JPH08262005A - 溶液中のアンモニア定量方法および装置 - Google Patents

溶液中のアンモニア定量方法および装置

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JPH08262005A
JPH08262005A JP7060397A JP6039795A JPH08262005A JP H08262005 A JPH08262005 A JP H08262005A JP 7060397 A JP7060397 A JP 7060397A JP 6039795 A JP6039795 A JP 6039795A JP H08262005 A JPH08262005 A JP H08262005A
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ammonia
solution
cathode
gas
anode
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JP7060397A
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Akihiro Ono
昭紘 小野
Yasuhiro Hayakawa
泰弘 早川
Masahiro Midorikawa
正博 緑川
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 河川水などの一般水域、あるいは生活排水、
工場排水、し尿などの排廃水などに含有されるアンモニ
アを簡便に定量する。 【構成】 陽極と陰極とを正対させ、その間隙に、陽極
側に陽イオン交換膜、陰極側に陰イオン交換膜を配置し
て陽極室、中央室および陰極室の3室を構成した電解セ
ルに、アンモニアを含有した試料溶液を連続的に供給し
て電気分解を行い、陰極室を流通した溶液のみを回収し
て試料溶液中のアンモニアを定量する。陰極室を流通し
た溶液はアンモニア気化装置に導入され、溶液中のアン
モニアをガス中に移行させた後、ガスセンサによって検
出・定量を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川水などの一般水
域、あるいは生活排水、工場排水、し尿などの排廃水な
どに含有されるアンモニアの定量方法および装置に関す
る。本発明は、水質環境汚染の評価や製造業における排
廃水の処理管理の分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】アンモニアは自然界や人工の発生源から
排出される塩基性の大気汚染物質である。水溶性であ
り、容易に大気中の水滴、水分に移行し、河川などの水
源の富栄養化の原因となる。このため、河川水などの一
般水域において、水中のアンモニア濃度を測定すること
は、水質汚濁の指標を得る上で重要である。また、生活
排水、工場排水、し尿などの排廃水の処理においても、
排出規制値の基準レベルを維持しているかどうかを判断
する上でアンモニアの測定は重要である。
【0003】水中に存在するアンモニアの定量方法とし
ては、JIS K0102「アンモニウムイオンの定量
方法」に定められたインドフェノール青吸光光度法、中
和滴定法、イオン電極法がある。中でも最も広く用いら
れているのは、簡便性および迅速性に優れた隔膜型アン
モニア電極である。これは、試料溶液に水酸化ナトリウ
ムを添加して試料をアルカリ性(pH11以上)とし、
その際に生成したアンモニアを気液分離膜を通して電極
内部液中に吸収させ、そのときの内部液のpHの変化を
ガラス電極で検知するものである。これは、水中のアン
モニウムイオンと水素イオンとの平衡におけるpKa
(酸解離定数)が9.2であり、pHが11以上のアル
カリ領域ではアンモニアがほとんど溶存状態として存在
していることに基づいた方法である。
【0004】さらに、イオン電極を直接溶液に浸漬する
ことなく、pHを11以上に調整した溶液にガスを通
じ、溶液中に溶存しているアンモニアを気相に移行させ
た後、アンモニアイオン電極で測定する方法もある(工
業化学雑誌,72,1407(1968)、および分析
化学,39,643(1990))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の隔離型アンモニ
ア電極は、簡便な装置で水中に含まれるアンモニウムイ
オンを連続的に測定することができるが、試料溶液のp
Hを調整するために水酸化ナトリウム溶液が必要なこ
と、さらには測定試料が汚泥、油、界面活性剤などを含
んでいることが多いため、長時間の測定を行うには試料
のろ過装置や電極の洗浄装置が必要となり、イオン電極
の隔膜(ガス透過膜)を定期的に交換することが不可欠
となる。溶液中のアンモニアを一旦気相に移行させた後
に測定を行ったとしても、溶液のpH調整のために水酸
化ナトリウム溶液が必要なことに変わりはなく、いずれ
の方法を採ったとしても、試料の前処理および装置のメ
ンテナンスの問題を避けることはできない。
【0006】そこで本発明では、試料溶液の前処理およ
び装置のメンテナンスを必要とせず、河川水などの一般
水域、あるいは生活排水、工場排水、し尿などの排廃水
などに含有されるアンモニアを連続的に、かつ簡便に測
定することができる定量方法および装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明者らは次の方法および装置が有効である
ことがわかった。すなわち、試料溶液のpHを11以上
に調整した後、該溶液中のアンモニア濃度を測定する方
法であって、陽極と陰極を正対させ、その間隙に、陽極
側に陽イオン交換膜、陰極側に陰イオン交換膜を配置
し、陽極と陽イオン交換膜によって挟まれた陽極室と、
陽イオン交換膜と陰イオン交換膜によって挟まれた中央
室と、陰イオン交換膜と陰極とによって挟まれた陰極室
との3室を有する電解セルに、該溶液を連続的に供給し
て電気分解を行い、陰極室を流通した溶液のみを回収す
ることによってpH11以上の試料溶液を調整した後、
この試料溶液をアンモニア検出器に導くことによって、
該溶液中のアンモニア濃度を測定することを特徴とする
溶液中のアンモニア定量方法である。
【0008】この方法において、試料溶液のpHを11
以上に調整した後、該溶液中に乾燥した空気を通じ、こ
のガスを金属酸化物を検出素子としたガスセンサに導
き、ガス中のアンモニア濃度を求めることによって、該
溶液中のアンモニアを定量してもよい。
【0009】さらに、この方法を実現するために、正対
した陽極と陰極との間隙に、陽極側に陽イオン交換膜、
陰極側に陰イオン交換膜を配置し、陽極と陽イオン交換
膜によって挟まれた陽極室と、陽イオン交換膜と陰イオ
ン交換膜によって挟まれた中央室と、陰イオン交換膜と
陰極とによって挟まれた陰極室との3室を有する電解セ
ルを形成し、陽極室、中央室、陰極室のそれぞれに、試
料溶液を流入させる流入口、および試料溶液を排出させ
る排出口を設け、電解セルに一定流量の試料溶液を供給
することのできる試料溶液供給装置と、陽極および陰極
の間に一定電圧を印加することのできる電解装置を有
し、さらに、陰極室の排出口にアンモニア検出器を接続
したことを特徴とする溶液中のアンモニア定量装置を用
いる。
【0010】このとき、陰極室の排出口に、アンモニア
気化装置が接続され、アンモニア気化装置に導入された
試料溶液に、乾燥空気を供給するガス供給装置と、試料
溶液を通過した後のガス中の水分ミストを除去するフィ
ルタと、ガス加熱装置を備え、さらにガス中のアンモニ
ア検出器として、金属酸化物を検出素子としたガスセン
サを備えていることを特徴とする前記の溶液中のアンモ
ニア定量装置を用いてもよい。
【0011】
【作用】アンモニアはpH11以上のアルカリ溶液中の
おいてはほとんど溶存状態として存在し、溶液中にガス
を通じることで容易に気相中に移行させることができ
る。
【0012】一般に、河川水や生活排水などの中には、
電解質としてCl- ,SO4 2-,Na+ ,Ca2+などが
含まれている。これらの電解質が含まれた溶液を比較的
高い電位で直流電解すると、陽極側においては、塩素ガ
ス(Cl2 )や次亜塩素酸(HClO)、あるいは酸素
ガス(O2 )などが生成する。一方、陰極側において
は、試料溶液中の陽イオンが還元されるとともに、水素
ガスの発生が生じる。
【0013】水溶液中のアンモニウムイオンは次のよう
に水素イオンを解離し、アンモニアと平衡状態にある。 NH3 +H+=NH4 + その平衡式は、 〔NH4 + 〕/〔H+ 〕〔NH3 〕=1/Ka(pKa
=9.2) であり、これを〔NH3 〕と〔NH4 + 〕の比で表すと 〔NH3 〕/〔NH4 + 〕=10pH-9.2 となり、例えばpH11のアルカリ溶液中のアンモニア
濃度を10-4mol/lとすると、そのときは解離度は2%
程度であり、ほとんどは溶存状態のアンモニアとして存
在していることがわかる。
【0014】しかし、アンモニウムイオン以外に、上述
したような電解質を含んだ溶液を電気分解した場合に
は、H+ イオンが同時に存在しているため、水酸化ナト
リウムなどのpH調整剤を添加しない限り、溶液全体の
pHを11以上のアルカリ性にすることは困難である。
【0015】本発明では、陽極と陰極とを正対させ、そ
の間隙に、陽極側に陽イオン交換膜、陰極側に陰イオン
交換膜を配置して、陽極と陽イオン交換膜とで挟まれた
陽極室、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とで挟まれた
中央室、および陰イオン交換膜と陰極とで挟まれた陰極
室の3室を有する電解セルを形成し、各室に試料溶液を
連続的に供給して電気分解を行うことで、pH11以上
の試料溶液を簡便に得ることができるようにした。
【0016】各室の試料溶液流入口からは同一組成の試
料溶液が導入され、一定電位で電気分解されるが、各室
において生成されるイオンは2枚のイオン交換膜によっ
て分離・移動(イオン交換)され、電解セルの3室内に
はそれぞれ異なったイオンが存在することになる。
【0017】すなわち、陽極室では、電気分解にともな
って陽極生成物であるH+ あるいはHClOなどが生成
し、溶液組成は弱酸性を呈する。H+ は陽イオン交換膜
を通過し、中央室に移動するが、HClOは酸性条件下
では解離しないため、イオン交換は行われず、拡散によ
って微量が中央室へ移動するだけである。
【0018】中央室では陽極室と同様、試料溶液が流通
しているため、微量のHClOが移動してきたとして
も、ほとんどがそのまま電解セル外へ排出される。ま
た、中央室には陽極室から移動してきたH+ や試料中に
含まれていたNH4 + などが存在しており、これらの陽
イオンは印加電位によって陰極側に引き寄せられるが、
これらのイオンは陰イオン交換膜を通過することができ
ないため、中央室から電解セル外へ排出されることにな
る。
【0019】一方、陰極室ではH+ やH2 Oが還元・解
離されることにより、H2 ガスやOH- イオンが大量に
生成する。その結果、溶液組成は強アルカリ性を示し、
NH3 は溶存状態として存在することになる。OH-
一部は陰イオン交換膜を通過し、中央室へ移動するが、
陰極室のpHを大きく変化させるほどではなく、陰極室
内のNH3 濃度に変化が生じることはない。
【0020】すなわち、本発明の方法を用い、陰極室を
流通した溶液を回収することにより、水酸化ナトリウム
などのpH調整剤を用いることなく、pH11以上の試
料溶液を得ることができ、溶液中のアンモニア濃度を簡
便に測定することができる。陰極室を流通した溶液中の
アンモニア濃度を測定するには、周知のアンモニア検出
器を用いることができる。すなわち、溶液状態のまま測
定するのであれば、隔膜型アンモニア電極などを用い、
アンモニウムイオンを気相に移行させた後アンモニアと
して検出するのであれば、アンモニアイオン電極などを
用いればよい。
【0021】しかし、より簡便にかつ安定に測定を行う
ためには、溶液中に溶存しているアンモニアを気相中に
移行させた後、金属酸化物を検出素子としたガスセンサ
によって測定する方法が望ましい。金属酸化物、特に酸
化錫の多孔質焼結体を検出素子とし、素子表面での被検
ガスの吸脱着による素子全体の抵抗変化を利用してガス
を検出するタイプのセンサを利用することができる。現
在、このタイプのセンサはガス漏れ警報器などの用途と
して広く利用されているが、溶液中に溶存しているガス
の検出に用いられたことはない。なぜならば、このタイ
プのセンサはガス選択性に乏しく、共存成分や水分の影
響を大きく受けるからである。しかし、気相中に存在し
ているアンモニアの検出に関しては、アンモニアイオン
電極と同等の感度を有し、長期安定性およびメンテナン
スの面でははるかに優れた検出器として利用可能なもの
である。本発明では、水分除去フィルターで水分ミスト
を除去した後、ガス加熱器を内蔵したアンモニア気化装
置によりガスの加熱を行って、気相中のアンモニアガス
の測定を行った。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、試料溶液を電気分解し、pH11以上の溶液を得
るための電解セルの一例を断面図を示している。
【0023】電解セル本体1はフッ化エチレン樹脂など
の非導電性材料によって成形されており、その中央付近
にグラファイト製の陽極2と陰極3が正対して配置され
ている。陽極2と陰極3の間には定電圧電源10が接続
されており、陽極2と陰極3の間隙を流れる試料溶液を
任意の電位で電気分解することができるようになってい
る。陽極2と陰極3との間隙には、陽極2側に陽イオン
交換膜4、陰極3側に陰イオン交換膜5が配置され、陽
極2と陽イオン交換膜4によって挟まれた陽極室6と、
陽イオン交換膜4と陰イオン交換膜5によって挟まれた
中央室7と、陰イオン交換膜5と陰極3に挟まれた陰極
室8の3つの電解室が形成されるように構成されてい
る。陽極室6、中央室7、陰極室8の容積はそれぞれ
0.3mlであり、それぞれの電解室内には厚さ0.4mm
のガラスフィルター9が陽イオン交換膜4および陰イオ
ン交換膜5に平行に挿入されている。これにより、陽イ
オン交換膜4と陰イオン交換膜5との間隙が一定に保た
れ、各電解室の容積が一定に保持される。ガラスフィル
ター9の両端はバイトン製の板リングによって電解セル
本体1に固定されている。
【0024】陽極室6、中央室7、陰極室8にはそれぞ
れ試料溶液流入口11,12,13、およびそれと反対
側に試料溶液排出口14,15,16が設けられてお
り、流入口11,12,13の前段には試料溶液を一定
流量、一定圧力で供給するための試料溶液供給装置17
が設けられている。
【0025】陽極2および陰極3の間に直流24Vの電
圧が印加された状態で、試料溶液供給装置17から陽極
室6、中央室7、陰極室8の各電解室に2ml/minの流量
で試料溶液を連続的に供給し、定電位電解を行う。試料
溶液中には、アンモニア以外にCl- ,SO4 2-,Ca
2+,Na+ などが通常含まれている。試料溶液を電解セ
ルに流通し、電気分解を行うと、陽極室6においては、
塩素ガス(Cl2 )や次亜塩素酸(HClO)、あるい
は酸素ガス(O2 )などが生成するが、これらは陽イオ
ン交換膜4を通過することができないため、陽極室出側
に設けられた排出口14から電解セル外へ排出される。
さらに、陽極室6に存在しているH+ やNH4+などの陽
イオンの一部は、陽イオン交換膜4を通過し、中央室7
に移動するが、中央室7にも試料溶液が流通しているた
め、これらのイオンも中央室出側に設けられた排出口1
5から電解セル外へ排出される。
【0026】一方、陰極室8では、H+ やH2 Oが還元
・解離されることにより、水素ガス(H2 )やOH-
オンが生成する。その結果、陰極室出側に設けられた排
出口16から得られる溶液は強アルカリ性を示し、pH
調整を一切行うことなく、直接アンモニア濃度の測定を
行うことができる。
【0027】図2は、排出口16から得られた溶液を採
取し、これに乾燥空気を通じて溶液中に溶存しているア
ンモニアをガス中に移行させるアンモニア気化装置20
と、それに接続し、ガス中のアンモニアを検出するため
のガスセンサを内蔵したガス検出装置31の断面図を示
している。
【0028】アンモニア気化装置20では、電解セルの
試料溶液排出口16から排出された試料溶液が溶液流入
口21から気化部22に流入する。アンモニア気化装置
の下部に位置し、溶液流入口21の反対側に設置されて
いる排液口23は溶液流入時は閉じられており、気化部
22内の溶液を排出する際に利用する。溶液流入口21
から気化部22に流入した溶液は液面センサ24に達す
るまで導入され、溶液が液面センサ24まで導入された
後は、溶液が排液口25から排出され、気化部22に充
填される溶液容量は常に16mlで一定となる。アンモニ
ア気化装置20の最下部中央にはガス供給口26が設置
され、ガス供給口26には気化部22へ一定流量、一定
圧力の乾燥空気を供給し、気化部22内の試料溶液中に
溶存しているアンモニアを回収するための乾燥空気を供
給するガス供給装置27が接続されている。この例で
は、流量50ml/min、圧力1kg/cm2 の条件で乾燥空気
を連続20分間供給した。
【0029】ガス供給口26から供給された乾燥空気
は、気化部22中に満たされている試料溶液中を上昇
し、溶液中に溶存しているアンモニアを回収してミスト
除去スペース28に至る。ミスト除去スペース28の容
積は10mlであり、その上部には、ガス中に混入した水
分などのミストを完全に除去するための2枚の脱泡目皿
29およびテフロン製フィルター30が設置されてい
る。
【0030】テフロン製フィルター30を通過したガス
は、これに接続しているガス検出装置31に流入する。
ガス検出装置31の入口には、希釈空気流入口32およ
びガス供給装置33が接続されており、アンモニア気化
装置20から搬送されてきたガス中のアンモニア濃度が
高い場合に、適宜ガス中アンモニア濃度を希釈・調整で
きるようになっている。ガス検出装置31に流入したガ
スはまず、真鍮で作られ、内部にヒーターおよびサーミ
スター温度センサ(図示せず)を内蔵したガス加熱器3
4に流入し、50℃以上の一定温度にガス温度が調整さ
れた後、アンモニアガスセンサ35に導入される。この
例においては、室温変動の影響を除去するために、ガス
温度を50℃に加熱し、酸化錫を検出素子とした半導体
型のガスセンサを用いてアンモニアの検出を行った。ア
ンモニアガスセンサ35に導入されたガスは、含有アン
モニア濃度が測定された後、ガス排出口36からガス検
出装置31の系外へ排出される。
【0031】以上が、本発明の方法および装置を用いて
溶液中のアンモニアを定量するための測定手順であり、
上記の手順を繰り返し行うことにより短時間のうちに、
簡便に溶液中のアンモニア濃度を測定することができ
る。図1に示した電解セル1の試料溶液排出口16から
得られる試料溶液を一定時間間隔で図2のアンモニア気
化装置20の気化部22に導入する機構を設けること
で、溶液中のアンモニアを連続的に定量するようにする
こともできる。
【0032】図3には、実際の工場排水を図1に示した
電解セルにより、DC24Vで電気分解し、試料溶液排
出口16から得られた溶液を図2のアンモニア気化装置
20およびガス検出装置31を用いて測定を行ったとき
に得られた結果を示した。図3の縦軸はアンモニアガス
センサの出力電圧を示している。また横軸は、図2のア
ンモニア気化装置20の気化部22に試料溶液を満たし
た後、ガス供給口26から試料溶液中へ乾燥空気を通気
し始めた後の経過時間を示している。
【0033】通気開始直後に大きなピークが検出されて
いるが、これは試料溶液中に電解の陰極生成物として存
在していた水素ガスを検出したものである。ピークを検
出した後、センサの出力電圧は徐々に低下しているが、
これがアンモニアの検出信号である。気化部22中に満
たされている試料溶液中に連続的に乾燥空気を通気して
いるため、溶液中のアンモニア濃度は徐々に低下し、そ
れに従って、センサの検出信号も徐々に低下しているの
である。この測定結果からアンモニア濃度を求めるに
は、水素ガスの検出ピークをピーク分離した後の一定時
間、すなわちこの例においては例えば測定開始後5〜1
0分のデータの積算値を求め、アンモニア濃度が既知の
標準溶液を測定したときのデータと比較すればよい。よ
り簡便に濃度測定を行う場合には、測定データの積算を
行わず、ある一定時刻、例えば測定開始後10分の測定
値を標準溶液のデータと比較するだけでもよい。
【0034】以上のように本発明を用いれば、約20分
間隔で連続的に溶液中のアンモニア濃度を測定すること
ができる。
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、これまでpH調整な
ど試料溶液の前処理が不可欠であり、しかも頻繁な装置
メンテナンスが必要であった溶液中のアンモニアの定量
を簡便に行うことができる。本発明では、溶液を電気分
解することによってpH調整を行うため、pH調整剤は
不要であり、アンモニア気化装置により、溶液中のアン
モニアを気相に移行させた後、ガスセンサにより検出を
行うため、従来に比べ簡便かつ安定に溶液中のアンモニ
アを定量することができる。このため、水質環境汚染の
評価や製造業における排廃水の処理管理の分野に与える
効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1に用いる、pH11以上の試料溶液を得る
ための電解セルの断面図である。
【図2】本発明に用いる、アンモニア気化装置と、それ
に接続するガス検出装置の断面図である。
【図3】本発明の装置を用い、工場排水中のアンモニア
濃度を測定したときに得られた検出信号を示す線図であ
る。
【符号の説明】
1 電解セル 2 電気分解用陽極 3 電気分解用陰極 4 陽イオン交換膜 5 陰イオン交換膜 6 陽極室 7 中央室 8 陰極室 9 ガラスフィルター 10 定電圧電源 11,12,13 試料溶液流入口 14,15,16 試料溶液排出口 17 試料溶液供給装置 20 アンモニア気化装置 21 溶液流入口 22 気化部 23 排液口 24 液面センサ 25 排液口 26 ガス供給口 27 ガス供給装置 28 ミスト除去スペース 29 脱泡目皿 30 テフロン製フィルター 31 ガス検出装置 32 希釈空気流入口 33 ガス供給装置 34 ガス加熱器 35 アンモニアガスセンサ 36 ガス排出口
フロントページの続き (72)発明者 緑川 正博 埼玉県坂戸市泉町3−15−10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料溶液のpHを11以上に調整した
    後、該溶液中のアンモニア濃度を測定する方法であっ
    て、 陽極と陰極とを正対させ、その間隙に、陽極側に陽イオ
    ン交換膜、陰極側に陰イオン交換膜を配置し、 陽極と陽イオン交換膜によって挟まれた陽極室と、陽イ
    オン交換膜と陰イオン交換膜によって挟まれた中央室
    と、陰イオン交換膜と陰極とによって挟まれた陰極室と
    の3室を有する電解セルに、該溶液を連続的に供給して
    電気分解を行い、 陰極室を流通した溶液のみを回収することによってpH
    11以上の試料溶液を調整した後、この試料溶液をアン
    モニア検出器に導くことによって、該溶液中のアンモニ
    ア濃度を測定することを特徴とする溶液中のアンモニア
    定量方法。
  2. 【請求項2】 試料溶液のpHを11以上に調整した
    後、該溶液中のアンモニア濃度を測定する請求項1記載
    の方法であって、 pHを11以上に調整した該溶液中に乾燥した空気を通
    じ、このガスを金属酸化物を検出素子としたガスセンサ
    に導き、ガス中のアンモニア濃度を求めることによっ
    て、該溶液中のアンモニア濃度を測定することを特徴と
    する溶液中のアンモニア定量方法。
  3. 【請求項3】 正対した陽極と陰極との間隙に、陽極側
    に陽イオン交換膜、陰極側に陰イオン交換膜を配置し、 陽極と陽イオン交換膜によって挟まれた陽極室と、陽イ
    オン交換膜と陰イオン交換膜によって挟まれた中央室
    と、陰イオン交換膜と陰極とによって挟まれた陰極室と
    の3室を有する電解セルを形成し、 陽極室、中央室、陰極室のぞれぞれに、試料溶液を流入
    させる流入口、および試料溶液を排出させる排出口を設
    け、 電解セルに一定流量の試料溶液を供給することのできる
    試料溶液供給装置と、 陽極および陰極の間に一定電圧を印加することのできる
    電解装置を有し、 さらに、陰極室の排出口にアンモニア検出器が接続され
    たことを特徴とする溶液中のアンモニア定量装置。
  4. 【請求項4】 陰極室の排出口に、アンモニア気化装置
    が接続され、 アンモニア気化装置に導入された試料溶液に、乾燥空気
    を供給するガス供給装置と、試料溶液を通過した後のガ
    ス中の水分ミストを除去するフィルタと、ガス加熱装置
    を備え、さらにガス中のアンモニア検出器として、金属
    酸化物を検出素子としたガスセンサを備えていることを
    特徴とする請求項3記載の溶液中のアンモニア定量装
    置。
JP7060397A 1995-03-20 1995-03-20 溶液中のアンモニア定量方法および装置 Withdrawn JPH08262005A (ja)

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