JPH08261911A - 粒径分布測定装置 - Google Patents

粒径分布測定装置

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JPH08261911A
JPH08261911A JP9455195A JP9455195A JPH08261911A JP H08261911 A JPH08261911 A JP H08261911A JP 9455195 A JP9455195 A JP 9455195A JP 9455195 A JP9455195 A JP 9455195A JP H08261911 A JPH08261911 A JP H08261911A
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JP
Japan
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aerosol
particle size
size distribution
voltage
electric mobility
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JP9455195A
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Yasuo Kosaka
保雄 向阪
Nobuhiko Fukushima
信彦 福嶋
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NIPPON KAGAKU KOGYO KK
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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NIPPON KAGAKU KOGYO KK
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 時間的に粒径分布の変動するエアロゾルの粒
径分布をバッチ処理によって測定すること。 【構成】 エアロゾルを帯電させて外筒22,内筒23
から成る二重円筒内に導く。そして両端を封止した後、
外筒22に電圧を印加し、内筒23に流れる電流を高感
度の電流計28で測定する。そしてその電流値の変化が
電気移動度に対応した情報を与えることから電気移動度
の分布を求め、これに基づいて粒径分布を測定するよう
にしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微小エアロゾルの粒径分
布を測定する粒径分布測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来微小エアロゾルの粒径分布を静電気
的に測定する測定装置としては、静電式エアロゾル粒径
分析装置(EAA)と微分型電気移動度分析装置(DM
A)が知られている。EAAはJournal of Aerosol Sci
ence, 1975, Vol.6, pp.249-264, "On the performance
of the electrical aerosol analyzer"に示されている
ように、一定の電気移動度以下の粒子を取り出す積算型
の装置であって、図10(a)に示すように、円筒1の
中心線2に高電圧を印加して、コロナ放電によって円筒
を通過するエアロゾルに単極イオンによって荷電させ
る。そして荷電したエアロゾルを二重円筒から成るエア
ロゾル捕集部3の外筒内壁側に導く。この二重円筒の内
筒の外周部には外部よりクリーンエアを導入する。そし
て二重円筒の内筒に直流電圧Vを印加し、外筒を接地す
る。こうすればこの電圧によって生じた電界がかかるた
め、ある電気移動度以上の粒子は内側円筒の外壁に捕集
される。荷電した粒子のうち電気移動度の小さい粒子は
内筒に捕集されることなく、エアロゾル捕集部3を通過
して下方のエアフィルタ4に導かれる。そしてエアフィ
ルタ4と接地端間に高感度の電流計であるエレクトロメ
ータ5を設け、エアロゾル捕集部3で捕集されなかった
エアロゾルのみの帯電量を電流として測定している。こ
のEAAでは印加する電圧Vに対する電流値が図10
(b)に示すように得られる。EAAはいわゆる積分型
であって、ある2点の印加電圧に対する電流の差がエア
ロゾルの粒径に対応した値を示すこととなる。
【0003】又DMAはJournal of Aerosol Science,
1975, Vol.6, pp.443-451,"Aerosol classification by
electric mobility : apperatus, theory, andapplica
tions" に示されているように、一定の電気移動度を持
った粒子を分級する高精度の分級法であり、図11
(a)に示すように上部円筒11に放射線源12を設け
て通過するエアロゾル粒子を両極の平衡帯電状態とす
る。そしてこのエアロゾルを二重円筒から成るエアロゾ
ル捕集部13の外筒内の内壁側に導く。内筒の外周部に
はEAAと同様にクリーンエアを導き、内筒に一定の電
圧Vを印加する。そして内筒の下部に内筒とわずかの間
隙を介してダクト14の開口部を配置し、内筒によって
捕集されなかったエアロゾルをダクト14に導く。そし
てダクト14に流入したエアロゾルの個数を凝縮核カウ
ンタ(CNC)15によって計数する。この場合には図
11(b)に示すように印加した電圧Vに対して粒子の
個数が直接得られることとなる。又CNCに代えて図1
1のようにエレクトロメータを用いて計測してもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したEAAによる
測定装置は積分型であり、印加電圧を変化させつつ電流
値を測定する必要があるため、エアロゾルの粒径分布が
時間的に安定していることが要件となっていた。又エア
ロゾルエレクトロメータを用いているため、低濃度の超
微小エアロゾル粒子の測定が困難であり、又コロナ放電
を用いているため荷電された粒子の帯電量はイオン濃度
やコロナ放電部を通過する滞留時間に依存し、装置固有
のキャリブレーションを必要とする。更に単極荷電であ
るので、静電拡散の影響が避けられないという欠点があ
った。一方DMAではこのような欠点はないが、測定に
長時間を要するため、測定中に粒径分布が変動する場合
には粒径分布に変換する際に大きな誤差を生じるという
欠点があった。
【0005】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
なされたものであって、一旦エアロゾルをサンプリング
し、その粒径分布をバッチ処理で求めることによって、
このような従来の欠点を解消することができる粒径分布
測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、エアロゾルに電荷を与える荷電手段と、両端にエア
ロゾル導入口及びエアロゾル排出口を有し、導電材料か
ら成る二重筒状体と、二重筒状体の筒状体間にエアロゾ
ルを導入した状態でエアロゾル導入口及び排出口を閉じ
たときに二重筒状体の一方の筒状体に直流電圧を印加す
る電圧印加手段と、電圧印加手段により電圧が印加され
たときの他方の筒状体と接地点との間に流れる電流値I
(t)を測定する電流測定手段と、Δt時間内の電流値
の変化ΔI(t)から所定範囲内にある電気移動度Zp
の粒子濃度を算出する電気移動度分布算出手段と、電気
移動度分布算出手段による電気移動度の分布に基づいて
粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具備するこ
とを特徴とするものである。
【0007】本願の請求項2の発明は、エアロゾルに電
荷を与える荷電手段と、エアロゾルが導入される平行平
板電極と、平行平板電極にエアロゾルを導入した状態で
エアロゾル導入口及びエアロゾル排出口を閉じたときに
一方の電極に直流電圧を印加する電圧印加手段と、電圧
印加手段により電圧が印加されたときの他方の電極と接
地点との間に流れる電流値I(t)を測定する電流測定
手段と、Δt時間内の電流値の変化ΔI(t)から所定
範囲内にある電気移動度Zp の粒子濃度を算出する電気
移動度分布算出手段と、電気移動度分布算出手段による
電気移動度の分布に基づいて粒径分布を算出する粒径分
布算出手段と、を具備することを特徴とするものであ
る。
【0008】本願の請求項3の発明は、エアロゾルに電
荷を与える荷電手段と、両端にエアロゾル導入口及びエ
アロゾル排出口を有し、導電材料から成る二重筒状体
と、二重筒状体の筒状体間で一方の筒状体の近傍にのみ
荷電したエアロゾルを導き、他方の筒状体との間にはエ
アロゾルを含まない清浄空気を導くエアロゾル・シース
エア導入手段と、二重筒状体のエアロゾルが導入された
電極側にエアロゾルを導入した状態でエアロゾル及びシ
ースエアの導入口及び排出口を閉じたときに二重筒状体
の一方の筒状体に直流電圧を印加する電圧印加手段と、
電圧印加手段により電圧が印加されたときの他方の筒状
体と接地点との間に流れる電流値I(t)を測定する電
流測定手段と、電流測定手段によって測定された電流I
(t)から所定範囲内にある電気移動度Zp の粒子濃度
を算出する電気移動度分布算出手段と、電気移動度分布
算出手段による電気移動度の分布に基づいて粒径分布を
算出する粒径分布算出手段と、を具備することを特徴と
するものである。
【0009】本願の請求項4の発明は、エアロゾルに電
荷を与える荷電手段と、エアロゾル及びシースエアが導
入される平行平板電極と、平行平板電極のうちの一方の
電極の近傍にのみ荷電したエアロゾルを導き、他方の電
極との間にはエアロゾルを含まない清浄空気を導くエア
ロゾル・シースエア導入手段と、平行平板電極のエアロ
ゾルが導入された電極側にエアロゾルを導入した状態で
エアロゾル及びシースエアの導入口及び排出口を閉じた
ときに平行平板電極の一方の電極に直流電圧を印加する
電圧印加手段と、電圧印加手段により電圧が印加された
ときの他方の電極と接地点との間に流れる電流値I
(t)を測定する電流測定手段と、電流測定手段によっ
て測定された電流I(t)から所定範囲内にある電気移
動度Zp の粒子濃度を算出する電気移動度分布算出手段
と、電気移動度分布算出手段による電気移動度の分布に
基づいて粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具
備することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】このような特徴を有する本願の請求項1,2の
発明によれば、エアロゾルに荷電手段によって電荷を与
え、二重筒状体又は平行平板電極内に導く。そしてエア
ロゾル導入口及び排出口を閉じて電圧を印加し、他方の
筒状体又は平板の電極に流れる直流電流I(t)を測定
する。そしてΔt時間内の電流値の変化は一定範囲の電
気移動度Zp の粒子濃度に対応することから、ある電気
移動度の範囲内にある粒子濃度個数、即ち電気移動度の
分布を算出し、電気移動度の分布を粒径分布に変換して
いる。又本願の請求項3及び4の発明では、二重筒状体
内又は平行平板電極内にエアロゾルとシースエアとを接
近させて導入し、導入後に導入口及び排出口を閉じた状
態でエアロゾルが導入された筒状体又は電極側に直流電
圧を印加し、他方の筒状体又は電極側に流れる電流値を
測定する。この場合には電流値が所定範囲内にある電気
移動度の粒子数に対応することから電気移動度の分布を
算出し、これに基づいて粒径分布を算出するようにして
いる。
【0011】
【実施例】図1(a)は本発明による粒径分布測定装置
の第1の基本構成(均一静電沈降方式)を示す概略断面
図である。この粒径分布測定装置ではエアロゾルをDM
Aと同様に荷電手段である放射線源21を用いて両極に
帯電させ、これを外筒22,内筒23から成る二重円筒
の円筒内に導入する。この円筒は導電材料から成り、あ
らかじめ同軸に配置しておく。そしてエアロゾルがこれ
らの円筒の間にいきわたった状態で、二重円筒のエアロ
ゾル導入口と排出口とをバルブ24,26によって閉
じ、同時に内外円筒間に直流電圧を印加する。直流電圧
の印加によって筒内の荷電粒子は夫々の極性に応じて外
筒側又は内筒側へ移動(静電沈降)する。従って内筒と
接地端との間に設けた高感度電流計28によって、内筒
に到達する荷電粒子によって生じる電荷量の時間的な変
化を測定する。
【0012】図2は二重円筒内に導入されたエアロゾル
粒子のうち、外筒に印加した電圧(ここでは負電圧)と
同符号の電荷を有する粒子群が内筒22に向けて移動す
る様子を模式的に示したものである。この図において粒
径が大きければ電気移動度Zp (m2 ・v-1・se
-1)は小さく、粒径が小さければ電気移動度Zp は大
きくなるが、t=0では内筒23と外筒22の間に一様
に分布している。そして例えば正の電圧を印加した後
(t>0)は正の電荷を持つ粒子はこの電気移動度Zp
に応じた速度で内筒22側に移動するため、内筒に達し
た粒子は内筒に捕集されて電流値として表れる。ここで
外筒22と内筒23の半径を夫々r1 ,r2 とし、軸方
向の各円筒の長さをL、外筒22に印加する電圧をVと
すると、任意の半径r(r2 <r<r1 )における電気
移動度Zp を有する粒子の移動速度dr/dtは次式
(1)で示される。
【数1】 ここでEは半径rでの電場の強度〔V・m-1〕である。
(1)式の最終の右辺は任意の半径rの位置における粒
子の速度を示している。時刻0において外筒(r=
1 )を出発して時刻tにおいて内筒(r=r2 )に達
する粒子の電気移動度Zp (t)は、式(1)を0〜
t,r1 〜r2 の範囲で積分することにより次式(2)
で与えることができる。
【数2】
【0013】次に電圧印加後時刻tにおいて検出される
電流値I(t)は、式(2)で与えられる値よりも小さ
な電気移動度Zpmin〜Zp (t)を有する粒子によるも
のであって、次式(3)で表される。
【数3】 又式(4)は時刻t+Δtにおける電流値である。
【数4】 ここでeは電気素量、Sは内筒23の面積であって2π
2 L、Ntは負に帯電した粒子の全個数濃度
(m-3)、f(lnZp )はlnZp における帯電した粒子
の電気移動度の頻度分布である。又r/r2 は半径方向
の粒子の初期位置の違いによって生じる全粒子個数濃度
の測定値を補正する項である。従って経過時間tに対し
て電流値I(t)を測定し、(I−t)特性から微小時
間Δt内の電流変化量ΔI(t)、即ち(3),(4)
式の差を取ることにより、ある電気移動度の範囲ΔlnZ
p 内にある帯電した粒子濃度個数Δnを、次式(5)か
ら求めることができる。
【数5】 ここでZpcは式(2)より求められるΔt時間内、即ち
ΔlnZp 内の電気移動度の平均値であり、この式から電
気移動度の分布が得られる。電気移動度の分布は従来の
DMAと同様に、例えばホッペルによるデータ処理を施
すことによって粒径分布に変換することができる。これ
はまず粒子の電気移動度Zp に対して求められた粒子数
濃度データに対して、粒子の帯電数pを1と固定するこ
とで電気移動度を粒径に置き換えて、あらかじめ既知な
平衡帯電量分布を使って−∞<p<+∞の範囲の粒子径
別全粒子数濃度を求める。次にこの粒子径別粒子数濃度
にはp≧2以上で同じ電気移動度を有する粒子径の大き
な粒子が含まれているので、この分を同じく平衡帯電量
分布により求め、p=1とした粒子数濃度データから差
し引く。以上の操作を繰り返して最終的に粒子径別粒子
数濃度の値が収束すれば、それを求める粒径分布とする
アルゴリズムである。この手法は周知のものであり、例
えばJournal of Aerosol Science, 1978, Vol.9, pp.41
-54,"Determination of the aerosol size distributio
n from the mobilitydistribution of the charged fra
ction of aerosols" 、や高橋幹二編・著,「応用エア
ロゾル学」,1984年養賢堂発行,第 270〜272 頁等に示
されている。
【0014】又平行平板電極を用いて粒径分布測定装置
を構成することもできる。図1(b)は本発明の第2の
基本構成による粒径分布測定装置を示す断面図である。
この装置では2枚の平行な平板、例えば円板を用いて両
極に帯電させたエアロゾルを円板の間に導入した後、一
方の円板、即ち上部の円板31に直流電圧を印加し、捕
集電極である他方の円板32に流れる電流を高感度電流
計28で測定するようにしている。この場合には上側の
電極の位置を0とすると、下側の捕集電極h=Hの位置
に達する粒子の電気移動度Zp (t)は次式(6)で示
される。
【数6】 この式により時刻tに捕集電極に到達する粒子の電気移
動度を求めることができ、式(3),(4)の補正項r
/r2 を省いた式ならびに式(5)の関係を用いること
で電気移動度の分布に変換することができる。
【0015】図3は第1の基本構成を具体化した本発明
の一実施例による二重円筒による粒径分布測定装置の全
体構成を示す縦断面図である。本図においてエアロゾル
を放射線源21、例えば 241m によって両極に平衡帯
電状態とし、バルブ24を介して二重円筒のエアロゾル
導入口に導入する。この二重円筒は外筒22と内筒23
とが上下のフレームによって同軸上に保持されている。
このフレームには外筒22と内筒23の中間の半径を持
つ円に沿って多数の開口が設けられた一対の円板を有す
る。この円板が夫々エアロゾル導入口及びエアロゾル排
出口として用いられ、エアロゾルが外筒22と内筒23
との間に導入され、排出されるように構成されている。
ここで内筒23と外筒22の軸方向の長さLを例えば 5
00mmとし、外筒22の内径r1 を52mm、内筒23の外径
2 を45mmとする。そして外筒22に例えば10V又は20
Vの電圧を印加する電圧印加手段である直流電源25を
接続する。又下方の排出口にはバルブ26を介して吸引
ポンプ27を接続しておく。そして内筒23の内部には
捕集したエアロゾルによる電流を高感度で測定するため
の電流計28を設ける。この電流計はオペレーショナル
アンプを用い、例えば10-14 A,10-15 Aの最小感度を
切換えて測定できる高感度のものとする。そしてこの電
流計28の出力を信号処理部29に導いて、電流計の出
力の時間的な変化により電気移動度の分布を求め、これ
によって粒径分布に変換する処理を行う。
【0016】次に本実施例の測定方法について説明す
る。実際の測定時には直流電源25より電圧を印加した
瞬間に、吸収電流と呼ばれる測定系の静電容量に対応し
た電流が生じる。この電流は荷電粒子に基づくものでは
ないため、この影響を取り除く必要がある。従ってエア
ロゾルを導入しない状態で吸収電流のみをあらかじめ測
定しておく。図4の曲線Aはこの吸収電流を示してい
る。この準備を終えた後測定を開始すると、まず吸引ポ
ンプ27を駆動し、エアロゾルを下側の排出口より吸引
する。そうすれば試料となるエアロゾルは放射線源21
を介して両極に帯電し、バルブ24を介して二重円筒内
に導かれる。そして充分安定した状態でバルブ24,2
6を閉じ、吸引ポンプ27を停止させる。そして外筒2
2に直流電圧を印加し、そのとき内筒から接地端に流れ
る微小電流を電流計28によって測定する。
【0017】図4は二重円筒内にエアロゾルを満たした
後、ソレノイドバルブを閉じ、均一にエアロゾルを静電
沈降させたときの電流の時間的変化を示す図である。そ
してエアロゾルを二重円筒内に導入した後、二重円筒の
外筒に直流電圧20Vを印加したときに得られる電流値
の変化を曲線Bとすると、実際のエアロゾルの粒子に基
づく電流は吸収電流分を除いた電流、即ちA−Bとな
り、この変化を曲線Cで示す。従って曲線Cは補正され
た電流の時間的変化を示している。同様にして曲線Dは
直流電圧を10Vとしたときの、吸収電流を除いて補正し
た電流値の変化を示している。この図より明らかなよう
に印加電圧が低くなると、電極に到達する単位時間当た
りの粒子数は減少し、電極に到達するのに要する時間が
長くなるという傾向がある。
【0018】こうして得られる電流I(t)は式
(3),(4)で示されるものであるため、電気移動度
算出手段29aにより式(5)に示すように微小時間Δ
t毎の電流変化量を求めてある電気移動度の範囲内の粒
子個数濃度ΔNを算出する。こうすれば電気移動度の分
布が得られ、粒径分布算出手段29bにおいて変換処理
を行うことによって粒径分布に変換する。
【0019】図5は従来のDMAにおいて測定した粒径
の分布と本実施例による粒径の分布とを対比したもので
ある。本図において横軸は対数目盛で粒径Dp を示して
おり、縦軸はここで示される粒径以下の粒子数の積算値
を%表示している。図中の直線Aは中心粒径Dpg=17.5
nm、直線Bは中心粒径Dpg=30.5nmの試料に対してDM
Aで測定した測定値を示しており、○は直流電圧として
5V、□は10V、△は20Vを印加したときの本実施例に
よる測定値を示している。このように従来のDMAで測
定したものとほぼ同等の結果が得られている。
【0020】又図1(b)に示した平行平板型の粒径分
布測定装置においても、同様にして測定された粒径分布
の測定結果を従来のDMAの結果と対比して図6に示
す。このように平行平板型においても粒径分布の測定結
果はDMAとほぼ同じとなっている。
【0021】次に本発明の第3,第4の基本構成につい
て説明する。前述した第1,第2の基本構成では二重円
筒内又は平行平板内にエアロゾルを満たし、両端を閉じ
た状態で電圧を印加したときに得られる電流値の変化に
基づいて粒径分布を測定するものである。これに対し第
3,第4の基本構成は夫々第1,第2の基本構成と同様
に二重円筒又は平行平板電極を用いるが、測定領域の一
部にのみエアロゾルを導くようにしたものである。即ち
第3の基本構成では二重円筒を用い、図7(a)に示す
ように外筒22の内壁に近い一定の領域、即ち半径r=
a からr=r1 の間にのみ帯電したエアロゾルを導
き、内筒側のr=r2 からr=ra の間はシースエアを
導いておく。そしてエアロゾルが安定した状態でバルブ
を閉じ、外筒22に電圧を印加する。こうすれば図7
(b)に示すように外筒22の内側の帯電したエアロゾ
ルが内筒23側に移動することとなり、図8(a)に示
す電流出力が得られる。図8(a)における曲線Aは図
4に示したものと同じ吸収電流である。
【0022】さて電圧印加後時刻tにおいて測定される
電流値I(t)は、半径ra 〜r1の半径領域にあり、
且つ経過時間tにおいて内筒位置r=r2 に到達する粒
子によって生じるので、Zp (t,ra ),Zp (t,
1 )を夫々時刻t=0においてra 及びr1 の半径位
置にあり、且つ時刻tにおいて内筒に達する荷電粒子の
電気移動度とすると、それらは次式(7),(8)で与
えられる。
【数7】 又電流値I(t)はその電気移動度の範囲内にある粒子
によって式(9)で与えることができる。
【数8】 つまり時刻tにて得られる電流値I(t)を(EeSZ
pc)の値で除すことによって、式(7),(8)によっ
て求められる電気移動度の範囲内にある粒子個数濃度が
式(10)によって求められることとなる。ここでNT
は印加電圧と同符号の帯電粒子の総個数濃度、f(lnZ
p )は電気移動度分布の頻度関数であり、eは電気素
量、Sは内筒23の面積、Zpcは式(7),(8)の範
囲での中心電気移動度である。
【数9】 これらの式から電気移動度の分布が得られ、この分布は
前述したようにデータ処理を施すことによって粒径分布
に変換することができる。
【0023】図8は前述した二重円筒の内筒と外筒間に
エアロゾルとシースエアを流入するようにした一斉静電
沈降方式による第3の基本構成の粒径分布測定装置の概
略図を示している。この図では外筒22,内筒23の上
下にエアロゾルを導くダクト33,シースエアをエアロ
ゾルと分離して導くダクト34を設ける。このシースエ
アを層流とするために図示のようにダクト32の上部に
はメッシュ35(又はフィルタ)を介してシースエアを
内筒23と外筒22間に導入する。そしてダクト34の
下端はシースエアとエアロゾルとを乱れなく分離するた
めに楔状に形成する。こうしてシースエアとエアロゾル
とを同時に吸引することによって、外筒22の内壁の近
傍の破線で示す筒状領域にのみエアロゾルを導入するこ
とができる。
【0024】図9は第4の基本構成を具体化した第2実
施例による平行平板型の粒径分布測定装置を示す断面図
であり、第1実施例と同一部分は同一符号を付して詳細
な説明を省略する。本実施例においても放射線源21よ
り両極に帯電したエアロゾルがバルブ24を介してエア
ロゾル分配器41に連結される。本実施例では平行平板
42,43を円板とし、その外周部の多数の領域からエ
アロゾル及びシースエアを同時に中心に向けて導入する
ようにしている。従って平行平板の周囲に環状のエアロ
ゾル導入口44、中心側には1つのエアロゾル排出口4
5が設けられる。又シースエアも同様にシースエアの分
配器46は平行平板電極の外周部分にシースエアを分配
するものであり、環状のシースエア導入口47に連結さ
れ、電極の外周部より内周にシースエアを導くように構
成される。48は電極の中心に設けられたシースエアの
排出口である。エアロゾルの導入口44とシースエアの
導入口47とは環状の導入口49に連通しており、その
中央部にはシースエア及びエアロゾルを分離し、エアロ
ゾルを一方の電極42側にのみ流入するようにするた
め、仕切り板50が形成されている。又中央部のエアロ
ゾル排出口45とシースエア排出口48の中間には周囲
が楔形となった円形の仕切り板51が設けられ、この仕
切り板51を介してエアロゾルとシースエアとを分離し
て排出するようにしている。又一方の平行平板42には
直流電圧を印加するための直流電源25が接続され、他
方の捕集電極となる平行平板43には捕集後に検知され
る電流を測定するための高感度の電流計28が接続され
る。そしてこの電流計28には信号処理部52が接続さ
れる。前述したように得られた電流値は式(9)によっ
て示されるものであるため、信号処理部52では電流の
出力に基づいて電気移動度算出手段52aによって粒子
濃度幅のデータに変換する。そして粒径分布算出手段5
2bにより粒径分布に変換する処理を行う。
【0025】このように平行平板を用いても一斉静電沈
降方式により粒子の粒径を測定することができる。この
一斉静電沈降方式では第1,第2の基本構成による均一
静電沈降方式に比べ、あらかじめ微分されていることか
ら改めて各時間内の差をとって微分処理を行う必要がな
い。又吸収電流とエアロゾルに基づく電流とが分離して
観測されるので、電流値から吸収電流を除く必要がな
く、データ処理の煩雑性を軽減できるという利点があ
る。
【0026】尚前述した第1実施例では、外筒に電圧を
印加し、内筒と接地端との間に流れる電流値を測定する
ようにしているが、内筒側に電圧を印加し、外筒と接地
端との間に流れる電流値を測定するように構成すること
もできる。この場合には式(3),(4)に示した補正
項r/r2 をr/r1 に置き換えることが必要となる。
又第2実施例においては、平行平板電極の中心部よりエ
アロゾル及びシースエアを導入し、周囲よりエアロゾル
及びシースエアを排出するように構成してもよい。
【0027】尚前述した各実施例及び基本構成では、荷
電手段を放射線源としているが、EAAのようにコロナ
放電を用いた単極荷電を行うことも考えられる。この場
合には、粒径分布に変換する操作が複雑になるという欠
点がある。
【0028】又本発明の第1,第3の基本構成及び第1
実施例では、二重円筒を用いているが、円筒に限らず二
重の筒状構造体を用いて構成してもよいことはいうまで
もない。
【0029】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本願の請求項
1〜5の発明によれば、測定すべきエアロゾルを二重筒
状体又は平行平板内に導き、両端を閉じた後に電圧を印
加し、そのとき得られる電流の出力変化に基づいて粒径
分布を測定するようにしている。このため測定対象とな
るエアロゾルの粒径が時間的に変化する場合にもサンプ
リングを行った時点のエアロゾルの粒径分布を正確に測
定することができる。又DMAのように凝縮核カウンタ
CNCを用いることはないので、比較的簡単な構成で粒
径分布を測定することができるという効果が得られる。
又本願の請求項3及び4の発明では、一斉静電沈降方式
を用いているため、得られる電流値を微分する必要がな
く、信号処理を容易に行うことができる。又吸収電流が
生じた後の電流を処理の対象とすればよいため、吸収電
流による影響を容易に取り除くことができるという効果
が得られる。更に本願の請求項5の発明では、放射線源
を荷電手段として用いているため両極に帯電させること
ができ、静電拡散の影響を除くことができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は二重円筒型、(b)は平行平板型の均
一静電沈降方式による粒径分布測定装置の基本構成を示
す断面図である。
【図2】均一静電沈降方式による粒径分布測定装置の時
刻t=0及びt=tにおける移動度の異なる粒子の分布
状態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例による均一静電沈降方式に
よる二重円筒型電極を用いた粒径分布測定装置を示す説
明図である。
【図4】本実施例において得られる電流値の時間的な変
化を示すグラフである。
【図5】本実施例による測定結果と従来のDMA方式に
よる測定結果とを示すグラフである。
【図6】平行平板型の粒径分布測定装置による測定結果
と従来のDMA方式による測定結果とを対比して示すグ
ラフである。
【図7】一斉静電沈降方式による二重円筒内での電気移
動度の異なる粒子の分布と時刻t=tでのその移動を示
す図である。
【図8】一斉静電沈降方式による二重円筒を用いた粒径
分布測定装置の主要部を示す概略図である。
【図9】本発明の第2実施例である一斉静電沈降方式に
よる粒径分布測定装置の全体構成を示す説明図である。
【図10】(a)は従来のEAAによる粒径分布測定装
置の構成を示す概略図、(b)はその測定結果を示すグ
ラフである。
【図11】(a)は従来のDMAによる粒径分布測定装
置の構成を示す概略図、(b)はその印加電圧に対する
計数値の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
21 放射線源 22 外筒 23 内筒 24,26 バルブ 25 直流電源 27 吸引ポンプ 28 電流計 29,52 信号処理部 29a,52a 電気移動度分布算出手段 29b,52b 粒径分布算出手段 31,32,42,43 平行平板電極 33,34 ダクト 41 エアロゾル分配器 44 エアロゾル導入口 45 エアロゾル排出口 46 シースエア分配器 47 シースエア導入口 48 シースエア排出口 49 導入口 50,51 仕切り板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアロゾルに電荷を与える荷電手段と、 両端にエアロゾル導入口及びエアロゾル排出口を有し、
    導電材料から成る二重筒状体と、 前記二重筒状体の筒状体間にエアロゾルを導入した状態
    でエアロゾル導入口及び排出口を閉じたときに前記二重
    筒状体の一方の筒状体に直流電圧を印加する電圧印加手
    段と、 前記電圧印加手段により電圧が印加されたときの他方の
    筒状体と接地点との間に流れる電流値I(t)を測定す
    る電流測定手段と、 Δt時間内の電流値の変化ΔI(t)から所定範囲内に
    ある電気移動度Zp の粒子濃度を算出する電気移動度分
    布算出手段と、 前記電気移動度分布算出手段による電気移動度の分布に
    基づいて粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具
    備することを特徴とする粒径分布測定装置。
  2. 【請求項2】 エアロゾルに電荷を与える荷電手段と、 前記エアロゾルが導入される平行平板電極と、 前記平行平板電極にエアロゾルを導入した状態でエアロ
    ゾル導入口及びエアロゾル排出口を閉じたときに一方の
    電極に直流電圧を印加する電圧印加手段と、 前記電圧印加手段により電圧が印加されたときの他方の
    電極と接地点との間に流れる電流値I(t)を測定する
    電流測定手段と、 Δt時間内の電流値の変化ΔI(t)から所定範囲内に
    ある電気移動度Zp の粒子濃度を算出する電気移動度分
    布算出手段と、 前記電気移動度分布算出手段による電気移動度の分布に
    基づいて粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具
    備することを特徴とする粒径分布測定装置。
  3. 【請求項3】 エアロゾルに電荷を与える荷電手段と、 両端にエアロゾル導入口及びエアロゾル排出口を有し、
    導電材料から成る二重筒状体と、 前記二重筒状体の筒状体間で一方の筒状体の近傍にのみ
    前記荷電したエアロゾルを導き、他方の筒状体との間に
    はエアロゾルを含まない清浄空気を導くエアロゾル・シ
    ースエア導入手段と、 前記二重筒状体のエアロゾルが導入された電極側にエア
    ロゾルを導入した状態でエアロゾル及びシースエアの導
    入口及び排出口を閉じたときに二重筒状体の一方の筒状
    体に直流電圧を印加する電圧印加手段と、 前記電圧印加手段により電圧が印加されたときの他方の
    筒状体と接地点との間に流れる電流値I(t)を測定す
    る電流測定手段と、 前記電流測定手段によって測定された電流I(t)から
    所定範囲内にある電気移動度Zp の粒子濃度を算出する
    電気移動度分布算出手段と、 前記電気移動度分布算出手段による電気移動度の分布に
    基づいて粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具
    備することを特徴とする粒径分布測定装置。
  4. 【請求項4】 エアロゾルに電荷を与える荷電手段と、 エアロゾル及びシースエアが導入される平行平板電極
    と、 前記平行平板電極のうちの一方の電極の近傍にのみ前記
    荷電したエアロゾルを導き、他方の電極との間にはエア
    ロゾルを含まない清浄空気を導くエアロゾル・シースエ
    ア導入手段と、 前記平行平板電極のエアロゾルが導入された電極側にエ
    アロゾルを導入した状態でエアロゾル及びシースエアの
    導入口及び排出口を閉じたときに前記平行平板電極の一
    方の電極に直流電圧を印加する電圧印加手段と、 前記電圧印加手段により電圧が印加されたときの他方の
    電極と接地点との間に流れる電流値I(t)を測定する
    電流測定手段と、 前記電流測定手段によって測定された電流I(t)から
    所定範囲内にある電気移動度Zp の粒子濃度を算出する
    電気移動度分布算出手段と、 前記電気移動度分布算出手段による電気移動度の分布に
    基づいて粒径分布を算出する粒径分布算出手段と、を具
    備することを特徴とする粒径分布測定装置。
  5. 【請求項5】 前記荷電手段は、放射線源であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の粒径分布
    測定装置。
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