JPH08247891A

JPH08247891A - 風洞用天秤

Info

Publication number: JPH08247891A
Application number: JP5237395A
Authority: JP
Inventors: Sueji Ohashi; 末治大橋; Masao Arakawa; 正夫荒川; Makoto Takekuma; 誠武隈
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1995-03-13
Filing date: 1995-03-13
Publication date: 1996-09-27

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】計測精度を向上できる風洞用天秤を提供す
る。【構成】本発明は、模型１を支持するスティング２
と、スティング２および模型１の間に介装される天秤３
との連結部に、絶縁材５を介装し、電気的な絶縁を行う
とともに、天秤３からの検出信号を伝送するリード線に
絶縁材１０を被覆した。これにより、天秤で計測される
データが、外部電源等で発生するノイズの影響を受けな
くなるとともに、環境変化によるノイズレベルの変動を
小さくして、模型１に作用する空気力の計測精度を大幅
に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気流を発生させた風洞
内に設置された、風洞用の模型に作用する空気力を計測
するための風洞用天秤に関する。

【０００２】

【従来の技術】開発設計段階等において、航空機の飛行
特性等を予測するため、航空機等を模擬する模型を製作
して、飛行時の対気速度等を模擬する気流を発生させた
風洞内に設置して、気流中の模型に作用する空気力を計
測し、航空機等の飛行時に予測される空力データを取得
する風洞試験では、模型に作用する空気力を求めるた
め、風洞用天秤を使用している。

【０００３】風洞用天秤を構成する天秤は、歪ゲージを
貼った可撓性の天秤素子部を有し、ここに生じる歪量
を、電気量に変換して求める力計測系を構成するように
している。通常、天秤素子部に生成される歪量は小さ
く、この小さな歪量に伴う、しかも変動する微弱電気量
（電圧）を計測する必要があるため、力計測系に生じる
ノイズは、計測精度に大きく影響し、ノイズの問題は、
天秤による力計測系にとっては、避けて通れない重要技
術課題の一つとなっている。

【０００４】殊に、近年風洞試験を効率化、省力化する
ため、模型変更装置等、サーボ駆動機構を有する装置が
多用され、サーボ駆動機構を構成するサーボモータのＯ
Ｎ−ＯＦＦ時等に発生する、ノイズの大出力が力計測系
の計測データに致命傷を与えることが多く、早期の技術
的解決が望まれている。

【０００５】図３（ａ）は、従来の風洞用天秤を示す図
で、天秤１００を構成する天秤本体１０３の一端を、模
型１０１に連結するとともに、天秤本体１０３の他端を
スティング１０２の先端に嵌入して、取付ボルト１０４
で固着することにより、天秤１００によって、模型１０
１とスティング１０２を連結し、模型１０１をスティン
グ１０２で支持するようにしている。このようにするこ
とにより、風洞内に設置され、風洞内に流れる気流によ
って、模型１０１に作用する空気力の全ては、天秤１０
０に入力されることとなり、模型１０１に作用する空気
力は天秤１００で測定することができる。

【０００６】また、図示省略しているが、スティング１
０２の後端部には、風洞内を鉛直に上，下動する、スト
ラットに連結されており、ストラットに設けられたリン
ク機構と、ストラットの上，下動により、スティング１
０２は、天秤１００部分を中心に鉛直面内で傾動して、
模型１０１の気流方向に対する姿勢角を変更する模型変
更装置が構成されている。

【０００７】この様な構成において、図に示されるよう
に、天秤本体１０３とスティング１０２とは、天秤本体
１０３の後端部がスティング１０２前端の凹所に嵌入
し、直結されており、また、何れも加工上、強度上の制
約から、導電性に富む鋼製の材料で形成されているた
め、前述した模型変更装置を作動させるサーボモータ等
で発生する外部電源のノイズが、スティング１０２を経
て天秤１００に流れ易く、例えばサーボ駆動機構のサー
ボモータのＯＮ時には、天秤１００の計測フルスケール
の約６％（以下，％Ｆ・Ｓと略称する。）のノイズが発
生し、計測不能になることがある。このように、従来装
置においては、外部電源側と天秤１００との間には、電
気的絶縁が施行されていないのが通常である。

【０００８】通常の機器でノイズの影響を排除するノイ
ズ対策においては、外部電源、又はモータ等のノイズ源
にアースをとり、ノイズを低減することが行われている
が、天秤１００の場合は、天秤１００を介して模型１０
１を支持するスティング等、模型を支持する装置が空力
的要求より、形状が極めて細く形成され、また天秤１０
０からの検出信号を伝送する計測系の信号線と、アース
線とが混在することとなり、現実的には難しく、しかも
ノイズ抑制効果もほとんどなく、地面への接地処理では
ノイズを取りきれないのが実状である。このように、外
部電源のＯＮ−ＯＦＦで天秤１００に生じるノイズレベ
ルが大きく変わり、計測データの精度が悪くなるととも
に、場合によっては、上述したように計測不能になる不
具合がある。

【０００９】また、図３（ｂ）は天秤１００の詳細を示
す部分図で、天秤１００は、前述した天秤本体１０３の
一部分を可撓にした天秤素子部１０６に、歪ゲージ１０
７を貼り、天秤本体１０３の一端に連結された模型１０
１に作用する空気力が、天秤素子部１０６に伝達され、
空気力による天秤素子部１０６の撓みにより生じる、歪
ゲージ１０７の抵抗値の変動による電気量（電圧）の変
動出力を、歪ゲージ１０７に連結したリード線１０８で
風洞の外側にとり出し、計測するようにしている。

【００１０】しかしながら、天秤本体１０３の外側面上
に配線されているリード線１０８が、エナメル線等の電
気的絶縁の弱いもので形成されているため、この部分に
おいても外部電源変化の影響を受けやすく、また、環境
条件（負荷，温度等）でノイズレベルが不安定になりや
すく、例えばサーボモータＯＮ時には、約０．５％Ｆ・
Ｓのノイズが生じ、計測精度を著しく低下させるという
不具合がある。

【００１１】すなわち、上述した従来の風洞用天秤で
は、通常、全体精度として０．５％Ｆ・Ｓ以下の精度を
必要とするにも拘わらず、このようなレベルのノイズが
天秤１００に発生することは、天秤による力計測系にと
っては、致命的と言わざるを得ないものとなっている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の風洞
用天秤の上述した不具合を解消するため、（１）模型変
角装置等のサーボモータ等のＯＮ−ＯＦＦ時に発生す
る、ノイズの影響を受けず、ノイズがほとんど天秤に発
生しないようにするため、天秤のスティングへの取付部
を電気的絶縁構造とし、（２）天秤素子部の変形，環境
条件の変化等でも、ノイズレベルが小さく保てるよう、
リード線と天秤間の電気的絶縁を大とした、風洞用天秤
を提供することを課題とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】このため、本発明の風洞
用天秤は次の手段とした。

【００１４】（１）一端が模型に連結されて、模型に作
用する空気力を検出し、検出信号を出力する天秤の他端
を、絶縁材を介装してスティングに連結し、天秤とステ
ィングを電気的に絶縁した。すなわち、天秤の他端のス
ティングへの嵌合部に、絶縁被覆コーティングを施し、
又は、絶縁材による中間部品を挟んで天秤とスティング
を連結するようにした。なお、天秤およびスティングの
連結部は、通常円筒状のシンプルな軸対象形に形成され
ており、構造的にも簡単に絶縁材の介装をすることがで
きる。

【００１５】（２）一端が天秤に連結され、天秤の出力
する検出信号を、風洞外に設置された計測装置に伝送す
るリード線を絶縁材で被覆した。すなわち、風洞外の計
測装置から風洞内に導入されたケーブルの端部に設けら
れたコネクタに、天秤の検出信号を伝送するリード線
に、電気的絶縁性の大きい被覆線を使用した。なお、リ
ード線は、被覆線にすることによる剛性ＵＰが、天秤素
子部の歪を計測して行う力計測系の出力に影響しないよ
うに、剛性の小さいものにするとともに、天秤本体、お
よびスティングに沿って敷設する配線ルートも、力計測
系の出力に影響しないように選択することが望ましい。

【００１６】

【作用】本発明の風洞用天秤は、上述の手段により、天
秤、すなわち天秤本体とスティングの間を電気的絶縁し
たことにより、スティング側から天秤に伝達される、サ
ーボモータ等のＯＮ−ＯＦＦによる電圧変動等により発
生するノイズが遮断される。これにより、サーボモータ
等のノイズ源に、地面への接地（アース）をとることで
は解決し得なかった、天秤とノイズ源との連通が遮断さ
れ、図２（ｂ）Ａ’に示すように、サーボモータのＯＮ
時に天秤に生じていた６〜７％Ｆ・Ｓのノイズは、図２
（ａ）Ａで示すように０．５％Ｆ・Ｓ程度に低減するこ
とができる。

【００１７】さらに、リード線を被覆線とすることによ
り、天秤本体とリード線間の絶縁が大となったことによ
り、天秤に作用する負荷の変動、温度等の環境条件の変
化等にも影響されない安定したノイズ抑制ができる。こ
れにより、図２（ｂ）Ａ’に示すように、サーボモータ
のＯＮ時に天秤に生じていた６〜７％Ｆ・Ｓのノイズ
は、図２（ｂ）Ｂ’、およびＣ’で示すように、約１％
Ｆ・Ｓ程度に低減することができる。

【００１８】さらに、前記天秤本体とスティング間の電
気的絶縁、およびリード線の絶縁被覆を併せて行うこと
により、サーボモータのＯＮ時に天秤に生じるノイズ
は、図２（ａ）Ｂ、およびＣで示すように、０．３％Ｆ
・Ｓ以下に低減することができ、前述した天秤精度に要
求される０．５％Ｆ・Ｓ以下をクリアすることができ
る。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の風洞用天秤の実施例にもとづ
き説明する。図１は、本発明の風洞用天秤の一実施例に
示す図で、図１（ａ）は、一部断面で示す側面図、図１
（ｂ）は、図１（ａ）に示す天秤の一部分を示す側面図
である。

【００２０】図１（ａ）において、１は取付部を部分的
に示した模型、２は先端部を部分的に示したスティン
グ、３は天秤、４は取付ボルト、５は絶縁コーティング
を示す。このように、スティングの先端に設けた凹部に
嵌入された、天秤１を構成する天秤本体６と、スティン
グ２の間には絶縁コーティング５を設けることにより、
模型１の姿勢変角装置を駆動するサーボモータ等で発生
し、スティング２を伝わって天秤３側へ伝達される電気
的ノイズをここで遮断される。この絶縁コーティング５
は、厚いもの程、効果があるが、強度、剛性面からの制
約もあり、電気的絶縁材料による中間部品（アダプタ）
を、天秤本体６とスティング２との間に配設するように
しても、同様効果が得られる。

【００２１】また、図１（ｂ）において、７は天秤本体
６の間に可撓性をもたせて形成された天秤３を構成する
天秤素子部、８は天秤素子部７に貼付された歪ゲージ、
９は歪ゲージ８に一端が連結され、歪ゲージ８の撓みに
より生じる電気量（電圧）を伝送するリード線、１０は
リード線９を被覆する絶縁被覆である。このように、天
秤本体６、および天秤素子部７上に配線されるリード線
９を、絶縁被覆１０を施したものとすることにより、天
秤本体６、および天秤素子部７からの電気的ノイズを遮
断することができる。

【００２２】次に、本実施例の作用、効果について説明
する。図２は、ノイズ出力比較の実験例を示す図であ
る。本図は、天秤本体６とスティング２の間に絶縁コー
ティング５を施した場合と、施さない場合の比較、およ
びリード線９の絶縁被覆１０を施した場合と、施さない
場合の比較を併せて示したものである。

【００２３】まず、天秤本体６とスティング２の間が絶
縁された場合のサーボモータＯＮ時のノイズ成分は、図
２（ａ）のＡで示すように絶縁０．５〜０．６％Ｆ・Ｓ
の範囲のものになり、絶縁されない場合の図２（ｂ）の
Ａ’で示す６〜７％Ｆ・Ｓのものに比較して、ノイズ成
分が抑制され、１０分の１以下となり大幅な改善が成さ
れる。

【００２４】また、リード線被覆１０の効果は、天秤本
体６とスティング２の間が絶縁材５なしの場合には、図
２（ｂ）のＢ’，Ｃ’で示すように、リード線被覆がな
い場合のＡ’で示す６〜７％Ｆ・Ｓであったものが、リ
ード線被覆を行うことにより約１％Ｆ・Ｓに、ノイズ成
分が抑制され、５分の１以下となり大きな改善が得られ
ることが判る。更に、天秤本体６とスティング２の間に
絶縁材５を設け、リード線９に絶縁被覆１０を施した２
つの改善を併せて行った場合は、６〜７％Ｆ・Ｓが０．
２〜０．３％Ｆ・Ｓとなり、相乗効果が得られ３０〜４
０分の１にノイズ成分が抑制される。

【００２５】一方、サーボＯＦＦ時のノイズ成分は、
０．２％Ｆ・Ｓ程度であり、通常の地面への接地処理を
施した後の状態である。この状態でサーボＯＮにする
と、通常方式である地面への接地処理では、幾重に施し
ても、ノイズ成分は抑制されることはない。

【００２６】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の風洞用
天秤によれば、特許請求の範囲に示す構成により、（１）サーボモータのＯＮ−ＯＦＦ等の電圧変動により
発生し、スティングを通って天秤に伝達され、天秤の計
測精度を著しく劣化させるノイズが低減し、模型に作用
する空気力を精度良く計測できる。

【００２７】これにより、模型によって風洞試験を行う
実機の空力特性を精度良く予測でき、性能に秀れた実機
とすることができる。（２）天秤素子部の変形、環境条件の変動で生じ、電気
絶縁が充分でなかったリード線を通って天秤に伝達さ
れ、天秤の計測精度を劣化させていたノイズを低減する
ことができ、さらに天秤精度を向上でき、模型に作用す
る空気力の測定精度を、さらに向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の風洞用天秤の一実施例を示す図で、図
１（ａ）は天秤本体−スティング間の構造を示す組立
図、図１（ｂ）は天秤とリードの構造を示す天秤の部分
詳細図。

【図２】ノイズ出力比較の実験例を示す図で、図２
（ａ）は天秤本体とスティングの間に絶縁材を設けた場
合、図２（ｂ）は絶縁材を設けない場合。

【図３】従来の風洞用天秤を示す図で、図３（ａ）は天
秤本体−スティング間の構造を示す組立図、図３（ｂ）
は天秤、リード線の構造を示す部分詳細図である。

【符号の説明】

１模型２スティング３天秤４取付ボルト５絶縁材として絶縁コーティング６天秤本体７天秤素子部８歪ゲージ９リード線１０絶縁被覆

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】スティングに支持され、風洞内に設置さ
れた模型に作用する空気力を計測するための風洞用天秤
において、一端が前記模型に連結され、他端が絶縁材を
介装して、前記スティングに連結されて、前記模型に作
用する空気力の検出信号を出力する天秤と、一端が前記
天秤に連結され、他端が風洞外に設置された計測装置か
ら風洞内に導入されたケーブルに連結されて、前記天秤
の検出信号を前記計測装置に伝送する、絶縁材で被覆し
たリード線を具えたことを特徴とする風洞用天秤。