JPH08261466A - ガスタービン燃焼器 - Google Patents

ガスタービン燃焼器

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Publication number
JPH08261466A
JPH08261466A JP32924595A JP32924595A JPH08261466A JP H08261466 A JPH08261466 A JP H08261466A JP 32924595 A JP32924595 A JP 32924595A JP 32924595 A JP32924595 A JP 32924595A JP H08261466 A JPH08261466 A JP H08261466A
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JP
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combustion
gas
burner
fuel
premixed
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Application number
JP32924595A
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English (en)
Inventor
Masayuki Taniguchi
正行 谷口
Shigeru Azuhata
茂 小豆畑
Norio Arashi
紀夫 嵐
Tadataka Murakami
忠孝 村上
Yasuo Yoshii
泰雄 吉井
Kenichi Soma
憲一 相馬
Yoshinobu Kobayashi
啓信 小林
Yoji Ishibashi
洋二 石橋
Michio Kuroda
倫夫 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希薄予混合気体を安定燃焼させて、NOxの
低減を図る。 【解決手段】 パイロットバーナ185が、燃焼室の上
流側のほぼ軸中心部に配置され、複数の燃料ノズル3
4,34,…が、パイロットバーナ185を中心として
同一円周上に相互が離れた状態で設置されている。複数
の燃料ノズル34,34,…にそれぞれ対応して形成さ
れ、燃料ノズル34から噴出された燃料に空気を混ぜた
予混合気体を噴出する複数の噴出口191,191,…
が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気体燃料あるいは液体
燃料により予混合燃焼を行うガスタービン燃焼器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般的に、燃焼時に生成されるNOxに
は、燃料中の窒素化合物から生成されるフューエルNO
xと、空気中の窒素から生成されるサーマルNOxとが
ある。フューエルNOxを低減させるための技術には、
燃焼領域に還元領域を形成させてNOxをN2とO2とに
還元する方法などがあるが、基本的には燃料中の窒素分
の低減、つまり燃料の改質を行うことが最も効果的であ
る。一方、サーマルNOxを低減させる技術には、水噴
射法、排ガス再循環法、燃料稀薄燃焼法などがある。こ
れらは、主として火炎温度を低下させることにより、サ
ーマルNOxを低減させるものであるが、これらの手法
を用いると、火炎の安定性が低下しやすい。
【0003】通常、燃焼器における燃焼方法として、燃
料と空気とをそれぞれ異なるノズルから噴出する、いわ
ゆる拡散燃焼が主に用いられてきたが、最近は、燃料と
空気とを予め混合し同一のバーナから噴出する予混合燃
焼が用いられつつある。
【0004】予混合燃焼を用いることによる利点は、主
として次の2点である。ひとつは、予混合燃焼を用いる
と燃焼の反応領域を小さくすることができる。つまり、
バーナから噴出する気体がすでに燃料と空気との予混合
気体であるため、バーナの下流側に予混合気体を形成す
るための領域を要せず、火炎を短くすることができ、高
負荷燃焼することが可能な点である。もうひとつは、サ
ーマルNOxを低減できることである。燃焼室内に異な
るノズルから燃料と空気とを噴出する拡散燃焼では、た
とえ燃料を稀薄の条件で燃焼させても燃焼室内での燃料
と空気との混合過程において、空気比が1(理論混合
比)付近になる領域が必ず存在するため、NOxの低減
が一般に困難であるとされる。これに対して、過剰の空
気と燃料とを予め混合して燃焼する燃料稀薄予混合燃焼
法では、全ての燃焼領域で燃料が稀薄な燃焼条件のもと
で燃焼するためNOxの低減が容易である。このような
稀薄予混合燃焼法は、例えば、特公昭62-35016号公報に
記載されているガスタービンの燃焼器などで採用されつ
つある。
【0005】稀薄予混合燃焼は、空気過剰での燃焼であ
るため火炎温度が低なって、NOxの低減は図れるが、
予混合火炎の安定性が劣るのが欠点である。予混合火炎
の安定性を向上させるためには、理論混合比近傍で火炎
を形成する必要があるが、前述のように理論混合比付近
での燃焼は、NOxの発生量が多い。
【0006】このように、安定な火炎を形成し易い条件
とNOxの発生を抑制できる条件とは異なるため、過剰
空気比条件でも安定に火炎を形成する保炎技術、もしく
は理論混合比付近で燃焼させてもNOxを低減できる燃
焼技術が必要になる。
【0007】従来、予混合火炎の安定化技術として、例
えば、米国特許4,051,670号公報や米国特許4,150,539号
公報に記載されている燃焼器がある。前者の燃焼器は、
空気と燃料との混合気体を燃焼室内で旋回させる旋回手
段と、旋回流が形成されている領域内の一部を減圧する
減圧手段とを備えており、混合気体の旋回流内に高温の
燃焼気体を導くことにより、燃料の着火性が確保され、
火炎を安定させるというものである。また、後者の燃焼
器は、空気と燃料との混合気体の噴出口に抵抗板を設
け、この抵抗板の下流側に形成される高温の燃焼気体が
着火源となり、火炎を安定させるというものである。
【0008】この他、特開昭59-74406号公報に記載され
ているもののように、パイロット火炎を用いるものや、
特開平64-54122号公報に記載されているもののように、
旋回流を形成させるものなど、火炎を安定させる多数の
技術がある。
【0009】なお、これらの技術は、いずれも、燃焼室
形状や旋回流の影響等により、燃焼気体と予混合気体と
の混合領域はほとんど形成されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のような火炎の安
定化技術を用いて、稀薄予混合燃焼を行うと、予混合火
炎は安定すると共に、ある程度のNOx低減も実現でき
る。しかしながら、近年、光化学スモッグの原因となる
NOxに対する排出規制が年々厳しくなってきており、
さらに、NOxを低減することができる技術が望まれて
いる。
【0011】本発明の目的は、このような点について着
目してなされたもので、安定した火炎を得ることができ
ると共に、よりNOxを低減することができるガスター
ビン燃焼器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の第1のガスタービン燃焼器は、燃料が燃焼する燃焼室
と、空気と別個に燃料を該燃焼室内に噴出するバーナ
と、燃料を噴出するノズルとを有するガスタービン燃焼
器において、前記バーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ
軸中心部に配置され、前記ノズルは、前記バーナの周囲
に複数個設置され、複数の該ノズルに対応してそれぞれ
形成された噴出口から前記燃料と共に空気を噴出するこ
とを特徴とするものである。
【0013】ここで、前記第1のガスタービン燃焼器に
おいて、複数の前記噴出口が前記バーナの周囲に、円環
状に形成されていてもよい。
【0014】また、前記目的を達成するための第2のガ
スタービン燃焼器は、燃料が燃焼する燃焼室と、着火時
に使用するパイロットバーナと、燃料を噴出するメイン
ノズルとを有するガスタービン燃焼器において、前記パ
イロットバーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ軸中心部
に配置され、前記メインノズルは、前記パイロットバー
ナの周囲に複数個設置され、複数の前記メインノズルに
それぞれ対応して形成され、該メインノズルから噴出さ
れた前記燃料に空気を混ぜた予混合気体を噴出する複数
の噴出口を有することを特徴とするものである。
【0015】また、前記目的を達成するための第3のガ
スタービン燃焼器は、燃料が燃焼する燃焼室と、空気と
別個に燃料を該燃焼室に噴出するバーナと、燃料を噴出
するノズルとを有するガスタービン燃焼器において、前
記バーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ軸中心部に配置
され、前記ノズルは、前記バーナの周囲に複数個設置さ
れ、複数の前記ノズルにそれぞれ対応し形成され、該ノ
ズルから噴出された前記燃料に空気を混ぜた予混合気体
を噴出する複数の噴出口を有し、前記バーナの外周側
に、前記噴出口から噴出された予混合気体の流路を狭
め、複数の噴出口に沿って環状の環状部材が突出して設
置されていることを特徴とするものである。
【0016】前記目的は、燃料と空気とが混合した予混
合気体を噴出する予混合バーナを備えた燃焼器におい
て、前記予混合バーナから噴出する予混合気体の内部か
ら周囲に向かって、該予混合気体の燃焼を進行させるさ
せる予混合気体燃焼手段と、前記予混合バーナから噴出
する予混合気体の外側から、該予混合気体に燃焼気体を
混入させる気体混入手段とを備えていることを特徴とす
る燃焼器により達成することができる。
【0017】前記目的は、燃料と空気とが混合した予混
合気体を噴出する予混合バーナを備えた燃焼器におい
て、前記予混合バーナから噴出する予混合気体の内部
に、該予混合気体の着火温度を越える高温領域を形成す
る高温領域形成手段と、前記予混合バーナから噴出する
予混合気体の外側に、燃焼気体を循環させる燃焼気体循
環手段とを備えていることを特徴とする燃焼器によって
も達成することができる。
【0018】また、前記目的は、燃料と空気とが混合し
た予混合気体を噴出する予混合バーナを備えた燃焼器に
おいて、前記予混合バーナの出口近傍に、下流側の断面
積が急激に小さくなり、噴出する予混合気体の抵抗とな
る抵抗体を設け、前記予混合気体が燃焼する燃焼室を前
記予混合バーナの出口から急激に大きくなるよう形成し
たことを特徴とする燃焼器によっても達成することがで
きる。
【0019】前記目的を達成することができると共に、
大型化に好適な燃焼器としては、所定の火炎が形成され
る第1の燃焼室と、予混合火炎が形成される第2の燃焼
室とを備えている燃焼器において、前記第2の燃焼室に
噴出される予混合気体の抵抗となり、予混合気体の燃焼
により発生する燃焼気体の循環流を下流側に形成する抵
抗体と、前記燃焼気体を前記予混合火炎に混入させる燃
焼気体混入手段とを備えていることを特徴とするもので
ある。
【0020】ここで、前記第1の燃焼室に形成される火
炎は、拡散火炎でも予混合火炎でもよいが、第1の燃焼
室に形成される火炎が拡散火炎である場合には、第1の
燃焼室を第2の燃焼室の上流側に設けることが好まし
い。燃焼器の大型化のためには、前記2次燃焼室に予混
合気体を噴出する予混合バーナが、環状に形成されてい
ることが有効である。さらに大型化するためには、環状
に形成されている前記予混合バーナが、周方向に複数に
分割することが有効である。
【0021】なお、予混合気体を噴出する予混合バーナ
が、環状に形成されている場合には、この予混合バーナ
に沿って、前記抵抗体も環状に形成することが好まし
い。
【0022】また、燃焼器の起動を容易にするために、
上流側の燃焼室内にパイロットバーナを設けることが有
効である。また、第1の燃焼室と第2の燃焼室とのいず
れか一方を上流側に配し、他方を下流側に配した場合に
は、上流側の燃焼室内で発生した燃焼気体を下流側の燃
焼室で形成される火炎に混入させることができるよう
に、これらの燃焼室の形状および配置関係を定めること
がよい。
【0023】前記抵抗体は、この断面積が、予混合バー
ナの出口面積よりも小さくなるよう形成することが好ま
しい。また、前記抵抗体を冷却する冷却手段を備えてい
ることが好ましい。具体的には、抵抗体の内部に冷却用
の空気または水を供給することにより、実施される。
【0024】予混合火炎が形成される燃焼室における、
予混合バーナ出口から急激に広がる幅は、できる限り大
きくすることが好ましい。しかしながら、この幅を大き
くすると、燃焼器の大型化しコストが嵩むので、予混合
バーナの出口幅に対して、1.5倍程度にすることが適当
であると思われる。
【0025】なお、以上の燃焼器の構成は、ガスタービ
ン燃焼器に適用することができる。また、これらの燃焼
器は、燃焼器に、ガスタービンを接続し、このガスター
ビンに発電機を接続することにより、ガスタービン発電
機を構成することができる。
【0026】また、前記目的は、燃料と空気とが混合し
た予混合気体を噴出するバーナにおいて、噴出する前記
予混合気体の抵抗となり、該予混合気体の燃焼により発
生する燃焼気体の循環流を下流側に形成する抵抗体と、
噴出する前記予混合気体の外側から前記燃焼気体を混入
させる燃焼気体混入手段とを備えていることを特徴とす
るバーナによっても達成することができる。
【0027】また、前記目的は、燃料と空気とが混合し
た予混合気体を燃焼させる燃焼方法において、予混合気
体噴流の内部から外側に向かって、該予混合気体の燃焼
を進行させ、前記予混合気体噴流の外側から、該予混合
気体の燃焼により発生する燃焼気体を前記予混合気体内
に混入させることを特徴とする燃焼方法によっても達成
することができる。
【0028】
【作用】予混合火炎でサーマルNOxを低減させるに
は、先に述べたように、従来、過剰空気条件下で燃焼を
行うことが主流であるが、発明者らは、鋭意検討の結
果、予混合気体噴流のほぼ中心に高温の燃焼気体を循環
させるとともに、予混合気体が燃焼する前に、燃焼気体
の一部を予混合気体に混入させることにより、予混合火
炎を安定化させることができると共に、NOxを低減す
ることができることを明らかにした。
【0029】本発明は、この知見に基づいてなされたも
のである。内側の予混合気体は、高温の燃焼気体という
着火源を得て、確実に着火し、外側に向かって火炎が伝
播して行く。一方、外側の予混合気体には、燃焼気体の
一部が混入し、予混合気体と燃焼気体とが混合して形成
された燃焼混合気体が、内側から伝播してきた火炎によ
り、着火して燃焼する。
【0030】したがって、予混合気体の内側が確実に着
火するので、予混合火炎は、安定化する。また、単なる
予混合気体が燃焼する高温の燃焼領域が縮小されると共
に、酸素分圧の低い燃焼混合気体が燃焼するので、NO
xが著しく低減する。
【0031】具体的に、本発明に係る燃焼器の作用につ
いて説明する。抵抗体と、予混合気体を噴出する予混合
バーナ出口から急激に広がる燃焼室とを備えているもの
では、抵抗体の下流側の断面積が急激に小さくなってい
るので、抵抗体の下流側に気体の第1の循環流領域が形
成される。また、燃焼室が予混合バーナ出口から急激に
広がっているので、予混合バーナ出口の外周側つまり噴
出する予混合気体の外側にも気体の第2の循環流領域が
形成される。
【0032】第1の循環流領域には、高温の燃焼気体の
一部が流入し、第1の循環流領域の周囲の予混合気体
が、高温の燃焼気体により着火し、そこに比較的急激な
燃焼領域が確実に形成される。このように、比較的急激
な燃焼領域が確実に形成されるので、予混合火炎は安定
化する。
【0033】第2の循環流領域にも、燃焼気体の一部が
流入する。これが、予混合バーナから噴出する予混合気
体と混合して燃焼混合気体を形成する。燃焼混合気体
は、噴流の内部に形成される比較的急激な燃焼領域から
外部に向かって伝播してくる火炎により、燃焼し、緩慢
な燃焼領域を形成する。緩慢な燃焼領域内では、酸素分
圧の低い燃焼混合気体が燃焼するので、NOxの発生量
が極めて少ない。また、比較的急激な燃焼領域は、緩慢
な燃焼領域が形成されるので、縮小され、ここで発生す
るNOxの量も少なくなる。
【0034】したがって、燃焼領域で発生するNOxを
著しく低減することができる。なお、緩慢な燃焼領域を
形成するためには、このように、火炎が噴流の内部から
外部に向かって伝播してくることが必要である。これ
は、予混合気体噴流の外側から火炎が形成されると、予
混合気体が燃焼気体と混合する前に燃焼してしまい、燃
焼混合気体が形成されないからである。
【0035】予混合火炎が形成される燃焼室における、
予混合バーナ出口から急激に広がる幅をより大きくした
ものでは、燃焼気体の一部が循環する第2の循環流領域
を広げることができて、予混合気体と燃焼気体とが混合
する量が増え、NOxをより低減することができる。な
お、予混合バーナ出口から急激に広がる幅を予混合バー
ナの出口幅の約1.5倍にすると、この幅の大きさに対す
るNOx低減効果を最もよくすることができる。
【0036】また、所定の火炎が形成される第1の燃焼
室と予混合火炎が形成される第2の燃焼室とを備えてい
る燃焼器では、予混合火炎は、前述したように、抵抗体
の作用により、安定して燃焼する。また、2つの燃焼室
を有するので、それぞれの燃焼室内の負荷を変えること
により、負荷変動の許容範囲を広げることができる。し
たがって、このような構成が大型の燃焼器に好適であ
る。
【0037】燃焼器の大型化のためには、予混合気体を
噴出する予混合バーナを環状に形成し、この予混合バー
ナから予混合気体を下流側に噴出するように構成するこ
とがよい。これは、火炎相互の干渉による燃焼振動を抑
えることができるからである。また、環状に形成した予
混合バーナを周方向に複数に分割すると、逆火を防ぐこ
とができると共に、予混合バーナ内で燃焼用空気と燃料
とを効率よく混合することができる。
【0038】ここで、第1の燃焼室と第2の燃焼室との
いずれか一方を上流側に配し、他方を下流側に配した場
合には、上流側の燃焼室内で発生した燃焼気体を下流側
の燃焼室で形成される火炎に混入させることができるよ
う構成すると、下流側の燃焼室ででは、酸素分圧の低い
燃焼気体の混入により、火炎から発生するNOx量を少
なくすることができる。
【0039】また、第1の燃焼室に拡散火炎を形成し、
これを第2の燃焼室より上流側に位置させることによ
り、燃焼器の起動を容易に行うことができる。起動時に
は、まず、第1の燃焼室に拡散火炎を形成する。拡散火
炎は、燃料に対する空気の量を容易に大きくすることが
できるので、簡単に形成することができる。したがっ
て、燃焼器の起動を容易に行うことができる。次に、第
2の燃焼室に予混合火炎を形成する。予混合バーナから
噴出する予混合気体は、既に形成されている拡散火炎の
熱により温められ、容易に燃焼する。拡散火炎は、NO
xの発生量が多いので、NOxの発生量を少なくするた
めに、予混合火炎が形成されると、同時に、拡散火炎を
小さくするか消火してしまうことがよい。
【0040】また、予混合火炎を形成する燃焼室が上流
側に設けられている場合には、この燃焼室にパイロット
バーナを設けることにより、燃焼器の起動を容易に行う
ことができるようになる。
【0041】第1の燃焼室および第2の燃焼室に予混合
火炎を形成するものでは、先の手段により、火炎を安定
させることができると共に、両方の燃焼室で形成される
火炎から発生するNOx量を少なくすることができるの
で、燃焼器から排出されるNOx量を極めて少なくする
ことができる。
【0042】本発明に係る燃焼器をコジェネレーション
システムのガスタービン燃焼器に用いると、コジェネレ
ーションシステムを構成する廃熱回収ボイラ内の脱硝装
置で使用するアンモニアの量を少なくすることができ
る。アンモニアは、ガスタービンを介して送られてくる
燃焼気体中のNOxと反応させて、燃焼気体中からNO
xを取り除くものであるが、NOxの発生量が少なくな
るので、使用するアンモニアの量も少なくすることがで
きる。また、運転形態によっては、脱硝装置が無くても
環境規制値を満足することができる。
【0043】
【実施例】以下、図1〜図31に基づき本発明の各種実
施例について説明する。なお、各種実施例において同一
部位には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0044】ガスタービン燃焼器の第1の実施例につい
て、図1〜図6に基づき説明する。ガスタービン燃焼器
100には、図4に示すように、燃焼用空気1を加圧し
て燃焼器100に送り込む空気圧縮機301と、燃焼器
100内で発生した燃焼気体4により駆動するガスター
ビン303とが接続されている。ガスタービン303に
は発電機304が接続されている。
【0045】ガスタービン燃焼器100は、図1〜図3
に示すように、その燃焼器ケーシング10に、空気圧縮
機301からの燃焼用空気1を取り入れる空気取入口1
1と、燃焼により発生する燃焼気体4を排出する燃焼気
体排出口12とが形成されている。燃焼器ケーシング1
0内には、1次燃焼室30を形成する1次燃焼用内筒3
1と、2次燃焼室20を形成する2次燃焼用内筒21と
が設けられている。
【0046】1次燃焼用内筒31は、燃焼器ケーシング
10内の燃焼気体排出口12と相対する面に設けられて
いる。1次燃焼用内筒内31には、第2図に示すよう
に、1次燃料2を噴出する複数のパイロットバーナ3
4,34,…が、同一円周上に等間隔で配設されてい
る。このパイロットバーナ34,34,…には、1次燃
料2を受け入れる1次燃料受入ノズル32が接続されて
いる。1次燃焼用内筒31の側周には、空気取入口11
から流入する燃焼用空気1を内筒31内に流入させるた
めの1次空気供給口33,33,…が形成されており、
そこには、流入する燃焼用空気4量を調節するための1
次空気調節弁35が設けられている。
【0047】2次燃焼用内筒21は、1次燃焼用内筒3
1の下流側に設けられており、その側周には内筒自身を
冷却するための冷却空気口22が形成されている。2次
燃焼用内筒21の上流端には、燃焼用空気1と2次燃料
3との予混合気体5を噴出する複数の予混合バーナ2
3,23,…が、図2に示すように、同一円周上に配さ
れ、環状の予混合バーナ群24を形成している。バーナ
23,23,…の下流端には、燃焼用空気1をバーナ2
3,23,…内に流入させる2次空気供給口25,2
5,…と、2次燃料3を噴出する2次燃料ノズル26,
26,…とが、設けられている。この2次燃料ノズル2
6,26,…には、2次燃料3を受け入れる2次燃料受
入ノズル27,27,…が接続されている。2次空気供
給口25,25,…には、流入する燃焼用空気1量を調
節するための2次空気調節弁28,28,…が設けられ
ている。
【0048】環状の予混合バーナ群24の外周の径は、
2次燃焼用内筒21の内径よりも小さく、2次燃焼室2
0は、予混合バーナ23の出口で急激に大きくなるよう
形成されている。
【0049】予混合バーナ23の出口近傍には、混合気
体5の燃焼により発生する燃焼気体4を循環させるため
の抵抗体40が設けられている。抵抗体40は、図2お
よび図3に示すように、予混合バーナ群24に沿って環
状を成し、その断面はV字状を成している。環状の抵抗
体40の半径方向の幅は予混合バーナ群24の半径方向
の幅よりも小さく形成されている。断面がV字状の抵抗
体40は、その頂点部が上流方向に向くように設けられ
ている。頂点部には、抵抗体40を支持する支持部材4
1が設けられている。この支持部材41は、複数の予混
合バーナ23,23,…間を仕切る仕切板29上に設け
られている。
【0050】2次燃焼用内筒21の下流端には、燃焼気
体4を燃焼器ケーシング10の燃焼気体排出口12に導
くためのトランジッションピース15が接続されてい
る。
【0051】次に第1の実施例の燃焼器の作用について
説明する。
【0052】空気圧縮機301で加圧された燃焼用空気
1は、空気取入口11から燃焼器ケーシング10内に流
入する。燃焼用空気1は、燃焼器ケーシング10とトラ
ンジッションピース15および2次燃焼用内筒21との
間を通過して、1次空気供給口33から1次燃焼用内筒
31内へ、2次空気供給口25から2次燃焼用内円筒2
1内へと流入する。燃焼用空気1の一部は、2次内円筒
21の冷却空気口22から壁面冷却のために、2次内円
筒21内へ流入する。一方、燃料2,3は、1次燃料受
入ノズル32および2次燃料受入ノズル27から燃焼器
100内に流入し、パイロットバーナ34および2次燃
料ノズル26から噴出する。
【0053】本実施例で使用される燃料は、液化天然ガ
スである。液化天然ガスは、硫黄分や窒素化合物をほと
んど含まず、SOxやフューエルNOxの発生量が少な
く、クリーンなエネルギーとして、近年その需要が伸び
ている燃料である。
【0054】パイロットバーナ34から噴出した1次燃
料2は、燃焼用空気1と反応して、1次燃焼室30内に
拡散火炎を形成する。一方、2次燃料ノズル26から噴
出した2次燃料3は、複数の予混合バーナ23,23,
…内で燃焼用空気1と混合して予混合気体5を形成して
から、2次燃焼室20内に噴出する。
【0055】2次燃焼室20内に噴出した予混合気体5
は、抵抗体40により分流される。抵抗体40の下流側
には、気体が循環する第1の循環流領域51が形成され
る。また、抵抗体40の外周側、つまり2次燃焼室21
内の上流端の外周側にも、気体が循環する第2の循環流
領域52が形成される。この循環流は、2次燃焼室20
が予混合バーナ23の出口から急激に大きくなっている
ために形成される。
【0056】第1の循環流領域51には、予混合気体5
の燃焼により生成した2000℃前後の高温の燃焼気体4が
流れ込む。このため、第1の循環流領域51は、予混合
気体5の着火温度である700〜800℃を越えて、1500℃以
上の高温な領域となり、第1の循環流領域51に近接す
る予混合気体5は、確実に燃焼し、比較的急激な燃焼領
域53が形成される。したがって、2次燃焼室20内で
形成される予混合火炎は、高温の燃焼気体4という着火
源を得ることにより、安定化する。
【0057】一方、円形状の抵抗体40の外周側に形成
される第2の循環流領域52には、燃焼気体4と予混合
気体5とが流れ込み、燃焼気体4と予混合気体5とが混
合して燃焼混合気体6が形成される。また、環状の抵抗
体40の内周側にも、1次燃焼室30で発生した燃焼気
体4と予混合気体5とが混合して酸素分圧の低い燃焼混
合気体6が形成される。
【0058】この燃焼混合気体6は、比較的急激な燃焼
領域53からの火炎が伝播して、燃焼し、比較的急激な
燃焼領域53の外側に緩慢な燃焼領域54を形成する。
緩慢な燃焼領域54では、酸素分圧の低い燃焼混合気体
6が燃焼するため、燃焼温度も低く、この領域で生成さ
れるNOx量は、極めて少ない。
【0059】燃焼混合気体6を形成するためには、火炎
が、予混合バーナ23から噴出する予混合気体5の内部
から外側へ伝播して行くことが必要である。これは、仮
りに、外側から着火して火炎が内側へ伝播して行くと、
予混合気体5が、燃焼気体4と混合する前に燃焼してし
まい、燃焼混合気体6が形成されないからである。
【0060】ここで、2次燃料3、燃焼用空気1、およ
び燃焼気体4を均一に混合した後、予混合バーナ23か
ら噴出し、火炎を形成すると、緩慢な燃焼領域のみが形
成されるため、安定な火炎が形成されない。
【0061】また、予混合バーナ23は、本実施例のよ
うに、1次燃焼室30の下流端に環状に配置することが
望ましい。このように予混合バーナ23を配置すると、
1次燃焼室30中で形成される拡散火炎から排出される
燃焼気体4の熱により、予混合バーナ23から噴出され
る予混合気体5がより速やかに着火され、予混合火炎は
より安定化する。
【0062】また、抵抗体40の半径方向の幅に関して
も、本実施例のように、予混合バーナ23出口の半径方
向の幅より小さくすることが望ましい。抵抗体40の幅
が予混合バーナ23出口の幅より大きいと、第1の循環
流領域51が大きなものとなり、予混合火炎が抵抗体4
0の近傍に保持されず、火炎の安定性が低下する。
【0063】燃焼器100で発生した燃焼気体4は、燃
焼気体排出口12から排出され、ガスタービン303に
供給される。ガスタービン303内では、高温高圧の燃
焼気体4が膨張する過程で、タービンが駆動される。ガ
スタービン303の動力は、発電機304に伝達され、
発電が行われる。
【0064】一般に、近年のガスタービン発電設備で
は、ガスタービン303から排出される燃焼気体4が、
廃熱回収ボイラへ導かれ、水蒸気発生用の熱源として用
いられることが多い。廃熱回収ボイラ内には、脱硝装置
が設けられていることがある。この脱硝装置は、固体触
媒表面上でアンモニアと燃焼気体4とを反応させて、燃
焼気体4中のNOxを取り除くものである。本実施例に
係る燃焼器100を使用する場合、NOxの発生量が少
なくなるため、脱硝装置でのアンモニア使用量を低減す
ることができる、また、運転形態によっては、脱硝装置
が無くても環境規制値を満足することができる。
【0065】なお、本実施例において、複数の予混合バ
ーナ23,23,…を形成するために、仕切板29を設
けたが、抵抗体40を他の方法で支持できる場合は、特
に仕切板29を設けて複数の予混合バーナ23,23,
…を形成する必要がない。ただし、燃焼器が大型化して
予混合バーナが大きくなるような場合には、燃料2と燃
焼用空気1との混合を十分に行うために、また、逆火を
防ぐために、仕切板29を設けて複数の予混合バーナ2
3,23,…を形成する方がよい。
【0066】次に、本実施例のガスタービン燃焼器10
0の運転方法について図5および図6を用いて説明す
る。ガスタービン303の起動時には、図6に示すよう
に、燃焼器100に1次燃料2のみを投入し、1次燃焼
室30において拡散火炎を形成させる。ガスタービン3
03の負荷がある一定の負荷L0%に達した時点で、1
次燃料2量を減少させ、これに対応して2次燃料3量を
増加させ、2次燃焼室20において予混合火炎を形成さ
せる。一定の負荷L0%から最大負荷100%に達するまで
は、主として2次燃料量3を増加させることにより負荷
変化に対応させる。
【0067】また、空気供給量は、NOx発生量をある
範囲内に保つように、図5に示すように、燃料2,3の
増減に対応させて、1次空気量を減少させ、2次空気量
を増加させる。
【0068】抵抗体40が設けられていない燃焼器にお
いては、2次燃焼室20において形成する予混合火炎の
安定性が、1次燃焼室30において形成する拡散火炎で
の燃焼量および拡散火炎の空気比などにより影響を受け
るため、投入する1次燃料2量と2次燃料3量の比が一
定の範囲内に制限される。本実施例の燃焼器では、予混
合火炎を単独で安定化する機構を有するため、1次燃料
2量と2次燃料3量の比を任意に設定でき、負荷変動に
対する燃料供給の調整を容易に行うことができる。ま
た、負荷変動範囲を大きくすることができる。
【0069】なお、本実施例の燃焼器100では、燃料
切り替え後、1次燃料2の供給を停止しても良いが、1
次燃料2を常時1次燃焼室20に投入し、拡散火炎を形
成しておくことにより、負荷増減の対応を素早く行うこ
とができる。
【0070】次に、種々の燃焼器に関して検証を行った
ので、予混合火炎の安定化の原理およびNOxの低減効
果について、図7から図13に基づき説明する。
【0071】この検証には、5種類の検証用燃焼器を用
いている。第1の検証用燃焼器410は、図7に示すよ
うに、予混合バーナ411と、このバーナ411出口か
ら急激に大きくなる燃焼室412と、バーナ411出口
の周囲に配されているパイロットバーナ413,41
3,…とを備えているものである。なお、パイロットバ
ーナ413からの気体噴出流量は、予混合バーナ411
からの気体噴出流量の1/1000以下に設定されている。
【0072】パイロットバーナ413でパイロットフレ
ーム414を形成し、これを着火源として、予混合バー
ナ411から噴出する予混合気体401を燃焼させる。
予混合火炎402は、バーナ411の出口から円錐状に
形成される。予混合火炎402の外周には、燃焼気体4
04による外部循環領域403が形成される。
【0073】この燃焼では、パイロットフレーム414
という着火源があるので、予混合火炎402は安定化す
るが、予混合火炎402がバーナ411の出口から形成
され、先端が分離していないので、火炎402の周囲に
形成されている燃焼気体404の循環流と予混合気体4
01とのが混合することがほとんど期待できない。した
がって、予混合気体401が燃焼気体404と混合した
状態で燃焼することはほとんど無く、NOxをあまり低
減できない。
【0074】第2の検証用燃焼器420は、本発明に係
る燃焼器で、図8に示すように、予混合バーナ411
と、このバーナ411出口から急激に大きくなる燃焼室
412と、バーナ411出口近傍に配され平板状の抵抗
体421とを備えているものである。
【0075】予混合気体401をバーナ411から噴出
する。予混合気体噴流の内部には、抵抗体421の作用
により、内部循環領域422が形成される。また、燃焼
室412がバーナ411出口から急激に大きくなってい
ることにより、外部循環流領域423が形成される。内
部循環流領域422と外部循環流領域423の形成に関
しては、燃焼室412内の温度分布、ガス組成分布、流
速分布、およびOHラジカル等の発光スペクトル分布を
測定することにより、確認している。
【0076】内部循環流領域422には、高温の燃焼気
体404が流入し、内部循環流領域422の周囲に比較
的急激な燃焼領域424が確実に形成される。このよう
に、比較的急激な燃焼領域424が確実に形成されるの
で、予混合火炎は安定化する。また、比較的急激な燃焼
領域424、つまり、ラジカル濃度の高い領域が、特定
の狭い範囲内にしか形成されないので、燃焼用空気中の
窒素の分解および酸化が促進される領域が狭く、サーマ
ルNOxの発生を抑制することができる。
【0077】比較的急激な焼領域424の周囲には、外
部循環流領域423内の燃焼気体404とバーナ411
から噴出した予混合気体401とが混ざり合い燃焼混合
気体が形成される。燃焼混合気体は、噴流の内部に形成
される比較的急激な燃焼領域424から外部に向かって
い伝播してくる火炎により、燃焼し、緩慢な燃焼領域4
25を形成する。緩慢な燃焼領域425内では、酸素分
圧の低い、つまりラジカル濃度の低い条件で燃焼が進行
するので、NOxの発生量を極めて低い値に抑えること
ができる。
【0078】なお、この検証用燃焼器420では、NO
xの低減のため、予混合バーナ411から噴出した予混
合気体401自身の燃焼により発生した燃焼気体404
を用いているが、他のバーナから噴出した燃料の燃焼に
より発生した燃焼気体を用いても良い。
【0079】第3の検証用燃焼器430は、図9に示す
ように、予混合バーナ411と、このバーナと同径の燃
焼室431と、平板状の抵抗体421とを備えている。
この検証用燃焼器430による燃焼では、第2の検証用
燃焼器420と同様に、抵抗体421の作用により、予
混合火炎432を安定化させることができるが、火炎4
32の外側に燃焼気体404による外部循環領域を形成
することができないので、NOxをあまり低減させるこ
とができない。
【0080】第4の検証用燃焼器440は、図11に示
すように、第1の予混合バーナ441と、このバーナ4
41の側周に沿った環状の噴出口を有する第2の予混合
バーナ442と、第1の予混合バーナ441近傍に配さ
れている平板状の抵抗体421と、第2の予混合バーナ
442出口から急激に大きくなる燃焼室443とを備え
ている。
【0081】第1の予混合バーナ441から噴出する予
混合気体401は、抵抗体421の作用により、安定し
た第1の予混合火炎444を形成する。第2の予混合バ
ーナ442から噴出する予混合気体405は、第1の予
混合火炎444を着火源として第2の予混合火炎445
を形成する。第2の予混合火炎445は、第2の予混合
バーナ442の出口で第1の予混合バーナ441との境
目から、第1の予混合火炎444のほぼ先端まで形成さ
れる。この検証用燃焼器440による燃焼では、第1の
予混合バーナ441から噴出する予混合気体401が、
燃焼気体404と混合する前に燃焼してしまうので、N
Oxをあまり低減することができない。
【0082】図10および図12に、以上の検証用燃焼
器のNOx排出特性を示す。図10に示すNOx排出特
定曲線419,429,439のうち、曲線419は第
1の検証用燃焼器410によるものを、曲線429は第
2の検証用燃焼器420によるものを、曲線439は第
3の検証用燃焼器430によるものを表している。
【0083】また、図12に示すNOx排出特性曲線4
29,448,449のうち、曲線429は第2の検証
用燃焼器420によるものを、曲線449は第4の検証
用燃焼器440で2つのバーナからそれぞれ噴出する燃
料と空気との量変えたときに最もNOx発生量が少ない
条件下でのものを、曲線448は第4の燃焼器440で
最もNOx発生量が大い条件下でのものを表している。
【0084】これらの図より、本発明に係る第2の検証
用燃焼器420を用いると、他の燃焼器を用いるより、
NOx排出量を1/3以下に低減させることができるこ
とがわかる。
【0085】サーマルNOxは、NOxが発生する領域
及びその生成速度の点から、ゼルドヴィッヒ機構による
NOxと、プロンプトNOxとの二つに分類される。
【0086】ゼルドヴィッヒ機構によるNOxは、火炎
後流で比較的遅い速度で生成するもので、燃焼空気中の
窒素が酸素により酸化されて生成するNOxである。ゼ
ルドヴィッヒ機構によるNOxの生成は温度依存性が高
く、火炎温度が高くなると発生量が増加する。投入空気
量と燃料を完全燃焼するのに必要な空気量との比である
空気比を1付近、即ち当量比付近で燃焼すると火炎温度
は最も高くなり、NOx濃度も最大になる。
【0087】プロンプトNOxは、炭化水素系燃料特有
のもので、火炎の反応領域中あるいはその近傍で比較的
早い速度で生成するNOxである。プロンプトNOxは、
燃料空気中の窒素が、火炎中に存在する反応活性の高い
炭化水素ラジカルなどにより分解され、さらに酸化され
て生成するNOxである。プロンプトNOxの生成は温度
依存性が比較的低く、反応活性の高いラジカルの濃度お
よび高濃度のラジカルが存在する領域の大きさにより支
配される。
【0088】一般的に、燃焼用空気に対して、燃料量が
多いほどプロンプトNOxの発生量が増し、燃料量が少
ないほどゼルドヴィッヒ機構によるNOxの発生量が増
す傾向にあるが、図10および図12より、本発明に係
る第2の検証用燃焼器を用いると、いずれのNOxも低
減できることがわかる。したがって、本発明に係る燃焼
器では、空気比が大きい条件下での燃料の燃焼でも、空
気比の小さい条件下での燃料の燃焼でも、NOxを低減
することができ、稀薄予混合燃焼を行わなくても十分に
NOxを低減することができる。また、稀薄予混合燃焼
法を採用すると、よりNOxを低減することができる。
【0089】なお、第2の検証用燃焼器420におい
て、燃料をメタンとし、噴出する予混合気体の温度が約
240℃で、燃焼室中に空気比が1.0〜1.1で、燃焼用空
気と燃料の予混合気体のみを供給し完全燃焼させた際の
NOxの排出濃度は、約60ppm(0%O2換算値)以下
であった。
【0090】第5の検証用燃焼器450は、図13に示
すように、環状に複数の噴出口を有する予混合バーナ4
51,451,…と、このバーナに沿って設けられてい
る平板状の抵抗体452と、予混合バーナ451出口か
ら急激に大きくなる燃焼室453とを備えている。
【0091】本検証用燃焼器450は、それぞれの予混
合バーナ451,451,…に対応させて、抵抗体45
2を設けたものであるが、このように構成することで、
バーナ451,451,…から噴出する予混合気体40
1と外部循環領域454内の燃焼気体404とを混合さ
せることができ、NOxを低減することができる。
【0092】次に、ガスタービン燃焼器の第2の実施例
について図14に基づき説明する。本実施例のガスター
ビン燃焼器110は、拡散火炎を形成する1次燃焼室3
0aと、予混合火炎を形成する2次燃焼室20aとを備
え、第1の実施例の燃焼器100とその基本構成がほぼ
同じものであるが、2次燃焼室20aにおける、予混合
バーナ23の出口から急激に広がる幅Dを広げたもので
ある。
【0093】2次燃焼用内筒21aの内径は、予混合バ
ーナ23の出口から2次燃焼室20aが急激に広がる幅
Dが、予混合バーナ23の出口幅dに対して、約1.5倍
になるよう設定されている。
【0094】本実施例では、第1の実施例と同様に、抵
抗体40の下流側に、燃焼気体4による第1の循環流領
域51が形成されるので、安定した予混合火炎を得るこ
とができる。さらに、2次燃焼室20aにおける予混合
バーナ23の出口から急激に広がる幅Dが広がったの
で、抵抗体40の外周側に形成される第2の循環流領域
52aが広がり、バーナ23から噴出する予混合気体5
と第2の循環流領域52a内の燃焼気体4との混合率が
増える。したがって、予混合気体5と燃焼気体4とが混
合して形成される酸素分圧の低い燃焼混合気体が、単な
る予混合気体5が燃焼するよりも多く、燃焼することに
なるので、NOxをより低減することができる。
【0095】また、予混合バーナ23の出口から急激に
広がる幅Dを広げることにより、2次燃焼用内筒22a
の冷却空気口22から流入する燃焼用空気1が直接燃焼
領域内に流入して燃焼温度を下げることがないので、C
Oおよび未燃炭化水素の発生を抑制することができる。
【0096】予混合火炎を形成する燃焼室において、予
混合バーナの出口から燃焼室が急激に広がる幅を変えた
場合における、NOxの低減効果について検証したの
で、これについて説明する。検証には、図15に示すよ
うに、予混合バーナ462と、予混合火炎が形成される
燃焼室461と、抵抗体463とを備えている燃焼室4
60を用いて行った。
【0097】図16に示すように、予混合バーナ462
の口径D1と予混合バーナの出口から燃焼室461が急
激に広がる幅D2との比(D2/D1)が、大きくなるに
つれて、NOx発生量は小さくなる。これは、D2が大
きくなると、予混合火炎の外側に形成される循環流46
4が形成され易くなり、火炎中の酸素分圧が低くなるた
めである。
【0098】なお、この検証結果によれば、D2/D1
1.5以上になると、NOxの低減効果率が小さくなるの
で、実器の場合には、燃焼器の小型化を図るためにも、
2/D1が1.5前後になるよう設計することが好ましい
と思われる。
【0099】次に、図17および図18に基づき、ガス
タービン燃焼器の第3の実施例について説明する。この
燃焼器120は、予混合火炎を形成する燃焼器ケーシン
グ121と、環状に配されている複数の予混合バーナ1
22,122,…と、複数の予混合バーナ122,12
2,…へ予混合気体5を供給する予混合気体供給管12
3と、複数の予混合バーナ122,122,…に沿って
設けられている抵抗体124とを備えている。
【0100】予混合気体供給管123の下流には、燃料
2を取り入れる燃料ノズル125,125と、燃焼用空
気1を取り入れる空気ノズル126とが設けられてい
る。抵抗体124は、平板状を成しており、複数の予混
合バーナ122,122相互間を仕切る仕切板127,
127,の上に、支持部材128,128,を介して、
設けられている。
【0101】本実施例は、先に説明した第5の検証用燃
焼器450を実機レベルにしたもので、第1の実施例お
よび第2の実施例と同様に、安定した予混合火炎を得る
ことができると共に、NOxの発生を抑制することがで
きる。なお、本実施例では、2つの燃焼室が設けられて
いないので、先の実施例と比べて、小型化の点では優れ
ているが、負荷変動に対する許容範囲が狭い点で劣って
いる。
【0102】抵抗体は、第1の実施例および第2の実施
例のように断面がV字形状である必要は無く、その下流
側に循環流を形成することができるものであれば、どの
ような形状のものでも良く、本実施例のように、平板状
のものでも良い。なお、実験によると、平板状の抵抗体
の場合、予混合気体の流れ方向に対して、抵抗体が約45
°以内の傾斜角で設けられていれば、火炎の安定性には
ほとんど影響がないことがわかっている。
【0103】また、抵抗体は、高温になるので、少なく
とも500℃以上の耐熱性を備えている材料で形成する必
要があるが、抵抗体を中空構造にしてその内に冷却用の
空気または水を供給することにより、耐熱性を確保する
ようにしてもよい。
【0104】次に、ガスタービン燃焼器の第4の実施例
について図19および図20に基づき説明する。本実施
例のガスタービン燃焼器130は、予混合火炎を形成す
る2つの燃焼室、1次燃焼室131と2次燃焼室141
とを備えている。
【0105】1次燃焼室131は、1次燃焼室用内筒1
32により構成されており、その上流端には、環状に配
されている複数の1次予混合バーナ133,133,が
設けられている。予混合バーナ133,133,の上流
側には、1次燃料2を噴出する複数の1次燃料ノズル1
34,134,…と、燃焼用空気1を内筒132内に流
入させるための1次空気供給口135,135,…とが
設けられている。1次燃焼室131は、1次予混合バー
ナ133の出口で急激に大きくなるよう形成されてい
る。
【0106】1次予混合バーナ133の出口近傍には、
予混合気体5の燃焼により発生する燃焼気体4を循環さ
せるための抵抗体136が設けられている。抵抗体13
6は、複数の予混合バーナ133,133,…間を仕切
る仕切板137,137…上に、支持部材を介して設け
られている。2次燃焼室141は、2次燃焼用内筒14
2により構成されており、1次燃焼用内筒132の下流
側に設けられている。2次燃焼用内筒142の上流端に
は、環状に配されている複数の2次予混合バーナ14
3,143,が設けられている。バーナ143,14
3,…の上流側には、燃焼用空気1をバーナ143,1
43,…内に流入させる2次空気供給口145,14
5,…と、2次燃料3を噴出する2次燃料ノズル14
6,146,…とが、設けられている。
【0107】1次燃焼用内筒132および2次燃焼用内
筒142の側周には、内筒132,142自身を冷却す
るための冷却空気口138,148が形成されている。
燃焼用空気1は、空気圧縮器301により圧縮された
後、燃焼器130内に流入し、1次予混合バーナ133
および2次予混合バーナ143の混合部139,149
において燃料2,3と混合する。このよう形成された予
混合気体5は、1次燃焼室131および2次燃焼室14
1内に噴出する。燃焼用空気1の一部は、内筒132,
142の冷却用として冷却空気口138,148から燃
焼室131,141内に流入する。
【0108】1次予混合バーナ133から噴出する予混
合気体5は、抵抗体136の作用により分割される。抵
抗体136の下流側には第1の循環流領域151が形成
され、第1の循環流領域151の周囲に予混合火炎が形
成される。予混合火炎の周囲には、燃焼気体4による第
2の循環流領域152が形成される。予混合火炎では、
予混合気体5と燃焼気体4とが混合して形成される燃焼
混合気体が燃焼することになるので、NOxが低減され
る。
【0109】1次燃焼室131で形成された燃焼気体4
は、ほぼ直進して、2次燃焼室141の中心部に流入す
る。この燃焼気体4の外周側に2次予混合バーナ143
からの予混合気体5が噴出される。2次予混合バーナ1
43から噴出される予混合気体5は、1次燃焼室131
で形成された燃焼気体4により着火されて、予混合火炎
が形成される。
【0110】本実施例のように、2つの燃焼室を設ける
ことにより、負荷変動に対する許容範囲を大きくするこ
とができる。
【0111】次に、ガスタービン燃焼器の第5の実施例
について図21および図22に基づき説明する。本実施
例のガスタービン燃焼器160は、予混合火炎を形成す
る2つの燃焼室、1次燃焼室131と2次燃焼室141
とを備えており、それぞれの予混合バーナ133a,1
43の出口に抵抗体161,163を設けたもので、そ
の他の構成に関しては、第4の実施例のガスタービン燃
焼器130と基本的な構成は同じである。なお、1次燃
焼用抵抗体161には、その下流側にパイロットフレー
ムを形成するパイロットバーナ162が設けられてい
る。
【0112】燃焼器160の起動時には、パイロットバ
ーナ162のみに燃料を供給し、1次燃焼用抵抗体16
1の下流側にパイロットフレームを形成させる。
【0113】パイロットフレームが形成された後に、1
次予混合バーナ133aから1次燃料2の供給を開始
し、予混合火炎を形成させる。この予混合火炎が安定に
形成された後、パイロットバーナ162への燃料供給を
停止する。このように運転することにより、燃焼器16
0の起動を容易に行うことができる。また、本実施例で
は、いずれの予混合バーナ133a,143にも抵抗体
161,163が設けられているので、いずれの予混合
火炎も燃料の供給量等にあまり影響されること無く、常
に安定した予混合火炎を得ることができる。
【0114】次に、ガスタービン燃焼器の第6の実施例
について図23に基づき説明する。本実施例の燃焼器1
70は、第4の実施例の燃焼器130の1次燃焼室13
1内に、予混合火炎を形成する予混合バーナ133を設
けると共に、拡散火炎172を形成するパイロットバー
ナ(拡散火炎形成バーナ)171を設けたものであり、
その他の基本的な構成は、第4の実施例とほぼ同じであ
る。
【0115】燃焼器170の起動時には、まず、パイロ
ットバーナ171から燃料2を噴出し、1次燃焼室13
1内に拡散火炎172を形成させる。拡散火炎172が
形成されると、1次予混合バーナ133に1次燃料2を
供給し、1次予混合火炎を形成させる。1次燃焼室13
1での負荷が所定の負荷になると、2次予混合バーナ1
43に2次燃料3を供給し、2次予混合火炎を形成させ
ると共に、拡散火炎172を消化させる。このとき、2
次予混合火炎は、1次予混合火炎で発生する燃焼気体4
により着火する。これ以降は、1次予混合火炎と2次予
混合火炎の負荷を調節して、燃焼器170の負荷変動に
対応させる。
【0116】本実施例では、燃焼器170の起動を容易
に行うことができる。なお、拡散火炎172を形成させ
るための燃焼用空気1は、パイロットバーナ171の周
囲から供給されが、この燃焼用空気1は、1次予混合火
炎から排出される燃焼気体と混合するため、拡散火炎1
72から排出されるNOxは少ない。
【0117】次に、ガスタービン燃焼器の第7の実施例
について図24および図25に基づき説明する。本実施
例の燃焼器180は、1次燃焼室181の上流側に、予
混合火炎を形成する複数の予混合バーナ183,18
3,…と、複数の予混合バーナ183,183,…の出
口近傍に配されている抵抗体184と、1次燃焼室18
1の上流端の中央にパイロットフレームを形成するパイ
ロットバーナ185とを設け、2次燃焼室20、その他
の基本的な構成を第1の実施例の燃焼器100とほぼ同
じに構成したものである。
【0118】複数の1次予混合バーナ183,183,
…は、相互間が仕切板186,186,…により仕切ら
れ、環状に配されている。抵抗体184は、断面がV字
形を成し、複数の1次予混合バーナ183,183,…
に沿って、その下流側に設けられている。1次燃焼室1
81は、1次燃焼用内筒182により構成されており、
1次予混合バーナ183の出口から急激に広がるよう形
成されている。
【0119】起動時には、1次燃焼室181内にパイロ
ットバーナ185によりパイロットフレームを形成させ
る。次に1次燃焼室181内に予混合火炎を形成させ、
所定の負荷になった時点で、2次燃焼室20内に予混合
火炎を形成させる。したがって、パイロットバーナ18
5により燃焼器180を起動させるので、容易に起動を
行うことができる。
【0120】また、本実施例では、いずれの燃焼室18
1,20にも、予混合バーナ183,23の出口に抵抗
体40が設けられているので、安定した予混合火炎を得
ることができる。さらに、いずれの燃焼室181,20
も、予混合バーナ183,23の出口から急激に広がる
ように形成されているので、予混合火炎の周囲に燃焼気
体4による循環流領域187,52が形成され、NOx
の発生を抑制することができる。
【0121】以上の各種実施例において、複数の予混合
バーナを設ける場合、これを環状に連続的に配したもの
を示してきたが、複数の予混合バーナの配列は、これに
限定されるものではなく、例えば、図26に示すよう
に、複数の予混合バーナ191,191,…を断続的に
放射状に配列してもよい。この際、火炎を安定させる抵
抗体192,192,…は、各予混合バーナ191,1
91,…に対応させて、放射状に設けることが好まし
い。なお、同図に示す燃焼器190は、第7の実施例の
変形例である。
【0122】また、以上の各種実施例において、環状に
複数の予混合バーナが配されている場合、これに対し
て、環状の抵抗体を1つ設けたものを示してきたが、環
状の複数の予混合バーナに対する抵抗体は、これに限定
されるものではなく、例えば、図27に示すように、複
数の予混合バーナ183,183,…相互間を仕切るそ
れぞれの仕切板186,186,…上に複数の抵抗体2
01,201,…を設けるようにしてもよい。なお、同
図に示す燃焼器200は、第7の実施例の変形例であ
る。
【0123】次に、ガスタービン燃焼器の第8の実施例
について図28に基づき説明する。本実施例の燃焼器2
10は、燃焼室211の上流端に、複数の1次予混合バ
ーナ212,212,…が環状に配されている1次予混
合バーナ群と、その外周に沿って、複数の2次予混合バ
ーナ23,23,…が環状に配されている2次予混合バ
ーナ群と、燃焼室211の上流端の中央にパイロットフ
レームを形成するパイロットバーナ185とが設けられ
ているものである。1次予混合バーナ212および2次
予混合バーナ23の出口近傍には、抵抗体213,40
が設けられている。
【0124】本実施例では、第7の実施例と同様に、安
定した予混合火炎を得ることができると共に、NOxを
低減することができる。なお、本実施例の場合、同一の
燃焼室211中に1次予混合火炎と2次予混合火炎とを
形成するので、第4の検証用燃焼器440のように、火
炎相互が重なることによるNOxの低減効果の低下や振
動燃焼を防ぐために、1次予混合バーナ212と2次予
混合バーナ23との配置関係に十分な考慮をはらって設
計する必要がある。
【0125】次に、ガスタービン燃焼器の第9の実施例
について図28に基づき説明する。本実施例の燃焼器2
20は、1次燃焼室221で拡散火炎を2次燃焼室22
2で予混合火炎を形成する燃焼器において、複数の予混
合バーナ223,223,…を2次燃焼用内筒24の壁
面に設置したものである。
【0126】複数の予混合バーナ223,223,…
は、2次燃焼用内筒24の中心軸に向かって、予混合気
体が噴出されるよう設けられている。これら複数の予混
合バーナ223,223,…の出口近傍には、抵抗体2
24,224,…がそれぞれ設けられている。
【0127】このような燃焼器220においても、抵抗
体224に対して内筒24の中心軸側に燃焼気体4の循
環流領域が形成されると共に、予混合火炎の周囲にも燃
焼気体4による循環流領域が形成されるので、安定した
予混合火炎を得ることができると共にNOxを低減する
ことができる。
【0128】ガスタービンに接続される以上の各種実施
例のガスタービン燃焼器100,110,…は、図30
に示すように、ガスタービン303と共に、ガスタービ
ン303からの燃焼気体4の熱により蒸気を発生させる
廃熱回収ボイラ312を設けることにより、いわゆるコ
ジェネレーションシステムを構築することができる。
【0129】このコジェネレーションシステムは、空気
圧縮機301とガスタービン燃焼器100,110,…
とガスタービン303と発電機304とから構成される
ガスタービン発電設備310と、メインボイラ設備31
3と、ガスタービン燃焼器100,110,…とメイン
ボイラ313とに燃料2を供給する燃料供給設備315
と、廃熱回収ボイラ312と、ターボ冷却機314とを
備えている。
【0130】燃料2は、燃料供給設備315からガスタ
ービン燃焼器100,110,…とメインボイラ313
とに供給される。ガスタービン燃焼器100,110,
…に供給された燃料2は、燃焼器100,110,…内
で燃焼した後、燃焼により発生した燃焼気体4がガスタ
ービン303に送られる。そして、燃焼気体2は、ター
ビンを駆動して発電が行われる。ガスタービン303か
らの燃焼気体4は、廃熱回収ボイラ312に送られて、
そこで、蒸気を発生させる。この蒸気は、夏季にはター
ボ冷却機314の駆動用に用いられ、冬期には暖房用に
用いられる。この蒸気が不足しているときは、メインボ
イラ313で発生した蒸気が用いられる。
【0131】このようなコジェネレーションシステム
は、NOx排出規制の厳しい都市や都市近郊に設置され
ている場合が多いが、このような場合でも、ガスタービ
ン燃焼器内でのNOx排出量が少ないので、既に述べた
ように、廃熱回収ボイラ312内に脱硝装置を設けなく
ても、厳しい規制値を満足することができる場合があ
る。
【0132】なお、廃熱回収ボイラに蒸気タービンを接
続することにより、廃熱回収型のコンバインドサイクル
を構成することができる。
【0133】以上、ガスタービン燃焼器に関する実施例
を説明したが、本発明は、ガスタービン用に限るもので
はなく、燃料の燃焼によりサーマルNOxが発生するも
のであれば、例えば、ボイラ、焼却器や化学プラント等
で反応器と呼ばれるものなど、あらゆる燃焼器に適用し
てもよい。
【0134】次に、バーナの一実施例について図31に
基づき説明する。バーナ80は、外筒81と内筒85と
を備えて構成されている。外筒81の下流端側は、途中
から急激に拡径されている。外筒81の上流端側には、
燃料2を受入る燃料ノズル82と、燃焼用空気1を受入
る空気ノズル83とが設けられている。内筒85の下流
端には、下流側に循環流が形成されるよう抵抗体86が
形成されている。内筒85は、中空構造になっており、
中に冷却水9を供給する冷却水供給管87が設けられて
いる。
【0135】このようなバーナ80を燃焼器88に取り
付け、予混合火炎89を形成させると、先に述べたガス
タービン燃焼器と同様に、抵抗体86の下流側に燃焼気
体4による第1の循環流領域90が形成されると共に、
予混合火炎89の周囲に燃焼気体4による第2の循環流
領域91が形成されるので、安定した予混合火炎89を
得ることができると共に、NOxを低減させることがで
きる。
【0136】
【発明の効果】本発明によれば、予混合気体噴流内に高
温の燃焼気体が循環し、これを着火源として予混合火炎
が確実に形成されるので、火炎を安定させることができ
る。
【0137】また、予混合気体内に燃焼気体が混入し、
これにより形成された酸素分圧の低い気体が燃焼するの
で、NOxを著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例のガスタービン燃焼
器の全体断面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施例のガスタービン燃焼
器の要部断面図である。
【図4】本発明に係る第1の実施例のガスタービン発電
設備の系統図である。
【図5】本発明に係る第1の実施例のガスタービン燃焼
器を運転する際のガスタービン負荷と空気供給量との関
係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る第1の実施例のガスタービン燃焼
器を運転する際のガスタービン負荷と燃料供給量との関
係を示すグラフである。
【図7】第1の検証用燃焼器の断面図である。
【図8】第2の検証用燃焼器の断面図である。
【図9】第3の検証用燃焼器の断面図である。
【図10】第1、第2及び第3の検証用燃焼器のNOx
排出特性を示すグラフである。
【図11】第4の検証用燃焼器の断面図である。
【図12】第2及び第4の検証用燃焼器のNOx排出特
性を示すグラフである。
【図13】第5の検証用燃焼器の断面図である。
【図14】本発明に係る第2の実施例のガスタービン燃
焼器の全体断面図である。
【図15】検証用燃焼器の断面図である。
【図16】検証用燃焼器のNOx排出特性を示すグラフ
である。
【図17】本発明に係る第3の実施例のガスタービン燃
焼器の要部断面図である。
【図18】図17におけるXVIII−XVIII線断面図であ
る。
【図19】本発明に係る第4の実施例のガスタービン燃
焼器の要部断面図である。
【図20】図19におけるXX−XX線断面図である。
【図21】本発明に係る第5の実施例のガスタービン燃
焼器の要部断面図である。
【図22】図21におけるXXII−XXII線断面図である。
【図23】本発明に係る第6の実施例のガスタービン燃
焼器の要部断面図である。
【図24】本発明に係る第7の実施例のガスタービン燃
焼器の全体断面図である。
【図25】図24におけるXXV−XXV線断面図である。
【図26】第7の実施例の変形例のガスタービン燃焼器
の要部断面図である。
【図27】第7の実施例のさらに他の変形例のガスター
ビン燃焼器の要部断面図である。
【図28】本発明に係る第8の実施例のガスタービン燃
焼器の全体断面図である。
【図29】本発明に係る第9の実施例のガスタービン燃
焼器の全体断面図である。
【図30】本発明に係る一実施例のコジェネレーション
システムの系統図である。
【図31】本発明に係る一実施例のバーナの全体断面図
である。
【符号の説明】
1…燃焼用空気、2…1次燃料、3…2次燃料、4…燃
焼気体、5…予混合気体、6…燃焼混合気体、10…燃
焼器ケーシング、20,20a,141,222…2次
燃焼室、21,21a,132,142…2次燃焼用内
筒、23,133,133a,136,143,18
3,191,212,223…予混合バーナ、30,3
0a,131,181,221…1次燃焼室、31,1
32,182…1次燃焼用内筒、40,86,124,
136,161,163,184,192,201,2
13,224…抵抗体、51…第1の循環流領域、5
2,52a…第2の循環流領域、53…比較的急激な燃
焼領域、54…緩慢な燃焼領域、80…バーナ、10
0,110,120,130,160,170,18
0,190,200,210,220…ガスタービン燃
焼器、301…空気圧縮器、303…ガスタービン、3
12…廃熱ボイラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F23R 3/34 F23R 3/34 (72)発明者 村上 忠孝 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 吉井 泰雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 相馬 憲一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 小林 啓信 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 石橋 洋二 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 黒田 倫夫 茨城県日立市幸町一丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料が燃焼する燃焼室と、空気と別個に燃
    料を該燃焼室内に噴出するバーナと、燃料を噴出するノ
    ズルとを有するガスタービン燃焼器において、 前記バーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ軸中心部に配
    置され、 前記ノズルは、前記バーナの周囲に複数個設置され、複
    数の該ノズルに対応してそれぞれ形成された噴出口から
    前記燃料と共に空気を噴出することを特徴とするガスタ
    ービン燃焼器。
  2. 【請求項2】請求項1記載のガスタービン燃焼器におい
    て、 複数の前記噴出口が前記バーナの周囲に、円環状に形成
    されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  3. 【請求項3】燃料が燃焼する燃焼室と、着火時に使用す
    るパイロットバーナと、燃料を噴出するメインノズルと
    を有するガスタービン燃焼器において、 前記パイロットバーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ軸
    中心部に配置され、 前記メインノズルは、前記パイロットバーナの周囲に複
    数個設置され、 複数の前記メインノズルにそれぞれ対応して形成され、
    該メインノズルから噴出された前記燃料に空気を混ぜた
    予混合気体を噴出する複数の噴出口を有することを特徴
    とするガスタービン燃焼器。
  4. 【請求項4】燃料が燃焼する燃焼室と、空気と別個に燃
    料を該燃焼室に噴出するバーナと、燃料を噴出するノズ
    ルとを有するガスタービン燃焼器において、 前記バーナは、前記燃焼室の上流側のほぼ軸中心部に配
    置され、 前記ノズルは、前記バーナの周囲に複数個設置され、 複数の前記ノズルにそれぞれ対応し形成され、該ノズル
    から噴出された前記燃料に空気を混ぜた予混合気体を噴
    出する複数の噴出口を有し、 前記バーナの外周側に、前記噴出口から噴出された予混
    合気体の流路を狭め、複数の噴出口に沿って環状の環状
    部材が突出して設置されていることを特徴とするガスタ
    ービン燃焼器。
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