JPH08239398A - 水不溶性、自己支持性透明dna・脂質複合体フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

水不溶性、自己支持性透明dna・脂質複合体フィルムおよびその製造方法

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JPH08239398A
JPH08239398A JP6885495A JP6885495A JPH08239398A JP H08239398 A JPH08239398 A JP H08239398A JP 6885495 A JP6885495 A JP 6885495A JP 6885495 A JP6885495 A JP 6885495A JP H08239398 A JPH08239398 A JP H08239398A
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JP
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dna
lipid
complex
film
lipid complex
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JP6885495A
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Shigeo Okahata
恵雄 岡畑
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Sogo Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Sogo Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、色素吸着剤、偏光フィルム、導電
性フィルム、液晶フィルム、分子分離膜、高分子材料な
どの機能性フィルムとして利用しうる水不溶性、自己支
持性透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製造方
法を提供することを目的としている。 【構成】 DNAのリン酸アニオン部とカチオン性脂質
とを静電的に相互作用させて得られるDNA・脂質複合
体であって、該カチオン性脂質が脂質間の会合力の弱い
柔軟な脂質であり、該複合体を構成するDNAの二重ら
せん構造が破壊されずに保持されている前記DNA・脂
質複合体よりなる水不溶性、自己支持性透明DNA・脂
質複合体フィルムおよび該フィルムを延伸してなる水不
溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルム、お
よびそれらの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水不溶性、自己支持性
透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製造方法に
関する。本発明のフィルムは、発ガン性物質として知ら
れる色素などの吸着剤、偏光フィルム、電子授受のため
のドナーやアクセプターをフィルムにインターカレート
させてなる導電性フィルム、分子分離膜、液晶フィル
ム、ポリマーとの混合による高分子材料などに利用する
ことができる。
【0002】
【従来の技術およびその課題】従来、例えば、ジャーナ
ル・オブ・ケミカル・ソサイエティ,ケミカル・コミュ
ニケーション、1992年、第1339頁(J.Che
m,Soc.,Chem.Commun.,1992,
1339)には、DNAのリン酸アニオン部とカチオン
性脂質を1:1に静電的に相互作用させることによりD
NA・脂質複合体を形成し、クロロホルムなどの有機溶
媒にのみ可溶となることが報告されており、カチオン性
脂質としてN−〔10−(N′,N′−ジオクタデシル
アミノカルボニル)デシル〕−N,N,N−トリメチル
アンモニウムブロマイド、N−〔10−(N′,N′−
ジオクタデシルアミノカルボニル)ペンチル〕−N,
N,N−トリメチルアンモニウムブロマイドおよびジメ
チルジヘキサデシルアンモニウムブロマイドが使用され
ている。しかしながら、これらの脂質を使用して得られ
るDNA・脂質複合体は、そのフィルムを形成した場
合、DNAの二重らせん構造が破壊されてラメラ構造の
フィルムとなり、DNAの二重らせん構造を有するDN
A・脂質複合体フィルムを得ることができない。
【0003】本発明は、色素吸着剤、偏光フィルム、導
電性フィルム、液晶フィルム、分子分離膜、高分子材料
などの機能性フィルムとして利用しうる水不溶性、自己
支持性、透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製
造方法を提供することを目的としている。
【0004】本発明は、第1の態様において、DNAの
リン酸アニオン部とカチオン性脂質とを静電的に相互作
用させて得られるDNA・脂質複合体であって、該カチ
オン性脂質が脂質間の会合力の弱い柔軟な脂質であり、
該複合体を構成するDNAの二重らせん構造が破壊され
ずに保持されている前記DNA・脂質複合体よりなる水
不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルム;
およびDNAのリン酸アニオン部と脂質間の会合力の弱
い柔軟なカチオン性脂質とを静電的に相互作用させてD
NA・脂質複合体を得、得られたDNA・脂質複合体を
溶媒に溶解して支持体上にキャストし、次いで溶媒を蒸
発させることよりなり、該複合体を構成するDNAの二
重らせん構造が破壊されずに保持されていることを特徴
とする水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フ
ィルムの製造方法を提供するものである。
【0005】本発明は、第2の態様において、第1の1
本鎖DNAのリン酸アニオン部と第1のカチオン性脂質
とを静電的に相互作用させて第1の1本鎖DNA・脂質
複合体を形成し、別途第1の1本鎖DNAと相補的な塩
基対を有する第2の1本鎖DNAと第1のカチオン性脂
質と異なる第2のカチオン性脂質とを静電的に相互作用
させて第2の1本鎖DNA・脂質複合体を形成し、第1
の1本鎖DNA・脂質複合体と第2の1本鎖DNA・脂
質複合体とを有機溶媒中で混合し、ハイブリッドさせて
得られる二重らせん構造を有する2本鎖DNA・脂質複
合体であって、該カチオン性脂質が脂質間の会合力の弱
い柔軟な脂質であり、該DNA・脂質複合体を構成する
2本鎖DNAの二重らせん構造が破壊されずに保持され
ているDNA・脂質複合体よりなる水不溶性、自己支持
性透明DNA・脂質複合体フィルム;および第1の1本
鎖DNAのリン酸アニオン部と脂質間の会合力の弱い柔
軟な第1のカチオン性脂質とを静電的に相互作用させて
第1の1本鎖DNA・脂質複合体を形成し、別途第1の
1本鎖DNAと相補的な塩基対を有する第2の1本鎖D
NAと脂質間の会合力が弱く柔軟であり、かつ第1のカ
チオン性脂質と異なる第2のカチオン性脂質とを静電的
に相互作用させて第2の1本鎖DNA・脂質複合体を形
成し、第1の1本鎖DNA・脂質複合体と第2の1本鎖
DNA・脂質複合体とを有機溶媒中で混合し、ハイブリ
ッドさせて二重らせん構造を有する2本鎖DNA・脂質
複合体を形成し、形成されたDNA・脂質複合体を溶媒
に溶解して支持体上にキャストし、次いで溶媒を蒸発さ
せることよりなり、該DNA・脂質複合体を構成するD
NAの二重らせん構造が破壊されずに保持されているこ
とを特徴とする水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質
複合体フィルムの製造方法を提供するものである。
【0006】本発明は、第3の態様において、前記第1
または第2の態様の水不溶性、自己支持性透明DNA・
脂質複合体フィルムを一定方向に延伸してなり、該複合
体を構成するDNAの二重らせん鎖が延伸方向に配向し
ている水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フ
ィルム;および前記第1または第2の態様の方法により
得られた水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体
フィルムを水中に一定時間浸漬し、次いで一定方向に延
伸して該複合体を構成するDNAの二重らせん鎖を延伸
方向に配向させることを特徴とする水不溶性、自己支持
性透明DNA・脂質複合体フィルムを提供するものであ
る。
【0007】本発明は、第4の態様において、前記第1
または第2の態様のDNA・脂質複合体と色素とを有機
溶媒中で混合して色素を該複合体を構成するDNAの塩
基対間にインターカレートさせ、次いで支持体上にキャ
ストし、溶媒を蒸発させて水不溶性、自己支持性透明D
NA・脂質複合体フィルムを形成し、該複合体フィルム
を水中に一定時間浸漬し、次いで一定方向に延伸して該
複合体を構成するDNAの二重らせん鎖を延伸方向に配
向させることよりなるか、あるいは前記第1または第2
の態様の方法により得られた水不溶性、自己支持性透明
DNA・脂質複合体フィルムを色素の水溶液に浸漬して
色素を該複合体を構成するDNAの塩基対間にインター
カレートし、次いで水中に一定時間浸漬後一定方向に延
伸することよりなり、色素が該複合体を構成するDNA
の塩基対間で一定方向に配向固定されて偏光特性を示す
水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルム
の製造方法;および該方法により得られる、色素が該複
合体を構成するDNAの塩基対間で一定方向に配向固定
されて偏光特性を示す水不溶性、自己支持性透明DNA
・脂質複合体フィルムを提供するものである。
【0008】本発明において使用されるDNAの例とし
て、細菌ウィルスのλファージDNA、大腸菌染色体D
NA、仔ウシ胸腺DNA、サケ精子由来DNAなどの天
然DNA;ポリ(dA)、ポリ(dT)、ポリ(d
G)、ポリ(dC)、ポリ(dA−dT)、ポリ(dG
−dC)などに加えて合成機によって合成できる、塩基
配列の異なる種々のDNAなどの合成DNA;ポリ
(A)、ポリ(T)、ポリ(G)、ポリ(U)、ポリ
(A−T)、ポリ(G−U)などに加えて合成機によっ
て合成できる、塩基配列の異なる種々のRNAなどの合
成RNA;ポリ(dG)・ポリ(U)、ポリ(G)・ポ
リ(dC)、ポリ(dA−dT)・ポリ(A−T)など
のDNA/RNAハイブリッドに加えて合成機によって
合成した相補的塩基対を有するDNA/RNAハイブリ
ッドなどがあげられる。
【0009】本発明で使用されるカチオン性脂質は、第
1の態様としてのモノアルキル型カチオン性脂質または
第2の態様としてのジアルキル型カチオン性脂質であっ
て、脂質間の会合力が弱く、かつ柔軟な脂質であること
が必要である。ここで脂質間の会合力の弱い柔軟な脂質
とは、該脂質の疎水性アルキル鎖成分とアンモニウム親
水性頭部成分との間に、親水性であって脂質間の会合力
を弱め、かつ分子構造上折れ曲り易い成分(以下親水性
スペーサー成分という)が介在するか、あるいは該親水
性スペーサー成分および非親水性スペーサー成分が任意
の順序で介在してなり、それを用いて得られるDNA・
脂質複合体よりなるフィルムを形成した場合、DNAの
二重らせん構造が破壊されずに保持されているごとき脂
質を意味する。
【0010】本発明のカチオン性脂質は、第1の態様に
おいて、一般式(I):
【化1】 (式中、mは7〜13の整数であり、nは4〜15の整
数であり、CH3 (CH2 m −が長鎖アルキル鎖より
なる疎水性アルキル鎖成分であり、−(OC2 4 n
−がオリゴエチレンオキサイド鎖よりなり親水性スペー
サー成分であり、 チレンオキサイド鎖以外の基は水素原子または低級炭化
水素基、好ましくはメチル基である。)で表わされ、そ
の具体例として、式(2):
【化2】 で表わされるN,N,N−トリメチル−N−(3,6,
9,12−テトラオキサドコシル)アンモニウム塩(以
下、C10−4G−N+ と略称することがある。)、式
(3):
【化3】 で表わされるN,N,N−トリメチル−N−(3,6,
9,12,15,18,21,24−オクタオキサテト
ラトリアコンチル)アンモニウム塩(以下、C10−8G
−N+ と略称することがある。)などがあげられる。
【0011】本発明において使用されるモノアルキル型
カチオン性脂質は、前記一般式(1)においてオリゴエ
チレンオキサイド鎖よりなる親水性スペーサー成分とア
ンモニウム親水性頭部成分との間に、非親水性スペーサ
ー成分として、C1 〜C5 の低級アルキル基成分または
ジフェニルアゾメチン基、ビフェニル基、ナフタレン
基、アントラセン基などの剛直部成分が介在するもの、
疎水性アルキル鎖成分と親水性スペーサー成分との間
に、非親水性スペーサー成分として前記剛直部成分が介
在するものなどを包含することができる。
【0012】本発明において使用されるカチオン性脂質
は、第2の態様において、ジアルキル型カチオン性脂質
であって、長鎖ジアルキル鎖よりなる疎水性アルキル鎖
成分、アンモニウム親水性頭部成分、および該両成分間
に介在する親水性スペーサー成分または該両成分間に任
意の順序で介在する、親水性スペーサー成分およびC1
〜C5 低級アルキル基成分、ジフェニルアゾメチン基、
ビフェニル基、ナフタレン基またはアントラセン基より
なる剛直部成分および窒素原子に直接結合するアセチル
基を有するアセチル基含有グルタミン酸残基成分から選
ばれる非親水性スペーサー成分の少くとも1種よりなる
脂質を包含する。
【0013】本発明のカチオン性脂質は、第2の態様に
おいて、例えば一般式(4):
【化4】 (式中、mは6〜10の整数であり、nは2〜20の整
数であり、CH3 (CH2 m −が疎水性アルキル鎖で
あり、−(OC2 4 n −がオリゴエチレンオ 頭部成分であって、N原子に直接結合するオリゴエチレ
ンオキサイド鎖以外の基が水素原子または低級炭化水素
基、好ましくはメチル基である。)で表わされるもの;
一般式(5):
【化5】 (式中mは5〜11の整数であり、nは5〜15の整数
であり、CH3 (CH2m −が疎水性アルキル鎖成分
であり、−(OC2 4 n −がオリゴエチレン 水性頭部成分であって、N素子に直接結合するオリゴエ
チレンオキサイド鎖以外の基が水素原子または低級炭化
水素基、好ましくはメチル基であり、残りの成分が非親
水性スペーサー成分である。)で表わされるもの;一般
式(6);
【化6】 式中、mは5〜11の整数であり、nは5〜15の整数
であり、CH3 (CH2 m −が疎水性アルキル鎖成分
であり、−(OC2 4 n −がオリゴエチレ 親水性頭部成分であって、N原子に直接結合する残りの
基が水素原子または低級アルキル基、好ましくはメチル
基であり、残りの成分が非親水性スペーサー成分として
のアセチル基含有グルタミン酸残基成分である。)で表
わされるものなどがあげられる。
【0014】前記一般式(4)で表わされるジアルキル
型カチオン性脂質の具体例として、式(7);
【化7】 で表わされるN,N−ジメチル−N,N−ジ(3,6−
ジオキサドデシル)アンモニウム塩があげられる。
【0015】本発明のDNA・脂質複合体フィルムの厚
みは、キャスチング量を調節することにより、DNA・
脂質複合体の単分子層たる50Åより0.1mmの範囲
とすることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、色素吸着剤、偏光フィ
ルム、導電性フィルム、液晶フィルム、分子分離膜、高
分子材料などの機能性フィルムとして利用しうる水不溶
性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムおよび
その製造方法が提供される。
【0017】
【実施例】以下製造例、実施例および比較例により本発
明をさらに詳しく説明する。
【0018】製造例1 N,N,N−トリメチル−N−(3,6,9,12−テ
トラオキサドコシル)アンモニウムブロマイド(C10
4G−N+ Br- )の製造:テトラエチレングリコール
65.0gにナトリウム1.0gを加え室温で溶解し
た。撹拌下1−ブロモデカン8.0gの乾燥ベンゼン溶
液を滴下後、一晩加熱還流した。冷却後、濃塩酸を加え
中和し、溶媒をエバポレートし、減圧蒸留により無色透
明油状物として3,6,9,12−テトラオキサドコサ
ノール6.17gを得た。この生成物の2.0gと乾燥
ピリジン0.5gを乾燥ベンゼンに溶解し撹拌下、チオ
ニルブロマイド1.0gの乾燥ベンゼン溶液を滴下し
た。析出した白色沈殿を濾別後、再び撹拌下、チオニル
ブロマイド1.0gの乾燥ベンゼン溶液を滴下した。一
晩還流後、エタノールを加え過剰のチオニルブロマイド
を分解し、溶媒をエバポレートし、残渣を減圧蒸留して
1−ブロモ−3,6,9,12−テトラオキサドコサン
1.8gを得た。この生成物1.5gをエタノールに溶
解し、トリメチルアミンガスを吹き込み、密栓をして3
日間室温で撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣から
オーブンカラムにより目的物を分離して目的物1.5g
を得た。
【0019】製造例2 N,N,N−トリメチル−N−(3,6,9,12,1
5,18,21,24−オクタオキサテトラトリアコニ
ル)アンモニウム ブロマイド(C10−8G−N+ Br
- )の製造:テトラエチレングリコール10.0gにナ
トリウム0.3gを加え室温で溶解した。撹拌下1−ブ
ロモ−3,6,9,12−テトラオキサドコサン2.0
gの乾燥ベンゼン溶液を滴下後、一晩還流した。冷却
後、濃塩酸を加え中和し、溶媒をエバポレートし、残渣
から過剰のテトラエチレングリコールを減圧留去した。
留出物として3,6,9,12,15,18,21,2
4−オクタオキサテトラトリアコントールを得た。この
生成物1.2gと乾燥ピリジン0.3gを乾燥ベンゼン
に溶解し、撹拌下、チオニルブロマイド0.3gの乾燥
ベンゼン溶液を滴下した。析出した白色沈殿を濾別後、
再び撹拌下、チオニルブロマイド0.3gの乾燥ベンゼ
ン溶液を滴下した。一晩還流後、エタノールを加え過剰
の臭化チオニルを処理し、溶媒をエバポレートし、残渣
から目的物をオーブンカラムにより分離して1−ブロモ
−3,6,9,12,15,18,21,24−オクタ
オキサテトラトリアコンタン1.8gを得た。この生成
物0.9gをエタノールに溶解し、トリメチルアミンガ
スを吹き込み、密栓をして3日間室温で撹拌した。溶媒
をエバポレートし、残渣からシリカゲルカラムにより目
的物を分離して、目的物0.58gを得た。
【0020】製造例3 N,N−ジメチル−N,N−ジ(3,6−ジオキサドデ
シル)アンモニウムブロマイドの製造:1−ブロモヘキ
サンとジエチレングリコールとを水素化ナトリウムの存
在下に反応させて3,6−ジオキサドデシルアルコール
を得、次いで得られた生成物をピリジンの存在下臭化チ
オニルと反応させて1−ブロモ−3,6−ジオキサドデ
シルを得、この生成物に大過剰のジメチルアミンを接触
反応させてN,N−ジメチル−N−3,6−ジオキサド
デシルアミンを得、この生成物に1−ブロモ−3,6−
ジオキサドデシルを反応させて目的物を得た。
【0021】製造例4 C10−4G−N+ /DNA- 複合体の製造:サーモン精
子由来DNA Na塩(シグマ社製)50.0mgを2
0mlの水に溶解した。氷冷撹拌下、C10−4G−N+
Br- 68.3mgを水20mlに分散させた溶液を加
えると、直ちに白色繊維状の沈殿が生じた。そのまま3
0分間氷冷撹拌後、遠心分離により沈殿を回収し、凍結
乾燥した。得られた白色繊維状粉末をクロロホルム/エ
タノール(4:1)15mlに溶解しフィルター濾過に
より不溶物を取り除いた。濾液をジエチルエーテル中に
滴下し白色繊維状物質を再沈殿させた。この沈殿を再び
遠心分離により回収し、真空乾燥することにより白色繊
維状粉末としてDNA・脂質複合体80.4mgを得
た。得られた粉末の元素分析から炭素と窒素の元素比を
求め、DNAのリン酸基に対してカチオン性脂質が1:
1で結合していることを確認した。上記DNAを用いて
DNA・脂質複合体よりなるLB膜を形成することも可
能であるが、その場合には、上記DNAを超音波処理に
より切断した分子量の低いDNAを用いることが望まし
い。
【0022】実施例1 製造例4で得られたDNA・脂質複合体25mgをクロ
ロホルム/エタノール(4:1)1mlに溶解した。こ
の溶液をテフロンプレート上に滴下し、溶媒飽和蒸気下
に静置し室温でゆっくりと溶媒を蒸発させた。約15時
間後、溶媒を完全に蒸発させるためにテフロンプレート
ごと真空乾燥した。乾燥後テフロンプレートからはが
し、無色透明のDNA・脂質複合体キャストフィルムを
得た。得られたキャストフィルムは水に不溶で水中に浸
漬しても安定なフィルムとして取り扱うことが可能であ
り、透明で自己支持性を有した。得られたDNA・脂質
複合体キャストフィルムの構造を透過型X線回折測定に
より調べた。キャストフィルム横からX線を照射すると
図1に示されるように41Åの距離にヘキサゴナルなス
ポットが現れた。図1において、1はDNA−脂質複合
体ロッド間距離(41Å)を示すヘキサゴナルな回折を
示す。この結果からロッド状のDNA・脂質複合体が六
方最密に会合している構造が考えられる。フィルム面方
向からX線を照射すると図2に示されるように同じ41
Åの距離に円状の回折が現れ、このキャストフィルム内
では二重鎖を形成したロッド状の複合体がある程度の大
きさのヘキサゴナルなパッキングをした会合体を形成
し、これらのドメインがフィルム面に平行に色々な方向
を向いていると考えられる。図2において、2はDNA
−脂質複合体ロッド間距離(41Å)を示す円状の回折
を示す。
【0023】比較例1 実施例1のDNA−脂質複合体における脂質C10−4G
−N+ に代えて、ジオクタデシルジメチルアンモニウム
を用いる以外実施例1と同様にして得られたDNA・脂
質複合体を用い、実施例1と同様にしてキャストフィル
ムを形成し、キャストフィルムの側面からX線を照射す
ると図3に示されるようにフィルム膜厚方向に層状構造
を示す37Åのピークが観察された。またフィルム面に
平行な方向にアルキル鎖間距離を示す4.1Åの回折ピ
ークが得られた。またフィルム面に垂直にX線を照射す
ると図4に示されるように4.1Åを示すピークが円周
上に見られた。図3において、3はラメラ構造層間距離
(37Å)を示す1次の回折であり、4はラメラ構造層
間距離(37Å)を示す2次の回折であり、5は脂質ア
ルキル鎖間距離(4.1Å)を示す回折である。図4に
おいて、6は脂質アルキル鎖間距離(4.1Å)を示す
円状の回折である。この結果からラメラ構造を形成して
いることが示唆されるが、CPKモデルにより二重らせ
んに放射状にのびた脂質間でアルキル鎖が密にパッキン
グすることが出来ないことが確かめられたため、おそら
く脂質の会合力によりDNA二重らせん構造が破壊され
てラメラ構造を形成しているものと考えられる。
【0024】実施例2 製造例4のC10−4G−N+ Br- に代えて製造例2の
10−8G−N+ Br- を用いて製造例4と同様にして
10−8G−N+ /DNA- 複合体を得た。実施例1の
10−4G−N+ /DNA- 複合体に代えてC10−8G
−N+ /DNA- 複合体を用いる以外、実施例1と同様
にして得られたキャストフィルムの構造を実施例1と同
様にX線回折測定により調べたところ、実施例1と実質
上同一の結果が得られ、実施例1と同様、DNAの二重
らせん構造が保持された状態の水不溶性、自己支持性透
明DNA・脂質複合体フィルムが得られた。
【0025】実施例3 製造例4のC10−4G−N+ Br- に代えて製造例3の
N,N−ジメチル−N,N−ジ(3,6−ジオキサドデ
シル)アンモニウムブロマイドを用いる以外、製造例4
と同様にしてDNA・脂質複合体を得た。得られたDN
A・脂質複合体を用いる以外、実施例1と同様にして得
られたキャストフィルムの構造を実施例1と同様にX線
回折測定により調べた結果を図5および図6に示す。図
5は、キャストフィルム側面よりX線を照射したときの
X線回折像であって、図5において、7はDNA・脂質
複合体ロッド間距離(30Å)を示すヘキサゴナルな回
折である。図6はキャストフィルム面に垂直にX線を照
射したときのX線回折像であって、図6において、8は
DNA・脂質複合体ロッド間距離(30Å)を示す円形
の回折である。この結果から明らかなように、実施例1
と同様、DNAの二重らせん構造が保持された状態の水
不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムが
得られた。
【0026】比較例2〜8 実施例1に用いられる脂質に代えて表1に示される脂質
を用いる以外、実施例1と同様にしてキャストフィルム
を形成し、形成されたキャストフィルムの構造を実施例
1と同様にX線回折測定により調べた結果、比較例1と
同様に、DNAの二重らせん構造が破壊されてラメラ構
造が形成されていることがわかった。図7は比較例6に
おいてキャストフィルムの側面からX線を照射したとき
のX線回折測定結果であって、図7において、11はラ
メラ構造層間距離(50Å)を示す1次の回折であり、
12はラメラ構造層間距離(50Å)を示す2次の回折
であり、13は脂質アルキル鎖間距離(4.1Å)を示
す回折である。図8は比較例6において、キャストフィ
ルム面に垂直にX線を照射したときのX線回折測定結果
であって、図8において、14は脂質アルキル鎖間距離
(4.1Å)を示す円状の回折である。図9は比較例7
において、キャストフィルムの側面からX線を照射した
ときのX線回折測定結果であって、図9において、15
はラメラ構造層間距離(50Å)を示す1次の回折であ
り、16はラメラ構造層間距離(50Å)を示す2次の
回折であり、17は脂質アルキル鎖間距離(4.1Å)
を示す回折である。図10は比較例7において、キャス
トフィルム面に垂直にX線を照射したときのX線回折測
定結果であって、図10において、18は脂質アルキル
鎖間距離(4.1Å)を示す円状の回折である。図11
は比較例8において、キャストフィルムの側面からX線
を照射したときのX線回折測定結果であって、図11に
おいて、19はラメラ構造層間距離(37Å)を示す1
次の回折であり、20はラメラ構造層間距離(37Å)
を示す2次の回折であり、21は脂質アルキル鎖間距離
(4.1Å)を示す回折である。図12は比較例8にお
いて、キャストフィルム面に垂直にX線を照射したとき
のX線回折測定結果であって、図12において22は脂
質アルキル鎖間距離(4.1Å)を示す円状の回折であ
る。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】比較例9 脂質としてトリオクチルメチルアンモニウムを用いる以
外製造例4と同様にして得られたDNA・脂質複合体に
ついて実施例1と同様の実験を行なったが、フィルムと
して非常に柔らかすぎて明確な構造解析が行えなかっ
た。
【0030】実施例4 実施例1で得られたキャストフィルムを室温で水中に2
時間浸漬後、該キャストフィルムを水中より取り出し、
約5倍延伸後乾燥させてX線回折測定を行なった。得ら
れた結果を図13、図14および図15に示す。図13
はキャストフィルム側面から延伸方向に垂直にX線と照
射したときのX線回折像であり、図14は延伸方向を子
午線上にとりキャストフィルム面に垂直にX線を照射し
たときのX線回折像であり、図15は延伸方向に平行に
X線を照射したときのX線回折像である。延伸方向を子
午線上にとりフィルムの側面からX線を照射すると、図
13に示されるように延伸前のヘキサゴナルスポットが
消失し赤道方向にロッド間距離を示すスポットが現れ
た。このロッド間距離は延伸前のロッド間距離と同様に
41Åとなり、延伸によるロッド間パッキングの変化は
ないものと思われる。またフィルム面へ照射しても、図
14に示されるように延伸方向に対して垂直な向きにロ
ッド間距離を示すスポットが現れ、また延伸方向からの
照射では図15に示されるように同一距離に円形の回折
が得られた。以上の結果より、延伸フィルム内ではDN
A鎖が延伸方向にそろった構造を有していることがわか
った。図13において、23はDNA・脂質複合体ロッ
ド間距離(41Å)を示す回折であり、図14におい
て、24はDNA・脂質複合体ロッド間距離(41Å)
を示す回折であり、図15において、25はDNA・脂
質複合体ロッド間距離(41Å)を示す円状の回折であ
る。
【0031】実施例5 製造例4で得られたDNA・脂質複合体内にインターカ
レーターとして知られているエチジウムブロマイドをイ
ンターカレートさせ延伸フィルム内での色素分子の配向
を検討した。インターカレーションの方法としては次の
2つの方法について行なった。まず、第1の方法は製造
例4で得られたDNA・脂質複合体を溶解した有機溶媒
とインターカレーターのエタノール溶液を混合し、有機
溶媒中で色素をインターカレートさせ、この溶液からキ
ャストフィルムを作成する方法で、この方法により染色
されたキャストフィルムが得られた。このようにして作
製したフィルムを水中に浸漬しても色素の水への溶解は
観測されなかった。第2の方法としては、DNA・脂質
複合体キャストフィルムを色素の水溶液に浸漬すること
によりインターカレーションさせた。色素水溶液中にフ
ィルムを浸漬することによりフィルムが染色された。ど
ちらの方法でも、色素はフィルム内でDNA塩基対間に
インターカレートし、DNA二重鎖に対してほぼ垂直に
配向していると考えられる。以下第1の方法でインター
カレーションを行ったフィルムについてさらに実験を行
なった。エチジウムブロマイドをインターカレートさせ
たDNA・脂質複合体キャストフィルムを室温で水中に
浸漬し延伸後、水中で偏光吸収スペクトルを測定する
と、図16に示されるように延伸方向に対して平行な向
きの偏光に対して、垂直な偏光の吸収が強く見られ、二
色比は3.3倍となった。この結果より、インターカレ
ートしたエチジウムブロマイド分子は延伸方向に対して
垂直に配向していることがわかる。よってDNA鎖はフ
ィルム中で延伸方向にかなり良く配向しているというこ
とが分かった。これに対して、このフィルムを乾燥さ
せ、空気中で同様に二色比を求めると図17に示される
ように延伸方向に平行な方向に対して垂直な方向の偏光
の吸収は1.3倍となった。また水和状態、乾燥状態で
それぞれ吸収極大は517nmと527nmとなり、水
和状態では色素周辺に水分子が存在することを示唆して
いる。図16において、26は延伸方向に平行な偏光の
吸収を示し、27は延伸方向に垂直な偏光の吸収を示
す。図17において、28は延伸方向に平行な偏光の吸
収を示し、29は延伸方向に垂直な偏光の吸収を示す。
このような延伸した複合体フィルム内にインターカレー
トしたエチジウムブロマイドの水和状態と乾燥状態での
吸収の二色比の違いには図18に示されるように可逆性
が見られ、乾燥させたフィルムを再び水中で水和させる
ことにより大きな二色性を示した。このような挙動は繰
り返し見られることから、延伸フィルムを乾燥させるこ
とによりDNA・脂質複合体の配向構造が乱されるので
はなく、フィルム内でDNAの可逆的な構造変化が生じ
ていることがわかった。図18において、30、32、
34および36は水和状態(波長517nm)を示し、
31、33、35および37は乾燥状態(波長527n
m)を示す。
【0032】実施例6 実施例4で得られた延伸複合体キャストフィルムの水和
状態および乾燥状態におけるX線回折測定を行なった。
水和状態における結果を図19に示し、乾燥状態におけ
る結果を図20に示す。図19に示されるように、水和
状態では乾燥状態に比べより多くの回折が見られ、異方
性をもつ構造がより明確に見られた。ロッド間の距離は
水和状態でも乾燥状態と同じ41Åとなり、水和状態で
は決してフィルムが膨潤しているわけではなく、結合水
程度の水が関与していることがわかつた。また、主鎖に
沿った方向に塩基対間に相当する3.4Åの回折が見ら
れたことからDNA二重らせんが延伸方向に配向してい
ることが明確となった。図19において、38はDNA
・脂質複合体ロッド間距離(41Å)を示す回折であ
り、39は23Åの距離を示す回折であり、40は12
Åの距離を示す回折であり、41はDNA塩基対間距離
(3.4Å)を示す回折である。図20において、38
は図19におけると同じくDNA・脂質複合体ロッド間
距離(41Å)を示す回折である。38〜41の回折よ
りキャストフィルムの異方性を評価することができる。
【0033】実施例7 実施例5において得られた水和状態と乾燥状態での二色
比の大きな違いが何によるものかを調べるために、実施
例5のDNA・脂質複合体キャストフィルムのCDスペ
クトルによりフィルム中でのDNAの構造を検討した。
フィルムを水で水和させ測定すると図21の42で示さ
れるように、B型のDNAに特徴的なスペクトルパター
ンとなり水和状態ではフィルム中でDNAがB型構造を
とっていることがわかった。一方乾燥状態では図21の
43で示されるように正のコットン効果が増大し、負の
コットン効果が減少したことからA型のDNAへ変化し
たことがわかった。このようなDNAの構造変化は天然
のDNAにおいても見られ、相対湿度が高いときにはB
型構造、相対湿度が低いときにはA型もしくはC型構造
をとることが知られている。よってこのDNA・脂質複
合体における挙動も天然DNAの場合と一致し、脂質と
複合体を作ってもDNA自身の性質には影響を与えてい
ないことがわかった。水和状態ではB型構造をとるが、
B型構造では塩基対はそれぞれ二重らせんに沿ってほぼ
垂直にスタッキングしているためにそこへインターカレ
ートした色素も主鎖に垂直に配向していると考えられ
る。これに対して、A型DNAでは塩基対が主鎖に対し
て約20°傾いているため、そこへインターカレートし
た色素の吸収二色比は減少したものと考えられる。よっ
て水和状態と乾燥状態でのB型構造とA型構造の可逆的
な変化により吸収二色比の可逆的な変化が起こっていた
ことがわかった。CDスペクトルの測定は25℃で行な
った。フィルムは光学的にフラットであり、膜厚はキャ
スト量とX線回折による面間隔から3.09μmと計算
された。図21において、Δεは、左円偏光に対するモ
ル吸収係数と右円偏光に対するモル吸光係数の差を表わ
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNA・脂質複合体フィルムのX線回
折像である。
【図2】本発明のDNA・脂質複合体フィルムのX線回
折像である。
【図3】比較例1のDNA・脂質複合体フィルムのX線
回折像である。
【図4】比較例1のDNA・脂質複合体フィルムのX線
回折像である。
【図5】本発明のDNA・脂質複合体フィルムのX線回
折像である。
【図6】本発明のDNA・脂質複合体フィルムのX線回
折像である。
【図7】比較例6のDNA・脂質複合体フィルムのX線
回折像である。
【図8】比較例6のDNA・脂質複合体フィルムのX線
回折像である。
【図9】比較例7のDNA・脂質複合体フィルムのX線
回折像である。
【図10】比較例7のDNA・脂質複合体フィルムのX
線回折像である。
【図11】比較例8のDNA・脂質複合体フィルムのX
線回折像である。
【図12】比較例8のDNA・脂質複合体フィルムのX
線回折像である。
【図13】本発明の延伸DNA・脂質複合体フィルムの
X線回折像である。
【図14】本発明の延伸DNA・脂質複合体フィルムの
X線回折像である。
【図15】本発明の延伸DNA・脂質複合体フィルムの
X線回折像である。
【図16】本発明のインターカレートされた延伸DNA
・脂質複合体フィルムの水中での偏光吸収スペクトルで
ある。
【図17】本発明のインターカレートされた延伸DNA
・脂質複合体フィルムの空気中での偏光吸収スペクトル
である。
【図18】本発明のインターカレートされた延伸DNA
・脂質複合体フィルムの水和状態と乾燥状態での吸収の
二色比の可逆性を示すグラフである。
【図19】本発明の延伸DNA・脂質複合体フィルムの
水和状態におけるX線回折像である。
【図20】本発明の延伸DNA・脂質複合体フィルムの
乾燥状態におけるX線回折像である。
【図21】本発明のインターカレートされた延伸DNA
・脂質複合体フィルムのCDスペクトルである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNAのリン酸アニオン部とカチオン性
    脂質とを静電的に相互作用させて得られるDNA・脂質
    複合体であって、該カチオン性脂質が脂質間の会合力の
    弱い柔軟な脂質であり、該複合体を構成するDNAの二
    重らせん構造が破壊されずに保持されている前記DNA
    ・脂質複合体よりなる水不溶性、自己支持性透明DNA
    ・脂質複合体フィルム。
  2. 【請求項2】 DNAのリン酸アニオン部と脂質間の会
    合力の弱い柔軟なカチオン性脂質とを静電的に相互作用
    させてDNA・脂質複合体を得、得られたDNA・脂質
    複合体を溶媒に溶解して支持体上にキャストし、次いで
    溶媒を蒸発させることよりなり、該複合体を構成するD
    NAの二重らせん構造が破壊されずに保持されているこ
    とを特徴とする水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質
    複合体フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 第1の1本鎖DNAのリン酸アニオン部
    と第1のカチオン性脂質とを静電的に相互作用させて第
    1の1本鎖DNA・脂質複合体を形成し、別途第1の1
    本鎖DNAと相補的な塩基対を有する第2の1本鎖DN
    Aと第1のカチオン性脂質と異なる第2のカチオン性脂
    質とを静電的に相互作用させて第2の1本鎖DNA・脂
    質複合体を形成し、第1の1本鎖DNA・脂質複合体と
    第2の1本鎖DNA・脂質複合体とを溶媒中で混合し、
    ハイブリッドさせて得られる二重らせん構造を有する2
    本鎖DNA・脂質複合体であって、該カチオン性脂質が
    脂質間の会合力の弱い柔軟な脂質であり、該DNA・脂
    質複合体を構成する2本鎖DNAの二重らせん構造が破
    壊されずに保持されているDNA・脂質複合体よりなる
    水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 第1の1本鎖DNAのリン酸アニオン部
    と脂質間の会合力の弱い柔軟な第1のカチオン性脂質と
    を静電的に相互作用させて第1の1本鎖DNA・脂質複
    合体を形成し、別途第1の1本鎖DNAと相補的な塩基
    対を有する第2の1本鎖DNAと脂質間の会合力が弱く
    柔軟であり、かつ第1のカチオン性脂質と異なる第2の
    カチオン性脂質とを静電的に相互作用させて第2の1本
    鎖DNA・脂質複合体を形成し、第1の1本鎖DNA・
    脂質複合体と第2の1本鎖DNA・脂質複合体とを溶媒
    中で混合し、ハイブリッドさせて二重らせん構造を有す
    る2本鎖DNA・脂質複合体を形成し、形成されたDN
    A・脂質複合体を溶媒に溶解して支持体上にキャスト
    し、次いで溶媒を蒸発させることよりなり、該DNA・
    脂質複合体を構成するDNAの二重らせん構造が破壊さ
    れずに保持されていることを特徴とする水不溶性、自己
    支持性透明DNA・脂質複合体フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または3記載の水不溶性、自己
    支持性透明DNA・脂質複合体フィルムを一定方向に延
    伸してなり、該複合体を構成するDNAの二重らせん鎖
    が延伸方向に配向している水不溶性、自己支持性透明D
    NA・脂質複合体フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項2または4記載の方法により得ら
    れた水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィ
    ルムを水中に一定時間浸漬し、次いで一定方向に延伸し
    て該複合体を構成するDNAの二重らせん鎖を延伸方向
    に配向させることを特徴とする水不溶性、自己支持性透
    明DNA・脂質複合体フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または3記載のDNA・脂質複
    合体と色素とを有機溶媒中で混合して色素を該複合体を
    構成するDNAの塩基対間にインターカレートさせ、次
    いで支持体上にキャストし、溶媒を蒸発させて水不溶
    性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムを形成
    し、該複合体フィルムを水中に一定時間浸漬し、次いで
    一定方向に延伸して該複合体を構成するDNAの二重ら
    せん鎖を延伸方向に配向させることよりなり、色素が該
    複合体を構成するDNAの塩基対間で一定方向に配向固
    定されて偏光特性を示す水不溶性、自己支持性透明DN
    A・脂質複合体フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2または4記載の方法により得ら
    れた水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィ
    ルムを色素の水溶液に浸漬して色素を該複合体を構成す
    るDNAの塩基対間にインターカレートし、次いで水中
    に一定時間浸漬後一定方向に延伸することよりなり、色
    素が該複合体を構成するDNAの塩基対間で一定方向に
    配向固定されて偏光特性を示す水不溶性、自己支持性透
    明DNA・脂質複合体フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8の方法により得られ
    る、色素が該複合体を構成するDNAの塩基対間で一定
    方向に配向固定されて偏光特性を示す水不溶性、自己支
    持性透明DNA・脂質複合体フィルム。
  10. 【請求項10】 該カチオン性脂質が、モノアルキル型
    カチオン性脂質であって、長鎖アルキル鎖よりなる疎水
    性アルキル鎖成分、アンモニウム親水性頭部成分、およ
    び両成分間に介在する親水性スペーサー成分または両成
    分間に任意の順序で介在する親水性スペーサー成分およ
    び非親水性スペーサー成分よりなる脂質である請求項
    1、3、5または9のいずれかに記載のフィルム。
  11. 【請求項11】 該カチオン性脂質が、モノアルキル型
    カチオン性脂質であって、長鎖アルキル鎖よりなる疎水
    性アルキル鎖成分、アンモニウム親水性頭部成分、およ
    び両成分間に介在する親水性スペーサー成分または両成
    分間に任意の順序で介在する親水性スペーサー成分およ
    び非親水性スペーサー成分よりなる脂質である請求項
    2、4、6、7または8のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 該カチオン性脂質がジアルキル型カチ
    オン性脂質であって、長鎖ジアルキル鎖よりなる疎水性
    アルキル鎖成分、アンモニウム親水性頭部成分、および
    該両成分間に介在する親水性スペーサー成分または該両
    成分間に任意の順序で介在する、親水性スペーサー成分
    およびC1 〜C5 低級アルキル基成分、ジフェニルアゾ
    メチン基、ビフェニル基、ナフタレン基またはアントラ
    セン基よりなる剛直部成分および窒素原子に直接結合す
    るアセチル基を有するアセチル基含有グルタミン酸残基
    成分より選ばれる非親水性スペーサー成分の少くとも1
    種よりなる脂質である請求項1、3、5または9のいず
    れかに記載のフィルム。
  13. 【請求項13】 該カチオン性脂質がジアルキル型カチ
    オン性脂質であって、長鎖ジアルキル鎖よりなる疎水性
    アルキル鎖成分、アンモニウム親水性頭部成分、および
    該両成分間に介在する親水性スペーサー成分または該両
    成分間に任意の順序で介在する、親水性スペーサー成分
    およびC1 〜C5 低級アルキル基成分、ジフェニルアゾ
    メチン基、ビフェニル基、ナフタレン基またはアントラ
    セン基よりなる剛直部成分および窒素原子に直接結合す
    るアセチル基を有するアセチル基含有グルタミン酸残基
    成分より選ばれる非親水性スペーサー成分の少くとも1
    種よりなる脂質である請求項2、4、6、7または8の
    いずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 該親水性スペーサー成分が、オリゴエ
    チレンオキサイド鎖成分である請求項10または12に
    記載のフィルム。
  15. 【請求項15】 該親水性スペーサー成分がオリゴエチ
    レンオキサイド鎖成分である請求項11または13に記
    載の方法。
  16. 【請求項16】 該DNAが、天然DNA、合成DN
    A、合成RNAおよびDNA/RNAハイブリッドより
    なる群から選ばれる請求項1、3、5、9、10、12
    または14に記載のフィルム。
  17. 【請求項17】 該DNAが天然DNA、合成DNA、
    合成RNAおよびDNA/RNAハイブリッドよりなる
    群から選ばれる請求項2、4、6、7、8、11、13
    または15に記載の方法。
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