JPH08254489A - 塗膜寿命評価試験機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 物の表面に施された塗膜の寿命を連続的に繰
り返し評価し、一定条件の下で正確な評価値を得ること
を目的とする。 【構成】 試験器本体の水平基台上に装架した立脚台に
リニアモーターを設置、該リニアモーターの送り機構で
あるラックに連結杆を介してプレートを固着し、このプ
レートをリニアモーターの前面に取付けられているリニ
アガイドに螺着する。さらに、プレートに取付けたリニ
アブッシュに軸支した荷重積載装置の軸に測定子装着す
る。荷重測定装置の垂下に保持具を設置し、該保持具に
塗膜を施した被試験体を保持させて塗膜の寿命を連続的
に繰り返し評価する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、物品の表面に薄膜を密
着した被試験体の寿命を評価する試験機に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、物品の表面に塗膜を塗り、乾燥さ
せた後の塗膜の硬度のみを測定する方法としては、簡便
な検査方法として知られている、ＪＩＳ Ｋ ５４０１
に規定された鉛筆硬度検査方法がある。この検査の方法
は、鉛筆を軟質のものから除々に選び、鉛筆の芯を塗膜
に押し付けて数ミリメートル滑らせて、鉛筆の芯で塗膜
が傷付く状態を見るものである。例えば鉛筆の硬度Ｂで
は傷は付かず、ＨＢで僅か傷が付き初めた場合、この塗
膜の硬度はＨＢと言うことになる。

【０００３】又、接着状態をみる方法としては、碁盤目
試験法がある。試験体の上の塗膜を貫通して、試験体の
生地に到達するまでの切傷を、鋭利な刃で切りつけ、切
れ目から傷の広がりの大小によって、塗膜の脆さや生地
への付着性の良否を推定するものである。塗膜に傷付け
るのに用いるのはカッターナイフを用い、該カッターナ
イフは、ＪＩＳ Ｇ ４４０１に規定されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術に記載した
鉛筆硬度検査方法は硬度測定のみで、寿命及び接着力は
測定出来ず、碁盤目試験方法は塗膜の接着性の測定のみ
で、硬度測定及び寿命評価が測定出来ない。さらに、両
測定方法共断続的にしか測定出来ず連続しての測定が出
来ない。本件出願の発明は上記記載の様な測定とは異な
り、塗膜の寿命の評価をすることを目的になされたもの
である。

【０００５】

【問題を解決する為の手段】試験機本体の水平基台上に
装架された立脚台にリニアモーターを設置し、該リニア
モーターの送り機構に取付けられた垂直昇降可能なる荷
重積載装置と、荷重積載装置の垂下に被試験体の保持具
を設け、薄膜を塗膜した被試験体を装着し塗膜の寿命を
連続的に繰り返し評価することを可能にしたものであ
る。荷重積載装置の軸に装着される測定子は、被試験体
保持具に固着された塗膜を施した被試験体の形状に倣っ
て抵抗なく上下するとともに往復し、連続的に寿命を評
価する。上記手段によって、課題を解決した塗膜寿命評
価試験機を提供するものである。

【０００６】

【作用】荷重積載装置の測定子を装着した軸はリニアブ
ッシュをガイドにして上下し、該リニアブッシュはリニ
アガイドに固着されたプレートに取付けられており、該
リニアガイドをリニアモーターによって往復運動させて
いる。従って、測定子の動きが被試験体の形状に倣い上
下しながら抵抗なく往復運動を繰り返し、自動的に寿命
を評価する。

【０００７】

【実施例】本発明の実施例について図面に基づき説明す
る。先ず本件出願の塗膜寿命評価試験機（１）である
が、試験機本体の水平基台（２）の底面下部の四隅にそ
れぞれ水平を調節可能な脚杆（９）を回動可能に装着す
る。水平基台（２）の左端に荷重積載装置（５）をコン
トロールする制御ボックス（10）を設置する。水平基台
（２）の中央後部には、リニアモーター（４）、リニア
ガイド（11）、荷重積載装置（５）を載置する立脚台
（３）を装架する。さらに、該立脚台（３）の前面に
は、薄膜を施した被試験体（７）を固着可能に保持具
（６）を設ける（図１〜図３参照）。

【０００８】装架した立脚台（３）上にリニアモーター
（４）（メーカー・オリエンタルモーターのＬＵＣ２Ｂ
４５ＳＡ−１、ストローク１００、２．９〜５０mm／se
c ）を載置固着する。一方、立脚台（３）上のリニアモ
ーター（４）の前面に水平基台（２）と平行にリニヤガ
イド（11）（メーカー・ＴＨＫ (株) のＲＳＲ−１５Ｕ
Ｕ）を取付ける。リニヤガイド（11）には荷重積載装置
（５）取付け用のプレート（12）を螺着する。プレート
（12）に設けられた軸受け（13）に水平軸（14）を軸支
し、この水平軸（14）とリニアモーター（４）に組込ま
れている送り機構のラック（15）の先端とを連結杆（1
6）にて連結する。

【０００９】リニヤガイド（11）に螺着されたプレート
（12）には、リニアブッシュ（17）（メーカー・ＴＨＫ
のＬＭＦ−１６）を取付け、荷重積載装置（５）の測定
子（８）及び錘り（18）を載せる載せ皿（19）を装着し
た軸（20）が垂直昇降可能に軸支されている。該、軸
（20）は垂直に昇降自在であるから、昇降時に、軸（2
0）に取り付けられた測定子（８）の先端が、被試験体
（７）を固着する保持具（６）に当たらない様に定位置
にロックされる様に設計されている。

【００１０】本件出願の塗膜寿命評価試験機（１）に用
いる荷重積載装置（５）の測定子（８）について説明す
る。測定子（８）として当初は、木材、竹、アルミ、ナ
イロン樹脂等をテストの結果、やはり鋼製が一番優れて
いた。又、先端形状も針状、球状、円柱状とテストした
結果、図４に示した如くの鍋底形状が最適であった。即
ち、工具鋼、ＳＫ−３の直径６mmの丸棒を用いて長さ３
５mmとし、先端を図４の如く加工し、硬度・ＨＲＣ６０
°に焼入れ研磨した。

【００１１】本件出願の塗膜寿命評価試験機の仕様： 荷重・・・軸、測定子、荷重載せ皿を含めて０．３８５
kg （通常は荷重１kgにて測定する。） ストローク・・・最大 １００mm 速度・・・２．９〜５０mm／ｓｅｃ 瓶・・・直径、６０mm〜１００mm 高さ（長さ）１８０mm〜３００mm （本実施例の被試験体は瓶の塗膜体である。）

【００１２】今回、実施した塗膜寿命評価試験機（１）
は瓶に樹脂被膜を施し、該樹脂被膜の寿命を評価するた
めのものである。従って、被試験体（７）の保持具
（６）は瓶の保持用に製作したが、その他の被試験体
（７）であれば、それに対応した保持具（６）を取付け
れば良い。

【００１３】今回、樹脂被膜した瓶は直径８０mm×高さ
（長さ）２６０mmの軽量リッター瓶であり、樹脂被膜を
施し焼付乾燥後に保持具（６）に固着し、荷重積載装置
（５）の荷重載せ皿（19）に錘り（18）を載せ、軸（2
0）及び測定子（８）と合わせて１kgに調整、速度を２
５mm／sec に設定 、片道５０mmを１回、往復１００mm
を２回とし往復１００回をセットアップとしカウンター
にセット後、スタート釦を押し測定した。

【００１４】瓶の塗膜の表面を注意深く観察しながらセ
ットアップする迄往復させる。途中で塗膜に異常を認め
た場合はストップ釦を押して荷重積載装置（５）の往復
運動を停止させる。その時はカウンターの数値を記録し
ておく。更に測定を継続する際は、再スタート前にリセ
ット釦を押して測定子（８）を被試験体（７）の始点に
セット仕直すとともにカウンターをリセットして数値を
零に戻し、更に測定を開始する。本発明の塗膜寿命評価
試験機（１）を用いては、瓶の樹脂被膜の寿命評価を行
なったが、これに限定されるものではなく、該塗膜寿命
評価試験機（１）は、あらゆる塗膜材による塗膜の測定
が可能である。

【００１５】

【効果】本願発明の塗膜検査方法は、従来の鉛筆硬度検
査方法の塗膜の硬度測定のみ、碁盤目試験方法の塗膜の
接着性の測定のみと異なり、寿命の評価が出来、両測定
方法の断続的測定に対して連続しての評価が可能であ
る。しかも、塗膜した被試験体を固着し、測定子をスタ
ート位置にセット、諸条件を入力することで、自動で測
定が可能である。従来の硬度の測定、接着性の測定とは
異なり、塗膜の寿命を評価するという全く目的を異にし
た発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の塗膜寿命評価試験機の正面図。

【図２】本発明の塗膜寿命評価試験機の平面図。

【図３】図２のＡ−Ａ視図（左側面図）

【図４】本発明の測定子の先端拡大図。

【符号の説明】

１ 塗膜寿命評価試験機 ２ 水平基台 ３ 立脚台 ４ リニアモーター ５ 荷重測定装置 ６ 保持具 ７ 被試験体 ８ 測定子 ９ 脚杆 10 制御ボックス 11 リニアガイド 12 プレート 13 軸受け 14 水平軸 15 ラック 16 連結杆 17 リニアブッシュ 18 錘り 19 載せ皿 20 軸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 物品の表面を塗膜し、該塗膜の寿命を評
   価する試験装置において、試験機本体の水平基台上
   （２）に装架された立脚台（３）にリニアモーター
   （４）を設置し、該リニアモーター（４）の送り機構に
   取付けられた垂直昇降可能なる荷重積載装置（５）と、
   荷重積載装置（５）の垂下に被試験体（７）を固定する
   保持具（６）を設け、薄膜を塗膜した被試験体（７）を
   装着し塗膜の寿命を評価をすることを特徴とする塗膜寿
   命評価試験機（１）。
2. 【請求項２】 特許請求の範囲の請求項１に記載の塗膜
   寿命評価試験機（１）において、荷重積載装置（５）に
   用いる測定子（８）の先端を鍋底形状にしたことを特徴
   とする測定子（８）。