JPH0821888A - 被覆管及びジルカロイ被覆管を製造する方法 - Google Patents

被覆管及びジルカロイ被覆管を製造する方法

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JPH0821888A
JPH0821888A JP7060177A JP6017795A JPH0821888A JP H0821888 A JPH0821888 A JP H0821888A JP 7060177 A JP7060177 A JP 7060177A JP 6017795 A JP6017795 A JP 6017795A JP H0821888 A JPH0821888 A JP H0821888A
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JP7060177A
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Dale Frederick Taylor
ダール・フレデリック・テイラー
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General Electric Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加速腐食に耐えることができると共にペレッ
ト−被覆相互作用による被覆の破損を効果的に防止する
ことのできる被覆管及び被覆管を製造する方法を提供す
る。 【構成】 本願発明に係る被覆管17は、ジルカロイ外
周基層21と、外周基層21の内面からその内部に延在
している欠乏域25と、外周基層21の内面に接合され
ているジルコニウム障壁層22とを含んでいる。欠乏域
25は、その外側の基層域の合金元素濃度よりも実質的
に低い濃度の合金元素を有している。又、本願発明に係
る、このような構成を有している被覆管を製造する方法
では、拡散焼鈍を本方法の終わり近くで行う。この拡散
焼鈍により、欠乏域25から合金元素の一部がジルコニ
ウム障壁層22内に移されるので、障壁層22は加速腐
食に耐える。更に、欠乏域25は基層21の他域よりも
順応性が高く、従って、ペレット−被覆相互作用の問題
の解消に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核燃料要素用の被覆に
関し、特に、基層(substrate)と、基層の内面に冶金
学的に接合されたジルコニウム障壁層とを有している被
覆に関する。基層は、障壁層に隣接した欠乏域(deplet
ion region)を有しており、障壁層は、その全断面にわ
たって合金元素を含有している。
【0002】
【従来の技術】原子炉では、核燃料を減速材及び冷却材
系から隔離するために、燃料が密封された被覆内に収納
されている。本明細書における「被覆(cladding)」と
いう用語は、ジルコニウム基合金管を意味する。被覆は
しばしば、ジルコニウム合金基層と、合金化していない
ジルコニウム障壁とを含んでいる様々な層で構成されて
いる。
【0003】被覆は、公称厚さが0.030インチ程度
であって、管形状に形成されており、通例、ペレット形
の核燃料を内蔵している。これらのペレットは、各被覆
管のほとんど全長にわたって互いに接触して重ねられて
おり、被覆管の長さは160インチ程度である。通例、
被覆管には、燃料ペレットの軸方向位置を維持するばね
と、核分裂ガスを吸収するいわゆる「ゲッタ」とが設け
られている。燃料棒の内部は、燃料物質から被覆への熱
伝導を助長するためにヘリウムで加圧されている。
【0004】ジルコニウムと、その合金とは、通常の状
況では、低中性子吸収断面積を有しているので、核燃料
被覆用として優れており、そして約350℃以下の温度
では、脱イオン水又は蒸気の存在の下で、強く、延性を
有し、極めて安定しており、そして比較的無反応であ
る。「ジルカロイ」は、1群の耐食性ジルコニウム合金
被覆材料であり、98重量%〜99重量%のジルコニウ
ムを含有しており、残部は、スズと、鉄と、クロムと、
ニッケルとである。「ジルカロイ2」と、「ジルカロイ
4」とは、広範に使用されている2種の被覆用ジルコニ
ウム基合金である。ジルカロイ2は重量百分率で、約
1.2%〜1.7%のスズと、0.13%〜0.20%
の鉄と、0.06%〜0.15%のクロムと、0.05
%〜0.08%のニッケルとを含有している。ジルカロ
イ4は本来、ニッケルを含有しておらず、約0.2%の
鉄を含有しているが、それ以外は、ジルカロイ2とほぼ
同様である。
【0005】ジルカロイ被覆は、核燃料と、被覆と、核
反応中に発生する核分裂生成物との相互作用により分裂
し得る。この望ましくない現象は、燃料と被覆との間の
膨張差及び摩擦に起因する燃料被覆の機械的な局所応力
によることがわかっている。特定の核分裂生成物、例え
ば、ヨウ素及びカドミウムが存在する場合のこのような
局所応力及び歪みは、応力腐食割れ及び液体金属脆化と
して知られている現象による被覆破損を引き起こし得
る。
【0006】この問題に対処するために、ある被覆は、
管の内面に形成された低中性子吸収性障壁層を含んでい
る。障壁層を含んでいる被覆は時には、「複合」被覆と
呼ばれる。障壁層は通例、管の内面に冶金学的に接合さ
れた適度に純粋なジルコニウム(例えば、海綿ジルコニ
ウム)か、又は時には高度に純粋なジルコニウム(例え
ば、結晶棒ジルコニウム)のシースである。障壁層被覆
に関する先駆的な研究は、アーミホ(Armijo)及びコフ
ィン(Coffin)の米国特許番号第4200492号及び
同第4372817号と、ヴァネショ(Vannesjo)の米
国特許番号第4610842号と、アダムソン(Adamso
n)の米国特許番号第4894203号とに記載されて
おり、これらの特許はそれぞれ、すべての目的のために
ここに参照されるべきものである。
【0007】障壁層は、ペレットとの相互作用による被
覆の破損を効果的に防止することがわかっている。しか
しながら、もし被覆壁が何らかの態様で悪化し(例え
ば、分裂するか又は穴が開き)、そして水が燃料棒内部
に入れば、障壁層によって成される保護は減少するおそ
れがある。これは燃料棒内の水から発生する蒸気が障壁
層を非常に急速に酸化し得るからである。この種の腐食
は、このように急速に発生するので、時には「加速」腐
食と呼ばれる。
【0008】被覆破損の機械的な開始は、様々な原因に
よって起こり得る。破片、例えばワイヤ若しくは金属の
切り屑又は金属粒が、燃料バンドル内で燃料棒の間を流
れる炉水に入ると、破損が始まるおそれがある。破片は
被覆壁近辺で燃料棒スペーサに滞留し得る。その結果、
破片は通過中の気水混合物の影響の下で被覆壁に接触し
て振動又は擦動する。このような振動は、被覆壁が貫通
されるまで続く。又、腐食が割れの開始(核形成)及び
進展の原因となり得る。更に、製造欠陥が割れの起点と
なり得る。更に又、割れの進展は、原子炉の供用寿命中
に存在する腐食性高圧環境において、燃料棒の内側で始
まり得る。
【0009】被覆が破損した場合にジルコニウム障壁を
加速酸化から保護するために、3層構造を用いることが
できる。例えば、「ジルコニウム障壁層と内側ライナと
を有している燃料被覆の製法」と題した米国特許出願番
号第08/091672号と、「ジルコニウム障壁層を
有している燃料被覆用の内側ライナ」と題した米国特許
出願番号第08/092188号とを参照されたい。両
米国特許出願は、出願日が1993年7月14日であっ
て、本発明の譲受人(本出願人)に譲渡されたものであ
り、すべての目的のために全体的にここに参照されるべ
きものである。3層被覆は、基層及びジルコニウム障壁
の他に、障壁の燃料側に接合された耐食性内側ライナを
含んでいる。通例、内側ライナはジルカロイ又は改質ジ
ルカロイで作製されている。もし被覆が破損し、そして
蒸気が燃料棒内部に発生すれば、内側ライナは障壁を急
速な酸化から保護する。この3層設計はかなり進歩した
ものであるが、いくつかの問題が残存する。例えば、核
分裂生成物にさらされたときに、ジルカロイ内側ライナ
は時には、割れの開始及び進展の場となる。もし内側ラ
イナの割れが十分に深くなれば(即ち、「限界長さ」又
は「限界深さ」に達すれば)、割れはジルコニウム障壁
を貫いて進展し、更に被覆全体を貫通するおそれがあ
る。更に、3層被覆を形成する方法の実施が困難な場合
がある。
【0010】従って、3層被覆の順応性と、加速腐食耐
性とを有しているが、代替方法により形成され得る被覆
が必要である。
【0011】
【発明の概要】本発明は、(1)ジルコニウム合金外周
基層と、(2)外周基層の内面から外周基層の内部に延
在している欠乏域と、(3)外周基層の内面に接合され
ているジルコニウム障壁層とを含んでいる被覆管を提供
する。欠乏域は好ましくは、約10マイクロメートル以
上(更に好ましくは、約25マイクロメートル〜75マ
イクロメートル)の幅を有しており、欠乏域は又、同域
において析出物が実質的に発生しないほど低い濃度の合
金元素を有している。好適な実施例では、基層はジルカ
ロイ2又はジルカロイ4で作製されている。上述の構造
を有している被覆は、従来の方法においてその終わり近
くで、好ましくは最終冷間加工段階完了時に拡散焼鈍を
行うような方法によって製造され得る。この拡散焼鈍に
より、欠乏域から合金元素の一部がジルコニウム障壁層
内に移されるので、障壁層は加速腐食に耐える。更に、
欠乏域は基層の他域よりも順応性が高く、従って、ペレ
ットと被覆との間の相互作用(ペレット−被覆相互作
用)の問題の解消に寄与する。
【0012】好ましくは、欠乏域は次のような濃度の合
金元素、即ち、約0.01%〜0.03%の鉄と、約
0.01%〜0.03%のクロムと、約0.005%〜
0.015%のニッケル(すべて重量%)とを有してい
る。これらの濃度範囲にある欠乏域では、析出物が実質
的に発生しない。ジルコニウム障壁は好ましくは、基層
に隣接した偏析層を有しており、この偏析層には、合金
元素が析出物の形成に十分な濃度で存在している。更
に、合金元素は好ましくは、ジルコニウム障壁層の内面
に、ノジュラ(球状)腐食に耐えるに十分な濃度で存在
している。ジルコニウム障壁層の内面における合金元素
の好適な濃度は、鉄が約0.01%〜0.12%、そし
てニッケルが約0.005%〜0.035%である。
【0013】本発明による(即ち、外周基層内に欠乏域
を有している)ジルカロイ被覆を製造する好適な方法
は、次の諸工程、即ち、(1)ジルコニウム合金を含ん
でいる外側区域と、ジルコニウム障壁を含んでいる内側
区域とを有しているチューブシェルに対して、焼鈍段階
と、冷間加工段階とを包含している一連の工程段階を行
う工程と、(2)前述のジルコニウム合金のα+β域内
且つジルコニウムのα域内のある温度で拡散焼鈍を行う
工程とを含んでいる。ジルカロイ基層を用いる場合、拡
散焼鈍は好ましくは、約825℃〜865℃、そして更
に好ましくは約840℃〜860℃の温度で行われる。
好ましくは、拡散焼鈍は約2時間〜5時間行われる。特
に好適な実施例では、拡散焼鈍は約850℃の温度で約
3時間〜4時間行われる。
【0014】本発明のこれらの特徴及び他の特徴を図面
により以下に詳述する。
【0015】
【実施例】
I.被覆管構造 本明細書において、「管」という用語は、様々な用途の
金属管を意味し、「燃料棒コンテナ」又は単に「コンテ
ナ」という用語は、燃料棒において燃料ペレットを包囲
するために使用される管を意味する。時には、燃料棒コ
ンテナは、「被覆」又は「被覆管」と呼ばれる。コンテ
ナは、本発明のジルコニウム基合金によって定められる
関連厚さ又は断面を有している。
【0016】図1において、燃料要素14(通常、燃料
棒と呼ばれる)は、燃料物質コア16を囲んでいる燃料
棒コンテナ(又は被覆)17を含んでいる。燃料要素1
4は、燃料棒コンテナ17と、燃料物質コア16との優
れた熱的接触を成しており、寄生中性子吸収が極めて少
なく、そして高速冷却材流によって時折生ずる湾曲及び
振動に耐えるように設計されている。燃料物質コア16
は通例、核分裂性物質及び(又は)親物質の複数の燃料
ペレットから成っている。燃料コア16は様々な形態、
例えば、円筒形ペレット、球又は小粒の形態を有し得
る。様々な核燃料、例えば、ウラン化合物、トリウム化
合物及びそれらの混合物を用いることができる。好適な
燃料は、二酸化ウラン、又は二酸化ウランと、二酸化プ
ルトニウムとから成っている混合物である。
【0017】コンテナ17は、ジルコニウム合金基層2
1と、ジルコニウム障壁22とを含んでいる構造を有し
ている複合被覆である。基層21は、外周域と、内周域
とを有しており、ジルコニウム障壁22は内周域に冶金
学的(金属工学的)に接合されている。加えて、ジルコ
ニウム合金基層21はその内周域に、ジルコニウム障壁
22と隣接した欠乏域25を含んでいる。この欠乏域
は、厚さが約25マイクロメートル〜75マイクロメー
トルでありと共に、欠乏域の外側の基層域の合金元素濃
度よりも実質的に低い濃度の合金元素を有している。基
層内周域に隣接したジルコニウム障壁の区域は、偏析域
を含み得る。欠乏域及び偏析域の構造及び組成について
は後述する。
【0018】基層21は従来の被覆で用いられているジ
ルコニウム合金で製造され得る。最も一般的には、析出
物の形成に十分な濃度の合金元素を含有していると共に
燃料被覆管に必要な強度及び延性を有している任意のジ
ルコニウム合金を用いることができる。基層用の好適な
ジルコニウム合金は、少なくとも約98%のジルコニウ
ムと、約0.25%以下の鉄と、約0.1%以下のニッ
ケルと、約0.2%以下のクロムと、約1.7%以下の
スズ(すべて重量%)とを含有している。本発明の好適
な実施例における基層は、ジルカロイ2又はジルカロイ
4である。
【0019】ある好適な実施例では、基層は、腐食及び
(又は)割れの進展に耐えるミクロ組織(即ち、析出物
寸法分布)を有している。公知のように、ジルカロイ及
び他の合金のミクロ組織は、焼鈍温度と、焼鈍時間と、
他の製造パラメータとによって制御することができる。
又、沸騰水型原子炉(BWR)では、比較的小さな析出
物が一般に優れた耐食性をもたらすのに対し、加圧水型
原子炉(PWR)では、比較的大きな析出物が一般に優
れた耐食性をもたらすということも知られている。いず
れの環境においても、粗い析出物が軸方向割れの進展に
対する抵抗性を高める。好適な実施例では、基層は、そ
の基層の(半径方向)外側区域において、細かい析出物
(例えば、直径約0.01マイクロメートル〜0.15
マイクロメートル)の濃密分布を有していると共に、基
層の内側区域において、粗い析出物(例えば、直径約
0.2マイクロメートル〜1マイクロメートル)の比較
的濃密度の少ない分布を有している。この実施例は、B
WRにおいて特に好適である。PWRでは、好適な基層
は、粗い析出物が全体的に分布しているものである。ジ
ルカロイ・ミクロ組織と、所望のミクロ組織を有してい
る被覆の製法との詳細な説明は、「割れ進展に対する高
い抵抗性を有するジルカロイ管」と題した米国特許出願
番号第08/052793号と、「割れ進展に対する高
い抵抗性を有するジルカロイ管の製法」と題した米国特
許出願番号第08/052791号とに記載されてい
る。両米国特許出願は、出願日が1993年4月23日
であって、本出願人に譲渡されたものであり、すべての
目的のためにここに参照されるべきものである。
【0020】基層21の内面にジルコニウム障壁22が
冶金学的に接合されている。前述のアーミホ及びコフィ
ンの米国特許番号第4200492号及び同第4372
817号と、ヴァネショの米国特許番号第461084
2号と、アダムソンの米国特許番号第4894203号
とを参照されたい。従来の被覆では、障壁は基層を複合
被覆内の核燃料物質から遮蔽するためのものであった。
燃料ペレットによる応力は、例えば、原子炉運転温度で
ペレットが膨張して被覆に圧着することにより発生し得
る。従来の被覆では、ジルコニウム障壁は膨張中に塑性
変形して、燃料要素においてペレットにより生ずる応力
を除去する。障壁は又、応力腐食割れを阻止すると共
に、被覆を不純物及び核分裂生成物との接触及び反応か
ら保護するように作用する。従来のジルコニウム障壁
は、放射線硬化に耐えるので、長期間の使用後でも、低
い降伏強度と、低い硬さと、他の望ましい構造特性とを
維持する。本発明におけるジルコニウム障壁は、合金化
された偏析層を形成すると共に溶存合金元素を包含し得
るので、その順応性を幾分失う可能性はあるが、追加的
な耐食性をもたらす。
【0021】好適な実施例では、障壁層の厚さは約50
マイクロメートル〜130マイクロメートル(μm)
(約2ミル〜5ミル)であり、更に好ましくは約75μ
m〜115μm(約3.2ミル〜4.7ミル)である。
代表的な被覆では、ジルコニウム障壁は被覆の厚さ又は
断面の約5%〜約30%を占めている。一般に、ジルコ
ニウム障壁層は、所望構造特性を有している合金化して
いないジルコニウムで製造され得る。適当な障壁層は、
「低酸素海綿」級ジルコニウム、「原子炉級海綿」ジル
コニウム及び比較的高純度の「結晶棒ジルコニウム」で
作製されている。一般に、海綿ジルコニウム内には、少
なくとも1000重量ppm、そして約5000ppm
以下、好ましくは4200ppm以下の不純物が存在し
ている。海綿ジルコニウムは通例、大気圧且つ高温で元
素のマグネシウムを用いた還元により製造される。この
反応はヘリウム又はアルゴンのような不活性雰囲気内で
発生する。結晶棒ジルコニウムは、海綿ジルコニウム内
のジルコニウム金属を四ヨウ化ジルコニウム蒸気に変換
した後に、四ヨウ化ジルコニウムを白熱線上で分解する
ことにより海綿ジルコニウムから製造される。結晶棒ジ
ルコニウムは、海綿ジルコニウムよりも高価であるが、
不純物がより少なく、そして放射線損傷に対する抵抗性
がより高い。
【0022】前述のように、従来の障壁層被覆内のジル
コニウム障壁は、ペレット−被覆相互作用の悪影響の抑
止に必要な順応性をもたらすように作用する。しかしな
がら、本発明では、この順応性は、基層自体の内周域に
おける低い合金元素濃度の欠乏域によってもたらされ
る。本発明において、欠乏域は基層の次のような一区
域、即ち、被覆の非欠乏域(即ち、外周域から欠乏域に
隣接する基層内部に延在している区域)よりも実質的に
低い濃度の合金元素(及び析出物)を有している区域で
ある。好ましくは、欠乏域は析出物を実質上生成せず、
そして約0.01重量%〜0.03重量%の鉄と、約
0.01重量%〜0.03重量%のクロムと、約0.0
05重量%〜0.015重量%のニッケルとを有してい
る。更に、欠乏域は好ましくは、基層の残部に存在して
いる酸素よりも実質的に少ない酸素を有している。ある
実施例では、欠乏域は又、基層に比べて低い濃度のスズ
及び(又は)窒素を有している。
【0023】好ましくは、欠乏域の厚さは、少なくとも
約10μm又は全基層幅(即ち、基層の内面と外面との
間の断面距離)の少なくとも約1.5%である。更に好
ましくは、欠乏域の厚さは、約25μm〜75μm(又
は基層幅の約3%〜5%)である。この厚さと、かなり
低い重量百分率の合金元素とを併せ有している欠乏域
は、従来の障壁層の順応性に近い順応性を有するものと
期待してよい。
【0024】欠乏域を形成している被覆の部分に元来存
在している合金元素は、処理中にジルコニウム障壁の偏
析(segregation)層内に移される。偏析層は、欠乏域
と障壁層との界面に薄い析出層を生成するに十分な濃度
の合金元素を有している。これらの合金元素は、ジルコ
ニウム障壁の内面における加速腐食に対してある程度の
保護を成すのに十分な濃度で存在すべきである。ジルコ
ニウム障壁の内面における合金元素の適当な濃度(重量
%)は、鉄が約0.01%以上で、ニッケルが約0.0
05%以上であり、更に好ましくは、鉄が約0.01%
〜0.12%で、ニッケルが約0.005%〜0.03
5%である。
【0025】図2は核燃料バンドル又は燃料集合体10
の切除断面図である。燃料バンドル10は、多数の個別
に密封された燃料要素又は燃料棒Rを含んでいる燃料集
合単一体であり、各燃料棒は本発明の被覆管を含んでい
る。加えて、燃料バンドルはフローチャンネルCを含ん
でおり、このフローチャンネルの上端には、上側吊上げ
ベイル12が、そして下端には、ノーズピースLと、下
側吊上げベイル11とが設けられている。チャンネルC
の上端は、参照番号13で示すように開いており、そし
てノーズピースの下端には、冷却材流用開口が設けられ
ている。配列状の燃料要素又は燃料棒Rは、チャンネル
Cに包囲されていると共に、上部タイプレートUと、下
部タイプレート(図示していない)とによってチャンネ
ル内に支持されている。ある燃料棒は、両タイプレート
を連結するように作用し、従って、しばしば「タイロッ
ド」(図示していない)と呼ばれる。加えて、1つ以上
のスペーサSがフローチャンネル内に配設されており、
相互にそしてフローチャンネルに整合して燃料要素を保
持し得る。燃料バンドルの供用寿命中、液状冷却材が通
常、ノーズピースの下端の開口を経て流入し、燃料要素
Rの周囲を上昇し、そして部分的に蒸発した状態で上側
出口13から流出する。
【0026】次に図3について説明すると、燃料要素又
は燃料棒Rは、それらの端部で端栓18によって密封さ
れている。端栓18は燃料棒コンテナ17に溶接されて
おり、そして燃料集合体内の燃料要素の装着を容易にす
る植込みボルト19を備え得る。空所又はプレナム20
が燃料要素の一端部に設けられており、燃料物質16の
縦方向膨張を許容すると共に、燃料物質から放出される
ガスを捕集し得る。通例、ゲッタ(図示していない)が
様々な有害ガスと、核分裂反応の他の生成物との除去に
用いられている。螺旋部材の形態の核燃料物質保持体2
4が空所20内に配置されており、燃料要素の取扱い及
び輸送中のペレット柱の軸方向移動を抑制する。 II.管の製造 様々な方法を用いて本発明の被覆管を製造することがで
きる。処理の大部分に従来の方法を用いることができる
が、工程の終わり近くで拡散焼鈍を行うことにより、前
述の欠乏域と、偏析域とを設ける。本方法の従来の部分
を先ず説明する。通例、ジルコニウム障壁は円筒形管又
はスリーブとして設けられ、(完成被覆において基層を
形成している)中空ジルコニウム合金ビレットの内面に
接合される。好ましくは、これらの構成部は合体押し出
しにより互いに接合されるが、他の方法を用いてもよ
い。例えば、ビレットに構成部を接合するために、熱間
静水圧圧縮成形又は爆発接合を用いてもよい。他の方法
では、障壁スリーブと、内側ライナ・スリーブとを加熱
(例えば、750℃で8時間)によりビレットの内面に
接合し、管(スリーブ)と、ビレットとを接合する。接
合の前に、障壁スリーブと、内側ライナ・スリーブとは
好ましくは、それらの端部で高真空内の電子ビーム溶接
のような接合方法によりビレットに接合される。電子ビ
ーム溶接は、電子ビームを用いて両円筒形管の端部を加
熱して溶融する従来の方法である。
【0027】押し出しは、約1000゜F〜1400゜
F(約538゜C〜760゜C)で管を1組のテーパ付
きダイスに高圧で通すことにより達成される。適当な押
し出し機は、ペンシルベニア州コレオボリスのマネスマ
ン・デマング(MannessmannDemang)から入手すること
ができる。押し出し後、複合体は従来の焼きなましと、
管圧下工程とで処理され、「チューブシェル」として知
られる製品となる。特定の寸法及び組成のチューブシェ
ルが、様々な販売業者、例えば、テレダイン・ワーチャ
ング(Teledyne Wahchang)(米国オレゴン州アルバニ
イ)、ウェスタン・ジルコニウム(Western Zirconiu
m)(ユタ州オグデンにあるウェスチングハウス社)、
及びセザス(Cezus)(フランス)から入手することが
できる。
【0028】所要寸法の管を得るために、冷間加工、熱
処理、焼きなまし等の様々な製造段階を用いることがで
きる。これらの様々な段階の実施に要する装置及び作業
条件は、当業者には明らかであり、「割れ進展に対する
高い抵抗性を有するジルカロイ管の製法」と題した前述
の米国特許出願番号第08/052791号に記載され
ている。1つの適当な管圧下方法は、(ピルガ圧延機で
行う)約65%〜80%冷間加工の3段パスと、各パス
後の応力除去又は再結晶焼鈍とを包含している。
【0029】ここまでは従来の方法の説明であるが、方
法の終わり近くで本発明により拡散焼鈍を行うことによ
り、いくらかの合金元素が基層からジルコニウム障壁層
に移されて、欠乏域と、偏析域とを形成する。拡散焼鈍
は好ましくは、本方法の終わり近くで行われる。なぜな
ら、障壁層がそのときに最も薄くなっており、最小の時
間で拡散を行えるからである。好ましくは、拡散焼鈍
は、すべての冷間加工パス、及び中間の応力除去又は再
結晶焼鈍の完了後に行われる。しかしながら、拡散焼鈍
を本方法の初期に行ってもよい。代替実施例では、被覆
の内周域(例えば、障壁層と、基層の内側部分と)のみ
を加熱するように拡散焼鈍を行ってもよい。
【0030】当業者には明らかなように、拡散焼鈍は様
々な市販の装置、例えば、真空炉、不活性ガス炉又は誘
導コイルを用いて実施することができる。適当な真空焼
鈍炉は、ニューハンプシャ州ナシュアのセントア・ヴァ
キュアム・インダストリイズ(Centorr Vacuum Industr
ies)から入手することができる。好ましくは、欠乏域
の形成に用いる拡散焼鈍は、ジルコニウム合金のα+β
域内且つジルコニウムのα域内のある温度で行われる。
ジルカロイ被覆の場合、この温度は約825℃〜865
℃の温度範囲内にある。β相は結晶質ジルコニウム及び
ジルカロイの比較的高温で安定している体心立方結晶格
子構造を意味する(この構造は、ジルカロイ2の場合、
約960℃以上で純粋な形態で存在する)。α相はジル
コニウム及びジルカロイの比較的低温で安定している稠
密六方結晶格子構造である。約825℃〜960℃の範
囲では、ジルカロイにおいてα相とβ相とが共存する。
純粋なジルコニウムは約863℃で、α相とβ相との間
の遷移をなし、α+β相を有していない。ジルカロイ又
はジルコニウム被覆における拡散焼鈍は好ましくは、約
840℃〜860℃で行われる。
【0031】拡散焼鈍は好ましくは、約2時間〜5時
間、更に好ましくは約2時間〜4時間行われる。もちろ
ん、比較的高い温度では、焼鈍の時間はこれらの範囲の
下限であり、これに対し、比較的低い温度では焼鈍時間
はこれらの範囲の上限である。特に好適な拡散焼鈍は、
850℃で3時間〜4時間行われる。理論によって束縛
されるつもりはないが、本発明の拡散焼鈍は、溶存窒素
及び(又は)酸素を窒素及び酸素が比較的よく溶けるα
相結晶に移すことにより、欠乏域と、偏析域とを形成す
ると考えられる。純粋なジルコニウム障壁に対してα域
内のある温度で拡散焼鈍を行うことにより、比較的多く
の窒素及び酸素がジルコニウム障壁層内に移動する。公
知のように、窒素及び酸素は、ジルコニウム・マトリク
ス内の合金元素、例えば鉄、クロム及びニッケルの溶解
度を減少させる。従って、合金元素が自然にジルカロイ
被覆(比較的高い濃度の区域)からジルコニウム障壁
(比較的低い濃度の区域)に拡散するとき、合金元素は
溶解度が低下する(なぜなら、このときに比較的高い濃
度の窒素と、酸素とが、ジルコニウム障壁内に存在する
からである)。これにより、合金元素はジルカロイ基層
とジルコニウム障壁層との界面で障壁層内に析出物の薄
層を形成し始める。次いで、析出物薄層はオストワルド
(Ostwald)熟成により急速に成長して、周囲のジルコ
ニウム・マトリクス内の合金元素の濃度を減少させる。
この過程で、合金元素が障壁層到達時に析出しない場合
に比べ、かなり多くの合金元素が基層から障壁層の内面
に移動可能である。即ち、かなり大きな寸法の欠乏域が
本発明の被覆内に形成される。(偏析域から)ジルコニ
ウム障壁層内に拡散する合金元素は、障壁層の内面の耐
食性を高める。
【0032】欠乏域の外側の基層部分(即ち、基層の外
側区域に比較的近い部分)における析出物の寸法は、様
々な製造方法により制御され得る。最初に、析出物の寸
法は本質的に、β相からの冷却又は焼き入れの速度によ
り制御される。β相からの急速な焼き入れ速度(例え
ば、約50℃毎秒以上の速度)では比較的小さな析出物
が発生し、比較的遅い冷却速度では比較的大きな析出物
が発生する。初期の析出物の寸法(β相からの焼き入れ
により得られる寸法)は、後の熱処理、例えば、α相域
内の高温(例えば、約600℃〜825℃)での焼きな
ましによって幾分変えることができる。これにより比較
的小さな析出物が溶け、そしてジルカロイ・マトリクス
相のニッケル、鉄及びクロム成分の一部が比較的大きな
析出物に拡散し、析出物を粗くする。様々な方法に広く
適用し得る指針は、ASTM STP939、417頁
〜430頁(1987)の「原子力産業におけるジルコ
ニウム(Zirconium in the Nuclear Industry)」にお
いて、ガーザロリ(F. Garzarolli)等による「ノジュ
ラ腐食の知識の進歩」において定義されている「累積標
準化焼鈍時間(accumulated normalized annealing tim
e)」によって与えられ、これはすべての目的のために
ここに参照されるべきものである。好ましくは、十分に
粗い析出物を確保するためには、累積標準化焼鈍時間は
約10-17 時間以上であるべきである。
【0033】細かい析出物が管の外側区域に限定される
ような不均等な析出物分布を得るためには、管の外側区
域と内側区域とを、工程の少なくとも一段階中、相異な
る温度に保たなければならない。これは、本出願人に譲
渡されたエデンズ(Eddens)の米国特許番号第4576
654号に記載されているような公知の誘導熱処理方法
によって便利に達成される。一般に、管は誘導コイル内
で加熱され、その間に冷却水が管中央を通るように流さ
れる。これにより、外側区域の温度は、同域がβ相に変
わるほどに上昇するが、内側区域の温度は比較的低いレ
ベルに保たれ、こうして、粗い析出物構造を維持する。
次いで、管を急速に焼き入れすることにより、外側区域
内のみで小さな析出物が発生する。
【0034】一実施例では、約20ppm以下の窒素濃
度を有しているジルコニウム合金のビレットを水槽内の
浸漬により1000℃から約700℃までβ焼き入れす
る。次に、ジルコニウム・シースを押し出し段階中にビ
レットの内面に接合して、障壁層を形成する。このよう
な段階の詳細は、当該技術において知られており、例え
ば、米国特許番号第4894203号に記載されてい
る。この特許はすべての目的のためにここに参照される
べきものである。こうして得られた管はその後、管を1
組のテーパ付きダイスに高圧で通すことにより、約57
0℃の管温度で押し出されてチューブシェルになる。
【0035】次に、70%までの第1のパス冷間加工を
例えば公知の方法で行い、次いで比較的高温で(例え
ば、650℃で4時間)焼きなましを行う。次に、70
%までの第2のパス冷間加工を行い、次いで650℃で
2時間焼きなましを行う。更に、第3のパス冷間加工
と、再結晶又は応力除去焼鈍とを公知の方法と同じ条件
で行う。
【0036】最終冷間加工段階後、前述のように拡散焼
鈍を850℃で3時間〜4時間行う。この時点で、管は
(わずかばかりの改造と試験とにより)燃料棒での使用
に好適となる。もし被覆が(比較的小さな析出物が外側
区域近くに、そして比較的大きな析出物が内側区域にあ
るように)析出物寸法の勾配を有するべきであれば、熱
処理を行って、管の外側に比較的小さな析出物を復帰さ
せる。この処理は純粋なβ相内で1045℃で行われる
(但し、α+β相で行ってもよい)。誘導コイルによっ
て管の外側15%の部分を所望温度まで急速に加熱し、
その後、水(又は冷却流体)が管内を通流している間に
加熱を止める。これにより、管は急速に(時には約2秒
以内に)冷却され得る。誘導コイル・エネルギの貫通
は、誘導コイル周波数と、誘導コイル・エネルギと、管
が誘導コイルを通る速度と、水の温度(流量)とを調整
することにより調整することができる。管の外側15%
の部分に小さな析出物を形成するような熱処理を達成す
るために、これらの条件をいかに調整するかは当業者に
は明らかであろう。更なる詳細は米国特許番号第457
6654号に記載されている。こうして得られた管は、
ノジュラ腐食に良く耐えると共に内側区域に粗い析出物
を保持する。 III.例 ジルカロイ2の基層と、ジルコニウム障壁層とを含んで
いる従来の2層燃料被覆に、相異なる2組の条件の下で
拡散焼鈍を施した。第1組の条件の場合、被覆は垂直の
1インチ石英管炉内において880℃で15分間焼鈍さ
れた。第2組の条件の場合、被覆は同じ炉内において8
50℃で4時間焼鈍された。両温度ともジルカロイ2の
α+β域内にある。880℃の温度は純粋なジルコニウ
ムのβ域内にあり、そして850℃の温度は純粋なジル
コニウムのα域内にある。
【0037】被覆試料の内面には、容積比で10:9:
1の水と、70%硝酸と、50%フッ化水素酸とから成
るエッチング溶液内で一連の酸エッチング処理を施し
た。3秒間のエッチングの後、被覆内面からエッチング
溶液を洗い流し、そして被覆を乾かした。各エッチング
段階の後に、重量損失を測定するために乾燥試料を精度
プラスマイナス0.00001グラムまで秤量した。ニ
ッケル及びクロムに対しては黒鉛炉によって、そして鉄
に対しては火炎によって原子吸収(AA)分析を行っ
て、各元素の濃度を求めた。AAの結果をミリグラム単
位の重量損失で割って、層内の各元素の重量百分率を求
めた。又、重量損失から図4及び図5のグラフで用いた
エッチ深さが得られた。図4は850℃で4時間焼鈍し
た被覆の鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及びクロム(C
r)の濃度分布を示し、図5は880℃で15分間焼鈍
した被覆の濃度分布を示す。図4では、拡散はα+βジ
ルカロイ2からαジルコニウム内に進行し、図5では、
拡散はα+βジルカロイ2からβジルコニウム内に進行
した。
【0038】2組の条件の下で焼鈍した被覆について、
エッチング前、及びその後の様々なエッチ深さで腐食試
験を行った。これらの試験は、被覆を1500psig
の蒸気に510℃で24時間さらすことにより行われ
た。対流炉で1リットルの316型ステンレス鋼オート
クレーブ内の温度をプラスマイナス1℃以内に保った。
流量規制ポンプによって、抵抗率が15MΩcmの水の
流量が、周囲状態における窒素飽和による酸素除去後
に、20cc毎分に保たれた。エッチング前の2組の被
覆の内面を調べたところ、白色酸化物は見られず、内面
が加速腐食に耐え得るようになったことがわかった。
【0039】各組の被覆においてニッケル及び鉄の濃度
は、表面から2μm又は3μm以内で高くなった。しか
しながら、これらの元素の最小濃度は約5μmの所で、
即ち、12秒エッチングの深さに非常に近い所で起こっ
ている。880℃では、鉄の最小濃度は50ppmであ
り、そしてクロム及びニッケルの最小濃度は検出限度よ
りも低かった。850℃では、鉄の最小濃度は60pp
m、クロムの最小濃度は130ppmであり、そしてニ
ッケルの最小濃度はやはり検出限度よりも低かった。表
面近くでは、880℃での焼鈍により保護レベルの78
0ppmの鉄と、420ppmのニッケルとが存在して
いたが、クロムは検出できなかった。850℃での比較
的長時間の露出の結果、1100ppmの鉄と、330
ppmのニッケルとが存在していた。この場合、拡散に
より、表面のクロム濃度は140ppmまで増加した
が、異常な蓄積はなかった。
【0040】又、化学的分布検査によれば、これらの合
金元素の濃度は、ジルカロイ2と障壁との境界近くで
(障壁層の偏析層内で)驚くほど高かった。850℃で
は、鉄の濃度は、最高値が0.35重量%で、ジルカロ
イ2のインゴットの値の2倍よりも高く、又、ニッケル
は0.17重量%、即ち、その元の濃度のほとんど3倍
に達した。クロムでさえ、その初期値0.10重量%か
ら0.13重量%に増加した。
【0041】ジルカロイ2の側では、偏析層に隣接し
て、欠乏域が850℃で880℃のときよりも顕著に発
生した。850℃のときのグラフにおいて、欠乏域内の
濃度は腐食を起こし易い表面下域内の濃度に匹敵するよ
うに見えるが、深さ分布検査後の蒸気試験では、表面は
白色酸化物を形成しなかった。最終段階からの実際値
は、鉄が190ppm、ニッケルが110ppm、そし
てクロムが240ppmであった。これらは、鉄、ニッ
ケル及びクロムのインゴット・レベルが0.12、0.
17及び0.25までそれぞれ減少することを示すと共
に、低濃度の合金元素がジルコニウムをノジュラ腐食に
耐えるようにし得ることを示す。
【0042】管断面の顕微鏡検査の結果、かなりの粒成
長がライナ内と隣接欠乏域内とに見られた。図6〜図8
は880℃・15分間の試料(図7)と、850℃・4
時間の試料(図8)とを元々の状態の基準材(図6)と
比較した1組の顕微鏡写真を模写した図である。850
℃で4時間後に、大粒欠乏域の幅は障壁層の幅に匹敵し
た。偏析層は、幅が変わり易く、そして非常に不規則な
層として現れた。
【0043】以上、本発明を明確に理解し得るように詳
述したが、もちろん本発明の要旨の範囲内で様々な変更
及び改変が可能である。例えば、本明細書では好適なジ
ルコニウム合金管について述べたが、他の形状のものを
用いることもできる。例えば、板材と、他の形状の金属
形材とを用いることもできる。加えて、前述のジルカロ
イ2は、本発明において有利に用いることのできる合金
の一例である。鉄及び(又は)ニッケルを含有している
いくつかの他のジルコニウム基合金を、多くの場合に本
発明の方法において使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基層と、障壁層と、欠乏域とを有している本発
明の核燃料要素の断面図である。
【図2】核燃料棒を含んでいる核燃料バンドルの部分切
除斜視図である。
【図3】燃料棒の内部を示す核燃料バンドルの部分切除
断面図である。
【図4】850℃で4時間の拡散焼鈍により処理された
被覆における合金元素濃度分布を示すグラフである。
【図5】880℃で15分間の拡散焼鈍により処理され
た被覆における合金元素濃度分布を示すグラフである。
【図6】基準材(拡散焼鈍なし)被覆断面の顕微鏡写真
を模写した図である。
【図7】図5におけるように焼鈍された管の被覆断面の
顕微鏡写真を模写した図である。
【図8】図4におけるように焼鈍された管の被覆断面の
顕微鏡写真を模写した図である。
【符号の説明】 17 燃料棒コンテナ(被覆管) 21 基層 22 ジルコニウム障壁 25 欠乏域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 3/06 GDL G21D 1/00 GDL

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面を有している被覆管であって、 内部と、内面と外面との間に画成された幅とを有してい
    るジルコニウム合金の外周基層であって、前記ジルコニ
    ウム合金は、1つ以上の合金元素を有している、ジルコ
    ニウム合金の外周基層と、 該外周基層に設けられていると共に該外周基層の内面か
    ら該外周基層の内部に延在しており、約10マイクロメ
    ートルよりも大きな幅を有している欠乏域であって、該
    欠乏域の外側の基層域の合金元素の濃度よりも実質的に
    低い濃度の合金元素を有している、欠乏域と、 前記外周基層の前記内面に接合されていると共に、それ
    自体が内面を有しているジルコニウムの障壁層であっ
    て、該障壁層の内面に加速腐食に耐えるのに十分な濃度
    の合金元素を有している、ジルコニウムの障壁層とを備
    えた被覆管。
  2. 【請求項2】 前記欠乏域は、厚さが約25マイクロメ
    ートル〜75マイクロメートルである請求項1に記載の
    被覆管。
  3. 【請求項3】 前記欠乏域は、次のような濃度の合金元
    素、即ち、約0.01重量%〜0.03重量%の鉄と、
    約0.01重量%〜0.03重量%のクロムと、約0.
    005重量%〜0.015重量%のニッケルとを有して
    いる請求項1に記載の被覆管。
  4. 【請求項4】 前記合金元素は、前記ジルコニウムの障
    壁層の内面を含んでいる該ジルコニウムの障壁層の全体
    にわたって存在している請求項1に記載の被覆管。
  5. 【請求項5】 前記合金元素は、前記ジルコニウムの障
    壁層の内面において重量濃度で約0.01%〜0.12
    %の鉄及び約0.005%〜0.35%のニッケルとし
    て存在している請求項4に記載の被覆管。
  6. 【請求項6】 水冷型核分裂炉において核分裂性物質の
    収納に用いるジルカロイ被覆管を製造する方法であっ
    て、該被覆管は、 内面域と、外面域とを有しているジルコニウム合金の外
    周基層と、 該外周基層の内面に接合されていると共に、それ自体が
    内面を有しているジルコニウムの障壁層とを含んでお
    り、 前記ジルコニウム合金を含んでいる外側区域と、前記ジ
    ルコニウムの障壁を含んでいる内側区域とを有している
    チューブシェルに対して、焼鈍段階と、冷間加工段階と
    を包含している一連の段階を施す工程と、 前記ジルコニウム合金のα+β域内に且つジルコニウム
    のα域内にある温度で約2時間〜5時間拡散焼鈍を施す
    工程であって、これにより前記外周基層内に欠乏域が形
    成される、拡散焼鈍を施す工程とを備えたジルカロイ被
    覆管を製造する方法。
  7. 【請求項7】 前記拡散焼鈍を施す工程は、約825℃
    〜865℃の温度で行われる請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記拡散焼鈍を施す工程は、約850℃
    の温度で約3時間〜4時間行われる請求項7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記外周基層の外側15%〜30%の部
    分が、約0.01マイクロメートル〜0.15マイクロ
    メートルの平均直径の析出物を有するように、該外周基
    層の外側15%〜30%の部分を選択的に加熱する工程
    を更に含んでいる請求項6に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記拡散焼鈍を施す工程は、最終の冷
    間加工段階後に行われる請求項6に記載の方法。
JP7060177A 1994-03-21 1995-03-20 被覆管及びジルカロイ被覆管を製造する方法 Withdrawn JPH0821888A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020519896A (ja) * 2017-05-12 2020-07-02 ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー 核燃料ペレット、燃料棒、および燃料アセンブリ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020519896A (ja) * 2017-05-12 2020-07-02 ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー 核燃料ペレット、燃料棒、および燃料アセンブリ

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