JPH08245412A - アラキドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物とその製造法 - Google Patents

アラキドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物とその製造法

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JPH08245412A
JPH08245412A JP7074701A JP7470195A JPH08245412A JP H08245412 A JPH08245412 A JP H08245412A JP 7074701 A JP7074701 A JP 7074701A JP 7470195 A JP7470195 A JP 7470195A JP H08245412 A JPH08245412 A JP H08245412A
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洋一 野方
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英明 太田
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NORIN SUISANSYO CHUGOKU NOGYO SHIKENJO
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NORIN SUISANSYO CHUGOKU NOGYO SHIKENJO
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定のカンキツ類の果皮からの抽出物を有効
成分とするアラキドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物
並びに特定のカンキツ類の果皮からアルコール類または
アルコール類とジメチルスルフォキシドまたはジメチル
ホルムアミドとの混液を用いて抽出し、必要に応じて抽
出物を精製することを特徴とするカンキツ類の果皮から
の抽出物を有効成分とするアラキドン酸代謝酵素阻害活
性を示す組成物の製造法。 【効果】 本発明によれば、カンキツ類の果皮からアラ
キドン酸代謝酵素に対する阻害活性を示す組成物が得ら
れる。このものを食品素材として各種食品に添加するこ
とにより、動脈硬化,血栓などの循環器系疾患、アレル
ギー性疾患や炎症などの疾患を効果的に予防、治療する
ことができる。したがって、本発明はカンキツ類の新た
な用途を開発したものであり、カンキツ類の一層の有効
利用が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アラキドン酸代謝酵素
阻害活性を示す組成物およびその製造法に関し、詳しく
はカンキツ類の果皮からの抽出物を有効成分とするアラ
キドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物およびその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、各種の成人病やアレルギー性疾患が急速に増加し、
社会問題となっている。これら疾病のうち動脈硬化,血
栓などの循環器系疾患、アレルギー性疾患や炎症などに
はアラキドン酸代謝産物が関与していることが知られて
いる。アラキドン酸は、生体内で細胞膜のリン脂質の脂
肪酸構成成分として存在するものであり、組織や細胞が
ある種の刺激を受けると、ホスホリパーゼの作用により
リン脂質から遊離してくる。遊離したアラキドン酸は、
アラキドン酸代謝系の中の12−リポキシゲナーゼやシ
クロオキシゲナーゼなどの酵素によって代謝され、発熱
に関与するプロスタグランジン類、血栓に関与するトロ
ンボキサン類あるいはロイコトリエン類、リポキシン類
などの物質に変換される。
【0003】このように、上記酵素による代謝産物は、
循環器系疾患、アレルギー性疾患や炎症などの原因物質
として関与している可能性がある。そこで、これらの病
気の予防,治療のためには原因物質であるアラキドン酸
代謝産物の生成を特異的に阻害することが有効であると
考えられる。
【0004】アラキドン酸代謝系に関与している代表的
な酵素として12−リポキシゲナーゼおよびシクロオキ
シゲナーゼが挙げられる。12−リポキシゲナーゼは、
アラキドン酸をして中膜平滑筋を遊走させたり、動脈硬
化やアレルギー疾患の原因となる12−ヒドロキシ−
5,8,10,14−エイコサテトラエン酸(12−H
ETE)に代謝する酵素である。また、シクロオキシゲ
ナーゼは、発熱や炎症に関わるプロスタグランジン類や
血栓に関わるトロンボキサン類を生合成する酵素であ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】ところで、環瀬戸内海を
中心とするカンキツ類の産地では、カンキツ類に新たな
価値を付与し、用途の拡大を図る技術が求められてい
る。本発明者らは、カンキツ属に属するカンキツ類の主
要品種からのアルコール抽出物が血小板アラキドン酸を
代謝する酵素に及ぼす影響について研究し、特定のカン
キツ品種がアラキドン酸を代謝する主要な2つの酵素活
性を阻害することを見出した。本発明は、このような知
見に基づいて完成されたものである。すなわち、カンキ
ツ属の初生カンキツ亜属のライム区,シトロン区,ザボ
ン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜属のミカン区か
らの抽出物がシクロオキシゲナーゼを阻害する作用を有
すること並びにカンキツ属の初生カンキツ亜属のシトロ
ン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜属の
ユズ区またはミカン区からの抽出物が12−リポキシゲ
ナーゼを阻害する作用を有すること、さらにカンキツ属
の初生カンキツ亜属のシトロン区および後生カンキツ亜
属のミカン区からの抽出物は、シクロオキシゲナーゼだ
けでなく12−リポキシゲナーゼをも阻害する作用を有
していることを見出し、本発明を完成するに至ったので
ある。
【0006】請求項1に記載の本発明は、カンキツ属の
初生カンキツ亜属のライム区,シトロン区,ザボン区,
ダイダイ区および後生カンキツ亜属のユズ区またはミカ
ン区に属するカンキツ類から選ばれたカンキツ類の果皮
からの抽出物を有効成分とするアラキドン酸代謝酵素阻
害活性を示す組成物である。請求項2に記載の本発明
は、カンキツ属の初生カンキツ亜属のライム区,シトロ
ン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜属の
ミカン区に属するカンキツ類から選ばれたカンキツ類の
果皮からの抽出物を有効成分とするシクロオキシゲナー
ゼ阻害活性を示す組成物である。請求項3に記載の本発
明は、カンキツ属の初生カンキツ亜属のシトロン区,ザ
ボン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜属のユズ区ま
たはミカン区に属するカンキツ類から選ばれたカンキツ
類の果皮からの抽出物を有効成分とする12−リポキシ
ゲナーゼ阻害活性を示す組成物である。請求項4に記載
の本発明は、カンキツ属の初生カンキツ亜属のシトロン
区および後生カンキツ亜属のミカン区に属するカンキツ
類から選ばれたカンキツ類の果皮からの抽出物を有効成
分とするシクロオキシゲナーゼおよび12−リポキシゲ
ナーゼ阻害活性を示す組成物である。請求項5に記載の
本発明は、果皮からの抽出物が、アルコール抽出物また
はアルコールとジメチルスルフォキシド混液抽出物であ
る請求項1記載の組成物である。請求項6に記載の本発
明は、果皮がフラベドおよび/またはアルベドである請
求項1〜3のいずれかに記載の組成物である。請求項7
に記載の本発明は、カンキツ属の初生カンキツ亜属のラ
イム区,シトロン区,ザボン区,ダイダイ区および後生
カンキツ亜属のユズ区またはミカン区に属するカンキツ
類から選ばれたカンキツ類の果皮からアルコール類また
はアルコール類とジメチルスルフォキシドまたはジメチ
ルホルムアミドとの混液を用いて抽出し、必要に応じて
抽出物を精製することを特徴とするカンキツ類の果皮か
らの抽出物を有効成分とするアラキドン酸代謝酵素阻害
活性を示す組成物の製造法である。
【0007】本発明に用いるカンキツ類は、カンキツ属
の初生カンキツ亜属および後生カンキツ亜属に属するも
のである。詳しくは、初生カンキツ亜属のライム区,シ
トロン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜
属のユズ区またはミカン区に属するカンキツ類である。
これらカンキツ類の具体的な品種を例示すると、メキシ
カンライム,タヒチライム,ベルガモット,ビロロ,シ
トロン,アレンユーレカレモン,スィートレモン,ルミ
ー,ハッサク,ナツミカン,サンボウカン,バレンシア
オレンジ,森田ネーブル,イヨカン,ヒュウガナツ,シ
ュンコウカン,スダチ,ポンカン,オオベニミカン,ジ
ミカン,シカイカン,タチバナ,コベニミカン,シーク
ワシャー等が挙げられる。
【0008】アラキドン酸代謝酵素阻害活性を有する組
成物は、上記カンキツ類の果実を用いて製造される。果
実部位のうち、果皮,じょうのう,果肉ジュースを利用
することができるが、特に果皮が好ましい。果皮は必要
に応じてフラベドとアルベドに分けて用いることができ
る。また、果実は未熟のものでも利用できるが、一般的
には適熟のものが好ましい。
【0009】次に、本発明のアラキドン酸代謝酵素阻害
活性を有する組成物の製造方法について以下に述べる。
カンキツ類の果皮から有効成分を抽出するために有機溶
媒を使用する。本発明では上記組成物を主として食品素
材等として利用することを企図しているので、この目的
に適する有機溶媒を選択すべきである。そのため、メチ
ルアルコール,エチルアルコールなどのアルコール類が
好適である。これらアルコール類は単独で使用してもよ
く、またジメチルスルフォキシドまたはジメチルホルム
アミドとの混液として用いてもよい。その場合、アルコ
ール類とジメチルスルフォキシドやジメチルホルムアミ
ドとの混液等は容量比で10:0〜10:10の範囲で
用いることが好ましい。また、水単独またはアセトンと
ジメチルホルムアミドの混液等も溶媒として用いること
ができる。
【0010】抽出方法の1例を示すと、室温で行う場
合、カンキツ類の果皮に有機溶媒を加えてロータリーシ
ェーカー等の攪拌手段にて攪拌しながら一晩抽出する。
また、60℃程度に加温して行う場合、カンキツ類の果
皮に有機溶媒を加えたものを恒温槽中に20分程度放置
すればよい。但し、抽出用の原料は予め凍結乾燥し、粉
砕したものを用いることが望ましい。原料が生の部位で
あれば、抽出溶媒を添加後、ホモジナイザーなどで均一
にホモジナイズしてから抽出を行うべきである。
【0011】抽出物はそのままでアラキドン酸代謝酵素
阻害活性を有する組成物として用いることができるが、
必要に応じて精製する。その1例を示すと、抽出により
得た画分を蒸留水で10倍以上に希釈し、逆相クロマト
グラフィー(例えばODS)に吸着させたのち、水また
は10%程度のメチルアルコール水溶液で洗浄する。次
いで、メチルアルコールあるいはエチルアルコールで溶
出してアルコール画分を得、これを減圧濃縮し、濃縮物
を乾固あるいは真空凍結乾燥することにより、精製され
た組成物が得られる。なお、果皮部位(フラベド,アル
ベド)によって抽出方法が変わることはないけれども、
抽出により得られる物質としては、例えばフラベドから
トコフェロール類,テルペン類,精油成分,フラボノイ
ド類,ポリフェノール類等が、アルベドからフラボノイ
ド類,ポリフェノール類等が、じょうのうからも同様に
フラボノイド類,ポリフェノール類等が、ジュースから
フラボノイド類,ポリフェノール類やビタミンC等の有
機酸が得られるものと予想される。
【0012】次に、上記の方法で製造した組成物を用い
たアラキドン酸代謝酵素阻害のアッセイ系について述べ
る。Wistar-king 系正常ラット(150〜400g)か
ら血液を採取し、これにエチレンジアミンテトラアセテ
ート(EDTA)を抗凝固剤として加え(0.5m
M)、この血液を1200rpmで10分間遠心分離す
る。得られた上清(多血小板血漿)をさらに3000r
pmで10分間遠心分離する。沈澱した血小板を1mM
EDTAを含む25mM Tris−HCl,130
mM NaCl液(pH7.4)で2回洗浄した後、こ
の洗浄血小板を1mMEDTAを含む同液に懸濁して超
音波処理を行う。この超音波処理した血小板をアラキド
ン酸代謝の酵素液とする。別途調製した試料を、この血
小板ホモジネート(1〜2mgタンパク質/ml)と共
に容器に加え、37℃で1〜10分間、好ましくは5分
間予備的にインキュベートし、[1-14C] アラキドン酸
(0.05μCi)を加えて37℃で5〜10分間、好ま
しくは5分間インキュベートする。
【0013】次いで、0.5N ギ酸0.2mlを添加
して反応を停止し、アラキドン酸代謝物を3mlの酢酸
エチルで抽出する。抽出液は窒素気流中で乾固し、少量
(40μl)の酢酸エチルに溶解し、シリカゲルプラス
チックシートに定量的にスポットし、クロロホルム−メ
チルアルコール−酢酸−水(90:8:1:0.8v/
v)の展開溶媒に展開する。得られた放射活性代謝産物
をオートラジオグラフィーで検出し、その放射活性から
アラキドン酸代謝物阻害活性を定量する。この方法によ
ると、主として4つのスポットが現れる。すなわち、シ
クロオキシゲナーゼにより代謝されて生成するトロンボ
キサンB2 (TXB2 )、12−リポキシゲナーゼによ
り代謝されて生成する12−ヒドロキシ−5,8,1
0,14−エイコサテトラエン酸(12−HETE)と
12−ヒドロキシ−5,8,10−ヘプタデカ−トリエ
ン酸(12−HHT)および酵素阻害の結果代謝されず
に残ったアラキドン酸である。シクロオキシゲナーゼや
12−リポキシゲナーゼの酵素阻害活性は、それぞれT
XB2 ,12−HETEのコントロールと比較したこれ
らの放射活性の強度からの測定する。しかし、12−H
HTは生理活性がないため、この実験では定量していな
い。本発明の組成物が示す酵素阻害活性は、原料として
用いるカンキツ類の種類や組成物の使用量(添加濃度)
などにより異なるが、後記の表に示した通りの活性を有
しており、例えば添加濃度が1000μg/mlのと
き、シクロオキシゲナーゼに対して0〜95%、12−
リポキシゲナーゼに対して0〜86%である。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 (1)アラキドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物の調
製 供試カンキツ類(45品種の代表として、後生カンキツ
亜属ミカン区コミカン亜区柑香類大果亜類ポンカンを選
択)の凍結乾燥後粉砕した果皮(アルベド部位)1.5
gを100%メチルアルコール25mlを用いて20℃
(室温)で12時間抽出し、2000rpmで10分間
遠心分離して上清を回収した。沈澱物にメチルアルコー
ル25mlを添加後、再度遠心分離して上清を回収し、
この操作をさらに2回繰り返して100mlの抽出液を
得た。次いで、この画分を蒸留水で10倍に希釈し、こ
れを逆相クロマトグラフィー(ODS)に吸着させ、1
0%メチルアルコール水溶液で洗浄後、100%メチル
アルコールで溶出して得たアルコール画分をロータリー
エバポレーターを用いて40℃で減圧乾固し、組成物を
調製した。また、ジュースからの組成物の調製は、果肉
をミキサーで粉砕し、10,000rpmで30分間遠
心分離して上清を回収し、上清45mlを逆相クロマト
グラフィー(ODS)に吸着させ、以降は上記と同様に
して調製した。
【0015】(2)アラキドン酸代謝酵素阻害活性の測
定 血小板アラキドン酸代謝系の調製 Wistar-king 系正常ラット(150〜400g)から血
液を採取し、これに0.5mMのEDTAを抗凝固剤と
して加えた。この血液を1200rpmで10分間遠心
分離し、得られた上清(多血小板血漿)をさらに300
0rpmで10分間遠心分離した。沈澱した血小板を1
mM EDTAを含む25mM Tris−HCl,1
30mM NaCl液(pH7.4)で2回洗浄した。
この洗浄血小板を1mMEDTAを含む同液に懸濁して
超音波処理を行った。この超音波処理した血小板をアラ
キドン酸代謝のための酵素液とした。
【0016】アラキドン酸代謝酵素阻害活性の測定 この血小板ホモジネート(1〜2mgタンパク質/m
l)0.13mlを別に調製した組成物試料0.02m
l(終濃度10〜1000μg/ml)と共に容器に加
え、37℃で5分間予備的にインキュベートし、[1-
14C] アラキドン酸(0.05μCi)0.05mlを加
えて37℃で5分間インキュベートした。次に、0.5
N ギ酸0.2mlを添加して反応を停止し、アラキド
ン酸代謝物を酢酸エチル3mlで抽出した。抽出液は窒
素気流中で乾固し、40μlの酢酸エチルに溶解し、シ
リカゲルプラスチックシートに定量的にスポットし、ク
ロロホルム−メチルアルコール−酢酸−水(90:8:
1:0.8v/v)の展開溶媒に展開した。得られた放
射活性代謝産物をオートラジオグラフィーで検出し、そ
の放射活性からアラキドン酸代謝酵素阻害活性を定量し
た。なお、組成物を添加しない場合をコントロールと
し、これと比較してアラキドン酸代謝酵素の阻害活性を
求めた。
【0017】結果を図1,第1〜4表に示す。また、図
2にカンキツ品種とその果皮抽出物がアラキドン酸代謝
に及ぼす影響との関係を示した。図1は、オートラジオ
グラフィーのパターンで、左からコントロール,サンプ
ル濃度1000μg/ml,100μg/ml,10μ
g/mlの放射活性を示す。また、第1表は酵素活性を
50%阻害するのに必要なサンプルの濃度を示し、第2
表はサンプル濃度が10μg/mlの阻害活性を、第3
表はサンプル濃度が100μg/mlの阻害活性を、第
4表はサンプル濃度が1000μg/mlの阻害活性を
それぞれ示す。
【0018】図2は、各品種の果皮抽出物を濃度100
μg/mlで添加したときの12−HETEとTXB2
の生成量を、コントロールを100として、それに対す
る比で示したものである。また、線で囲んだ領域内は同
一の分類に属する品種を示している。図から明らかなよ
うに、同一の分類区に属する品種はアラキドン酸代謝系
に及ぼす影響のパターンは類似している。阻害パターン
は、TXB2 の生成のみを阻害する(a)、両者の生成
を阻害する(b)、12−HETEの生成のみを阻害す
る(c)、阻害活性のない(d)の4つの領域に分布し
てある。(a)領域は12−HETEの生成量が100
%を超えているが、これは12−リポキシゲナーゼを賦
活化する成分が存在することを意味するのではなく、シ
クロオキシゲナーゼ活性が選択的に阻害された結果、基
質(アラキドン酸)の奪い合いの競争がなくなり、見か
け上12−HETEの生成量が増加したことを意味し、
また(c)領域は(a)領域とは逆に12−リポキシゲ
ナーゼ活性が選択的に阻害されたことを意味する。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】実施例2 実施例1で調製した組成物のうち、初生カンキツ亜属ラ
イム区真正ライム亜区タヒチライムと後生カンキツ亜属
ミカン区コミカン亜区柑香類小果亜類狭葉品類タチバナ
を用いて、その添加濃度とアラキドン酸代謝酵素阻害活
性との関係を検討し、その結果を図3(a),(b)に
示した。なお、反応は組成物の添加量以外は実施例1と
同様に行った。図から明らかなように、タヒチライム活
性阻害パターンはTXB2 の生成を阻害し、12−HE
TEの生成量は添加濃度100μg/ml,10μg/
ml,1μg/mlおよび0.1μg/mlでコントロ
ールの値より多い。この現象は、該カンキツ組成物にシ
クロオキシゲナーゼを阻害する物質が選択的に存在し、
12−HETEを阻害する物質が殆ど存在しない結果、
両酵素の競合が起こらずにアキキドン酸の大部分が12
−リポキシゲナーゼにのみ分解されて、見かけ上12−
HETEの生成量が増加したことを示す。一方の阻害成
分を精製して行くと、他方の阻害成分が除去されるの
で、基質であるアキキドン酸の奪い合いが起こらず、他
方の酵素分解物の生成量が見かけ上増加する現象が起き
るのである。
【0025】実施例3 初生カンキツ亜属シトロン区大果中間亜区ルミーおよび
後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区柑香類大果亜類
シカイカンのそれぞれの未熟または適熟果実をフラベ
ド,アルベド,じょうのうおよびジュースの各部位に分
け、フラベド,アルベドおよびじょうのうの凍結乾燥物
1.5gを、ジュースは45mlを用いて実施例1と同
様にして組成物を調製した。これらの組成物を用いて、
実施例1と同様の反応でシクロオキシゲナーゼ(TXB
2)阻害活性を測定した。結果を第5表に示した。なお、
組成物の添加濃度は100μg/mlで行った。表から
明らかなように、ルミーおよびシカイカン果実のフラベ
ド,アルベド部位に高いシクロオキシゲナーゼ阻害活性
が見られ、じょうのうにはやや弱い阻害活性が見られ
た。しかし、ジュースには阻害活性が見られなかった。
また、果実の熟度別では、適熟と未熟の阻害活性は同程
度であるので、阻害物質の供給源としては多量に採取で
きる適熟が望ましい。
【0026】
【表6】
【0027】実施例4 初生カンキツ亜属シトロン区大果中間亜区ルミーおよび
後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区柑香類大果亜類
シカイカンのそれぞれの適熟果実をフラベド,アルベ
ド,じょうのうおよびジュースの各部位に分け、フラベ
ド,アルベドおよびじょうのうの凍結乾燥物1.5g
を、ジュースは45mlを用いて実施例1と同様にして
組成物を調製した。これらの部位の重量および組成物の
重量を測定し、結果を第6表に示した。なお、組成物の
重量は10果実の平均で表した。表から明らかなよう
に、組成物の重量および含量は、ルミーおよびシカイカ
ンのどちらも果皮のフラベド,アルベド部位が高い。そ
れ故、これら2つの部位がシクロオキシゲナーゼ阻害成
分の供給源として望ましい。
【0028】
【表7】
【0029】実施例5 後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区柑香類大果亜類
ポンカンおよび後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区
柑香類小果亜類狭葉品類タチバナのそれぞれの未熟,適
熟果実をフラベド,アルベド,じょうのうおよびジュー
スの各部位に分け、フラベド,アルベドおよびじょうの
うの凍結乾燥物1.5gを、ジュースは45mlを用い
て実施例1と同様にして組成物を調製した。これら組成
物を用いて実施例1と同様の反応で12−HETEの阻
害活性を調べた。結果を第7表に示した。なお、組成物
の添加濃度は100μg/mlで行なった。表から明ら
かなように、12−HETEの阻害活性は、タチバナ果
実のじょうのう以外の部位で見られたが、特にポンカン
のフラベド,アルベド部位に高い阻害活性が認められ
た。また、適熟と未熟の阻害活性の相違は、ポンカンの
じょうのうとジュースで適熟の阻害活性が高く、その他
の部位では差が小さいか、適熟の阻害活性が高いという
結果が得られた。
【0030】
【表8】
【0031】実施例6 後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区柑香類大果亜類
ポンカンおよび後生カンキツ亜属ミカン区コミカン亜区
柑香類小果亜類狭葉品類タチバナのそれぞれの適熟果実
をフラベド,アルベド,じょうのうおよびジュースの各
部位に分け、フラベド,アルベドおよびじょうのうの凍
結乾燥物1.5gを、ジュースは45mlを用いて実施
例1と同様にして組成物を調製した。これらの部位の重
量および組成物の重量を測定し、結果を第8表に示し
た。なお、組成物の重量は10果実の平均で表した。表
から明らかなように、組成物の重量および含量は、ポン
カンおよびタチバナのどちらも果皮のフラベド,アルベ
ド部位が高い。それ故、これら2つの部位が12−HE
TE阻害成分の供給源として望ましい。
【0032】
【表9】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、カンキツ類の果皮から
アラキドン酸代謝酵素に対する阻害活性を示す組成物が
得られる。このものを食品素材として各種食品に添加す
ることにより、動脈硬化,血栓などの循環器系疾患、ア
レルギー性疾患や炎症などの疾患を効果的に予防、治療
することができる。したがって、本発明はカンキツ類の
新たな用途を開発したものであり、カンキツ類の一層の
有効利用が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポンカンのアルベド部位から調製した組成物
の各添加濃度における酵素反応生成物のオートラジオグ
ラフィーパターンを示した図である。
【図2】 各種カンキツ品種の果皮抽出物とアラキドン
酸代謝に及ぼす影響との関係を示した図である。
【図3】 aはアラキドン酸代謝に対するタヒチライム
果皮抽出物の影響を示した図であり、bはアラキドン酸
代謝に対するタチバナ果皮抽出物の影響を示した図であ
る。
【符号の説明】 図2における各符合は下記の果実品種を表す。 1 パペダ区 2 ライム区 3 シトロン区 4 ザボン区 5 ダイダイ区 5−1 ダイダイ区中果中間亜区 5−2 ダイダイ近似亜区 5−3 アマダイダイ近似亜区 5−4 ユズ近似亜区 6 ユズ区 7 ミカン区 7−1 真正ミカン亜区 7−2 コミカン亜区−芳香類 7−3 コミカン亜区−柑香類−大果亜類 7−4 コミカン亜区−柑香類−小果亜類−狭葉品類 7−5 コミカン亜区−柑香類−小果亜類−広葉品類 8 トウキンカン区 9 キンカン属 10 カラタチ属

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンキツ属の初生カンキツ亜属のライム
    区,シトロン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カン
    キツ亜属のユズ区またはミカン区に属するカンキツ類か
    ら選ばれたカンキツ類の果皮からの抽出物を有効成分と
    するアラキドン酸代謝酵素阻害活性を示す組成物。
  2. 【請求項2】 カンキツ属の初生カンキツ亜属のライム
    区,シトロン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カン
    キツ亜属のミカン区に属するカンキツ類から選ばれたカ
    ンキツ類の果皮からの抽出物を有効成分とするシクロオ
    キシゲナーゼ阻害活性を示す組成物。
  3. 【請求項3】 カンキツ属の初生カンキツ亜属のシトロ
    ン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カンキツ亜属の
    ユズ区またはミカン区に属するカンキツ類から選ばれた
    カンキツ類の果皮からの抽出物を有効成分とする12−
    リポキシゲナーゼ阻害活性を示す組成物。
  4. 【請求項4】 カンキツ属の初生カンキツ亜属のシトロ
    ン区および後生カンキツ亜属のミカン区に属するカンキ
    ツ類から選ばれたカンキツ類の果皮からの抽出物を有効
    成分とするシクロオキシゲナーゼおよび12−リポキシ
    ゲナーゼ阻害活性を示す組成物。
  5. 【請求項5】 果皮からの抽出物が、アルコール抽出物
    またはアルコールとジメチルスルフォキシド混液抽出物
    である請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】 果皮が、フラベドおよび/またはアルベ
    ドである請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  7. 【請求項7】 カンキツ属の初生カンキツ亜属のライム
    区,シトロン区,ザボン区,ダイダイ区および後生カン
    キツ亜属のユズ区またはミカン区に属するカンキツ類か
    ら選ばれたカンキツ類の果皮からアルコール類またはア
    ルコール類とジメチルスルフォキシドまたはジメチルホ
    ルムアミドとの混液を用いて抽出し、必要に応じて抽出
    物を精製することを特徴とするカンキツ類の果皮からの
    抽出物を有効成分とするアラキドン酸代謝酵素阻害活性
    を示す組成物の製造法。
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