JPH08211946A - 温度制御方法及び装置 - Google Patents

温度制御方法及び装置

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JPH08211946A
JPH08211946A JP2017795A JP2017795A JPH08211946A JP H08211946 A JPH08211946 A JP H08211946A JP 2017795 A JP2017795 A JP 2017795A JP 2017795 A JP2017795 A JP 2017795A JP H08211946 A JPH08211946 A JP H08211946A
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JP
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heat transfer
transfer coefficient
temperature
heat
model
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JP2017795A
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English (en)
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Yusaku Otsuka
祐策 大塚
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F27/00Control arrangements or safety devices specially adapted for heat-exchange or heat-transfer apparatus

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、遅い熱伝達現象に対する温度
制御を、高速に行なうことができる温度制御方法及び装
置を提供するにある。 【構成】制御対象11を熱交換装置12により加熱ある
いは冷却してこの制御対象の温度を目標温度に一致させ
るように制御する。制御モデル部15は、熱交換装置か
ら制御対象への熱の移動を記述した熱伝達モデル15−
2と制御対象の内部の温度変化を記述した熱伝導モデル
15−1から構成されている。温度制御器14は、制御
モデル部を構成する熱伝導モデル15−1と熱伝達モデ
ル15−2を用いて、熱伝達率検出器で検出した制御対
象の厚み方向の2点の温度に基づいて熱交換装置から制
御対象への熱伝達の際の熱伝達率h*から、制御対象の
温度を予め与えられた目標温度Trefに一致させるよう
に、熱交換装置に指令値を与えて制御対象11の温度を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度制御方法及び装置
に係り、特に、制御対象を加熱あるいは冷却する遅い熱
伝達現象に対する温度制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】制御対象を加熱あるいは冷却し目標温度
に一致させる温度制御では、温度計を設け、制御対象の
温度を直接的あるいは間接的に測定することで温度制御
が行なわれていた。
【0003】しかしながら、一般的に制御対象を加熱あ
るいは冷却する熱交換装置から制御対象への熱伝達は遅
い現象であるので、例えば、特開平4ー232214号
公報や特開平4ー339511号公報に記載のように、
冷却対象の鋼板の熱伝達係数の関数値を逐次学習更新
し、更新された関数値に基づいて次回の鋼板の冷却を行
うことが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の方法は、鋼板の入側と出側の2点の温度を測定す
るものであり、あくまで、更新された関数値に基づいて
次回の鋼板の冷却を行うとするものであり、制御対象の
温度を測定し、その結果をリアルタイムで熱交換装置に
フィードバックする温度制御を行うものではない。した
がって、制御対象の温度を測定し、その結果を熱交換装
置にリアルタイムにフィードバックするような高速な温
度制御を行なうことが困難であった。
【0005】本発明の目的は、遅い熱伝達現象に対する
温度制御を、高速に行なうことができる温度制御方法及
び装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、制御対象を熱交換装置により加熱あるい
は冷却してこの制御対象の温度を目標温度に一致させる
ように制御する温度制御方法において、上記制御対象の
厚み方向の2点の温度に基づいて上記熱交換装置から上
記制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を検出し、上記制
御対象の内部の温度変化を記述した熱伝導モデルと上記
熱交換装置から上記制御対象への熱の移動を記述した熱
伝達モデルを用いて、上記検出された熱伝達率から、上
記制御対象の温度を予め与えられた目標温度に一致させ
るように、上記熱交換装置に指令値を与えるようにした
ものである。
【0007】上記温度制御方法において、好ましくは、
さらに、上記検出された熱伝達率と上記熱伝達モデルか
ら算出された熱伝達率から、上記熱伝達モデルの誤差を
修正し、この修正された熱伝達モデルを用いて上記熱交
換装置に与える指令値を求めるようにしたものである。
【0008】上記温度制御方法において、好ましくは、
上記熱伝達率は、上記熱伝導モデルの解析解を用いて、
上記制御対象の厚み方向の2点の温度に基づいて、上記
熱伝導モデルの解析解の固有値を算出し、この算出され
た上記解析解の固有値から、熱伝達率を算出するように
したものである。
【0009】上記温度制御方法において、好ましくは、
上記熱伝達率は、上記熱伝導モデルの解析解を用いて、
上記制御対象の厚み方向の2点の温度に基づいて、上記
熱伝導モデルの解析解の固有値を算出し、この固有値か
ら、熱伝達率の初期値を算出し、この熱伝達率の初期値
を境界条件として、熱伝導シミュレーションを行い、そ
の結果求められた温度と上記制御対象の厚み方向の温度
との差分が所定条件内に収まるまで、熱伝達率を修正し
て上記熱伝導シミュレーションを繰り返して所定条件を
満たした時の熱伝達率を出力するようにしたものであ
る。
【0010】上記温度制御方法において、好ましくは、
上記熱交換装置に与える指令値は、上記熱伝導モデルを
用いて、上記制御対象の厚み方向の温度と上記目標温度
から目標熱伝達率を算出し、上記熱伝達モデルを用い
て、この算出された目標熱伝達率と上記検出された熱伝
達率から、上記制御対象を上記目標温度とするように上
記熱交換装置に対する指令値を決定するようにしたもの
である。
【0011】上記温度制御方法において、好ましくは、
上記熱伝達モデルは、第1のニューラルネットワークで
構成されており、上記熱伝達モデルの修正は、上記制御
対象の厚み方向の温度及び上記熱交換装置に与える指令
値に基づいて熱伝達率を算出する第2のニューラルネッ
トワークを用いて、上記熱伝達率検出器が検出した熱伝
達率とこの第2のニューラルネットワークが算出した熱
伝達率との誤差を最小にするように上記第1及び第2の
ニューラルネットワークの重みを変更して上記熱伝達モ
デルの誤差を修正するようにしたものである。
【0012】上記温度制御方法において、好ましくは、
上記熱交換装置は、スプレー冷却装置であり、このスプ
レー冷却装置のスプレー冷却ノズルの所定単位の前後に
おける上記制御対象の表面温度を、上記制御対象の厚み
方向の2点の温度として検出し、この検出された温度に
基づいて、上記スプレー冷却装置から上記制御対象への
熱伝達の際の熱伝達率を検出するようにしたものであ
る。
【0013】また、上記目的を達成するために、本発明
は、制御対象を熱交換装置により加熱あるいは冷却して
この制御対象の温度を目標温度に一致させるように制御
する温度制御装置において、上記熱交換装置から上記制
御対象への熱の移動を記述した熱伝達モデルと上記制御
対象の内部の温度変化を記述した熱伝導モデルから構成
される制御モデル部と、上記制御対象の厚み方向の2点
の温度に基づいて上記熱交換装置から上記制御対象への
熱伝達の際の熱伝達率(h*)を検出する熱伝達率検出器
と、上記制御モデル部を構成する上記熱伝導モデルと上
記熱伝達モデルを用いて、上記熱伝達率検出器で検出し
た熱伝達率から、上記制御対象の温度を予め与えられた
目標温度に一致させるように、上記熱交換装置に指令値
を与える温度制御器とを備えるようにしたものである。
【0014】上記温度制御装置において、好ましくは、
さらに、上記熱伝達率検出器で検出した熱伝達率と上記
熱伝達モデルから算出された熱伝達率から、上記熱伝達
モデルの誤差を修正する熱伝達モデル修正部を備えるよ
うにしたものである。
【0015】上記温度制御装置において、好ましくは、
上記熱伝達率検出器は、上記熱伝導モデルの解析解を用
いて、上記制御対象の厚み方向の2点の温度に基づい
て、上記熱伝導モデルの解析解の固有値を算出する固有
値算出部と、この固有値算出部によって算出された上記
解析解の固有値から、熱伝達率を算出する熱伝達率算出
部とから構成するようにしたものである。
【0016】上記温度制御装置において、好ましくは、
上記熱伝達率算出部は、上記固有値算出部によって算出
された上記解析解の固有値から、熱伝達率の初期値を算
出する初期熱伝達率算出部と、熱伝導シュミレーション
を行う熱伝導シュミレータと、上記初期熱伝達率算出部
で算出された熱伝達率を初期値として、上記熱伝導シュ
ミレータにこの熱伝達率の初期値を境界条件として与
え、上記熱伝導シミュレーションの結果求められた温度
と上記制御対象の厚み方向の温度との差分が所定条件内
に収まるまで、熱伝達率を修正して上記熱伝導シミュレ
ーションを繰り返して所定条件を満たした時の熱伝達率
を出力する収束判定部とから構成するようにしたもので
ある。
【0017】上記温度制御装置において、好ましくは、
上記温度制御器は、上記熱伝導モデルを用いて、上記制
御対象の厚み方向の温度と上記目標温度から目標熱伝達
率を算出する目標熱伝達率算出部と、上記熱伝達モデル
を用いて、この目標熱伝達率算出部によって算出された
目標熱伝達率と上記熱伝達率検出器で検出された熱伝達
率から、上記制御対象を上記目標温度とするように上記
熱交換装置に対する指令値を決定する指令値算出部とか
ら構成するようにしたものである。
【0018】上記温度制御装置において、好ましくは、
上記熱伝達モデルは、第1のニューラルネットワークで
構成されており、上記熱伝達モデル修正部は、上記制御
対象の厚み方向の温度及び上記熱交換装置に与える指令
値に基づいて熱伝達率を算出する第2のニューラルネッ
トワークで構成されており、上記熱伝達率検出器が検出
した熱伝達率とこの第2のニューラルネットワークが算
出した熱伝達率との誤差を最小にするように上記第1及
び第2のニューラルネットワークの重みを変更して上記
熱伝達モデルの誤差を修正するようにしたものである。
【0019】上記温度制御装置において、好ましくは、
上記熱交換装置は、スプレー冷却装置であり、上記熱伝
達率検出器は、このスプレー冷却装置のスプレー冷却ノ
ズルの所定単位の前後における上記制御対象の表面温度
を、上記制御対象の厚み方向の2点の温度として検出
し、この検出された温度に基づいて、上記スプレー冷却
装置から上記制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を検出
するようにしたものである。
【0020】
【作用】本発明では、制御対象の厚み方向の2点の温度
に基づいて熱交換装置から制御対象への熱伝達の際の熱
伝達率を検出し、制御対象の内部の温度変化を記述した
熱伝導モデルと熱交換装置から制御対象への熱の移動を
記述した熱伝達モデルを用いて、検出された熱伝達率か
ら、制御対象の温度を予め与えられた目標温度に一致さ
せるように、熱交換装置に指令値を与えて温度制御する
ことにより、高速な温度制御を行い得るものとなる。
【0021】また、さらに、検出された熱伝達率と熱伝
達モデルから算出された熱伝達率から、熱伝達モデルの
誤差を修正し、この修正された熱伝達モデルを用いて上
記熱交換装置に与える指令値を求めることにより、高精
度な温度制御を行い得るものとなる。
【0022】また、更に、熱伝達率は、熱伝導モデルの
解析解を用いて、制御対象の厚み方向の2点の温度に基
づいて、熱伝導モデルの解析解の固有値を算出し、この
算出された解析解の固有値から、熱伝達率を算出するこ
とにより、単純な処理で高速な温度制御を行い得るもの
となる。
【0023】また、熱伝達率は、熱伝導モデルの解析解
を用いて、制御対象の厚み方向の2点の温度に基づい
て、熱伝導モデルの解析解の固有値を算出し、この固有
値から、熱伝達率の初期値を算出し、この熱伝達率の初
期値を境界条件として、熱伝導シミュレーションを行
い、その結果求められた温度と制御対象の厚み方向の温
度との差分が所定条件内に収まるまで、熱伝達率を修正
して熱伝導シミュレーションを繰り返して所定条件を満
たした時の熱伝達率を出力することにより、算出した熱
伝達率の精度を高めるものとなる。
【0024】また、更に、熱交換装置に与える指令値
は、熱伝導モデルを用いて、制御対象の厚み方向の温度
と目標温度から目標熱伝達率を算出し、熱伝達モデルを
用いて、この算出された目標熱伝達率と検出された熱伝
達率から、制御対象を目標温度とするように熱交換装置
に対する指令値を決定することにより、モデル誤差の影
響を高速に修正し得るものとなる。
【0025】また、熱伝達モデルは、第1のニューラル
ネットワークで構成されており、熱伝達モデルの修正
は、制御対象の厚み方向の温度及び熱交換装置に与える
指令値に基づいて熱伝達率を算出する第2のニューラル
ネットワークを用いて、熱伝達率検出器が検出した熱伝
達率とこの第2のニューラルネットワークが算出した熱
伝達率との誤差を最小にするように第1及び第2のニュ
ーラルネットワークの重みを変更して熱伝達モデルの誤
差を修正することにより、モデルの修正を学習のみで行
い得るものとなる。
【0026】また、熱交換装置は、スプレー冷却装置で
あり、このスプレー冷却装置のスプレー冷却ノズルの所
定単位の前後における制御対象の表面温度を、制御対象
の厚み方向の2点の温度として検出し、この検出された
温度に基づいて、スプレー冷却装置から制御対象への熱
伝達の際の熱伝達率を検出することにより、より実際的
な温度制御をし得るものとなる。
【0027】本発明では、熱交換装置から制御対象への
熱の移動を記述した熱伝達モデルと制御対象の内部の温
度変化を記述した熱伝導モデルから構成される制御モデ
ル部と、制御対象の厚み方向の2点の温度に基づいて熱
交換装置から制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を検出
する熱伝達率検出器と、制御モデル部を構成する熱伝導
モデルと熱伝達モデルを用いて、熱伝達率検出器で検出
した熱伝達率から、制御対象の温度を予め与えられた目
標温度に一致させるように、熱交換装置に指令値を与え
る温度制御器とを備えることにより、高速な温度制御を
行い得るものとなる。
【0028】また、さらに、熱伝達率検出器で検出した
熱伝達率と熱伝達モデルから算出された熱伝達率から、
熱伝達モデルの誤差を修正する熱伝達モデル修正部を備
えることにより、高精度な温度制御を行い得るものとな
る。
【0029】また、更に、熱伝達率検出器は、熱伝導モ
デルの解析解を用いて、制御対象の厚み方向の2点の温
度に基づいて、熱伝導モデルの解析解の固有値を算出す
る固有値算出部と、この固有値算出部によって算出され
た上記解析解の固有値から、熱伝達率を算出する熱伝達
率算出部とから構成することにより、単純な処理で高速
な温度制御を行い得るものとなる。
【0030】また、熱伝達率算出部は、固有値算出部に
よって算出された解析解の固有値から、熱伝達率の初期
値を算出する初期熱伝達率算出部と、熱伝導シュミレー
ションを行う熱伝導シュミレータと、初期熱伝達率算出
部で算出された熱伝達率を初期値として、熱伝導シュミ
レータにこの熱伝達率の初期値を境界条件として与え、
熱伝導シミュレーションの結果求められた温度と制御対
象の厚み方向の温度との差分が所定条件内に収まるま
で、熱伝達率を修正して熱伝導シミュレーションを繰り
返して所定条件を満たした時の熱伝達率を出力する収束
判定部とから構成することにより、算出した熱伝達率の
精度を高めるものとなる。
【0031】また、更に、温度制御器は、熱伝導モデル
を用いて、制御対象の厚み方向の温度と目標温度から目
標熱伝達率を算出する目標熱伝達率算出部と、熱伝達モ
デルを用いて、この目標熱伝達率算出部によって算出さ
れた目標熱伝達率と熱伝達率検出器で検出された熱伝達
率から、制御対象を目標温度とするように熱交換装置に
対する指令値を決定する指令値算出部とから構成するこ
とにより、モデル誤差の影響を高速に修正し得るものと
なる。
【0032】また、熱伝達モデルは、第1のニューラル
ネットワークで構成されており、熱伝達モデル修正部
は、制御対象の厚み方向の温度及び熱交換装置に与える
指令値に基づいて熱伝達率を算出する第2のニューラル
ネットワークで構成されており、熱伝達率検出器が検出
した熱伝達率とこの第2のニューラルネットワークが算
出した熱伝達率との誤差を最小にするように第1及び第
2のニューラルネットワークの重みを変更して熱伝達モ
デルの誤差を修正することにより、モデルの修正を学習
のみで行い得るものとなる。
【0033】また、熱交換装置は、スプレー冷却装置で
あり、熱伝達率検出器は、このスプレー冷却装置のスプ
レー冷却ノズルの所定単位の前後における制御対象の表
面温度を、制御対象の厚み方向の2点の温度として検出
し、この検出された温度に基づいて、スプレー冷却装置
から制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を検出すること
により、より実際的な温度制御を行い得るものとなる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1を用いて説明
する。
【0035】図1は、本発明の一実施例にかかる温度制
御装置のシステム構成図を示している。
【0036】制御対象11は、ボイラーや熱間圧延機の
冷却装置などの遅い熱伝達現象を有するものであり、熱
交換装置12によって、加熱あるいは冷却される。熱伝
達率検出器13は、熱交換装置12から制御対象11へ
の熱伝達率を、制御対象の厚み方向の2点の温度に基づ
いて検出する。熱伝達率検出器13によって検出された
熱伝達率は、制御対象11の温度を制御する温度制御器
14に与えられる。
【0037】制御モデル部15は、制御対象11の内部
の温度変化を記述した熱伝導モデル15−1と、熱交換
装置12から制御対象11への熱伝達を記述した熱伝達
モデル15−2を有している。熱伝導モデル15−1
は、熱伝達モデル15−2で記述されている熱伝達率を
境界条件とした制御対象11の内部の温度変化を記述し
た数式である。また、熱伝達モデル15−2は、熱交換
装置12から制御対象11への熱伝達率を、熱交換装置
12への指令値や、制御対象11と熱交換装置12の境
界温度等の関数として記述された数式である。
【0038】目標温度決定部17は、制御対象11の目
標温度を決定する。温度制御器14は、制御対象11の
温度を目標温度決定部17で決定された目標温度に一致
させるように、制御モデル部15の熱伝導モデル15−
1と熱伝達モデル15−2に基づいて熱伝達率検出部1
3で検出された熱伝達率から熱交換装置12への指令値
を決定し、熱交換装置12に与える。熱交換装置12
は、この指令値に基づいて制御対象11の温度を制御す
る。
【0039】このようにして、制御対象の厚み方向の2
点の温度に基づいて検出された熱交換装置12から制御
対象11への熱伝達率を用いて温度制御を行うため、リ
アルタイムで温度制御を行うことができ、遅い熱伝達現
象に対する温度制御を高速に行うことができる。
【0040】また、さらに、本実施例では、熱伝達モデ
ル修正部16を備えており、この熱伝達モデル修正部1
6は、熱伝達検出器13で検出された熱伝達率に基づい
て熱伝達モデル15−2を修正する。その結果、温度制
御器14に与えられる熱伝達モデル15−2は、検出さ
れた熱伝達率によって修正されたものとなるので、温度
制御器14による遅い熱伝達現象に対する温度制御を高
精度に行うことができる。
【0041】なお、図1において、一点鎖線で囲まれた
ブロックに含まれる熱伝達率検出器13、熱伝達モデル
修正部16、制御モデル部15、温度制御器14は、制
御用CPU10によって構成できる。制御対象11から
熱伝達率検出器13に取り込まれる情報は、図示は省略
してあるが、A/D変換器やI/Oインターフェイスを
介して取り込まれる。また、目標温度決定部17は、キ
ーボード等の入力装置から構成することができ、目標温
度決定部17からの目標温度の指示は温度制御器14に
取り込まれる。また、温度制御器14からの指令値は、
I/Oインターフェイスを介して熱交換装置12に与え
られる。
【0042】本実施例によれば、遅い熱伝達現象に対す
る温度制御を高速に行うことができる。
【0043】また、遅い熱伝達現象に対する温度制御を
高精度に行うことができる。
【0044】次に、本発明のより具体的な加熱制御の例
として、ボイラーの温度制御に適用した他の実施例を図
2を用いて説明する。
【0045】制御対象11は、水24の温度を熱交換器
21を通すことで上昇させるボイラーである。熱交換装
置12は、熱交換器21を加熱するバーナー25と、バ
ーナー25へ燃料を供給するガスタンク26と、バーナ
ー25への燃料供給量を調節しバーナーの発熱量を制御
するバルブ27で構成されている。
【0046】熱伝達率検出器13は、熱交換器21に取
り付けられた2つの温度計22,23の出力から第1固
有値k1を算出する固有値算出部28と、第1固有値k1
から熱伝達率h*を算出する熱伝達率算出部29から構
成される。
【0047】温度計22及び温度計23の取り付け位置
は、図3に示されている。即ち、図3において、バーナ
ー25によって加熱される熱交換器21の内部を流体2
4が流れるが、温度計22,23は、熱交換器21の厚
み方向に対して流体24の中のそれぞれ異なる位置に取
り付けられている。この取り付け位置の詳細について
は、後述する。温度計22,23によって測定された流
体24の各位置における温度は、熱伝達率検出器13の
中の固有値算出部28に取り込まれる。
【0048】固有値算出部28は、第1固有値k1を算
出し、この第1固有値k1に基づいて、熱伝達率算出部
29は、熱伝達率h*を算出する。この熱伝達率h*が、
バーナー25から熱交換器21への熱伝達率を表してい
る。熱伝達モデル修正部16は、熱伝達率算出部29が
算出した熱伝達率h*を用いて熱伝達モデル15−2を
修正するように動作し、その結果、熱伝達モデル15−
2には、修正された熱伝達モデル15−2が保持される
ことになる。
【0049】温度計22,23によって検出された温度
1,t2が、目標温度決定部17によって設定された目
標温度Trefとなるように、温度制御器14は動作す
る。温度制御器14の中の目標熱伝達率算出部30は、
目標温度Trefと実際の温度t1,t2から、熱伝導モデ
ル15−1を用いて、目標熱伝達率hrefを求める。さ
らに、バルブ開度決定部31は、熱伝達率算出部29で
求められた熱伝達率h*と目標熱伝達率hrefから、修正
された熱伝達モデル15−2を用いて、制御すべきバル
ブ開度u’を求めて、バルブ27に与えて、その開度を
制御して、熱交換器21の温度制御を行うことができ
る。
【0050】以下に各部の詳細について説明する。
【0051】最初に、熱伝達率検出器13の動作につい
て説明する。先ず、熱伝達率を推定するに当たって、以
下の仮定を設ける。
【0052】(1)熱交換器内の水の温度の分布を厚み
方向のみと仮定する。
【0053】(2)熱交換器の厚み方向中心に対して温
度分布、境界条件が対称であると仮定する。
【0054】(3)物性値である温度伝導率aは、定数
であると仮定する。
【0055】これより、熱の伝導を熱交換器の厚み方向
の1次元とすることができる。一般に、1次元熱伝導
は、以下の数1,数2,数3及び数4の微分方程式で記
述することができる。
【0056】1次元熱伝導方程式
【0057】
【数1】
【0058】初期条件
【0059】
【数2】
【0060】境界条件(ニュートンの冷却法則)
【0061】
【数3】
【0062】対称条件
【0063】
【数4】
【0064】ここで、 θ:温度 θf:周囲温度 f(x):初期
温度 a:温度伝導率 λ:熱伝導率 h:熱伝達率 t:時間 x:位置 (−L≦x≦L) とする。位置xが0のところは、図3における流体24
の厚み方向の中心である。位置xが−L若しくはLのと
ころは、流体24と熱交換器21の境界面である。
【0065】数2,数3及び数4より、数1を変数分離
法を使って解くと、この解析解は数5となる。
【0066】
【数5】
【0067】但し、knは以下の数6を満たさなければ
ならない。また、数6を満たすkは、図4に示すよう
に、無限個存在する。図4の横軸は、kLをとっている
が、ここで、Lは位置xに関する定数であるため、実質
的に図4はkに関して表していることになる。ここで、
数6を満たすkを、小さい順から並べて、n番目をkn
とする。
【0068】
【数6】
【0069】ここで、Biは、ビオー数であり、以下の
数7のように与えられる。
【0070】
【数7】
【0071】今、流体24の2点(x1,x2:0≦
1,x2≦L)の温度を測定できると仮定する。する
と、2点間の温度の比Cは、数5に位置x1,x2を与え
ることにより、数8となる。
【0072】
【数8】
【0073】ここで、数8で表される解には、数9の項
があるため、時間が経つに連れて固有値k1が支配的と
なる。
【0074】
【数9】
【0075】このため、第1項(第1固有値k1)のみ
を取りだし、他の項を無視すると、2点間の温度比C
は、数10となる。
【0076】
【数10】
【0077】2点の位置x1,x2およびその位置x1
2における温度t1,t2が観測できると仮定した場
合、2点の位置x1,x2及び2点間の温度比C(=t1
/t2)は、既知となる。これより、第1固有値k1は数
10から計算することができる。
【0078】[計算例1]数10に2点の位置としてx
1=L,x2=0を代入した場合、第1固有値k1は、数
11から求められる。
【0079】
【数11】
【0080】固有値算出部28は、以上に述べた数11
により、温度計22及び温度計23で測定された2点の
温度t1,t2の比Cから第1固有値k1を計算する。
【0081】また、以下に示す他の温度計の位置におけ
る第1固有値k1の計算例により、第1固有値k1を計算
してもよい。
【0082】[計算例2]数10に、他の2点の位置と
して、x1=L,x2=L/2と代入すると、数12が得
られる。
【0083】
【数12】
【0084】ここで、数13とおくと、
【0085】
【数13】
【0086】数12は、以下の数14で示す方程式とな
り、
【0087】
【数14】
【0088】これを、条件0≦Cを考慮して解くと、X
は、数15となる。
【0089】
【数15】
【0090】これより、数15を数11に代入して、第
1固有値k1は、以下の数16から求められる。
【0091】
【数16】
【0092】[計算例3]数11に、さらに、他の2点
の位置として、x1=L,x2=3L/4を代入し、数1
7とおくと、
【0093】
【数17】
【0094】以下の数18に示す方程式が得られ、
【0095】
【数18】
【0096】これを上述の他の計算例1と同様に解い
て、解Xを数11に代入することで、第1固有値k1
求めることができる。
【0097】温度計の位置は、以上に述べた計算例以外
でもよい。
【0098】また、2点の温度から数値的にcos-1
の値を算出し、第1固有値k1を求めてもよい。
【0099】ここで、熱交換器21から流体24への熱
伝達率を求める場合には、熱交換器21にできるだけ近
い位置の温度を測った方が、求める熱伝達率の精度は高
くなる。したがって、計算例3のように、x1=L,x2
=3L/4の2点位置の温度を測定する方が、数11の
ように、x1=L,x2=0の2点位置の温度を測定する
よりも、精度は高くなる。しかしながら、数18を解く
のに要する時間は、数11を解くのに要する時間に比べ
て長くなり、第1固有値k1を求める精度を高めれば高
めるほど、それを求めるのに要する時間が長くなること
になる。従って、精度とそれに要する時間との兼ね合い
によって、数11,数16若しくは数18の解のいづれ
かを選択すればよい。
【0100】次に、熱伝達率算出部29の動作について
説明する。
【0101】数6を変形して、第1固有値k1について
展開すると、数19が得られる。
【0102】
【数19】
【0103】また、数7を変形した数20より、熱伝達
率hをkに対する一般式として算出することができる。
【0104】
【数20】
【0105】ここで、この数19において、このk1
を変化させたときのBiの値は、図5の実線で示すよう
になる。
【0106】また、この関数を、第1固有値k1が与え
られると解析的にBi(ビオー数)が求められる関数で
近似してもよい。以下に、近似関数を用いた例を2つ挙
げる。図5から、klLは、ビオー数が10-1から101
程度であれば、直線(図5の破線で示す)で、それ以上
の範囲となる場合は、tan h(シグモイド関数:図
5の一点鎖線で示す)で比較的高精度に近似可能である
ことがわかる。
【0107】そこで、直線で近似した場合、数18の近
似式は数21で示され、
【0108】
【数21】
【0109】熱伝達率hの値は、数20を用いて得られ
た数22で、k1Lから求められる。
【0110】
【数22】
【0111】また、tan h(シグモイド関数)で近
似した場合、数18の近似式は数23で示され、
【0112】
【数23】
【0113】熱伝達率hの値は、数20を用いて得られ
た数24で、k1Lから求められる。
【0114】
【数24】
【0115】さらに、ニューラルネットワークに数18
を学習させて関数近似をしてもよい。
【0116】熱伝達率算出部29では、数20,数2
2,数24の何れかの数式にしたがって、固有値算出部
28で算出された第1固有値k1から熱伝達率h*を算出
する。近似式としては、シグモイド関数で近似すること
により、図5から明らかなように極めてよく近似するこ
とが可能である。しかしながら、後述するように、図9
に示す他の実施例による熱伝達率算出部29を用いる場
合には、取りあえず直線近似を行い、数22によって熱
伝達率h*を求め、さらに、熱伝達率算出部29によっ
て熱伝達率hを熱修正することによってより精度よく熱
伝達率hを求めることができる。
【0117】従って、他の実施例による熱伝達率算出部
29を用いない場合には、シグモイド関数で近似する方
が好ましい。さらには、図5において、正の領域と負の
領域ではシグモイド関数の係数が異なるため、正の領域
と負の領域についてそれぞれ別の係数によってシグモイ
ド関数で近似するのがさらに好ましい。さらには、ニュ
ーラルネットワークに数18を学習させて関数近似する
のが好ましい。
【0118】次に、図6に示すフローチャートを用い
て、熱伝達率検出器13における熱伝達率h*の検出の
ための処理フローを説明する。
【0119】最初に、処理61において、温度計22及
び温度計23で計測した2点の温度t1,t2を固有値算
出部28に取り込む。次に、処理62で、固有値算出部
28において、第1固有値k1を2点の温度の比Cから
算出する。処理63で、熱伝達率算出部29において、
固有値算出部28で算出した第1固有値k1から熱伝達
率h*を算出する。
【0120】なお、このフローのAは、図10のフロー
のAに続いている。
【0121】図7は、直線で近似した数22を用いて熱
伝達率h*を算出した例を表すグラフである。
【0122】シュミレータに予め既知の熱伝達率h*
与えておき、一方では、数22を用いて熱伝達率h*
算出したものである。図7において、実線は、シュミレ
ータに予め与えた既知の熱伝達率h*を表している。シ
ュミレータには、この実線で示すように、時間ととも
に、熱伝達率h*が変化するものとして与えている。一
方、点線で示されるのが、数22を用いて算出された熱
伝達率h*である。算出された熱伝達率h*が、実際に与
えられた熱伝達率h*をよく表していることは明らかで
ある。この算出された熱伝達率h*を用いることによ
り、熱伝達率hを推定することができるものである。
【0123】また、図8は、図7に示すように熱伝達率
*が変化した場合の熱交換器21の表面温度の変化を
示している。実線は、図7において実線で示すように熱
伝達率h*が変化した場合の熱交換器21の表面温度の
変化を示している。点線は、図7に点線で示すように熱
伝達率h*が算出される場合の熱交換器21の表面温度
の変化を示している。
【0124】図8に示すグラフは、図2に示す加熱系の
温度制御の例であるため、図7の0−100無次元時間
で示すように熱伝達率が増加する場合には、それに応じ
て図8に示すように、温度が増加する。しかしながら、
冷却系の温度制御に用いると、熱伝達率が増加すると、
図8に示す曲線を上下反転したように温度が減少するこ
とになる。いずれにしても、加熱系についても冷却系に
ついても同様に適用できる。
【0125】なお、図7、図8において破線で示される
グラフについては後述する。
【0126】本実施例によれば、k1Lを直線若しくは
シグモイド関数で近似することにより、数22や数24
に示すような簡単な式を用いて単純な処理で2点間の温
度から高速に熱伝達率h*を算出することができる。
【0127】図9を用いて、熱伝達率算出部29の他の
実施例を説明する。
【0128】熱伝達率算出部29は、熱伝導モデル15
−1に従った熱伝導シミュレータ91と、初期熱伝達率
算出部92と、収束判定部93で構成される。熱伝導シ
ミュレータ91は、数1で示される1次元熱伝導方程式
を差分方程式で近似し、各サンプリング時間ごとに、厚
み方向の温度変化を計算するものである。初期熱伝達率
算出部92は、固有値算出部28で算出された第1固有
値k1を入力され、この第1固有値k1を用いて、数22
の近似式に従い、初期熱伝達率h*を算出するものであ
る。機能的には、図2における熱伝達率算出部29と同
様のものであるが、ここで算出された熱伝達率h*は、
取りあえずの初期値として扱われ、次段の収束判定部9
3においてその熱伝達率に対しては何度かの修正が行わ
れるため、ここでは、初期熱伝達率算出部と称してい
る。
【0129】初期熱伝達率算出部92において算出され
た初期熱伝達率h*は、収束判定部93を介して熱伝導
シミュレータ91に与えられ、この熱伝達率h*を初期
値としてシュミレーションを行い、厚み方向の温度を求
める。収束判定部93では、温度計22,23で測定し
た温度と、熱伝導シミュレータ91により求めた温度と
の差分を調べ、その差分が所定の収束条件以内に収まる
か否かを判断し、収束条件内に収まらない場合には、熱
伝達率h*の初期値を修正して、再度熱伝導シミュレー
タ91に与えられ、この熱伝達率h*を修正値としてシ
ュミレーションを行い、厚み方向の温度を求める。この
求められた温度が、収束条件内に収まるまで修正が繰り
返され、収束条件に収まると、その時の熱伝達率h
*が、温度制御器14及び熱伝達モデル修正部16に送
出される。
【0130】次に、図10に示すフローチャートを用い
て、熱伝達率算出部29の動作を説明する。
【0131】図6のAに続いて、処理101において、
熱伝達率算出部29と同じ処理を行なう初期熱伝達率算
出部92は、初期熱伝達率h*を算出する。処理102
において、熱伝導シミュレータ91は、初期熱伝達率算
出部92で算出された熱伝達率h*を初期値としてシミ
ュレーションを行なう。処理103において、収束判定
部93は、シミュレーション結果が温度計22及び温度
計23で測定した温度に対して収束条件を満たすか否か
を判定する。満たせば処理を終了し、図10のBから図
11のBに続く。そうでなければ、処理104で、収束
判定部93は、熱伝達率を修正し、再び処理102へ戻
る。
【0132】これらの修正の結果について、図7及び図
8を用いて説明する。図7において、破線は、収束判定
部93において収束条件を満たすように修正を加えられ
た熱伝達率h*を示している。初期熱伝達率h*は、図7
において点線で示されるものであり、この初期熱伝達率
*が破線で示されるように修正されることにより、実
線で示される実際に与えられた熱伝達率h*に極めて近
いものとなる。また、図8に破線で示されるように、温
度についても極めて実際の値に近いものとなる。
【0133】本実施例によれば、この熱伝達率算出部2
9の例では、先の図2及び図6に示す実施例の熱伝達率
算出部29の計算速度に比べて、シュミレーションを行
う分と収束判定を行う分だけ若干処理速度が遅くはなる
が、高精度な熱伝達率の算出ができる。
【0134】次に、図11に示すフローチャートにした
がって、図2の熱伝達モデル修正(チューニング)部1
6の動作の処理フローを説明する。
【0135】図10のBに続いて、処理111におい
て、熱伝達モデル修正(チューニング)部16は、熱伝
達率検出器13で検出した熱伝達率h*を取り込む。次
に、処理112において、熱伝達モデル修正(チューニ
ング)部16は、熱伝達率モデル15−2から熱伝達率
hを取り込む。このときの熱伝達率hは、熱伝達率モデ
ル15−2に取り込まれている温度計22,23で検出
した温度、バルブ27の開度などの現在の条件下での熱
伝達率hである。
【0136】処理113において、数25にしたがって
修正熱伝達率Δhを計算する。但し、αは、予め設定さ
れた値である。
【0137】
【数25】
【0138】処理114において、熱伝達モデル15−
2は、熱伝達率モデル15−2の出力である熱伝達率h
に修正熱伝達率Δhを加算して、新たに修正された熱伝
達率hを求める。図11のCから図13のCに続く。修
正熱伝達率Δhは、数25以外の式で計算してもよい。
【0139】また、熱伝達率モデル15−2において、
複数の温度領域で分割して熱伝達率hを記述し、それぞ
れの温度領域で独立に修正熱伝達率Δhを計算すること
で、きめ細かい熱伝達率モデルのチューニングを行なっ
てもよい。即ち、熱交換器21の表面温度によって、そ
のときの熱伝達率は異なってくるため、表面温度を複数
の温度領域で分割して、それぞれの温度領域ごとに熱伝
達率hを記述し、また、それぞれの温度領域ごとに修正
熱伝達率Δhを計算するようにするものである。
【0140】本実施例によれば、熱伝達モデルを熱伝達
モデル修正部により修正することにより、遅い熱伝達現
象に対する温度制御を高精度に行うことができる。
【0141】次に、図12を用いて、熱伝達率モデル1
5−2及び熱伝達率モデルチューニング部16の他の実
施例を説明する。
【0142】この実施例では、熱伝達率モデル15−2
を、温度計22と温度計23の出力に相当する2点の温
度t1,t2とバルブ27の開度u’を入力として、熱伝
達率hを出力するように予め学習させておいたニューラ
ルネットワーク121で構成している。
【0143】また、熱伝達率モデルチューニング部16
は、ニューラルネットワーク122と、差分器123
と、学習機構124で構成される。ニューラルネットワ
ーク122は、前述したニューラルネットワーク121
と等価なニューラルネットワークである。差分器123
は、熱伝達率検出部13で検出した熱伝達率h*とニュ
ーラルネットワーク122の出力した熱伝達率hの誤差
を求めるものである。学習機構124は、差分器123
で求めた誤差を最小化するようにニューラルネットワー
ク121及びニューラルネットワーク122の重みなど
を修正するものである。
【0144】ニューラルネットワーク122は、温度計
22と温度計23の出力に相当する2点の温度t1,t2
とバルブ27の開度u’を入力として、熱伝達率hを出
力するように予め学習させておかれている。ニューラル
ネットワーク122が出力する熱伝達率hと、熱伝達率
検出部13で検出した熱伝達率h*との誤差が差分器1
23によって求められ、その差分器123の出力の誤差
が最小化するように、学習機構124は、ニューラルネ
ットワーク121及びニューラルネットワーク122の
重みなどを修正する。従って、重みの修正が終わると、
熱伝達率hは熱伝達率h*との誤差が小さくなり、収束
条件を満たすようになる。ニューラルネットワーク12
2とニューラルネットワーク121の重みは共通して同
時に修正されるため、修正が終わったとき、ニューラル
ネットワーク121が出力する熱伝達率hは、図2にお
ける熱伝達モデル15−2の出力である熱伝達率hと同
様にして熱伝達モデル修正部16による修正の施された
ものとなっている。
【0145】学習機構124としてはニューラルネット
ワーク121及びニューラルネットワーク122を多層
ニューラルネットワークとした場合は、バックプロパゲ
ーションなどが考えられる。
【0146】本実施例によれば、熱伝達モデルを熱伝達
モデル修正部により修正することにより、遅い熱伝達現
象に対する温度制御を高精度に行うことができる。
【0147】また、熱伝達率モデルの構築及び修正をプ
ラントデータの学習のみで行なうことができる。
【0148】次に、図2の温度制御器14について説明
する。
【0149】温度制御器14は、目標熱伝達率算出部3
0とバルブ開度決定部31から構成されている。目標熱
伝達率算出部30には、目標温度決定部17から目標と
すべき温度Trefが取り込まれる。また、熱交換器11
の温度t1,t2が温度計21,22によって検出され、
入力される。熱伝導モデル15−1を用いて、温度
1,t2を目標温度Trefに近づけるための目標熱伝達
率hrefが算出され、バルブ開度決定部31に取り込ま
れれる。
【0150】熱伝導モデル15−1は、熱伝達モデル1
5−2で記述されている熱伝達率を境界条件とした制御
対象11内部の温度変化を記述した数式である。即ち、
数1,2,3,4で記述された微分方程式である。
【0151】バルブ開度決定部31は、熱伝達率算出部
29が算出した熱伝達率h*が入力され、熱伝達モデル
15−2を用いて、目標熱伝達率hrefとなるための、
バルブ開度u’を求めて、熱交換装置12のバルブ27
に与える。熱伝達モデル15−2は、熱交換装置12か
ら制御対象11への熱伝達率を、熱交換装置12への指
令値や、制御対象11と熱交換装置12の境界温度等の
関数として記述された数式である。このバルブ開度u’
の情報によってバルブ27の開度が制御され、バーナー
25から熱交換器11に供給する熱量を制御して温度制
御する。
【0152】次に、図13に示すフローチャートを用い
て、温度制御器14の動作の処理フローについて説明す
る。
【0153】図11のCに続いて、処理131におい
て、目標熱伝達率算出部30は、目標温度決定部17で
手動又は自動で設定された水24の目標温度Trefを取
り込む。
【0154】処理132において、目標熱伝達率算出部
30は、熱伝導モデル15−1を用いて、目標温度T
refを満足するための目標熱伝達率hrefを計算する。
【0155】処理133において、バルブ開度決定部3
1は、熱伝達検出器13から熱伝達率h*を、目標熱伝
達率算出部30から目標熱伝達率hrefを取り込む。
【0156】処理134において、バルブ開度決定部3
1は、熱伝達モデル15−2用いて、目標熱伝達率h
refとなるようなバルブ開度u’を計算する。
【0157】次に、目標熱伝達率算出部30における目
標温度Trefを満足するための目標熱伝達率hrefの計算
方法の一例について説明する。
【0158】目標熱伝達率算出部30は、数1,2,
3,4で表される微分方程式からなる熱伝達モデル15
−2に基づいて、このモデルの解析解である数5の第1
項のみを取り出すと、数26となる。
【0159】
【数26】
【0160】境界条件が上下対象であると仮定すると、
温度計22及び温度計23の2点の温度から、初期温度
f(x)を、数27のように簡単な2次式でフィッティ
ングできる。
【0161】
【数27】
【0162】数26に、数27で示される初期温度f
(x)を代入し、T秒後の平均温度θmを求めると、数
28になる。
【0163】
【数28】
【0164】次の制御周期Tでの平均温度θmが目標温
度Trefとなるような第1固有値k1を、数28をニュー
トンラプソン法などの数値解法で解く。この第1固有値
1より数22、若しくは数24を用いて目標熱伝達率
refを求めることができる。
【0165】次に、目標熱伝達率算出部30における目
標温度Trefを満足するための目標熱伝達率hrefの計算
方法の他の例について説明する。
【0166】初期温度f(x)を、数29のように三角
関数でフィッティングすることもできる。
【0167】
【数29】
【0168】数26に、数29で示される初期温度f
(x)を代入し、T秒後の平均温度θmを求めると、数
30になる。
【0169】
【数30】
【0170】次の制御周期Tでの平均温度θmが目標温
度Trefとなるような第1固有値k1を、これらの数式を
ニュートンラプソン法などの数値解法で解き、この第1
固有値k1より数22、若しくは数24を用いて目標熱
伝達率hrefを求めてもよい。
【0171】ここで、初期温度f(x)を2次式でフィ
ッテイングするか、三角関数でフィッテイングするか
は、制御対象の種類に応じて変えることができ、いずれ
か、よりフィッテイングする方の式を用いればよい。
【0172】次に、バルブ開度決定部31におけるバル
ブ開度u’の算出方法の一例について以下に説明する。
【0173】熱伝達モデル15−2は、熱交換装置12
から制御対象11への熱伝達率を、熱交換装置12への
指令値や、制御対象11と熱交換装置12の境界温度等
の関数として記述された数式であり、複数のパラメータ
の関数として表されているが、制御を行なう上では、バ
ルブ開度以外のパラメータを固定し、数31のようにバ
ルブ開度のみの関数とする。即ち、温度t1,t2は、温
度計21,22から熱伝達モデル15−2に与えられて
いるので既知の値となるからである。
【0174】
【数31】
【0175】また、熱伝達モデルは、数32と数33に
示すのように、逆関数が存在し、線形であると仮定す
る。
【0176】
【数32】
【0177】
【数33】
【0178】今、数34に示すように指令値uを与えた
ときの熱伝達率をh*とする。
【0179】
【数34】
【0180】熱伝達率h*と目標熱伝達率hrefとの誤差
を数35に示すようにΔhとする。
【0181】
【数35】
【0182】すると、目標熱伝達率hrefとするための
指令値u’は、数35に数34を代入して数36とし、
この数36から、数37で算出できる。
【0183】
【数36】
【0184】
【数37】
【0185】以上のような温度制御器とすることで、モ
デル修正(チューニング)では間に合わないモデル誤差
の影響を高速に修正することができる。
【0186】次に、図14を用いて、本発明のより具体
的な冷却制御の例として、熱間圧延機のスプレー冷却装
置の温度制御に適用したその他の実施例を説明する。
【0187】制御対象11は、熱間圧延機のスプレー冷
却装置であり、制御量は圧延された鋼材24の温度であ
る。熱交換装置12は、鋼材24に水を上面から噴射す
るスプレー装置25−1及び下面から噴射するスプレー
装置25−2と、噴射される水の流量を制御するため上
面から噴射するスプレー装置25−1及び下面から噴射
するスプレー装置25−2のそれぞれに取り付けられた
バルブ27−1と27−2と、水を供給する水タンク2
6で構成される。スプレー冷却装置は、圧延後の高温の
鋼材24を5,600度まで加速冷却したり、150度
以下まで直接焼き入れする加工熱処理したりするもので
ある。
【0188】熱伝達率検出器13は、鋼材24に取り付
けられた2つの温度計22,23の出力から第1固有値
1を算出する固有値算出部28と、第1固有値k1から
熱伝達率を算出する熱伝達率算出部29から構成され
る。
【0189】温度計22,23は、鋼材24の厚み方向
の温度を測定するためのもので、温度計22は、鋼材2
4の表面の温度を測定するものであり、温度計23は、
鋼材の側面の位置で、鋼材の厚み方向の中間位置の温度
を測定するように構成されている。本来的には、鋼材の
内部の温度を測定する必要があるが、鋼材の側面の温度
でもって鋼材の内部の温度を代表できる。従って、温度
計22によって、x1=Lの位置の温度が測定でき、ま
た、鋼材の側面の中間位置の温度を測定することによ
り、温度計23によって、x2=0の位置の温度が測定
できることになる。温度計22,23によって測定され
た鋼材24の各位置における温度は、熱伝達率検出器1
3の中の固有値算出部28に取り込まれる。
【0190】固有値算出部28は、第1固有値k1を算
出し、この第1固有値k1に基づいて、熱伝達率算出部
29は、熱伝達率h*を算出する。この熱伝達率h*が、
バーナー25から熱交換器21への熱伝達率を表してい
る。熱伝達モデル修正部16は、熱伝達率算出部29が
算出した熱伝達率h*を用いて熱伝達モデル15−2を
修正するように動作し、その結果、熱伝達モデル15−
2には、修正された熱伝達モデル15−2が保持される
ことになる。温度計22,23によって検出された温度
1,t2が、目標温度決定部17によって設定された目
標温度Trefとなるように、温度制御器14は動作す
る。目標熱伝達率算出部30は、目標温度Trefと実際
の温度t1,t2から、熱伝導モデル15−1を用いて、
目標熱伝達率hrefを求める。さらに、バルブ開度決定
部31は、熱伝達率算出部29で求められた熱伝達率h
*と目標熱伝達率hrefから、修正された熱伝達モデル1
5−2を用いて、制御すべきバルブ開度u’を求めて、
バルブ27−1,27−2に与えて、その開度を制御し
て、制御対象11の鋼材24の温度制御を行うことがで
きる。
【0191】固有値算出部28、熱伝達率算出部29、
熱伝達モデル修正部16、熱伝達モデル15−2、熱伝
導モデル15−1、目標温度決定部17、温度制御器1
4、目標熱伝達率算出部30、バルブ開度決定部31の
詳細な構成、動作については、図2に以降の各実施例と
同様である。
【0192】本実施例によれば、冷却制御においても、
制御対象の厚み方向の熱伝達率を検出して温度制御に用
いることにより、遅い熱伝達現象に対する温度制御を、
高速で行うことができる。
【0193】また、熱伝達モデルを検出した熱伝達率に
より修正することにより、温度制御を高精度に行うこと
ができる。
【0194】また、図14の実施例では、温度計22で
鋼材24の表面の温度を測定し、温度計23により鋼材
24の側面の位置で鋼材の厚み方向の温度を測定してい
たが、このように近似的に鋼材の内部の温度を測定する
のに対して次のように測定してもよい。即ち、スプレー
冷却装置の全長は、100m以上となる場合もあり、そ
こに数百本のスプレー冷却ノズルが配置されているが、
スプレー冷却制御は、このスプレー冷却ノズル毎、又は
複数のスプレー冷却ノズルをまとめたバンク或いはセク
ションと呼ばれる単位毎に、推量を調節することで行わ
れ、熱伝達率モデルも、スプレー冷却ノズル単位、ある
いはバンク単位で行われる。従って、鋼材24の移動方
向に対して、スプレー冷却ノズルの前後、あるいはバン
クの前後に放射温度計を設置し、2地点の鋼材の表面温
度を測定する。
【0195】即ち、数10において、同一時点tでの、
厚み方向の異なる2点(x1,x2)の温度に代えて、厚
み方向の同一地点xでの、異なる時間(t1,t2)の温
度を測定すると、数10は、以下の数38のように記述
できる。
【0196】
【数38】
【0197】数38の両辺の対数を取り、変形すると、
数39となり、第1固有値k1を算出することができ
る。
【0198】
【数39】
【0199】以上のようにして、2地点の鋼材の表面温
度に基づいて、鋼材の移動速度を考慮して、数39に従
って第1固有値k1を算出することで、より実際的な温
度制御並びに熱伝達モデル修正を行うことができる。
【0200】本実施例によれば、厚み方向の2点の温度
に代えて厚み方向の同一地点xでの、異なる時間
(t1,t2)の温度を測定することにより、温度測定を
容易にするとともに、近似的方法でもってより実際的な
温度制御を行うことができる。
【0201】
【発明の効果】本発明によれば、遅い熱伝達現象に対す
る温度制御を、高速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】本発明をボイラーの温度制御に適用した他の実
施例のシステム構成図である。
【図3】本発明の他の実施例による温度計22及び温度
計23の取り付けを説明する図である。
【図4】本発明の他の実施例による解析解において固有
値が満たす条件を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例による解析解において固有
値とビオー数の関係を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例による熱伝達率検出器13
の処理フロー図である。
【図7】本発明の他の実施例による熱伝達率の算出例を
示す図である。
【図8】本発明の他の実施例による温度シミュレーショ
ン例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例による熱伝達算出部29の
他の実施例のブロック図である。
【図10】本発明の他の実施例による熱伝達算出部29
の処理フロー図である。
【図11】本発明の他の実施例による熱伝達モデル修正
(チューイング)部16の処理フロー図である。
【図12】本発明の他の実施例による熱伝達モデル修正
(チューイング)部16の他の実施例のブロック図であ
る。
【図13】本発明の他の実施例による温度制御器14の
処理フロー図である。
【図14】本発明を熱間圧延機のスプレー冷却装置に適
用したその他の実施例のシステム構成図である。
【符号の説明】
10…制御用CPU 11…制御対象 12…熱交換装置 13…熱伝達率検出器 14…温度制御器 15…制御モデル部 15−1…熱伝導モデル 15−2…熱伝達モデル 16…熱伝達モデルチューニング部 17…目標温度決定部 22,23…温度計 28…固有値算出部 29…熱伝達率算出部 30…目標熱伝達率算出部 31…バルブ開度決定部 91…熱伝導シュミレータ 92…初期熱伝達率検出器 93…収束判定部 121,122…ニューロネットワーク 123…差分器 124…学習機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G05D 23/00 A G06F 15/18 550 C 17/00 G06G 7/60

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象を熱交換装置により加熱あるい
    は冷却してこの制御対象の温度を目標温度に一致させる
    ように制御する温度制御方法において、 上記制御対象の厚み方向の2点の温度に基づいて上記熱
    交換装置から上記制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を
    検出し、 上記制御対象の内部の温度変化を記述した熱伝導モデル
    と上記熱交換装置から上記制御対象への熱の移動を記述
    した熱伝達モデルを用いて、上記検出された熱伝達率か
    ら、上記制御対象の温度を予め与えられた目標温度に一
    致させるように、上記熱交換装置に指令値を与えること
    を特徴とする温度制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の温度制御方法において、
    さらに、 上記検出された熱伝達率と上記熱伝達モデルから算出さ
    れた熱伝達率から、上記熱伝達モデルの誤差を修正し、
    この修正された熱伝達モデルを用いて上記熱交換装置に
    与える指令値を求めることを特徴とする温度制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の温
    度制御方法において、上記熱伝達率は、 上記熱伝導モデルの解析解を用いて、上記制御対象の厚
    み方向の2点の温度に基づいて、上記熱伝導モデルの解
    析解の固有値を算出し、 この算出された上記解析解の固有値から、熱伝達率を算
    出することを特徴とする温度制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2のいずれかに記載の温
    度制御方法において、上記熱伝達率は、 上記熱伝導モデルの解析解を用いて、上記制御対象の厚
    み方向の2点の温度に基づいて、上記熱伝導モデルの解
    析解の固有値を算出し、 この固有値から、熱伝達率の初期値を算出し、 この熱伝達率の初期値を境界条件として、熱伝導シミュ
    レーションを行い、その結果求められた温度と上記制御
    対象の厚み方向の温度との差分が所定条件内に収まるま
    で、熱伝達率を修正して上記熱伝導シミュレーションを
    繰り返して所定条件を満たした時の熱伝達率を出力する
    ことを特徴とする温度制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2のいずれかに記載の温
    度制御方法において、上記熱交換装置に与える指令値
    は、 上記熱伝導モデルを用いて、上記制御対象の厚み方向の
    温度と上記目標温度から目標熱伝達率を算出し、 上記熱伝達モデルを用いて、この算出された目標熱伝達
    率と上記検出された熱伝達率から、上記制御対象を上記
    目標温度とするように上記熱交換装置に対する指令値を
    決定することを特徴とする温度制御方法。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の温度制御方法において、
    上記熱伝達モデルは、第1のニューラルネットワークで
    構成されており、 上記熱伝達モデルの修正は、上記制御対象の厚み方向の
    温度及び上記熱交換装置に与える指令値に基づいて熱伝
    達率を算出する第2のニューラルネットワークを用い
    て、上記熱伝達率検出器が検出した熱伝達率とこの第2
    のニューラルネットワークが算出した熱伝達率との誤差
    を最小にするように上記第1及び第2のニューラルネッ
    トワークの重みを変更して上記熱伝達モデルの誤差を修
    正することを特徴とする温度制御方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2のいずれかに記載の温
    度制御方法において、 上記熱交換装置は、スプレー冷却装置であり、 このスプレー冷却装置のスプレー冷却ノズルの所定単位
    の前後における上記制御対象の表面温度を、上記制御対
    象の厚み方向の2点の温度として検出し、この検出され
    た温度に基づいて、上記スプレー冷却装置から上記制御
    対象への熱伝達の際の熱伝達率を検出することを特徴と
    する温度制御方法。
  8. 【請求項8】 制御対象を熱交換装置により加熱あるい
    は冷却してこの制御対象の温度を目標温度に一致させる
    ように制御する温度制御装置において、 上記熱交換装置から上記制御対象への熱の移動を記述し
    た熱伝達モデルと上記制御対象の内部の温度変化を記述
    した熱伝導モデルから構成される制御モデル部と、 上記制御対象の厚み方向の2点の温度に基づいて上記熱
    交換装置から上記制御対象への熱伝達の際の熱伝達率を
    検出する熱伝達率検出器と、 上記制御モデル部を構成する上記熱伝導モデルと上記熱
    伝達モデルを用いて、上記熱伝達率検出器で検出した熱
    伝達率から、上記制御対象の温度を予め与えられた目標
    温度に一致させるように、上記熱交換装置に指令値を与
    える温度制御器とを備えたことを特徴とする温度制御装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の温度制御装置において、
    さらに、 上記熱伝達率検出器で検出した熱伝達率と上記熱伝達モ
    デルから算出された熱伝達率から、上記熱伝達モデルの
    誤差を修正する熱伝達モデル修正部を備えたことを特徴
    とする温度制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項8または9のいずれかに記載の
    温度制御装置において、上記熱伝達率検出器は、 上記熱伝導モデルの解析解を用いて、上記制御対象の厚
    み方向の2点の温度に基づいて、上記熱伝導モデルの解
    析解の固有値を算出する固有値算出部と、 この固有値算出部によって算出された上記解析解の固有
    値から、熱伝達率を算出する熱伝達率算出部とから構成
    されたことを特徴とする温度制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の温度制御装置におい
    て、上記熱伝達率算出部は、 上記固有値算出部によって算出された上記解析解の固有
    値から、熱伝達率の初期値を算出する初期熱伝達率算出
    部と、 熱伝導シュミレーションを行う熱伝導シュミレータと、 上記初期熱伝達率算出部で算出された熱伝達率を初期値
    として、上記熱伝導シュミレータにこの熱伝達率の初期
    値を境界条件として与え、上記熱伝導シミュレーション
    の結果求められた温度と上記制御対象の厚み方向の温度
    との差分が所定条件内に収まるまで、熱伝達率を修正し
    て上記熱伝導シミュレーションを繰り返して所定条件を
    満たした時の熱伝達率を出力する収束判定部とから構成
    されたことを特徴とする温度制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項8または9のいずれかに記載の
    温度制御装置において、上記温度制御器は、 上記熱伝導モデルを用いて、上記制御対象の厚み方向の
    温度と上記目標温度から目標熱伝達率を算出する目標熱
    伝達率算出部と、 上記熱伝達モデルを用いて、この目標熱伝達率算出部に
    よって算出された目標熱伝達率と上記熱伝達率検出器で
    検出された熱伝達率から、上記制御対象を上記目標温度
    とするように上記熱交換装置に対する指令値を決定する
    指令値算出部とから構成されたことを特徴とする温度制
    御装置。
  13. 【請求項13】 請求項9記載の温度制御装置におい
    て、 上記熱伝達モデルは、第1のニューラルネットワークで
    構成されており、 上記熱伝達モデル修正部は、上記制御対象の厚み方向の
    温度及び上記熱交換装置に与える指令値に基づいて熱伝
    達率(h)を算出する第2のニューラルネットワークで構
    成されており、上記熱伝達率検出器が検出した熱伝達率
    とこの第2のニューラルネットワークが算出した熱伝達
    率との誤差を最小にするように上記第1及び第2のニュ
    ーラルネットワークの重みを変更して上記熱伝達モデル
    の誤差を修正することを特徴とする温度制御装置。
  14. 【請求項14】 請求項8または9のいずれかに記載の
    温度制御装置において、 上記熱交換装置は、スプレー冷却装置であり、 上記熱伝達率検出器は、このスプレー冷却装置のスプレ
    ー冷却ノズルの所定単位の前後における上記制御対象の
    表面温度を、上記制御対象の厚み方向の2点の温度とし
    て検出し、この検出された温度に基づいて、上記スプレ
    ー冷却装置から上記制御対象への熱伝達の際の熱伝達率
    を検出することを特徴とする温度制御装置。
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