JPH08232998A - ディスクブレーキ用シム - Google Patents

ディスクブレーキ用シム

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Publication number
JPH08232998A
JPH08232998A JP4319295A JP4319295A JPH08232998A JP H08232998 A JPH08232998 A JP H08232998A JP 4319295 A JP4319295 A JP 4319295A JP 4319295 A JP4319295 A JP 4319295A JP H08232998 A JPH08232998 A JP H08232998A
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JP
Japan
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shim
damping
brake
steel plate
vibration
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JP4319295A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Aihara
哲夫 相原
Mikio Gomi
三喜男 五味
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分に「ブレーキ鳴き」を防止することがで
き、しかも安価なコストにて製造可能なディスクブレー
キ用シムを得る。 【構成】 シム10は、キャリパ爪20の押圧方向に向
けてゴム36と、鋼板44、粘性部材42、及び鋼板4
6が一体となって構成される制振鋼板38と、グリス4
0と、が積層された構成となっている。このため、グリ
ス40並びにゴム36による振動遮断作用及び減衰作用
と、ブレーキパッド24の相対移動による摩擦減衰作用
及び振動低減作用と、制振鋼板38の粘性部材42によ
る優れた減衰作用及び振動遮断作用と、によって「ブレ
ーキ鳴き」を十分に防止することができる。しかも制振
鋼板38を裏金22に接着させる必要がないため安価な
コストにて製造が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等のディスクブ
レーキに用いられるディスクブレーキ用シムに係り、特
にディスクブレーキ作動時に発生する異音を防止させる
ために好適なディスクブレーキ用シムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の制動装置として用いられるデ
ィスクブレーキは、例えば、車輪と一体に回転する円盤
状のディスクロータと、ディスクロータの半径方向外側
でディスクロータを跨ぐ状態で配置されると共にディス
クロータに対してその軸心方向に相対移動可能に設けら
れたキャリパと、を備えている。キャリパのディスクロ
ータの軸心方向一端側にはシリンダが設けられており、
シリンダの内部には油圧によって摺動されるピストンが
収容されている。ピストンのディスクロータ側には、裏
金に摩擦材を固定したブレーキパッドが配置されてお
り、油圧によってピストンがディスクロータ方向に摺動
されるとブレーキパッドがディスクロータに押圧される
構成となっている。
【0003】一方、キャリパのディスクロータの軸心方
向他端側にはキャリパ爪が形成されており、このキャリ
パ爪のディスクロータ側にも裏金に摩擦材を固定したブ
レーキパッドが配置されている。油圧によってピストン
が摺動される際には、ピストンの摺動方向とは逆方向に
反力が発生する。この反力によってキャリパが移動され
て、キャリパ爪側のブレーキパッドをディスクロータに
押圧させる構成となっている。双方のブレーキパッドが
ディスクロータに押圧されることで制動摩擦力が発生し
て、ディスクロータの回転を阻止する構成となってい
る。
【0004】ところで、このようなディスクブレーキが
作動する際には、様々な条件によって異音、所謂「ブレ
ーキ鳴き」が発生することがあり、この「ブレーキ鳴
き」が乗員に不快感を生じさせるといった問題がある。
これまでにもこのような問題を解決するための方法が種
々考案されている。その中でもブレーキパッドの裏金と
ブレーキパッドを押圧するキャリパ爪やピストンとの間
にシムを介装させることが一般的に行われており、特に
薄鋼板の表面をゴムで被覆した所謂ゴムコートシムが多
用されてきた。しかしながら、ゴムコートシムでは十分
に「ブレーキ鳴き」を防止することができないため、ゴ
ムコートシムに代わる様々なシムが考案されている。
【0005】このようなシムの一例が実開昭62−45
436号公報に開示されている。以下、この公報に開示
されている内容について説明する。
【0006】図5に示されるように、この公報に開示さ
れているシム60は、ステンレス鋼板62と、耐熱、耐
油性のゴム64にて被覆された金属性の薄板66とがキ
ャリパ爪68の押圧方向(図5の矢印P2 方向)に向け
て積層されている。ステンレス鋼板62はキャリパ爪6
8側に配置されており、図6に示されるように周縁には
複数の爪部70が形成されている。この爪部70がブレ
ーキパッドの裏金72に組付けられる構成となってい
る。一方、ゴム64にて被覆された薄板66は裏金72
側に配置されており、ゴム64の表面にはグリス74が
塗布されている。また、図6に示されるように薄板66
には複数の切欠と長孔によって構成されるグリス溜まり
76が形成されている。このグリス溜まり76には塗布
されたグリス74が蓄積される。さらに薄板66の周縁
にはステンレス鋼板62と同様に爪部78が形成されて
おり裏金72に組付けられる構成となっている。
【0007】すなわち、上記構成のシム60は図5に示
されるように、断面視ではキャリパ爪68の押圧方向に
向けて、ステンレス鋼板62、グリス74、ゴム64、
薄板66、ゴム64、及びグリス74の六層構造を形成
している。
【0008】上記構成のシム60では、キャリパ爪68
と裏金72との間にゴム64やグリス74を介在させる
ことによる振動遮断作用で「ブレーキ鳴き」の原因とな
る振動を遮断することができる。また、遮断されずに伝
播された振動をゴム64の内部摩擦による減衰作用並び
にグリス74の滑り摩擦による減衰作用によって減衰さ
せることができる。さらに、裏金72と薄板66との間
に塗布されたグリス74と薄板66に被覆されたゴム6
4によって、ブレーキ作動時には裏金72(すなわち、
ブレーキパッド)とシム60の間で相対移動が生じる。
この相対移動によって生じる摩擦減衰で振動を減衰させ
ることができる。また、ブレーキパッドとシム60の間
で相対移動が生じることで、キャリパ爪68によるブレ
ーキパッドの拘束条件が変更される。このため、振動の
発生を低減させることができる。
【0009】また、別の構成のシムの一例が実開平4−
3136号公報に開示されている。以下、この公報に開
示されている内容について説明する。
【0010】図7に示されるように、この公報に開示さ
れているシム90には中央部にシリコーンゲル層92が
設けられている。シリコーンゲル層92のキャリパ爪9
4側には接着材や接着フィルム等から成る接着層96が
形成されている。接着層96のキャリパ爪94側には鋼
板98が配置されており、鋼板98は接着層96によっ
てシリコーンゲル層92に一体に接着されている。
【0011】一方、シリコーンゲル層92のブレーキパ
ッドの裏金100側には同様に接着層102が形成され
ている。接着層102の裏金100側には鋼板104が
配置されており、鋼板104は接着層102によってシ
リコーンゲル層92に一体に接着されている。さらに、
鋼板104の裏金100側には接着材や接着フィルム等
から成る接着層106が形成されており、鋼板104は
接着層106によって裏金100に接着されている。
【0012】すなわち、上記構成のシム90は、図7に
示されるように、断面視ではキャリパ爪94の押圧方向
(図7の矢印P3 方向)に向けて、鋼板98、接着層9
6、シリコーンゲル層92、接着層102、鋼板10
4、及び接着層106の六層構造を形成しており、シム
90は裏金100に一体的に取り付けられている。
【0013】上記構成のシム90では、防振性に優れし
かも柔軟なシリコーンゲル層92をシム90の中央部に
介在させることで、シリコーンゲル層92の振動遮断作
用と減衰作用の双方の作用によって「ブレーキ鳴き」の
原因となる振動の伝播を防止している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
てきた従来の構成のシムでは未だ十分な「ブレーキ鳴
き」防止効果を得ることができなかった。すなわち、シ
ム60はゴム64の表面にグリス74を塗布しているの
で、ブレーキパッドの相対移動が促進される。このため
摩擦減衰による効果やブレーキパッドの拘束条件の変更
による振動低減作用に関しては優れている。しかし、シ
ム90のシリコーンゲル層92と比較すると減衰作用も
振動遮断作用も劣っているため、十分に「ブレーキ鳴
き」を防止することができなかった。
【0015】一方、シム90は防振性に優れるシリコー
ンゲル層92を設けているため、減衰作用による効果と
振動遮断作用による効果に関しては優れている。しか
し、シム90とブレーキパッドの裏金72とが接着され
ているため、ブレーキパッドの相対移動が少なく、摩擦
減衰による効果や拘束条件変更による効果が乏しい。こ
のため、十分に「ブレーキ鳴き」を防止することができ
なかった。
【0016】このように、シム60やシム90の如き従
来のシムでは、いずれのものも「ブレーキ鳴き」を防止
するための効果が部分的に限定されており、「ブレーキ
鳴き」を十分に防止することができず、このための対策
が切望されていた。
【0017】本発明は上記事実を考慮して、十分に「ブ
レーキ鳴き」を防止することができ、しかも安価なコス
トにて製造可能なディスクブレーキ用シムを得ることが
目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のデ
ィスクブレーキ用シムは、ディスクロータを押圧して制
動摩擦力を発生させる制動部材と、前記制動部材を押圧
する押圧部材と、の間に介装されるディスクブレーキ用
シムであって、前記制動部材側に配置され且つ前記制動
部材に対して低摩擦係数を有する低摩擦手段と、前記押
圧部材側に配置され且つ前記押圧部材に対して高摩擦係
数を有する高摩擦手段と、を備えていることを特徴とし
ている。
【0019】請求項2に係る発明のディスクブレーキ用
シムは、請求項1記載のディスクブレーキ用シムにおい
て、前記高摩擦手段と前記低摩擦手段との間に内部摩擦
によって振動を減衰させる減衰手段を介装させたことを
特徴としている。
【0020】請求項3に係る発明のディスクブレーキ用
シムは、請求項1又は請求項2記載のディスクブレーキ
用シムにおいて、前記低摩擦手段は粘性と流動性とを有
していることを特徴としている。
【0021】請求項4に係る発明のディスクブレーキ用
シムは、請求項1、請求項2又は請求項3記載のディス
クブレーキ用シムにおいて、前記高摩擦手段は弾性を有
していることを特徴としている。
【0022】
【作用】請求項1に係る発明のディスクブレーキ用シム
では、制動部材が押圧部材に押圧されてディスクロータ
の回転が阻止される際に、押圧部材側に配置した高摩擦
手段と制動部材側に配置した低摩擦手段との摩擦係数差
によってディスクブレーキ用シムと制動部材との間に相
対移動が生じ、これによって摩擦減衰が生じる。このた
め、所謂「ブレーキ鳴き」の原因となる振動が減衰さ
れ、「ブレーキ鳴き」が防止される。
【0023】また、相対移動が生じることで押圧部材に
よる制動部材の拘束条件が変更されるため、「ブレーキ
鳴き」の原因となる振動の発生が低減され、「ブレーキ
鳴き」が防止される。
【0024】請求項2に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、高摩擦手段と低摩擦手段との間に減衰手段が
介装されており、ディスクロータの回転が制動部材によ
って阻止される際に発生する振動が減衰手段によって遮
断される。さらに、減衰手段によって遮断されずに減衰
手段の内部に伝播した振動は、減衰手段の内部摩擦によ
って減衰される。このため、一層「ブレーキ鳴き」が防
止される。
【0025】請求項3に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、低摩擦手段が粘性と流動性を有しているた
め、ディスクブレーキ用シムと制動部材との間の相対移
動が一層促進される。しかも、ディスクロータの回転が
制動部材によって阻止される際に発生する振動が低摩擦
手段に伝播されると、振動は低摩擦手段の滑り摩擦で減
衰される。このため、より一層「ブレーキ鳴き」が防止
される。
【0026】請求項4に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、高摩擦手段が弾性を有しているため、ディス
クブレーキ用シムと制動部材との間の相対移動による摩
擦減衰で振動が減衰され、制動部材の拘束条件の変更で
振動が低減されるのみならず、ディスクロータの回転が
制動部材によって阻止される際に発生する振動が高摩擦
手段に伝播されると振動は高摩擦手段の内部摩擦によっ
て減衰される。このため、より一層「ブレーキ鳴き」が
防止される。
【0027】
【実施例】図3には本発明の実施例に係るディスクブレ
ーキ用シムとしてのシム10、12が適用されたディス
クブレーキ14の断面構造が示されている。このディス
クブレーキ14は、図示しない車輪と一体に回転する円
盤状のディスクロータ16と、ディスクロータ16の半
径方向外側でディスクロータ16を跨ぐ状態で配置され
ると共にディスクロータ16に対してディスクロータ1
6の軸心方向に相対移動可能の状態で図示しない車体に
取り付けられているキャリパ18と、を備えている。
【0028】キャリパ18のディスクロータ16の軸心
方向一端側には押圧部材としてのキャリパ爪20が形成
されている。キャリパ爪20のディスクロータ16側に
は制動部材としてのブレーキパッド24が配置されてい
る。ブレーキパッド24は、裏金22と摩擦材23によ
って構成されており、摩擦材23が裏金22のディスク
ロータ16側の面に固定されている。さらにキャリパ爪
20と裏金22との間にはシム10が介装されている。
【0029】一方、キャリパ18のディスクロータ16
の軸心方向他端側にはシリンダ26が形成されている。
シリンダ26の内部には押圧部材としてのピストン28
が収容されており、油室30が形成されている。このシ
リンダ26は図示しないマスタシリンダに連通されてお
り、マスタシリンダから送給されるオイルの油圧によっ
てピストン28がシリンダ26内を摺動される構成とな
っている。また、ピストン28のディスクロータ16側
には制動部材としてのブレーキパッド34が配置されて
いる。ブレーキパッド34は、裏金32と摩擦材33に
よって構成されており、摩擦材33が裏金32のディス
クロータ16側の面に固定されている。さらにピストン
28と裏金32との間にはシム12が介装されている。
【0030】このようにディスクブレーキ14は、所謂
フローティングキャリパ型のディスクブレーキとされて
いる。
【0031】次にシム10の構成を図1及び図2を用い
て説明する。なお、シム12はシム10と同じ構成であ
るため、その説明は省略する。
【0032】シム10は、弾性を有する高摩擦手段とし
てのゴム36と、減衰手段としての制振鋼板38と、粘
性と流動性とを有する低摩擦手段としてのグリス40
と、によって構成されている。
【0033】詳細には、シム10の中心には制振鋼板3
8が配置されている。制振鋼板38は、キャリパ爪20
側に配置されたステンレス等から成る鋼板44と、裏金
22側に配置され鋼板44と同じ材質から成る鋼板46
とを備えている。鋼板44と鋼板46は互いに平行に配
置されており、鋼板44と鋼板46との間にはアクリル
等から成る粘性部材42が設けられている。これらの鋼
板44、粘性部材42、及び鋼板46は密着して一体に
形成されている。また、鋼板44のキャリパ爪20側の
表面はゴム36によってコーティングされている。一
方、鋼板46の裏金22側の表面にはキャリパ爪20の
押圧方向(図2の矢印P1 方向)に向けて開口した複数
のグリス溜まり48が形成されている。さらに、鋼板4
6の裏金22側の表面にはグリス40が塗布されてお
り、このグリス40の一部が前述したグリス溜まり48
に蓄積される構成となっている。
【0034】すなわち、上記構成のシム10は、断面視
ではキャリパ爪20の押圧方向(図1の矢印P1 方向)
に向けて、ゴム36、鋼板44、粘性部材42、鋼板4
6、及びグリス40の五層構造を形成している。
【0035】次に本実施例に係るシム10、12の作用
をディスクブレーキ14の動作を通して説明する。
【0036】まず、図示しないマスタシリンダに蓄積さ
れているオイルが油室30に送給され、シリンダ26内
部のピストン28を押圧してディスクロータ16方向
(図3の矢印A方向)に摺動させる。さらに、ピストン
28がシム12を介してブレーキパッド34を押圧して
ブレーキパッド34の摩擦材33を回転しているディス
クロータ16に押し付ける。
【0037】一方、オイルがピストン28を押圧する際
にはピストン28の移動方向とは逆方向(図3の矢印B
方向)に反力が発生する。この反力によってシリンダ2
6が押圧されてキャリパ18がピストン28の移動方向
とは逆方向に移動される。キャリパ18が移動されるこ
とによってキャリパ爪20がディスクロータ16方向
(図3の矢印B方向)へ移動され、シム10を介してブ
レーキパッド24の摩擦材23をディスクロータ16に
押し付ける。ブレーキパッド24の摩擦材23とブレー
キパッド34の摩擦材33の双方がディスクロータ16
に押し付けられることによって制動摩擦力が発生し、デ
ィスクロータ16の回転を阻止する。
【0038】ここで、キャリパ爪20がブレーキパッド
24をディスクロータ16に押し付ける際には、キャリ
パ爪20とブレーキパッド24との間で相対移動が生じ
る。このため摩擦減衰が生じ、「ブレーキ鳴き」の原因
となる振動(以下、単に「振動」と称する。)が減衰さ
れる。すなわち、図1に示されるように鋼板44の表面
はゴム36によって被覆されており、鋼板46の表面に
はグリス40が塗布されているため、キャリパ爪20と
シム10との間では摩擦係数が大きく、シム10と裏金
22との間では摩擦係数が小さい。このため、キャリパ
爪20がブレーキパッド24を押圧すると前述した双方
の摩擦係数の差によってブレーキパッド24の相対移動
が促進され、ブレーキパッド24はキャリパ爪20に対
して若干量移動する。これによって摩擦減衰が生じ、振
動が減衰される。
【0039】また、キャリパ爪20とブレーキパッド2
4との間で相対移動が生じることでブレーキパッド24
の拘束条件が変更されるため、キャリパ爪20によるブ
レーキパッド24の支持剛性が変更される。このため振
動の発生が低減される。
【0040】さらに、裏金22とキャリパ爪20との間
にグリス40やゴム36を介在させることで振動が遮断
される。ここで、例えば裏金22側からの振動がグリス
40で遮断しきれなかった場合でも、グリス40の粘性
による減衰作用と、ゴム36の弾性による減衰作用によ
って振動が減衰される。すなわち、グリス40は外部か
ら振動が伝播されるとグリス40を構成する分子間の相
互作用(滑り摩擦)によって振動を減衰させる。また、
ゴム36も同様に外部から振動が伝播されるとゴム36
を構成する分子間の相互作用(内部摩擦)によって振動
を減衰させる。この双方の減衰作用の相乗作用によって
振動が一層減衰される。同様にキャリパ爪20側からの
振動がゴム36で遮断しきれなかった場合でも、ゴム3
6の弾性による減衰作用とグリス40の粘性による減衰
作用の双方の相乗作用によって振動が減衰される。
【0041】また、前述したゴム36やグリス40より
優れた減衰作用及び振動遮断作用が制振鋼板38によっ
て得られる。すなわち、振動は制振部材38を構成する
鋼板44、粘性部材42、及び鋼板46によって遮断さ
れる。遮断されずに制振部材38に伝播された振動は、
粘性部材42の内部摩擦によって減衰される。従来では
制振鋼板をブレーキパッドの裏金に接着することで粘性
部材の減衰作用が得られると考えられていたため、従来
の制振鋼板を備えたシムではブレーキパッドの裏金とシ
ムとを接着する手段、例えば接着材や接着フィルム等が
必須とされていた。しかし、本願出願人が行った実験に
よって接着の有無と減衰作用との相関関係が無いことが
確認された。このため、前述したブレーキパッド24の
相対移動による作用と、制振鋼板38による作用の双方
の相乗作用が得られ、振動の伝播が一層防止される。
【0042】なお、前述したようにシム12はシム10
と同じ構成であるため、ピストン28がブレーキパッド
34をディスクロータ16に押し付ける際には、シム1
2によって前述したシム10の作用と全く同様の作用が
生ずる。このため振動の伝播が防止される。
【0043】このように本実施例に係るシム10、12
では、上述したグリス40並びにゴム36による振動遮
断作用及び減衰作用と、ブレーキパッド24の相対移動
による摩擦減衰作用及び拘束条件の変更による振動低減
作用と、制振鋼板38の粘性部材42による優れた減衰
作用及び振動遮断作用を全て得ることができる。このた
め、図4に示されるように従来のシム90を適用したデ
ィスクブレーキとシム10、12を適用したディスクブ
レーキ14の鳴き発生率(ディスクブレーキの制動回数
に対するブレーキ鳴きの発生回数)を比較すると、シム
90を用いた場合での鳴き発生率は26%であり、シム
10、12を用いた場合での鳴き発生率は6%である。
すなわち、シム90に対してシム10、12は鳴き発生
率を約77%減少させることができ、十分に「ブレーキ
鳴き」を防止することができる。しかも制振鋼板38を
裏金22や裏金24に接着させる必要がないため安価な
コストにて製造が可能となる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明のディスクブレーキ用シムでは、制動部材とディスク
ブレーキ用シムとの間で相対移動が生じ、これによる摩
擦減衰で所謂「ブレーキ鳴き」を減衰させることがで
き、また、制動部材とディスクブレーキ用シムとの間で
相対移動が生じることで制動部材の拘束条件が変更され
るため「ブレーキ鳴き」の原因となる振動を低減させる
ことができる。このため、「ブレーキ鳴き」を十分に防
止することができる。
【0045】さらに、パッドとシムとを接着させる必要
がないため、コストの低減を図ることができる。
【0046】請求項2に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、減衰手段によってディスクロータの回転が制
動部材によって阻止される際に発生する振動が減衰手段
によって遮断され、しかも減衰手段の内部に伝播した振
動が内部摩擦によって減衰されるため、一層「ブレーキ
鳴き」を防止できる。
【0047】請求項3に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、制動部材とディスクブレーキ用シムの相対移
動による摩擦減衰の効果や拘束条件の変更による振動低
減の効果が得られるのみならず、振動は低摩擦手段の粘
性による滑り摩擦で減衰されるため、より一層「ブレー
キ鳴き」を防止できる。
【0048】請求項4に係る発明のディスクブレーキ用
シムでは、制動部材とディスクブレーキ用シムの相対移
動による摩擦減衰の効果や拘束条件の変更による振動低
減の効果が得られるのみならず、振動は高摩擦手段の弾
性による内部摩擦よって減衰されるため、より一層「ブ
レーキ鳴き」を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るシムの拡大断面図であ
る。
【図2】図1のに示すシムの下側からの斜視図である
【図3】本発明の実施例に係るシムを適用したディスク
ブレーキの断面図である。
【図4】本発明の実施例に係るシムの効果を説明する棒
グラフである。
【図5】グリスを使用した従来のシムをディスクブレー
キに適用したときの拡大断面図である。
【図6】図5に示すシムの分解斜視図である。
【図7】粘性部材を使用した従来のシムの拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
10 シム(ディスクブレーキ用シム) 12 シム(ディスクブレーキ用シム) 16 ディスクロータ 20 キャリパ爪(押圧部材) 24 ブレーキパッド(制動部材) 28 ピストン(押圧部材) 34 ブレーキパッド(制動部材) 36 ゴム(高摩擦手段) 38 制振鋼板(減衰手段) 40 グリス(低摩擦手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクロータを押圧して制動摩擦力を
    発生させる制動部材と、前記制動部材を押圧する押圧部
    材と、の間に介装されるディスクブレーキ用シムであっ
    て、 前記制動部材側に配置され且つ前記制動部材に対して低
    摩擦係数を有する低摩擦手段と、 前記押圧部材側に配置され且つ前記押圧部材に対して高
    摩擦係数を有する高摩擦手段と、 を備えることを特徴とするディスクブレーキ用シム。
  2. 【請求項2】 前記高摩擦手段と前記低摩擦手段との間
    に内部摩擦によって振動を減衰させる減衰手段を介装さ
    せたことを特徴とする請求項1記載のディスクブレーキ
    用シム。
  3. 【請求項3】 前記低摩擦手段は粘性と流動性とを有し
    ていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のデ
    ィスクブレーキ用シム。
  4. 【請求項4】 前記高摩擦手段は弾性を有していること
    を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のデ
    ィスクブレーキ用シム。
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