JPH08193888A - 静電容量による赤外線検出方法及び赤外線センサ 及び赤外線撮像装置 - Google Patents

静電容量による赤外線検出方法及び赤外線センサ 及び赤外線撮像装置

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JPH08193888A
JPH08193888A JP7003923A JP392395A JPH08193888A JP H08193888 A JPH08193888 A JP H08193888A JP 7003923 A JP7003923 A JP 7003923A JP 392395 A JP392395 A JP 392395A JP H08193888 A JPH08193888 A JP H08193888A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抵抗体の自己発熱を生ずることなく、正確に温
度測定することが可能な新規な赤外線検出方法、赤外線
センサ及び赤外線撮像装置を提供する。 【構成】温度により異なる曲率に湾曲する板状電極は、
空間を介して対向電極と配置される。電極間に電位差を
生じさせる。板状電極に電荷が蓄積される。この状態で
板状電極に入射する赤外線の波長が変化すれば、板状電
極は異なる曲率に湾曲し、静電容量変化が生じ、それに
相応して蓄積される電荷量が変化する。この蓄積電荷量
の変化を測定すれば、赤外線の変化が検出される。板状
電極が同一温度に保持されている間に異なる電位差を2
度印加させれば、チョッパーを用いることなく物体の温
度を測定することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電容量による非冷却
型の赤外線検出方法、赤外線センサ、及び、赤外線撮像
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物体は、温度により異なる波長の赤外線
を輻射する。このため、赤外線の波長を検出することに
より、物体の温度を計測することが可能であり、また、
赤外線の波長変化を検出することにより、温度変化を検
出することが可能である。温度変化を検出すれば、例え
ば、移動物体の存在が可能となる。なお、ここでは、赤
外線の波長を検出することと、赤外線の波長の変化を検
出することを合わせて「赤外線の検出」と称する。ま
た、ある一定温度に保持された物体は、波長の分布を有
する赤外線を輻射する。しかし、ここでは、簡略のた
め、ある一定温度に保持された物体は、単一波長の赤外
線を輻射するものとして説明する。
【0003】赤外線センサは、物体より輻射される赤外
線を検出するものであり、温度計測、防衛、監視などの
広い分野において使用されている。赤外線センサには、
量子型(センサにHgCdTe等を使用する)、ショッ
トキー型(センサにショットキー接合を使用する)、ボ
ロメータ型、焦電型等がある。量子型、及び、ショット
キー型は、赤外線センサを77K程度まで冷却するため
冷却型センサと称される。一方、ボロメータ型や焦電型
は、冷却しなくても赤外線を検出することができ、非冷
却型と称される(ただし、感度を向上させるため、27
0K程度に冷却することもある)。
【0004】ボロメータ型センサは、赤外線を検出する
受光部にボロメータ物質を用いる。ボロメータ物質は、
温度変化に伴って電気抵抗値を変化させるものである。
このボロメータ物質を用いた受光部に赤外線が入射され
ると、ボロメータ物質は温度変化が生じる。ボロメータ
物質には予め電流が流されており、ボロメータ物質の温
度変化に伴ってこの電流が変化する。ボロメータ型セン
サは、この電流を測定することで赤外線を検出する。
【0005】焦電型センサは、赤外線を検出する受光部
に焦電物質を用いる。この焦電物質を用いた受光部に赤
外線が入射されると、焦電物質は、温度変を生じ、温度
変化に相当する電荷(信号電荷)を放出させる。すなわ
ち、焦電物質は、ある時点と次の時点との温度変化に相
当する信号電荷を生じさせ、これを放出させる。焦電型
センサは、この放出された信号電荷を検出することによ
り赤外線の変化を検出する。一般に、焦電型センサには
チョッパーが受光部の前に配置される。チョッパーは、
受光部に入射する赤外線を遮断させる部分(遮光板)と
透過させる部分(透光部)からなるプロペラ状の回転板
である。チョッパーを回転させると、受光部前には、遮
光板と透光部が交互に配置される。このため、受光部に
は物体から輻射される赤外線と遮光板から輻射される赤
外線が交互に入射される。そして、焦電物質からなる受
光部は、チョッパーと物体との温度差に相当する電荷を
放出する。また、チョッパーの温度を基準温度とするこ
とで、物体の温度を測定することも可能となる。
【0006】非冷却型の赤外線センサは、冷却型に比べ
て感度が劣るものの小型にでき、また保守も容易である
ため物体の移動を検出する人体検知センサ(例えば、自
動ドア用)等として広く用いられている。また、ボロメ
ータ物質や焦電物質からなる受光部を1次元や2次元状
に複数配置した赤外線撮像装置が開発されている。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
従来技術において、ボロメータ型センサは、ボロメータ
物質に測定用電流を流さなくてはならなかった。このた
め、抵抗体の自己発熱が生じ、測定値に信頼性がないと
いう問題点があった。本発明は、このような従来の問題
点を鑑みてなされたものであり、新たな赤外線の検出方
法と、これを用いた赤外線センサ及び赤外線撮像装置を
提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、静電容量を測定することにより赤外線の変化を検
出する新規な赤外線検出方法を提案し発明するに至っ
た。この赤外線検出方法に従えば、自己発熱による誤差
を生ずることなく、赤外線の変化を検出することが出来
るのである。
【0009】本発明は第1に「温度により異なる曲率に
湾曲する板状電極と、前記板状電極と空間を介して配置
した対向電極とを準備し、前記板状電極と前記対向電極
に電圧を印加して前記板状電極に蓄積される電荷量の変
化を測定することにより物体から輻射される赤外線の変
化を検出することを特徴とする静電容量による赤外線検
出方法(請求項1)」を提供する。
【0010】さらに本発明者は、チョッパーを使用しな
くても赤外線を検出する方法を提案し発明するに至っ
た。本発明は、第2に「温度により異なる曲率に湾曲す
る板状電極と、前記板状電極と空間を介して配置した対
向電極とを準備し、前記板状電極と前記対向電極の間に
第1の電位差を生じさせて第1の電荷量を前記板状電極
に蓄積させる第1のステップ、及び、前記板状電極と前
記対向電極の間に第2の電位差を生じさせて第2の電荷
量を前記板状電極に蓄積させると共に前記第1の電荷量
と前記第2の電荷量の差分を測定する第2のステップか
らなることを特徴とする静電容量による赤外線検出方法
(請求項2)」を提供する。
【0011】更に、本発明者は、この赤外線検出方法を
使用した赤外線センサを開発し、発明するに至った。本
発明は、第3に「絶縁基板を準備し該絶縁基板上に絶縁
物または導電体からなる支持部と、温度により曲率が異
なり一端を前記支持部に固定された板状電極と、前記板
状電極に空間を介して配置された対向電極からなること
を特徴とする静電容量型赤外線センサ(請求項3)」を
提供する。
【0012】また、本発明は、第4に「半導体基板を準
備し該半導体基板上に絶縁物または導電体からなる支持
部と、温度により曲率が異なり一端を前記支持部に固定
された板状電極と、前記板状電極に空間を介して配置さ
れた対向電極、及び、前記板状電極または前記対向電極
のどちらか一方に接続されたスイッチからなることを特
徴とする静電容量型赤外線センサ(請求項4)」を提供
する。
【0013】また、本発明は、第5に「前記スイッチ
は、前記対向電極の下に配置されたことを特徴とする請
求項4記載の静電容量型赤外線センサ(請求項5)」を
提供する。本発明者は、この赤外線検出方法を使用した
赤外線固体撮像装置を開発し、発明するに至った。本発
明は、第6に「半導体基板を準備し、該半導体基板上に
絶縁物または導電体からなる支持部と温度により曲率が
異なり一端を前記支持部に固定された板状電極と前記板
状電極に空間を介して対面するように配置された対向電
極を含み1次元または2次元状に複数配置された赤外線
センサ、前記赤外線センサに接続されたスイッチトラン
ジスタ、及び、前記スイッチトランジスタに接続された
配線部からなることを特徴とする静電容量型赤外線撮像
装置(請求項9)」を提供する。
【0014】また、本発明は、第7に「半導体基板を準
備し、該半導体基板上に絶縁物または導電体からなる支
持部と温度により曲率が異なり一端を前記支持部に固定
された板状電極と前記板状電極に空間を介して対面する
ように配置された対向電極を含み1次元または2次元状
に複数配置された赤外線センサ、前記赤外線センサに接
続されたトランスファーゲート、及び、前記トランスフ
ァーゲートに接続された電荷転送部からなることを特徴
とする静電容量型赤外線撮像装置(請求項10)」を提
供する。
【0015】
【作用】まず、静電容量によって赤外線を検出する方法
を説明する。静電容量は、2枚の電極を絶縁物を介して
対面するように配置させると電極間に生じる。これらの
電極にそれぞれ別の電圧を印加させて、2枚の電極間に
電位差を生じさせると、それぞれの電極には電荷が蓄積
される。静電容量は、電極の面積(正確には対面する部
分の面積)、電極と電極との間隔、絶縁物の種類により
定まる。電荷は、電極間の電位差と静電容量に相当する
量まで蓄積される。
【0016】ここで、一方の電極は、温度により異なる
曲率に湾曲する板状(または棒状)電極にする。このよ
うな板状電極の例として、線膨張係数の異なる2枚の金
属からなるバイメタル、線膨張係数の異なる絶縁物と金
属からなる板状電極等がある。この板状電極の一端は支
持部に固定され、他端(以下自由端と言う)を可動にす
る。板状電極と他方の電極(以下、対向電極と言う)と
の間は、大気または真空にする。このようにすれば、板
状電極の曲率は、板状電極の温度(T1 とする) に相応
し、さらにこの温度は、板状電極に入射する赤外線(λ
1 とする) に相応する。板状電極がある曲率にて湾曲す
れば、2枚の電極には板状電極の曲率に応じた静電容量
が生ずる。このため、これらの電極間に電位差を生じさ
せれば、蓄積される電荷量(Q1)が蓄積される。
【0017】ここで、板状電極に入射する赤外線がλ1
からλ2 に変化すれば、板状電極の温度はT1 からT2
に変化する。そして、板状電極は、支持部を支点として
その温度に対応する曲率に湾曲し、電極間の静電容量は
変化する。前述のように、各電極には一定電圧が印加さ
れており、静電容量が変化すると、その静電容量に相当
する電荷量(Q2)がそれぞれの電極に蓄積される。従っ
て、電荷量Q1 とQ2の差分の電荷量がそれぞれの電極
から(又は電極に)移動する。よって、この電荷の流れ
を電流値または電圧値として測定すれば、板状電極の温
度変化が検出できる。また、板状電極の温度変化は、入
射された赤外線の変化に相当する。このため、上記の測
定を行えば、赤外線の変化を検出することができる。
【0018】以下、式を用いてさらに詳細に説明する。
バイメタルのように温度によって曲率の異なる板状物質
(又は棒状物質)が図8(a)のようにその一端を支持
部6に固定される。板状電極の厚さはt(mm) とする。
板状電極5は、物体からの赤外線を入射して温度がT1
(℃) 、静電容量がC1 (F)となる。簡略のため、こ
の状態で板状電極5は対向電極2と平行であり、板状電
極5と対向電極の間隔はd1 (mm) 、板状電極5と対向
電極2の対面する長さはL(mm)とする。
【0019】ここで、例えば移動物体からの赤外線が板
状電極に入射したと仮定する。板状電極に入射する赤外
線の波長は変化する。このため、板状電極5は、温度が
T1( ℃) からT2(℃) に変化し、その温度に相当する
曲率に湾曲する。このとき、板状電極は対向電極側に近
づくように曲がると仮定すれば、板状電極5の自由端の
湾曲する方向に対する位置変化量D(mm) は式1にて表
される。 D = (KΔTL2 )/ t ・・・・・・式1 Kは板状電極の物質に固有の温度変化に対する曲率(/
℃)、ΔTは(T1 −T2 )の絶対値である。
【0020】板状電極は図8(b)のように半径Rで湾
曲する。しかし、簡略のため、固定端を支持部として直
線状態のまま対向電極に近づくと近似する〔図8
(c)〕。このとき、板状電極5と対向電極との平均間
隔をd2 とし、静電容量をC2 とすれば、式2及び式3
が表される。 d2 = d1 −(D/2) ・・・・・・式2 C2 /C1 = (εA/d2 )/(εA/d1 ) = d1 /d2 = d1 /(d1 −KΔTL2 /2t)・・・・・式3 従って、静電容量C1 およびC2 を測定すれば、板状電
極に温度変化の生じたことが判明し、これにより、板状
電極に入射される赤外線が変化したことを検出できる。
静電容量は、板状電極と対向電極の間に一定電圧を印加
させ、静電容量の変化に伴う蓄積電荷量の変化を電流や
電圧の測定にて検出できる。
【0021】以上においては、板状電極が対向電極側に
近づく場合を説明した。しかし、逆に、板状電極は対向
電極から離れるように作成されることもできる。このと
きの板状電極5の中央部と対向電極との間隔をd3 と
し、静電容量をC3 とすれば、式4及び式5が表され
る。 d3 = d1 +(D/2) ・・・・・式4 C3 /C1 = (εA/d3 )/(εA/d1 ) = d1 /d3 = d1 /(d1 +KΔTL2 /2t)・・・・・式5 式3と式5から式6が表される。 (C2 /C1 )−(C3 /C1 ) =d1 KΔTL2 /t[(d1 −KΔTL2 /2t)(d1 +KΔTL2 /2t)] > 0 ・・・・・・式6 式6は、常に正である。すなわち、静電容量の変化率
は、板状電極が対向電極に近づく方が大きいことが判
る。このため、板状電極は、対向電極に近づくように作
成された方が赤外線検出においては感度が大きく、好ま
しい。
【0022】静電容量の変化にて赤外線の変化を検出す
れば、ボロメーター型センサのような自己発熱を生じる
ことがない。このため、正確に温度の変化が測定でき
る。また、式1からも判るように、板状電極の自由端の
位置変化量は、板状電極の長さと厚さの関数になってお
り、板状電極の幅には依存していない。このため同一半
導体基板上に複数個のセンサを集積する撮像装置を作成
する場合には、板状電極の幅を小さく形成することで幅
方向に高密度に集積することができる。
【0023】赤外線の変化を検出する場合は、赤外線の
変化の大きさに相当する温度変化量が検出される。しか
し、物体の温度は検出できない。次に、温度の測定を可
能とする赤外線検出方法に関して説明する。温度により
曲率の異なる板状(または棒状)電極は、空間を介して
対向電極と対面するように配置される。板状電極の一端
は支持部に固定され、他端は自由端にされる。板状電極
と他方の電極(以下、対向電極と言う)との間は、大気
または真空にする。板状電極は、これに入射する赤外線
(λ1)によってある温度(T1)になる。そして、板状電
極は、温度T1 に相応する曲率に湾曲する。ここで、板
状電極と対向電極には、各々別の電圧を印加される。こ
のため、板状電極と対向電極との間には第1の電位差が
生じる。例えば、対向電極は接地電圧、板状電極は1V
とすれば、1V差に相当する第1の電荷量(QL1) が板
状電極に蓄積される。これが第1 のステップである。
【0024】次に、板状電極の温度がT1 の状態で、板
状電極と前記対向電極には第2の電位差が印加される。
例えば、対向電極は接地電圧、板状電極は5Vとすれ
ば、5Vの電位差に相当する第2の電荷量(QT1) が板
状電極に蓄積される。しかし、板状電極にはすでにQL1
の電荷量が蓄積されている。このため、第1の電位差と
ここでの電位差との差分(5V−1V)に相当する電荷
量が板状電極に移動し新たに蓄積される。即ち、第2の
電荷量(QT1) は、QL1と新たに流入する電荷量からな
る。この新たに流入する電荷量を信号電荷量(QS1) と
言う。信号電荷量は、電流値や電圧値として測定するこ
とが可能である。これが第2のステップである。信号電
荷量を測定することにより、板状電極の温度が判明し、
さらに、入射する赤外線の波長が検出される。
【0025】別の時刻において、板状電極に入射する赤
外線の波長がλ1 からλ2 に変化すれば、板状電極の温
度はT1 からT2 に変化する。板状電極は、支持部を支
点として温度T2 に相応する曲率に湾曲する。この状態
で、前述の第1ステップの動作を繰り返す。板状電極に
は、第1の電荷量(QL2) が蓄積される。次に、前述の
第2ステップを繰り返す。板状電極には、信号電荷量
(QS2) が流入し、蓄積される。そして、この信号電荷
量(QS2) を測定する。
【0026】換言すれば、この赤外線検出方法は、板状
電極が同一温度に保持されている間に(即ち、同一の赤
外線が板状電極に入射されている間に)、板状電極と対
向電極の間に異なる電位差を2回印加させて信号電荷を
検出するのである。板状電極と対向電極の電位差が小さ
い方の電荷量(上記の例では第1電荷量)は、リセット
電荷量として作用する。他方の電位差にて新たに流入す
る(信号)電荷量は、板状電極の温度に一義的に定まる
量になる。すなわち、この検出方法は、板状電極がある
温度(T1)のときに蓄積された電荷量と別の温度(T2)
のときに蓄積された電荷量の変化分を測定するのではな
い。それぞれの温度におけるリセット電荷量と総電荷量
の差分を測定するものである。このため、板状電極に入
射される赤外線が測定可能となる。この検出方法に従え
ば、自己発熱が生じることなく、正確に温度変化が測定
できるばかりでなく、チョッパーを用いることなく温度
測定が可能となる。ここでは、対向電極の電圧を一定と
したが、板状電極の電圧は一定として、対向電極の電圧
を変化させても構わない。
【0027】ここで、本発明の赤外線検出方法を用いた
センサや撮像装置の構成を説明する。板状電極は、線膨
張率が異なる2種類以上の物質を層状に張り合わせた電
極である。このような板状電極は、温度により異なる曲
率に湾曲する。線膨張率の差は、大きい方が好ましい。
板状電極に使用する物質は、バイメタルや、AlとAl
2 3 を層状に張り合わせた電極がある。対向電極は、
板状電極に対面して平面状に配置される。これらの電極
には、電圧を印加させるための配線を接続する。支持部
は、板状電極を支持するものであり、その物質は、絶縁
物でも導電体でもよい。支持部に導電体を使用すれば、
支持部は板状電極に電圧を印加させる配線の一部として
も作用する。支持部に絶縁物を使用すれば、絶縁物の熱
伝導度は小さいので、支持部は熱遮断材としても作用す
る。これが請求項3に記載された赤外線センサに相当す
る。
【0028】請求項4記載の赤外線センサは、さらにス
イッチを配置させたものである。前述のように、物体の
温度を測定する場合(即ち赤外線を検出する場合)、板
状電極は異なる電圧が2回印加される。すなわち、電圧
を切り換えねばならない。スイッチは、このように電圧
を切り換えるために配置される。スイッチを配置された
赤外線センサは、第1の電圧を板状電極に印加された
後、スイッチがオフされ、第2の電圧に切り換えて再度
スイッチがオンされる。異なる電圧を2回印加される電
極は、板状電極ではなく対向電極でも構わないこの場合
には、スイッチは対向電極に接続される。
【0029】また、温度の変化を測定する場合(即ち赤
外線の変化を検出する場合)においも、スイッチは、感
度を向上させる効果がある。板状電極は、その温度変化
に伴って別の曲率に湾曲する。しかし、瞬時には湾曲し
ない。タイムラグが生ずる。従って、蓄積電荷の移動
は、瞬時に行われるのではなく、ある時間を費やして行
われる。電荷の移動量は、電流や電圧を測定して検出さ
れる。このとき、〔移動する電荷の量/電荷の移動開始
から終了までの時間〕の値が大きいほど測定感度が高ま
る。測定感度が高まれば、赤外線変化の検出感度が高ま
るのである。ここで、上式の分子(移動する電荷の量)
が同じ値ならば、感度は、分母(電荷の移動開始から終
了までの時間)が小さいほど高まる。スイッチは、電荷
が移動する時間を短縮させるために配置される。以下、
これを説明する。
【0030】板状電極にはスイッチが接続される。スイ
ッチの他方には配線が接続される。ある時刻t1 でスイ
ッチはオンされ、板状電極には配線を介して一定電圧が
印加される。板状電極には赤外線λ1 が入射されてお
り、板状電極は、ある曲率に湾曲している。このため、
板状電極と対向電極には静電容量C1 が生じ、それに相
応する電荷量Q1 が板状電極(及び対向電極)に蓄積さ
れる。次に、時刻t2 において、スイッチがオフされ
る。この状態で、入射される赤外線がλ2 に変化する。
板状電極は温度が変化して異なる曲率に湾曲する。板状
電極と対向電極の静電容量は、C1 からC2 に変化す
る。しかし、スイッチはオフされており、板状電極に蓄
積される電荷量は、Q1 のままである。次に、時刻t3
において、スイッチは再度オンされ、板状電極に一定電
圧が印加される。板状電極には、静電容量C2 に相当す
る電荷量Q2 が蓄積される。このとき、Q2 −Q1 の電
荷量が瞬時に移動し、それに相当する電流が生ずる。こ
の電流を測定し、赤外線の変化が検出される(または、
この電流を電圧に変換して、電圧を測定してもよい)。
【0031】スイッチを配置させない赤外線センサで
は、時刻t2 から時刻t3 の間に生ずるQ2 −Q1 の電
荷の移動により赤外線の変化が検出される。しかし、ス
イッチを配置することで、実質的な電荷移動は瞬時にな
される。このため、〔移動する電荷の量/移動時間〕の
値は、極めて大きくなり、電流又は電圧の測定感度が高
まる。それに伴い、赤外線の検出感度を高めることがで
きるのである。スイッチは、高速に動作させるため、ま
た、微細化が可能であるため、MOSトランジスタ等の
半導体素子が好ましい。このためには、赤外線センサと
スイッチは、同一半導体基板上に形成されるのが好まし
い。さらに、請求項5に記載のセンサのように、スイッ
チを対向電極の下に配置させれば、赤外線センサは微細
化することが可能となる。
【0032】本発明の赤外線センサは、請求項8に記載
したように、板状電極に赤外線吸収層を配置させれば、
赤外線の検出感度をさらに高めることが可能である。赤
外線吸収層には、金黒などがある。板状電極に入射され
る赤外線の一部は反射される。反射された赤外線は、板
状電極の温度変化に寄与する効果がない。赤外線吸収層
は、赤外線が板状電極から反射されるのを防止する。こ
のため、板状電極はより効果的に温度変化される。
【0033】また、赤外線センサを複数配置し、順次信
号電荷を取り出せば、赤外線の画像や温度分布が得られ
る。このため、赤外線センサと同一半導体基板上には、
板状電極と対向電極の間に第1、第2の電位差を生じさ
せるスイッチトランジスタと、電荷を板状電極に移動さ
せ、且つ、信号電荷を読み出すための配線部が配置され
る。これが請求項9に記載された赤外線固体撮像装置で
ある。
【0034】さらに、このスイッチトランジスタにトラ
ンスファーゲートを配置し、配線部にCCD等の転送部
を配置すれば、CCDを読み出し部とする固体撮像装置
となる。これが請求項10に記載された赤外線固体撮像
装置である。
【0035】
【実施例】以下、実施例を引用し、本発明をより具体的
に説明する。しかし、本発明は、これらの例に限られる
ものではない。 (第1実施例)図1は、第1の実施例による静電容量型
赤外線センサの断面図である。本実施例に係る赤外線セ
ンサは、ガラス基板(絶縁基板)1上に板状電極5と、
それに空間を介して対面するように配置された対向電極
2と、板状電極5を固定する支持部6と、板状電極5及
び対向電極2のそれぞれに接続された配線8、9からな
る。基板1は、ガラスでなくとも絶縁物なら良い。板状
電極5は、組成がNi(36%)Fe(64%)の金属
電極3と、Ni(20%)Mn(6%)Fe(74%)
の金属電極4を積層されたものである。金属電極3は線
膨張係数が小さく、金属電極4は線膨張係数が大きい。
この組成金属の組み合わせは、一般的なバイメタルであ
る。
【0036】板状電極5は、支持部6を介して引出し電
極7に電気的に接続される。本実施例において、金属電
極3、支持部6、引出し電極7は、同一金属で同時に形
成する。しかし、それぞれ別の導電性物質を使用し、別
々に形成してもかまわない。引出し電極7は、アルミニ
ウム配線8と接続される。一方、対向電極2はアルミニ
ウムからなり、配線9と接続される。
【0037】板状電極5と対向電極2が対面している面
積は、500μm2 ( 長さ50μm、幅10μm)、板
状電極5と対向電極2の間隔は、4500Åである。こ
れらの電極間に5Vの電位差を印加させ、板状電極5の
温度を0.01℃変化させると、板状電極5に蓄積され
た電子数(電荷量)は、2500個変化した。これによ
り、赤外線の変化が検出された。
【0038】次に、本実施例に係る赤外線センサの製造
方法を説明する。図2は、これを説明する赤外線センサ
の各工程における断面図である。まず、スパッタ法によ
りアルミニウム薄膜がガラス基板1上に成長され、周知
のフォトリソエッチング法よよりこれがパターニングさ
れる。これにより、対向電極2が形成される。次に、ポ
リイミド樹脂が塗布され、400℃1時間の熱処理が施
される。更に、これはパターニングされて、対向電極2
を覆うようにポリイミド膜10が形成される。この状態
を示したのが図2(a)である。ポリイミド膜10にお
ける11の部分の膜厚は、4500Åである。ここで形
成される膜は、ポリイミド膜でなくとも構わない。ただ
し、アルミニウム薄膜は、500℃以上の温度で融解す
る。ここで形成する膜は、500℃以下で形成でき、且
つ、後に除去できるものであり、例えば、SOG(スピ
ン・オン・ガラス)等である。
【0039】次に、組成がNi(36%)Fe(64
%)の金属膜がスパッタ法により成長され、次いで、こ
れはパターニングされて金属電極3と支持部6と引出し
電極7が同時に形成される。この状態を示したのが、図
2(b)である。次に、組成がNi(20%)Mn(6
%)Fe(74%)の金属膜がスパッタ法により成長さ
れ、次いで、パターニングされて金属電極3上に金属電
極4が形成される。これにより、金属電極3及び金属電
極4を積層してなる板状電極5が形成される。次に、ア
ルミニウム薄膜が成長され、パターニングされて配線
8、9が形成される。この状態を示したのが、図2
(c)である。最後に、ポリイミド膜10を除去し、本
実施例の赤外線センサは、完成する。 (第2実施例)図3は、第2の実施例による静電容量型
赤外線センサの断面図である。本実施例に係る赤外線セ
ンサは、ガラス基板(絶縁基板)1上に板状電極5a
と、それに空間を介して対面するように配置された対向
電極2と、板状電極5を固定する支持部6aからなる。
基板1は、ガラスでなくとも絶縁物なら良い。
【0040】板状電極は、アルミニウム電極(Al)3
aと、酸化アルミニウム(Al2 3 )4aを積層した
ものである。酸化アルミニウムは、アルミニウムを酸化
させることで容易に形成でき、また、このように形成さ
せれば、湾曲による応力が生じても、これらの2つの膜
は、剥離しにくいのである。アルミニウムによる配線8
はアルミニウム電極3aと同時に形成される。アルミニ
ウム電極3aは、この配線8により電圧を印加され、信
号電荷を蓄積される。一方、対向電極2への配線9は、
対向電極2と同時に形成される。
【0041】支持部6aはシリコン窒化膜(絶縁物)で
形成される。このようにすれば、シリコン窒化膜は、熱
伝導度が小さいため、赤外線に対する検出感度が向上す
る。さらに、板状電極5aは、支持部に頑強に固定され
る。従って、湾曲による応力に対して強くなる。 (第3実施例)図4は、第3の実施例に係る静電容量型
赤外線センサの断面図である。本実施例に係る赤外線セ
ンサは、シリコン基板(半導体基板)21上に配置され
た板状電極25と、それに空間を介して対面するように
配置された対向電極22と、板状電極25を固定する支
持部26と、MOSトランジスタ(スイッチ)30から
なる。
【0042】シリコン基板21の表面は、所望の部分を
熱酸化膜(シリコン酸化膜)37で覆われる。板状電極
25は、実施例1と同じ組成の金属電極23、24から
なる一般的なバイメタルである。支持部26にはシリコ
ン窒化膜(絶縁物)が配置される。このようにすれば、
シリコン窒化膜は、熱伝導度が小さいため、赤外線に対
する検出感度が向上する。さらに、板状電極5aは、支
持部に頑強に固定される。従って、湾曲による応力に対
して強くなる。
【0043】MOSスイッチ30は、ソース領域32、
ドレイン領域31と、ゲート電極33からなる。ドレイ
ン領域31は、引出し電極27を介して金属電極23と
接続される。ソース領域32にはポリシリコンによる配
線28が接続される。対向電極22、及び、ゲート電極
33は、タングステンシリサイド(WSi)にて形成さ
れる。また、対向電極22、及び、ゲート電極33には
ポリシリコンによる配線29、34が接続される。対向
電極22の周囲は、シリコン窒化膜35にて覆われる。
このようにすれば、対向電極22が板状電極25と接触
してもショートしない。また、配線28やMOSトラン
ジスタ30の上には、PSG(リン含有シリコンガラ
ス)による保護膜36が配置される。
【0044】ここで、本実施例に係る赤外線センサの製
造方法を説明する。図5は、これを説明する赤外線セン
サの各工程における断面図である。まず、P型シリコン
基板(半導体基板)21上に500Åの熱酸化膜(シリ
コン酸化膜)37が形成される。次に、MOSトランジ
スタのソース領域予定部とドレイン領域予定部が開口す
るようにレジストがパターニングされ、これをマスクと
してこの開口部にリンをイオン注入してソース領域32
とドレイン領域31が形成される。次に、シリコン基板
21上にスパッタ法によるWSi薄膜が0.2μmの膜
厚で成長され、これをパターニングして対向電極22、
及び、ゲート電極33が形成される。この状態を示した
のが、図5(a)である。
【0045】次に、LP−CVDによるシリコン窒化膜
(SiN)が0.7μmの膜厚で成長される。次いで、
支持部予定部以外の領域を開口部とするレジストをパタ
ーニングして、これをマスクとして500Åの膜厚にな
るまでSiNはドライエッチングされる。このようにす
れば、SiNによる支持部26が形成され、また対向電
極22の周囲は、SiNで覆われる。なお、支持部の対
向電極からの高さは、4500Åとなる。レジストパタ
ーンを除去した後に、ドレイン領域31の一部を開口部
とする新たなレジストパターンが形成され、これをマス
クとしてSiN及び熱酸化膜(シリコン酸化膜)37が
エッチングされる。これにより、ドレイン領域31には
コンタクトホール38が形成される。
【0046】次に、SOG(スピン・オン・ガラス)が
塗布され、1000℃にて熱処理してSOG膜39が形
成される。本実施例において、SOG膜の膜厚は、1.
5μm以上であった。しかし、1μm以上あればよい。
次いで、支持部26の表面が出るまで全面はエッチング
される。この状態を示したのが、図5(b)である。S
OG膜29は、その膜厚が0.3μm以上であればクラ
ック(微細なヒビ割れ)を生ずる。しかし、ここでは、
クラックを生じても構わない。
【0047】次に、支持部26からドレイン領域31の
間を開口部とするレジストパターンが形成され、これを
マスクとしてSOG膜39はエッチングされる。これに
より、ドレイン領域31のコンタクトホールから支持部
26までのSOG膜が除去される。次に、組成がNi
(36%)Fe(64%)の金属膜がスパッタ法により
成長される。次いで、この金属膜は、パターニングされ
て金属電極23、及び、引出し電極27が形成される。
金属電極23は、ドレイン領域31と接続される。次
に、組成がNi(20%)Mn(6%)Fe(74%)
の金属膜がスパッタ法により成長される。次いで、この
金属膜は、パターニングされて金属電極24が形成され
る。これにより、バイメタルである板状電極25が形成
される。本実施例において、金属電極23、24の膜厚
は、それぞれ500Åであった。この状態を示したの
が、図5(c)である。
【0048】次に、板状電極25と対向電極22の間に
あるSOG膜29を残し、その他のSOG膜はエッチン
グ除去される。更に、ソース領域32の一部及び対向電
極22の一部2を開口部とするレジストパターンが形成
され、これをマスクとしてSiN及び熱酸化膜がエッチ
ングされる。これにより、ソース領域32、及び、対向
電極22にはコンタクトホールが形成される。次に、図
5(d)に示すように、ポリシリコンが成長され、これ
をパターニングして配線28、29、34が形成され
る。最後に、板状電極25と対向電極22の間に存在す
るSOG膜39が除去されて、本実施例の赤外線センサ
は、完成する。
【0049】本実施例に係る赤外線センサは、赤外線の
変化を検出することも、赤外線を検出することも可能で
ある。まず、赤外線の変化を検出するための動作を説明
する。対向電極22には配線29を介して接地電位が印
加される。MOSトランジスタ30のソース32には、
配線28を介して5Vの電圧が印加される。この状態
で、まず、MOSトランジスタ30のゲート電極33に
負の電圧を印加して、MOSトランジスタ30はオン状
態にされる。これにより、板状電極25と対向電極22
の間には5Vの電位差が生じ、静電容量に応じた電荷が
蓄積される。次に、MOSトランジスタ30はオフ状態
にされる。この状態で、入射される赤外線の波長が変化
して板状電極25に温度変化が生じると、板状電極25
は、湾曲し、静電容量が変化する。しかし、MOSトラ
ンジスタ30はオフ状態にされており、蓄積される電荷
量に変化は生じない。ここで、MOSトランジスタ30
はオン状態にされる。すると、その瞬間に、静電容量の
変化量に相当する電荷が板状電極25に移動する。この
電荷の移動量は、電流値または電圧値として測定でき
る。これを測定すれば、赤外線の変化が検出可能とな
る。また、本実施例のように、スイッチを設けることに
よって、スイッチの無い場合に比べて電流が瞬時に流
れ、検出感度は高まる。
【0050】次に、赤外線を検出するための動作を説明
する。対向電極22は、配線29を介して常に接地電位
が印加される。赤外線が板状電極25に入射すると、板
状電極25はその温度に相当する曲率に湾曲する。この
ときの静電容量をCA1とする。この状態で、まず、MO
Sトランジスタ30がオン状態にされる。板状電極25
と対向電極22の間には、第1の電位差が生じる。ここ
では、板状電極25に−5V印加した。これにより、静
電容量CA1に相応するリセット電荷量QR1が板状電極2
5に蓄積される。これが第1のステップである。
【0051】次に、MOSスイッチ30がオフ状態にさ
れる。しかし、板状電極25に蓄積された電荷量はQR1
に保持される。ここで、配線28には、別の電圧を印加
させる。ここでは、−15Vを印加させた。次に、MO
Sトランジスタ30がオン状態にされる。板状電極25
と対向電極22の間には、第2の電位差が生じる。これ
により、電荷量QT1が板状電極25に蓄積される。蓄積
される電荷量QT1は、QT1=CA1×(15−5)であ
る。このため、QS1=QT1−QR1で表される電荷量が配
線28からMOSスイッチを介して板状電極25に移動
する。このため、電荷量QS1に相当する電流が配線28
に生ずる。この電流を測定する。これが第2のステップ
である。この電流は、板状電極に入射した赤外線に相当
する。
【0052】なお、本実施例の赤外線センサを複数配置
し、それぞれのセンサから信号電荷を読み出すための配
線を配置すれば、赤外線撮像装置となる。 (第4実施例)図6は、第4の実施例に係る静電容量型
赤外線センサの断面図である。本実施例において、MO
Sトランジスタ30(ソース領域32、ドレイン領域3
1、ゲート電極33からなる)は対向電極22の下に配
置され、板状電極25とドレイン領域31は、引出し電
極27によって接続される。このため、赤外線を受ける
部分(即ち受光部)と、スイッチ及び配線部は、積層さ
れた構成にすることができ、赤外線センサは小型にする
ことができる。なお、各電極への配線は、図6には示さ
れていない。しかし、図面の垂直方向に各電極、または
拡散領域が延びており、これに配線が接続されている。
また、本実施例の赤外線センサを複数配置すれば、赤外
線撮像装置となる。 (実施例5)図7は、第5の実施例による静電容量型赤
外線撮像装置である。(a)は平面概念図であり、
(b)は、(a)のA−A’部における断面図である。
静電容量型赤外線センサ40は、P型のシリコン基板
(半導体基板)21上に2次元状に配置される。赤外線
センサ40は、シリコン窒化膜(絶縁物)からなる支持
部26と、一端を支持部26に固定された板状電極25
と、板状電極25に空間を介し対面してされた対向電極
22からなる。板状電極25は、線膨張係数の異なる2
種類の金属電極23、24からなるバイメタルである。
赤外線撮像装置に配置された複数の対向電極22は、全
て接続され接地電位が印加される。支持部26は、シリ
コン窒化膜(絶縁物)からなる。このようにすれば、シ
リコン窒化膜は、熱伝導度が小さいため、赤外線に対す
る検出感度が向上する。さらに、板状電極5aは、支持
部に頑強に固定される。従って、湾曲による応力に対し
て強くなる。
【0053】対向電極22の下には、シリコン酸化膜3
7を介してトランスファーゲート44及び垂直CCD4
5が配置される。トランスファーゲート44は、トラン
スファーゲート電極47と基板とは逆導電型(N型)の
拡散領域46からなる。拡散領域46は、引出し電極2
7を介して電極23と接続される。垂直CCD45は、
基板とは逆導電型(N型)の埋め込みチャネル48と、
転送電極49からなる。
【0054】垂直CCD45の一端は、水平CCD41
に接続される。垂直CCD45及び水平CCD41は、
赤外線センサ40からの信号を転送させる転送部である
とともに、赤外線センサ40に電荷を供給させるもので
ある。42は出力アンプであり、43はワイヤーボンデ
ィング用の電極である。このように赤外線センサと電荷
転送部を積層構造にすれば、小型にすることができ、或
いは、赤外線センサをより多く集積させることができ
る。
【0055】次に、本実施例に係る赤外線撮像装置の動
作を説明する。対向電極22には、配線を介して常に接
地電位が印加される。赤外線が赤外線センサ40に入射
すると、板状電極25はその赤外線の波長λ1 に相当す
る温度T1 になる。板状電極は、その温度に相当する曲
率に湾曲する。このときの静電容量をCA1とする。この
状態で、まず、トランスファーゲート電極47にリセッ
ト電圧VH1が印加される。ここでは、+5V印加した。
これにより、トランスファーゲート44はオン状態にな
り、静電容量CA1に相応する初期電荷量QR1が板状電極
25(及び対向電極22)に蓄積される。板状電極25
に蓄積される電荷は電子であり、その量は、QR1=CA1
×(VH1−VT)で表される。なお、VT は、トランスフ
ァーゲートのしきい値電圧である。また、埋め込みチャ
ネル48には、板状電極25に供給されずに残留した電
荷が蓄積される。
【0056】次に、トランスファーゲート電極47に0
Vの電圧を印加し、トランスファーゲート44はオフ状
態にされる。この状態で、垂直CCDと水平CCDを駆
動して、埋め込みチャネル48に残留した電荷は転送さ
れ、外部に廃棄される。次に、トランスファーゲート電
極47に読み出し電圧VH2が印加される。VH2は、VH1
より大きい電圧である。ここでは、+15Vを印加し
た。これにより、トランスファーゲート44はオン状態
になり、電荷量QT1が板状電極25(及び対向電極2
2)に蓄積される。蓄積される電荷の量は、QT1=CA1
×(VH2−VT)である。このため、QT1=QS1−QR1で
表される量の電子が埋め込みチャネル48より板状電極
25に移動する。このことは、QS1で表される量のホー
ルが板状電極25から埋め込みチャネル48に移動する
ことに相当し、初期電荷量と蓄積電荷量の差分の電荷量
が埋め込みチャネル48に蓄積される。
【0057】次に、トランスファーゲート電極47に0
Vの電圧を印加し、トランスファーゲート44はオフ状
態にされる。この状態で、垂直CCDと水平CCDを駆
動して、埋め込みチャネル48に蓄積した電荷(ホー
ル)は転送される。このようにすれば、それぞれの赤外
線センサに入射する赤外線を電荷の量に変換して検出
し、画像化することができる。
【0058】転送終了後、再度トランスファーゲート電
極47にリセット電圧を印加し、上記の動作を繰り返
す。なお、いずれの実施例においても、板状電極の表面
に金黒などの赤外線吸収膜を配置すれば、赤外線に対す
る感度は向上する。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明の赤外線検出方法
は、静電容量によるものであり自己発熱が生ずることが
ない。このため、正確に温度の検出が可能となる。ま
た、板状電極に蓄積されるリセット電荷量と総電荷量の
差分を測定すれば、チョッパーを用いずに温度測定をす
ることが可能となる。このため、本発明による赤外線セ
ンサを使用すれば、全体のシステムが小型にすることが
可能になる。
【0060】また、板状電極の表面に赤外線吸収膜を配
置されせば、赤外線検出感度が向上する。本発明の赤外
線センサを複数配置すれば、赤外線撮像装置となる。さ
らに、赤外線センサと電荷転送部とを積層させた赤外線
撮像装置は、チップサイズを小さくすることができるた
め、歩留りが向上すると言う効果もある。チップサイズ
を同一とするなら、より多くの赤外線センサを集積させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による静電容量型赤外線
センサの断面図である。
【図2】第1の実施例に係る赤外線センサの各製造工程
における断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例による静電容量型赤外線
センサの断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例による静電容量型赤外線
センサの断面図である。
【図5】第3の実施例に係る赤外線センサの各製造工程
における断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例による静電容量型赤外線
センサの断面図である。
【図7】本発明の第5の実施例による静電容量型赤外線
撮像装置である。
【図8】本発明を説明する静電容量型赤外線センサの概
念断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板(絶縁基板) 2、22 対向電極 3、4、23、24 金属電極 3a アルミニウム電極 4a 酸化アルミニウム 5、5a、25 板状電極 6、6a、26 支持部 7、27 引出し電極 8、9 アルミニウム配線 10 ポリイミド膜 21 シリコン基板(半導体基板) 28、29、34 ポリシリコン配線 30 MOSスイッチ 31 ドレイン 32 ソース 33 ゲート電極 35 シリコン窒化膜 36 保護膜 37 シリコン酸化膜 38 コンタクトホール 39 SOG膜 40 赤外線センサ 41 水平CCD 42 出力アンプ 43 ワイヤーボンディング用電極 44 トランスファーゲート 45 垂直CCD 46 拡散領域 47 トランスファーゲート電極 48 埋め込みチャネル 49 転送電極 以上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 27/14 // H01L 31/00 H01L 31/00 Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度により異なる曲率に湾曲する板状電
    極と、前記板状電極と空間を介して配置した対向電極と
    を準備し、 前記板状電極と前記対向電極に電圧を印加して前記板状
    電極に蓄積される電荷量の変化を測定することにより物
    体から輻射される赤外線の変化を検出することを特徴と
    する静電容量による赤外線検出方法。
  2. 【請求項2】 温度により異なる曲率に湾曲する板状電
    極と、前記板状電極と空間を介して配置した対向電極と
    を準備し、 前記板状電極と前記対向電極の間に第1の電位差を生じ
    させて第1の電荷量を前記板状電極に蓄積させる第1の
    ステップ、 及び、前記板状電極と前記対向電極の間に第2の電位差
    を生じさせて第2の電荷量を前記板状電極に蓄積させる
    と共に前記第1の電荷量と前記第2の電荷量の差分を測
    定する第2のステップからなることを特徴とする静電容
    量による赤外線検出方法。
  3. 【請求項3】 絶縁基板を準備し該絶縁基板上に絶縁物
    または導電体からなる支持部と、温度により曲率が異な
    り一端を前記支持部に固定された板状電極と、前記板状
    電極に空間を介して配置された対向電極からなることを
    特徴とする静電容量型赤外線センサ。
  4. 【請求項4】 半導体基板を準備し該半導体基板上に絶
    縁物または導電体からなる支持部と、温度により曲率が
    異なり一端を前記支持部に固定された板状電極と、前記
    板状電極に空間を介して配置された対向電極、及び、前
    記板状電極または前記対向電極のどちらか一方に接続さ
    れたスイッチからなることを特徴とする静電容量型赤外
    線センサ。
  5. 【請求項5】 前記スイッチは、前記対向電極の下に配
    置されたことを特徴とする請求項4記載の静電容量型赤
    外線センサ。
  6. 【請求項6】 前記板状電極は、バイメタルからなるこ
    とを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載
    の静電容量型赤外線センサ。
  7. 【請求項7】 前記板状電極は、層状のAl及び層状の
    Al2 3 からなる積層膜であることを特徴とする請求
    項3から請求項5のいずれかに記載の静電容量型赤外線
    センサ。
  8. 【請求項8】 前記板状電極の表面には、赤外線吸収膜
    が配置されたことを特徴とする請求項3から請求項7の
    いずれかに記載の静電容量型赤外線センサ。
  9. 【請求項9】 半導体基板を準備し、該半導体基板上に
    絶縁物または導電体からなる支持部と温度により曲率が
    異なり一端を前記支持部に固定された板状電極と前記板
    状電極に空間を介して対面するように配置された対向電
    極を含み1次元または2次元状に複数配置された赤外線
    センサ、前記赤外線センサに接続されたスイッチトラン
    ジスタ、及び、前記スイッチトランジスタに接続された
    配線部からなることを特徴とする静電容量型赤外線撮像
    装置。
  10. 【請求項10】 半導体基板を準備し、該半導体基板上
    に絶縁物または導電体からなる支持部と温度により曲率
    が異なり一端を前記支持部に固定された板状電極と前記
    板状電極に空間を介して対面するように配置された対向
    電極を含み1次元または2次元状に複数配置された赤外
    線センサ、前記赤外線センサに接続されたトランスファ
    ーゲート、及び、前記トランスファーゲートに接続され
    た電荷転送部からなることを特徴とする静電容量型赤外
    線撮像装置。
  11. 【請求項11】 前記トランスファーゲート、及び、前
    記転送部は、前記赤外線センサの下に配置されたことを
    特徴とする請求項10記載の静電容量型赤外線撮像装
    置。
JP00392395A 1995-01-13 1995-01-13 静電容量による赤外線検出方法及び赤外線センサ及び赤外線撮像装置 Expired - Lifetime JP3229984B2 (ja)

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