JPH08227679A - 走査信号処理方法及び装置 - Google Patents

走査信号処理方法及び装置

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JPH08227679A
JPH08227679A JP7032011A JP3201195A JPH08227679A JP H08227679 A JPH08227679 A JP H08227679A JP 7032011 A JP7032011 A JP 7032011A JP 3201195 A JP3201195 A JP 3201195A JP H08227679 A JPH08227679 A JP H08227679A
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JP7032011A
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Kazuhiro Honda
和広 本田
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Jeol Ltd
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価に画質の優れた高い分解能の像や測長の
精度を高めることができる走査電子顕微鏡を実現する。 【構成】 一次電子ビーム1を試料3上にフォーカスさ
せて走査し、このフォーカスした一次電子ビーム1の照
射によって発生した2次電子eを検出器8で検出した信
号波形と、一次電子ビーム1を試料3上で少しデフォー
カスさせ、この一次電子ビーム1の照射によって発生し
た2次電子eを検出器8で検出した信号波形を信号反転
装置18により、2次電子検出信号の符号を反転させて
所定のゲインを掛けて作成したデフォーカス反転信号波
形とを画像積算装置16により合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画質の優れた分解能の
高い走査像を得ることができる走査電子顕微鏡における
画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走査電子顕微鏡では、試料上で一次電子
ビームを2次元的に走査し、試料から得られた2次電子
を検出し、検出信号に基づいてこの2次電子像を観察し
ている。図1は従来の走査電子顕微鏡の画像処理装置を
示しており、1は一次電子ビームである。一次電子ビー
ム1は図示していないコンデンサレンズと対物レンズ2
によって細く集束され、試料3上に照射される。試料3
に照射される一次電子ビーム1は、2段の静電型偏向レ
ンズ4,5によって試料3上で2次元的に走査される。
なお、対物レンズ2には対物レンズ制御電源6から励磁
電流が供給され、2段の偏向レンズ4,5には偏向制御
電源7から走査信号が供給される。
【0003】試料3への一次電子ビーム1の照射によっ
て発生した2次電子eは、2次電子検出器8によって検
出される。2次電子検出器8の検出信号は、信号取込装
置9を介して画像積算装置10に供給される。画像積算
装置10は、バッファフレームメモリー11を用いて検
出信号8の積算処理を実行する。画像積算装置10にお
いて積算処理された検出信号は、ビデオモニタ12に供
給され、ビデオモニタ12上には試料3の走査2次電子
像が表示される。このような構成の動作を次に説明す
る。
【0004】一次電子ビーム1は対物レンズ2によって
試料3上に細く集束されて照射され、試料からは2次電
子eが発生する。また、一次電子ビームは偏向制御電源
7からの走査信号が供給される2段の偏向レンズ4,5
によって偏向され、試料3の任意の2次元領域が一次電
子ビーム1によって走査される。2次電子は2次電子検
出器8によって検出され、2次電子量に応じた電気信号
が得られる。検出器8からの信号は、信号取込装置9に
供給されるが、信号取込装置9には偏向制御電源7から
一次電子ビームの走査信号が供給されており、信号取込
装置9は電子ビームの走査位置に応じて2次電子検出信
号を画像積算装置10に供給する。
【0005】画像積算装置10では、2次電子検出信号
をバッファフレームメモリー11を用いて試料上の走査
位置に応じて積算処理を行う。すなわち、1枚分の画像
信号がバッファフレームメモリー11に記憶され、次の
試料上の2次元走査に基づく信号とフレームメモリー1
1に記憶された信号とが信号積算装置10において積算
され、積算された信号は再びフレームメモリー11に保
存される。この結果、2次電子検出信号は積算され、積
算された検出信号はビデオモニタ12に供給されること
から、このビデオモニタ12上には試料3の走査2次電
子像が表示される。
【0006】さて、通常、1回の電子ビームの走査に基
づく検出信号による走査画面では、2次電子検出信号量
が少ないため、ホワイトノイズが大きく、低い画質の像
しか得られないが、この図1に示した従来装置では、多
数回の走査に基づく検出信号を積算処理することでホワ
イトノイズを軽減させ、画質を向上させるようにしてい
る。
【0007】図2は他の従来装置を示しており、図1の
従来装置と同一ないしはは類似の構成要素には同一番号
を付し、その詳細な説明は省略する。この図2の実施例
では、2次電子検出器8からの検出信号を信号取込装置
9を介して画像処理装置13に供給するように構成して
いる。画像処理装置13では、供給された2次電子検出
信号を数式処理し、得たい画質を作成している。この数
式処理としては、例えば、微分処理や周波数変調による
ノイズ除去、ラプラス変換による周波数展開等が用いら
れる。この画像処理装置13として、コンピュータを用
い、より高度な画像処理も行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記した図1の従来装
置では、2次電子検出信号の積算処理を行っているの
で、信号量不足によるホワイトノイズの低減はできるも
のの、一次電子ビームのプローブ径の拡がりによる空間
分解能の劣化は改善することはできない。図3に試料3
の面上に一次電子ビームをフォーカスした場合の一次電
子ビームの電子密度EBを示している。なお、この場
合、電子ビームは試料上で最小のプローブ径となってい
る。一次電子ビームは、コンデンサレンズや対物レンズ
等のレンズシステムの収差、一次電子の運動エネルギー
分布、および、回折収差などにより、ある径(Wp)内
に集群している。電子はほぼ中心に集群しているが、裾
野の方にも僅かに分散している。
【0009】このような電子密度分布を有した一次電子
ビームで試料面上にあるパターンを走査した時に得られ
る、2次電子検出信号波形を図4に示す。図4で(a)
は2次電子検出信号波形Dを示し、(b)は試料3の断
面を示しており、3aは試料3上に設けられたパターン
である。また、(c)は得られパターンの2次電子像I
を示している。この図に示すように、一次電子ビームの
拡がりによって、パターンの外側にも信号波形の裾野が
拡がり、得られる2次電子像は、図4(c)のdで示す
範囲で、パターンエッジがある程度ぼやけたものとなっ
ている。
【0010】このような特徴を有する2次電子像におい
て、2つのパターンが近接している場合を考える。図5
はその場合の2次電子検出信号波形を示している。図5
で(a)は2次電子検出信号波形Dを示し、(b)は試
料3の断面を示しており、3b,3cは試料3上に設け
られたパターンである。また、(c)は得られパターン
の2次電子像Iを示している。図4に示した1つのパタ
ーンの場合の検出信号波形が、パターンの近接程度によ
り、重なりを持つようになり、結果として、フォーカス
信号波形は、2つの信号波形の合成として現れる。従っ
て、2つのパターンが近付くにつれて、信号波形の重な
り部分が増加し、合成波形からは、2つのパターンを分
離して認識することができなくなってくる。これが一次
電子ビームプローブ径の拡がりによる空間分解能の劣化
であり、像の分解能悪化の要因となっている。
【0011】また、前述したように、一次電子ビームプ
ローブ径の拡がりによって、パターンのエッジがある程
度ぼけてしまい、鮮明な2次電子像を得ることはできな
かった。更に、図1の構成では、信号波形を正方向に加
算するため、明るく見えるところはより明るくなってし
まい、2次電子像がギラついてしまい、明るいところに
ある微細構造が見えなくなってしまう問題があった。こ
のような場合には、コントラストを下げることによって
ギラつきにより見えなかった部分が確認できるようにな
るものの、その反面、他の箇所が見えなくなるという問
題が生じる。
【0012】更にまた、このような特徴を有した走査電
子顕微鏡を半導体製造におけるウエハ上のパターン観察
・検査、あるいは測長に用いた場合に次のような問題も
発生している。
【0013】図6にコンタクトホールCの断面構造(図
6(a))、その2次電子像(図6(b))および2次
電子検出信号波形D(図6(c))を示している。コン
タクトホールCはすり鉢状に形成され、コンタクトホー
ルCの側面Sには、ホールの形成時のスタンディングウ
ェーブSWがある。このような形状のコンタクトホール
Cを走査電子顕微鏡で観察すると、コンタクトホールC
上部の側壁Sは、エッジ効果により、2次電子がより多
く発生して明るく、コンタクトホール底部Bは、2次電
子が試料面から上方に出にくいため、暗くなっしまう。
すなわち、図6(c)に示した2次電子検出信号波形の
ピークツーピーク値PPは大きく広がってしまう。
【0014】この際に、コントラストを下げると、コン
タクトホール底部Bによる微細構造がより暗くなってし
まい、見えなくなる。逆に、コントラストを上げて暗い
コンタクトホール底部Bを明るくすると、コンタクトホ
ールの上部がギラついた2次電子像となり、コンタクト
ホール側壁SにあるスタンディングウェーブSWが明る
すぎて見えなくなってしまう問題点があった。
【0015】また、図7(b)に示すような、試料3上
のパターン3aの測長を行った場合に、一次電子ビーム
のプローブ径の拡がりによって、図7(a)に示す一次
電子ビームの走査に基づく2次電子検出信号波形Dから
明らかなように、パターンのエッジがぼけてしまい、測
長誤差が大きくなる問題があった。
【0016】一方、図2に示す画像処理装置を用いた従
来装置では、数式処理に膨大な時間が掛かったり、ある
周波数帯だけをフィルタリング処理すると、観察したい
箇所が見えなくなったり、ノイズが強調されてしまった
り、2次電子像として不自然な像となってしまう問題が
あった。また、専用の高価なコンピュータを用いた画像
処理装置では、コストアップとなる上に、転送時間が掛
かったり、データ処理が複雑で多大な処理時間を要し、
自動化できなかった。特に、半導体製造においては、ウ
エーハの観察・検査・測長には、スループットがコスト
上重要なこととなり、走査電子顕微鏡とは別の画像処理
装置を用いて画像処理することはトラブルの原因ともな
り、それを用いることはできない。
【0017】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、その目的は、安価に画質の優れた高い分解能の
像や測長の精度を高めることができる走査電子顕微鏡を
実現することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に基づ
く走査信号処理方法は、試料上で第1のプローブ条件で
走査を行い、この走査に基づいて得られた信号を検出
し、第1の信号を得るステップ、試料上で第2のプロー
ブ条件で走査を行い、この走査に基づいて得られた信号
を検出し、その信号を反転させて第2の信号を得るステ
ップ、第1の信号と第2の信号とを合成するステップよ
り成ることを特徴としている。
【0019】本発明の請求項2に基づく走査信号処理装
置は、試料上でプローブを走査する手段、試料上のプロ
ーブの照射条件を変化させる手段、試料上のプローブ走
査に基づいて得られた信号を検出する検出手段、検出手
段からの検出信号を反転させる反転手段、検出手段から
の検出信号と、反転手段からの反転信号とを積算する信
号積算手段とを備えており、第1のプローブ照射条件に
よる検出信号と、第2のプローブ照射条件による反転信
号とを信号積算手段によって積算するように構成したこ
とを特徴としている。
【0020】本発明の請求項3に基づく走査信号処理装
置は、請求項2の発明において、第1のプローブ照射条
件は、プローブを試料上でフォーカスさせた条件であ
り、第2のプローブ照射条件は、プローブを試料上でデ
フォーカスさせた条件であることを特徴としている。
【0021】
【作用】本発明においては、試料上で第1のプローブ条
件で走査を行い、この走査に基づいて得られた信号と、
試料上で第2のプローブ条件で走査を行い、この走査に
基づいて得られた信号を検出し、その信号を反転させた
第2の信号とを合成する。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図8は本発明の一実施例である走査電子顕
微鏡を示しており、図1,図2の従来装置と同一ないし
は類似の構成要素には同一番号を付し、その詳細な説明
は省略する。2次電子検出器8からの検出信号は、信号
取込装置15に供給される。信号取込装置15からの信
号は、画像積算装置16と、信号反転装置18に供給さ
れる。画像積算装置16には、2次電子像の1枚分の画
像データを保存するバッファフレームメモリー17が接
続されている。
【0023】信号反転装置18は信号取込装置15から
の信号の符号を反転させ、所定のゲインを掛けるように
している。前記画像積算装置16は、信号取込装置15
の出力信号と、信号反転装置18の出力との2次電子像
1枚分の画像データを交互に積算し、平均処理してバッ
ファフレームメモリー17に保存するように動作する。
19は画像処理装置であり、偏向制御電源7からの走査
信号に基づき、対物レンズ制御電源6、信号取込装置1
5、画像積算装置16を制御する。このような構成の動
作は次の通りである。
【0024】さて、従来の走査電子顕微鏡において、2
次電子像は、ノイズを除去するために、フレームバッフ
ァフレームメモリー上で数枚分の2次電子像を画像積算
装置によって画像積算し、平均処理して得ていた。本実
施例では、フォーカスして作成した2次電子像と、デフ
ォーカスして作成した2次電子像の符号を反転し、所定
のゲインを掛けた2次電子像とを画像積算することを特
徴としている。
【0025】図9にそのタイミングチャートを示す。図
9(a)は前記偏向制御電源7のタイミングチャート
を、図9(b)は前記対物レンズ制御電源6のタイミン
グチャート示している。この図において、時刻t1 〜t
2 ,t3 〜t4 ,t5 〜t6 はそれぞれ画像処理装置1
9の制御に基づいて、偏向制御電源7が1枚分の2次電
子像を得られるように、前記上段偏向レンズ4と前記下
段偏向レンズ5を用いて制御している時間を示してい
る。時刻t1 〜t2 ,t5 〜t6 は、画像処理装置19
の制御に基づいて、対物レンズ制御電源6が偏向制御電
源7と同期して対物レンズ2の磁界の強さを一次電子ビ
ーム1が試料3上でフォーカスするように制御している
時間を示し、時刻t3 〜t4 は、画像処理装置19の制
御に基づいて、対物レンズ制御電源6が偏向制御電源7
と同期して対物レンズ2の磁界の強さを一次電子ビーム
1が試料3上で少しデフォーカスするように制御してい
る時間を示している。
【0026】前記時刻t1 〜t2 において、信号取込装
置15は、画像処理装置19の制御の下に、画像積算装
置16に検出信号を供給し、画像積算装置16はバッフ
ァフレームメモリー17に保存されている画像データと
画像積算し、平均処理をしてバッファフレームメモリー
17に平均処理した画像データを保存する。次に、時刻
3 〜t4 において、信号取込装置15は、画像処理装
置19の制御の下に、信号反転装置18に信号を供給
し、信号反転装置18では入力された信号にゲインを掛
け、符号を反転して画像積算装置16に出力し、画像積
算装置16は、バッファフレームメモリー17に保存さ
れている画像データと画像積算処理をしてバッファフレ
ームメモリー17に平均処理した画像データを保存す
る。以下、時刻t5 〜t6 以降も同様な処理を行うこと
で画像積算を行い、ビデオモニタ12に2次電子像を得
るようにしている。
【0027】次に、上記した構成により、2次電子像の
空間分解能が向上する理由を詳説する。図3には一次電
子ビームを試料に照射したときの一次電子ビームのプロ
ーブ電子密度EBを示した。一次電子ビーム1は、対物
レンズ2によって試料3上にフォーカスされるが、大部
分の電子は直径Wp内に集群しているものの、レンズの
収差等により、その周りに分散する電子が存在する。こ
のような特徴を有する一次電子ビームで、試料を図10
に示すように走査した場合、試料3から発生した2次電
子を2次電子検出器8で検出し、電気信号に変換した2
次電子検出信号波形Dは、図4に示すようになること、
そして、一次電子ビームのプローブ径の拡がりにより、
試料上のパターンの2次電子像の輪郭部にぼやけた領域
dが生じることは既に述べた。また前記したように、試
料上にパターンが近接していた場合の検出信号波形は図
5のようになり、検出信号波形がパターンの間では合成
され、一次電子ビームのプローブ径の拡がりによって、
2次電子像において、パターンを分離できなくなり空間
分解能を劣化させてしまう。
【0028】図8に示した本発明の実施例では、図10
に示した、一次電子ビーム1を試料3上にフォーカスさ
せて走査し、このフォーカスした一次電子ビーム1の照
射によって発生した2次電子eを検出器8で検出した信
号波形と、図11に示した、一次電子ビーム1を試料3
上で少しデフォーカスさせ、この一次電子ビーム1の照
射によって発生した2次電子eを検出器8で検出した信
号波形を信号反転装置18により、2次電子検出信号の
符号を反転させて所定のゲインを掛けて作成したデフォ
ーカス反転信号波形とを画像積算装置16により合成す
るようにしている。
【0029】図12には画像積算装置16により合成さ
れた信号波形、試料の断面、2次電子像を示している。
図12(a)は信号波形を示し、図12(b)は試料断
面であり、試料3上に単一のパターン3aが形成されて
いる。図12(c)は合成波形に基づく2次電子像を示
している。図12(a)で、S1 は一次電子ビーム1を
フォーカスさせた際に得られた検出信号波形であり、S
2 が一次電子ビーム1をデフォーカスさせた際に得られ
た検出信号波形である。この2種の信号S1 とS2とを
画像積算装置16によって合成することにより、合成信
号S3 が得られる。
【0030】この図12(a)に示すように、合成信号
波形S3 では、パターンの輪郭部に符号の反転した領域
(マッハバンドMとも呼ばれている)が形成される。従
って、パターンの2次電子像は、図12(c)に示すよ
うに、一次電子ビームのプローブ径の拡がりによるパタ
ーンの輪郭部のぼける領域dが小さくなり、パターンの
2次電子像の輪郭部は、マッハバンドMで囲われ、輪郭
部が明瞭になる。
【0031】図13に試料3上にパターンが近接してあ
った場合の例であり、図13(a)は信号波形を示し、
図13(b)は試料断面であり、試料3上に2種のパタ
ーン3b,3cが形成されている。図13(c)は合成
波形に基づく2次電子像を示している。図13(a)
で、S1 は一次電子ビーム1をフォーカスさせた際に得
られた検出信号波形であり、S2 が一次電子ビーム1を
デフォーカスさせた際に得られた検出信号波形である。
この2種の信号S1 とS2 とを画像積算装置16によっ
て合成することにより、合成信号S3 が得られる。
【0032】この図13(a)に示すように、合成信号
波形S3 では、パターンの輪郭部に符号の反転した領域
(マッハバンドMとも呼ばれている)が形成される。従
って、パターンの2次電子像は、図13(c)に示すよ
うに、一次電子ビームのプローブ径の拡がりによるパタ
ーンの輪郭部のぼける領域dが小さくなり、パターンの
間にもマッハバンドMが形成され、2次電子像におい
て、パターンを分離することができ、空間分解能を劣化
させることがない。
【0033】次に、半導体製造におけるウエーハ上に形
成されたコンタクトホールの観察例について説明する。
従来技術の説明において詳細に述べたように、コンタク
トホールは、図6(a)に示すようにすり鉢状に作成さ
れており、このような形状のコンタクトホールを走査電
子顕微鏡で観察すると、エッジ効果(傾斜した面の方が
2次電子放出領域が広くなり、2次電子放出量が多くな
る現象)により、コンタクトホール上端部が明るく、コ
ンタクトホール底部Bは電子が試料面まで出にくくなる
ために暗くなってしまい、図6(c)に示すような走査
信号波形Dとなる。
【0034】すなわち、信号強度の振幅(ピークツーピ
ーク)PPが大きく、図6(b)に示すように、コンタ
クトホール側壁Sにあるコンタクトホール形成時に作ら
れたスタンディングウェーブSWを示す信号が、信号強
度の強いところに埋もれてしまい、見えなくなってしま
う。逆に、コントラストを下げてコンタクトホール側壁
SにあるスタンディングウェーブSWを見ようとする
と、コンタクトホール底部Bを示す信号強度が弱まり、
底部の微細構造Vが見えなくなるという問題があった。
【0035】このような形状のコンタクトホールを本発
明による走査画像処理装置を用いて観察すると、デフォ
ーカス画像を減算しているため、図14に示すように、
走査信号波形Dの振幅(ピークツーピーク)PPが縮ま
り、前述したコンタクトホール側壁Sのスタンディング
ウェーブSWおよびコンタクトホール底部Bにある微細
構造Vもより鮮明に同時に2次電子像として観察するこ
とができる。なお、図14(a)は2次電子像を示し、
図14(b)は合成走査信号波形を示している。
【0036】次に、半導体製造におけるウエーハ上に形
成されたパターンの測長例を示す。走査電子顕微鏡によ
るパターンの測長は、走査信号波形の接線の交点から決
める直線近似法(あるいは曲線近似法)が用いられる。
図7に従来の走査電子顕微鏡による測長例を示したが、
同図に示すように、一次電子ビームのプローブ径の拡が
りにより、走査信号波形Dが実際のパターン長Wよりも
拡がり裾野を有するため、パターンの輪郭部がぼけ、直
線近似法(あるいは曲線近似法)によって得た測長値W
mは、かなりの誤差を有し、測長再現性が悪い。
【0037】図15に本発明による走査画像処理装置を
用いた測長例を示す。図15(b)に示す試料3上のパ
ターン3aの測長を行うと、図15(a)に示すよう
に、パターン3aの輪郭部はマッハバンドMで囲まれる
ため、輪郭が明瞭になり、直線近似法(あるいは曲線近
似法)によって得た測長値Wmの誤差はほとんどなく、
測長再現性が大幅に改善される。
【0038】以上本発明の一実施例を詳述したが、本発
明はこの実施例に限定されない。例えば、2次電子を検
出したが、反射電子を検出してもよい。また、一次電子
ビームをフォーカスさせるために磁界型の対物レンズを
用いたが、静電レンズを用いても良い。更に、電子ビー
ムの偏向には、静電型の偏向器以外に磁界型の偏向コイ
ルを使用することもできる。
【0039】また、本発明は、走査電子顕微鏡に限定さ
れることなく、試料をプローブで走査することにより画
像を得る装置、例えば、走査型トンネル顕微鏡、走査型
原子間力顕微鏡、走査型イオン顕微鏡、走査型超音波顕
微鏡、走査型近接場顕微鏡などにも適用することができ
る。更に、コンピュータなどの専用の画像処理装置上で
ソフトウェアにより本発明を実施するようにしても良
い。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に基づく走査信号処理方法では、試料上で第1のプロー
ブ条件で走査を行い、この走査に基づいて得られた信号
を検出し、第1の信号を得るステップ、試料上で第2の
プローブ条件で走査を行い、この走査に基づいて得られ
た信号を検出し、その信号を反転させて第2の信号を得
るステップ、第1の信号と第2の信号とを合成するステ
ップより構成したので、安価に画質の優れた高い分解能
の像を得ることができる。また、測長にこの方法を用い
れば、測長の精度や測長の再現性を高めることができ
る。
【0041】本発明の請求項2に基づく走査信号処理装
置は、試料上でプローブを走査する手段、試料上のプロ
ーブの照射条件を変化させる手段、試料上のプローブ走
査に基づいて得られた信号を検出する検出手段、検出手
段からの検出信号を反転させる反転手段、検出手段から
の検出信号と、反転手段からの反転信号とを積算する信
号積算手段とを備えており、第1のプローブ照射条件に
よる検出信号と、第2のプローブ照射条件による反転信
号とを信号積算手段によって積算するように構成した。
従って、安価に画質の優れた高い分解能の像を得ること
ができる。また、測長にこの方法を用いれば、測長の精
度や測長の再現性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の走査電子顕微鏡の信号処理装置を示す図
である。
【図2】従来の走査電子顕微鏡の信号処理装置を示す図
である。
【図3】一次電子ビームの電子密度を示す図である。
【図4】2次電子の検出信号波形とそれに基づく2次電
子像を示す図である。
【図5】2次電子の検出信号波形とそれに基づく2次電
子像を示す図である。
【図6】コンタクトホールの形状とその像および検出信
号波形を示す図である。
【図7】試料上のパターンを走査したときの検出信号波
形を示す図である。
【図8】本発明の信号処理装置を用いた走査電子顕微鏡
の一実施例を示す図である。
【図9】一次電子ビームの走査タイミングと対物レンズ
制御のタイミングを説明するための図である。
【図10】一次電子ビームをフォーカスさせた状態で試
料を走査する様子を示す図である。
【図11】一次電子ビームをデフォーカスさせた状態で
試料を走査する様子を示す図である。
【図12】本発明に基づいて得られた信号波形とそれに
基づく像を示す図である。
【図13】本発明に基づいて得られた信号波形とそれに
基づく像を示す図である。
【図14】本発明の一実施例によって得られたコンタク
トホールの像および検出信号波形を示す図である。
【図15】本発明の一実施例により試料上のパターンを
走査したときの検出信号波形を示す図である。
【符号の説明】
1 一次電子ビーム 2 対物レンズ 3 試料 4,5 偏向レンズ 6 対物レンズ制御装置 7 偏向制御装置 8 2次電子検出器 15 信号取込装置 16 画像積算装置 17 バッフアフレームメモリー 18 信号反転装置 19 画像処理装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料上で第1のプローブ条件で走査を行
    い、この走査に基づいて得られた信号を検出し、第1の
    信号を得るステップ、試料上で第2のプローブ条件で走
    査を行い、この走査に基づいて得られた信号を検出し、
    その信号を反転させて第2の信号を得るステップ、第1
    の信号と第2の信号とを合成するステップより成る走査
    信号処理方法。
  2. 【請求項2】 試料上でプローブを走査する手段、試料
    上のプローブの照射条件を変化させる手段、試料上のプ
    ローブ走査に基づいて得られた信号を検出する検出手
    段、検出手段からの検出信号を反転させる反転手段、検
    出手段からの検出信号と、反転手段からの反転信号とを
    積算する信号積算手段とを備えており、第1のプローブ
    照射条件による検出信号と、第2のプローブ照射条件に
    よる反転信号とを信号積算手段によって積算するように
    構成した走査信号処理装置。
  3. 【請求項3】 第1のプローブ照射条件は、プローブを
    試料上でフォーカスさせた条件であり、第2のプローブ
    照射条件は、プローブを試料上でデフォーカスさせた条
    件である請求項2記載の走査信号処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012140874A1 (ja) * 2011-04-15 2012-10-18 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子顕微鏡装置および画像撮像方法

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