JPH08226856A - 波長可変の光共振装置 - Google Patents

波長可変の光共振装置

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JPH08226856A
JPH08226856A JP5662695A JP5662695A JPH08226856A JP H08226856 A JPH08226856 A JP H08226856A JP 5662695 A JP5662695 A JP 5662695A JP 5662695 A JP5662695 A JP 5662695A JP H08226856 A JPH08226856 A JP H08226856A
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JP
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temperature
optical resonator
mirrors
mirror
wavelength
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JP5662695A
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English (en)
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Akihito Otani
昭仁 大谷
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Anritsu Corp
Original Assignee
Anritsu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】サブナノメートルオーダでミラーの間隔が制御
でき、再現性が良く、高精度、高分解能、高安定な波長
可変の光共振装置を実現する。 【構成】第1及び第2のミラー部材1,2を支持する支
持体3の温度を変化させ、該支持体3の熱膨張によって
第1及び第2のミラー部材1,2に備えられた第1及び
第2のミラー1a,2aの間隔を制御する。支持体3の
温度は、サーミスタセンサ5で検出され、電流源6で設
定温度と比較されて、該設定温度となるようにペルチェ
素子4に電流が供給されることで制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はファブリ・ペロ干渉計の
ように2つミラーで構成される光共振器のミラー間隔を
変化させて共振波長を変化させる波長可変の光共振装置
に係り、特に、2つのミラー間隔をサブナノメートルオ
ーダの精度で可変とし、共振周波数の再現性を高めて、
光計測分野等での波長制御や波長計測の高精度化と高分
解能化を促すことが可能な波長可変の光共振装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】約100MHz から数10GHz の間の共振
バンド幅を有し、低挿入損失でかつ偏光依存性が少ない
波長可変の光共振装置は、波長多重光通信や光計測にお
いて必要な特定波長の切り出しやスペクトラムの高分解
能測定等を行う上で重要なものである。
【0003】一般的に2つのミラーから構成される波長
可変の光共振装置では、式(1)で示されるように2つ
のミラー間の距離がFSR(自由スペクトル域)を決定
してしまう。そのため、ミラー間隔の機械的制御の精度
が共振波長や共振バンド幅に加えて、安定性までも決定
してしまうことが知られている。このことは、高精度で
高分解能にミラー間隔を変化させる駆動手段が、波長可
変の光共振装置の性能を決定する重要な要素となること
を示している。 FSR=c/(2・n・L) ……………(1) ここで、FSR:自由スペクトル域(Hz)、c:光速、
n:ミラー間媒質屈折率、L:ミラー間距離
【0004】従来の波長可変の光共振装置では、高精度
で微妙な間隔の変化を与えることができる駆動手段とし
て、特開平4−229817号公報(発明の名称「所望
のバンド幅を有する可調光フィルタ」)に開示されてい
るような、ピエゾ電子変換システム等のピエゾ駆動方式
を用いて、相対向した2つのミラーの間隔を変えるよう
にしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,ピエゾ
駆動方式を用いて相対向した2つのミラー間隔を変化さ
せる波長可変の光共振装置では、変化する速度を高くで
きるという特長がある一方、下記の様な問題がある。そ
のため、従来の技術では、入力波長に対して共振波長を
追従させる入力波長追従型の光共振装置は実現できるも
のの、サブナノメートルオーダでミラー間隔を制御する
ことにより、所望の波長のみを再現性良く共振させる、
つまり任意の波長を安定に切り出すような高精度で高分
解能な波長可変の光共振装置は実現できなかった。
【0006】従来の技術(ピエゾ駆動方式)の問題点 履歴現象による伸延量の不確定性から生じる共振波
長の不確定性 図4は印加電圧に対するピエゾ素子の伸延量を光ヘテロ
ダイン干渉光学計(測定分解能0.2nm)を用いて測定
して得た結果の一例である。測定は印加電圧を0V から
約35V まで3往復、1V 間隔で変化させて、1V 間隔
ごとにピエゾ素子の伸延量を測定することで行った。印
加電圧を変化させる速さは1ステップ(=1V )あたり
50msとした。図の曲線は5点(ある測定点とその前後
2点ずつの測定点)で補間して得た曲線である。図にお
いて、横軸は印加電圧を示し、縦軸は伸延量を示してい
る。この図から、測定対象としたピエゾ素子の最大伸延
量を約20nmと設定して長さを変化させたとき、等しい
印加電圧において履歴現象で生じる電圧上昇時と下降時
の伸延量差は約8nmにもなることが分かる。さらに、電
圧上昇時または下降時をそれぞれ単独で見た場合の同じ
電圧に対する伸延量のばらつきも約2nmあり、サブナノ
メートルオーダの再現性で伸延量を変化させることがで
きないことが分かる。なお、ここで述べた印加電圧に対
する伸延量の不確定性に関する値は一例であり、一般に
はこの不確定量がピエゾ素子の最大伸延量や印加電圧の
変化速度等のさまざまな要因によって変化することが知
られている。上述のように、ピエゾ駆動方式を用いた波
長可変の光共振装置ではピエゾ素子の伸延量が印加電圧
に対して一対一に対応していないため、印加電圧の制御
のみによりピエゾ素子の伸延量をサブナノメートルオー
ダで変化させ、共振波長を変えることは現実的には不可
能である。
【0007】 ピエゾ素子のクリープ現象により生じ
る共振波長のドリフト ピエゾ素子は、一定の電圧を印加したときクリープ現象
と呼ばれる伸延量のドリフトが起こり、印加する電圧を
モニタして制御するだけでは光共振装置の共振波長を安
定化することはできない。そこで、従来技術において
は、前記伸延量の不確定量とこのドリフトも含めて補正
するため、歪センサや静電容量センサ等のモニタを用い
て2つのミラーの間隔を制御することにより共振波長の
ドリフトをなくし、共振波長の安定化を図った装置も提
案された。しかしながら、現状の歪センサの最高分解能
は一般に10nm程度しかなく、サブナノメートルオーダ
の制御は不可能であり、また静電容量センサは原理上ピ
コメートルオーダまでの分解能を持つために非常に高安
定な波長可変の光共振装置が実現できる可能性がある
が、価格的に非常に高価であり、さらに波長可変の光共
振装置に組み込んだ場合、装置が体積的に大型化するう
えにセンサ自体の温度依存性が大きい等の問題がある。
【0008】 ピエゾ素子の温度依存性により生じる
共振波長のドリフト ピエゾ素子の伸延量も周囲温度に対して一般の剛体と同
様、温度依存性があることが知られている。例えば、電
圧を印加した状態でのピエゾ素子の伸延量は周囲温度に
対して負の相関を持っている。そこでピエゾ素子の負の
相関を打ち消すために、周囲温度に対して正の相関を持
っているアルミ等の金属とピエゾ素子とを組み合わせ、
2つのミラーの間隔のドリフトをなくす構造の装置が提
案されている。しかしながら、この構造でも温度に対し
て2つのミラーの間隔をサブナノメートルオーダ以下の
ドリフトに抑えることは共振装置作製上の理由から現実
的には不可能であり、環境温度の影響を避け、動作の再
現性及び安定性を良くするためには結局、周囲温度の安
定化が必要である。
【0009】この発明の目的は、従来の技術では実現が
不可能であった、サブナノメートルオーダでミラーの間
隔が制御でき、再現性が良く、高精度、高分解能、高安
定な波長可変の光共振装置を実現することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】従来の波長可変の光共振
装置において、2つのミラーの支持体(剛体)の温度変
化によって生じる熱膨張は、共振波長選択の動作安定性
や再現性を乱す大きな原因であり、高精度で高安定な光
共振装置を実現する場合、何らかの周囲温度の安定化手
段を必要としていた。ところが、この温度変化に対する
剛体の熱膨張量は、温度変化に対して線形性が高く、ま
た、その変化量はアナログ的に変化することが知られて
いる。発明者はその点に着目し、後述する実験によっ
て、剛体の熱膨張はサブナノメートルオーダの制御が可
能なほどに線形性が高いこと、さらにピエゾ素子が有し
ているような伸延量のヒステリシスやクリープがないこ
と等を確かめた。
【0011】図3は光ヘテロダイン干渉光学計により、
4mmの長さを持つ銅パイプの温度を、半導体レーザの温
度を高精度に変化させる技術を用いて、0.1℃ずつ変
化させたときの熱膨張量を測定して得た測定結果の一例
である。測定は、銅パイプの温度を約22℃から約2
2.6℃まで3往復、0.1℃間隔で変化させ、そのと
きの伸延量を測定することで行った。step wait time
(待ち時間)は温度を変化させてから測定するまでの時
間で、6秒である。この待ち時間は実験に用いた測定系
の事情による。図の曲線は5点(ある測定点とその前後
2点ずつの測定点)で補間して得た曲線である。図にお
いて、横軸はペルチェ素子制御温度(銅パイプの温度)
を示し、縦軸は伸延量を示している。図3と図4とを比
較すると、ピエゾ素子に比べて銅パイプの温度変化によ
る熱膨張を用いた伸延量の変化の方が線形性が優れてい
ることが分かる。
【0012】従来技術においては温度変化による支持体
の熱膨張をキャンセルする検討がなされてきたのに対し
て、本発明では熱膨張の温度に対する線形性に注目し、
あえてミラー間隔を変化させる駆動源として熱膨張を積
極的に利用することとした。つまり、従来方式がピエゾ
素子に印加する電圧でミラーの間隔を制御するのと同時
に温度安定化制御を施していたのに対して、光共振器を
構成する2つのミラーを支持する支持装置を、温度変化
に対応して2つのミラーの間隔を変えられるものとし、
高精度に温度を変化させることができる、例えばペルチ
ェ素子を用いた温度可変手段により支持装置の温度を変
化させ、支持体の熱膨張によりミラーの間隔を制御する
という手段をとる。
【0013】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例の構成を示す図
である。図において、第1のミラー部材1と第2のミラ
ー部材2は支持体(支持装置)3で支持されており、該
支持体3は光が透過するための穴4aを持つペルチェ素
子(温度可変手段)4に固定されている。また、支持体
3には該支持体3の温度を検出するためにサーミスタセ
ンサ5が取り付けられており、該サーミスタセンサ5及
び前記ペルチェ素子4は電流源6と接続されている。そ
して、第1のミラー部材1と第2のミラー部材2とはそ
れぞれの一端に、相対向して光共振器を構成する第1の
ミラー1aと第2のミラー2aとを備えている。なお、
図の装置全体は図示しない筐体に入っており、該筐体は
放熱器を兼ねている。
【0014】第1及び第2のミラー部材1,2は、それ
ぞれ熱膨張係数の非常に少ない材質である石英を直径1
mmの棒に加工し、一端を高精度平面垂直研磨した後、波
長1.55μm の光に対して吸収の少ないTi O2 (二
酸化チタン)とSi O2 (二酸化ケイ素)とからなる多
層膜反射コーティングをし、他端を高精度平面斜め8度
研磨することにより得た。なお、反射面の面精度を可能
な限り高くすること(一般に面積が大きくなると面精度
を高くすることが難しくなる)と、光共振器に入力され
る光を平行光にできる回折限界の光束幅(波長1.55
μm の光では約300μm )とを考慮して石英棒の直径
は1mmとした。また、石英棒端面に蒸着されたコーティ
ング膜の反射率は、必要とする光共振装置の分解能によ
って異なるが、本実施例では反射フィネスが最低でも2
00以上となるように、エネルギー反射率で98.5%
から99.5%程度のものを用いた。なお、一般に反射
率の高いミラーを用いると、光共振器内に閉じこめられ
るフォトンの寿命が反射率に比例して長くなるため、反
射膜の蒸着されている面の面精度の影響が大きくなり、
光共振器内の透過損失が増大する。そこで本実施例では
透過損失の増大を防ぐため反射率99.5%程度までの
ミラーとした。
【0015】支持体(支持装置)3は第1のミラー部材
1及び第2のミラー部材2を支持するとともに、第1の
ミラー1a及び第2のミラー2aで構成される光共振器
の光軸を一定に保ちつつ、熱膨張によりミラーの間隔を
変化させる。支持体3には1/100°Cの温度変化に
対して0.数nmの変位が得られるように長さ4mmの銅材
を用いた。なお、銅の熱膨張係数は293Kでは16.
2×(10の−6乗)/Kであるため、ミラー間の距離
を変化させるのに有効な銅材の長さを4mmとすれば、こ
の銅材の温度が1ステップ1/100℃変化すると、1
ステップ約0.65nm、ミラー間の距離は変化すること
になり精度の高い駆動ができる。本実施例では支持体3
を丸パイプ状の銅材とし、第1のミラー部材1と第2の
ミラー部材2を構成する各々の石英棒の1箇所をこの銅
パイプの内壁に固定した。そのとき、固定点の間隔は4
mmとなるようにし、さらに前記FSR(自由スペクトル
域)を決定するミラー間の距離(エアギャップ)は20
0μm となるようにした。前記2つの固定点の間にある
4mmの銅材の熱膨張量がミラー間隔の変化量となる。た
だし、ここで述べた固定点間隔、ミラー間の距離、パイ
プの材質等については光共振装置の光学的特性の設計仕
様によって決まるものである。
【0016】支持体3の温度を変える温度可変手段とし
てはペルチェ素子を用いた。本実施例では支持体3がペ
ルチェ素子4の面に対して垂直となるように固着してあ
り、支持体3である銅パイプに側面から熱を与えた場合
に生じる銅パイプの歪みやねじれによって、光軸がずれ
たり、石英棒に歪みが生じたりして、光学的特性が劣化
することを避けている。丸いパイプとしたのも、熱の伝
導ができるだけ均一になるようにするためである。熱膨
張は、本来3次元方向それぞれに生じるが、光軸に垂直
な断面で軸対称な丸い銅パイプに光軸と同方向に熱を供
給するようにすると、光軸に垂直な断面で生じる熱膨張
を実質的にキャンセルできるとともに、断面での熱分布
を同心円状に形成できる。したがって、より安定なミラ
ー間隔の駆動源となり得る。
【0017】支持体3は、要求される仕様によっては、
角パイプや第2の実施例のような角材、その他丸棒等で
も良い。また、固着は熱伝導性の高いハンダ接着を用い
て行った。ペルチェ素子4は光が通過するための透過穴
4aを有しており、ミラー1a,2a間で共振した光は
この透過穴4aを通って外部に出射される。
【0018】サーミスタセンサ5は支持体3の温度をモ
ニタするためのもので、電流源6はサーミスタセンサ5
からの温度情報と設定温度とを1/100℃の分解能で
比較することによりペルチェ素子4に送る電流を制御し
ている。なお、ペルチェ素子とサーミスタの組み合わせ
により1/100℃の温度を制御する方法は従来から周
知の技術で、半導体レーザの周波数安定化技術等で用い
られている。
【0019】次に、本実施例の動作について説明する。
まず、電流源6の設定温度を変化させると、設定温度と
サーミスタセンサ5からの温度情報とが比較され、温度
差を補正するように、電流がペルチェ素子4に供給され
る。次に、この電流によってペルチェ素子4から支持体
3である銅パイプに熱が供給され、結果として支持体3
の温度が設定温度へと変化する。設定温度へと変化する
と、該温度に応じて支持体3が熱膨張し、ミラー間隔が
変化し、共振波長が変化する。支持体3の温度変化によ
る熱膨張量は前述のように温度に対して非常に線形性が
良く、かつ再現性が高いので、本実施例では支持体3の
温度をモニタして制御することで、エアギャップを約
0.65nmの精度で制御できる。
【0020】従来の波長可変の光共振装置の光学的特性
は、入力波長1.55μm 帯で、透過バンド幅0.1n
m、FSR20nm程度であり、繰り返し再現性について
は製品仕様として数値を出していなかった。しかし、第
1のミラー1aと第2のミラー2aのエアギャップが
0.65nmという高精度のステップで変化するのに応じ
て共振波長が変化していく本実施例では、入力波長1.
55μm 帯において、透過バンド幅0.03nm、FSR
6nm、繰り返し再現性0.004nm、透過減衰量3dB、
可変波長帯域100nmという、従来の技術では実現でき
ない光学的特性をもった光共振装置となっている。図5
は本実施例の光共振装置を用いて得られた光の共振波長
と支持体の設定温度との関係を示す図であり、図6は、
ミラー間隔を変化させる手段を従来のピエゾ駆動方式と
し、他の条件を本実施例の光共振装置とほぼ同じくした
光共振装置を用いて得られた光の共振波長とピエゾ素子
への印加電圧との関係を示す図である。図5と図6を繰
り返し再現性について見てみると、図5では同じ設定温
度に対して波長の差がほとんどないが、図6では同じ印
加電圧に対して4nmに近い波長の差が読み取れる。な
お、図5及び図6の結果を得た比較のための実験は、最
高分解能0.1nmの光スペクトルアナライザを用いて行
った。
【0021】この実施例では、温度を検出する手段であ
るサーミスタセンサ5で支持体3の温度を測定して、温
度可変手段に電流を供給する手段である電流源6で設定
温度と比較して、支持体3の温度を制御するようにして
いるが、電流源6の設定値と過渡時、平衡時の時間経過
を含めた温度との関係が分かっていれば、前述のように
再現性が良くヒステリシスを持たないことから、上述の
ような温度を制御する手段はなくても良い。
【0022】支持体3の材料については、本実施例では
1/100℃の温度制御でミラー間隔を0.数nm変化さ
せるということから銅材を用いたが、仕様に合った膨張
係数を持ったもので、加工のし易さ、価格、その他を考
慮して選べば良い。なお、熱応答速度は支持体3の形
状、密度、比熱、熱伝導率で決定される。表1に純金属
の例を挙げる。他にも、例えば鋳鉄、炭素鋼、低合金鋼
等の合金を用いても良い。
【0023】
【表1】
【0024】図2は第2の実施例の構成を示す図であ
る。図において、第1のミラー部材1と第2のミラー部
材2は支持体(支持装置)3で支持されており、支持体
3はペルチェ素子(温度可変手段)4に固定されてい
る。また、支持体3には、該支持体3の温度を検出する
ためにサーミスタセンサ5が取り付けられており、該サ
ーミスタセンサ5及び前記ペルチェ素子4は電流源6と
接続されている。そして、第1のミラー部材1と第2の
ミラー部材2とは、それぞれその一面に、相対向して光
共振器を構成する第1のミラー1aと第2のミラー2a
とを備えている。
【0025】第1及び第2のミラー部材1,2は、それ
ぞれ熱膨張係数の非常に少ない材質である石英板を厚さ
3mm、一辺1mmの板に支持体3への取り付け部1b,2
bを備えた形状に加工し、それぞれその両面を高精度平
面研磨した後、それぞれのミラーとなる片面には1.5
5μm の光に対して吸収の少ないTi O2 (二酸化チタ
ン)とSi O2 (二酸化ケイ素)とからなる多層膜反射
コーティングをし、他の面をARコーティングをするこ
とにより得た。なお、第1の実施例のところでも述べた
が、反射面の面精度を可能な限り高くすること(一般に
面積が大きくなると面精度を高くすることが難しくな
る)と、光共振器に入力される光を平行光とできる回折
限界の光束幅とを考慮して石英板の一辺は1mmとしてい
る。また、石英板に蒸着されたコーティング膜の反射率
は必要とする光共振装置の分解能によって異なるが、本
実施例では反射フィネスが最低でも200以上となるよ
うに、エネルギー反射率で98.5%から99.5%程
度のものを用いた。なお、一般に反射率の高いミラーを
用いると光共振器内に閉じこめられるフォトンの寿命が
反射率に比例して長くなるため、反射膜の蒸着されてい
る面の面精度の影響が大きくなり、光共振器内の透過損
失が増大する。そこで、本実施例では、透過損失の増大
を防ぐため反射率99.5%程度までのミラーとした。
【0026】支持体3は第1及び第2のミラー部材1,
2それぞれの一端を支持し、第1及び第2のミラー1
a,2aを平行に保ちつつ、温度変化に対応して2つの
ミラー1a,2a間の間隔を変化させる。前記支持体3
には銅の角材を用いた。なお、支持体3に支持されてい
る第1及び第2のミラー部材1,2の取り付け間隔は4
mmとした。第1及び第2のミラー1a,2aの間隔は2
00μm である。従って、1/100℃の温度変化に対
して2つのミラー1a,2aの間隔が約0.65nm変位
する。なお、2つのミラー部材1,2の支持体3への固
定は圧入法によって行った。ただし、ここで述べた取り
付け間隔、ミラー間の距離、支持体である角材の材質等
については光共振装置の光学的特性の設計仕様によって
決まるものである。
【0027】支持体3の温度可変手段としてはペルチェ
素子を用いた。本実施例では光軸がペルチェ素子4の面
に対して平行になるように、換言すれば、支持体である
銅の角材に側面から熱を与えるように固着してある。前
記銅の角材は小さなものなので、側面を加熱することに
より発生する反りやねじれは小さい。しかし、小さな反
りやねじれも許されない仕様の場合は、例えば第1の実
施例のように、光軸に対して対称な温度分布となるよう
にすればよい。
【0028】サーミスタセンサ5は支持体3の温度をモ
ニタするためのもので、電流源6はサーミスタセンサ5
からの温度情報と設定温度とを1/100℃の分解能で
比較することによりペルチェ素子4に送る電流を制御し
ている。
【0029】次に、本実施例の動作について説明する。
まず、電流源6の設定温度を変化させると設定温度とサ
ーミスタセンサ5からの温度情報とが比較され、その温
度差を補正するように電流がペルチェ素子4に供給され
る。次に、この電流によってペルチェ素子4から支持体
3である銅の角材に熱が供給され、結果として支持体3
の温度が設定温度へと変化する。支持体3の温度変化に
よる熱膨張量は前述したように温度に対して非常に線形
性が良く、かつ再現性が高い。従って,本実施例でも、
支持体の温度をモニタして制御することにより、エアギ
ャップを約0.65nmの精度で制御できる。
【0030】以上の実施例は第1のミラー1a及び第2
のミラー2aに平面鏡を用いているが、凹面鏡を用いた
疑似共焦点型の光共振器としても良い。疑似共焦点型の
光共振器とした場合は、ミラーの間隔は平面鏡の場合ほ
ど大きくは変えられないものの、ミラー部材の入射光側
の面にARコートを施さなくても良いとか、斜め入射に
すれば、非共振光は入射光の光軸方向とは別の方向へ反
射され、共振した光のみが入射角に依存せず入射光側へ
出射するとかの特長が有る。非共振光が入射光の光軸方
向に戻らないということは、例えば、半導体レーザの自
己注入同期の外部共振器として使用するときには有利で
ある。
【0031】
【発明の効果】以上述べた様に本発明では、波長可変の
光共振装置のミラーの間隔を変化させる駆動源としてピ
エゾ素子を用いるピエゾ駆動方式に対して、従来技術で
共振波長選択の動作安定性や再現性を乱す大きな原因と
されてきた剛体の熱膨張を敢えてミラー間隔を変化させ
る駆動源として積極的に利用することとした。つまり、
従来方式がピエゾ素子に印加する電圧でミラー間の間隔
を制御するのと同時に、一方では温度安定化制御を施し
ていたのに対して、例えば高精度に温度を変化させるこ
とができるペルチェ素子を用いた温度可変手段により、
ミラー間にある支持体の温度を変化させ、支持体の熱膨
張によりミラーの間隔を制御するという手段をとること
としたから、従来の技術では実現が不可能であった、サ
ブナノメートルオーダでミラーの間隔が制御できる高安
定、高精度、高分解能、さらに繰り返し再現性の高い波
長可変の光共振装置が実現できた。
【0032】従来技術の、ピエゾ駆動方式を用いた波長
可変の光共振装置は、入力波長に対して共振波長を追従
させる入力波長追従型の光共振装置でしかなかったが、
本発明の光共振装置はサブナノメートルオーダでミラー
の間隔を制御できることから、所望の波長のみを再現性
良く共振させる、つまり任意の波長を安定に切り出すこ
とができる高精度で高分解能な波長可変の光共振装置で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図であり、
(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【図3】銅パイプの温度に対する伸延量を測定した結果
を示す図である。
【図4】ピエゾ素子の印加電圧に対する伸延量を測定し
た結果を示す図である。
【図5】第1の実施例の光共振装置を用いて得られた光
の共振波長と支持体の設定温度との関係を示す図であ
る。
【図6】ミラー間隔を変化させる手段を従来のピエゾ駆
動方式とし、他の条件は第1の実施例の光共振装置とほ
ぼ同じ光共振装置を用いて得られた光の共振波長とピエ
ゾ素子への印加電圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 第1のミラー部材 1a 第1のミラー 2 第2のミラー部材 2a 第2のミラー 3 支持体(支持装置) 4 ペルチェ素子(温度可変手段) 4a 透過穴 5 サーミスタセンサ 6 電流源

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その鏡面が入射光及び出射光の共通光軸
    に垂直に相対向して配置され、かつ、それぞれが光を一
    部透過させる2つのミラーを含む光共振器(1,2)
    と、前記2つのミラーを平行に支持しつつ、温度変化に
    対応して前記2つのミラーの間隔を変化させる支持装置
    (3)と、該支持装置の温度を変化させる温度可変手段
    (4)とを備えた波長可変の光共振装置。
JP5662695A 1995-02-21 1995-02-21 波長可変の光共振装置 Pending JPH08226856A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998043068A1 (fr) * 1997-03-26 1998-10-01 Kowa Company, Ltd. Instrument de mesure optique
WO1998043069A1 (fr) * 1997-03-26 1998-10-01 Kowa Company, Ltd. Instrument de mesure optique

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