JPH08236340A - 超電導磁気シールド材とその製造方法ならびにそれを用いた超電導磁石装置 - Google Patents

超電導磁気シールド材とその製造方法ならびにそれを用いた超電導磁石装置

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JPH08236340A
JPH08236340A JP31109095A JP31109095A JPH08236340A JP H08236340 A JPH08236340 A JP H08236340A JP 31109095 A JP31109095 A JP 31109095A JP 31109095 A JP31109095 A JP 31109095A JP H08236340 A JPH08236340 A JP H08236340A
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mesh
electric resistance
magnet device
plate
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JP31109095A
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English (en)
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Tomohisa Yamashita
知久 山下
Masanori Shin
政憲 新
Masamichi Kawai
正道 河合
Takashi Yazawa
孝 矢澤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気的安定性を確保しつつ、装置内部に外部か
ら侵入する交流磁界による熱負荷増現象を大幅に低減す
ることができ、もって冷却材の蒸発量を著しく減少させ
ること。 【解決手段】高電気抵抗の金属板からなり、超電導コイ
ル4をその冷却材と共に内部に収納する内槽容器5と、
この内槽容器5を覆うように設けられ、外部からの熱侵
入を遮る輻射シールド板6と、内部が真空状態に保持さ
れ、内槽容器5および輻射シールド板6を収納する外槽
容器7とから構成される超電導磁石装置において、内槽
容器5の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電導材を
網目状に設置し、装置外部から侵入する交流磁界を遮蔽
する閉回路18を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば浮上式鉄道
(リニアモーターカー)用超電導磁石装置のように、使
用環境で変動磁界が作用する超電導磁石装置に係り、特
に磁気的安定性を確保しつつ、装置内部に外部から侵入
する交流磁界による熱負荷増現象を大幅に低減して、冷
却材の蒸発量を著しく減少できるようにした超電導磁石
装置に関するものである。
【0002】また、本発明は、超電導体を利用して磁
界、主として変動(交流)磁界を遮蔽する超電導磁気シ
ールド材とその製造方法に係り、特に超電導体による超
電導閉回路を接続部分を導入しない形で形成しつつ、鎖
交磁束不変の法則を確実に成立させることが可能な磁気
的な安定性の高い超電導磁気シールド材とその製造方法
に関するものである。
【0003】
【従来の技術】現在開発が進められているこの種の浮上
式鉄道用の超電導磁石装置について、図23乃至図25
を参照して説明する。
【0004】図23は超電導磁石装置と浮上式鉄道の車
体との関係を示す概要図、図24は超電導磁石装置の要
部構成例を示す断面図、図25は超電導磁石装置の全体
構成例を示す外観斜視図である。
【0005】図23乃至図25において、浮上式鉄道の
車両1に搭載されて、車体2の浮上、案内、推進用とし
て使用される超電導磁石装置3は、高電気抵抗(必要に
応じて、低熱伝導かつ高電気抵抗)の金属板からなり、
超電導コイル4をその冷却材(例えば、液体ヘリウム
等)と共に内部に収納する内槽容器5と、この内槽容器
5を覆うように設けられ、外部からの熱侵入(必要に応
じて、外部からの熱侵入および交流磁界)を遮る輻射シ
ールド板6と、内部が真空状態に保持され、内槽容器5
および輻射シールド板6を収納する外槽容器7と、超電
導コイル4を低温状態に保持するための冷凍機8とその
冷却材タンク9、および配管類10からなる冷却装置1
1とから構成されている。
【0006】ところで、浮上式鉄道の走行システムは、
図23に示すように、車両1に搭載されている超電導磁
石装置3に対向する形で、その断面がU字形のガイドウ
ェイ12に配置されている外部コイルである地上コイル
13に、車両1の走行速度に見合った周期数で交流通電
を行ない、車両1を走行させるものである。この時、浮
上・推進力の他に、地上コイル13のピッチと走行速度
とによって決まる高調波の電磁変動が、電磁気的な外乱
として超電導磁石装置3に加わる。
【0007】上述のように、浮上式鉄道用の超電導磁石
装置3は、原理的に走行速度に応じた電磁気的な外乱と
して、交流磁界を受信せざるを得ない使用環境にあるこ
とから、超電導磁石装置3の内部に侵入する交流磁界の
電磁誘導作用によって、超電導状態を保持するのに必要
な冷却材の蒸発量が大幅に増加する発熱現象が台頭し、
超電導磁石装置3の運用を制約する大きな要因になって
いる。
【0008】このような発熱現象を熱負荷増現象と称す
るが、その発熱機構は次のように考えられている。
【0009】すなわち、超電導磁石装置3の内部に交流
磁界が侵入すると、超電導コイル4を収納した内槽容器
5に渦電流が誘起され、導体の抵抗に比例したジュール
発熱を発生する。その結果、内槽容器5の温度が上昇
し、超電導状態を保持するのに必要な冷却材の蒸発量が
大幅に増加するというものである。
【0010】そして、このような超電導磁石装置3の内
部に侵入する交流磁界による熱負荷増現像は、車両1の
走行速度が比較的小さい領域、すなわち超電導磁石装置
3の加振周波数が100Hz以下の領域で顕在化するも
のであるが、将来的に、地上コイル13の構成がより簡
素化された場合には、電磁気的な外乱の空間波形の次数
が低くなり、ほとんどの走行速度域で問題となる可能性
がある。
【0011】また、超電導磁石装置3が浮上する高速走
行状態で、超電導磁石装置3を固定する台車14が、数
Hzで左右、上下に運動(揺動)する場合にも、超電導
磁石装置3の内部に侵入する交流磁界が増加し、熱負荷
増現象が台頭するため問題である。
【0012】このように、車両1の走行状態に応じた電
磁気的な外乱による熱負荷増現象がさらに大きくなり、
蒸発した冷却材が冷凍機8の冷却能力を超過する状態が
長時間続くと、超電導コイル4の温度が急激に上昇する
ので、超電導状態が破壊(クエンチと称する)し、超電
導磁石装置3の機能消失という最悪の事態に発展する可
能性がある。
【0013】一方、最近では、上記のような超電導磁石
装置における問題を解消するために、低温で電気抵抗が
零となる超電導体を利用して磁気遮蔽を行なうことが提
案されてきている。
【0014】そして、この種の低温で電気抵抗が零とな
る超電導体を利用した磁気遮蔽の方法としては、例えば
超電導体の完全反磁性(マイスナー効果)を利用する方
法(超電導遮蔽法)と、超電導体を含む導体を環状とな
るように接続して閉じた回路を構成し、その環状の閉回
路に鎖交する磁束があると、それを打ち消す形で逆向き
の磁束が発生するように閉回路に電流が発生する、いわ
ゆる鎖交磁束不変の法則を利用する方法(電磁遮蔽法)
とがある。
【0015】このうち、鎖交磁束不変の法則を利用した
方法としては、例えば図26に分解斜視図を示すよう
に、第2種超電導体であるNbTi合金と熱伝導性が良
好で低電気抵抗の低い銅とからなるディスク状の超電導
シート(または超電導フィルム)60の厚み方向に小孔
を設置したものを、絶縁板61により電気的な絶縁性を
確保しつつ、複数積層させる方法が提案されている。
【0016】この方法の特徴は、超電導シート(または
超電導フィルム)60の積層面と垂直な方向の磁気遮蔽
能力が、非常に優れた性能を示すのに対し、積層面と平
行な方向の特性が著しく低いというように、磁気遮蔽能
力に強い異方性があることである。
【0017】このことは、超電導体の磁気的安定性を確
保するためには、超電導体の厚さを数10μm以下にす
る必要があることによるものであり、超電導シート(ま
たは超電導フィルム)60の大きさには、このような形
状的な大きな制約がある。
【0018】また、このような方法以外に、例えば図2
7に示すように、超電導線58を数回捩り、その部分
(接続部分)62を半田等の低融点金属で接続して閉回
路63を構成する方法や、図28および図29にそれぞ
れ示すように、複数の超電導線58を製織して圧延し、
超電導線58間を接続する超電導線58間を半田等の低
融点金属で接続するか、または超電導線58間を摩擦圧
接によって接続する等により、超電導線58をメッシュ
状にした閉回路63を構成し、鎖交磁束不変の法則を利
用する方法が提案されている。
【0019】超電導線58により閉回路63を構成する
ことを意図したこの方法は、電流の集中を回避しつつ、
磁気的安定性を確保するために、電流のパスを限定しか
つ閉回路63の一部に微小な抵抗成分を導入しようとし
たものである。
【0020】しかしながら、上述したこれらの方法で
は、閉回路63の一部に導入される抵抗成分が、構造上
不安定になり易く、しかもその接続抵抗が比較的大きく
なるため、特に周波数の低い交流磁界に対する磁気遮蔽
能力が、必ずしも充分な特性を発揮することができない
場合がある。
【0021】ところで、比較的大きな範囲に磁気遮蔽能
力を付与しようとする場合には、ディスク状の超電導シ
ート(または超電導フィルム)60を、被遮蔽物の大き
さに応じて拡大するだけでは、所定の磁気遮蔽能力を確
保することはできない。これは、超電導体52の面積が
大きくなると、電流の迷走や集中が生じ、磁束跳躍(フ
ラックス・ジャンプ)等の超電導状態を不安定にする現
象が台頭して、必ずしも強磁界中で磁気遮蔽能力を安定
的に確保することができないという問題が発生する恐れ
があるからである。
【0022】一方、超電導線58同志を接続して閉回路
63を構成する方法では、その接続部62では、半田等
の低融点金属で、銅等の常電導体(安定化材)53同志
を接触させる形となるため、超電導体52同志が直接、
接続した閉回路63を構成することはできない。さら
に、接続抵抗は、接続部分62の半田の量にも関係する
ため、その接続抵抗は比較的大きく、期待した磁気遮蔽
効果が得られない場合がある。
【0023】特に、接続抵抗が大きい箇所では、その接
続部分62にジュール発熱が生じるため、接続部分62
の温度が大幅に上昇して、超電導線58の超電導状態が
不安定になる結果、定常的に所定の磁気遮蔽能力が得ら
れない事態に発展する恐れもある。
【0024】しかしながら、その一方で、閉回路63の
抵抗成分を完全に零にすると、誘導される遮蔽電流の大
きさが、超電導体52の臨界電流特性を超過する程に極
端に大きくなり、超電導体52の安定性が損なわれてし
まう場合がある。
【0025】例えば、超電導体52と安定化材53とか
らなる超電導フィルム(または超電導フィルム)60
に、直径数ミリの複数の小孔を貫通させた閉回路63の
磁気遮蔽能力は、閉回路63の抵抗成分が零になるた
め、著しく低い特性となる。
【0026】このことからも、閉回路63の超電導状態
の安定性を確保するためには、遮蔽電流の大きさを超電
導体52の臨界電流特性以下に抑制する必要があり、そ
のためには、電流のパスを形状的に限定して、超電導体
52による閉回路63に微小抵抗成分を導入しなければ
ならない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
浮上式鉄道用超電導磁石装置のような使用環境で変動磁
場が作用する超電導磁石装置においては、車両の走行状
態に応じた電磁気的な外乱による熱負荷増現象は、超電
導磁石装置の運用上のマージンを確保するために、その
発熱量を大幅に低減する必要があるが、現在の技術では
その低減効果が十分なものではないという問題があっ
た。
【0028】一方、従来の低温で電気抵抗が零となる超
電導体を利用した磁気遮蔽方法においては、鎖交磁束不
変の法則を確実に成立させることが難しく、磁気遮蔽能
力が低いという問題があった。
【0029】本発明の第1の目的は、磁気的安定性を確
保しつつ、装置内部に外部から侵入する交流磁界による
熱負荷増現象を大幅に低減することができ、もって冷却
材の蒸発量を著しく減少させることが可能な超電導磁石
装置を提供することにある。
【0030】一方、本発明の第2の目的は、超電導体に
よる超電導閉回路を接続部分を導入しない形で形成しつ
つ、鎖交磁束不変の法則を確実に成立させることが可能
で磁気的な安定性の高い超電導磁気シールド材とその製
造方法を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、まず、請求項1に対応する発明では、高電気抵抗
の金属板からなり、超電導コイルをその冷却材と共に内
部に収納する内槽容器と、この内槽容器を覆うように設
けられ、外部からの熱侵入を遮る輻射シールド板と、内
部が真空状態に保持され、内槽容器および輻射シールド
板を収納する外槽容器とから構成される超電導磁石装置
において、内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零とな
る超電導材を網目状に設置し、装置外部から侵入する交
流磁界を遮蔽する閉回路を形成している。
【0032】ここで、特に上記内槽容器に設置される網
目状の超電導材は、例えば請求項2に記載したように、
低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3 −S
n金属間化合物等の金属系超電導体、またはY−Ba−
Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化
物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材とから
なる複合超電導板で構成していることが望ましい。
【0033】また、上記内槽容器に設置される網目状の
超電導材は、例えば請求項3に記載したように、低温で
電気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3 −Sn金属
間化合物等の金属系超電導体、またはY−Ba−Ca−
Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超
電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、アル
ミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材とからなる複合
超電導板を素材とし、この複合超電導板に千鳥状の切れ
目を入れて、複合超電導板に対してほぼ直交する方向に
押し広げて形成していることが望ましい。
【0034】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項4に記載したように、インジウム、鉛、錫等の
低融点金属をメッキ法で被覆していることが望ましい。
【0035】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項5に記載したように、内槽容器と電気的に絶縁
されるように絶縁処理を施し、かつインジウム、錫、鉛
等の低融点金属をメタライズ(導電化)処理しているこ
とが望ましい。
【0036】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項6に記載したように、超電導コイルの巻線形状
に応じた閉ループ電気回路を形成しないように複数に分
割し、かつ装置外部から侵入する交流磁界の波長の1/
N(N:整数)に対応する間隔でラップさせるように設
置していることが望ましい。
【0037】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項7に記載したように、地上コイル等の外部コイ
ルの設置ピッチの1/M(M:整数)に対応する間隔で
ラップさせるように設置していることが望ましい。
【0038】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項8に記載したように、銅、アルミニウム、銀等
の低電気抵抗材と共に内槽容器の表面に設置しているこ
とが望ましい。
【0039】また、上記低電気抵抗材は、例えば請求項
9に記載したように、常温と極低温の抵抗の比率(残留
抵抗比:RRR)>50の関係を満足し、かつ0.1〜
1mmの厚さの被膜であることが望ましい。
【0040】さらに、上記低電気抵抗材は、例えば請求
項10に記載したように、超電導コイルの巻線形状に応
じた閉ループ電気回路を形成しないように、分割して内
槽容器の表面に設置していることが望ましい。
【0041】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材と銅、ア
ルミニウム、銀等の低電気抵抗材は、例えば請求項11
に記載したように、インジウム、インジウム−錫合金、
鉛−錫合金等の低融点合金材で内槽容器の表面に半田付
け固定していることが望ましい。
【0042】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項11に記載したように、熱可塑性樹脂からなる
接着剤で内槽容器と固着していることが望ましい。
【0043】さらに、上記内槽容器に設置される低温で
電気抵抗が零となる網目状に形成された複合超電導板
は、例えば請求項12に記載したように、熱可塑性樹脂
からなる接着剤で内槽容器と固着していることが望まし
い。
【0044】さらにまた、上記熱可塑性樹脂は、例えば
請求項13に記載したように、エチレンとメタクリル酸
との共重合体を主成分とするものであることが望まし
い。
【0045】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項14に記載したように、ガラス繊維、炭素繊
維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等の絶縁
材と共に内槽容器と固着していることが望ましい。
【0046】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項15に記載したように、ガラス繊維、炭素繊
維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等の絶縁
材に加え、超電導材と電気的な絶縁が確保されるよう
に、ステンレス鋼、真鍮、銅、銅合金等の補強材を設置
していることが望ましい。
【0047】さらに、上記内槽容器に設置される低温で
電気抵抗が零となる網目状の交流磁界を遮蔽する閉回路
について、例えば請求項16に記載したように、少なく
ともその一部を選択的に常電導に転移させる手段を備え
ていることが望ましい。
【0048】一方、請求項17に対応する発明では、高
電気抵抗の金属板からなり、超電導コイルをその冷却材
と共に内部に収納する内槽容器と、この内槽容器を覆う
ように設けられ、外部からの熱侵入を遮る輻射シールド
板と、内部が真空状態に保持され、内槽容器および輻射
シールド板を収納する外槽容器とから構成される超電導
磁石装置において、内槽容器の表面に、低温で電気抵抗
が零となる超電導材を当該内槽容器の内縁部および外縁
部に網目状に設置し、かつ装置外部から侵入する交流磁
界の波長の1/N(N:整数)に対応する間隔で内縁部
と外縁部を網目状の超電導材で電気的に接続して、装置
外部から侵入する交流磁界を遮蔽する閉回路を形成して
いる。
【0049】また、請求項18に対応する発明では、高
電気抵抗の金属板からなり、超電導コイルをその冷却材
と共に内部に収納する内槽容器と、この内槽容器を覆う
ように設けられ、外部からの熱侵入を遮る輻射シールド
板と、内部が真空状態に保持され、内槽容器および輻射
シールド板を収納する外槽容器とから構成される超電導
磁石装置において、内槽容器の表面に、低温で電気抵抗
が零となる超電導材を当該内槽容器の内縁部および外縁
部に網目状に設置し、かつ地上コイル等の外部コイルの
設置ピッチの1/M(M:整数)に対応する間隔で内縁
部と外縁部を網目状の超電導材で電気的に接続して、装
置外部から侵入する交流磁界を遮蔽する閉回路を形成し
ている。
【0050】ここで、特に上記内槽容器に設置される網
目状の超電導材は、例えば請求項19に記載したよう
に、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3
−Sn金属間化合物等の金属系超電導体、またはY−B
a−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の
酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニ
ウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材とか
らなる複合超電導板で構成していることが望ましい。
【0051】また、上記内槽容器に設置される網目状の
超電導材は、例えば請求項20に記載したように、低温
で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3 −Sn金
属間化合物等の金属系超電導体、またはY−Ba−Ca
−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系
超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材とからなる複
合超電導板を素材とし、千鳥状の切れ目を入れて上下に
押し広げて形成していることが望ましい。
【0052】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項21に記載したように、インジウム、鉛、錫等
の低融点金属をメッキ法で被覆していることが望まし
い。
【0053】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項22に記載したように、銅、アルミニウム、銀
等の低電気抵抗材と共に内槽容器の表面に設置している
ことが望ましい。
【0054】さらに、上記低電気抵抗材は、例えば請求
項23に記載したように、常温と極低温の抵抗の比率
(残留抵抗比:RRR)>50の関係を満足し、かつ
0.1〜1mmの厚さの被膜であることが望ましい。
【0055】さらにまた、上記低電気抵抗材は、例えば
請求項24に記載したように、超電導コイルの巻線形状
に応じた閉ループ電気回路を形成しないように、分割し
て内槽容器の表面に設置していることが望ましい。
【0056】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材と銅、ア
ルミニウム、銀等の低電気抵抗材は、例えば請求項25
に記載したように、インジウム、インジウム−錫合金、
鉛−錫合金等の低融点合金材で内槽容器の表面に半田付
け固定していることが望ましい。
【0057】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項26に記載したように、熱可塑性樹脂からなる
接着剤で内槽容器と固着していることが望ましい。
【0058】さらに、上記熱可塑性樹脂は、例えば請求
項27に記載したように、エチレンとメタクリル酸との
共重合体を主成分とするものであることが望ましい。
【0059】一方、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、例え
ば請求項28に記載したように、ガラス繊維、炭素繊
維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等の絶縁
材と共に内槽容器と固着していることが望ましい。
【0060】また、上記内槽容器に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状の交流磁界を遮蔽する閉回路に
ついて、例えば請求項29に記載したように、少なくと
もその一部を選択的に常電導に転移させる手段を備えて
いるが望ましい。
【0061】さらに、上記低電気抵抗材は、例えば請求
項30に記載したように、超電導コイルの巻線形状に応
じた閉ループ電気回路を形成しないように分割し、かつ
当該分割部分を内槽容器コーナー部と浮上走行時に下側
となる直線部分にそれぞれ2箇所ずつ合計4箇所として
いることが望ましい。
【0062】一方、請求項31に対応する発明では、低
温で電気抵抗が零となる超電導体を、有限の電気抵抗を
示す常電導体(安定化材)によりサンドウィッチした形
で積層して成る超電導板に対し、中央部に切れ目を入れ
て押し広げて網目状の超電導閉回路を形成している。
【0063】ここで、特に例えば請求項32に記載した
ように、上記網目状の超電導閉回路における網目の基本
形状寸法のうち、超電導板の刻み加工幅w、押し広げる
大きさL、および電流の折返し部の間隔Sが、それぞ
れ、0.1mm<w<5mm、0.2mm<L<5m
m、0.4mm<S<10mmの範囲となるようにして
いることが望ましい。
【0064】また、上記低温で電気抵抗が零となる超電
導体は、例えば請求項33に記載したように、Nb−T
i合金、Nb−Zr合金、V3 Ga、V3 Si、Nb3
Sn、Nb3 Al、Nb3 Ga、Nb3 Ge等の金属系
超電導体のうちの少なくとも1種類で構成し、また有限
の電気抵抗を示す常電導体は、Cu、Cu−Ni合金、
Al、Al合金等の少なくとも1種類で構成しているこ
とが望ましい。
【0065】さらに、上記低温で電気抵抗が零となる超
電導体は、例えば請求項34に記載したように、Y−B
a−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等に代表さ
れる酸化物系超電導体のうちの少なくとも1種類で構成
し、また有限の電気抵抗を示す常電導体は、Ag、Ag
合金、Cu、Cu−Ni合金、Al、Al合金等の少な
くとも1種類で構成していることが望ましい。
【0066】一方、上記網目状の超電導閉回路の表面
に、例えば請求項35に記載したように、インジウム、
鉛、錫、鉛−錫合金等の低融点金属をメッキ法で付着し
ていることが望ましい。
【0067】また、上記網目状の超電導閉回路の表面
に、例えば請求項36に記載したように、ポリビニルホ
ルマール(PVF)を付着していることが望ましい。
【0068】さらに、上記網目状の超電導閉回路の表面
に、例えば請求項37に記載したように、エチレンとメ
タクリル酸の共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を付
着していることが望ましい。
【0069】さらにまた、上記熱可塑性樹脂としては、
例えば請求項38に記載したように、ガラス繊維、炭素
繊維、または、アラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等の
絶縁材を含有していることが望ましい。
【0070】一方、上記網目状の超電導閉回路は、例え
ば請求項39に記載したように、その相互を絶縁しつつ
重層していることが望ましい。
【0071】また、上記重層した網目状の超電導閉回路
は、例えば請求項40に記載したように、その網目形状
が各層毎に互いに異なっていることが望ましい。
【0072】さらに、上記重層した網目状の超電導閉回
路は、例えば請求項41に記載したように、上層側の閉
回路の開口面積よりも下層側の閉回路の開口面積が小さ
くなるように配置していることが望ましい。
【0073】さらにまた、例えば請求項42に記載した
ように、装置外部から侵入する交流磁界に対して上記網
目状の超電導閉回路の背後に、銅、アルミ等からなる低
電気抵抗材を配置していることが望ましい。
【0074】一方、請求項43に対応する発明では、低
温で電気抵抗が零となる超電導体を、有限の電気抵抗を
示す常電導体(安定化材)によりサンドウィッチした形
で積層して成る超電導板からなる超電導磁気シールド材
の製造方法において、超電導板の板面の垂直方向に対し
て上下運動する刃物で、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ
同時にもしくは切れ目を入れた後に押し広げる加工方法
(エキスパンドメタル加工法)により、複数の超電導閉
回路を網目状に形成するようにしている。
【0075】また、請求項44に対応する発明では、上
記請求項43に対応する発明の超電導磁気シールド材の
製造方法において、エキスパンドメタル加工法により網
目状の超電導閉回路を形成した後に、摂氏350〜45
0度の範囲の温度でほぼ10〜103 時間、窒素ガス等
の還元雰囲気で熱処理するようにしている。
【0076】さらに、請求項45に対応する発明では、
上記請求項43に対応する発明の超電導磁気シールド材
の製造方法において、エキスパンドメタル加工法により
網目状の超電導閉回路を形成した後に、摂氏800〜9
00度の温度範囲で数時間、酸素ガス等の酸化雰囲気で
熱処理するようにしている。
【0077】一方、請求項46に対応する発明では、低
温で電気抵抗が零となる超電導体であるNbを、有限の
電気抵抗を示す常電導体(安定化材)であるCu−Sn
合金によりサンドウィッチした形で積層して成る超電導
板からなる超電導磁気シールド材の製造方法において、
超電導板の板面の垂直方向に対して上下運動する刃物
で、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは切れ
目を入れた後に押し広げる加工方法(エキスパンドメタ
ル加工法)により、複数の閉回路を網目状に形成した後
に、摂氏800度付近の温度で熱処理することにより、
NbとCu−Sn合金の界面付近にNb3 Snの超電導
層を生成させ、網目状の超電導閉回路を形成するように
している。
【0078】従って、まず、請求項1乃至請求項16に
対応する発明の超電導磁石装置においては、装置外部か
ら侵入する交流磁界を遮蔽し、内槽容器の表面に生ずる
渦電流発熱を抑制する手段として、内槽容器の表面に、
磁気的安定性を確保しつつ、低温で電気抵抗が零となる
超電導材を素材とし、網目状に設置して閉回路を形成す
ることにより、渦電流回路が超電導化されて、装置外部
から侵入する交流磁界の向きに対して常電導層(安定化
材)が鎖交しないようにすることが可能となるため、装
置内部に外部から侵入する交流磁界による熱負荷増現象
が大幅に低減され、電磁気的な外乱に対する安定性の高
い超電導磁石装置が得られる。これにより、冷却材の蒸
発量を著しく減少させることができる。
【0079】この場合、特に請求項1乃至請求項16に
対応する発明の超電導磁石装置においては、低温で電気
抵抗が零となる金属系超電導体、または酸化物系超電導
体と、安定化材とからなる複合超電導板を素材とし、こ
の複合超電導板に千鳥状の切れ目を入れて複合超電導板
に対してほぼ直交する方向に押し広げて網目状に閉回路
を形成することにより、渦電流回路が超電導化されて、
より確実に装置外部から侵入する交流磁界の向きに対し
て超電導層が鎖交しないようにすることが可能となるた
め、装置内部に外部から侵入する交流磁界による熱負荷
増現象がより一層大幅に低減され、冷却材の蒸発量をよ
り一層著しく減少させることができる。
【0080】一方、請求項1乃至請求項16に対応する
発明の超電導磁石装置においては、低温で電気抵抗が零
となる網目状に形成された超電導材を、超電導コイルの
巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しないように
複数に分割し、かつ外部から侵入する交流磁界の波長、
または地上コイル等の外部コイルの設置ピッチの1/M
(M:整数)に対応する間隔でラップさせるように設置
することにより、前述と同様の作用が得られるのに加え
て、移動磁界に対する遮蔽能力をより一層向上させるこ
とができる。
【0081】また、請求項1乃至請求項16に対応する
発明の超電導磁石装置においては、低温で電気抵抗が零
となる網目状に形成された超電導材を、低電気抵抗材と
共に内槽容器の表面に設置することにより、前述と同様
の作用が得られるのに加えて、移動磁界に対する遮蔽能
力をより一層向上させることができる。
【0082】さらに、請求項1乃至請求項16に対応す
る発明の超電導磁石装置においては、内槽容器に設置さ
れる低温で電気抵抗が零となる網目状の交流磁界を遮蔽
する閉回路について、少なくともその一部を選択的に常
電導に転移させる手段を備えることにより、前述と同様
の作用が得られるのに加えて、励消磁時に確実に複合超
電導板を常電導化することが可能となるため、超電導磁
石装置の運用上の安定性を向上させることができる。
【0083】一方、請求項17乃至請求項30に対応す
る発明の超電導磁石装置においては、装置外部から侵入
する交流磁界を遮蔽し、内槽容器の表面に生ずる渦電流
による発熱を抑制する手段として、内槽容器の表面に、
磁気的安定性を確保しつつ、低温で電気抵抗が零となる
網目状の超電導材を内槽容器の内縁部および外縁部に設
置し、かつ装置外部から侵入する交流磁界の波長の1/
N(N:整数)、または地上コイル等の外部コイルの設
置間隔の1/M(M:整数)に対応する間隔で内縁部と
外縁部を網目状の超電導材で電気的に接続して装置外部
から侵入する交流磁界を遮蔽する閉回路を形成すること
により、渦電流回路の大部分が超電導化するため、導体
の抵抗に比例したジュール発熱が大幅に減少し、装置外
部から侵入した交流磁界により増加していた熱負荷を著
しく低減させると共に、移動磁界に対する遮蔽能力が高
く、電磁気的な外乱に対する安定性の高い超電導磁石装
置が得られる。これにより、冷却材の蒸発量を著しく減
少させることができる。
【0084】この場合、特に請求項17乃至請求項30
に対応する発明の超電導磁石装置においては、低温で電
気抵抗が零となる網目状の超電導材として、金属系超電
導体、または酸化物系超電導体と安定化材とからなる複
合超電導板に千鳥状の切り目を入れて、複合超電導板に
対してほぼ直交する方向に押し広げて形成することによ
り、より確実に渦電流回路の大部分が超電導化するた
め、導体の抵抗に比例したジュール発熱がより一層大幅
に減少し、装置外部から侵入した交流磁界により増加し
ていた熱負荷をより一層著しく低減させると共に、電磁
気的な外乱に対する安定性の高い超電導磁石装置が得ら
れる。これにより、冷却材の蒸発量をより一層著しく減
少させることができる。
【0085】また、請求項17乃至請求項30に対応す
る発明の超電導磁石装置においては、低温で電気抵抗が
零となる網目状に形成される超電導板材を、低電気抵抗
材と共に、内槽容器の表面に設置することにより、前述
と同様の作用が得られるのに加えて、移動磁界に対する
遮蔽能力をより一層向上させることができ、装置外部か
ら侵入した交流磁界により増加していた熱負荷をより一
層著しく低減させると共に、電磁気的な外乱に対する安
定性の高い超電導磁石装置が得られる。これにより、冷
却材の蒸発量をより一層著しく減少させることができ
る。
【0086】さらに、請求項17乃至請求項30に対応
する発明の超電導磁石装置においては、内槽容器の表面
に設置される低温で電気抵抗が零となる網目状の超電導
材を用いた交流磁界を遮蔽する閉回路において、少なく
ともその一部を選択的に常電導に転移させる手段を備え
ることにより、前述と同様の作用が得られるのに加え
て、励消磁時に確実に複合超電導材を常伝導化すること
が可能となるため、電導磁石装置の運用上の安定性を向
上させることができる。
【0087】以上により、磁気的安定性を確保しつつ、
装置内部に外部から侵入する交流磁界による熱負荷増現
象を大幅に低減することができ、もって冷却材の蒸発量
を著しく減少させることが可能となる。
【0088】一方、請求項31乃至請求項46に対応す
る発明の超電導磁気シールド材とその製造方法において
は、網目状の超電導閉回路は、超電導体と安定化材とを
積層した一枚の超電導板から構成されることにより、超
電導閉回路の途中に前述のような接続部分は全くなく、
超電導体のみによる完全な超電導閉回路が形成されるた
め、本発明の超電導磁気シールド材に、その中心線と平
行な磁界が作用すると、超電導体による超電導閉回路に
は、鎖交磁束不変の法則に従って、超電導閉回路の内側
に侵入する磁束を打消すように、確実に遮蔽電流が誘導
される。
【0089】しかも、本超電導閉回路のボンド部では、
遮蔽電流が形状的に強制的かつ局部的に折り返す形でそ
の向きを変えて流れるため、ボンド部にはこれに伴う電
磁誘導現象が生ずる。この現象は、ボンド部における局
所的なものであるが、誘導される電流の影響を受けてエ
ネルギーの損失がある。しかし、その損失は非常に小さ
いものであるため、超電導閉回路の一部に微小抵抗成分
を導入したことと同様の物理的な意味がある。
【0090】これにより、本発明の超電導磁気シールド
材は、その超電導閉回路において、超電導体同志を半田
等の低融点金属で接続することなく、超電導閉回路に微
小抵抗成分が導入されるため、鎖交磁束不変の法則に従
って、遮蔽電流が誘導され、しかも安定性の高い磁気遮
蔽能力を示すことができる。
【0091】この場合、特に請求項31乃至請求項46
に対応する発明の超電導磁気シールド材とその製造方法
においては、超電導体と安定化材とを積層した一枚の超
電導板に千鳥状の切れ目を入れて、超電導板に対してほ
ぼ直交する方向に押し広げる(エキスパンドメタル)加
工をすることにより、超電導閉回路を複数形成すること
ができる。このようにして製作された超電導磁気シール
ド材は、その安定性が高く、前述の場合と同様の磁気遮
蔽能力を得ることができる。
【0092】なお、このような超電導閉回路において
は、形状的に電流が迷走する可能性は全くなく、その意
味でも本発明の超電導磁気シールド材の安定性は、他の
方式に比べて高いものとなる。
【0093】また、請求項31乃至請求項46に対応す
る発明の超電導磁気シールド材とその製造方法において
は、構造上柔軟性が高いため、被遮蔽物が複雑な形状で
あっても、3次元的な磁気遮蔽能力を容易に付与するこ
とができる。
【0094】さらに、請求項31乃至請求項46に対応
する発明の超電導磁気シールド材とその製造方法におい
ては、エチレンとメタクリル酸等からなる接着剤で容易
に一体にできることにより、磁気遮蔽が必要な箇所(被
遮蔽物)の材料が電気絶縁性の高い場合であっても、電
気絶縁性の高い材料に対しても3次元的な磁気遮蔽能力
を容易に付与することができる。
【0095】さらにまた、請求項31乃至請求項46に
対応する発明の超電導磁気シールド材とその製造方法に
おいては、超電導磁気シールド材を電気的に絶縁する形
で、複数の超電導磁気シールド材を重層させる構成と
し、さらにその層数を調整することにより、任意の磁気
遮蔽をすることができる。
【0096】一方、エキスパンドメタル加工(切断)面
には、構造上、超電導体が露出しているため、他の導電
性材料との接続抵抗を極めて小さくできるという特徴が
ある。このことから、請求項31乃至請求項46に対応
する発明の超電導磁気シールド材とその製造方法におい
ては、超電導磁気シールド材を超抵抗化材料として、渦
電流損の大きな箇所や超電導線同志の強磁界中での接続
部分に適用することにより、磁気的安定性を確保しつ
つ、その損失を大幅に低減することができる。
【0097】以上により、超電導体による超電導閉回路
を接続部分を導入しない形で形成しつつ、鎖交磁束不変
の法則を確実に成立させることができ、磁気的な安定性
の高い超電導磁気シールド材とその製造方法を得ること
が可能となる。
【0098】
【発明の実施の形態】まず、本発明の前提となる考え方
について説明する。
【0099】超電導磁石装置における前述した熱負荷増
は、内槽容器に作用する交流磁界の大きさの2乗に比例
するものであるから、熱負荷増現象の台頭を低減する手
段として、内槽容器を収納する外槽容器において、外部
コイル(地上コイル)対向面(軌道側)の板厚およびそ
の導電率を増加することにより、磁気遮蔽能力を向上さ
せて、超電導磁石装置内部に侵入する交流磁界の大きさ
を低減する発信側の方法が考えられる。
【0100】しかし、このような方法では、内槽容器に
到達する交流磁界の大きさを完全に零にすることができ
ないことに加えて、超電導磁石装置の重量が大幅に増加
するため、浮上式鉄道システムの構成上、現実的ではな
い。
【0101】一方、交流磁界を受信する内槽容器では、
電気抵抗に比例したジュール発熱が発生することから、
熱負荷増現象の台頭を低減する手段として、内槽容器の
表面全体に、低温で電気抵抗が零になる板状の超電導材
を設置することにより、発熱量を大幅に低減する方法が
考えられる。
【0102】しかし、このような方法では、交流磁界を
遮蔽する電流の集中や迷走が生じ易くなることに加え
て、磁束跳躍(フラックス・ジャンプ)等の超電導状態
を不安定にする現象が台頭し、必ずしも強磁界中で磁気
遮蔽状態を安定的に実現することができないという問題
が発生する恐れがある。
【0103】そこで、超電導状態の磁気的安定性を確保
しつつ、外部からの交流磁界を遮蔽する手段として、電
流の集中や迷走を回避するために、例えば図8に示すよ
うに、内槽容器5の表面に超電導線を網目状16に設置
する方法が考えられる。
【0104】しかし、このような方法では、図9に示す
ように、内槽容器5の表面に網目状の閉回路となるよう
に超電導線15を半田付けするのが一般的であり、各閉
回路には有限の接続抵抗17が確実に導入されてしま
う。このため、周波数の低い領域では、必ずしも所定の
磁気遮蔽能力を十分に確保することができないことが考
えられる。
【0105】以上のような観点から、本発明では、浮上
式鉄道用の超電導磁石装置のように、使用環境で交流磁
界が作用する超電導磁石装置において、その熱負荷増現
象の台頭を大幅に低減する手段として、交流磁界を受信
する内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電
導板を素材として網目状に設置し、装置外部から侵入す
る交流磁界を遮蔽する閉回路を形成するものである。
【0106】以下、上記のような考え方に基づく本発明
の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0107】なお、ここでは、超電導磁石装置の内部に
収納される内槽容器を主な対象として述べる。
【0108】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の要部
構成例を示す斜視図であり、図23乃至図25と同一要
素には同一符号を付して示している。
【0109】すなわち、図1において、内槽容器5は、
低温で電気抵抗が零となる超電導線を巻き回し、かつエ
ポキシ樹脂等で一体になるようにモールドした超電導コ
イル4を、液体ヘリウム等の冷却材30と共に収納して
いるものである。また、この内槽容器5は、超電導コイ
ル4を励磁した時に発生する電磁力に対して、充分な材
料強度を有する厚さのステレンス鋼等の金属板からなっ
ている。さらに、この内槽容器5の表面には、装置外部
から侵入する交流磁界を遮蔽し、内槽容器5の表面に生
ずる渦電流発熱を抑制する手段として、低温で電気抵抗
が零となる超電導材を網目状に設置し、装置外部から侵
入する交流磁界を遮蔽する閉回路18を形成している。
【0110】ここで、内槽容器5に設置される網目状の
超電導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合
金、Nb3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体(ま
たはY−Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−C
u−O等の酸化物系超電導体)と、銅、銅−ニッケル合
金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の
安定化材とからなる複合超電導板を素材とし、網目状に
加工して接続抵抗がない複数の閉回路18を形成したも
のを設置することが望ましい。
【0111】すなわち、この超電導材による網目状の閉
回路18を形成する方法としては、例えば図2および図
3に示すように、Nb−Ti合金、Nb3 −Sn金属間
化合物等の金属系超電導体19(またはY−Ba−Ca
−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系
超電導体20)と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の低温で充分電気
抵抗が小さい材料からなる安定化材21とからなる複合
超電導板22を素材とし、この複合超電導板22に千鳥
状の切れ目を入れて、複合超電導板22に対してほぼ直
交する方向(図示上下)に押し広げて形成する方法(エ
キスパンドメタル加工法)を採用する。このように、複
合超電導板22単体を加工することで、一枚の素材から
接続抵抗を零とした複数の閉回路18を、工業的な量産
性が高くかつ容易に、網目状に形成することができる。
【0112】なお、この場合、素材とする複合超電導板
22は、Nb−Ti合金、Nb3 −Sn金属間化合物等
の金属系超電導体19(またはY−Ba−Ca−Cu−
O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超電導体
20)と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、アル
ミニウム合金、銀、銀合金等の低温で充分電気抵抗が小
さい材料からなる安定化材21とを、少なくとも各々1
層ずつ存在するように構成する複合板とするのが基本で
あるが、遮蔽する交流磁界の大きさが1ガウス以下の比
較的小さい場合には、安定化材21を省略することも可
能である。
【0113】また、金属系超電導体19、または酸化物
系超電導体20と安定化材21との中間に、複合超電導
板22単体の製作時の熱処理等の時の両者の反応を抑制
して所定の超電導特性を確保する目的で、Nb、Ta等
の介在物を存在させる構成としてもよい。
【0114】さらに、素材となる複合超電導板22は、
加工後の閉回路の超電導特性の安定性を確保する目的
で、超電導材の厚さが、数10μm以下となるような薄
板材としておくことが望ましい。
【0115】さらにまた、素材となる複合超電導板22
は、超電導材が1層の場合のみでなく、超電導材は多層
構成の複合板であっても良い。
【0116】一方、上記のようにして形成された網目状
の複合超電導板18に対して、インジウム、鉛、錫等の
低融点金属をメッキ法等で被覆したり、内槽容器5と電
気的に絶縁できるように絶縁処理した上に、インジウ
ム、錫、鉛等の低融点金属でメタライズ(導電化)処理
することも可能である。
【0117】このような表面処理を施すことで、網目状
の複合超電導板22と内槽容器5との固定を容易に行な
える利点がある他、迷走電流の発生を極力抑制でき、網
目状の閉回路18の安定性向上の点で極めて有効であ
る。
【0118】また、図4は、網目状に加工した複合超電
導板からなる閉回路18の中央部に、長穴23を貫通さ
せた構成を示したものである。このように複合超導電板
を構成することで、迷走電流の発生が低減されるため、
この閉回路18の磁気遮蔽能力を確保しつつ、超電導特
性の安定性を向上できる。
【0119】なお、本実施形態の磁気遮蔽手段は、複合
超電導板を網目状に加工した閉回路18であるので、柔
軟性が高く、被遮蔽物が複雑な形状であっても容易に設
置できる点も大きな特徴の一つである。
【0120】上述したように、本実施形態の超電導磁石
装置は、内槽容器5の表面に、低温で電気抵抗が零とな
るNb−Ti合金、Nb3 −Sn金属間化合物等の金属
系超電導体(またはY−Ba−Ca−Cu−O、Bi−
Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超電導体)と、銅、
銅−ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、
銀、銀合金等の安定化材とからなる複合超電導板を素材
とし、この複合超電導板に千鳥状の切れ目を入れて、複
合超電導板に対してほぼ直交する方向に押し広げて網目
状に加工して、接続抵抗が零の複数の閉回路18を形成
したものを設置するようにしているので、超電導磁石装
置の内部に装置外部から侵入する交流磁界による熱負荷
増現象が大幅に低減でき、超電導磁石装置の特性を安定
したものとすることができる。
【0121】すなわち、超電導磁石装置の内部に装置外
部から侵入する交流磁界等の電磁気的な外乱を受信する
内槽容器5に発生する熱負荷増現象が抑制され、その結
果、液体ヘリウムのような冷却材30の蒸発量の増加の
問題を解消することが可能となり、超電導磁石装置の運
用上の安定性を向上させることができる。
【0122】以下、かかる点に関してより具体的かつ詳
細に説明する。
【0123】超電導磁石装置において、前述したような
周波数の低い領域の磁気遮蔽能力を向上させるために
は、接続抵抗のない閉回路を構成する必要がある。
【0124】この点、本実施形態では、低温で電気抵抗
が零となるNb−Ti合金、Nb3−Sn金属間化合物
等の金属系超電導体19(またはY−Ba−Ca−Cu
−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超電導
体20)と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材21とからな
る複合超電導板22を素材とし、この複合超電導板22
に、図2および図3に示すように千鳥状の切れ目を入れ
て、複合超電導板22に対してほぼ直交する方向に押し
広げる形で加工することにより、超電導材で構成する接
続抵抗のない網目状の閉回路18を実現することができ
る。
【0125】なお、上記のような複合超電導板22につ
いて、超電導状態の電磁気的な外乱に対する安定性を確
保する必要から、その素材の厚さは、構成する超電導材
の厚さが数10μm以下の大きさになるような薄板状態
とし、さらに有効な磁気遮蔽能力を確保する必要から、
加工後の網目の間隔は、10mm以下の大きさにするこ
とが各々望ましい。
【0126】また、本実施形態の複合超電導板22は、
薄板状態の素材を網目状に加工したものであるので、柔
軟性が高いのが特徴で、そのため被遮蔽物が複雑な形状
であっても容易に設置することが可能である。
【0127】一方、交流磁界を遮蔽する電流の大きさ
は、周波数によって変化するものの、100ガウスの交
流磁界に対して、閉回路に生ずる遮蔽電流は、概ね10
アンペアオーダであり、網目状に加工した超電導材の臨
界電流に比べて充分に小さい大きさであるので、超電導
磁石装置の走行時に生ずる電磁気的な外乱(交流磁界)
に対して、高い磁気遮蔽能力を確保することができる。
【0128】また、超電導磁石装置に磁界を発生させる
励磁段階での内槽容器5周辺の磁界変化は、走行時に比
べて非常に大きいので、網目状の閉回路18に生ずる遮
蔽電流の大きさは、超電導材の臨界電流を大幅に超過す
るので、閉回路18の超電導材はクエンチし、常電導化
して短時間で遮蔽電流は減衰するので、超電導コイル4
が発生する磁界を打ち消すようなことはない。
【0129】図5は、本実施形態の超電導材を網目状に
形成した方式の磁気遮蔽能力について示したものであ
る。
【0130】すなわち、図5では、網目状の超電導材単
体をステンレス鋼材上に設置したもの(試料A)と、網
目状の超電導材単体を高純度銅板上に設置したもの(試
料B)との2種類の試料について、試料を冷却材30で
ある液体ヘリウムにより浸漬して低温状態を保持した環
境で、交流磁界を受信させた場合の遮蔽能力と周波数と
の関係を示している。
【0131】なお、図5には、比較の意味で、ステンレ
ス鋼材、高純度銅板、および超電導体19,20と安定
化材21とからなる複合超電導板22単体について評価
した結果についても併せて示している。
【0132】また、各方式について、超電導コイル4の
励磁状態および無励磁状態に相当する磁界環境の安定性
を調べるために、試料の背景磁界が零の場合(白ぬき)
と3テスラの強磁界を与えた場合(黒ぬり)の2条件に
ついてそれぞれ評価した。
【0133】さらに、図5中、縦軸は印加する空間磁界
と各材料の透過磁界との比率であり、磁気遮蔽能力の高
いもの程、透過磁界は小さくなるので、その比率は小さ
い方が性能が良いことになる。
【0134】図5から、電気抵抗がステンレス鋼材に比
べて2桁小さい高純度銅板では、磁気遮蔽能力は、周波
数が増加するのに伴って高くなることがわかる。これ
は、磁界の導体内部に侵入できる深さが、周波数によっ
て変化する表皮効果によるものである。そして、この特
性は、ステンレス鋼材、高純度銅板共、背景磁界の有無
にほとんど影響されることはない。
【0135】これに対して、超電導体19,20と安定
化材21とからなる複合超電導板22単体では、背景磁
界が零の場合には、超電導材を網目状に形成した方式の
試料Aとほぼ同等の特性を示したのに対し、背景磁界が
3Tになると、磁気遮蔽能力は大幅に低下した。
【0136】これは、背景磁界によって、複合超電導板
22単体では、交流磁界を遮蔽する電流の集中や迷走が
生じ易くなり、磁束跳躍(フラックス・ジャンプ)等の
超電導状態を不安定にする現象が台頭するために、超電
導状態が破壊されて、隣接する安定化材21に磁気遮蔽
電流が流れるからであると考えられる。
【0137】以上のような評価結果から、複合超電導板
22を網目状に形成した方式のものでは、強磁界中で侵
入する交流磁界を遮蔽する手段として、極めて有効なも
のであることがわかった。また、その磁気遮蔽能力は、
周波数にほとんど依存しないため、高純度銅板でも磁気
遮蔽能力が小さくなる周波数の低い領域でも、高い磁気
遮蔽能力を確保することができるという大きな利点があ
る。
【0138】そして、この周波数の低い領域でも高い磁
気遮蔽能力を確保できることは、将来的に地上コイル1
3の構成がより簡素化され、電磁気的な外乱の空間波形
の次数が低くなった場合や、超電導磁石装置が浮上する
高速走行状態で、超電導磁石装置を固定する台車14
が、数Hzで左右、上下に運動(揺動)する場合におけ
る熱負荷増現象を大幅に低減できる効果があると言え
る。
【0139】さらに、試料Bのように、網目状の複合超
電導板22と高純度銅を組合せることにより、その磁気
遮蔽能力をより一層向上させることができ、万一、網目
状の超電導板22の超電導状態が破壊されるような事態
になったとしても、この場合には、少なくとも高純度銅
と同等の磁気遮蔽能力が確保されるので、システムの安
定性向上の点で極めて有効な手段であると言える。
【0140】なお、本実施形態では、内槽容器5の断面
が楕円形状のものを示しているが、矩形断面の場合に
は、楕円断面の場合に比べて、さらに遮蔽電流が断面角
部に集中するため、閉回路18を設けたことによるジュ
ール発熱抑制効果が大きくなる。
【0141】(第2の実施形態)本第2の実施形態の浮
上式鉄道用の超電導磁石装置が、前記第1の実施形態の
超電導磁石装置と異なる点は、前記内槽容器5の表面
に、低温で電気抵抗が零となる複合超電導板22を素材
として網目状に加工し、接続抵抗が零となる複数の閉回
路18を、超電導コイル4の巻線形状に応じた閉ループ
電気回路を形成しないように複数に分割し、かつ装置外
部から侵入する交流磁界の波長の1/N(N:整数)、
または外部コイルである地上コイル13の設置ピッチの
1/M(M:整数)に対応する間隔でラップさせるよう
に設置した構成としていることである。
【0142】ここで、地上コイル13には、車両を推進
させるための推進コイルと、車両を浮上・案内させるた
めの浮上・案内コイルとがあり、これらの推進コイルお
よび浮上・案内コイルが作用して発生する交流磁界の空
間波形は、それぞれ異なるものである。
【0143】従って、この異なる空間波形によって、超
電導磁石装置に発生する渦電流によるロスも異なるた
め、上述したように2種類の条件(1/N、または1/
M)を設定している。
【0144】すなわち、超電導磁石装置が受信する交流
磁界は、地上コイル13の設置ピッチによって決まる移
動磁界であることから、その磁気遮蔽能力の効率を確保
するためには、地上コイル13の設置ピッチの1/N
(N:整数)に対応する間隔でラップさせた瓦積みの構
成となるように設置するのがより望ましい。
【0145】従って、本実施形態の超電導磁石装置にお
いては、低温で電気抵抗が零となる網目状に形成された
複合超電導板22を、超電導コイル4の巻線形状に応じ
た閉ループ電気回路を形成しないように複数に分割し、
かつ地上コイル13の設置ピッチの1/N(N:整数)
に対応する間隔でラップさせるように設置していること
により、前記第1の実施形態の場合と同様の作用効果
(磁気遮蔽効果)が得られるのに加えて、移動磁界に対
する遮蔽能力をより一層向上させることができる。
【0146】(第3の実施形態)図6は、本発明の第3
の実施形態による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の構成
例を示す概要図であり、図23乃至図25と同一要素に
は同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる
部分についてのみ述べる。
【0147】すなわち、本実施形態の浮上式鉄道用の超
電導磁石装置は、図6に示すように、前記接続抵抗が零
となる複数の閉回路18を形成する網目状の複合超電導
板を、銅、アルミニウム、銀等の低電気抵抗材24と共
に、前記内槽容器5の表面に設置した構成としているこ
とである。
【0148】ここで、低電気抵抗材24は、常温と極低
温の抵抗の比率(残留抵抗比:RRR)>50の関係を
満足しつつ、0.1〜1mmの厚さの被膜となるように
設置することが運用上有利である。
【0149】すなわち、低電気抵抗材24の厚さが、1
mm以上の大きさになると、通常の励磁時におけるジュ
ール損失が大幅に増加するため、その結果、冷却材30
である液体ヘリウムの蒸発量が大幅に増加する。また、
超電導コイル4がクエンチして、急激に磁力が損失する
場合には、100kA以上の渦電流が内槽容器5に誘導
され、そのジュール損失が100kWを超過することに
なるので、これらの発熱を抑制する必要があるというの
が、その大きな理由である。
【0150】また、上記低電気抵抗材24を、超電導コ
イル4の巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しな
いように、分割(分割範囲25)して内槽容器5の表面
に設置することにより、閉ループ電気回路の抵抗が高抵
抗化されるため、消磁時に発生するジュール損失が抑制
されてより有効である。
【0151】さらに、網目状の複合超電導板22と銅、
アルミニウム、銀等の低電気抵抗材24を、インジウ
ム、インジウム−錫合金、鉛−錫合金等の低融点合金材
で、内槽容器5の表面に半田付け固定するようにしても
よい。
【0152】従って、本実施形態の超電導磁石装置にお
いては、接続抵抗が零となる複数の閉回路18を形成す
る網目状の複合超電導板を、銅、アルミニウム、銀等の
低電気抵抗材24と共に、前記内槽容器5の表面に設置
することにより、前記第1の実施形態の場合と同様の作
用効果(磁気遮蔽効果)が得られるのに加えて、移動磁
界に対する遮蔽能力をより一層向上させることができ
る。
【0153】(第4の実施形態)本第4の実施形態の浮
上式鉄道用の超電導磁石装置が、前記第1の実施形態の
超電導磁石装置と異なる点は、前記内槽容器5の表面
に、接続抵抗が零となる複数の閉回路18を構成する網
目状の複合超電導板22を設置する場合に、熱可塑性樹
脂等からなる接着剤で内槽容器5と固着した構成として
いることである。
【0154】ここで、熱可塑性樹脂としては、超電導コ
イル4の使用温度のような低温でも金属との接着強度が
充分確保する必要から、エチレンとメタクリル酸との共
重合体を主成分とする接着剤を使用することが望まし
い。
【0155】また、上記熱可塑性樹脂に、ガラス繊維、
炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等
の絶縁材を、補強材として内槽容器5と固着することも
有効である。
【0156】さらに、網目状の複合超電導板22は、ガ
ラス繊維、炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポ
キシ樹脂等の絶縁材に加えて、閉回路18と電気的な絶
縁が確保されるように、ステンレス鋼、真鍮、銅、銅合
金等の補強材を設置するようにしてもよい。
【0157】本実施形態の超電導磁石装置においても、
前記第1の実施形態の場合と同様の作用効果(磁気遮蔽
効果)を得ることができる。
【0158】(第5の実施形態)本第5の実施形態の浮
上式鉄道用の超電導磁石装置が、前記第1の実施形態の
超電導磁石装置と異なる点は、前記内槽容器5の表面
に、接続抵抗が零となる複数の閉回路を構成する網目状
の複合超電導板22を設置する場合に、少なくともその
一部を選択的に常電導に転移させる手段を備えた構成と
していることである。
【0159】すなわち、図7に示すように、網目状の複
合超電導板から閉回路18を形成すると、超電導磁石装
置の励消磁時に発生する閉ループ電気回路において電流
の集中する区間26を導入すると、能動的に常電導転移
が可能になる。
【0160】また、より確実に常電導化させる手段とし
て、外部からヒータを導入する方法も採用可能である。
【0161】本実施形態の超電導磁石装置においては、
前記第1の実施形態の場合と同様の作用効果(磁気遮蔽
効果)が得られるのに加えて、励消磁時に確実に複合超
電導板を常電導化することができるため、超電導磁石装
置の運用上の安定性を向上させることができる。
【0162】(第6の実施形態)図10(a)は本発明
の第1の実施形態による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の要部構成例を示す斜視図、図10(b)は同じくその
平面図であり、図1および図23乃至図25と同一要素
には同一符号を付して示している。
【0163】すなわち、図10(a)において、内槽容
器5は、低温で電気抵抗が零となる超電導線を巻き回
し、かつエポキシ樹脂等で一体になるようにモールドし
た超電導コイル4を、液体ヘリウム等の冷却材30と共
に収納しているものである。また、この内槽容器5は、
超電導コイル4を励磁した時に発生する電磁力に対し
て、十分な材料強度を有する厚さのステンレス鋼等の金
属板からなっている。さらに、この内槽容器5の表面に
は、装置内部に外部から侵入した交流磁界により内槽容
器5の表面に生じていた渦電流による発熱を抑制する手
段として、低温で電気抵抗が零となる網目状の超電導材
23を用いて交流磁界を遮蔽する閉回路18を形成して
いる。
【0164】この閉回路18は、図10(b)に示すよ
うに、網目状の超電導材を、内槽容器5の内縁部5aお
よび外縁部5bに設置し、かつ網目状の超電導材を用い
て、装置外部から侵入する交流磁界の波長の1/N
(N:整数)に対応する間隔で内縁部5aと外縁部5b
を電気的に接続して、装置外部から侵入する交流磁界を
遮蔽する閉回路を形成している。
【0165】ここで、内槽容器5に設置される網目状の
超電導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合
金、Nb3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体、ま
たはY−Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−C
u−O等の酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合
金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の
安定化材とからなる複合超電導板を素材とし、網目状に
加工して接続抵抗がない複数の閉回路18で形成したも
のを設置することが望ましい。
【0166】すなわち、この超電導材により網目状の閉
回路18を形成する方法としては、前記図2および図3
に示した場合と同様に、Nb−Ti合金、Nb3 −Sn
金属間化合物等の金属系超電導体19、(またはY−B
a−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の
酸化物系超電導体20)と、銅、銅−ニッケル合金、ア
ルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の低温で
充分電気抵抗が小さい材料からなる安定化材21とから
なる複合超電導板22を素材とし、この複合超電導板2
2に千鳥状の切れ目を入れて、複合超電導板22に対し
てほぼ直交する方向に押し広げて形成する方法(エキス
パンドメタル加工法)を採用する。このように、複合超
電導板22単体を加工することで、一枚の素材から接続
抵抗を零とした複数の閉回路18を、工業的を量産性が
高くかつ容易に、網目状に形成することができる。
【0167】なお、この場合、素材とする複合超電導板
22は、Nb−Ti合金、Nb3 −Sn金属間化合物等
の金属系超電導体19、(またはY−Ba−Ca−Cu
−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超電導
体20)と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銀、銀合金等の低温で充分電気抵抗が
小さい材料からなる安定化材21とを、少なくとも各々
一層ずつ存在するように構成する複合板とするのが基本
であるが、遮蔽する交流磁界の強さが1ガウス以下の比
較的小さい場合には、安定化材21を省略することも可
能である。
【0168】また、複合超電導板22単体の製作時の熱
処理等の場合に金属系超電導体19、または酸化物系超
電導体20と安定化材21との反応を抑制して所定の超
電導特性を確保する目的で両者の中間に、Nb、Ta等
の介在物を存在させる構成としてもよい。
【0169】さらに、素材となる複合超電導板22は、
加工後の閉回路の超電導特性の安定性を確保する目的
で、超電導材の厚さが、数10μm以下となるような薄
板材としておくことが望ましい。
【0170】さらにまた、素材となる複合超電導板22
は、超電導材が一層の場合のみでなく、多層構成の複合
板であってもよい。
【0171】一方、上記のように形成した網目状の複合
超電導板22はインジウム、鉛、錫等の低融点金属をメ
ッキ法で被覆することも可能である。
【0172】このような表面処理をすることで、網目状
の複合超電導板22と内槽容器5との固定を容易に行え
る利点がある他、網目状の閉回路18の安定性向上の点
で極めて有効である。
【0173】なお、本実施形態の磁気遮蔽手段は、複合
超電導板を網目状に加工した閉回路18であるので、柔
軟性が高く、被遮蔽物が複雑な形状であっても容易に設
置できるのも大きな特徴の一つである。
【0174】本実施形態の超電導磁石装置においては、
装置内部に外部から侵入する交流磁界を遮蔽するため
に、内槽容器5の表面に生ずる渦電流の大部分が、低温
で電気抵抗が零となる内槽容器5表面の網目状の超電導
材で構成された閉回路18に流れるため、閉回路18の
抵抗に比例した内槽容器5のジュール発熱が大幅に減少
し、装置内部に侵入した交流磁界により増加していた熱
負荷が著しく低減し、その結果、液体ヘリウムのような
冷却材30の蒸発量の増加の問題を解消することがで
き、また移動磁界に対する遮蔽能力が高くなり、電磁気
的な外乱に対する安定性の高い超電導磁石装置を得るこ
とができる。
【0175】なお、本実施形態では、内槽容器5の断面
が楕円形状のものを示しているが、矩形断面の場合に
は、楕円断面の場合に比べて、さらに遮蔽電流が断面角
部に集中するため、閉回路18を設けたことによるジュ
ール発熱抑制効果が大きくなる。
【0176】(第7の実施形態)図11は、本発明の第
7の実施形態による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の構
成例を示す概要図であり、図1および図10、図23乃
至図25と同一要素には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0177】すなわち、本実施形態の浮上式鉄道用の超
電導磁石装置は、図11に示すように、低温で電気抵抗
が零となる網目状に形成された超電導材からなる閉回路
18を、銅、アルミ、銀等の低電気抵抗材24と共に、
前記内槽容器5の表面に設置した構成としている。
【0178】ここで、低電気抵抗材24は、常温と極低
温の抵抗比率(残留抵抗比:RRR)が>50の関係を
満足し、かつ0.1mmから1mmの厚さの皮膜となる
ように設置することが運用上有利である。
【0179】すなわち、低電気抵抗材24の厚さが1m
m以上の大きさとなると、通常の励磁に伴って発生する
ジュール損失が大幅に増加し、その結果、冷却材30で
ある液体ヘリウムの蒸発量が大幅に増加する。また、超
電導コイル4がクエンチして急激に磁力が失われる場合
には、100kA以上の渦電流が内槽容器5に誘導さ
れ、そのジュール損失が100kWを超過することにな
るので、これらの発熱を抑制する必要があるというの
が、その大きな理由である。
【0180】また、上記低電気抵抗材24を超電導コイ
ル4の巻線形状に応じた閉ループ電気回路を構成しない
ように、分割(分割部分25)を設けて内槽容器5の表
面に設置することにより、通常の励磁およひ消磁に伴っ
て発生する超電導コイル4の巻線形状に応じた渦電流に
対する抵抗が高抵抗化されるため、この時発生するジュ
ール損失が抑制されてより有利である。
【0181】特に、分割部分25は、内槽容器5のコー
ナー部と浮上走行時に下側となる直線部分にそれぞれ2
箇所ずつ合計4箇所とすると、励磁および消磁の際に超
電導コイル4の巻線形状に応じて誘起されるそれぞれの
渦電流に対して、それぞれ最低一箇所分割部分25が存
在することになり、渦電流の抑制効果が高くなる。
【0182】さらに、内槽容器5に設置される低温で電
気抵抗が零となる網目状に形成される超電導板材23と
銅、アルミ、銀等の低電気抵抗材24は、インジウム、
インジウム−錫合金、鉛−錫合金等の低融点合金材で、
内槽容器5の表面に半田付け固定するようにしてもよ
い。
【0183】本実施形態の超電導磁石装置においては、
低温で電気抵抗が零となる網目状に形成された超電導板
材からなる閉回路18を、銅、アルミ、銀等の低電気抵
抗材24と共に、内槽容器5の表面に設置することによ
り、装置内部に外部から侵入する交流磁界を遮蔽するた
めに、内槽容器5の表面に生ずる渦電流の大部分が、低
温で電気抵抗が零となる内槽容器5の表面の網目状の超
電導材で形成された閉回路18に流れ、残りの電流も低
電気抵抗材24を流れるため、閉回路18の抵抗に比例
した内槽容器5のジュール発熱が大幅に減少し、前記第
6の実施形態以上の効果が得られるのに加えて、移動磁
界に対する遮蔽能力がより一層高くなり、電磁気的な外
乱に対する安定性の高い超電導磁石装置を得ることがで
きる。
【0184】(第8の実施形態)第8の実施形態の浮上
式鉄道用超電導磁石装置が、前記第6の実施形態と異な
る点は、前記内槽容器5の表面に、低温で電気抵抗が零
となる網目状の複合超電導板22を用いた交流磁界を遮
蔽する閉回路18を設置する際に、熱可塑性樹脂からな
る接着剤で内槽容器5の表面に固着して構成しているこ
とである。
【0185】ここで、熱可塑性樹脂としては、超電導コ
イル4の使用温度のような低温でも金属との接着強度を
充分確保する必要から、エチレンとメタクリル酸との共
重合体を主成分とする接着剤を使用することが望まし
い。
【0186】また、上記熱可塑性樹脂に、ガラス繊維、
炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等
の絶縁材を、補強材として内槽容器5と固着することも
有効である。
【0187】さらに、上記ガラス繊維、炭素繊維、また
はアラミド繊維等を含むエポキシ樹脂等の絶縁材に加え
て、閉回路18と電気的な絶縁が確保されるように、ス
テンレス鋼、真鍮、銅、銅合金等の補強材を設置するよ
うにしても良い。
【0188】本実施形態の超電導磁石装置においても、
前記第6の実施形態の場合と同様の作用効果(磁気遮蔽
効果)を得ることができる。
【0189】(第9の実施形態)第9の実施形態の浮上
式鉄道用超電導磁石装置が、前記第6の実施形態と異な
る点は、前記内槽容器5の表面に、低温で電気抵抗が零
となる網目状の複合超電導材23を用いた交流磁界を遮
蔽する閉回路18を設置する際に、少なくともその一部
を選択的に常電導に転移させる手段を備えた構成として
いることである。
【0190】すなわち、図12に示すように、網目状の
複合超電導板22を用いた交流磁界を遮蔽する閉回路1
8の分割部分25に対向する部分(幅a)を、他の部分
(幅b)よりも幅を狭くすると、超電導磁石装置の励磁
および消磁に伴なって発生する超電導コイル4の巻線形
状に応じた渦電流がこの部分で集中し、能動的に常電導
転移が可能になる。
【0191】また、より確実に常電導転移させる手段と
して、外部からヒータを導入する方法も採用可能であ
る。
【0192】本実施形態の超電導磁石装置においても、
前記第6の実施形態の場合と同様の作用を得ることがで
きるのに加えて、超電導磁石装置の励磁および消磁の際
に、確実に複合超電導板22を常電導化することができ
るため、この時の内槽容器5のジュール発熱を減少させ
ることができ、その結果、液体ヘリウムのような冷却材
30の蒸発量の増加の問題を解消することが可能とな
り、超電導磁石装置の運用上の安定性を向上させること
ができる。
【0193】(変形形態1) (a)前記第1乃至第9の各実施形態では、本発明を主
として浮上式鉄道用の超電導磁石装置に適用する場合の
構成を基本として説明してきたが、これに限らず、例え
ば核磁気共鳴診断装置(MRI)、超電導限流器、磁気
量子干渉測定装置(SQUID)、超電導ケーブル等、
電磁気的な外乱による安定性を確保する必要がある超電
導磁石装置についても、その磁気遮蔽手段として広い範
囲で適用することも可能である。
【0194】*例えば、FRP製のクライオスタットに
収納した磁気量子干渉測定装置の磁気遮蔽手段として、
前記第4の実施形態または第8の実施形態の場合と同様
に、エチレンとメタクリル酸との共重合体を主成分とす
る熱可塑性樹脂等の接着剤で固着することにより、容易
に絶縁体に高い磁気遮蔽能力を付加することができ、そ
の測定感度を大幅に向上させることが可能となる。
【0195】*また、超電導ケーブル等の長尺形状のも
のへ適用する場合には、前記各実施例の構成をそのまま
採用することも可能であるが、図13に斜視図を示すよ
うに、長尺の電力ケーブル27の周囲を螺旋状に被覆す
るように網目状の閉回路18を設置して、低温状態を保
持する構成とすることにより、容易に絶縁体に高い磁気
遮蔽能力を付加することができる。
【0196】さらに、この方法は、非常に簡便であるた
め量産性も高く、工業的にも極めて有効である。
【0197】従って、このような構成とすることによ
り、電磁気的な外乱に対する電力ケーブル27の安定性
を、大幅に向上させることが可能となる。
【0198】*内槽容器5がFRP製の場合の超電導コ
イル4には、電磁気的な外乱が巻線部まで相当量到達す
るため、前記第4の実施例の場合と同様に、図14に斜
視図を示すように、網目状の複合超電導板で形成した閉
回路18を、金属と接着性の良好な熱可塑性樹脂と共に
一体とした上で、超電導コイル4本体に設置することに
より、線材に発生する電磁気的な発熱現象を大幅に抑制
することが可能となる。
【0199】(b)上記(a)の各種変形例について共
通した使用条件の制約は、磁気遮蔽手段である網目状の
複合超電導板で形成した閉回路18を低温状態に保持す
る点であり、この温度条件を満足できれば、各種低温機
器の内槽容器以外の、例えば図24に示される中間温度
に保持される輻射シールド板6について、Y−Ba−C
a−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の臨界温
度が液体窒素温度以上の酸化物系超電導体21から構成
した複合超電導板22を素材として網目状に加工して、
閉回路18を形成することにより、磁気遮蔽能力が向上
し、発熱を大幅に低減させることが可能となる。
【0200】次に、本発明による超電導磁気シールド材
(網目状の超電導体閉回路)について説明する。
【0201】(第10の実施形態)図15は、本第10
の実施形態による超電導磁気シールド材(網目状の超電
導体閉回路)の構成例を示す要部斜視図である。
【0202】すなわち、図15に示すように、本実施形
態による超電導磁気シールド材(網目状の超電導体閉回
路)51は、低温で電気抵抗が零となる超電導体52
を、熱伝導性が良好で有限の電気抵抗を示す銅等の常電
導体(安定化材)53によりサンドウィッチする形で積
層した1枚の超電導板に千鳥状の切れ目を入れて、超電
導板に対してほぼ直交する方向に押し広げ加工(エキス
パンドメタル加工)して、超電導体52による網目状の
超電導閉回路51を形成している。
【0203】かかる本実施形態の超電導磁気シールド材
51においては、超電導体52と安定化材53とを積層
した1枚の金属板から構成されていることにより、超電
導閉回路51の途中に接続部は全くなく、超電導体52
のみによる完全な超電導閉回路が形成される。
【0204】このため、超電導閉回路51に、鎖交する
磁束の変化に伴なって誘導される電流は、その両端部
(ボンド部と称する)54において、局所的に折り返す
形で向きを急変させて流れることになる。
【0205】なお、この超電導閉回路51は、1枚の超
電導板から形成されているため、電流が折り返すボンド
部54においても、超電導体52は形状的に分断される
ことなく連続したものになっているので、形成した超電
導閉回路51の接続抵抗は全く零である。
【0206】すなわち、この超電導磁気シールド材51
に、その中心線と平行な磁界が作用すると、例えば図1
6に概念図を示すように、超電導体52による超電導閉
回路51には、鎖交磁束不変の法則に従って、超電導閉
回路51の内側に侵入する磁束を打消すように、確実に
遮蔽電流55が誘導される。
【0207】しかも、この超電導閉回路51のボンド部
54では、遮蔽電流55が形状的に強制的かつ局部的に
折り返す形でその向きを変えて流れるため、ボンド部5
4にはこれに伴なう電磁誘導現象が生ずる。
【0208】この現象は、ボンド部54における局所的
なものであるが、誘導される電流の影響を受けてエネル
ギーの損失がある。しかし、その損失は非常に小さいも
のであるので、超電導閉回路51の一部に微小抵抗成分
を導入したことと同じ物理的な意味がある。
【0209】このことから、本実施形態の超電導磁気シ
ールド材51は、その閉回路において、超電導体同志を
半田等の低融点金属で接続することなしに、閉回路に微
小抵抗成分が導入されるため、鎖交磁束不変の法則に従
って、遮蔽電流55が誘導され、しかも安定性の高い磁
気遮蔽能力を示すことになる。
【0210】ここで、ボンド部54での電流の折り返し
に起因する電磁誘導現象によって局所的に微小な抵抗成
分が発生することについて、より詳細に述べる。
【0211】フレミングの法則によれば、電磁力は電流
の向きと磁界の向きの両者に対して垂直の方向に働き、
電流の向きが変化すれば、電磁力の向きも変化する。そ
して、この電磁力の変化を打ち消すように、新たに電流
が発生する。この法則に従って、超電導閉回路51にお
けるボンド部54では、鎖交する磁束の変化に伴って誘
導される電流55が、形状的に強制的かつ局部的に折り
返す形でその向きを変えて流れるため、ボンド部54で
は局所的に別の回路で電流が誘導される。
【0212】この誘導電流は、安定化材53を経由する
ので、エネルギーの損失を伴なうものであるが、極めて
局所的を現象であるため、その損失は非常に小さいもの
になると考えられる。
【0213】このことは、接続部のない1枚の超電導板
による超電導閉回路51からみると、ボンド部54に極
めて微小な抵抗成分を導入したことと同じ効果が付与さ
れたことと同様である。
【0214】なお、この超電導閉回路51において、前
述した従来の板材(超電導フィルム60等)の方法に比
べて、電流のパスが限定されるので、電流の迷走は形状
的に回避されるのは言うまでもない。
【0215】このように超電導閉回路51を形成するこ
とにより、迷走電流の発生を回避し、かつ超電導体同志
を半田等の低融点金属で接続することなしに、閉回路に
微小抵抗成分が導入することができることになるので、
その磁気遮蔽能力の安定性は、大幅に向上することにな
る。
【0216】また、本実施形態の超電導磁気シールド材
51は、構造上柔軟性が高いので、複雑な形状をしたも
のについても3次元的な磁気遮蔽を容易に付与すること
ができる。
【0217】さらに、磁気遮蔽が必要な箇所の材料が電
気絶縁性の高い場合でも、エチレンとメタクリル酸等か
らなる接着剤により容易に一体にできるので、電気絶縁
性の高い材料に対しても磁気遮蔽能力を容易に付与する
ことができる。
【0218】また、この超電導磁気シールド材51を、
電気的に絶縁する形で、複数の超電導磁気シールド材5
1を重層させる構成とし、さらにその層数を調整するこ
とにより、任意の磁気遮蔽が可能になる。
【0219】一方、エキスパンドメタル加工(切断)面
には、構造上、超電導体52が露出しているので、他の
導電性材料との接続抵抗は極めて小さくできるといった
特徴がある。このことから、本実施形態の超電導磁気シ
ールド材51を超抵抗化材料として、渦電流損の大きな
箇所や超電導線同志の強磁界中での接続部に適用するこ
とにより、磁気的安定性を確保しつつ、その損失を大幅
に低減できる作用がある。
【0220】次に、本実施形態の超電導磁気シールド材
(網目状の超電導閉回路)51の製造方法について、具
体的に説明する。
【0221】すなわち、本実施形態の超電導磁気シール
ド材(網目状の超電導閉回路)51の製造方法として
は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3
−Sn金属間化合物等の金属系超電導体(または、Y−
Ba−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−Oなどの酸
化物系超電導体)52と、銅、銅−ニッケル合金、アル
ミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材
53とからなる複合超電導板を素材として、この複合超
電導板の板面の垂直方向に対して上下運動する刃物によ
り、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは切れ
目を入れた後に、複合超電導板に対してほぼ直交する方
向に押し広げる加工方法(エキスパンドメタル加工法)
を適用する。
【0222】この方法で超電導複合板を加工することに
より、1枚の素材から、接続抵抗を零とした複数の超電
導閉回路51を、工業的に量産性が高く、かつ容易に、
網目状に形成することができる。
【0223】また、上記の網目状の超電導閉回路51に
おいて、網目の基本形状寸法のうち、超電導板の刻み加
工幅w、押し広げる大きさL、電流の折返し部の間隔S
が、それぞれ 0.1mm<w<5mm、 0.2mm
<L<5mm、 0.4mm<S<10mm の範囲と
なるように加工する。
【0224】一方、上記の網目状の超電導閉回路51を
構成する低温で電気抵抗が零となる超電導体52は、N
b−Ti合金、Nb−Zr合金、V3 Ga、V3 Si、
Nb3 Sn、Nb3 Al、Nb3 Ga、Nb3 Ge等の
金属系超電導体のうちの少なくとも1種類から形成し、
また有限の電気抵抗を示す安定化材53は、Cu、Cu
−Ni合金、Al、Al合金等の少なくとも1種類から
形成することが基本であるが、遮蔽する交流磁界の大き
さが1ガウス以下の比較的小さい場合には、安定化材5
3を省略することも可能である。
【0225】また、超電導体52と安定化材53との中
間に、複合超電導板の製作段階の熱処理等による両者の
反応を抑制して所定の超電導特性を確保する目的で、N
b、Ta等の介在物を存在させる構成としてもよい。
【0226】さらに、素材となる複合超電導板は、加工
後の閉回路の超電導特性の安定性を確保する目的で、超
電導体の厚さが、数10μm以下となるような薄板材と
しておくことが望ましい。
【0227】なお、素材となる複合超電導板は、超電導
体52が1層の場合のみでなく、超電導体52が多層構
成の複合板であってもよい。
【0228】このように、本磁気遮蔽手段は、複合超電
導板を網目状に加工した超電導閉回路51であるので、
柔軟性が高く、被遮蔽物が複雑な形状であっても容易に
設置できる点も大きな特徴の一つである。
【0229】そして、このように製造した超電導磁気シ
ールド材51を、例えば変動(交流)磁界を受信する環
境で、直流の強磁界を発生する超電導磁石等の各種超電
導応用装置の内部に設置すると、渦電流量を大幅に低減
できるため、液体ヘリウム等の冷却材の消費量が大幅に
抑制され、その結果、超電導応用装置の運用性能を大幅
に安定にすることができる。
【0230】以下、この点について、具体的かつ詳細に
説明する。
【0231】変動磁界を受信する超電導磁石において、
その運用性能を大幅に向上させるためには、装置が受信
する変動磁界の周波数によらず、安定した磁気遮蔽能力
のある磁気シールド材が必要である。
【0232】この点に関し、本実施形態では、低温で電
気抵抗が零となるNb−Ti合金、Nb3 −Sn金属間
化合物等の金属系超電導体(またはY−Ba−Cu−
O、Bi−Sr−Ca−Cu−O等の酸化物系超電導
体)と、銅、銅−ニッケル合金、アルミニウム、アルミ
ニウム合金、銀、銀合金等の安定化材とからなる複合超
電導板を素材として、この複合超電導板の板面の垂直方
向に対して上下運動する刃物により、千鳥状に切れ目を
入れるとほぼ同時にもしくは切れ目を入れた後に、複合
超電導板に対してほぼ直交する方向に押し広げる加工方
法(エキスパンドメタル加工法)を適用することによ
り、1枚の素材から、例えば図17に示すように、接続
抵抗を零とした複数の超電導閉回路51を、工業的に量
産性が高く安価に、かつ容易に製造することができる。
【0233】なお、上記のような超電導複合板につい
て、超電導状態の電磁気的な外乱に対する安定性を確保
する必要から、その素材の厚さは、構成する超電導体5
2の厚さが数10μm以下の大きさになるような薄板状
態とし、さらに有効な磁気遮蔽能力を確保する必要か
ら、加工後の網目の大きさは、10mm以下の大きさに
することが望ましいので、網目の基本形状寸法のうち、
超電導板の刻み加工幅w、押し広げる大きさL、電流の
折返し部の間隔Sは、それぞれ 0.1mm<w<5m
m、 0.2mm<L<5mm、 0.4mm<S<1
0mm の範囲となるように加工する。
【0234】また、本実施形態の複合超電導板は、薄板
状態の素材を網目状に加工したものであるので、柔軟性
が高いのが特徴で、そのため、被遮蔽物が複雑な形状で
あっても容易に設置することができる。
【0235】一方、変動(交流)磁界を遮蔽する電流の
大きさは、周波数によって変化するものの、100ガウ
スの交流磁界に対して、閉回路に生ずる遮蔽電流は、概
ね10アンペアオーダであり、網目状に加工した超電導
材の臨界電流に比べて充分に小さい大きさであるので、
超電導磁石装置の受信する電磁気的な外乱(交流磁界)
に対し、高い磁気遮蔽能力を確保することができる。
【0236】図18は、本実施形態の複合超電導板を網
目状に加工した超電導磁気シールド材51について、試
料を液体ヘリウムに浸漬して低温状態を保持した環境
で、交流磁界を受信させた場合の磁気遮蔽能力と交流磁
界の周波数の関係の一例を示す特性図である。
【0237】図18には、網目状に加工した複合超電導
板(試料E)の結果に加えて、比較の意味で、網目状に
加工する前の複合超電導板単体と高純度銅板について評
価した結果も、併せて示している。
【0238】また、各方式とも、環境磁界に対する安定
性を調べるために、試料の背景磁界が零の場合(記号:
白ヌキ)と、背景磁界が3テスラ印加した場合(記号:
黒塗り)の2種類の条件について、それぞれ評価してい
る。
【0239】一方、図18において、縦軸は、印加する
空間(交流)磁界と各試料の透過磁界の関係との比率を
示したもので、磁気遮蔽能力の高いもの程、透過磁界の
大きさは小さくなるので、その比率が小さい方が、性能
が良いことになる。
【0240】図18から、高純度銅板の磁気遮蔽能力
は、周波数の低い領域では性能が低下することがわか
る。これは、変動磁界が導体内部に侵入できる深さが、
周波数によって変化するためで、表皮効果と呼ばれてい
る物理的な現象の影響である。この特性は、背景磁界の
大きさにほとんど影響されることはないものである。
【0241】これに対し、網目状に加工する前の複合超
電導板単体では、背景磁界が零の場合には、複合超電導
板を網目状に加工したものとほぼ同等の特性を示したの
に対し、背景磁界が3テスラになると、磁気遮蔽能力は
著しく低下し、安定した特性が得られない。
【0242】これは、背景磁界によって、複合超電導板
単体では、交流磁界を遮蔽する電流の集中や迷走が生じ
易くなり、磁束跳躍(フラックス・ジャンプ)等の超電
導状態を不安定にする現象が台頭するために、超電導状
態が破壊されて、隣接する安定化材に磁気遮蔽電流が流
れるからであると考えられる。
【0243】以上のような評価結果から、複合超電導板
を網目状に加工した方式のものでは、強磁界中で、変動
(交流)磁界を遮蔽する手段として、極めて有効なもの
であることがわかる。
【0244】また、その磁気遮蔽能力は、周波数にほと
んど依存しないため、高純度銅板でも、磁気遮蔽能力が
低下する周波数の低い領域でも、高い磁気遮蔽能力を確
保することができるという大きな効果がある。
【0245】さらに、試料Fのように、網目状に加工し
た複合超電導板51と高純度銅板とを組合せることによ
り、その磁気遮蔽能力を一層向上させることができる。
【0246】また、万一、網目状に加工した複合超電導
板51の超電導状態が破壊されるような事態になったと
しても、この場合には、少なくとも高純度銅板のみと同
等の磁気遮蔽能力が確保されるので、本実施形態の超電
導磁気シールド材51を適用した場合の超電導応用装置
において、システムの安定性向上の点で極めて有効な手
段であると言える。
【0247】さらにまた、試料Gは、網目状に加工した
2枚の複合超電導板51を、相互の電気絶縁性を確保し
つつ積層したものであるが、図18から、その磁気遮蔽
能力はなお一層向上していることがわかる。
【0248】このように、複数の網目状に加工した複合
超電導板51を組合せて重層させる方法も、極めて有効
な手段である。
【0249】上述したように、本実施形態の超電導磁気
シールド材51においては、接続部分がない形で超電導
体52が閉回路を構成するため、接続部分の導入が不可
避な超電導線材による閉回路構成に比べて、本超電導磁
気シールド材51の磁気遮蔽能力は、高い安定性を得る
ことが可能となる。
【0250】また、超電導体52と隣接して熱伝導性と
電気伝導性の良好な金属等の安定化材53が配置されて
いるため、その冷却効果により安定化されているので、
超電導特性は所定の安定性を有することが可能となる。
【0251】さらに、本超電導磁気シールド材51を、
中間に電気絶縁体を介在させつつ重ねることで、磁気遮
蔽能力をより一層向上させることが可能となる。
【0252】以上により、本超電導磁気シールド材51
は、直流の強磁界に曝される環境でも所定の磁気遮蔽能
力を有することから、直流磁界を発生し、外部からの変
動磁界を受信する環境にある前述したような超電導磁石
装置における電磁誘導作用に伴なう冷却材の消費量が増
加する低温容器の発熱の問題を大幅に改善することが可
能な極めて有効な手段である。
【0253】(第11の実施形態)本第11の実施形態
では、複合超電導板を構成する超電導体52が、Nb−
Ti合金、Nb3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導
体からなる複合超電導板を網目状に加工した後、さらに
摂氏350〜450度の範囲の温度でほぼ10〜103
時間、N2 ガス等の還元雰囲気で熱処理して、超電導磁
気シールド材51を製造している。
【0254】このようなプロセスを経て製造した超電導
磁気シールド材51について、その磁気遮蔽能力を、前
記第10の実施形態の場合と同様の条件で評価したとこ
ろ、熱処理なしのものに較べて、特性がより一層改善さ
れることがわかった。
【0255】(第12の実施形態)前記第10および第
11の各実施形態では、超電導体と安定化材とを組合せ
た素材(複合超電導板)を網目状に加工する方法につい
て説明したものであるが、本第12の実施形態では、超
電導体と安定化材とを組合せた素材を網目状に加工した
後に、熱処理し、安定した超電導体を形成する超電導磁
気シールド材1を製造している。
【0256】以下、具体的にその製造方法について説明
する。
【0257】素材は、NbをCu−Sn合金によりサン
ドウィッチする形で構成した積層板で、この素材を、前
述のエキスパンドメタル加工法によって網目状の閉回路
を形成した後に、摂氏800度付近の温度で熱処理し
て、NbとCu−Sn合金の界面付近にNb3 Snの超
電導層を生成させ、網目状の超電導閉回路51を形成す
る。
【0258】このようなプロセスを経て製造した超電導
磁気シールド材51について、その磁気遮蔽能力を、前
記第10および第11の各実施形態の場合と同様の条件
で評価したところ、強磁界中でも安定した特性が得られ
ることがわかった。
【0259】(第13の実施形態)本第13の実施形態
では、素材(複合超電導板)を構成する超電導体52
が、Y−Ba−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O
等に代表される酸化物系超電導体のうちの少なくとも1
種類で、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)5
3が、Ag、Ag合金、Cu、Cu−Ni合金、Al、
Al合金等の少なくとも1種類から組合せた積層板を素
材としている。
【0260】そして、この素材を、前述のエキスパンド
メタル加工法によって網目状の超電導閉回路51を形成
し、摂氏800〜900度の温度範囲で数時間、O2
ス等の酸化雰囲気で熱処理する。
【0261】このようなプロセスを経て製造した超電導
磁気シールド材51について、その磁気遮蔽能力を、前
記第10乃至第12の各実施形態の場合と同様の条件で
評価したところ、強磁界中でも安定した特性が得られる
ことがわかった。
【0262】(第14の実施形態)本第14の実施形態
では、前述のエキスパンドメタル加工法により形成した
網目状の超電導閉回路51において、その相互を絶縁し
つつ重層した構成とし、特に重層する網目状の超電導閉
回路51において、その網目形状が各層毎に異なるよう
にし、さらに上層側の閉回路よりも下層側の閉回路の開
口面積が小さくなるように配置している。
【0263】この場合、超電導閉回路51の表面の電気
絶縁材料としては、例えばポリビニルホルマール(PV
F)、またはエチレンとメタクリル酸の共重合体を主成
分とする熱可塑性樹脂を採用することができる。
【0264】さらに、上記電気絶縁材料に、ガラス繊
維、炭素繊維、またはアラミド繊維等を含んでいてもよ
い。
【0265】このように構成した超電導磁気シールド材
51について、その磁気遮蔽能力を、前記第10乃至第
13の各実施形態の場合と同様の条件で評価したとこ
ろ、強磁界中でも安定した特性が得られることがわかっ
た。
【0266】(第15の実施形態)本第15の実施形態
では、前述のエキスパンドメタル加工法により形成した
網目状の超電導閉回路51における、装置外部から侵入
する交流磁界に対して背後に、銅、アルミニウム等から
なる低電気抵抗材を配置した構成とし、さらに網目状の
超電導閉回路51とその背後にある低電気抵抗材とを半
田付けして、電気的に導通のある構成としている。
【0267】なお、エキスパンドメタル加工法により形
成した網目状の超電導閉回路51の表面に、メッキ法等
により、In、Pb−Sn合金、Pb、Sn等の低融点
金属をあらかじめ設置しておくと、網目状の超電導閉回
路51と低電気抵抗材との接続を、より安定に行なうこ
とができる点で有効である。
【0268】このように構成した超電導磁気シールド材
51について、その磁気遮蔽能力を、前記第10乃至第
14の各実施形態の場合と同様の条件で評価したとこ
ろ、強磁界中でも安定した特性が得られることがわかっ
た。
【0269】(第16の実施形態)図19は、直流磁界
を発生し、外部からの変動磁界を受信する超電導磁石装
置において、本発明の超電導磁気シールド材51を、内
部に超電導コイル56を収納しかつ冷却材59により低
温に冷却された内槽容器(低温容器)57の表面に設置
した場合の状態を示す斜視図である。
【0270】この種の超電導磁石装置では、装置外部か
ら侵入した変動磁界が内槽容器57に到達すると、電磁
誘導作用によって渦電流が発生し、内槽容器57を構成
する材料の電気抵抗の大きさに比例したジュール熱が発
生し、内槽容器57の温度を上昇させる。その結果、冷
却材59の消費量を増加させる発熱の問題がある。
【0271】この点、本第16の実施形態では、図19
に示すように、本発明の超電導磁気シールド材51を、
内槽容器57の少なくとも変動磁界が到達する部分に設
置することにより、その発熱現象が大幅に抑制される効
果を得ることができた。
【0272】(変形形態2) (a)前記第10乃至第16の各実施形態では、エキス
パンドメタル加工法により形成した網目状の超電導磁気
シールド材51の交流特性を利用した場合について説明
したが、これに限らず、本超電導磁気シールド材51の
直流特性を利用する場合についても同様に適用できるも
のである。
【0273】図20は、網目状に加工した超電導磁気シ
ールド材51について、一般の超電導線材の磁気的安定
性を評価する場合と同様の方法で、単体の超電導特性に
ついて、磁界中の幅10ミリ当りの臨界電流特性につい
て調べた結果の一例を示す図である。
【0274】図20から、直流(輸送)電流特性の磁界
安定性が、一般の超電導線材(記号+)と同等の安定性
を示すことがわかる。
【0275】これは、網目状に加工した超電導磁気シー
ルド材51が、1枚の金属板から構成されていることに
加えて、電流の向きが急変する箇所が周期的に導入され
ている形状により、磁気的安定性が確保されるものと考
えられる。
【0276】(b)図21に示すように、超電導線58
相互の接続は、半田付けによる方法が一般的に採用され
ているが、その接続部の環境が強磁界となる場合には、
その磁界強度に応じて半田の電気抵抗が変化するため、
超電導線58相互の接続抵抗も、環境磁界の強度に変化
することになる。
【0277】そこで、図21に示すように、本発明の超
電導磁気シールド材51を、超電導線58相互の接続部
に設置することにより、その接続抵抗が環境磁界の影響
を受け難くして、その安定性を向上することができる。
【0278】また、本発明の超電導磁気シールド材51
は、超電導体52と安定化材53とを積層させた超電導
板をエキスパンドメタル加工しているため、その切断面
には超電導体52が露出した形になっているので、超電
導線58相互の接続抵抗を、さらに小さくすることがで
きる。
【0279】(c)図22に示すように、超電導線58
相互の接続部をカバーすることにより、その接続部がよ
り一層低抵抗化されると共に、接続部の磁気的安定性向
上に有効な構成とすることができる。
【0280】(d)本発明の超電導磁気シールド材51
を、渦電流が形状的に集中する箇所に、半田付け等によ
って直接設置することにより、渦電流によるジュール発
熱は電気抵抗に比例して大きくなることから、その発熱
を大幅に抑制することが可能となる。
【0281】(e)前記第10乃至第16の各実施形態
では、本発明の超電導磁気シールド材51を、主として
浮上式鉄道用の超電導磁石装置に適用する場合の構成を
基本として説明してきたが、これに限らず、前述の場合
と同様に、例えば核磁気共鳴診断装置(MRI)、超電
導限流器、磁気量子干渉測定装置(SQUID)、超電
導ケーブル等、電磁気的な外乱による安定性を確保する
必要がある超電導磁石装置についても、その磁気遮蔽手
段として広い範囲で適用することも可能である。
【0282】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1乃至請求
項16に対応する本発明によれば、高電気抵抗の金属板
からなり、超電導コイルをその冷却材と共に内部に収納
する内槽容器と、この内槽容器を覆うように設けられ、
外部からの熱侵入を遮る輻射シールド板と、内部が真空
状態に保持され、内槽容器および輻射シールド板を収納
する外槽容器とから構成される超電導磁石装置におい
て、内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電
導材を網目状に設置し、装置外部から侵入する交流磁界
を遮蔽する閉回路を形成するようにしたので、磁気的安
定性を確保しつつ、装置内部に外部から侵入する交流磁
界による熱負荷増現象を大幅に低減することができ、も
って冷却材の蒸発量を著しく減少させることが可能な超
電導磁石装置が提供できる。
【0283】一方、請求項17、請求項19乃至請求項
30に対応する発明によれば、高電気抵抗の金属板から
なり、超電導コイルをその冷却材と共に内部に収納する
内槽容器と、この内槽容器を覆うように設けられ、外部
からの熱侵入を遮る輻射シールド板と、内部が真空状態
に保持され、内槽容器および輻射シールド板を収納する
外槽容器とから構成される超電導磁石装置において、内
槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電導材を
当該内槽容器の内縁部および外縁部に網目状に設置し、
かつ装置外部から侵入する交流磁界の波長の1/N
(N:整数)に対応する間隔で内縁部と外縁部を網目状
の超電導材で電気的に接続して、装置外部から侵入する
交流磁界を遮蔽する閉回路を形成するようにしたので、
磁気的安定性を確保しつつ、装置内部に外部から侵入す
る交流磁界による熱負荷増現象を大幅に低減することが
でき、もって冷却材の蒸発量を著しく減少させることが
可能な超電導磁石装置が提供できる。
【0284】一方、請求項18乃至請求項30に対応す
る発明によれば、高電気抵抗の金属板からなり、超電導
コイルをその冷却材と共に内部に収納する内槽容器と、
この内槽容器を覆うように設けられ、外部からの熱侵入
を遮る輻射シールド板と、内部が真空状態に保持され、
内槽容器および輻射シールド板を収納する外槽容器とか
ら構成される超電導磁石装置において、内槽容器の表面
に、低温で電気抵抗が零となる超電導材を当該内槽容器
の内縁部および外縁部に網目状に設置し、かつ地上コイ
ル等の外部コイルの設置ピッチの1/M(M:整数)に
対応する間隔で内縁部と外縁部を網目状の超電導材で電
気的に接続して、装置外部から侵入する交流磁界を遮蔽
する閉回路を形成するようにしたので、磁気的安定性を
確保しつつ、装置内部に外部から侵入する交流磁界によ
る熱負荷増現象を大幅に低減することができ、もって冷
却材の蒸発量を著しく減少させることが可能な超電導磁
石装置が提供できる。
【0285】一方、請求項31乃至請求項42に対応す
る発明によれば、低温で電気抵抗が零となる超電導体
を、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)により
サンドウィッチした形で積層して成る超電導板に千鳥状
の切れ目を入れて、超電導板に対してほぼ直交する方向
に押し広げて網目状の超電導閉回路を形成するようにし
たので、超電導体による超電導閉回路を接続部分を導入
しない形で形成しつつ、鎖交磁束不変の法則を確実に成
立させることが可能で磁気的な安定性の高い超電導磁気
シールド材が提供できる。
【0286】一方、請求項43乃至請求項45に対応す
る発明によれば、低温で電気抵抗が零となる超電導体
を、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)により
サンドウィッチした形で積層して成る超電導板からなる
超電導磁気シールド材の製造方法において、超電導板の
板面の垂直方向に対して上下運動する刃物で、千鳥状に
切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは切れ目を入れた後
に、超電導板に対してほぼ直交する方向に押し広げる加
工方法(エキスパンドメタル加工法)により、複数の超
電導閉回路を網目状に形成するようにしたので、超電導
体による超電導閉回路を接続部分を導入しない形で形成
しつつ、鎖交磁束不変の法則を確実に成立させることが
可能で磁気的な安定性の高い超電導磁気シールド材の製
造方法が提供できる。
【0287】一方、請求項46に対応する発明によれ
ば、低温で電気抵抗が零となる超電導体であるNbを、
有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)であるCu
−Sn合金によりサンドウィッチした形で積層して成る
超電導板からなる超電導磁気シールド材の製造方法にお
いて、超電導板の板面の垂直方向に対して上下運動する
刃物で、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは
切れ目を入れた後に押し広げる加工方法(エキスパンド
メタル加工法)により、複数の閉回路を網目状に形成し
た後に、摂氏800度付近の温度で熱処理することによ
り、NbとCu−Sn合金の界面付近にNb3 Snの超
電導層を生成させ、網目状の超電導閉回路を形成するよ
うにしたので、超電導体による超電導閉回路を接続部分
を導入しない形で形成しつつ、鎖交磁束不変の法則を確
実に成立させることが可能で磁気的な安定性の高い超電
導磁気シールド材の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の
第1の実施形態を示す要部斜視図。
【図2】同第1の実施形態の浮上式鉄道用の超電導磁石
装置における磁気遮蔽手段である網目状の閉回路の一例
を示す構成図。
【図3】同第1の実施形態の浮上式鉄道用の超電導磁石
装置における複合超電導板から閉回路を形成した場合の
一例を示す構成図。
【図4】同第1の実施形態の浮上式鉄道用の超電導磁石
装置の第1の実施形態における網目状の閉回路の一例を
示す構成図。
【図5】同第1の実施形態の浮上式鉄道用の超電導磁石
装置における各種方法での磁気遮蔽能力と交流磁界の周
波数との関係の一例を示す特性図。
【図6】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の
第3の実施形態を示す構成図。
【図7】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置の
第5の実施形態を示す要部構成図。
【図8】超電導線による磁気遮蔽手段を内槽容器に適用
した場合の一例を示す構成図。
【図9】図8の部分拡大詳細図。
【図10】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の第6の実施形態を示す要部斜視図。
【図11】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の第7の実施形態を示す構成図。
【図12】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の第9の実施形態を示す要部構成図。
【図13】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の変形例の一例を示す部分斜視図。
【図14】本発明による浮上式鉄道用の超電導磁石装置
の変形例の他の例を示す部分斜視図。
【図15】本発明による超電導磁気シールド材(網目状
の超電導閉回路)の第10の実施形態を示す要部斜視
図。
【図16】本発明による網目状の超電導閉回路に誘導さ
れる遮蔽電流の向きを示す概念図。
【図17】同第10の実施形態における超電導磁気シー
ルド材を示す図。
【図18】各種材料において受信する交流磁界の周波数
とその磁気遮蔽能力の関係の一例を示す特性図。
【図19】本発明による超電導磁気シールド材の第16
の実施形態における設置状態を示す斜視図。
【図20】本発明による超電導磁気シールド材の変形例
における直流特性の一例を示す図。
【図21】本発明による超電導磁気シールド材の変形例
における超電導線相互の接続部構成例を示す斜視図。
【図22】本発明による超電導磁気シールド材の変形例
における超電導線相互の接続部カバー構成例を示す斜視
図。
【図23】超電導磁石装置と浮上式鉄道の車体との関係
を示す概要図。
【図24】超電導磁石装置の要部構成例を示す断面図。
【図25】超電導磁石装置の全体構成例を示す外観斜視
図。
【図26】従来のディスク状の超電導シートを複数積層
させる方法を示す分解斜視図。
【図27】従来の超電導線により構成した閉回路の一例
を示す図。
【図28】従来の超電導線を製織して構成した閉回路の
一例を示す図。
【図29】従来の超電導線を製織して圧延して構成した
閉回路の一例を示す図。
【符号の説明】
1…車両、 2…車体、 3…超電導磁石装置、 4…超電導コイル、 5…内槽容器、 5a…内縁部、 5b…外縁部、 6…輻射シールド板、 7…外槽容器、 8…冷凍機、 9…冷却材タンク、 10…配管類、 11…冷却装置、 12…ガイドウェイ、 13…地上コイル、 14…台車、 15…超電導線、 16…超電導線設置範囲、 17…接続抵抗導入位置、 18…網目状の閉回路、 19…金属系超電導体、 20…酸化物系超電導体、 21…安定化材、 22…複合超電導板、 23…長穴、 24…低電気抵抗材、 25…分割範囲、 26…電流集中区間、 27…電力ケーブル、 30…冷却材、 51…超電導磁気シールド材(網目状の超電導閉回
路)、 52…超電導体、 53…常電導体(安定化材)、 54…ボンド部、 55…誘導電流(遮蔽電流)、 56…超電導コイル、 57…内槽容器、 58…超電導線。
フロントページの続き (72)発明者 矢澤 孝 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高電気抵抗の金属板からなり、超電導コ
    イルをその冷却材と共に内部に収納する内槽容器と、こ
    の内槽容器を覆うように設けられ、外部からの熱侵入を
    遮る輻射シールド板と、内部が真空状態に保持され、前
    記内槽容器および輻射シールド板を収納する外槽容器と
    から構成される超電導磁石装置において、 前記内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電
    導材を網目状に設置し、装置外部から侵入する交流磁界
    を遮蔽する閉回路を形成したことを特徴とする超電導磁
    石装置。
  2. 【請求項2】 前記内槽容器に設置される網目状の超電
    導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、N
    3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体、またはY
    −Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O
    等の酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アル
    ミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材
    とからなる複合超電導板で構成していることを特徴とす
    る請求項1に記載の超電導磁石装置。
  3. 【請求項3】 前記内槽容器に設置される網目状の超電
    導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、N
    3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体、またはY
    −Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−O
    等の酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、アル
    ミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化材
    とからなる複合超電導板を素材とし、この複合超電導板
    に千鳥状の切れ目を入れて、前記複合超電導板に対して
    ほぼ直交する方向に押し広げて形成していることを特徴
    とする請求項1に記載の超電導磁石装置。
  4. 【請求項4】 前記内槽容器に設置される低温で電気抵
    抗が零となる網目状に形成された超電導材は、インジウ
    ム、鉛、錫等の低融点金属をメッキ法で被覆しているこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の超電導磁石装置。
  5. 【請求項5】 前記内槽容器に設置される低温で電気抵
    抗が零となる網目状に形成された超電導材は、内槽容器
    と電気的に絶縁されるように絶縁処理を施し、かつイン
    ジウム、錫、鉛等の低融点金属をメタライズ(導電化)
    処理していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  6. 【請求項6】 前記内槽容器に設置される低温で電気抵
    抗が零となる網目状に形成された超電導材は、超電導コ
    イルの巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しない
    ように複数に分割し、かつ装置外部から侵入する交流磁
    界の波長の1/N(N:整数)に対応する間隔でラップ
    させるように設置していることを特徴とする請求項1乃
    至請求項3のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  7. 【請求項7】 前記内槽容器に設置される低温で電気抵
    抗が零となる網目状に形成された超電導材は、地上コイ
    ル等の外部コイルの設置ピッチの1/M(M:整数)に
    対応する間隔でラップさせるように設置していることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載
    の超電導磁石装置。
  8. 【請求項8】 前記内槽容器に設置される低温で電気抵
    抗が零となる網目状に形成された超電導材は、銅、アル
    ミニウム、銀等の低電気抵抗材と共に内槽容器の表面に
    設置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  9. 【請求項9】 前記低電気抵抗材は、常温と極低温の抵
    抗の比率(残留抵抗比:RRR)>50の関係を満足
    し、かつ0.1〜1mmの厚さの被膜であることを特徴
    とする請求項8に記載の超電導磁石装置。
  10. 【請求項10】 前記低電気抵抗材は、超電導コイルの
    巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しないよう
    に、分割して内槽容器の表面に設置していることを特徴
    とする請求項8に記載の超電導磁石装置。
  11. 【請求項11】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材と銅、アル
    ミニウム、銀等の低電気抵抗材は、インジウム、インジ
    ウム−錫合金、鉛−錫合金等の低融点合金材で内槽容器
    の表面に半田付け固定していることを特徴とする請求項
    8に記載の超電導磁石装置。
  12. 【請求項12】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、熱可塑
    性樹脂からなる接着剤で内槽容器と固着していることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載
    の超電導磁石装置。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性樹脂は、エチレンとメタ
    クリル酸との共重合体を主成分とするものであることを
    特徴とする請求項12に記載の超電導磁石装置。
  14. 【請求項14】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、ガラス
    繊維、炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ
    樹脂等の絶縁材と共に内槽容器と固着していることを特
    徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の
    超電導磁石装置。
  15. 【請求項15】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、ガラス
    繊維、炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ
    樹脂等の絶縁材に加え、前記超電導材と電気的な絶縁が
    確保されるように、ステンレス鋼、真鍮、銅、銅合金等
    の補強材を設置していることを特徴とする請求項1乃至
    請求項3のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  16. 【請求項16】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状の交流磁界を遮蔽する閉回路につ
    いて、少なくともその一部を選択的に常電導に転移させ
    る手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項3のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  17. 【請求項17】 高電気抵抗の金属板からなり、超電導
    コイルをその冷却材と共に内部に収納する内槽容器と、
    この内槽容器を覆うように設けられ、外部からの熱侵入
    を遮る輻射シールド板と、内部が真空状態に保持され、
    前記内槽容器および輻射シールド板を収納する外槽容器
    とから構成される超電導磁石装置において、 前記内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電
    導材を当該内槽容器の内縁部および外縁部に網目状に設
    置し、かつ装置外部から侵入する交流磁界の波長の1/
    N(N:整数)に対応する間隔で前記内縁部と外縁部を
    網目状の超電導材で電気的に接続して、装置外部から侵
    入する交流磁界を遮蔽する閉回路を形成したことを特徴
    とする超電導磁石装置。
  18. 【請求項18】 高電気抵抗の金属板からなり、超電導
    コイルをその冷却材と共に内部に収納する内槽容器と、
    この内槽容器を覆うように設けられ、外部からの熱侵入
    を遮る輻射シールド板と、内部が真空状態に保持され、
    前記内槽容器および輻射シールド板を収納する外槽容器
    とから構成される超電導磁石装置において、 前記内槽容器の表面に、低温で電気抵抗が零となる超電
    導材を当該内槽容器の内縁部および外縁部に網目状に設
    置し、かつ地上コイル等の外部コイルの設置ピッチの1
    /M(M:整数)に対応する間隔で前記内縁部と外縁部
    を網目状の超電導材で電気的に接続して、装置外部から
    侵入する交流磁界を遮蔽する閉回路を形成したことを特
    徴とする超電導磁石装置。
  19. 【請求項19】 前記内槽容器に設置される網目状の超
    電導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、
    Nb3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体、または
    Y−Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−
    O等の酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、ア
    ルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化
    材とからなる複合超電導板で構成していることを特徴と
    する請求項17または請求項18に記載の超電導磁石装
    置。
  20. 【請求項20】 前記内槽容器に設置される網目状の超
    電導材は、低温で電気抵抗が零となるNb−Ti合金、
    Nb3 −Sn金属間化合物等の金属系超電導体、または
    Y−Ba−Ca−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−
    O等の酸化物系超電導体と、銅、銅−ニッケル合金、ア
    ルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金等の安定化
    材とからなる複合超電導板を素材とし、千鳥状の切れ目
    を入れて上下に押し広げて形成していることを特徴とす
    る請求項17または請求項18に記載の超電導磁石装
    置。
  21. 【請求項21】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、インジ
    ウム、鉛、錫等の低融点金属をメッキ法で被覆している
    ことを特徴とする請求項17乃至請求項20のいずれか
    1項に記載の超電導磁石装置。
  22. 【請求項22】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、銅、ア
    ルミニウム、銀等の低電気抵抗材と共に内槽容器の表面
    に設置していることを特徴とする請求項17乃至請求項
    20のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  23. 【請求項23】 前記低電気抵抗材は、常温と極低温の
    抵抗の比率(残留抵抗比:RRR)>50の関係を満足
    し、かつ0.1〜1mmの厚さの被膜であることを特徴
    とする請求項22に記載の超電導磁石装置。
  24. 【請求項24】 前記低電気抵抗材は、超電導コイルの
    巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しないよう
    に、分割して内槽容器の表面に設置していることを特徴
    とする請求項22に記載の超電導磁石装置。
  25. 【請求項25】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材と銅、アル
    ミニウム、銀等の低電気抵抗材は、インジウム、インジ
    ウム−錫合金、鉛−錫合金等の低融点合金材で内槽容器
    の表面に半田付け固定していることを特徴とする請求項
    22に記載の超電導磁石装置。
  26. 【請求項26】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、熱可塑
    性樹脂からなる接着剤で内槽容器と固着していることを
    特徴とする請求項17乃至請求項20のいずれか1項に
    記載の超電導磁石装置。
  27. 【請求項27】 前記熱可塑性樹脂は、エチレンとメタ
    クリル酸との共重合体を主成分とするものであることを
    特徴とする請求項26に記載の超電導磁石装置。
  28. 【請求項28】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状に形成された超電導材は、ガラス
    繊維、炭素繊維、またはアラミド繊維等を含むエポキシ
    樹脂等の絶縁材と共に内槽容器と固着していることを特
    徴とする請求項17乃至請求項20のいずれか1項に記
    載の超電導磁石装置。
  29. 【請求項29】 前記内槽容器に設置される低温で電気
    抵抗が零となる網目状の交流磁界を遮蔽する閉回路につ
    いて、少なくともその一部を選択的に常電導に転移させ
    る手段を備えていることを特徴とする請求項17乃至請
    求項20のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
  30. 【請求項30】 前記低電気抵抗材は、超電導コイルの
    巻線形状に応じた閉ループ電気回路を形成しないように
    分割し、かつ当該分割部分を内槽容器コーナー部と浮上
    走行時に下側となる直線部分にそれぞれ2箇所ずつ合計
    4箇所としていることを特徴とする請求項22に記載の
    超電導磁石装置。
  31. 【請求項31】 低温で電気抵抗が零となる超電導体
    を、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)により
    サンドウィッチした形で積層して成る超電導板に千鳥状
    の切れ目を入れて、前記超電導板に対してほぼ直交する
    方向に押し広げて網目状の超電導閉回路を形成したこと
    を特徴とする超電導磁気シールド材。
  32. 【請求項32】 前記網目状の超電導閉回路における網
    目の基本形状寸法のうち、超電導板の刻み加工幅w、押
    し広げる大きさL、および電流の折返し部の間隔Sが、
    それぞれ 0.1mm<w<5mm 0.2mm<L<5mm 0.4mm<S<10mm の範囲となるようにしたことを特徴する請求項31に記
    載の超電導磁気シールド材。
  33. 【請求項33】 前記低温で電気抵抗が零となる超電導
    体は、Nb−Ti合金、Nb−Zr合金、V3 Ga、V
    3 Si、Nb3 Sn、Nb3 Al、Nb3 Ga、Nb3
    Ge等の金属系超電導体のうちの少なくとも1種類で構
    成し、 また有限の電気抵抗を示す常電導体は、Cu、Cu−N
    i合金、Al、Al合金等の少なくとも1種類で構成し
    ていることを特徴とする請求項31に記載の超電導磁気
    シールド材。
  34. 【請求項34】 前記低温で電気抵抗が零となる超電導
    体は、Y−Ba−Cu−O、Bi−Sr−Ca−Cu−
    O等に代表される酸化物系超電導体のうちの少なくとも
    1種類で構成し、 また有限の電気抵抗を示す常電導体は、Ag、Ag合
    金、Cu、Cu−Ni合金、Al、Al合金等の少なく
    とも1種類で構成していることを特徴とする請求項31
    に記載の超電導磁気シールド材。
  35. 【請求項35】 前記網目状の超電導閉回路の表面に、
    インジウム、鉛、錫、鉛−錫合金等の低融点金属をメッ
    キ法で付着していることを特徴とする請求項31に記載
    の超電導磁気シールド材。
  36. 【請求項36】 前記網目状の超電導閉回路の表面に、
    ポリビニルホルマール(PVF)を付着していることを
    特徴とする請求項31に記載の超電導磁気シールド材。
  37. 【請求項37】 前記網目状の超電導閉回路の表面に、
    エチレンとメタクリル酸の共重合体を主成分とする熱可
    塑性樹脂を付着していることを特徴とする請求項31に
    記載の超電導磁気シールド材。
  38. 【請求項38】 前記熱可塑性樹脂としては、ガラス繊
    維、炭素繊維、または、アラミド繊維等を含むエポキシ
    樹脂等の絶縁材を含有していることを特徴とする請求項
    37に記載の超電導磁気シールド材。
  39. 【請求項39】 前記網目状の超電導閉回路は、その相
    互を絶縁しつつ重層していることを特徴とする請求項3
    1に記載の超電導磁気シールド材。
  40. 【請求項40】 前記重層した網目状の超電導閉回路
    は、その網目形状が各層毎に互いに異なっていることを
    特徴とする請求項39に記載の超電導磁気シールド材。
  41. 【請求項41】 前記重層した網目状の超電導閉回路
    は、上層側の閉回路の開口面積よりも下層側の閉回路の
    開口面積が小さくなるように配置していることを特徴と
    する請求項39または請求項40に記載の超電導磁気シ
    ールド材。
  42. 【請求項42】 装置外部から侵入する交流磁界に対し
    て前記網目状の超電導閉回路の背後に、銅、アルミ等か
    らなる低電気抵抗材を配置していることを特徴とする請
    求項31に記載の超電導磁気シールド材。
  43. 【請求項43】 低温で電気抵抗が零となる超電導体
    を、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化材)により
    サンドウィッチした形で積層して成る超電導板からなる
    超電導磁気シールド材の製造方法において、 超電導板の板面の垂直方向に対して上下運動する刃物
    で、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは切れ
    目を入れた後に押し広げる加工方法(エキスパンドメタ
    ル加工法)により、複数の超電導閉回路を網目状に形成
    するようにしたことを特徴とする超電導磁気シールド材
    の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記請求項43に記載の超電導磁気シ
    ールド材の製造方法において、 エキスパンドメタル加工法により網目状の超電導閉回路
    を形成した後に、摂氏350〜450度の範囲の温度で
    ほぼ10〜103 時間、窒素ガス等の還元雰囲気で熱処
    理するようにしたことを特徴とする超電導磁気シールド
    材の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記請求項43に記載の超電導磁気シ
    ールド材の製造方法において、 エキスパンドメタル加工法により網目状の超電導閉回路
    を形成した後に、摂氏800〜900度の温度範囲で数
    時間、酸素ガス等の酸化雰囲気で熱処理するようにした
    ことを特徴とする超電導磁気シールド材の製造方法。
  46. 【請求項46】 低温で電気抵抗が零となる超電導体で
    あるNbを、有限の電気抵抗を示す常電導体(安定化
    材)であるCu−Sn合金によりサンドウィッチした形
    で積層して成る超電導板からなる超電導磁気シールド材
    の製造方法において、 超電導板の板面の垂直方向に対して上下運動する刃物
    で、千鳥状に切れ目を入れるとほぼ同時にもしくは切れ
    目を入れた後に押し広げる加工方法(エキスパンドメタ
    ル加工法)により、複数の閉回路を網目状に形成した後
    に、摂氏800度付近の温度で熱処理することにより、
    NbとCu−Sn合金の界面付近にNb3Snの超電導
    層を生成させ、網目状の超電導閉回路を形成するように
    したことを特徴とする超電導磁気シールド材の製造方
    法。
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