JPH08250051A - マイクロチャネルプレート及び光電子増倍管 - Google Patents

マイクロチャネルプレート及び光電子増倍管

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JPH08250051A
JPH08250051A JP5092495A JP5092495A JPH08250051A JP H08250051 A JPH08250051 A JP H08250051A JP 5092495 A JP5092495 A JP 5092495A JP 5092495 A JP5092495 A JP 5092495A JP H08250051 A JPH08250051 A JP H08250051A
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英樹 鈴木
Kuniyoshi Yamauchi
邦義 山内
Atsushi Onoda
篤 小野田
Masahiko Iguchi
昌彦 井口
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    • H01J43/06Electrode arrangements
    • H01J43/18Electrode arrangements using essentially more than one dynode
    • H01J43/24Dynodes having potential gradient along their surfaces
    • H01J43/246Microchannel plates [MCP]
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J31/00Cathode ray tubes; Electron beam tubes
    • H01J31/08Cathode ray tubes; Electron beam tubes having a screen on or from which an image or pattern is formed, picked up, converted, or stored
    • H01J31/50Image-conversion or image-amplification tubes, i.e. having optical, X-ray, or analogous input, and optical output
    • H01J31/506Image-conversion or image-amplification tubes, i.e. having optical, X-ray, or analogous input, and optical output tubes using secondary emission effect
    • H01J31/507Image-conversion or image-amplification tubes, i.e. having optical, X-ray, or analogous input, and optical output tubes using secondary emission effect using a large number of channels, e.g. microchannel plates

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  • Image-Pickup Tubes, Image-Amplification Tubes, And Storage Tubes (AREA)
  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Common Detailed Techniques For Electron Tubes Or Discharge Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハロー現象及びフレア現象を抑制することに
よって光検出性能を向上させたマイクロチャネルプレー
ト及び光電子増倍管を提供する。 【構成】 マイクロチャネルプレート50は、(a)複
数個のチャネル管をプレート状に集束して構成された少
なくとも一つのダイノード51と、(b)複数個のチャ
ネル管の端部を配列したダイノード51の光電子入射側
表面に形成され、当該光電子の生成に起因した光に対し
て透過性を有し、かつ、当該光に対してダイノード51
を構成する材料よりも小さい屈折率を有する材料で構成
された導電性膜50とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の暗視装置や微弱
光二次元計測装置などに用いられるマイクロチャネルプ
レート及び光電子増倍管に関し、より詳細には、人間の
目に感知できない微弱な光学像を数万倍程度に増強する
ことにより、肉眼によって十分に見える光学像を生成す
るイメージインテンシファイア(I.I.; Image Intensif
ier )に用いられるマイクロチャネルプレート及び光電
子増倍管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イメージインテンシファイアにお
いては、微弱な光の下で使用されることが想定されてい
る。そのため、微弱な光よりも強い光が所定面上に照射
された場合、強い光の周囲が散乱光によって輝度を有す
るハロー現象や、強い光の周囲におけるバックグラウン
ドレベルが増大するフレア現象などの、諸現象の発生が
知られている。以下、ハロー現象について、より具体的
に説明する。
【0003】図9(a)に示すように、入力窓の内面に
形成された光電陰極40に強烈な第1のスポット光41
が入射した場合、図9(b)に示すように、第1のスポ
ット光41を増強した第2のスポット光61が出力窓の
内面に形成された蛍光体層60で生成する。このとき、
図9(b)に示すように、第2のスポット光61を中心
として所定の径を有する同心円内の範囲にハロー光62
が多重のハロー光成分63〜66を含んで生成する。
【0004】例えば、図10に示すように、蛍光体層6
0の表面では、直径約0.15mm及び輝度200ni
t程度の第2のスポット光61の周囲に、外径約1.0
mm及び輝度2nit未満のハロー光62が出現する。
ここでは、ハロー光62の輝度は、第2のスポット光6
1の輝度と比較して10-2倍以下である。
【0005】ここで、第2のスポット光61が比較的弱
い場合、ハロー光62は第2のスポット光61よりも相
対的に弱いので、イメージインテンシファイアによって
増強された光学像の画質に及ぼすハロー光62の影響は
顕著ではない。しかしながら、第2のスポット光61が
比較的強い場合、ハロー光62も第2のスポット光61
に対応して強くなるので、ハロー光62はイメージイン
テンシファイアによって増強された光学像の画質を著し
く劣化させてしまう。
【0006】なお、このようなイメージインテンシファ
イアに固有の特性であるハロー現象に関しては、文献 "MIL-I-49052D 3.6.9, 4.6.9" などに詳細に記載されている。
【0007】近年、このハロー現象を抑制するイメージ
インテンシファイアの開発が種々に試行されている。例
えば、蛍光体層に入射した電子流を検出することによ
り、この電子流の電流値が閾値を越えないように、マイ
クロチャネルプレート(MCP; Micro Channel Plate)等
に印加する電圧を制御することが行われている。そのた
め、MCP等で発生する過剰な電子が制限されるので、
蛍光体層で発生するハロー光が抑制される。
【0008】なお、このようなMCPの印加電圧を制御
する先行技術に関しては、公報「特公昭63−2978
1号」などに詳細に記載されている。
【0009】また、蛍光体層上に積層して形成されたア
ルミメタルバック層上に、カーボン等の軽元素を蒸着す
ることにより、蛍光体層に入射する電子の反射を抑制す
る低電子反射率層を形成することが行われている。その
ため、蛍光体層で反射された後に加速電界によって再び
蛍光体層に入射する電子が低減するので、蛍光体層で発
生するハロー光が抑制される。
【0010】なお、このような蛍光体層の表面に低電子
反射率層を形成する先行技術に関しては、公報「特開平
2−33840号」などに詳細に記載されている。
【0011】さらに、MCPのストリップ抵抗を所定の
範囲に設定することにより、蛍光体層に入射する電子流
の電流値が閾値を越えないように、電子に対するMCP
の利得を自動制御することが行われている。そのため、
MCPで発生する過剰な電子が制限されるので、蛍光体
層で発生するハロー光が抑制される。
【0012】なお、このようなMCPのストリップ抵抗
を増大する先行技術に関しては、公報「特開平6−29
5690号」などに詳細に記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のイメージイ
ンテンシファイアにおいては、MCPと蛍光体層との間
における電子流を制御することにより、ハロー光の発生
を抑制している。しかしながら、イメージインテンシフ
ァイアによって増強された光学像の画質に及ぼすハロー
光の影響は依然として無視できないものであるので、ハ
ロー光の発生をいっそう抑制することが要求されてい
る。
【0014】そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みて
なされたものであり、ハロー現象及びフレア現象を抑制
することによって光検出性能を向上させる光電子増倍管
を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のマイクロチャネ
ルプレートは、上記の目的を達成するために、(a)複
数個のチャネル管をプレート状に集束して構成された少
なくとも一つのダイノードと、(b)複数個のチャネル
管の端部を配列したダイノードの電子入射側表面に形成
され、当該光電子の生成に起因した光に対して透過性を
有し、かつ、当該光に対して当該ダイノードを構成する
材料よりも小さい屈折率を有する材料で構成された導電
性膜とを備えることを特徴とする。
【0016】なお、導電性膜は、ITO膜またはネサ膜
で形成されていることが好適である。ダイノードは、水
素還元処理済みの鉛ガラスで形成されていることが好適
である。
【0017】また、本発明の光電子増倍管は、上記の目
的を達成するために、(a)内部を高真空に保持する外
囲器と、(b)この外囲器の入射窓の真空側表面に形成
され、当該入射窓を通過して入射した光によって励起し
た光電子を真空中に放出する光電陰極と、(c)この光
電陰極と対向して外囲器の内部に設置され、当該光電陰
極から放出されて入射した光電子を増倍して放出する本
発明のマイクロチャネルプレートと、(d)外囲器の入
射窓と対向する出射窓の真空側表面付近に設置され、マ
イクロチャネルプレートから放出されて入射した光電子
を受容する陽極とを備えることを特徴とする。
【0018】なお、外囲器の入射窓は、光電陰極の波長
感度特性に対応した波長の光に対して透過性を有する材
料で構成されたガラス面板であることが好適である。
【0019】ここで、陽極は、外囲器の出射窓の真空側
表面に形成され、マイクロチャネルプレートから放出さ
れて入射した光電子の衝撃によって発生した光を当該出
射窓に出射する蛍光体層であり、本発明の光電子増倍管
は、外囲器の入射窓に入射した光と当該外囲器の出射窓
から出射された光との各二次元位置情報を一致させるイ
メージインテンシファイアとして機能することを特徴と
してもよい。
【0020】なお、外囲器の出射窓は、蛍光体層から出
射された光に対して透過性を有する材料で構成されたガ
ラス面板、あるいは、複数個の光ファイバをプレート状
に集束して構成されたファイバプレートであることが好
適である。
【0021】また、光電陰極とマイクロチャネルプレー
トとの間隔は距離0.05mm〜0.3mmであり、か
つ、マイクロチャネルプレートと蛍光体層との間隔は距
離0.2mm〜1.5mmであり、本発明の光電子増倍
管は、光電陰極、マイクロチャネルプレート及び蛍光体
層を相互に接近して設置させた近接型イメージインテン
シファイフアとして機能することを特徴としてもよい。
【0022】
【作用】本発明のマイクロチャネルプレートにおいて
は、外部電圧源から所定の電圧をそれぞれ印加すること
により、ダイノードの電子出射側表面から電子入射側表
面に向かう電界が各チャネル管の内側に発生する。
【0023】このとき、ダイノードの電子入射側表面に
配列されたチャネル管の端部に到達した電子は、チャネ
ル管の内側に発生した電界によって加速され、チャネル
管の壁面に対する衝突を繰り返しながら移動し、一定の
エネルギーを失う毎に一対の電子−正孔対を生成する。
この電子−正孔対として生成された電子は、二次電子と
して電子−正孔対を生成する過程を繰り返す。そのた
め、印加電圧に起因する所定のゲインで増倍した電子
が、ダイノードの電子出射側表面に配列されたチャネル
管の端部から放出される。
【0024】ここで、ダイノードの電子入射側面には、
電子の生成に起因した光に対して透過性を有し、かつ、
当該光に対してダイノードの構成材料よりも小さい屈折
率を有する導電性膜が形成されている。これにより、外
部から入射した光がダイノードの電子入射側表面に配列
されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹凸
部などに到達した場合であっても、導電性膜の光透過性
やダイノードの光吸収性などに基づいて、ダイノードの
電子入射側表面に対向する所定の光入射面に再び拡散し
て戻る光は著しく低減する。そのため、チャネル管のエ
ッジ部やその周辺に位置する凹凸部などで乱反射した光
がダイノードの電子入射側面に対向する所定の光入射面
に発生させるハロー現象及びフレア現象は抑制される。
【0025】本発明の光電子増倍管においては、外部電
圧源から光電陰極、マイクロチャネルプレート及び陽極
に所定の電圧をそれぞれ印加することにより、光電陰極
とマイクロチャネルプレートとの間隙と、ダイノードの
電子入射面と電子出射面との間隙と、マイクロチャネル
プレートと陽極との間隙とには、陽極から光電陰極に向
かう電界がそれぞれ発生する。
【0026】このとき、微弱な光が外部から外囲器の入
射窓を通過して光電陰極に入射した場合、光電陰極の価
電子帯に位置する電子がその伝導帯に励起し、負の電子
親和力作用によって光電子として真空中に放出される。
このように光電陰極から放出された光電子は、光電陰極
とマイクロチャネルプレートとの間隙に発生した電界に
よって加速され、ダイノードの電子入射側表面に入射す
る。
【0027】ここで、ダイノードの電子入射側面には、
光電陰極を通過した光に対して透過性を有し、かつ、当
該光に対してダイノードの構成材料よりも小さい屈折率
を有する導電性膜が形成されている。これにより、光電
陰極を通過した光がダイノードの電子入射側表面に配列
されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹凸
部などに到達した場合であっても、導電性膜の光透過性
やダイノードの光吸収性などに基づいて、光電陰極に再
び拡散して戻る光は著しく低減する。そのため、チャネ
ル管のエッジ部やその周辺に位置する凹凸部などで乱反
射した光が光電陰極に発生させるハロー現象及びフレア
現象は抑制される。
【0028】一方、マイクロチャネルプレートに入射し
た光電子は、チャネル管の内側に発生した電界によって
加速され、チャネル管の壁面に対する衝突を繰り返しな
がら移動し、一定のエネルギーを失う毎に一対の電子−
正孔対を生成する。この電子−正孔対として生成された
電子は、二次電子として電子−正孔対を生成する過程を
繰り返すことになる。そのため、印加電圧に起因する所
定のゲインで増倍した光電子が、ダイノードの電子出射
側表面に配列されたチャネル管の端部から放出される。
このようにマイクロチャネルプレートから放出された光
電子は、マイクロチャネルプレートと陽極との間隙に発
生した電界によって加速され、陽極に入射して受容され
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明の光電子増倍管に係る一実施例
の構成および作用について、図1ないし図8を参照して
詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素
には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】本実施例の光電子増倍管は、外囲器の内部
で光電陰極、MCP及び蛍光体層を相互に近接して設置
した近接型イメージインテンシファイアとして機能する
ものである。
【0031】図1に示すように、光電子増倍管10の内
部は、略中空円柱状の外囲器20の両端部を略円板状の
入射窓30及び略円柱状の出射窓70によって気密に封
止することにより、圧力約1×10-8〜1×10-6To
rrを有する高真空に保持されている。外囲器20は、
略中空円筒状の側管部材21と、この側管部材21の側
部を被覆する略中空円柱状のモールド部材22と、この
モールド部材22の側部及び底部を被覆する略中空円筒
状のケース部材22とから構成されている。特に、モー
ルド部材22の両端部には2個の貫通孔がそれぞれ形成
されている。ケース部材22の一端部は開放して形成さ
れ、ケース部材23の他端部にはモールド部材22の一
方の貫通孔とその周縁を一致させた貫通孔が形成されて
いる。
【0032】モールド部材22の一端部側には、入射窓
30がモールド部材22の一方の貫通孔周辺の表面と接
合して設置されている。この入射窓30の真空側表面の
中央領域には、薄膜状の光電陰極40が形成されてい
る。また、モールド部材22の他端部側には、出射窓7
0がモールド部材22の他方の貫通孔に嵌合して設置さ
れている。この出射窓70の真空側表面の中央領域に
は、薄膜状の蛍光体層60が形成されている。さらに、
光電陰極40と蛍光体層60との間には、円板状のMC
P50が光電陰極40及び蛍光体層60に対向して所定
の間隙をそれぞれ保持して設置されている。このMCP
50は、側管部材21の複数箇所でその一端部を埋没し
て支持された2種類の取付部材81,82の他端部によ
って挾持されている。
【0033】入射窓30の真空側表面の周辺領域には、
金属製の第1の配線層(図示しない)が光電陰極40と
接触して形成されている。この第1の配線層に接触する
ために、モールド部材22の側部の複数箇所でその一端
部を埋没し、かつ、側管部材21と入射窓30とによっ
て挾持されることによって支持された取付部材80が、
その他端部を延ばして設置されている。
【0034】出射窓70の真空側表面の周辺領域には、
金属製の第2の配線層(図示しない)が蛍光体層60と
接触して形成されている。この第2の配線層に接触する
ために、モールド部材22の側部の複数箇所でその一端
部を埋没し、かつ、側管部材21とモールド部材22と
によって挾持されることによって支持された取付部材8
3が、その他端部を延ばして設置されている。
【0035】4種類の取付部材80〜83の一端部にそ
の一端部をそれぞれ接触した4種類のリード線90〜9
3が、モールド部材22及びケース部材23を気密に貫
通して外部に突出して設置されている。これらリード線
90〜93の他端部は、外部電圧源(図示しない)と電
気的にそれぞれ接続されている。そのため、光電陰極4
0と、MCP50の光電陰極側表面及び蛍光体層側裏面
(ダイノード51の電子入射側表面及び電子出射側表
面)と、蛍光体層60とに対しては、外部電圧源から高
電圧がそれぞれ印加されている。
【0036】図2に示すように、光電陰極40とMCP
50の光電陰極側表面との間には、電位差V1 として約
200Vが設定されている。MCP50の光電陰極側表
面と蛍光体層側表面との間には、電位差V2 として約5
00V〜約900Vが可変に設定されている。MCP5
0の蛍光体層側表面と蛍光体層60との間には、電位差
3 として約6kVが設定されている。
【0037】なお、側管部材21の複数箇所でその一端
部を埋没して支持された取付部材84が、その他端部を
出射窓70と所定の間隙を保持して設置されている。5
種類の取付部材80〜84は、ともにコバール金属で形
成されている。4種類のリード線90〜93は、ともに
テフロン電線で形成されている。
【0038】より詳細には、側管部材21は、所定の形
状にプラスチックを加工して形成されている。モールド
部材22は、入射窓30、側管部材21及び出射窓70
の各周囲にシリコンゴムをモールド成形して形成されて
いる。ケース部材23は、モールド部材21の周囲に対
応した形状にプラスチックを加工して形成されている。
【0039】入射窓30は、大気側及び真空側の各表面
の中央領域に共に略平面を有する形状に石英ガラスを加
工して形成されたガラス面板である。光電陰極40は、
アルカリ金属を入射窓30の真空側表面に蒸着して形成
されており、例えば、K、Na等の分子膜として構成さ
れている。この光電陰極40は、外部電圧源からリード
線90及び取付部材80を介して印加された電圧に基づ
いて、電位約−150V〜約−200Vに保持されてい
る。
【0040】出射窓70は、多数個の光ファイバをプレ
ート状に集束して構成されたファイバープレートであ
る。これらの光ファイバは、光電陰極40に対して各光
軸を直交させ、かつ、各真空側端面を面一に整合させる
ことによって設置されている。蛍光体層60は、蛍光体
を出射窓70の真空側表面に塗布して形成されており、
例えば、(ZnCd)S:Ag等で構成されている。こ
の蛍光体層60は、外部電圧源からリード線93及び取
付部材83を介して印加された電圧に基づいて、電位約
5000V〜約6000Vに保持されている。
【0041】なお、蛍光体層60の真空側表面には、メ
タルバック層と低電子反射率層とが順次積層して形成さ
れている。メタルバック層は、蛍光体層60の表面にA
lを蒸着して形成されている。このメタルバック層は、
MCP50を通過して入射した光に対して比較的高い反
射率を有し、かつ、MCP50から放出されて入射した
光電子に対して比較的高い透過率を有する。低電子反射
率層は、メタルバック層の表面にC,Be等を蒸着して
形成されている。この低電子反射率層は、MCP50か
ら放出されて入射した光電子に対して比較的低い反射率
を有する。
【0042】ここで、図3に示すように、MCP50
は、複数個のチャネル管をプレート状に集束して構成さ
れた少なくとも一つのダイノード51を備えている。こ
のダイノード51の電子入射面及び電子出射面に配列さ
れたチャネル管のピッチは、隣接するチャネル管の中心
間距離として約7.5μm〜約25μmである。
【0043】このダイノード51は、所定の形状に透明
色の鉛ガラスを加工した後に真空炉の内部に設置し、高
温の水素ガスを流入することによって鉛ガラスの表面か
ら内部に向かって順次還元して形成されている。これに
より、ダイノード51の表面領域には、水素還元処理の
進行状態に対応して析出した金属鉛で構成された黒色の
抵抗層が生成されている。そのため、真空炉の雰囲気温
度、水素ガス濃度、還元時間等をパラメータとして抵抗
層の生成を制御することにより、MCP50は約1×1
8 Ω〜約1×1010Ωのストリップ抵抗を有する。
【0044】このようなダイノード51の電子入射側表
面には、薄膜状の導電性膜52が、入射窓30及び光電
陰極40を通過した光に対して透過性を有し、かつ、当
該光に対してチャネル管51の構成材料よりも小さい屈
折率を有する導電性材料を蒸着して形成されている。こ
の導電性膜52は、例えば、In2 3 及びSnO2
らなるITO膜や、ネサ(NESA)膜などで構成され
ている。
【0045】なお、MCP50の光電陰極側表面、すな
わち、導電性膜52は、外部電圧源からリード線91及
び取付部材81を介して印加された電圧に基づいて、電
位約−150V〜約−200Vに保持されている。MC
P50の蛍光体層側裏面は、外部電圧源からリード線9
2及び取付部材82を介して印加された電圧に基づい
て、電位約500V〜約900Vに保持されている。
【0046】また、MCP50の光電陰極側表面と光電
陰極40との間隔は、距離約0.05mm〜約0.3m
mであり、MCP50の蛍光体層側裏面と蛍光体層70
との間隔は、距離約0.2mm〜約1.5mmである。
より望ましくは、MCP50の光電陰極側表面と光電陰
極40との間隔は、距離約0.1mm〜約0.3mmで
あることが好適であり、MCP50の蛍光体層側裏面と
蛍光体層70との間隔は、距離約0.5mm〜約1.0
mmであることが好適である。
【0047】次に、本実施例の作用について説明する。
【0048】図1及び図2に示すように、外部電圧源か
ら光電陰極40、MCP50及び蛍光体層60に所定の
電圧をそれぞれ印加することにより、光電陰極40とM
CP50との間隙と、ダイノード51の電子入射面と電
子出射面との間に配列されたチャネル管の内側と、MC
P50と蛍光体層60との間隙とには、蛍光体層60か
ら光電陰極40に向かう電界がそれぞれ発生する。
【0049】このとき、第1の光学像として微弱な光h
ν1 が外部から入射窓30を通過して光電陰極40に入
射した場合、光電陰極40の価電子帯に位置する電子が
その伝導帯に励起し、負の電子親和力作用によって光h
ν1 の二次元位置情報を保持した光電子e- 1 として真
空中に放出される。このように光電陰極40から放出さ
れた光電子e- 1 は、光電陰極40とMCP50との間
隙に発生した電界によって加速され、ダイノード51の
電子入射側表面に入射する。
【0050】ここで、図3に示すように、ダイノード5
1の電子入射側表面には、光hνinに対して透過性を有
し、かつ、光hνinに対してチャネル管51の構成材料
よりも小さい屈折率を有する導電性膜52が形成されて
いる。これにより、光電陰極40を通過した光hν1
光hνinとしてダイノード51の電子入射側表面に配列
されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹凸
部などに到達した場合であっても、導電性膜52の光透
過性やダイノード51の光吸収性などに基づいて、光電
陰極40に再び拡散して戻る光hνrfは著しく低減す
る。そのため、チャネル管のエッジ部やその周辺に位置
する凹凸部で乱反射した光hνrfが光電陰極40に発生
させるハロー現象及びフレア現象は抑制される。
【0051】一方、MCP50に入射した光電子e- 1
は、チャネル管の内側に発生した電界によって加速さ
れ、チャネル管の壁面に対する衝突を繰り返しながら移
動し、エネルギー約3.6eVを失う毎に一対の電子−
正孔対を生成する。この電子−正孔対として生成された
電子は、二次電子として光電子e- 1 と同様に電子−正
孔対を生成する過程を繰り返す。そのため、光電子e-
1 と比較して増倍した光電子e- 2 が、光hν1 の二次
元位置情報を保持してMCP50の蛍光体層側表面から
放出される。このとき、光電子e- 1 に対する光電子e
- 2 のゲインは、印加電圧V2 に起因して約1×103
〜約2×104 に達する。このようにMCP50から放
出された光電子e- 2 は、MCP50と蛍光体層60と
の間隙に発生した電界によって加速され、蛍光体層60
に入射する。
【0052】蛍光体層60に入射した光電子e- 2 の衝
撃に対応し、蛍光として発生した光hν2 が出射窓70
に入射する。このように出射窓70に入射した光hν2
は、光hν1 の二次元位置情報を保持した第2の光学像
として外部に出射される。
【0053】次に、本実施例に関する実験について説明
する。
【0054】本実施例の光電子増倍管と従来例の光電子
増倍管とをそれぞれ試作することにより、各光電子増倍
管の性能を比較する実験を行った。
【0055】まず、本実施例の光電子増倍管に内蔵する
MCPのサンプルと従来例の光電子増倍管に内蔵するM
CPのサンプルとして、光学研磨した鉛ガラス製のダイ
ノードに電極として各種導電性膜を蒸着してそれぞれ形
成したものについて、その光反射率の波長スペクトルを
測定した。ここで、本実施例のサンプルとしては、IT
O膜がダイノードの電子入射側表面に形成されたものの
みの1種類のMCPを設定した。従来例のサンプルとし
ては、インコネル膜がダイノードの電子入射側表面に形
成されたものと、いかなる導電性膜もダイノードの電子
入射側表面に形成されていないものとからなる2種類の
MCPを設定した。
【0056】ただし、各ダイノードの構成材料として
は、水素還元未処理の鉛ガラスと水素還元処理済みの鉛
ガラスとを設定した。なお、水素還元未処理の鉛ガラス
は透明色を呈しており、水素還元処理済みの鉛ガラスは
ガラス中に析出した金属鉛によって黒色を帯びている。
【0057】図4に、水素還元未処理の鉛ガラス製のサ
ンプルにおける光反射率の波長スペクトルを示す。図5
に、水素還元処理済みの鉛ガラス製のサンプルにおける
光反射率の波長スペクトルを示す。これらのグラフで
は、横軸はダイノードの電子入射側表面に照射した光の
波長を表し、縦軸はダイノードの電子入射側表面におけ
る光反射率を表す。
【0058】続いて、水素還元未処理の鉛ガラス製のダ
イノードをサンプルとして、その光屈折率を測定した。
このとき、ダイノードの光電陰極側表面で反射したレー
ザ光をPD(Photo Diode )で検出することにより、ダ
イノードの電子入射側表面における光反射率rを式
(1)に基づいて測定し、そのダイノードの光屈折率n
を算出する方法を適用した。
【0059】 r=Prf/Pin (1) ただし、 Pin:ダイノードに入射したレーザ光の光強度, Prf:ダイノードで反射されたレーザ光の光強度 である。
【0060】なお、レーザ光を照射する光源としては、
HeNeレーザを使用した。HeNeレーザから出射さ
れたレーザ光を、波長632.8nm及び入射角90°
に設定した。
【0061】ここで、ダイノードの電子入射側表面にお
ける表面光反射率Rを式(2)に基づいて算出し、ダイ
ノードの光屈折率nを式(3)に基づいて算出した。
【0062】 R+R(1−R)2 =r (2) n=(1+R1/2 )/(1−R1/2 ) (3) さらに、水素還元処理済みの鉛ガラス製のダイノードを
サンプルとして、その光屈折率をエリプソメータで測定
した。なお、レーザ光を照射する光源としては、HeN
eレーザを使用した。HeNeレーザから出射されたレ
ーザ光を、波長632.8nm及び入射角70°に設定
した。
【0063】そして、水素還元未処理の鉛ガラス製及び
水素還元処理済みの鉛ガラス製の各サンプルにおける光
屈折率は、次の通りであった。ただし、jは虚数単位で
ある。
【0064】 水素還元未処理の鉛ガラスの光屈折率:1.49, 水素還元処理済みの鉛ガラスの光屈折率:1.8+0.
15j これらの結果、MCPとして水素還元処理済みの鉛ガラ
スで構成されたダイノードの電子入射側表面にITO膜
が形成された本実施例のサンプルは、その他のサンプル
に対して大部分の波長領域で最小の光反射率を有してい
る。また、ダイノードとして水素還元処理済みの鉛ガラ
スで構成されたサンプルは、水素還元未処理の鉛ガラス
製のサンプルよりも大きい光屈折率を有している。その
ため、ダイノードを水素還元処理済の鉛ガラスで構成す
るとともに、ダイノードの電子入射側表面にITO膜を
形成することが、光電陰極を通過した光の乱反射を防止
するために有効であることがわかる。
【0065】次に、本実施例の光電子増倍管と従来例の
光電子増倍管とおいて、フレア現象を検出した。ただ
し、本実施例の光電子増倍管としては、ITO膜がダイ
ノードの電子入射側表面に形成されたものを設定した。
従来例の光電子増倍管としては、インコネル膜がダイノ
ードの電子入射側表面に形成されたものを設定した。
【0066】このとき、白色の地に描いた黒色の矩形状
パターンを各光電子増倍管で撮像した光学像を画像処理
することにより、矩形状パターンを構成する黒色のレベ
ル値が増大した比率をフレア値として測定した。なお、
地を構成する白色のレベル値は100%であった。
【0067】各光電子増倍管におけるフレア値は、次の
通りであった。
【0068】 本実施例の光電子増倍管のフレア値: 5%, 従来例の光電子増倍管のフレア値:10% この結果、本実施例の光電子増倍管は、従来の光電子増
倍管よりも小さいフレア値を有している。そのため、ダ
イノードの電子入射側表面に形成されたITO膜は、光
電陰極を通過した光の乱反射を防止する反射防止膜とし
て良好に機能することがわかる。
【0069】さらに、本実施例の光電子増倍管と従来例
の光電子増倍管とにおいて、ハロー現象を検出した。た
だし、本実施例の光電子増倍管としては、表1のNo.
3〜No.5に示す3種類の光電子増倍管を設定した。
従来例の光電子増倍管としては、表1のNo.1,N
o.2に示す2種類の光電子増倍管を設定した。
【0070】
【表1】
【0071】このとき、図6に示すように、LED(Li
ght Emitted Diode )110から出射された光を光電子
増倍管を含む撮像システムで撮像することにより、ハロ
ー光を測定した。なお、撮像システムとしては、LED
110の前方に光学系として拡散板120、アパーチャ
130、対物レンズ140、I.I.150、リレーレ
ンズ160及びCCDカメラ170を順次配列し、CC
Dカメラ170のビデオ出力端子にビデオデッキ180
及びモニタ190を順次接続することによって構成し
た。
【0072】ただし、LED110は、波長630nm
の赤色光を発生するものであった。拡散板120は、輝
度0.8lxを有するものであった。アパーチャ130
は、LED110から距離3.2mだけ離れて位置する
開口を有するものであった。対物レンズ140は、ニッ
コール社製で焦点距離24mm及びF値2を有するもの
であった。I.I.150は、ルミナスゲイン1000
lm・m-2・lx-1をそれぞれ有する本実施例の光電子
増倍管または従来例の光電子増倍管であった。リレーレ
ンズ160は、共に焦点距離50nm及びF値1.2を
有する2個のレンズを1:1に接続して構成されたもの
であった。CCDカメラ170は、ソニー社製で画角2
/3”を有するものであった。また、I.I.150か
ら対物レンズ140に戻った光が起因して発生するハロ
ー現象は、光学系の構成を工夫して排除した。
【0073】ここで、図7(a)に示すようにCCD1
70の受光面でスポット光171の周囲に出現するハロ
ー光172について、図7(b)に示すように輝度分布
を測定した。ただし、CCD170の飽和レベルに一致
するスポット光171の輝度に対して、90%,50
%,5%及び0%の輝度を有する3種類のハロー光成分
173〜175について、スポット光171を中心とす
る径方向に沿った幅W90,W50,W5 をハロー現象の尺
度として比較した。
【0074】図8に、表1のNo.5に示す本実施例の
光電子増倍管と表1のNo.2に示す従来例の光電子増
倍管とについて、スポット光成分173〜175の幅W
90,W50,W5 をそれぞれ示すこの結果、ダイノードの
電子入射側表面にITO膜が形成された本実施例の光電
子増倍管は、従来の光電子増倍管と比較してハロー現象
の発生を抑制している。そのため、ダイノードの電子入
射側表面に形成されたITO膜は、光電陰極を通過した
光の乱反射を防止する反射防止膜として良好に機能する
ことがわかる。また、蛍光体層の真空側表面にカーボン
膜を蒸着して低電子反射率層を形成する技術や、MCP
のストリップ抵抗を増大させる技術などを適用すること
により、ハロー現象の発生をいっそう抑制することがわ
かる。
【0075】以上の諸実験によれば、従来例の光電子増
倍管においては、ダイノードの電子入射側表面に金属光
沢を有するインコネル膜等の電極が形成されていること
から、光電陰極を通過した光がダイノードの電子入射側
表面に配列されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位
置する凹凸部などで乱反射されて拡散して光電陰極に再
び戻ってしまう。そのため、光電陰極で外部から光が入
射していない真空側表面の部分から放出された光電子
が、ハロー現象及びフレア現象を引き起こす原因の一つ
となっている。
【0076】一方、本実施例の光電子増倍管において
は、光電陰極を通過した光に対して透過性を有し、か
つ、水素還元処理によって黒色を帯びたダイノードを構
成する鉛ガラスよりも当該光に対して小さい屈折率を有
する材料で構成されたITO膜等の導電性膜を、ダイノ
ードの電子入射側表面に形成している。これにより、光
電陰極を通過した光がダイノードの電子入射側表面に配
列されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹
凸部などに到達することがあっても、導電性膜の光透過
性やダイノードの光吸収性などに基づいて、光電陰極に
再び拡散して戻る光は著しく低減する。そのため、光電
陰極を通過した光がダイノードの電子入射側表面に配列
されたチャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹凸
部などで乱反射されて再び光電陰極に到達することに起
因して発生するハロー現象及びフレア現象が抑制される
ので、入射窓に入射した第1の光学像を増強して出射窓
から出射される第2の光学像の画質を向上することがで
きる。
【0077】なお、本発明は上記実施例に限られるもの
ではなく、種々の変形を行うことが可能である。例え
ば、上記実施例においては、近接型イメージインテンシ
ファイアとして機能する光電子増倍管を開示している。
しかしながら、イメージインテンシファイアとしての構
成は、近接型に限定されるものではなく、光電陰極とM
CPとの間隙に設置されて光電子の飛跡を制御する各種
のフォーカス電極を有するものであっても、上記実施例
とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、光電
子増倍管としての構成は、イメージインテンシファイア
装置のような二次元光検出器に限定されるものではな
く、MCPの後段に設置された蛍光体層を必要としない
ものであっても、上記実施例とほぼ同様な作用効果を得
ることができる。
【0078】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のマ
イクロチャネルプレートにおいては、電子の生成に起因
した光に対して透過性を有し、かつ、当該光に対してダ
イノードの構成材料よりも小さい屈折率を有する導電性
膜が、ダイノードの電子入射側面に形成されている。こ
れにより、外部から入射した光がダイノードの電子入射
側表面に配列されたチャネル管のエッジ部やその周辺に
位置する凹凸部などに到達した場合であっても、導電性
膜の光透過性やダイノードの光吸収性などに基づいて、
ダイノードの電子入射側表面に対向する所定の光入射面
に再び拡散して戻る光は従来よりも著しく低減する。そ
のため、チャネル管のエッジ部やその周辺に位置する凹
凸部などで乱反射した光がダイノードの電子入射側面に
対向する所定の光入射面に発生させるハロー現象及びフ
レア現象は抑制される。
【0079】本発明の光電子増倍管においては、光電陰
極を通過した光に対して透過性を有し、かつ、当該光に
対してダイノードの構成材料よりも小さい屈折率を有す
る導電性膜が、ダイノードの電子入射側面には形成され
ている。これにより、光電陰極を通過した光がダイノー
ドの電子入射側表面に配列されたチャネル管のエッジ部
やその周辺に位置する凹凸部などに到達した場合であっ
ても、導電性膜の光透過性やダイノードの光吸収性など
に基づいて、光電陰極に再び拡散して戻る光は著しく低
減する。そのため、チャネル管のエッジ部やその周辺に
位置する凹凸部などで乱反射した光が光電陰極に発生さ
せるハロー現象及びフレア現象は抑制される。
【0080】このように、本発明のマイクロチャネルプ
レート及び光電子増倍管によれば、マイクロチャネルプ
レートで乱反射された光が光電陰極に到達することに起
因して発生するハロー光及びフレア光が低減する。その
ため、ダイノードの電子入射側表面及び電子出射側表面
に配列されたチャネル管のピッチを微小化することによ
り、各チャネル管でエッジ部が占める長さは単位面積当
たり増大した場合においても、マイクロチャネルプレー
トで乱反射された光は従来程度に抑制される。したがっ
て、コントラストや解像度などの光検出性能を向上させ
るという効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電子増倍管に係る一実施例の構造を
部分的に破砕して示す平面図である。
【図2】図1の光電子増倍管の簡略した構成における各
種電圧の印加状態を示す断面図である。
【図3】図1の光電子増倍管の拡大した構成における光
電陰極とMCPとの間の光の飛跡を示す断面図である。
【図4】各種導電性膜を有する水素還元未処理のMCP
における光反射率の波長スペクトルを示すグラフであ
る。
【図5】各種導電性膜を有する水素還元処理済みのMC
Pにおける光反射率の波長スペクトルを示すグラフであ
る。
【図6】図1の光電子増倍管及び従来例の光電子増倍管
を比較する実験を行う撮像システムの構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】(a)は図6の撮像システムにおいてCCDカ
メラの受光面に発生したスポット光及びそのハロー光を
示す平面図であり、(b)は(a)のスポット光及びそ
のハロー光の各輝度分布を示すグラフである。
【図8】図1の光電子増倍管及び従来例の光電子増倍管
で測定したハロー光成分の幅を示すグラフである。
【図9】(a)は従来例の光電子増倍管において光電陰
極に入射した第1のスポット光を示す平面図であり、
(b)は(a)の第1のスポット光に起因して蛍光体層
に発生した第2のスポット光及びそのハロー光を示す平
面図である。
【図10】図9(b)の第2のスポット光及びそのハロ
ー光の各輝度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
10…光電子増倍管、20…外囲器、30…入射窓、4
0…光電陰極、50…マイクロチャネルプレート、51
…ダイノード、52…導電性膜、60…陽極、70…出
射窓。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 43/12 H01J 43/12 43/28 43/28 (72)発明者 井口 昌彦 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個のチャネル管をプレート状に集束
    して構成された少なくとも一つのダイノードと、 前記複数個のチャネル管の端部を配列した前記ダイノー
    ドの電子入射側表面に形成され、当該光電子の生成に起
    因した光に対して透過性を有し、かつ、当該光に対して
    当該ダイノードを構成する材料よりも小さい屈折率を有
    する材料で構成された導電性膜とを備えることを特徴と
    するマイクロチャネルプレート。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜は、ITO膜で形成されて
    いることを特徴とする請求項1記載のマイクロチャネル
    プレート。
  3. 【請求項3】 前記導電性膜は、ネサ膜で形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載のマイクロチャネルプ
    レート。
  4. 【請求項4】 前記ダイノードは、水素還元処理済みの
    鉛ガラスで形成されていることを特徴とする請求項2ま
    たは請求項3記載のマイクロチャネルプレート。
  5. 【請求項5】 内部を高真空に保持する外囲器と、 この外囲器の入射窓の真空側表面に形成され、当該入射
    窓を通過して入射した光によって励起した光電子を真空
    中に放出する光電陰極と、 この光電陰極と対向して前記外囲器の内部に設置され、
    当該光電陰極から放出されて入射した光電子を増倍して
    放出する請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載
    のマイクロチャネルプレートと、 前記外囲器の入射窓と対向する出射窓の真空側表面付近
    に設置され、前記マイクロチャネルプレートから放出さ
    れて入射した光電子を受容する陽極とを備えることを特
    徴とする光電子増倍管。
  6. 【請求項6】 前記外囲器の入射窓は、前記光電陰極の
    波長感度特性に対応した波長の光に対して透過性を有す
    る材料で構成されたガラス面板であることを特徴とする
    請求項5記載の光電子増倍管。
  7. 【請求項7】 前記陽極は、前記外囲器の出射窓の真空
    側表面に形成され、前記マイクロチャネルプレートから
    放出されて入射した光電子の衝撃によって発生した光を
    当該出射窓に出射する蛍光体層であり、 前記外囲器の入射窓に入射した光と当該外囲器の出射窓
    から出射された光との各二次元位置情報を一致させるイ
    メージインテンシファイアとして機能することを特徴と
    する請求項5または請求項6記載の光電子増倍管。
  8. 【請求項8】 前記外囲器の出射窓は、前記蛍光体層か
    ら出射された光に対して透過性を有する材料で構成され
    たガラス面板であることを特徴とする請求項7記載の光
    電子増倍管。
  9. 【請求項9】 前記外囲器の出射窓は、複数個の光ファ
    イバをプレート状に集束して構成されたファイバプレー
    トであることを特徴とする請求項7記載の光電子増倍
    管。
  10. 【請求項10】 前記光電陰極と前記マイクロチャネル
    プレートとの間隔は距離0.05mm〜0.3mmであ
    り、かつ、前記マイクロチャネルプレートと前記蛍光体
    層との間隔は距離0.2mm〜1.5mmであり、 前記光電陰極、前記マイクロチャネルプレート及び前記
    蛍光体層を相互に接近して設置させた近接型イメージイ
    ンテンシファイフアとして機能することを特徴とする請
    求項7ないし請求項9のいずれか一つに記載の光電子増
    倍管。
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