JPH08261140A - マイクロディスペンサ装置 - Google Patents

マイクロディスペンサ装置

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JPH08261140A
JPH08261140A JP6442795A JP6442795A JPH08261140A JP H08261140 A JPH08261140 A JP H08261140A JP 6442795 A JP6442795 A JP 6442795A JP 6442795 A JP6442795 A JP 6442795A JP H08261140 A JPH08261140 A JP H08261140A
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JP
Japan
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chemo
gel
working electrode
ion concentration
change
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Withdrawn
Application number
JP6442795A
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English (en)
Inventor
Shinobu Shinohara
しのぶ 篠原
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
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Publication of JPH08261140A publication Critical patent/JPH08261140A/ja
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  • Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】安全性および耐久性が高く、且つ小型軽量化が
可能なディスペンサ装置を提供すること。 【構成】内部に収容された流動性媒体の一定量を吐出す
るディスペンサ装置であって;イオン濃度またはpHの
変化によって体積変化を生じる体積変化手段と、前記イ
オン濃度またはpHの変化を制御する手段と、前記流動
性媒体を収容し、且つ前記体積変化手段に連動して内容
積が変化する流動性媒体収容部とを具備するディスペン
サ装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に流動性媒体を収
容し、且つこの流動性媒体を吐出するためのディスペン
サに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連した従来技術として、以下
の2つが挙げられる。第1の従来技術は、薬液などを吐
出する小型軽量のポンプとしての、電気化学的輸液ポン
プである(特開平6−74146、特開平6−3232
43、特開平6−323244)。この先行例はポンプ
という名称であるが、薬液を汲み上げる機能はなく、容
器に入った薬液を押し出すディスペンサとして把握され
るべきものである。この装置の構成は、気体を発生させ
る第1の電極と、該電極と対をなす第2の電極と、液状
の高分子からなる圧力伝達手段とを具備している。その
作用は次の通りである。即ち、前記第1および第2の電
極に通電すると電気化学反応が起こり、これら電極の一
方あるいは両方から発生した気体が、前記圧力伝達手段
を移動させて薬液を吐出する。この吐出量は通電した電
気量に対応する。従って、この装置は小型軽量化が可能
で、且つ吐出量制御が可能なディスペンサとして用いる
ことができる。
【0003】第2の従来技術は、塩濃度あるいはpH変
化によって駆動されるケモメカニカルアクチュエータと
しての、メカノケミカル・アクチュエータ・デバイスで
ある(特開平2−15266)。このデバイスの構成
は、少なくとも1つの電極および電解液を有する第1の
電極室と、前記の電極と対をなす少なくとも1つの電極
および電解液を有する第2の電極室とを具備しており、
これら第1および第2の電極室の一方または両方に、メ
カノケミカル(ケモメカニカル)アクチュエータが内蔵
されている。メカノケミカルアクチュエータは繊維状あ
るいは膜状であり、その一端または両端が装置の外部に
連結するリンカーに固定される。その作用は次の通りで
ある。即ち、前記電極に通電することによって電極反応
が生じ、電極室に収容された電解液のpHないし塩濃度
等が変化する。この変化によって、前記メカノケミカル
アクチュエータが伸縮するので、該アクチュエータの端
部に連結されたリンカーを介して、機械的エネルギーを
外部に取り出すことができる。この機械的エネルギーを
利用して、例えば液体を収容した容器内のピストンを移
動させるようにすれば、ディスペンサ装置を構成するこ
とができる。この場合のディスペンサ装置は、小型で気
体の発生がなく且つ高速応答性にも優れるといった、メ
カノケミカルアクチュエータデバイスの優れた特徴を有
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記第1の従
来技術は、電気化学反応で発生させた酸素や水素の圧力
を利用しているため、これら気体の漏洩および引火爆発
等のおそれがあり、安全性に問題がある。
【0005】また、第2の従来技術は、ケモメカニカル
(メカノケミカル)アクチュエータの収縮力を利用して
いるので、ケモメカニカルアクチュエータに特有の問題
がある。即ち、ケモメカニカルアクチュエータは溶媒を
含んだゲルであるため、破断強度が低く、またデバイス
外部に機械的エネルギーを伝達するリンカーとの接着力
も弱いので、破損しやすく耐久性が低いという欠点があ
る。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その課題は、これらの問題を克服して、安全性お
よび耐久性が高く且つ小型軽量化が可能なディスペンサ
装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を達
成するために、本発明は、内部に収容された流動性媒体
の一定量を吐出するディスペンサ装置であって、イオン
濃度またはpHの変化によって体積変化を生じる体積変
化手段と、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する
手段と、前記流動性媒体を収容し、且つ前記体積変化手
段に連動して内容積が変化する流動性媒体収容部とを具
備するディスペンサ装置を提供する。
【0008】以下、本発明の詳細を、構成および作用に
分けて説明する。 <構成>本発明において、ディスペンサの内部に収容さ
れる流動性媒体は、実施例1〜16の薬液に相当する。
しかし、薬液以外の液体、或いは気体、粉末状の固体な
どでもよい。但し、流動性が良く且つ厳密な密閉がなく
ても漏れが少ないことから、液体が最も望ましい。
【0009】本発明における体積変化手段については、
イオン濃度またはpHの変化によって体積変化を生じる
ものであれば特に限定されないが、例えば、後述の実施
例1〜16のケモメカニカルゲルがこれに該当する。ケ
モメカニカルゲルは内部にイオン基を有し、その外部ま
たは内部のpHもしくはイオン濃度の変化によって体積
変化を生じる。その材質としては、高分子が部分的に架
橋したものが主であるが、低分子の集合体であってもよ
い。架橋の仕方については、化学的架橋または物理的架
橋の何れでもよいが、特に化学架橋したものは耐熱性に
優れている。イオン基の種類としては、カルボキシル基
および三級アミン基、スルホン酸基などがあるが、弱酸
性あるいは弱アルカリ性のイオン基は特に応答性が良い
ので好ましい。また、ケモメカニカルゲルは導電性高分
子単体からなっていてもよく、また導電性高分子を含有
してもよいが、この場合は、ケモメカニカルゲルがイオ
ン濃度またはpH変化を制御する手段を兼ねることにな
る。
【0010】好ましい態様において、この体積変化手段
は、流動性媒体収容部の周囲に配置される。本発明にお
いて、イオン濃度またはpHの変化を制御する手段は、
好ましくは通電により制御するものである。これは、イ
オン濃度またはpHの変化が発現される媒体と、該媒体
にイオン濃度またはpHの変化を生じせしめる手段とか
らなる。前記イオン濃度またはpHの変化が発現される
媒体は、例えば後述する実施例1〜16における電解液
である。また、前記イオン濃度またはpHの変化を生じ
せしめる手段は、例えば後述の実施例1〜5および実施
例8〜16における作用極、実施例6における薬液容
器、実施例7における作用極兼電極である。なお、ケモ
メカニカルゲルが酸化還元性の導電性高分子単体からな
る場合もしくは導電性高分子を含有する場合、あるいは
ケモメカニカルゲルが粉末、繊維もしくは板状などの導
電性物質を含有する場合は、前記イオン濃度またはpH
の変化が発現される媒体、または該媒体にイオン濃度ま
たはpHの変化を生じせしめる手段が、本発明における
前記体積変化手段を兼ねることになる。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記イ
オン濃度またはpHの変化を制御する手段に通電される
電気量を測定する手段と、前記電気量を制御する手段と
が設けられる。
【0012】イオン濃度またはpHの変化が発現される
媒体は、電気を通す媒体であれば何でもよい。しかし、
通常は電解質を溶解した液体が主であり、この溶解した
物質は酸化還元物質であってもよい。溶解する物質の濃
度は特に限定されないが、あまり濃度が濃いと、前記体
積変化手段が収縮するので避けた方がよい。また、前記
イオン濃度またはpHの変化を生じせしめる手段の形状
は特に限定されないが、面積の大きい方がよい。また、
この手段は原則的にどこに配置しても良いが、体積変化
手段の近傍に配置するのが望ましい。イオン濃度または
pHの変化が生じる媒体とイオン濃度またはpHの変化
を生じせしめる手段との組み合わせは、通電によって気
体を発生しない組み合わせであることが望ましい。通電
する電圧は条件によって異なるが、電解液を溶解した液
体が水であれば、水の電気分解電圧である1.5V以下
であるのが望ましい。
【0013】好ましい態様においては、前記イオン濃度
またはpHの変化を制御する手段は少なくとも一対の電
極を含んでおり、該電極対は前記体積変化手段を挟んで
対向した位置に配置される。別の好ましい態様では、こ
の電極対の一方が流動性媒体収容部を兼ねるように構成
される。
【0014】本発明において、前記流動性媒体を収容
し、且つ前記体積変化手段に連動して内容積が変化する
流動性媒体収容部については、例えば、後述の実施例1
および実施例3〜16における薬液容器、実施例2にお
ける薬液側可動板および外筒に囲まれた部分がこれに該
当する。この記流動性媒体収容部は、一部に吐出用開口
部を有している。
【0015】好ましい態様において、この容器は、後述
の実施例1および実施例3〜16の場合のように変形す
る容器である。この変形する容器は材質的が柔軟である
か、或いはベローズのように構造的に伸縮変形するもの
であることが望ましい。また、他の好ましい態様では、
この容器は後述の実施例2のように、薬液側可動板と外
筒に囲まれた部分からなるシリンダーである。この場合
は、可動板と外筒の隙間から前記流動性媒体が大量にも
れない構造であることが望ましい。また、前記流動性媒
体に接触する部分は、流動性媒体と反応しない材料であ
ることが望ましい。
【0016】本発明の好ましい態様においては、イオン
濃度またはpHの変化を制御する手段により生じたイオ
ンの拡散を制限するための隔離手段が設けられる。 <作用>本発明のディスペンサ装置において、イオン濃
度またはpHの変化を制御する手段に通電すると、電気
化学反応でイオン濃度またはpHが変化する。その結
果、体積変化手段が膨潤して流動性媒体収容部を押圧
し、内容積を変化させる。この内容積の変化によって、
流動性媒体が吐出される。なお、本発明の好ましい態様
については、既に述べたものをも含めて、実施例の記載
の後にまとめて付記することとする。
【0017】
【実施例】
実施例1 図1は、本発明の第1の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図である。同図の装置の構成は次の通りであ
る。即ち、1は薬液を保持するためのラテックスゴムか
らなる薬液容器;2は薬液の吐出口を有する口金;3は
濃度10-1 mol/lのKCl溶液からなる電解液;4はケ
モメカニカルゲルであり、アルカリ性の3級アミン基を
有するジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMA
PAA)からなっている;5はポリピロール膜で被覆さ
れ白金からなる作用極であり、電解液を通過させるため
の穴を有する;6は塩化銀からなる対極;7は電解液を
保持すると共に、各部材を収納するためのプラスチック
製の外筒;8は弾性部材からなるバルーン;9は作用極
およびび対極の間に通電するための配線;10はシリコ
ーンゴム製の薬液容器支持部材であり、口金2と共に薬
液容器1の開口部を固定しており、また対極が接着され
ている;11はバルーン8及び作用極9を固定するため
のシリコーンゴム製作用極支持部材;12は外筒に固定
されたバルーン保護板でり、空気穴を有している。
【0018】なお、ケモメカニカルゲル4は特に固定さ
れていないが、電解液3を含むため比重が電解液3と略
同じなので、天地を逆にしても、自重によって薬液容器
1を押圧しまうことはない。また、口金2に設けた薬液
吐出孔は十分小さいので、ディスペンサごと水中に入れ
ても、電圧を加えない限り薬液が溶出することはない。
また、作用極5、対極6およびケモメカニカルゲル4は
常に電解液3に接触している。
【0019】次に、この実施例の装置の作用について説
明する。通電前の電解質溶液3は中性からアルカリ性の
pH域に調整してある。この電解質溶液3を酸性にする
ために、配線9を通して作用極5と対極6との間に電圧
を印加する。即ち、作用極5が陽極となるように、両電
極間に水の電気分解電圧である1.5V以下の電圧を印
加すると、作用極5の表面ではポリピロール膜が酸化さ
れ、電解液中のOH-イオンを取り込むため、電解液中
のH+イオンが増加する。その結果、通電時間が増加す
るに従って電解液のpHが低下し、溶液は酸性になるの
で、アルカリ性のケモメカニカルゲルは電解液3を吸収
しながら膨潤する。このとき、電解液の吸収を妨げない
ようにバルーン8が変形する。これより、薬液容器1が
ケモメカニカルゲル4によって押圧され、内容積を減じ
るので、口金2の吐出孔から薬液が吐出される。
【0020】一方、作用極5が陰極となるように、作用
極5と対極6間に電圧を印加すると、上記と逆の反応が
起こる。その結果、電解液3のpHが増加してケモメカ
ニカルゲル4が収縮するため、薬液容器1の押圧が解除
され、薬液容器1は自身の弾性で元の形状に戻る。
【0021】なお、この実施例における各構成は、次の
ように各種の変形、変更が可能である。薬液容器1はラ
テックスゴムでなく、可塑性を有するゴムまたはプラス
チック類など液体を透過しないものであれば何であって
もよい。
【0022】作用極5も、ポリピロールに限定されるこ
とはない。即ち、水の電気分解以下の低電圧でpHある
いはイオン濃度を変化させるものであれば、ポリアニリ
ンや他の導電性高分子でもよい。
【0023】対極6も塩化銀には限定されず、電圧が印
加できる限り、白金などの金属電極でも何でもよい。電
解液3の種類もKClに限らず、電気を通すものであれ
ば、例えばNaCl、KPO3など何でもよい。しか
し、作用極5でのpH変化の効果を高めるためには、強
酸や強アルカリ性の電解液は避けた方がよい。また、濃
度も特に規制はないが、あまり濃度か濃いものはケモメ
カニカルゲルが収縮するので避けた方がよい。
【0024】作用極5や対極6の形状についても、平板
状に限定されることなく、コイル状またはメッシュ状等
でも良い。両電極の配置に関しても、両者が短絡しなけ
れば原則的にどこに配置しても良い。ただし、作用極5
の反応を主にケモメカニカルゲル4に与えたい場合は、
ゲル4と作用極5との距離を、ゲル4と対極6との距離
よりも小さくした方が望ましい。
【0025】ケモメカニカルゲル4も、アルカリ性のゲ
ルには限定されない。例えば、ポリアクリル酸を有する
酸性ゲルのように、pHあるいはイオン濃度変化に応答
するものであれば何でも良い。ただし、酸性ゲルを用い
た場合には、与えるべきpH変化は上記実施例と逆にす
る必要がある。
【0026】ケモメカニカルゲル4が、酸化還元性の導
電性高分子単体あるいは酸化還元性の導電性高分子を含
有する場合は、ケモメカニカルゲル4が電解液3を兼ね
てもよい。導電性高分子にはポリピロールやポリアニリ
ンなどがある。これらは主鎖に導電性があるため、電極
を兼ねる効果もある。
【0027】ケモメカニカルゲル4が粉末、繊維、板状
などの導電性物質を含有する場合は、ケモメカニカルゲ
ル4が電極を兼ねてもよい。この導電性物質は、白金や
金などの金属、カーボン、または導電性の高分子でもよ
い。この場合、ケモメカニカルゲル4に直接配線する
か、ケモメカニカルゲル4と電極を接触させて通電する
手段を取ることが必要である。
【0028】薬液容器支持部材10も、シリコーンゴム
製には限定されない。薬液容器1を支持し、電解液3が
漏れない構造であれば何でもよく、例えばプラスチック
を用いてもよい。更に、ゴムの弾性で位置を固定するの
ではなく、支持部材10と外筒7とをねじ込み式で固定
するようにしてもよい。また、支持部材10を金属製と
し、対極6および配線9を兼ねるようにしてもよい。
【0029】薬液容器支持部材10と同様、作用極支持
部材11もまたゴム製である必要はなく、作用極5を固
定できるものであれば何でもよい。支持部材11を省略
して、作用極5を外筒7に直接接着してもよい。
【0030】外筒7についても、絶縁性で液の透過性が
なければ材質は何でもよく、形状も円筒に限定されるこ
とはない。また、弾性部材からなるバルーン8は、電解
液3を保持し、またケモメカニカルゲル4に吸収される
電解液3の体積に応じて変形するものでありさえすれ
ば、材質および形状共に何等制限されない。例えば、プ
ラスチック製のベローズや、ピストン等でもよい。
【0031】上記実施例によれば、次のような効果を得
ることができる。 (1)イオン濃度またはpH変化によって体積変化する
ケモメカニカルゲル4の膨潤力を利用するので、ケモメ
カニカルゲル4の破断強度や接着力には無関係であり、
耐久性が高い。
【0032】(2)薬液容器1が塩化ビニル等の変形可
能な容器であり、ケモメカニカルゲル4の膨潤力で薬液
容器1の容積を縮小変形させて薬液を吐出するので、ケ
モメカニカルゲル4の形状にかかわらず、効率よく薬液
を吐出することができる。
【0033】(3)ケモメカニカルゲル4の体積変化を
させる手段が、電解液3と、ポリピロールからなる作用
極と5、塩化銀からなる対極6とからなり、水の電気分
解以下の電圧を印加して生じる電極上の反応によって電
解液3のpHが変化し、ケモメカニカルゲル4が膨潤す
る。その結果、気体を発生することなく、安全に駆動す
ることができる。
【0034】(4)作用極5と対極6とがケモメカニカ
ルゲル4を挟んで対向した位置にあるので、電極表面上
の電位分布がなく、ほぼ一定な電位が印加される。従っ
て、電極表面上で均一な反応を生じさせることができ
る。
【0035】(5)バルーン9は、ケモメカニカルゲル
4の膨潤時に吸収される電解液3を保持し、且つ電解液
3の体積変化に応じて変形する。従って、ケモメカニカ
ルゲル4による吸収で電解液3が減少したときにも、バ
ルーン9が追随して変形するので、内部が印圧になって
ケモメカニカルゲル4の変形が妨げられる事態を防止で
きる。また、ディスペンサ装置の密閉が可能になる。
【0036】(6)変形バルーン8の外側に、変形しな
いバルーン保護板12を設けてあるので、外からの押圧
力でバルーン8が変形し、薬液を吐出してしまう事態を
防ぐことができる。
【0037】(7)作用極5と対極6との間に逆の電圧
を印加すると、pHが逆に変化し、ケモメカニカルゲル
4が収縮する。従って、ケモメカニカルゲル4の膨潤収
縮を繰り返し行うことができ、使い捨てでなくディスペ
ンサーを複数回使用することができる。
【0038】(8)作用極5と対極6との間に逆に電圧
を印加すると、pHが逆に変化し、ケモメカニカルゲル
4が収縮する。このとき、弾性部材からなる押し潰され
た薬液容器1はもとの形状に戻ろうとするので、この力
を利用して、外部にある液体を薬液容器1の内部に吸引
することができる。
【0039】(9)ケモメカニカルゲル4がバルク状で
あるため、ケモメカニカルゲル4は膨潤時にも材料強度
が高く、破損しにくい。また、ケモメカニカルゲル4の
交換作業も容易である。
【0040】(10)作用極5が導電性高分子の一種で
あるポリピロールであるため、高分子の網目が全て電極
表面になり、見かけの電極面積よりもはるかに有効面積
が大きい。このため、イオン濃度あるいはpHの変化速
度が早く、駆動速度が向上する。
【0041】(11)変形例で示したように、ケモメカ
ニカルゲル4が酸化還元性の導電性高分子単体からなる
場合、あるいは導電性高分子を含有する場合には、作用
極5を介して通電されたケモメカニカルゲル4は、それ
自体が酸化あるいは還元されて、イオン化または非イオ
ン化する。その結果、ケモメカニカルゲル4自体のイオ
ン基の濃度か変化し、体積変化を生じる。この構成で
は、ケモメカニカルゲル4が上記実施例における電解液
3を兼ねることとなり、またバルーン8およびバルーン
保護板12が不要となるので、組み立てが容易で且つ全
体のサイズを小さくすることができる。また、ケモメカ
ニカルゲル4に固定されたイオン基の濃度自体を直接変
化させられるので体積変化速度が早い。
【0042】(12)変形例で示したように、ケモメカ
ニカルゲル4が粉末、繊維、板状などの導電性物質を含
有するケモメカニカルゲルである場合は、ケモメカニカ
ルゲル4に通電すると、含有された電解液3のイオン濃
度あるいはpHが変化し、それに反応してケモメカニカ
ルゲル4が体積変化する。この構成では、ケモメカニカ
ルゲル4が作用極5および対極6を兼ねているので、組
み立てが容易で且つ全体のサイズを小さくすることがで
きる。またケモメカニカルゲル4の内部に含有される電
解液のイオン濃度またはpHを直接変化させられるの
で、材料強度が向上する。
【0043】実施例2 図2を参照して、本発明によるディスペンサ装置の第2
の実施例を説明する。なお、上述の実施例1と重複して
いると思われる構成、作用、変形例および効果などの説
明については省略する。
【0044】図2は、本発明の第2の実施例になるディ
スペンサ装置を示す断面図である。同図の装置の構成は
次の通りである。即ち、13は薬液;14は薬液を押し
出す薬液側可動板;15は薬液出口;3は電解液であ
り、溶質としてKClを含有する;4はケモメカニカル
ゲルであり、アルカリ性の3級アミン基を有するジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)から
なる;16は電解液を通過させる穴を有する作用極であ
り、ポリピロール膜で被覆された白金からなる;6は塩
化銀からなる対極;17はアクリル製の透明な外筒であ
り、その内部には電解液および薬液が保持され、また各
部材が収容される;18はケモメカニカルゲルの動きに
連動するゲル側の可動板;19は薬液側およびゲル側の
可動板が固定されたシャフト;20はシャフト19を貫
通させる穴をし、且つ対極6が固定されている隔離板;
9は配線であり、作用極16および対極6の間に通電を
行う;21はゴム栓であり、作用極16が固定され且つ
配線用の穴を有している;22は空気穴であり、薬液側
の可動板14が移動したときに内部が陰圧になるのを防
止するためのものである。なお、シャフト19と隔離板
20とは、適度なシール性を保ちながらスムーズに動作
するように設計されている。特に、シャフト19がテフ
ロン性であると摩擦が少なく好ましい。また、同様に薬
液側可動板14と外筒17との間も、薬液が漏れず且つ
可動板14がスムースに摺動するように設計されてい
る。
【0045】次に、この実施例の作用について説明す
る。実施例1と同様にしてケモメカニカルゲルが膨潤す
ると、ゲル側の可動板18が隔離板20の方向に移動
し、それに連動して、シャフト19を介して連結された
薬液側可動板14が薬液を押し、薬液が薬液出口15か
ら吐出される。薬液が減少した分の体積は空気穴を通し
て空気が流入することにより補われる。
【0046】なお、この実施例における各構成は、当然
ながら各種の変形、変更が可能である。例えば、外筒は
17アクリル製のものに限定されず、透明あるいは半透
明なものであればよい。
【0047】この実施例によれば、次のような効果を得
ることができる。 (1)可動板18を動作させることにより、電解液3お
よびケモメカニカルゲル4の合計体積を常に一定に持つ
ことができるので、実施例1におけるバルーン8のよう
に予め電解液を入れておく容器は不要である。また、可
動板18,14がほぼ平行に移動するので、薬液の吐出
量が比較的正確である。
【0048】(2)外筒17が透明でることから、ピス
トン14の位置に基づいて吐出量を外部から観察でき
る。 実施例3 図3を参照して、本発明によるディスペンサ装置の第3
の実施例を説明する。なお、上述の実施例1と重複して
いると思われる構成、作用、変形例および効果などの説
明については省略する。23は電解液であり、酸化還元
物質である10-2mol/lのハイドロキノン溶液から
なっている;24はケモメカニカルゲルであり、酸性の
カルボキシル基を有するポリアクリル酸(PAA)を含
有している;25はケモメカニカルゲル24に作用する
ための作用極であり、白金からなっている;26は作用
極に電圧を印加するための、白金からなる対極;27は
陰イオン交換膜からなる隔膜;28は隔膜支持部材であ
り、隔膜27を固定し且つ図の上下間での電解液の漏れ
を防止するためのものである。他の部材は実施例1と共
通である。
【0049】次に、この実施例の装置における作用につ
いて説明する。作用極25が陰極となるように、配線9
を通して作用極25と対極26との間に水の電気分解電
圧である1.5V以下の電圧を印加する。これによって
作用極25の表面では電解液中のハイドロキノンが還元
され、電解液23がアルカリ性になる。同時に、対極2
6の側ではハイドロキノンが酸化され、電解液23が酸
性になる。このとき、作用極25と対極26との間に設
けられた隔膜27によって、その両側の電解液23が混
合されてpH変化が相殺されるのを防止される。その結
果、酸性のケモメカニカルゲル24は、作用極25の付
近で生じるアルカリ性へ変化によって、電解液23を吸
収しながら膨潤する。なお、この隔膜27は電流を通す
ので、該隔膜によって電解液23が分離されていても、
上記のような通電が可能である。これにより、薬液容器
1がケモメカニカルゲル24によって押圧され、内容積
を減じるとともに、口金2の吐出口から薬液が吐出され
る。このとき、ケモメカニカルゲル24が電解液を吸収
するのを妨げないように、バルーン8が変形する。
【0050】上記とは逆に作用極を陽極として、作用極
25と対極26との間に電圧を印加すると、上記と逆の
反応が起こり、電解液23のpHが酸性になり、ケモメ
カニカルゲル24が収縮する。その結果、薬液容器1の
押圧が解除され、薬液容器1は自身の弾性でもとの形状
に戻る。
【0051】なお、この実施例の各構成には各種の変形
および変更が可能である。例えば、作用極25及び対極
26は白金に限らず、金およびカーボンなどのように、
電極自体が不活性で通電しても溶解しない材料であれば
よい。
【0052】また、電解液23中の酸化還元物質につい
ても、ハイドロキノンの代わりに、エチルビオロゲンお
よびベンジルビオロゲン等のビオロゲン類を用いてもよ
い。特に、エチルビオロゲンは電極に析出しないので使
用しやすい。但し、これらの酸化還元物質は物質によっ
てpH変化の仕方が違うので、電圧を印加する際の電極
の極性や電圧などに注意が必要である。また、電解液2
3中には酸化還元物質だけでなく、通電量を増加させ、
或いはpHを調整するために他の電解質、例えばKC
l,HCl,KOHなどを混合してもよい。
【0053】更に、隔膜27も陰イオン交換膜に限定さ
れず、陽イオン交換膜でも同様の効果が得られる。ま
た、多孔質セラミックを用いてもよいが、この場合は孔
径が小さいと抵抗が高くなり、逆に大きいと隔膜の効果
がなくなるので注意が必要である。また、その他の高分
子膜など材質は何でもよい。
【0054】この実施例によれば次のような効果が得ら
れる。 (1)隔膜27を有することから、作用極25で生じた
pHまたはイオン濃度の変化が対極26での変化によっ
て相殺されず、効率よくゲル24に作用させることがで
きる。また、通電を停止しても、一定時間は同じpHあ
るいはイオン濃度を保てるので、変位を維持することが
できる。
【0055】(2)電解液23の溶質が酸化還元物質で
あるハイドロキノンであるため、作用極25上で酸化あ
るいは還元された酸化還元物質が時間と共に拡散し、電
解液23の全体のpHまたはイオン濃度が均一化するの
で、ケモメカニカルゲル24を均一に膨潤させることが
できる。
【0056】実施例4 図4に本発明のディスペンサーの第4の実施例を示す。
なお、既述の実施例と重複していると思われる構成、作
用、変形例および効果などの説明については省略する。
【0057】図4は、本発明の第4の実施例になるディ
スペンサ装置を示す断面図である。同図の装置の構成は
次の通りである。即ち、29は電解液を透過させる穴を
有する電解液透過板であり、また作用極33が固定され
る;30は薬液を保持するための薬液容器であり、ラテ
ックスゴムからなっている;31は口金であり、薬液の
吐出口を有している;3は電解液であり、10-1mol
/lのKClを含有する溶液である;32は薬液容器3
0を包むように配置されたケモメカニカルゲルであり、
アルカリ性3級アミン基を有するジメチルアミノプロピ
ルアクリルアミド(DMAPAA)からなる;33はポ
リピロール膜で被覆された白金からなる作用極であり、
電解液3を通過させるための穴を有し、ケモメカニカル
ゲルの外側に配置されている;34は塩化銀からなる対
極;7はプラスチック製の外筒であり、電解液を保持す
ると共に各部材を収納する;8は弾性部材からなるバル
ーン;35は作用極と対極との間に通電するための配
線;36はシリコーンゴム製の薬液容器支持部材であ
り、口金31と共に薬液容器30の開口部を固定してお
り、また対極34が接着されている;12は外筒に固定
されたバルーン保護板であり、空気穴を有している。
【0058】次に、この実施例の作用について説明す
る。ケモメカニカルゲル32を膨潤させるまでの過程
は、実施例1の場合と同じである。ケモメカニカルゲル
32の外側に作用極33が固定されているので、ケモメ
カニカルゲル32は内側にのみ変形する。このケモメカ
ニカルゲル32の変形によって薬液容器30が押圧さ
れ、内容積を減じると、口金31の吐出孔から薬液が吐
出される。逆に、作用極33を陰極として、作用極33
と対極34との間に電圧を印加すると、上記と逆の反応
が起こり、電解液のpHが増加してケモメカニカルゲル
32が収縮する。その結果、薬液容器30の押圧が解除
され、薬液容器30は自身の弾性でもとの形状に戻る。
【0059】なお、この実施例における各構成は、各種
の変形および変更が可能である。例えば、ケモメカニカ
ルゲル32の形状は円筒に限られず、従って薬液容器3
0の全体を取り囲むように薬液容器30の下にも配置す
ることができる。
【0060】この実施例によれば次のような効果が得ら
れる。 (1)ケモメカニカルゲル32は等方的に膨潤するが、
周囲に固定部があるために外周方向には膨潤せず、薬液
容器を押しつぶすように内側に変形するため、ゲルの体
積変位を有効に利用することができる。また、ケモメカ
ニカルゲル32と作用極33との接触面が大きいため、
膨潤速度が速くなる効果もある。
【0061】実施例5 図5に本発明のディスペンサ装置の第5の実施例を示
す。なお、既述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については省略
する。
【0062】この実施例は図5に示す断面図のように構
成されている。同図の装置の構成は次の通りである。即
ち、30はラテックスゴムからなる薬液容器;31は薬
液の吐出口を持つ口金;23は電解液であり、酸化還元
物質として10-2mol/lのハイドロキノンを含有す
る;37は薬液容器を包むように配置されたケモメカニ
カルゲルであり、酸性のカルボキシル基を有するポリア
クリル酸(PAA)が含まれている;38はケモメカニ
カルゲルに作用するための、白金からなる作用極;39
は作用極に電圧を印加するための白金からなる対極;4
0は陰イオン交換膜からなる隔膜;41は隔膜支持部材
であり、作用極38および隔膜40を固定している;4
2は配線用の穴を設けたゴム栓であり、対極が固定され
ている;43は部分的に切り込みの入ったプラスチック
製の外筒;44は弾性材料からなるゴムチューブ;45
は作用極と対極との間に通電するための配線;46はシ
リコーンゴム製の薬液容器支持部材であり、口金31と
共に薬液容器の開口部を固定している。
【0063】次に、この実施例の作用について説明す
る。ケモメカニカルゲル37を膨潤させるまでの過程は
実施例3と同じである。ケモメカニカルゲル37の外側
に作用極38が固定されているので、ケモメカニカルゲ
ル37は内側にのみ変形して薬液容器30を押圧する。
これによって薬液容器30は内容積を減じると共に、口
金31の吐出孔から薬液を吐出する。このとき、ケモメ
カニカルゲル37の電解液の吸収を妨げないように、ゴ
ムチューブが変形する。この場合とは逆に、作用極38
を陰極として、作用極38と対極39との間に電圧を印
加すると上記と逆の反応が起こり、電解液のpHが増加
してケモメカニカルゲルが収縮するため、薬液容器の押
圧が解除され、薬液容器自身の弾性でもとの形状に戻
る。
【0064】この実施例には次のような特徴がある。 (1)隔膜40を有することから、作用極38で生じた
pH変化またはイオン濃度変化が対極39での変化で相
殺されないので、効率よくゲルに作用することができ
る。また、通電を停止しても、一定時間は同じpHまた
はイオン濃度を保てるので、変位を維持することができ
る。
【0065】(2)電解液3の溶質である酸化還元物質
のハイドロキノンは、作用極38上で酸化あるいは還元
されて時間と共に拡散する。従って、電解液全体のpH
またはイオン濃度が均一化するので、ケモメカニカルゲ
ル37を均一に膨潤させることができる。
【0066】(3)ケモメカニカルゲル37は等方的に
膨潤するが、周囲に固定部となる作用極38があるた
め、外周方向には膨潤せず、薬液容器を押しつぶすよう
に内側にのみ膨出変形する。従って、ケモメカニカルゲ
ル37の体積変位を有効に利用することができる。ま
た、ケモメカニカルゲル37と作用極38の接触面積が
大きいために、膨潤速度が速くなる効果もある。) 実施例6 図6に本発明のディスペンサ装置の第6の実施例を示
す。なお、既述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0067】この実施例は、図6に示す断面図のように
構成されている。同図の装置の構成は次の通りである。
即ち、47は電解液透過板であり、電解液を透過させる
穴を有すると共に作用極49を固定している;48はラ
テックスゴム製の薬液容器であり、外側が白金でコート
されている;31は薬液の吐出口を設けた口金;3は電
解液であり、溶質として10-1mol/lのKClを含
有している;32は薬液容器48を包むように配置され
ケモメカニカルゲルであり、アルカリ性の3級アミン基
を有するジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DM
APAA)からなる;49はケモメカニカルゲルの外側
に配置された作用極であり、ポリピロール膜で被覆され
た白金からなる;50は電解液を保持すると共に、各部
材を収納するためのプラスチック製の外筒;51は弾性
材料からなるバルーン;52は作用極及び対極間に通電
するための配線;53はシリコーンゴム製の薬液容器支
持部材であり、口金31と共に薬液容器48の開口部を
固定している;54は外筒に固定されたバルーン保護板
であり、空気穴を有している。なお、白金でコートされ
た薬液容器は48は対極を兼ねている。
【0068】次にこの実施例の作用について説明する。
この実施例では、対極として作用するのは、薬液容器4
8の外部にコーティングされた白金である。この対極と
作用極49との間に電圧を印加すると、実施例4と同じ
過程によってケモメカニカルゲル32が膨潤し、薬液が
吐出される。逆に、作用極を陰極として、作用極と対極
の間に電圧を印加すると、上記と逆の反応が起こり、電
解液のpHが増加してケモメカニカルゲルが収縮する。
その結果、薬液容器48の押圧が解除され、薬液容器は
それ自身の弾性でもとの形状に戻る。なお、対極では通
常、作用極でのイオン濃度やpHの変化を打ち消すよう
な反応が生じる場合が多い。しかし、この実施例の場合
は、作用極49である導電性高分子の実効面積が大きい
ために、対極での反応は無視できる。
【0069】なお、この実施例における各構成には各種
の変形および変更が可能である。例えば、薬液容器48
に対極としてコートする電極は、白金の以外にも、金な
どの金属や、ITOなどの透明導電性膜を用いてもよ
い。また、薬液容器48として、カーボン粒子を混入し
たラッテクスゴムまたは金属製のベローズを用いるなど
によって、薬液容器48自体に導電性をもたせてもよ
い。但し、この場合は薬液が通電によって変質しないも
のであることが必要である。
【0070】この実施例によれば、薬液容器48が対極
を兼ねているので、組み立てが容易で、また全体のサイ
ズを小さくできる効果が得られる。 実施例7 図7に本発明のディスペンサーの第7の実施例を示す。
なお、既述の実施例と重複していると思われる構成、作
用、変形例および効果などの説明については適宜省略す
る。
【0071】図7は、本発明の第7の実施例になるディ
スペンサ装置を示す断面図である。同図の装置の構成は
次の通りである。即ち、55は金製ベローズからなる薬
液容器であり、作用極をも兼ねている;23は電解液で
あり、10-2mol/lのハイドロキノン(酸化還元物
質)を含有している;56はケモメカニカルゲルであ
り、酸性のカルボキシル基を有するポリアクリル酸(P
AA)を含んでいる;57は白金からなる対極であり、
作用極との間に電圧を印加するために用いられる;58
は陰イオン交換膜からなる隔膜;59は隔膜を固定する
ための隔膜支持部材であり、図の上下間での電解液の漏
れを防止する;60は部分的に切り込みを有する外筒;
61はチューブ;62は配線;63は対極を固定するゴ
ム栓である。
【0072】次にこの実施例の作用について説明する。
この実施例において、作用極は薬液容器を兼ねたベロー
ズ55として構成されているから、この作用極55と対
極57との間に電圧を印加する。以後、ケモメカニカル
ゲル56が膨潤して薬液を吐出させるまでの過程は、実
施例3と同じである。逆に、作用極55を陰極として、
この作用極と対極57との間に電圧を印加すると、上記
と逆の反応が起こり、電解液のpHが増加してケモメカ
ニカルゲル56が収縮する。その結果、薬液容器55の
押圧が解除され、薬液容器55自身の弾性でもとの形状
に戻る。
【0073】なお、この実施例における各構成には各種
の変形および変更が可能である。例えば、薬液容器を兼
ねるベローズ55の材質は、金の代わりに白金でもよ
い。また、カーボン粒子を混入したラッテクスゴム製の
薬液容器のように、薬液容器自体が導電性を有している
ものであればよい。また、薬液容器に白金や金などの金
属、あるいはITOなどの透明導電性膜をコートしてい
ても良い。ただしこの場合は薬液が通電によって変質し
ないものであることが必要である。
【0074】この実施例によれば、薬液容器が作用極を
を兼ねているので、組み立てが容易で、また、全体のサ
イズを小さくできる効果が得られる。 実施例8 以下に本発明のディスペンサーの第8の実施例を説明す
る。なお、上述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0075】図8は、この実施例におけるディスペンサ
装置の制御系を示すブロック図である。同図において、
100はディスペンサ;101は減算器;102はコン
トローラ;103は積分器である。
【0076】次に、この実施例の作用について説明す
る。減算器101には設定電気量および実際の電気量が
入力され、その差分がコントローラ102に入力され
る。コントローラ102は、この差分をPWMデューテ
ィー比に変換し、該デューティー比でディスペンサ10
0に電圧が印加される。ディスペンサ100に流れる電
流値を積分器103で積分することにより、実際の電気
量が計算される。
【0077】この実施例によれば次のような効果が得ら
れる。通電した電気量とpHあるいはイオン濃度変化は
相関関係にあり、pHあるいはイオン濃度とゲル体積も
相関関係にある。従って、予め電気量とゲル体積の相関
を取っておけば、薬液の吐出量を制御することができ
る。
【0078】実施例9 以下に本発明のディスペンサ装置の第9の実施例を示
す。なお、既述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0079】図9は、本発明の第9の実施例になるディ
スペンサ装置を示す断面図である。同図の装置の構成は
次の通りである。即ち、64は白金からなる参照極;6
5は参照極の配線である。他の構成は実施例1と同様で
ある。
【0080】一方、図10はディスペンサ装置の回路図
を示したものである。図中、5はディスペンサの中の作
用極;6は対極;64は参照極;66は電流計;67は
電圧計;68は定電圧源である。このうち電圧計67、
電流計66、定電圧源68はポテンショスタット69に
内蔵されている。
【0081】次に、この実施例の作用について説明す
る。ポテンショスタット69において、作用極5と参照
極64の間の電圧を電圧計67で測定し、その結果を定
電圧源68にフィードバックする。その結果、作用極5
と参照極64との間には一定電圧が印加される。
【0082】この実施例によれば次のような効果が得ら
れる。通常、作用極5と対極6との間に一定電圧を印加
するだけでは、作用極5の近傍および対極6の近傍でイ
オン濃度が変化するにつれて、各電極の抵抗が変化す
る。その結果、作用極5に印加される電圧が一定でなく
なり、副反応が生じたり、駆動速度が変化したりする問
題が生じる。これに対して、この実施例のように参照極
64を設け、且つ上記のようなポテンショスタット69
を用いることにより、作用極5に印加する電圧を一定に
保つことができるので、安定的に駆動させることができ
る。
【0083】実施例10 以下に、本発明のディスペンサ装置の第10の実施例を
示す。なお、既述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0084】図11は、第10の実施例のディスペンサ
装置を示す断面図である。同図において、70はpHセ
ンサ;71はpHセンサの配線であり、他の構成は実施
例1と同様である。図12は、この実施例におけるディ
スペンサを制御するための回路のブロック図を示してい
る。同図において、100はディスペンサ;101は減
算器;103はpHセンサである。
【0085】次に、この実施例の作用について説明す
る。設定pH値および実際のpH値が減算器101に入
力され、その差分がコントローラ102に入力される。
コントローラ102は、この差分をPWMデューティー
比に変換し、このデューティー比でディスペンサ100
に電圧が印加される。ディスペンサ100内の実際のp
H値は、pHセンサ103で検出される。
【0086】なお、この実施例における各構成について
は、各種の変形および変更が可能である。例えば、pH
センサ103の代わりに、イオン濃度を測定するイオン
センサや、電導度計など、電解液の状態を測定できる他
の装置を用いてもよい。
【0087】この実施例によれば次のような効果が得ら
れる。pHまたはイオン濃度とゲル4の体積との間に
は、相関関係が存在する。従って、予めpHまたはイオ
ン濃度とゲル体積との相関を取っておけば、薬液の吐出
量を制御することができる。また、電気量で制御する場
合と比べると、加えた電気量に関する反応効率が一定で
ない場合でも正確に制御できる。
【0088】実施例11 図13を参照して、本発明のディスペンサーの第11の
実施例を説明する。なお、上述の実施例と重複している
と思われる構成、作用、変形例および効果などの説明に
ついては適宜省略する。
【0089】この実施例の装置は、図13の断面図に示
すように構成されている。同図において、72は口金を
兼ねた金属製の逆流防止弁であり、中心に開口部を有し
ている。また、ウイングによる逆流防止機構を有してい
る。その他の構成は実施例1と同じである。
【0090】次に、この実施例の作用について説明す
る。通常は、弾力で逆流防止弁72の開口部は閉じてい
るが、ケモメカニカルゲル4が膨潤して薬液の圧力が高
まると、圧力でウイングが外周方向に曲がって開口部が
開き、薬液はスムーズに吐出する。ディスペンサー外部
からの圧力に対しては、ウイングは中心方向に力を受け
て液体の流入を防止する。なおこの場合薬液を吸収する
作用はなく、吐出専用である。
【0091】なお、この実施例の各構成は当然、各種の
変形および変更が可能である。例えば、逆流防止弁72
の形状については、逆流防止機能があれば特に限定され
ず、例えばスプリングを利用したものなどでもよい。ま
た、ディスペンサ全体の構成についても、も実施例1〜
7に示すような構成のどれに置き換えてもよい。
【0092】この実施例では、ディスペンサを長時間液
体中に放置すると開口部から薬液の成分が拡散するおそ
れがあるが、逆流防止弁72により成分の放出を防止す
ることができる。また、吐出した薬液が逆流するのを防
止することができる。
【0093】実施例12 図14を参照して、本発明のディスペンサ装置の第12
の実施例を説明する。なお、上述の実施例と重複してい
ると思われる構成、作用、変形例および効果などの説明
については適宜省略する。
【0094】この実施例は、図14の断面図に示すよう
に構成されている。同図において、73は薬液を吐出す
るための貫通穴を有する針であり、口金を兼ねている。
その他の構成は実施例1と同じである。
【0095】次に、この実施例の作用について説明す
る。この実施例では、ケモメカニカルゲル4が膨潤して
薬液を吐出させる際に、針7を通して薬液を吐出する。
また、ケモメカニカルゲルが収縮し、薬液容器が元に戻
る時には、針7の先端部にある溶液を吸入する。
【0096】なお、この実施例における各構成には、各
種の変形および変更が可能である。例えば、針7の代わ
りに、チューブ状のカテーテルを用いてもよい。このカ
テーテルの材質が柔らかい場合には、口金を別に設け、
該口金にカテーテルを接続してもよい。また、ディスペ
ンサー全体の構成についても、実施例1〜7に示すよう
な構成のどれに置き換えてもよい。
【0097】この実施例によれば、次のような特徴が得
られる。薬液は針7の穴を通して吐出されるので、目的
とする極めて限定された領域に吐出することができる。
また、本体自体が入り込めないような領域にも、薬液を
吐出することができる。更に、針7の様に先端が鋭利で
あれば、ある物の内部にも吐出することができる。
【0098】実施例13 図15を参照して、本発明のディスペンサ装置の第13
の実施例を説明する。なお、上述の実施例と重複してい
ると思われる構成、作用、変形例および効果などの説明
については適宜省略する。
【0099】この実施例は、図15の断面図に示すよう
に構成されている。図15において、74はゴム栓であ
る。このゴム栓には、電解液注入口75および空気口7
6が設けられており、また対極78が固定されている。
更に、ゴム栓74には配線45用の穴が設けられてい
る。77はシリコンゴム製の薬液容器支持部材であり、
口金31と共に薬液容器30の開口部を固定している。
この薬液容器指示部材77には、電解液の注入口75と
空気口76とが設けられている。78は対極であり、電
解液注入口75および空気口76に対応する部分に穴を
有する。その他の構成は実施例5と同じである。なお、
ゴム栓74、並びに薬液容器支持部材77に開けられた
電解液注入口75および空気口76は、ゴムの弾性によ
り通常は閉じており、電解液が漏れないようになってい
る。
【0100】次に、この実施例の作用について説明す
る。電解液の交換の際に、注射器の針の先端を電解液注
入口75から導入し、電解液23を吸出す。その際、空
気穴76から空気が入るので内部が陰圧になることはな
い。新たな電解液を入れる場合は、電解液注入口75か
ら注射器の針を入れて電解液を吐出する。この際には、
空気穴から空気が出るので、内部は電解液で満たされ
る。
【0101】なお、この実施例における各構成について
は、当然ながら各種の変形および変更が可能である。例
えば、ディスペンサー全体の構成は、実施例1〜7に示
す何れの構成で置き換えてもよい。
【0102】この実施例においては、電解液のみが変質
した場合にも、装置を分解することなく電解液を交換で
きる効果が得られる。 実施例14 図16を参照して、本発明によるディスペンサ装置の第
14の実施例を示す。なお、上述の実施例と重複してい
ると思われる構成、作用、変形例および効果などの説明
については省略する。
【0103】この実施例の装置は図16の断面図に示す
ように構成されている。図16において、79は直径1
mm以下の粒子状ケモメカニカルゲルであり、その材質
はDMAPAAを含むアルカリ性のケモメカニカルゲル
である。80はポリピロール膜で被覆された白金からな
る作用極であり、電解液を通過させるがケモメカニカル
ゲルは通過できない穴を有している。その他の構成につ
いては実施例1と同じである。
【0104】この実施例においても、ケモメカニカルゲ
ルが膨潤して薬液を吐出するメカニズムは既述の実施例
と同じである。但し、ケモメカニカルゲル79の表面積
が大きくなるので、電解液を早く吸収する。
【0105】なお、この実施例における各構成について
は、当然ながら各種の変形および変更が可能である。例
えば、ケモメカニカルゲル79は微小なゲルが複数存在
すればよく、その形状は球状に限定されず、例えば不定
形でもよい。作用極80の形状についても、ケモメカニ
カルゲルが通過しない形状であればよい。即ち、穴を穿
孔したものの代わりに、メッシュ状のものを用いてもよ
い。更に、ディスペンサ全体の構成についても、実施例
1〜7に示すような構成のどれに置き換えてもよい。
【0106】この実施例では、ケモメカニカルゲル79
の表面積が大きいので、該ゲルが膨潤する際に電解液を
早く吸収する。一般に、ケモメカニカルゲルの膨潤速度
はゲル寸法の二乗に反比例する法則があるので、同じ体
積でバルク状のゲルよりも膨潤速度が早いという効果が
得られる。
【0107】実施例15 下記に本発明のディスペンサーの第15の実施例を示
す。なお、既述した実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0108】この実施例の装置は、図17の断面図に示
すように構成されている。図17において、81はケモ
メカニカルゲルであり、500μm以下の繊維状をなし
ている。なお、繊維状ゲル81はアクリルニトリル繊維
を加水分解し、表面をカルボキシル基に変化させたもの
である。82はポリピロール膜で被覆された白金からな
る作用極であり、電解液3は通過させるがケモメカニカ
ルゲル81は通過できない穴を有している。その他の構
成は実施例1と同じである。
【0109】次に、この実施例の作用について説明す
る。ケモメカニカルゲル81が酸性であるため、実施例
1とは逆に、作用極82を陰極として、作用極と対極と
の間に水の電気分解電圧である1.5V以下の電圧を印
加する。これにより、作用極82の表面ではポリピロー
ル膜が還元されてアルカリ性となり、酸性のケモメカニ
カルゲル81が電解液3を吸収しながら膨潤し、薬液容
器1を押圧して薬液を吐出させる。繊維状のケモメカニ
カルゲル81は表面積が大きいので、電解液3を早く吸
収する。
【0110】これとは逆に、作用極82を陽極にすると
上記とは逆の反応が起こり、電解液のpHが低下してケ
モメカニカルゲル81が収縮するため、薬液容器1の押
圧が解除され、薬液容器1はそれ自身の弾性でもとの形
状に戻る。
【0111】なお、この実施例における各構成について
は、各種の変形および変更が可能である。例えば、繊維
状ゲル81は加水分解したものでなくてもよく、紡糸等
の方法で作製したものであってもよい。また、ケモメカ
ニカルゲル81はアルカリ性であってもよい。但し、そ
の場合の電圧の印加方向は逆になる。更に、実施例1〜
7に示すした構成の何れと置き換えてもよい。
【0112】この実施例においては、ケモメカニカルゲ
ルが膨潤する際、ケモメカニカルゲル81の表面積が大
きいので電解液が早く吸収される。ケモメカニカルゲル
81の膨潤速度はゲルのサイズの二乗に反比例するの
で、同じ体積のバルク状ゲルよりも膨潤速度が早い。ま
た、繊維同士が絡み合うので、バルクと同じように塊と
して取り扱うことができる。従って、粒子状のものより
もハンドリングがし易いという効果が得られる。
【0113】実施例16 下記に本発明のディスペンサーの第16の実施例を示
す。なお、上述の実施例と重複していると思われる構
成、作用、変形例および効果などの説明については適宜
省略する。
【0114】この実施例は図18の断面図に示すように
構成されている。図18において、83はDMAPAA
を含むアルカリ性のケモメカニカルゲルであり、複数の
穴が穿設されている。その他の構成は実施例1と同じで
ある。
【0115】この実施例において、ケモメカニカルゲル
83が膨潤して薬液を吐出するメカニズムは、既述した
実施例の場合と同じである。但し、ケモメカニカルゲル
83が多孔質で表面積が大きいので、電解液を早く吸収
する。
【0116】なお、この実施例の各構成は当然、各種の
変形、変更が可能である。例えば、ケモメカニカルゲル
83の形状は球状に限定されず、例えば不定形でもよ
い。また、孔の形状も不定形でよいが、ゲルの中心部分
が小さく周辺部分が大きい方が、電解液の通りが良いの
で好ましい。
【0117】この実施例においては、ケモメカニカルゲ
ル83が膨潤する際に、ケモメカニカルゲルの表面積が
大きいので電解液を早く吸収する。穴の数や大きさを調
整することによって、膨潤速度を調整することが可能で
ある。また、粒子や繊維状のケモメカニカルゲルでは、
ゲルが空間に占める割合が小さいので発生力が小さくな
る傾向があるが、多孔質のゲルの場合はそのような問題
もない。即ち、多孔質ゲルではゲルが空間を占める割合
が大きいので、バルクと同等な発生力が得られる。ま
た、バルクと同じように塊として取り扱えるのでハンド
リングもし易いという利点が得られる。 <付記>以下、本発明の好ましい実施態様について付記
する。
【0118】1.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記流動性媒体収容部が、変形する容器である
ことを特徴とするディスペンサ装置。 (構成)変形する容器は、実施例1、3〜16の薬液容
器が該当する。変形する容器は外圧材質的に柔軟である
か、ベローズなど構造的に変形するものであればよい。
また、内容する流動性媒体が浸透しないものであること
が望ましい。
【0119】(作用)変形する容器が、体積変化手段に
連動して容積を縮小するように変形し内容する流動性媒
体を吐出する。
【0120】(効果)体積変化手段の形状にかかわら
ず、確実に薬液を吐出することができる。 2.請求項1に記載のディスペンサ装置において、前記
流動性媒体収容部が、可動部の対向面間距離を変化する
ことで内容積を変化するシリンダーであることを特徴と
するディスペンサ装置。
【0121】(構成)シリンダーは、実施例2の薬液側
可動板と外筒に囲まれた部分であり、薬液側可動板はシ
ャフトでゲル側可動板と繋がっている。体積変化手段は
ケモメカニカルゲルである。
【0122】(作用)体積変化手段の体積変化に連動し
てゲル側可動板が移動し、シャフトで接続された薬液側
可動板が移動し、シリンダー内の流動性媒体が外部に吐
出する。
【0123】(効果)流動性媒体が吐出されても、体積
変化手段を収納する部分の体積はほぼ一定に保たれるの
で、陰圧にならずにスムーズに可動する。また、シリン
ダーがほぼ平行に移動するので、流動性媒体の吐出量が
正確である。
【0124】3.請求項1記載のディスペンサ装置にお
いて、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手段
がイオン濃度またはpHの変化を生じせしめる手段と、
前記イオン濃度またはpHの変化が発現される媒体と、
からなることを特徴とするディスペンサ装置。
【0125】(構成)前記イオン濃度またはpHの変化
が発現される媒体は、実施例1〜16における電解液で
ある。一方、イオン濃度またはpHの変化を生じせしめ
る手段は、実施例1〜5、8〜16における作用極、実
施例6における薬液容器、実施例7における作用極兼電
極である。
【0126】特定のイオン濃度またはpHが発現される
媒体は、電気を通すものであれば何でもよいが、作用極
でのpH変化の効果を高めるためには強酸、強アルカリ
性の電解液は避けた方がよい。また、濃度も特に規制は
ないが、あまり濃度の濃いものは体積変化手段が収縮す
るので避けた方がよい。特定のイオン濃度またはpHが
発現される媒体は、酸化還元物質の溶液であってもよ
い。
【0127】また、前記イオン濃度またはpHの変化を
生じせしめる手段の形状は特に限定されないが、面積が
大きい方がよい。その配置に関しても、原則的にはどこ
に配置してもよいが、第一の面積変化手段の近傍に配置
するのが望ましい。
【0128】この2つの手段の組み合わせは、特に気体
を発生しないものであることが望ましい。(作用)イオ
ン濃度またはpHの変化を生じせしめる手段に電圧を印
加することにより、電気化学反応が起こる。その結果、
イオン濃度またはpHの変化が発現される媒体のpHが
変化し、これが体積変化手段を刺激し、体積変化手段が
膨潤する。
【0129】(効果)溶液の添加や交換なしに、イオン
濃度またはpHの変化を起させることができるので制御
が容易である。また、水の電気分解以下の電圧を印加す
る場合、気体の発生を伴わず、安全に駆動することがで
きる。
【0130】4.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手
段により生じたイオンの拡散を制限するための、隔離手
段を有することを特徴とするディスペンサ装置。
【0131】(作用)隔離手段は、前記イオン濃度また
はpHの変化を制御する手段により生じたイオンあるい
はpH変化が拡散または透過するのを防止するが、電流
は通過させる。
【0132】(効果)イオン濃度またはpHの変化の拡
散を防止し、効率よく体積変化手段に作用させる。
【0133】5.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記体積変化手段が、前記流動性媒体収容部の
周囲に配置されることを特徴とするディスペンサ装置。 (構成)実施例4、5、6、13が該当する。体積変化
手段がケモメカニカルゲルであり、前記流動性媒体収容
部は薬液容器である。
【0134】(作用)体積変化手段が内側に変形し、前
記流動性媒体収容部が押圧され、内容積を減じ、流動性
媒体を吐出する。
【0135】(効果)体積変化手段と前記流動性媒体収
容部の接触面積が大きいために、体積変化手段体積変位
を有効に利用することができる。また、体積変化手段の
厚さが薄く、表面積が大きいため膨潤速度が速くなる効
果もある。
【0136】6.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手
段を構成する部材の一つが少なくとも一対の電極であ
り、該電極は前記体積変化手段をはさんで対向した位置
に配置されることを特徴とするディスペンサ装置。
【0137】(構成)実施例1、2、3、7〜12、1
4〜16が該当する。少なくとも一対の電極は作用極と
対極に該当し、体積変化手段はケモメカニカルゲルに該
当し、作用極と対極はケモメカニカルゲルを挟んで対向
した位置にある。
【0138】(作用)少なくとも一対の電極に電圧が印
加されると、体積変化手段は膨潤あるいは収縮する。
【0139】(効果)電極上の電位分布がなく、ほぼ一
定な電位がかかることから電極表面上で均一な反応が起
こる。
【0140】7.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手
段を構成する部材の一つが少なくとも一対の電極であ
り、前記一対の電極のうち一方が、前記流動性媒体収容
部を兼ねることを特徴とするディスペンサ装置。
【0141】(構成)実施例6、7が該当する。前記流
動性媒体収容部を兼ね備える電極は、実施例6の薬液容
器、実施例7の作用極兼ベローズに該当する。流動性媒
体収容部を兼ねる電極は、薬液容器に導電性物質をコー
トしたものや、薬液容器自体が導電性を有するものも含
む。ただし、後者は薬液が通電によって変質しないもの
であることが必要である。
【0142】(作用)流動性媒体収容部を兼ねる電極と
他方の電極に電圧を印加すると、イオン濃度やpHが変
化する。
【0143】(効果)二つの機能を一つの部材で兼用し
ているので、組み立てが容易で、且つ全体のサイズを小
さくすることができる。また電極の面積を構成上無理な
く増大することができる。
【0144】8.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手
段に通電される電気量を測定する手段と、前記電気量を
制御する手段とを有することを特徴とするディスペンサ
装置。
【0145】(構成)実施例8が該当する。電気量を測
定する手段は電流計と積分器であり、前記電気量をフィ
ードバックして制御する手段はブロック図に示した手段
である。
【0146】(作用)前記一対の電極間の電気量を測定
する手段により測定された電気量と、設定した電気量と
の差をフィードバックし、ブロック図の通りにPWMデ
ューティー比に変換して制御する。
【0147】(効果)電気量と、pHもしくはイオン濃
度変化とは相関関係にあり、またpHもしくはイオン濃
度と体積変化手段の体積変化との間にも相関関係があ
る。従って、予め電気量と体積変化手段の体積変化との
間の相関をとっておけば、薬液の吐出量を制御すること
ができる。
【0148】9.請求項1に記載のディスペンサ装置に
おいて、前記イオン濃度もしくはpHの変化を制御する
手段を構成する部材の一つが、少なくとも一対の電極
と、該一対の電極の一方にかかる電位を測定する手段
と、その電位を制御する手段とを具備することを特徴と
するディスペンサ装置。
【0149】(構成)実施例9が該当する。前記一対の
電極の一方にかかる電位を測定する手段は、参照極とポ
テンショスタットである。また、前記電位を制御する手
段はポテンショスタットに該当する。
【0150】(作用)前記一対の電極の一方にかかる電
位を測定する手段により電位を測定し、その結果をフィ
ードバックし、前記一対の電極の一方にかかる電位を制
御する。
【0151】(効果)印加する電圧を一定に保つことが
できるので、副反応を防止し、安定な駆動速で駆動する
ことができる。
【0152】10.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、イオン濃度またはpHを測定する手段を有す
ることを特徴とするディスペンサ装置。 (構成)実施例10が該当する。イオン濃度またはpH
を測定する手段はpHセンサであり、前記電気量をフィ
ードバックして制御する手段はブロック図に示した手段
である。
【0153】(作用)イオン濃度またはpHを測定する
手段により測定されたpHと、設定したpHとの間の差
をフィードバックし、ブロック図の通りにPWMデュー
ティー比に変換して制御する。
【0154】(効果)pHもしくはイオン濃度と、体積
変化手段の体積変化とは相関関係にある。従って、予め
電気量と体積変化手段の体積変化との間の相関をとって
おけば、薬液の吐出量を制御することができる。
【0155】11.請求項1に項記載のディスペンサ装
置において、前記流動性媒体収容部の開口部に逆流防止
弁を有することを特徴とするディスペンサ装置。 (構成)逆流防止弁は実施例11の逆流防止弁に該当す
る。逆流防止機能を有する物であればよく、スプリング
などで構成された一般的な逆流防止弁全般を含む。
【0156】(作用)流動性媒体の圧力が高まると、逆
流防止弁が開き流動性媒体は吐出する。外部からの圧力
に対しては、逆流防止弁が閉じて液体の流入を防止す
る。
【0157】(効果)ディスペンサ装置を長時間液体中
に放置する場合、開口部から流動性媒体の成分が拡散す
るおそれがあるが、この逆流防止弁により成分の放出を
防止することができる。また、外部からの液体が流入す
るのを防止することができる。
【0158】12.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記流動性媒体収容部の開口部に、特定の領
域に向けて流動性媒体を吐出するための手段を有するこ
とを特徴とするディスペンサ装置。
【0159】(構成)特定の部位に流動性媒体を吐出す
る手段は、実施例12の針である。この手段の形状は
針、チューブ等のような貫通孔を有する長尺な部材を含
む。
【0160】(作用)この態様では、流動性媒体を吐出
させる際に、特定の部位に流動性媒体を吐出する手段の
先端の限定された部分を吐出する。体積変化手段が収縮
する際に、流動性媒体を吐出する手段の先端にある液体
を吸入する作用もある。
【0161】(効果)限定された部分に流動性媒体を吐
出することができ、またディスペンサ装置本体自体が入
り込めない条件が課せられる領域にも薬液を吐出するこ
とができる。また、針の様に先端が鋭利であれば、物体
の内部にも吐出することができる。先端にある液体を吸
引することができる。
【0162】13.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度もしくはpHの変化を制御す
る手段が、前記イオン濃度またはpHの変化が発現され
る媒体と、該イオン濃度またはpHの変化が発現される
媒体を交換する手段とを具備することを特徴とするディ
スペンサ装置。
【0163】(構成)前記特定のイオン濃度またはpH
の変化を担う手段を交換する手段は電解液注入口と空気
口である。
【0164】(作用)特定のイオン濃度またはpHの変
化を担う手段を交換する際に、注射器などの針の先端を
電解液注入口から導入し特定のイオン濃度またはpHの
変化を担う手段を吸出す。この際空気穴から空気が入
る。新たに入れる場合は電解液注入口から針を入れ特定
のイオン濃度またはpHの変化を担う手段を注入する。
この際空気穴から空気が出る。
【0165】(効果)特定のイオン濃度またはpHの変
化を担う手段のみが変質したり減少した場合、分解する
ことなく交換することができる。
【0166】14.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記流動性媒体の吐出によって生じるディス
ペンサ装置内部の容積変化に応じて変形し、内圧を一定
に保つ変形部材を有することを特徴とするディスペンサ
装置。
【0167】(構成)前記変形部材は、実施例1、3、
4、6、8〜12、14〜16のバルーン、ならびに実
施例5、7、13のゴムチューブである。
【0168】(作用)前記流動性媒体の吐出によって生
じるディスペンサ装置内部の容積変化に応じて変形し、
内圧を一定に保つ。
【0169】(効果)流動性媒体の減少によって内部が
陰圧になり、流動性媒体収容部の変形が妨げられること
を防ぐ。また、体積変化手段が吸収する液体を収容する
効果もある。この変形部材を有することにより、ディス
ペンサ装置の内部を外部から密閉することができる。
【0170】15.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記流動性媒体の吐出によって生じるディス
ペンサ装置内部の容積変化に応じて変形し、内圧を一定
に保つ変形部材と、該変形部材が外力で変形することを
防止する手段とを有することを特徴とするディスペンサ
装置。
【0171】(構成)実施例1、3、4、6、8〜1
2、14〜16に該当する。ここで、変形部材はバルー
ンであり、また変形部材が外力で変形するのを防止する
手段はバルーン保護板である。
【0172】(作用)外力が加わっても、外力での変形
を防止する手段によって、変形部材の変形が防止され
る。
【0173】(効果)外力によって変形部材が押圧され
て変形し、意図せずに流動性媒体が吐出してしまうこと
を防ぐことができる。
【0174】16.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度もしくはpHの変化を制御す
る手段が、イオン濃度もしくはpHの変化を可逆的に起
させる手段からなることを特徴とするディスペンサ装
置。
【0175】(構成)実施例1〜16に該当する。前記
イオン濃度もしくはpHの変化を可逆的に起させる手段
は、作用極および対極である。
【0176】(作用)作用極と対極との間に逆に電圧を
印加すると、イオン濃度あるいはpHが逆に変化し、体
積変化手段が収縮する。
【0177】(効果)体積変化手段の体積変化を繰り返
し行うことができることから、使い捨てでなくディスペ
ンサ装置を複数回使用できる。
【0178】17.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記流動性媒体収容部が、弾性を有する容器
であることを特徴とするディスペンサ装置。 (構成)弾性を有する容器は、実施例1および実施例3
〜16の薬液容器に該当する。材質的に弾性を有する
か、ベローズなど構造的にバネ性を有するものであれば
よい。また、収容された流動性媒体が浸透しないもので
あることが望ましい。
【0179】(作用)弾性を有する容器は、体積変化手
段が膨潤すると連動して容積を縮小するように変形して
内部の流動性媒体を吐出するが、体積変化手段が収縮す
ると、容器の弾性によりもとの形状に戻る。
【0180】(効果)弾性を有する容器は自動的にもと
の形状に戻る。また、この力を利用して外部にある液体
を吸引することができる。
【0181】18.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記体積変化手段がバルク形状であることを
特徴とするディスペンサ装置。 (構成)バルク状の体積変化手段は、実施例1〜13の
ケモメカニカルゲルである。バルク状の意味は一塊とい
う意味であり、形状自体は立方体、球状、多面体など様
々な形状を含む。
【0182】(作用)バルク状の体積変化手段が膨潤し
て流動性媒体収容部を押圧する。 (効果)応力が分散するのでし、膨潤時にも材料強度が
高く破損し難い。また、ケモメカニカルゲルの交換作業
も容易である。
【0183】19.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記体積変化手段が粒子状であることを特徴
とするディスペンサ装置。 (構成)粒子状の体積変化手段は実施例14のケモメカ
ニカルゲルである。ケモメカニカルゲルの形状は、球状
および不定形等とすることができ、微小なゲルを複数存
在せしめることができればよい。
【0184】(作用)体積変化手段が膨潤して、流動性
媒体収容部を押圧する。 (効果)体積変化手段の表面積が大きいので、電解液を
早く吸収する。体積変化手段の膨潤速度は寸法の二乗に
反比例する法則があるので、同じ体積であれば、バルク
状のものより膨潤速度が早い。
【0185】20.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記体積変化手段が繊維状であることを特徴
とするディスペンサ装置。 (構成)繊維状の体積変化手段は、実施例15のケモメ
カニカルゲルに該当する。繊維状の体積変化手段は一本
でも、複数本でもよい。
【0186】(作用)体積変化手段が膨潤して、流動性
媒体収容部を押圧する。 (効果)体積変化手段が膨潤する際、体積変化手段の表
面積が大きいので、電解液を早く吸収する。体積変化手
段の膨潤速度は寸法の二乗に反比例するから、同じ体積
であれば、バルク状のものより膨潤速度が早い。また、
繊維同士が絡み合うので、バルクと同じように塊として
取り扱える。従って、粒子状のものよりもハンドリング
がし易い。
【0187】21.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記体積変化手段が多孔質であることを特徴
とするディスペンサ装置。 (構成)多孔質の体積変化手段は、実施例16のケモメ
カニカルゲルである。該ゲルの形状は任意である。
【0188】(作用)体積変化手段が膨潤して流動性媒
体収容部を押圧する。 (効果)体積変化手段の表面積が大きいので、電解液を
早く吸収する。穴の数や大きさを調整することによっ
て、膨潤速度を調整することが可能である。粒子状また
は繊維状の場合は、体積変化手段が空間を占める割合が
小さいので、発生力が小さくなる傾向がある。これに対
して、多孔質の場合には空間を占める割合が大きいの
で、発生力はバルクと同等な発生力が得られる。また、
バルクと同じように塊として取り扱えるのでハンドリン
グがし易い。
【0189】22.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度もしくはpHの変化を制御す
る手段が、少なくとも一対の電極を有し、そのうち少な
くとも片方は導電性高分子からなることを特徴とするデ
ィスペンサ装置。
【0190】(構成)導電性高分子からなる電極は実施
例1、2、4、6、8〜12、14〜16の作用極であ
る。材質はポリピロール、ポリアニリンなど、水の電気
分解以下の低電圧でpHあるいはイオン濃度変化するも
のであればよい。
【0191】(作用)水の電気分解以下の低電圧を印加
すると、電極自体が酸化あるいは還元され、周囲のpH
あるいはイオン濃度を変化する。
【0192】(効果)高分子の網目が全て電極表面であ
るので、見かけ上の電極面積よりもはるかに有効面積が
大きい。従って、イオン濃度またはpHの変化速度が早
く、駆動速度が向上する。
【0193】23.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する
手段が、イオン濃度またはpHの変化が発現される媒
体、を有し、該媒体が酸化還元物質を溶質とする溶液で
あることを特徴とするディスペンサ装置。
【0194】(構成)イオン濃度またはpHを担う手段
は実施例3、5、7、13の電解液である。電解液中の
酸化還元物質は、ハイドロキノンなどのキノン類、エチ
ルビオロゲン及びベンジルビオロゲン等のビオロゲン類
のように、何れの酸化状態または還元状態でも溶液中に
分散するものであるのが望ましい。特にエチルビオロゲ
ンは隔膜などに析出することがないので使用し易い。
【0195】(作用)酸化還元物質自体が、イオン若し
くは非イオンとして電解液の中に拡散する。また、電解
液全体のpHあるいはイオン濃度が均一化し、ケモメカ
ニカルゲルを均一に膨潤させることができる。
【0196】24.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、各部材を収容する外郭部材を有し、この外郭
部材が光学的に透過性を有することを特徴とするディス
ペンサ装置。
【0197】(構成)外郭部材は実施例2の外筒であ
る。材質としては、プラスチック、ガラス等を含む透明
あるいは半透明な材料を用いることができる。
【0198】(作用)外郭が光学的に透明であるので、
内部を観察できる。 (効果)体積変化手段や、該体積変化手段の体積変化に
連動して流動性媒体を吐出する流動性媒体収容部の動き
を外部から観察できるため、吐出量や動作異常の検出が
容易である。
【0199】25.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する
手段が、イオン濃度またはpHの変化を生じせしめる手
段と、イオン濃度またはpHの変化が発現される媒体と
からなり、該媒体が前記体積変化手段を兼ねることを特
徴とするティスペンサ装置。
【0200】(構成)実施例1の変形例である。イオン
濃度またはpHの変化を生じせしめる手段は、作用極で
ある。また、体積変化手段を兼ねた、イオン濃度または
pHの変化が発現される媒体は、酸化還元性の導電性高
分子単体からなるケモメカニカルゲル又は導電性高分子
を含有するケモメカニカルゲルである。この場合、作用
極とケモメカニカルゲルとは接触している。
【0201】(作用)イオン濃度またはpHの変化を生
じせしめる手段を通じて通電されると、体積変化手段を
兼ねるイオン濃度またはpHの変化が発現される媒体
は、それ自体が酸化あるいは還元されてイオン化または
非イオン化する。このため、内部の含まれる固定された
イオン基の濃度が変化し、体積変化を生じる。
【0202】(効果)二つの機能が一つの部材で兼用さ
れているので、組み立てが容易で、且つ全体のサイズを
小さくすることができる。また体積変化手段に固定され
たイオン基の濃度自体を直接変化させられるので、体積
変化速度が早い。
【0203】26.請求項1に記載のディスペンサ装置
において、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する
手段が、イオン濃度またはpHの変化を生じせしめる手
段と、イオン濃度またはpHの変化が発現される媒体と
からなり、前記イオン濃度またはpHの変化を生じせし
める手段が前記体積変化手段を兼ねることを特徴とする
ディスペンサ装置。
【0204】(構成)実施例1の変形例である。体積変
化手段を兼ねた、イオン濃度またはpHの変化を生じせ
しめる手段は、粉末、繊維、板状などの導電性物質を含
有するケモメカニカルゲルである。この場合、ケモメカ
ニカルゲルに通電するために、ケモメカニカルゲルに配
線することが必要である。イオン濃度またはpHの変化
が発現される媒体は、ケモメカニカルゲルに含まれた電
解液である。
【0205】(作用)体積変化手段を兼ねた、イオン濃
度またはpHの変化を生じせしめる手段に通電すると、
その内部に含有されたイオン濃度またはpHの変化が発
現される媒体のイオン濃度あるいはpHが変化し、それ
に反応して体積変化手段が体積変化する。
【0206】(効果)二つの機能を一つの部材を兼用し
ているので、組み立てが容易で、且つ全体のサイズを小
さくすることができる。またイオン濃度またはpHの変
化が発現される媒体が体積変化手段の内部に含有されて
おり、その変化が直接的であるので、体積変化速度が早
い。また、粉末、繊維、板状などの導電性物質を含有し
ているので材料強度が向上する。
【0207】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
安全性および耐久性が高く且つ小型軽量化が可能なディ
スペンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図5】本発明の第5の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図6】本発明の第6の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図7】本発明の第7の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図8】本発明の第8の実施例になるディスペンサ装置
の制御回路を示すブロック図。
【図9】本発明の第9の実施例になるディスペンサ装置
を示す断面図。
【図10】本発明の第9の実施例になるディスペンサ装
置の制御回路を示すブロック図。
【図11】本発明の第10の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図12】本発明の第10の実施例になるディスペンサ
装置の制御回路を示すブロック図。
【図13】本発明の第11の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図14】本発明の第12の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図15】本発明の第13の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図16】本発明の第14の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図17】本発明の第15の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【図18】本発明の第16の実施例になるディスペンサ
装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…薬液容器,2…口金,3…電解液,4…ケモメカニ
カルゲル,5…作用極,6…対極,7…外筒,8…バル
ーン,9…配線,10…薬液容器支持部材,11…作用
極支持部材,12…バルーン保護板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に収容された流動性媒体の一定量を
    吐出するディスペンサ装置であって、 イオン濃度またはpHの変化によって体積変化を生じる
    体積変化手段と、 前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手段と、 前記流動性媒体を収容し、且つ前記体積変化手段に連動
    して内容積が変化する流動性媒体収容部とを具備するデ
    ィスペンサ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のディスペンサ装置であ
    って、前記体積変化手段が、前記流動性媒体収容部の周
    囲に配置されている装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のディスペンサ装置であ
    って、前記イオン濃度またはpHの変化を制御する手段
    は通電手段を含み、更に、該通電手段により通電される
    電気量を測定する手段と、この電気量を制御する手段と
    を具備するディスペンサ装置。
JP6442795A 1995-03-23 1995-03-23 マイクロディスペンサ装置 Withdrawn JPH08261140A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001108671A (ja) * 1999-08-20 2001-04-20 Stephen C Wardlaw 複合生物流体試料の液体成分から成形成分を分離する方法およびアセンブリ
JP2006513031A (ja) * 2003-01-28 2006-04-20 マイクロリン エルエルシー 電気化学送出システムの電圧調整
JP2010138911A (ja) * 2008-07-08 2010-06-24 Panasonic Corp 導電性高分子を用いた流体搬送装置

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