JPH08211768A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JPH08211768A
JPH08211768A JP1535795A JP1535795A JPH08211768A JP H08211768 A JPH08211768 A JP H08211768A JP 1535795 A JP1535795 A JP 1535795A JP 1535795 A JP1535795 A JP 1535795A JP H08211768 A JPH08211768 A JP H08211768A
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JP
Japan
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heating roller
heat
elastic member
film
recording sheet
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JP1535795A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Kusumoto
保浩 楠本
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】記録シートの走行性を害さず、加熱ローラの駆
動力を低減し、加熱ローラや耐熱性弾性部材の表面の摩
耗を抑制することのできる固定式の耐熱性弾性部材を備
えた定着装置を提供する。 【構成】加熱ローラ60の下方に耐熱性弾性部材70を
配置し、両者を圧接する。加熱ローラ60と耐熱性弾性
部材70の間のニップ部P3には、未定着トナーS1が
転写された記録シートSが通過させられる。耐熱性弾性
部材70は、剛的な支持体74と、支持体74の上部に
架け渡された板バネ72と、板バネ72の上に配置され
た弾性体71と、弾性体71の加熱ローラ60側表面に
張られたフィルム73とから構成されている。フィルム
73は、ポリテトラフルオロエチレンのような耐熱性低
摩擦材料から形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、プリンタある
いはファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像
形成機器に使用される定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真プロセスを利用した複写
機等においては、記録シート上に形成された未定着トナ
ー像を定着して永久画像にする必要があり、その定着法
として溶剤定着法、圧力定着法および加熱定着法が知ら
れている。溶剤定着法は、溶剤蒸気が発散して臭気の問
題が生じるという欠点を有しており、圧力定着法につい
ても他の方法と比べて定着性に劣るとともに、圧力感応
性トナーが高価であるという欠点を有しており、共に広
くは実用化されていないのが現状である。このため、未
定着トナー像の定着には、一般に加熱によってトナーを
溶融し、記録シート上に融着させる加熱定着法が広く採
用されている。
【0003】この加熱定着法を用いた加熱定着装置とし
ては、図5に示すように、上下に配置した加熱ローラ1
0と加圧ローラ20の間に、未定着トナー像S1が形成
された記録シートSをA方向へ向けて通過させて加熱・
加圧定着を行う加熱ローラ方式のものが知られている。
加熱ローラ10は、円筒状の金属製コア11の内部にヒ
ータ12を備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層13が
形成された構成であり、一方の加圧ローラ20は、円筒
状の金属製コア21の外周面に、加熱ローラ10の樹脂
被覆層13に圧接させられる耐熱性弾性体22が形成さ
れた構成となっている。このような装置では、他の加熱
定着法である熱風定着方式やオーブン定着方式を用いた
装置と比べて熱効率が高いため、低電力で稼働でき、高
速性に優れ、しかも紙詰まりによる火災の心配もないこ
となどから、現在もっとも広く利用されている。
【0004】一般にトナー像S1の十分な定着を行うに
は、ニップ部P1の幅(ニップ幅)を少なくとも4mm程
度は設ける必要がある。しかしながら、従来の加熱定着
装置は、加熱ローラ10と加圧ローラ20とが両方とも
円柱状であるので、十分なニップ幅を確保するには、加
熱ローラ10および加圧ローラ20を大径にしなければ
ならず、その結果装置全体が大型・複雑化する上、装置
を室温から定着可能な温度(以下、ウォームアップタイ
ムとする)にまで高めるのに1〜10分程度の長い時間
がかかるという問題もある。
【0005】そこで、本発明の出願人は、加熱ローラ1
0の下に、回転可能な加圧ローラ20に代えて、耐熱性
弾性部材を固定配置した定着装置を提案した。この装置
では、耐熱性弾性部材をシリコーンゴムにより形成し、
耐熱性弾性部材の加熱ローラ10と接触する面を円弧状
にしている。円柱状の加圧ローラ20と異なり、耐熱性
弾性部材は、円弧状の面が常に加熱ローラ10に面して
いるので、耐熱性弾性部材の大きさとは無関係に、円弧
状の面の曲率半径を自由に設定することができ、容易に
ニップ幅を大きくすることが可能である。したがって、
装置の小型化、簡素化が可能となり、ウォームアップタ
イムの短縮もできるようになる利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この装
置においては、耐熱性弾性部材が固定されているので、
加熱ローラ10が回転していても、ニップ部に記録シー
トの先端が侵入しにくく、侵入したとしても記録シート
の搬送速度が不安定になることがある。また、加熱ロー
ラ10の長手方向(記録シートの幅方向)での搬送速度
の相違が生じ、これにより記録シートが左右にぶれるこ
ともある。
【0007】また、耐熱性弾性部材が固定されているの
で、加熱ローラ10の外周面が耐熱性弾性部材上を摺動
することになるが、加熱ローラ10と耐熱性弾性部材と
の摩擦力によって、加熱ローラ10を回転させるために
大きな駆動力が必要とされる。さらに、加熱ローラ10
の表面や耐熱性弾性部材の表面が摩耗してしまうおそれ
が大きい。
【0008】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、記録シートの走行性を害さ
ず、加熱ローラの駆動力を低減し、加熱ローラや耐熱性
弾性部材の表面の摩耗を抑制することのできる固定式の
耐熱性弾性部材を備えた定着装置を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の定着装置は、加
熱ローラと、この加熱ローラに対向配置された固定式の
耐熱性弾性部材とを有し、上記耐熱性弾性部材に加熱ロ
ーラを圧接することにより耐熱性弾性部材にニップ部を
設け、このニップ部に記録シートを通過させてトナー像
を記録シート上に加熱・加圧定着させる定着装置におい
て、上記耐熱性弾性部材は、上記加熱ローラの圧接荷重
を受けることにより弾性変形する弾性体と、上記弾性体
の上記加熱ローラ側表面に設けられた耐熱性低摩擦材料
製のフィルムとを具備したことを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明の定着装置によれば、耐熱性弾性部材の
弾性体が加熱ローラの圧接荷重を受けることにより弾性
変形する。これによって、大きなニップ幅を確保するこ
とができ、定着強度が安定し、良好なトナー像の定着を
行うことができると同時に装置小型化、簡素化が可能と
なり、ウォームアップタイムの短縮もできるようになる
利点がある。
【0011】また、弾性体の加熱ローラ側表面に設けら
れた耐熱性低摩擦材料製のフィルムによって、加熱ロー
ラと耐熱性弾性部材との間の摩擦係数が減少する。この
ために、加熱ローラを回転させる駆動力を小さくするこ
とが可能である。さらに、加熱ローラの表面や耐熱性弾
性部材の表面の摩耗が低減し、装置の寿命を向上させる
ことが可能である。
【0012】しかも、耐熱性弾性部材の上を記録シート
が滑って、ニップ部に記録シートの先端が侵入しやすく
なり、侵入後は加熱ローラと記録シートとの摩擦によっ
て、記録シートが搬送されることになるから、記録シー
トの走行性が害されることがない。
【0013】
【実施例】
A.実施例の構成 以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図
1は実施例の定着装置50を示している。この定着装置
50は、加熱ローラ60と、この加熱ローラ60の下方
に対向配置された固定式の耐熱性弾性部材70とを備え
ている。また、符号Sは記録シート、S1は記録シート
S上に形成された未定着トナー、矢印Aは記録シートS
の搬送方向、矢印Bは加熱ローラ60の回転方向を示し
ている。ここで、加熱ローラ60と耐熱性弾性部材70
とが圧接させられていることにより、両者の間に記録シ
ートSが通過させられるニップ部P3が設けられてい
る。
【0014】加熱ローラ60は、外径15mm、肉厚
0.3mm、長さ225mmの円筒状の鉄製コア61の
外周面に、シリコーンLTVゴム等のシリコーン系ゴム
を厚さ30μm程度にディップコーティングすることに
より離型層62を形成したものである。鉄製コア61の
内部には、入力100V、出力300Wの赤外線ランプ
からなるヒータ63が配設されている。ヒータ63で加
熱される加熱ローラ60の表面温度は、図示しない温度
コントローラにより常に150℃に制御される。
【0015】一方、耐熱性弾性部材70は、断面がほぼ
U字形の剛的な支持体74と、支持体74の上部に架け
渡された板バネ72と、板バネ72の上に配置された弾
性体71と、弾性体71の加熱ローラ60側表面に張ら
れたフィルム73とから構成されている。これら板バネ
72、弾性体71およびフィルム73は、記録シートS
の搬送方向に向かって斜めに、すなわち徐々に上がって
ゆく姿勢で支持されている。
【0016】板バネ72は、たとえばバネ鋼のような弾
力性を有する金属平板からなるもので支持板74の上方
開口縁にこの開口を覆うように固定されている。そし
て、この板バネ72の上面に弾性体71が接着されてい
る。弾性体71は、JIS-K 6301に準拠して測定したゴム
硬度20゜のシリコーンLTVゴムを厚さ1.5mmの
平板状に形成したものであり、加熱ローラ60の圧接荷
重を受けて弾性変形する。なお、弾性体71および板バ
ネ72の幅(記録シートSの進行方向における長さ)は
8mmである。
【0017】板バネ72の厚さは、0.1〜0.3mm
程度が好ましく、0.15mmであると最適である。こ
の厚さは次のようにして決定した。まず定着に際して、
重要な事項としては、記録シートSをニップ部P3に侵
入させること、侵入後の記録シートSをニップ部P3内
で円滑に通過させること、ニップ部P3内に適当な圧力
が作用していることが挙げられる。この点に着目して、
トナーの定着時間からおおよそ導かれるニップ幅を4m
mとし、トナーの種類や記録シートの状態などによって
決定される適度な圧接荷重を3kgfとし、さらに弾性
体71を上記のように形成した場合に、板バネ72の厚
さが上記のように0.1〜0.3mm程度であると、好
適であった。
【0018】すなわち、以上の条件の下で、圧接荷重を
受けて板バネ72がわずかに下方に撓み、弾性体71が
弾性変形し、これによって弾性体71は厚さがわずかに
1.5mm、幅がわずかに8mmでありながら、ニップ
幅を4mmにすることができる。このときの圧接荷重は
3kgfであり、加熱ローラ60の変形はほとんど無視
できる。
【0019】さて、フィルム73は、加熱ローラ60の
離型層62に比べて、記録シートSとの間の摩擦係数が
極めて小さい低摩擦材料から形成されている。また、こ
の材料は、加熱ローラ60から150℃もの高温を受け
るため、耐熱性があることが必要である。このような材
料としては、例えばフッ素系樹脂、具体的にはポリテト
ラフルオロエチレンが使用される。
【0020】B.実施例の作用・効果 次に、上記構成の定着装置50の作用を説明する。ま
ず、加熱ローラ60をヒータ63で加熱した状態で、矢
印B方向に回転させる。そして、ニップ部P3に、未定
着トナー像S1が形成された記録シートSを矢印A方向
から通過させ、記録シートS上にトナー像S1を加熱・
加圧定着させる。
【0021】上記定着装置50によれば、弾性体71の
加熱ローラ60側表面に設けられた耐熱性低摩擦材料製
のフィルムによって、加熱ローラ60と耐熱性弾性部材
70との間の摩擦係数が減少する。このために、加熱ロ
ーラ60を回転させる駆動力を小さくすることが可能で
ある。さらに、加熱ローラ60の表面や耐熱性弾性部材
70の表面の摩耗が低減し、装置の寿命を向上させるこ
とが可能である。
【0022】しかも、耐熱性弾性部材70の上を記録シ
ートSが滑って、ニップ部に記録シートSの先端が侵入
しやすくなり、侵入後は加熱ローラ60と記録シートS
との摩擦によって、記録シートSが搬送されることにな
るから、記録シートSの走行性が害されることがない。
【0023】また、板バネ72が撓み、弾性体71が弾
性変形することにより耐熱性弾性部材70の表面が凹曲
面となるから、加熱ローラ60による圧接荷重が低くて
も大きなニップ幅を得ることができる。したがって、装
置の小型化、簡素化が可能になるとともにウォームアッ
プタイムの短縮も実現される。
【0024】C.フィルムの表面粗さ ところで、上記のフィルム73は、耐熱性弾性部材70
の表面の摩擦係数の減少のために設けられているが、フ
ィルム73があまりにも平滑であると、加熱ローラ60
の表面の離型層62がフィルム73に吸着してしまい、
却って前記の効果を達成しがたくなってしまうことがあ
る。例えば、加熱ローラ60を回転させるためのトルク
が大きくなってしまう。
【0025】これに対して、発明者は、フィルム73の
表面が適度に粗いと、この吸着現象がなくなることを見
出した。図2は、フィルム73の表面粗さと加熱ローラ
60の回転トルクとの関係を調べた実験結果を示すグラ
フである。ここで、フィルム73の表面粗さを示す指標
としては、JIS B 0610に規定のろ波中心線うねりWCA
用いた。すなわち、フィルム73を張った状態でその表
面状態を計測して、断面曲線を得た後、断面曲線から所
定の波長よりも長い表面うねり成分と波長の短い表面粗
さ成分をカットオフして、ろ波中心線うねり曲線WCC
得る。さらに、ろ波中心線うねり曲線WCCから、中心線
に沿って所定の測定長さ(2mm以上)の部分を抜き取
り、この抜き取り部分の中心線とろ波中心線うねり曲線
ccとの偏差を算術平均した値である。すなわち、ろ波
中心線うねりWCAは数式1で表される。
【0026】
【数1】
【0027】ここで、Lは上記の測定長さ、f(x)は抜き
取り部分の中心線とろ波中心線うねり曲線Wccとの偏差
を表わす。図2に示すように、ろ波中心線うねりWCA
1.0μmよりも小さいと非常に大きな回転トルクが必
要とされるのに対して、1.0μm以上になると、回転
トルクが小さくて済み実用上問題ないレベルになる。さ
らに、ろ波中心線うねりWCAが2.4μm以上になる
と、従来の2本のローラを用いる定着装置での加熱ロー
ラの回転トルクと同等になる。
【0028】以上のことから、フィルム73のろ波中心
線うねりWCAで表わした表面粗さが1.0μm以上であ
ると、フィルム73が離型層62に吸着しなくなること
が分かる。これによって、加熱ローラ60を回転させる
駆動力を小さくすることが可能であると共に、フィルム
73の耐用寿命を延ばすことができる。
【0029】D.フィルムの厚さ また、この実施例の定着装置の長期的な信頼性を確認す
るため、フィルム73の耐久試験を実施した。この試験
では、A4サイズの普通紙を記録シートSとして用い
て、これに連続して画像を形成し、記録シートSがニッ
プ部P3を通過することによって発生するフィルム73
の摩耗量を調べた。使用したフィルム73の当初の厚さ
は100μmであった。
【0030】図3は、この耐久試験の結果を示すグラフ
である。ここで、実施例の定着装置を小型の複写機に適
用するとして、小型の複写機では一般的にA4サイズの
普通紙で10万枚の耐久性が要求されるので、図3より
3μmの厚さが最低限必要であることが分かる。実際に
は、それほど薄いフィルム73を製造することは却って
困難であり、さらに装置を組み立てる際の機械的強度を
考えるとコストを高めることなく製造可能なのは50μ
m程度であるから、通常製造可能な厚さのフィルム73
で十分な耐久性を発揮できると考えられる。
【0031】なお、記録シートSによってフィルム73
が摩耗するときには、上記のように決定した表面粗さが
小さくなることも考えられるが、上記の試験の間中、加
熱ローラ60の駆動トルクはほとんど変動しなかった。
これは、普通紙を使用した場合には、新たにフィルム7
3の表面が粗くなることに起因するものと推定される。
【0032】ところで、図1に示すようにフィルム73
は支持体74の上部に張られており、加熱ローラ60か
らの圧接力を受けてフィルム73自体が弾性変形するこ
とによって、その下の弾性体71に圧接力を伝達し、弾
性体71が弾性変形するようになっている。したがっ
て、フィルム73があまりに厚いと弾性体71に圧接力
が伝達されず、弾性体71が弾性変形しないために、十
分な大きさのニップ幅を得ることができなくなってしま
う。そこで、様々な厚さのフィルム73を準備し、加熱
ローラ60と耐熱性弾性部材70との間の圧接力を変化
させて、得られたニップ幅を測定した。この際、弾性体
71の厚さは1.5μmとし、その硬度はJIS-K 6301に
準拠して測定した値で20゜とした。
【0033】図4はこの実験の結果を示す。ここで必要
なニップ幅を4mmとすると、加熱ローラ60の変形が
あまり問題にならない6kgfの圧接荷重では、フィル
ム73の厚さが250μm以下の場合に、必要なニップ
幅を得られる。その一方、フィルム73の厚さが250
μmよりも大きい場合には、実用可能な圧接荷重では必
要なニップ幅を得ることができない。したがって、フィ
ルム73の厚さは、10μm以上であって250μm以
下であると好ましいことが分かる。
【0034】E.フィルムの変更例 さて、上記のフィルム73は、具体的にはポリテトラフ
ルオロエチレンを材料としているが、この材料は高価で
あり、加熱によってわずかながら局部的な縮みが発生
し、これによって頻度は少ないが記録シートSにしわを
発生させることがある。この問題を解決するため、発明
者は、耐熱性繊維を芯材とし、この芯材に耐熱性低摩擦
材料を含浸させたフィルム73を使用するとよいことを
見出した。芯材としては金属繊維またはガラス繊維が好
適であり、耐熱性低摩擦材料としては上記と同様に、例
えばフッ素系樹脂、具体的にはポリテトラフルオロエチ
レンが好適である。
【0035】そして、芯材の厚さを40μmとしたフィ
ルム73を用いて、上記の図3の試験と同様の耐久性試
験を実施したところ、縮みの発生がないために、記録シ
ートSのしわの発生がないことが確認された。芯材の厚
さが40μmであるから、10万枚のA4サイズの普通
紙に画像定着する際の摩耗量3μmを考慮すると、フィ
ルム73全体の厚さとしては43μmは必要と考えられ
る。
【0036】また、図4に示したものと同様の試験を、
芯材を有するフィルム73についても実施したところ、
図4と同様の結果が得られた。すなわち、必要なニップ
幅を4mmとすると、加熱ローラ60の変形があまり問
題にならない6kgfの圧接荷重では、フィルム73の
厚さが250μm以下の場合に、必要なニップ幅を得ら
れた。その一方、フィルム73の厚さが250μmより
も大きい場合には、実用可能な圧接荷重では必要なニッ
プ幅を得ることができなかった。したがって、芯材を用
いた場合のフィルム73の厚さは、43μm以上であっ
て250μm以下であると好ましいことが分かった。
【0037】ところで、芯材を用いたフィルム73で
は、場合によって、以下の不都合が発生することがあ
る。すなわち、一度トナーS1を定着させた記録シート
Sのすでに像が定着された面と反対の面に未定着トナー
S1を定着させる場合、すなわちいわゆる両面定着を行
った場合に、最初に定着された画像を耐熱性弾性部材7
0に向けて記録シートSをニップ部P3内に通過させる
が、この最初に定着された画像に繊維の編み目の痕跡と
して筋が発生する場合がある。この筋は、芯材として用
いた繊維の編み目の密度を大きくすることによって目立
たなくなる。表1は、フィルム73の幅1cm当たりの
繊維の編み目の数と、両面定着後の最初に定着された画
像に発生した筋の程度との関係を調べた試験の結果を示
す。
【0038】
【表1】
【0039】この試験では目視によって、筋の発生の程
度を判別し、全く問題ない程度を表1において○で表わ
し、筋が発生するが多少気になる程度を△で表わし、顕
著に筋が発生し許容できない程度を×で表わした。表に
示されるように、幅1cm当たりの繊維の編み目の数が
18以上であれば、全く問題がないことが分かった。
【0040】F.その他の変更例 なお、上記実施例では板バネ72をバネ鋼のような金属
製平板で構成しているが、弾性変形可能な材料であれば
その材質は任意である。また、弾性体71および板バネ
72を平板状に形成しているが、加熱ローラ60側へ向
けて凸となるように、あるいは凹となるように湾曲させ
てもよい。なお、耐熱性弾性部材70の上面を凹曲面状
にすることにより、さらに広いニップ幅を得ることが可
能となる。また、板バネ72の代わりに、シリコーンス
ポンジ等のような柔軟部材を支持体74内に充填し、圧
接荷重によってこの柔軟部材を圧縮変形させることもで
きる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、弾性体の加熱ローラ側表面に設けられた耐
熱性低摩擦材料製のフィルムによって、加熱ローラと耐
熱性弾性部材との間の摩擦係数が減少する。このため
に、加熱ローラを回転させる駆動力を小さくすることが
可能である。さらに、加熱ローラの表面や耐熱性弾性部
材の表面の摩耗が低減し、装置の寿命を向上させること
が可能である。しかも、耐熱性弾性部材の上を記録シー
トが滑って、ニップ部に記録シートの先端が侵入しやす
くなり、侵入後は加熱ローラと記録シートとの摩擦によ
って、記録シートが搬送されることになるから、記録シ
ートの走行性が害されることがない。したがって、円滑
な画像の定着を行うことが可能である。
【0042】また、請求項2に記載の発明にあっては、
フィルムが平滑に形成された加熱ローラの表面に吸着し
なくなる。これによって、加熱ローラを回転させる駆動
力を小さくすることが可能であると共に、フィルムの耐
用寿命を延ばすことができる。請求項3に記載の発明に
あっては、加熱によるフィルムの局部的な縮みを抑制す
ることができ、これによって記録シートにしわが発生す
ることを防止することが可能である。さらに請求項4に
記載の発明にあっては、記録シートの両面に画像を形成
する場合に、フィルムの耐熱性繊維の痕跡が画像上に発
生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の定着装置の概略側面図であ
る。
【図2】 実施例に使用されるフィルムの表面粗さと加
熱ローラの回転トルクとの関係を調べた実験結果を示す
グラフである。
【図3】 フィルムの耐久試験の結果を示すグラフであ
る。
【図4】 フィルムの厚さと圧接荷重とを変更して、そ
の結果形成されるニップ幅を調べた試験の結果を示すグ
ラフである。
【図5】 従来装置の概略側面図である。
【符号の説明】
50 定着装置 60 加熱ローラ 70 耐熱性弾性部材 71 弾性体 72 板バネ 73 フィルム 74 支持体 P3 ニップ部 S 記録シート S1 未定着トナー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱ローラと、この加熱ローラに対向配
    置された固定式の耐熱性弾性部材とを有し、上記耐熱性
    弾性部材に加熱ローラを圧接することにより耐熱性弾性
    部材にニップ部を設け、このニップ部に記録シートを通
    過させてトナー像を記録シート上に加熱・加圧定着させ
    る定着装置において、 上記耐熱性弾性部材は、上記加熱ローラの圧接荷重を受
    けることにより弾性変形する弾性体と、上記弾性体の上
    記加熱ローラ側表面に設けられた耐熱性低摩擦材料製の
    フィルムとを具備したことを特徴とする定着装置。
  2. 【請求項2】 上記フィルムの上記加熱ローラ側のろ波
    中心線うねりで表わした表面粗さが、1.0μm以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 【請求項3】 上記フィルムは、耐熱性繊維を芯材と
    し、この芯材に上記耐熱性低摩擦材料を含浸させたもの
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着
    装置。
  4. 【請求項4】 上記フィルムにおける1cm当たりの上
    記耐熱性繊維の編み目の数が18以上であることを特徴
    とする請求項3に記載の定着装置。
JP1535795A 1995-02-01 1995-02-01 定着装置 Pending JPH08211768A (ja)

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KR100400091B1 (ko) * 2000-11-22 2003-10-01 가부시키가이샤 리코 효과적으로 고착 프로세스를 형성할 수 있는 화상 형성장치 및 방법
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