JPH082524B2 - 改質木材の製造方法 - Google Patents

改質木材の製造方法

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JPH082524B2
JPH082524B2 JP18430587A JP18430587A JPH082524B2 JP H082524 B2 JPH082524 B2 JP H082524B2 JP 18430587 A JP18430587 A JP 18430587A JP 18430587 A JP18430587 A JP 18430587A JP H082524 B2 JPH082524 B2 JP H082524B2
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water
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宏人 勝部
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宏人 勝部
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、安定した高い不燃性を示す改質木材の製
造方法に関するものである。
[従来技術とその問題点] 従来、木材に不燃性を付与した改質木材を製造する方
法として、特開昭61−246002号公報や特開昭62−39201
号公報等において、不燃性の無機質化合物を、木材組織
内に分散して定着させる改質木材の製法が示されてい
る。
これらの公報に示されている改質木材の製法は、不燃
性の無機質化合物の超微粒子を水に分散させた分散液に
木材を浸し、木材組織内に上記無機超微粒子を分散させ
た後、木材を乾燥させて、木材組織内に分散された無機
超微粒子を定着させるようになっている。
ここで、上記のように無機超微粒子を木材組織内に分
散させるにあたり、無機超微粒子を木材組織の細胞内孔
まで充分に浸透させるためには、無機超微粒子が木材組
織における細胞壁孔であるピットメンブランを通過する
ようにしなければならない。
しかし、これらの公報に示されるように、無機質超微
粒子を水に分散させた分散液を用いた場合、これに木材
を浸すと、木材が分散液中の水を吸収して木材組織が膨
潤し、ピットメンブランの間隙が狭くなり、このため無
機超微粒子がピットメンブランを通過しにくくなって、
木材組織の細胞内孔まで充分に浸透されず、木材に充分
な不燃性を付与することが出来ないという問題があっ
た。
また、無機超微粒子を含浸させた後で木材を乾燥させ
る場合においても、水と木材との親和力が高いため、乾
燥に多くの時間を要するという問題もあった。
[発明の目的] この発明は、上記のような問題を解決せんとしてなさ
れたものであり、水不溶性でかつ不燃性の無機化合物の
微粉体を木材組織に浸透させるにあたり、木材組織が膨
潤してピットメンブランが狭くなることがなく、上記無
機化合物の微粉体が、木材組織の細胞内孔まで充分に浸
透され、また含浸後における木材の乾燥も短時間で行え
る改質木材の製造方法の提供を目的とするものである。
[問題点を解決するための手段及び作用] この発明においては、水不溶性でかつ不燃性の無機化
合物の微粉体を疎水性の有機溶媒中に分散させた懸濁液
を用い、この懸濁液に木材を浸漬させて、木材中にこの
懸濁液を含浸させた後、木材を乾燥させて有機溶媒を除
去し、前記無機化合物の微粉体を木材内に定着させるよ
うにしたのである、 ここで、水不溶性でかつ不燃性の無機化合物として
は、二酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化アンチモ
ン,炭酸カルシウム,燐酸カルシウム,燐酸バリウム,
硼酸カルシウム等を使用することができ、またこのよう
な無機化合物の微粉体としては、上記ピットメンブラン
の空隙の大きさが平均0.1μmであるため、その直径0.1
μm以下の微粉体を用いるようにする。
一方、このような無機化合物の微粉体を分散させる疎
水性の有機溶媒としては、トルエン,キシレン等の芳香
族系溶媒、リグロイン,ケロシン等の脂肪族系溶媒、パ
ークロルエチレン,トリクロルエタン,フロロクロルエ
タン等のハロゲン化溶媒等を使用することができる。
そして、このような疎水性の有機溶媒に無機化合物の
微粉体を分散させ、この懸濁液中に処理を行う木材を浸
漬させて、木材中に無機化合物の微粉体が分散した懸濁
液を含浸させるのである。
このように、この発明においては、懸濁液の溶媒に疎
水性の有機溶媒を用いているため、木材組織が溶媒を吸
収して膨潤するということがなく、ピットメンブランが
乾燥時の開いた一定の寸法に保たれ、上記無機化合物の
微粉体がピットメンブランを通り、木材組織の細胞内孔
まで簡単に浸透されるようになる。
ここで、木材中に懸濁液を含浸させる場合、木材を懸
濁液中に浸漬させた状態で減圧し、木材に含まれる空気
を排出させた後、常圧もしくは加圧下で木材中に懸濁液
を含浸させるようにすると、懸濁液が木材の内部まで短
時間で容易に注入されるようになる。
このようにして木材中に無機化合物の微粉体が分散し
た懸濁液を含浸させた後、木材を乾燥させて有機溶媒を
除去し、前記無機化合物の微粉体を木材内に定着させる
のである。
この場合、疎水性の有機溶媒の方が水に比べて蒸発し
やすく、かつ木材との親和力も弱いため、乾燥が容易に
行える。
また、上記無機化合物の微粉体の表面を親油性の界面
活性剤で処理しておくと、この無機化合物の微粉体が、
疎水性の有機溶媒に均一にかつ安定して分散されるよう
になると共に、水への不溶性が増し、木材内に分散され
た後も、木材中における水によって溶脱されることも少
なくなる。
[実施例] 次に、この発明の実施例を具体的に説明すると共に、
溶媒に水を用いた比較例の場合と比較し、この実施例の
ものが優れていることを明らかにする。
この実施例においては、水不溶性でかつ不燃性の無機
化合物の微粉体として、親油性の界面活性剤で表面処理
された五酸化アンチモン(Sb2O5)の微粉体(日産化学
工業(株)製品サンエポック NA−4800)を使用し、ま
た疎水性の有機溶媒にはトルエンを使用した。
そして、上記五酸化アンチモンが30重量%、トルエン
が70重量%になるようにして、上記五酸化アンチモンを
トルエン中に分散させ、この実施例において使用する懸
濁液を調整した。なお、この懸濁液の25℃における比重
は1.32であった。
一方、処理を行う試験材には、1.7cm×5cm×3cmの杉
の辺材を2個用いた。この杉の辺材2個の重量は18.0
g、比重は0.35g/cm3、含水率は7.9%であった。
そして、この2個の試験材中の空気を抜いた後、懸濁
液を試験材中に含浸させるため、先ず2個の試験材を65
0mmHgの減圧下で上記懸濁液に20分間浸漬させた後、さ
らに20分間常圧で懸濁液中に放置した。
このようにして懸濁液を含浸させた後、2個の試験材
の重量を測定すると60.7gになっており、2個の試験材
に42.7gの懸濁液が含浸されていた。
そして、この懸濁液の含浸量を木材1m3あたりの含浸
量に換算すると837kg/m3であり、木材1m3あたりに含浸
される五酸化アンチモンの量は251kg/m3であった。
また、この五酸化アンチモンの含浸量を、乾燥された
木材1m3の重量(324.4kg)に対する重量比で表すと77.4
%であった。
比較例 溶媒に水を使用した比較例として、比較例Aでは五酸
化アンチモンが48重量%の分散液を、比較例Bでは五酸
化アンチモンが24重量%の分散液を用いた。
また、処理を行う試験材には、前記実施例と同様に1.
7cm×5cm×3cmの杉の辺材を2個用いた。なお、この杉
辺材2個の重量は19.0g、比重は0.37g/cm3、含水率は7.
9%であった。
そして、2個の試験材中の空気を抜いた後、分散液を
試験材中に含浸させるため、前記実施例とほぼ同様に、
2個の試験材を700mmHgの減圧下でそれぞれの分散液に2
0分間浸漬させた後、さらに20分間常圧でこれらの分散
液中に放置した。
そして、各分散液を含浸させた2個の試験材の重量を
測定すると、比較例Aでは33.5g、比較例Bでは48.8gに
なっており、比較例Aでは14.5g、比較例Bでは29.8gの
分散液が含浸された。
そして、この分散液の含浸量を、木材1m3あたりの含
浸量に換算すると、比較例Aでは280kg/m3、比較例Bで
は584kg/m3となっており、木材1m3あたりに含浸される
五酸化アンチモンの量は、比較例Aでは134.4kg/m3、比
較例Bでは140.2kg/m3となっていた。
また、比較例A,Bにおける五酸化アンチモンの含浸量
を、乾燥された木材1m3の重量(343kg)に対する重量比
で表すと、比較例Aでは39.2%、比較例Bでは40.9%で
あった。
このように、溶媒に水を使用した比較例A,Bのものに
おいては、乾燥された木材に含浸される五酸化アンチモ
ンの量が、上記実施例のものに比べて著しく低くなって
いた。
この結果、上記実施例のように、五酸化アンチモンを
トルエン中に分散させた懸濁液に木材を浸漬させるよう
にすると、木材に不燃性を付与する五酸化アンチモンが
木材組織中に多く分散され、木材の不燃性が高められ
る。
[発明の効果] 以上詳述したように、この発明に係る改質木材の製造
方法においては、水不溶性でかつ不燃性の無機化合物の
微粉体を分散させる溶媒に疎水性の有機溶媒を用い、溶
媒の吸収による木材組織の膨潤を抑制して、ピットメン
ブランを乾燥時の開いた一定の寸法に保つようになって
いる。
このため、この発明によれば、懸濁液中の上記無機化
合物の微粉体が、簡単にビットメンブランを通って木材
組織の細胞内孔まで充分に分散されるようになり、安定
した高い不燃性を示す改質木材を製造できるようにな
る。
また、木材に懸濁液を含浸させた後、木材を乾燥させ
るにあたっても、この発明のように疎水性の有機溶媒を
用いた場合には、水を溶媒とした従来のものに比べ、乾
燥時間を短縮化することができ、改質木材を効率良く製
造できるようになる。
さらに、上記無機化合物の微粉体の表面を親油性の界
面活性剤で処理しておくと、有機溶媒中に均一にかつ安
定して分散され、木材組織の細胞内孔への分散も均一に
行われるようになると共に、水への水溶性も増し、木材
内への分散後における、木材中の水による溶脱も少なく
なり、より高く安定した不燃性が得られるようになる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水不溶性でかつ不燃性の無機化合物の微粉
    体を疎水性の有機溶媒中に分散させた懸濁液を、木材中
    に含浸させた後、木材を乾燥させて有機溶媒を除去し、
    前記無機化合物の微粉体を木材内に定着させるようにし
    たことを特徴とする改質木材の製造方法。
  2. 【請求項2】前記無機質化合物の微粉体として、その表
    面を親油性の界面活性剤で処理したものを用いたことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の改質木材の製造
    方法。
JP18430587A 1987-07-22 1987-07-22 改質木材の製造方法 Expired - Lifetime JPH082524B2 (ja)

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