
【0074】なお、本実施例では、非対称な光路長を持
つ光サーキュレータを用いたが、簡便な装置構成とする
ために、代わりに、図7中の75に示されるような、2
つの光路長が同じで、第3のファラデー回転器を持たな
い通常の光サーキュレータや、方向性結合器などを用い
ても、同様の動作が実現できる。ただし、これらの光学
部品を用いた場合は、2つの信号光成分の両方に位相変
化が加わるため、位相変化に必要な制御光のピークパワ
ーは、本実施例の1.5倍となる。
【0075】また、本実施例では、信号光と制御光を反
射するために分散型回折格子を用いたが、簡便な装置構
成とするために、代わりに図6中の619に占めされる
ようなミラーなどの反射器を用いても、同様な動作が実
現できる。ただし、この場合パルス幅が広がり、ウオー
クオフ効果の補償は行われないため、非線形媒質の長さ
をこれらの効果が顕著にならない長さに短くする必要が
ある。
【0076】図11(a),(b),(c)から明らか
なように、本実施例は、(i)10ps以下のスイッチ
ングスピードを有するため、信号光に100GHz以上
の変調をかける変調機能、100GHz以上に繰り返し
周波数をもつ信号光パルス列から任意の信号パルスを取
り出し、低繰り返しのパルス列に変換するデマルチプレ
クシング機能(ii)、いくつかの低繰り返し光パルス列
を100GHz以上の光パルス列に多重化するマルチプ
レクシング機能(iii )等を実現することができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、反射
型の構成とし、非対称な光路長を持つ光サーキュレータ
を利用することで、1つの光サーキュレータで、制御光
の偏波面と直交する信号光の偏波成分を、制御光の偏波
面と平行な信号光の偏波成分から、時間的に分離して非
線形導波路に入射する機能と、非線形導波路から出射さ
れる信号光の、制御光の偏波面と直交する偏波成分と制
御光の偏波成分と平行な偏波成分を、再び時間的に一致
させる機能を持たせることができるため、複雑な調整な
しに、非線形導波路中で生じる信号光の位相変化を効率
的に利用でき、低パワーで駆動可能な光駆動型光制御装
置を実現することができる。
【0078】また、本発明では、非線形光学媒質の後方
に設けた信号光用の分散型回折格子と制御光用の分散型
回折格子からの反射を利用し、光サーキュレータまたは
方向性結合器を用いて反射してきた信号光を取り出す反
射型の構成とすることで、短い制御パルスを用いても高
非線形光学媒質の持つ大きな群速度分差によるパルス広
がり・ウオークオフ効果が小さく抑えられるために、長
い媒質長を伝搬させることができ、高速に動作する光駆
動型光制御装置を実現することができる。
【0079】さらに、本発明では、非線形光学媒質の後
方に設けた信号光用分散型回折格子と制御光用の分散型
回折格子からの反射を利用して反射型の構成とするとと
もに、非対称な光路長を持つ光サーキュレータを利用す
ることで、短い制御パルスを用いた場合の群速度分散に
よるパルス広がり・ウオークオフ効果が小さく抑え、同
時に複雑な調整なしに、非線形導波路中で生じる信号光
の位相変化を効率的に利用できるために、高速でしかも
低パワーで動作する光駆動型光制御装置を実現すること
ができる。
【0080】また、本発明では、同じ非線形媒質を往復
で利用することができるため、装置全体を非常にコンパ
クトなものにすることも可能になる。さらに、本発明に
よれば、10ps以下の極めて高速で動作する光スイッ
チを実現できるため、100GHz以上の大容量の光通
信が可能になる利点を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光駆動型光制御装置である光Kerrシ
ャッタの原理を説明するための図である。
【図2】光駆動型光制御装置において、制御光の偏波面
と直交する信号光の偏波成分を、制御光の偏波面と平行
な信号光の偏波成分から時間的に分離する従来の技術を
説明するための図である。
【図3】ウオークオフ効果を説明するための図である。
【図4】回折格子による分散補正の原理を説明するため
の図である。
【図5】分散型回折格子による分散補正の原理を説明す
るための図である。
【図6】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図7】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例中の光パルスの伝搬を説明する
ための図である。
【図10】本発明の実施例中の回折格子の作製方法を説
明するための図である。
【図11】本発明の実施例の動作を説明するための図で
あり、(a)は制御光パルスを示し、(b)は入射信号
光パルス列を示し、(c)はスイッチングされた信号光
パルス波形を示す。
【符号の説明】
61,710 信号光 63,64,620 偏光ビームスプリッタ 65,66,67 ファラデー回転器 68,69,610 1/2波長板 613,711 制御光 615 合波器 618 非線形光導波路 619 反射器 71 非線形光学媒質 72,73 分散型回折格子 74 合波器 75 光サーキュレータ 76 ファラデー回転器 77 1/2波長板 78 偏光ビームスプリッタ 79 偏光子 81 信号パルス 82,83 偏光ビームスプリッタ 84,85,86 ファラデー回転器 87,88,89 1/2波長板 810 制御光パルス 811 合波器 812 カルコゲナイドガラスファイバ(非線形光学媒
質) 813,814 分散型回折格子 815 偏光子
フロントページの続き (72)発明者 戒能 俊邦 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非線形屈折率効果を有する非線形光学媒
    質からなる光導波路と、信号光を前記光導波路に入射さ
    せる信号光入射手段と、制御光を前記信号光と同じ終端
    から前記光導波路に入射させる制御光入射手段と、前記
    光導波路を伝搬した前記制御光から前記信号光を分離す
    る信号光分離手段を少なくとも備え、前記制御光を用い
    て前記信号光の強度あるいは方向を制御する光駆動型光
    制御装置において、 前記光導波路の前記信号光および前記制御光の入射され
    る終端とは反対側の終端に信号光および制御光を反射す
    る反射器を有し、前記光導波路に入射した前記信号光お
    よび前記制御光が前記反射器でそれぞれ反射されて再び
    前記光導波路を通り入射側の終端から外部に出射される
    配置をなし、 さらに前記信号光入射手段は、第1と第2の偏波ビーム
    スプリッタ間に2つの異なる光路長を持つ光路を設定
    し、該2つの光路のそれぞれに1個づつのファラデー回
    転器を配置するとともに、第3のファラデー回転器を第
    2の偏波ビームスプリッタの第1の偏波ビームスプリッ
    タの反対側に配置し、前記第1の偏波ビームスプリッタ
    に入射した信号光が、前記2つの異なる光路長を持つ光
    路をそれぞれ通り、第2の偏波ビームスプリッタで合波
    された後、前記第3のファラデー回転器を透過するよう
    に配置した光サーキュレータであることを特徴とする光
    駆動型光制御装置。
  2. 【請求項2】 非線形屈折率効果を有する非線形光学媒
    質からなる光導波路と、信号光を前記光導波路に入射さ
    せる信号光入射手段と、制御光を前記信号光と同じ終端
    から前記光導波路に入射させる制御光入射手段と、前記
    光導波路を伝搬した前記制御光から前記信号光を分離す
    る信号光分離手段を少なくとも備え、前記制御光を用い
    て前記信号光の強度あるいは方向を制御する光駆動型光
    制御装置において、 前記光導波路の一方の終端に分散型回折格子を有し、前
    記光導波路の他の終端から入射した信号光および制御光
    が前記回折格子でそれぞれ反射されて再び前記光導波路
    を通り入射側の終端から外部に出射される配置をなし、 入射する信号光と出射する信号光を分離するための光サ
    ーキュレータあるいは光分配器を備えることを特徴とす
    る光駆動型光制御装置。
  3. 【請求項3】 非線形屈折率効果を有する非線形光学媒
    質からなる光導波路と、信号光を前記光導波路に入射さ
    せる信号光入射手段と、制御光を前記信号光と同じ終端
    から前記光導波路に入射させる制御光入射手段と、前記
    光導波路を伝搬した前記制御光から前記信号光を分離す
    る信号光分離手段を少なくとも備え、前記制御光を用い
    て前記信号光の強度あるいは方向を制御する光駆動型光
    制御装置において、 前記光導波路の一方の終端に分散型回折格子を有し、前
    記光導波路の他の終端から入射した信号光および制御光
    が前記回折格子でそれぞれ反射されて再び前記光導波路
    を通り入射端から外部に出射される配置をなし、 さらに前記信号光入射手段は、第1と第2の偏波ビーム
    スプリッタ間に2つの異なる光路長を持つ光路を設定
    し、該2つの光路のそれぞれに1個づつのファラデー回
    転器を配置するとともに、第3のファラデー回転器を第
    2の偏波ビームスプリッタの第1の偏波ビームスプリッ
    タの反対側に配置し、前記第1の偏波ビームスプリッタ
    に入射した信号光が、前記2つの異なる光路長を持つ光
    路をそれぞれ通り、第2の偏波ビームスプリッタで合波
    された後、前記第3のファラデー回転器を透過するよう
    に配置した光サーキュレータであることを特徴とする光
    駆動型光制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8422134B2 (en) 2009-12-04 2013-04-16 Industrial Technology Research Institute Dual pulsed light generation apparatus and method for dual pulsed lights generation thereof
JP2017097294A (ja) * 2015-11-27 2017-06-01 キヤノン株式会社 波長変換装置、それを用いた光源装置、およびそれを用いた情報取得装置

Cited By (2)

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