JPH08250787A - 固体レーザ発振装置 - Google Patents

固体レーザ発振装置

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JPH08250787A
JPH08250787A JP4839995A JP4839995A JPH08250787A JP H08250787 A JPH08250787 A JP H08250787A JP 4839995 A JP4839995 A JP 4839995A JP 4839995 A JP4839995 A JP 4839995A JP H08250787 A JPH08250787 A JP H08250787A
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JP
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laser
laser medium
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solid
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JP4839995A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Takeuchi
清 武内
Tomoyasu Noda
智靖 野田
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Shinmaywa Industries Ltd
Original Assignee
Shin Meiva Industry Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱レンズ効果等による光学的歪みを補正しつ
つ、小型化する。 【構成】 2本のスラブ型レーザ媒質21,22を平行
に配置し、両レーザ媒質21,22間に励起光源41で
あるフラッシュランプを挿入配置し、両レーザ媒質2
1,22の端面近傍に、一方のレーザ媒質からの出射光
を他方のレーザ媒質に入射させる一対の反射鏡31,3
2を配置し、反射鏡31,32間に像反転用プリズム
(イメージローテータプリズム)33を挿入する。 【効果】 一方のレーザ媒質の励起手段から遠隔した位
置を通った光が他方のレーザ媒質の励起手段から接近し
た位置を通過するように角度設定する。イメージローテ
ータプリズムは場所をとらずに済むため、装置の大型化
を避けることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、YAGレーザやガラス
レーザ等レーザ媒質を用いたスラブ型固体レーザ発振装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】{第1の従来例の概要}図7は、第1の
従来例として特開平3−66185号公報に開示された
固体レーザ発振装置を示した構成図である。図7中、
(a)は正面図を、(b)は平面図を夫々示している。
【0003】当該固体レーザ発振装置では、レーザ媒質
としてスラブ型の形状を有するYAG結晶1を用いてい
る。YAG結晶1の断面は矩形に形成されており、その
長手方向の両端部には夫々厚さ方向に対してベベル加工
(ブリュスター角を考慮したもの)がなされている。ま
た、YAG結晶1の上面2および下面3に対向するよう
に、フラッシュランプ4(KrアークランプやXeアー
クランプ等)が励起用光源として配置されている。さら
にベベル加工されたYAG結晶1の両端面5、6に対向
するように、夫々出力鏡7および反射鏡8が配置されて
いる。なお、反射鏡8は、図7(b)に示すように、W
型形状に構成されている。
【0004】当該固体レーザ発振装置がこのような構成
を備えるのは、YAG結晶1の厚み方向および幅方向に
対して、熱レンズ効果が発生するのを防止するためであ
る。この熱レンズ効果は、周知の通り、励起光によって
レーザ媒質(YAG結晶1等)内に生じる熱の温度分布
に起因するものである。すなわち、当該固体レーザ発振
装置では、YAG結晶1の中心部が最も温度が高く、周
囲に向かうにつれて温度は低くなる。YAG結晶1の屈
折率の温度係数は正であるため、その中心部程屈折率が
高くなることになる。このため、YAG結晶1内では、
光の屈折率分布が発生し、光路差が発生することとなる
(熱レンズ効果)。
【0005】そこで第1の従来例では、レーザ媒質とし
てスラブ型のYAG結晶1を用いると共に、その両端面
5、6を共に厚み方向に対してベベル加工を施してい
る。これにより、レーザ光は、YAG結晶1の上面2お
よび下面3において反射を繰り返しながらYAG結晶1
内をジグザグに伝播すると共に、反射鏡8と出力鏡7と
の間を共振することとなる。その結果、厚み方向に対し
ては屈折率分布は均一化されることとなる。
【0006】一方、幅方向に対しては、熱レンズ効果等
の発生は次のように防止される。図7(b)に示すよう
に、W型形状の反射鏡8の中央の頂点9はYAG結晶1
の幅方向の中心位置に設置されているため、中心位置付
近を通ったレーザ光は当該反射鏡8によってほぼ90度
で反射され、再びYAG結晶1の側面部付近を通ること
となる。しかも当該レーザ光は出力鏡7によって反射さ
れて側面部付近を通過した後、再び反射鏡8によって反
射された上、中心付近を通過することとなる。したがっ
て、幅方向に対する屈折率分布もまた均一化され、熱レ
ンズ効果等の発生が防止されることとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
{第1の従来例の課題}しかしながら、第1の従来例で
は次のような問題点が発生していた。
【0008】 レーザ媒質(1)の両端部を高精度で
ベベル加工することが困難であることから、図7(a)
に示すようなジグザグの光路を確保することが難しく、
また、常温時においてもレーザ媒質内の屈折率分布は均
一でないことから、仮に上記ジグザグ光路をレーザ媒質
内に確保することが出来たとしても、反射を繰り返すこ
とによって屈折率分布を媒質内全域に亘り均一化するこ
とは極めて困難なものとなる。したがって、厚み方向に
おける熱レンズ効果等を確実に補正することが出来なか
った。
【0009】 上記ベベル加工はその精度の低さに加
えて、加工費が高いという問題点をも内包している。ま
た、第1の従来例では反射鏡としてW型構造のものを採
用しているが、そのような形状をミラー等によって形成
することは容易でなく、その光軸調整もまた困難なもの
である。このような加工費のアップや調整時間の増大
は、固体レーザ発振装置自身のコストをも増大させる結
果となる。
【0010】 さらに第1の従来例では、YAG結晶
1としてのレーザ媒質自身の寸法を大きくすることは製
造上制限があり、必要な出力に見合っただけの寸法を実
現出来る保証はない。また、当該レーザ媒質の寸法を大
きくすると、それに伴ってW型形状の反射鏡自身をも大
きな寸法とする必要が生じるが、その実現の困難性およ
び光軸調整の困難性が生じるため、現実にはレーザ媒質
の寸法には限りがあった。したがって、高出力のレーザ
光を得ることが困難であった。
【0011】{第2の従来例の概要}第2の従来例(特
開平6−268292号公報参照)は、上記第1の従来
例の有する〜の問題点を解決すべく、熱レンズ効果
等による光学的歪みを確実に補正し、また高出力のレー
ザ光を出力するよう提案されたもので、図8の如く、第
1レーザ媒質11および第2レーザ媒質12の間に、フ
ラッシュランプ13を等距離で且つ平行に配置し、3つ
の鏡14,15,16より構成され端面17および18
の近傍に配置された反射鏡系19によって、両レーザ媒
質11,12内の光路を非鏡面対称としている。なお、
図8中の符号20aは出力鏡、20bは反射鏡である。
【0012】ここで、レーザ光の光路は次のようにな
る。まず、第1レーザ媒質11の強励起部(距離xA
を通ったレーザ光LAは、第2レーザ媒質12の弱励起
部(距離T−xA)を通る。逆に弱励起部(距離xB
を通ったレーザ光LBは、強励起部(距離T−xB)を
通ることとなる。
【0013】これにより、 1) 反射鏡系19によって、両レーザ媒質11,12
内のレーザ光の光路を、互いに断面方向に関して反転さ
せているため、各レーザ媒質11,12に生じる温度勾
配をキャンセルすることができ、その結果、熱レンズ効
果等の光学的歪を確実に補正することができる。これに
より、レーザ光のゲイン分布をレーザ媒質内全体に対し
一ようにすることが可能となる。
【0014】2) レーザ媒質として一対のレーザ媒質
11,12を用いており、しかも上述したように各レー
ザ媒質を均一に光励起しているので、レーザ光の高出力
化を容易に達成することができる。このように、1)、
2)より、ビーム性能の良好なレーザ光を出力すること
ができる。
【0015】3) また、光学系(両レーザ媒質11,
12、フラッシュランプ13、反射鏡系19等)の簡単
な構成ないしは組合せによって上述の1)、2)を達成
しているため、その光軸調整を第1の従来例と比較して
格段に容易なものとすることが可能である。さらに第2
の従来例では、第1の従来例のようにレーザ媒質を特別
な形状に加工する必要がないため、レーザ媒質11,1
2の加工費用を格段に低減せしめることが可能となる。
【0016】4) さらに、フラッシュランプ13の両
側にレーザ媒質11,12を配置しているため、励起光
を有効に用いることができる。
【0017】{第2の従来例の課題}しかしながら、第
2の従来例の反射鏡系19では、鏡14〜16によって
像を反転させるためには、1個の鏡(15)を一方のレ
ーザ媒質(12)の幅方向の外側に配置し、当該鏡(1
5)で反射させた光を軸方向の外側の鏡(16)でさら
に反射させて一方のレーザ媒質(12)の端面18に進
入させる必要があった。すなわち、鏡(15)を両レー
ザ媒質の配置領域よりも外側に外み出して配置する必要
があり、反射鏡系19をコンパクト化することができな
くなる。このことは、小型化が要求される近年の産業界
の要請に十分に答えることができない要因のひとつとな
っていた。
【0018】本発明は、上記課題に鑑み、第1の従来例
において問題とされていた熱レンズ効果等による光学的
歪みを確実に補正し、また高出力のレーザ光を出力する
と同時に、第2の従来例において問題とされていた小型
化の要請に対応し得るスラブ型固体レーザ発振装置を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
課題解決手段は、互いに平行配置され、同一の所定の厚
みを有する第1レーザ媒質および第2レーザ媒質と、前
記両レーザ媒質に対し等距離でしかも平行となるように
当該両レーザ媒質間に配置された光励起手段と、前記第
1レーザ媒質の一端に対面して配置された出力鏡と、前
記第2レーザ媒質の一端に対面して配置された反射鏡
と、前記第1レーザ媒質の他端と第2レーザ媒質の他端
間の光路上に配置された反射系とを備えている。
【0020】前記反射系は、前記第1レーザ媒質の他端
の近傍に所定の角度で傾斜して配置された第1の反射鏡
と、前記第1の反射鏡に対向配置され前記第2レーザ媒
質の他端の近傍に所定の角度で傾斜して配置された第2
の反射鏡と、該両反射鏡の間でかつ前記光励起手段の端
部近傍に配置された像反転素子とから構成されている。
【0021】望ましくは、前記像反転素子としては、本
発明の請求項2のように、180度の完全な像回転をな
すイメージローテータプリズムが用いられる。
【0022】あるいは、本発明の請求項3のように、イ
メージローテータプリズムに代えて、タブタイププリズ
ムが用いられる。
【0023】あるいは、前記像反転素子としては、本発
明の請求項4のように、イメージローテータプリズムに
代えて、完全な像反転をなすレンズが用いられる。
【0024】
【作用】本発明請求項1、請求項2、請求項3および請
求項4に係る固体レーザ発振装置では、まず光励起手段
にてその両側のレーザ媒質を励起する。このとき、発生
する熱により、レーザ媒質中に温度勾配が発生する。か
かる温度は、レーザ媒質において光励起手段に近接する
ほど高くなり、温度勾配によって光学的歪みが発生する
おそれがある。そこで、光励起手段に対面した第1レー
ザ媒質の面から厚み方向に距離x(x≦T、なお、Tは
各レーザ媒質の厚みである)だけ離れた第1レーザ媒質
内の光路を通ったレーザ光が、反射鏡系を通って第2レ
ーザ媒質内に入射した後は、光励起手段に対面した第2
レーザ媒質の面から厚み方向に距離(T−x)だけ離れ
た光路を通るようにする。すなわち、像反転素子にて第
1レーザ媒質と第2レーザ媒質内の像を反転させること
で、第1レーザ媒質中の外側の光路を第2レーザ媒質中
で内側にし、第1レーザ媒質中の内側の光路を第2レー
ザ媒質中で外側にする。そうすると、光は光路中で均一
に励起されるため、光学的歪みを緩和でき、ビーム性能
のよいレーザ光が得られる。
【0025】
【実施例】
<構成>図1は本発明の一実施例のスラブ型固体レーザ
発振装置の正面図を模式的に示した光学的構成図であ
る。したがって、図1には必要な構成部分のみが描かれ
ており、レーザ媒質冷却用の冷却水や励起光源の電源等
の図示化は省略されている。また、図1に示した断線I
−Iに関する断面図を図2に示す。各部の構成は、次の
通りである。
【0026】該固体レーザ発振装置では、レーザ媒質と
して、YAG結晶やガラス等よりなる2つのスラブ型の
レーザ媒質が用いられる。以後、レーザ媒質21を第1
レーザ媒質と、レーザ媒質22を第2レーザ媒質と呼ぶ
こととする。第1および第2レーザ媒質21,22は、
共に幅方向および長手方向の断面が矩形型のスラブ形状
を有している。しかも両媒質21,22は、共に厚みT
を有しており、互いに平行配置されている。第1レーザ
媒質21の一方の端面23側には出力鏡24が配置され
ており、また、第2レーザ媒質22の一方の端面25側
には反射鏡26が配置されている。なお、該出力鏡24
および反射鏡26はレーザ共振器を構成している。
【0027】また、第1レーザ媒質21の他方の端面2
7および第2レーザ媒質22の他方の端面28の近傍に
は、両レーザ媒質21,22の間で光を反射して受け渡
すための反射系29が配置されている。該反射系29
は、前記第1レーザ媒質21の他方の端面27の近傍に
配置された第1の反射鏡31と、前記第2レーザ媒質2
2の他方の端面28の近傍に配置された第2の反射鏡3
2と、該両反射鏡31,32の間に配置された像反転素
子33より構成されており、後述するように、一方のレ
ーザ媒質内の強励起部を通ったレーザ光が他方のレーザ
媒質内の弱励起部を通るように構成されている。
【0028】前記第1の反射鏡31は、前記第1レーザ
媒質21からの光を進行方向に対して直角(90度)に
変化させて前記第2の反射鏡32側へ反射させるよう、
第1レーザ媒質21の長手方向軸に対して45度傾斜し
て配置される。また、前記第2の反射鏡32は、前記第
2レーザ媒質22からの光を進行方向に対して直角(9
0度)に変化させて前記第1の反射鏡31側へ反射させ
るよう、第2レーザ媒質22の長手方向軸に対して45
度傾斜して配置される。これにより、前記両反射鏡3
1,32は直線S−Sを対称軸として八字型に線対称配
置される。
【0029】前記像反転素子33は、図3の如く、18
0度の完全な像回転をなすイメージローテータプリズム
が使用され、前記反射鏡31,32の中間位置に配置さ
れる。ここで、イメージローテータプリズムとは、図3
の如く、相対角度90度の二面(屋根部反射面)34
a,34bを有する屋根形プリズムについて、さらに入
出射面35a,35bを法線方向に通過する光を屋根部
反射面34a,34bに向けて夫々所定の角度に反射さ
せるための反射面36a,36bが形成された一般的な
ものである。
【0030】さらに該固体レーザ発振装置では、第1お
よび第2レーザ媒質21,22の間に、光励起手段41
が配置される。本実施例では、光励起手段41として、
2つのフラッシュランプ42,43(Krアークランプ
やXeアークランプ等)が用いられており、前記両媒質
21,22の間に対称的に配置されている。しかも図2
に示すように、光励起手段41の中心軸44が両媒質2
1,22間の中央に位置するように、光励起手段41が
配置されている。なお、図2中の符号dは光励起手段4
1の中心軸44から前記各レーザ媒質21,22までの
離間距離である。図2より明らかなように、該固体レー
ザ発振装置の厚み方向の断面に関しては、中心軸44を
含む平面に対して面対象な光学的配置となっている。
【0031】<動作原理>上記構成の固体レーザ発振装
置における動作原理を、図1および図4に基づいて説明
する。ここで図4は、第1および第2レーザ媒質21,
22内の屈折率分布を示した説明図である。
【0032】まず、第1レーザ媒質21内の強励起部
(図1の距離xA の位置)を通ったレーザ光LAは、反
射系29の第1の反射鏡31によって直角に反射し、図
3の如く、像反転素子33の一方の入出射面35a(入
射面)から法線方向に進入する。そして、当該光は一方
の反射面36aで下方へ反射した後、さらに屋根部反射
面34a,34bおよび他方の反射面36bにて反射
し、他方の入出射面35b(出射面)から法線方向へ出
射する。ここで、出射面35bから出射された光の像
(例えば図3中の文字「P」:なお、実際には文字等の
像が入出射される分けではないが、ここでは理解を容易
にする便宜上図示している)は、入射面35aに入射し
た光の像に対して180度回転(反転)した状態となっ
ている。出射面35bから出射した光は、図1の如く、
第2の反射鏡32によって直角方向に反射され、第2レ
ーザ媒質22の他方の端面28に進入する。第2レーザ
媒質22内においては、光は第1レーザ媒質21内とは
逆に外側の弱励起部(距離T−xA の位置に該当)を通
ることとなる。
【0033】同様に、第1レーザ媒質21の外側の弱励
起部(距離xB の位置に該当)を通ったレーザ光LB
は、各鏡31,32によって同じく順次反射された後、
第2レーザ媒質22内の強励起部(距離T−xB の位置
に該当)を通ることとなる。
【0034】すなわち、レーザ光LA、LBは、反射鏡
26および出力鏡24の間で往復を繰り返すこととなる
ので、第2レーザ媒質22から第1レーザ媒質21へと
進む場合にも同様に像が反転することとなる。このよう
に該固体レーザ発振装置では、反射系29によって各レ
ーザ媒質内のレーザ光の光路を断面方向に関して反転さ
せた状態となっている。
【0035】ここで、本実施例の固体レーザ発振装置で
は、フラッシュランプ42,43の両側に第1レーザ媒
質21および第2レーザ媒質22を配置しているため、
各レーザ媒質21,22内に光励起によって生じる熱温
度分布は図4のようになる。すなわち、レーザ媒質の
内、フラッシュランプ42,43に対面した面側部分の
温度が最も高く、そこから中心に向かって遠ざかるにつ
れて温度は低下するといった温度勾配が発生する。この
ため屈折率分布は、図4中、第1レーザ媒質21におい
てはn1のように、第2レーザ媒質22においてはn2
のようになる。一般に、固体レーザ発振装置では水冷を
行い熱の除去を行うが、熱温度分布を完全に均一にする
のには限界がある。
【0036】そこで、本実施例では、この温度勾配を利
用し、これにより光の歪みのないレーザ光を発生させ
る。すなわち、反射系29を、図1の如く、線対称に配
された一対の反射鏡31,32と像反転素子としてのイ
メージローテータプリズム33で構成しているので、上
述のように、反射系29によって各レーザ媒質内のレー
ザ光の光路を断面方向に関して反転させることができ、
したがって、屈折率分布n1を有する第1レーザ媒質2
1を通過したレーザ光は、屈折率分布n1a(屈折率分
布nlに相当)で示される光学的歪みを受けた状態で、
第2レーザ媒質22内へ入射することとなり、屈折率分
布n2はキャンセルされ、第2レーザ媒質22における
屈折率分布は均一な屈折率分布n20となる。同様に、
第2レーザ媒質22から第1レーザ媒質21へと入射す
るレーザ光は、屈折率分布n2aで示されるような光学
的歪みを受けた状態であるため、第1レーザ媒質21の
屈折率分布n1もまたキャンセルされることとなり、均
一な屈折率分布n10となる。このようにして、第1お
よび第2レーザ媒質21,22内のゲイン分布はレーザ
媒質全域に亘って均一化されることとなる。
【0037】本実施例では、フラッシュランプ42,4
3を両レーザ媒質21,22に対し対称に配置している
ため、励起光は両レーザ媒質21,22へ均等に入射す
ることとなる。したがって、フラッシュランプ42,4
3の励起光を効率良く使用することが可能となる。しか
も本実施例では、2つのフラッシュランプ42,43を
使用しているため、光励起手段41の励起パワーを高め
ることが可能である。また、レーザ媒質として2つの媒
質を利用しているため、吸収領域が増す結果、容易に高
出力のレーザ光を発振させることが可能である。
【0038】なお、本実施例では、厚み方向の熱レンズ
効果等を補正することが可能であるが、一方、幅方向に
関しては、厚み方向に対して行ったような温度勾配のキ
ャンセルはなされていない。しかし、幅方向への励起光
の光量分布の不均一は僅かであり、実際上は厚み方向に
おける熱レンズ効果等の影響よりも無視できる程度であ
る。そのため、本実施例では、従来技術で行われていた
ような幅方向への補正を行っておらず、厚み方向への確
実な補正の実現に着眼点を置いている。また、本実施例
では2つのフラッシュランプ42,43を用いて両レー
ザ媒質21,22を均等に照明しているため、幅方向へ
の熱レンズ効果等は殆ど生じていないものと考えられ
る。
【0039】以上のように、本実施例では厚み方向の屈
折率勾配を容易にキャンセルすることが出来るため、ビ
ーム性能の良好なレーザ光(光学的歪みの無い、高出力
レーザ光)を得ることが出来る。しかも、高出力化に際
しレーザ媒質の寸法を特別に大きくする必要がなく、ま
た、ベベル加工のような特別な加工をも必要としないた
め、レーザ媒質の加工費用等の部材費を大幅に低減する
ことが出来る。しかも、図1の構成から明らかな通り、
簡単な光学的組み合わせを用いているのみであり、該固
体レーザ発振装置の組立およびその光軸調整は、極めて
容易であることが理解される。
【0040】さらに、本実施例では、像反転素子33と
して図3に示したようなイメージローテータプリズムを
使用し、さらに、両レーザ媒質21,22の間の空間、
すなわち光励起手段41を配置するための空間を利用し
て像反転素子33を配置しているので、図1の如く、反
射系29の寸法を両レーザ媒質21,22の配置寸法に
ほぼ一致させることができる。したがって、例えば多数
の反射鏡のみを用いて像反射させていた第2の従来例に
比べて、両レーザ媒質21,22の幅方向の外側に反射
系29が外み出すのを防止でき、その分、反射系29の
占める空間容積を低減でき、小型化が要求される近年の
産業界の要請に十分に答えることができる。
【0041】<変形例> (1) 上記実施例では、像反転素子33として、図3
に示したようなイメージローテータプリズムを使用して
いたが、図5に示したようなタブタイププリズムを使用
してもよい。当該タブタイププリズムは、図5の如く、
両端部で互いに対向する一対の入出射面46a,46b
を傾斜させることで入出射光を屈折させ、内部反射面4
7で反射させることで像を反転させるもので、上記実施
例と同様の作用および効果を奏する。
【0042】(2) あるいは、像反転素子33として
図6のような一般的なレンズを使用し、当該レンズの焦
点位置に前記両反射鏡31,32を配置することで像反
転を行ってもよい。この場合も、上記実施例と同様の作
用および効果を奏する。
【0043】
【発明の効果】本発明請求項1によると、第1レーザ媒
質の他端と第2レーザ媒質の他端間の光路上に配置され
た反射系を、互いに対向配置された一対の反射鏡と、両
反射鏡の間に配置された像反転素子とで構成しているの
で、像反転素子にて第1レーザ媒質と第2レーザ媒質内
の像を反転させることで、第1レーザ媒質中の外側の光
路を第2レーザ媒質中で内側にし、第1レーザ媒質中の
内側の光路を第2レーザ媒質中で外側にすることができ
る。したがって、光を光路中で均一に励起することがで
き、光学的歪みを緩和でき、ビーム性能のよいレーザ光
が得られるという効果がある。
【0044】また、像反転素子を両反射鏡の間でかつ光
励起手段に対応する位置に配置しているので、反射系の
寸法を両レーザ媒質の配置寸法にほぼ一致させることが
できる。したがって、例えば多数の反射鏡のみを用いて
像反射させていた第2の従来例に比べて、両レーザ媒質
の幅方向の外側に反射系が外み出すのを防止でき、その
分、反射系の占める空間容積を低減でき、小型化が要求
される近年の産業界の要請に十分に答えることができる
という効果がある。特に、請求項2、請求項3および請
求項4によると、像反転素子として、イメージローテー
タプリズム、タブタイププリズムまたはレンズを使用し
ているので、光励起手段とレーザ媒質を可及的に近接さ
せても、光励起手段に対応する位置に像反転素子を収め
ることができ、結果として両一対の反射鏡の離間距離を
低減でき、像反転素子の占有空間容積を可及的に低減で
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のスラブ型固体レーザ発振装
置を示す図である。
【図2】図1の断線I−Iに関する断面図である。
【図3】本発明の一実施例のスラブ型固体レーザ発振装
置の像反転素子を示す図である。
【図4】本発明の一実施例のスラブ型固体レーザ発振装
置における第1および第2レーザ媒質内の屈折率分布を
示す説明図である。
【図5】本発明の一の変形例のスラブ型固体レーザ発振
装置の像反転素子を示す図である。
【図6】本発明の他の変形例のスラブ型固体レーザ発振
装置の像反転素子を示す図である。
【図7】第1の従来例のスラブ型固体レーザ発振装置を
示す図である。
【図8】第2の従来例のスラブ型固体レーザ発振装置を
示す図である。
【符号の説明】
21,22 レーザ媒質 24 出力鏡 26 反射鏡 29 反射系 31 第1の反射鏡 32 第2の反射鏡 33 像反転素子 41 光励起手段 42,43 フラッシュランプ LA レーザ光 LB レーザ光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行配置され、同一の所定の厚み
    を有する第1レーザ媒質および第2レーザ媒質と、 前記両レーザ媒質に対し等距離でしかも平行となるよう
    に当該両レーザ媒質間に配置された光励起手段と、 前記第1レーザ媒質の一端に対面して配置された出力鏡
    と、 前記第2レーザ媒質の一端に対面して配置された反射鏡
    と、 前記第1レーザ媒質の他端と第2レーザ媒質の他端間の
    光路上に配置された反射系とを備え、 前記反射系は、 前記第1レーザ媒質の他端の近傍に所定の角度で傾斜し
    て配置された第1の反射鏡と、 前記第1の反射鏡に対向配置され前記第2レーザ媒質の
    他端の近傍に所定の角度で傾斜して配置された第2の反
    射鏡と、 該両反射鏡の間でかつ前記光励起手段の端部近傍に配置
    された像反転素子とから構成されることを特徴とする固
    体レーザ発振装置。
  2. 【請求項2】 前記像反転素子は、180度の完全な像
    回転をなすイメージローテータプリズムであることを特
    徴とする、請求項1記載の固体レーザ発振装置。
  3. 【請求項3】 前記像反転素子は、完全な像反転をなす
    タブタイププリズムであることを特徴とする、請求項1
    記載の固体レーザ発振装置。
  4. 【請求項4】 前記像反転素子は、完全な像反転をなす
    レンズであることを特徴とする、請求項1記載の固体レ
    ーザ発振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006156782A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 National Institute Of Information & Communication Technology レーザ発振器
WO2013162324A1 (ko) * 2012-04-26 2013-10-31 원텍 주식회사 더블펄스 레이저 발생장치 및 더블펄스 레이저 발생방법
CN111585156A (zh) * 2020-05-18 2020-08-25 罗根激光科技(武汉)有限公司 一种纳秒级高功率红外脉冲固体激光器

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