JPH08192123A - 超音波洗浄機 - Google Patents

超音波洗浄機

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JPH08192123A
JPH08192123A JP7262892A JP26289295A JPH08192123A JP H08192123 A JPH08192123 A JP H08192123A JP 7262892 A JP7262892 A JP 7262892A JP 26289295 A JP26289295 A JP 26289295A JP H08192123 A JPH08192123 A JP H08192123A
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ultrasonic
cleaning
oil
cleaning liquid
container
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JP7262892A
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English (en)
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Shinichi Sakuta
真一 作田
Genji Mori
源次 森
Yukio Morimoto
幸雄 森本
Toyoki Sasakura
豊喜 笹倉
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Matsumura Oil Research Corp
Furuno Electric Co Ltd
Original Assignee
Matsumura Oil Research Corp
Furuno Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄容器の形状、材質が限定され、高出力化
に限界があり、音が生じる。 【解決手段】 外容器内に油に浸した超音波振動子の上
方に超音波を収束させるための音響レンズを配し、その
音響レンズの更に上方に洗浄液を蓄える洗浄容器を設
け、その洗浄液中の一点に超音波振動子よりの超音波を
収束させる。但し、洗浄容器は必ず必要ではなく、従来
タイプのように、外容器に洗浄液のみを蓄えてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波洗浄機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図1に従来装置の代表的な洗浄機の概略
構成を示す。発振回路3で例えば28KHzの信号を発
生させ、パワーアンプ4でその信号を電力増幅した後、
超音波振動子5で電気信号を超音波振動に変換する。こ
の超音波振動子5は、洗浄容器53の底面に下側から接
合されており(この図では単に横一列に配列されている
が実際には容器底面の全体にわたって設けられてい
る)、これにより、超音波振動子5で発生する超音波振
動は、容器53を介して容器内の洗浄液Xに伝播する。
この洗浄液Xに被洗浄物が浸漬されていると、その表面
に超音波が当たり、そのとき生じるキャビテーションや
超音波水流の作用で物体表面の付着物を落とす。尚、超
音波振動子5の振動素子5-1の材質は従来フェライト系
が用いられていたが現在はセラミック系のものを用い、
適当に部材を介してボルト締め(Pで示す)されたものが
一般的であり、洗浄容器53とはエポキシ系の接着剤Q
が使用される。洗浄容器4は防錆上からステンレスが用
いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の洗浄機では以下に示すような課題がある。 洗浄容器53の形状、材質が限定される。←超音波振
動子5を洗浄容器53の底面に直接接着するため、その
底面は平坦でなくてはならず、洗浄容器53の材質も金
属に限られるため、モールド樹脂を用いて複雑な形状の
容器を作成するといったことはできない。 放射超音波エネルギーに限界がある。←洗浄効果を上
げるには、被洗浄物の単位面積当たりに照射される超音
波エネルギーを大きくする必要があるが、超音波振動子
5の発熱や破損の恐れがあるために、許容以上のパワー
を入力することはできない。 超音波振動子5の発熱・振動により接合面が劣化す
る。←超音波振動子5を洗浄容器53の底面に接合して
いる接着剤Qが発熱・振動によって剥離する恐れがあ
る。 人の爪や指に付着した汚れは落ちにくい。←超音波の
特徴的現象として、人の神経や骨に超音波が当たると激
しい刺激を受ける。例えば洗浄容器53に人の手を入れ
ると、爪や指先に対してはほとんど刺激を感じないが、
手の平や甲の箇所については激しい痛みを感じる。これ
は、容器53の底部に設けた超音波振動子5からの超音
波振動は進行波として伝播し、このため容器53に手を
入れた場合、手全体に超音波が当たるためである。従っ
て超音波振動子5への入力は、手に痛みを感じない程度
に小さくしなければならず、よって、期待するような洗
浄力は得られない。 洗浄時には音が生じる。←超音波振動子を励起する超
音波は人の耳に聞こえない高い周波数であるにも拘わら
ず、“チー”あるいは“ジー”といった非常に耳ざわり
な音が発生する。この発生原因は、超音波振動子5の振
動子面を金属の容器53に直接に結合したことにより、
容器53が副2次的に可聴音の周波数で振動するためで
ある。
【0004】従って本発明は、上述した課題を解決する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本第1発明に係わる超音
波洗浄機は、外容器(51)に蓄えた絶縁性を有する油
(Y)に浸漬して超音波発生及び収束手段(G)を設け、そ
して、内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容器(53)を、前
記油(Y)に浮かべるようにして設け、超音波を洗浄液中
の一点に収束させることを特徴とする。
【0006】本第2発明に係わる超音波洗浄機は、外容
器(51)に蓄えた絶縁性を有する油(Y)に浸漬して超音
波発生及び収束手段(G)を設け、そして、内部に洗浄液
(X)を蓄えた洗浄容器(53)を、前記油(Y)に浮かべる
ようにして設け、超音波を洗浄液中の一点に収束させる
構成を有し、かつ前記超音波発生及び収束手段(G)より
の超音波放射出力を制御するために異なる二つの周波数
信号をそれぞれ発生させる信号発生手段(61及び62)
と、絶縁性を有する油(Y)の温度を検出する温度検出手
段(6)とを備え、油温が変化しても一定の洗浄力が得ら
れるよう、異なる二つの周波数信号を、油温に応じて設
定したデューティ比で採用して上記超音波振動子(52)
を駆動することを特徴とする。
【0007】本第3発明に係わる超音波洗浄機は、外容
器(51)に蓄えた洗浄液(X)に、リード端子部等に熱伝
導度の良い絶縁材料にて絶縁処理を施した超音波振動子
(5)を浸漬して設け、超音波を洗浄液中の一点に収束
させることを特徴とする。
【0008】
【作用】本第1発明(請求項1)は、油(Y)中の超音波
発生及び収束手段(G)より、超音波が放射されると共
に、収束手段によって油中の一点に収束される。その箇
所に、内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容器(53)を配置
すれば、洗浄液中の一点に超音波が収束され、従ってそ
の収束点に被洗浄物を位置させれば、その被洗浄物に照
射する単位面積当たりのエネルギーが高められ、洗浄効
果が増す。
【0009】本第1発明のごとく、超音波発生および収
束手段(G)を、温度変化で粘性が大きく変化する油(Y)
中に沈めるタイプのものでは、請求項2で示されるよう
に、油温が変化しても一定の洗浄力が得られるよう、油
温に応じてパワーコントローラ手段を用いて出力制御を
行う。
【0010】本第1発明の実施形態としては、請求項3
にあるように、超音波発生及び収束手段(G)として、超
音波振動子(5)および音響レンズ(52)を採用してお
り、又、その際、音響レンズ(52)を超音波振動子(5)
の上方に設置する場合(第1実施形態)と、音響レンズ
(52)を超音波振動子(5)の超音波放射面に密着して設
置する場合(第2実施形態)とがある。
【0011】第1実施形態では、音響レンズ(52)を油
中に保持するための機構が必要となるが、その保持機構
により音響レンズ(52)を上下に移動させることで超音
波の収束点を変えられる。一方、第2実施形態では、超
音波の収束点が固定的となるものの、前記の保持機構が
不要なため装置の構成が簡略化される。
【0012】本第1発明の超音波洗浄機で両手の洗浄を
行うには、請求項4にあるように、請求項3で述べた超
音波振動子(5)および音響レンズ(52)を2組み設置す
ればよい。
【0013】尚、請求項4の超音波洗浄機にあっては、
濡れた手でスイッチ類を操作するのは危険なため、請求
項5で示すように、赤外線感知器を用いた近接スイッチ
にて、手の出し入れたより、自動的にオンオフする機構
を備えれば好都合である。
【0014】以上の第1発明の各実施形態では、超音波
発生および収束手段(G)に、超音波振動子(5)および音
響レンズ(52)を用いたが、請求項6では、本第1発明
の第3実施形態として、小面積の超音波振動素子(50-2)
を凹曲面上に配設した超音波発生・収束器(50)を用い
ており、高価な音響レンズが不要となる。
【0015】超音波発生および収束手段(G)を油中に沈
めるものにあっては、請求項2で述べたごとく、油温に
応じてパワーコントロールする油温補償回路が必要であ
ると述べたが、その補償手段としては、異なる二つの周
波数信号を、油温に応じて設定したデューティ比で採用
して超音波振動子(52)を駆動する手法によれば、広範
囲に安定的に洗浄力を可変できる特徴があるため、その
構成を本第2発明として請求項7で請求している。
【0016】本第3発明では、小容積の洗浄容器(53)
を廃し、外容器(51)に蓄える媒体を従来タイプのごと
く、洗浄液(X)のみとしたものであり、この場合、超音
波発生および収束手段(G)の端子部等を、放熱効果の優
れた部材にて絶縁する必要があるが、特殊な絶縁性の油
が不要であり、又、温度によって粘性が大きく変化する
油を使用しないことから、上述した温度補償も不要とな
る。
【0017】本第3発明の実施形態としては、請求項9
にあるように、超音波発生及び収束手段(G)として、超
音波振動子(5)および音響レンズ(52)を採用してお
り、又、その際、音響レンズ(52)を超音波振動子(5)
の上方に設置する場合(第1実施形態)と、音響レンズ
(52)を超音波振動子(5)の超音波放射面に密着して設
置する場合(第2実施形態)とがある。
【0018】
【発明の実施形態】図2は、本第1発明の第1実施形態
を示した内部透過した全体斜視図を示している。外容器
51内には、二つの超音波振動子5(5a,5b)が防振
材を介して底面に固定されている。この超音波振動子5
は、所望の共振周波数(28KHz)となるように、振動
素子5-1の上下面に金属製の適当な整合部材5-2,5-3
を接合させたものである。この超音波振動子5の超音波
放射面である上端面より十数ミリ上方には、超音波を収
束させるために、凹レンズタイプの音響レンズ52(5
2a,52b)が設けられる。
【0019】ここで、音響レンズについて簡単に述べ
る。この音響レンズも一般的な光学レンズと同様にスネ
ルの法則に従うが以下の点で異なっている。音響レンズ
を空気中で用いると、そのレンズ境界面で超音波の殆ど
を反射してしまうため、通常は水等の液体中で用いられ
る。そこで、光学レンズも水中に設置した場合とで比較
すると、水中においても光学凸レンズは集光させるが、
これは、水中(空気中でも同じ)よりもレンズ中の方が光
の伝播速度が遅いことによる。一方、音波の伝播速度
は、水中や空気中よりもレンズ中の方が速く、従って音
波の場合、光学レンズとは逆に凹レンズで収束すること
になる。
【0020】この作用を前述のスネルの法則を用いて詳
しく説明する。図4において、 音響レンズ(アクリル板製)内の音速C1:2500m/
秒 水中の音速C2:1400m/秒 レンズから水中への境界面に対する入射角、屈折角をθ
1,θ2 とすると、C1/C2=cosθ1/cosθ2、ここで、C1
2より、θ1<θ2となり、音響凹レンズに対して直交
方向に入射した音波は、透過後、収束することがわか
る。
【0021】図2に戻り、音響レンズ52の更に上方に
は、外容器51を上端部で閉封するようにして、二つの
洗浄容器を一体化した小容積の洗浄容器53が設けられ
る。この洗浄容器53内には洗浄液Xとして水又は洗剤
を溶かした液が蓄えられ、一方、上記外容器51内に
は、洗浄容器53の上端面近くまで絶縁性を有する油Y
(鉱物油や合成油等)が封入してあり、従って、超音波振
動子5および音響レンズ52は油中に浸漬状態にある。
ここで油の上面には僅かに空隙部を残したのは、油温変
化に伴う油の膨張に耐えるようにしたためである。6
は、前記油Yの油温を検出するサーミスタである。
【0022】ここで用いた音響レンズ52の水中での焦
点距離は60mmであり、本装置を図2のごとく、爪垢
の洗浄機とした場合、音響レンズ52から30mm上方
に洗浄容器53の底面を位置させれば、洗浄容器53の
底面から更に30mm上方に超音波の収束点(焦点)が生
じる(洗浄液中での音波の伝播速度は油中の場合とほぼ
同じため)。この焦点位置は、洗浄容器53に手を指し
入れた時、指の第1関節あたりとなるようにしている。
【0023】図3は、上記超音波洗浄機を駆動するため
の制御ブロック図を示す。61(61a,61b)は周波
数20KHz(非共振周波数)の信号を発生する発振回路
であり、62(62a,62b)は周波数28KHz(共振
周波数)の信号を発生する発振回路である。63(63
a,63b)は二つの発振回路から交互に選択する切換回
路であり、後記のオンタイム制御回路66からオン信号
が出力された時に発振回路62を選択し、一方,オフ信
号が出力された時に発振回路61を選択する。64(6
4a,64b)は、各超音波振動子5(5a,5b)を駆動
するためのパワーアンプであり、後記のオンオフ制御回
路69よりオン信号が供給された時に、前記切換回路6
3で選択された周波数の信号をパワー増幅する。ここ
で、超音波振動子5aを駆動する回路(61a,62a,
63a,64a)と、超音波振動子5bを駆動する回路
(61b,62b,63b,64b)とは同一の回路であ
り、後で示す実施形態のごとく超音波振動子が一つの場
合は1系統を備えればよい。
【0024】本装置のように、超音波振動子5を油中に
浸漬する場合、油温変化による油の粘性変化が油中での
超音波の伝播状況を大きく左右させ、それ故、洗浄能力
を大きく変えるため、常に一定の洗浄力(被洗浄物の単
位面積当たりの超音波照射エネルギーが一定)が得られ
るよう、次の油温補償回路を備えている。
【0025】6は既述したサーミスタであり、65は、
サーミスタ6の温度検知信号を電圧信号に変換する温度
/電圧変換回路であり、その変換特性を図5に示す。オ
ンタイム制御回路66は、温度/電圧変換回路65より
の出力電圧に対応して、所定の1周期(150msec)の
間に、オン信号の占める期間(デューティ比)を随意に設
定するものであり、図6に示すように、前記出力電圧が
5V(油温30℃)以下の時、デューティ比が100%
(前記オン信号のみが継続)であり、前記出力電圧が5V
〜7.5V(油温が30℃〜50℃)の時は、デューティ
比が75%(図7に示すごとく、オン信号期間が112.
5msec、オフ信号期間が37.5msec)となり、前記出
力電圧が7.5V〜10V(油温が50℃〜70℃)の時
は、デューティ比が50%(オン信号期間が75msec、
オフ信号期間が75msec)となり、前記出力電圧が10
V(油温70℃)以上の時、デューティ比が0%(前記オ
フ信号のみが継続)となる。但し、オンタイム制御回路
66から0%のデューティ比が出力される時は、同時に
オンオフ制御回路69にストップ信号が送出される。
【0026】67は、洗浄を行う時に押動されるプッシ
ュスイッチであり、68は、随意に所望の洗浄時間を設
定できるタイマーであり、プッシュスイッチ67からス
イッチオンの信号が入力されると、前記オンオフ制御回
路69にスタート信号を出力し、前記洗浄時間をタイム
アップするとストップ信号を出力する。オンオフ制御回
路69は、前記スタート信号およびストップ信号の入力
に呼応して、パワーアンプ64にオン信号、オフ信号を
送出する。従って前記オンタイム制御回路66からスト
ップ信号が入力された時(油温が70℃以上の時)もパワ
ーアンプ64はパワーオフされる。
【0027】まず、不図示のメインのスイッチをオンに
すると、各発振回路61,62および他の各回路に給電
され、運転待機状態となる。この間に、サーミスタ6に
より油温が検出され、油温が例えば35℃であると、図
7に示されるデューティ比に従って、150msecの1
周期の間に、オンタイム制御回路66から112.5ms
ecの期間に対してオン信号が出力され、28KHzの信
号が切換回路63を通じてパワーアンプ64に供給さ
れ、次の37.5msecの期間に対してオフ信号が出力さ
れ、同パワーアンプ64に今度は20KHzの信号が供
給され、このパターンが1周期毎に繰替えされる。
【0028】さて、プッシュスイッチ67を押動する
と、タイマー68がタイマースタートし、スタート信号
がオンオフ制御回路69に送出される。これにより、オ
ンオフ制御回路69は両パワーアンプ64をパワーオン
させ、これにより、超音波振動子5は、28KHzの信
号と20KHzの信号とで前記デューティ比に従って駆
動される。ここで爪垢を洗浄するのであれば、爪の箇所
が超音波収束点に位置するよう、両手を各洗浄容器53
の洗浄液中に浸すことで洗浄が開始される。
【0029】この後、タイマーが所定の洗浄時間をタイ
ムアップすれば、オンオフ回路69にストップ信号を出
力することにより、パワーアンプ64はパワーオフさ
れ、洗浄動作が停止する。
【0030】一方、前記の洗浄中に、加熱した超音波振
動子5により、油温が50℃に達した時(被洗浄物体へ
の単位面積当たりの照射エネルギーが許容値を超え
る)、洗浄力を一定に保つべく(この場合は超音波振動子
よりの超音波放射を抑制する)、今度は50%のデュー
ティ比で超音波振動子5が駆動され、75%のデューテ
ィ比の時と比べて28KHzで駆動される期間が短くな
り、逆に20KHzで駆動される期間が長くなる。尚、
洗浄中に油温が70℃を超えたならば、オンタイム制御
回路66からオンオフ制御回路69にストップ信号が送
出され、洗浄動作が停止される。
【0031】ここでデューティ比が小さくなる(28K
Hzの運転期間の割合が短くなる)と、超音波振動子5
よりの超音波放射(出力)が低下する理由を述べる。既述
したように、超音波振動子5は、駆動信号が28KHz
の時に共振し、20KHzの時は非共振状態で駆動され
ることになる。超音波振動子5は、共振するとインピー
ダンスが低下し、その共振周波数からずれた周波数で駆
動されている時はインピーダンスが高くなる。この超音
波振動子5を駆動するパワーアンプ64は、定電圧特性
を持つことから、駆動信号の周波数が28KHzから2
0KHzになると、超音波振動子5への入力パワーがお
よそ1/5に減少し、超音波放射(出力)も低下する。従
ってデューティ比100%の時の入力を100Wとした
時、デューティ比が0%の時には、入力は1/5の20
Wとなる。一般にデューティ比がD%の平均入力P[W]
は、次式で与えられる。 P={(オン期間×100[W])+(オフ期間×20[W])}/150 =D+(100−D)/5 従って、デューティ比が75%、50%の時の平均入力
は、それぞれ80W、60Wとなり、超音波振動子5の
変換効率をηとすれば、超音波振動子5よりの放射出力
は、100ηWから80ηW、60ηWへと低減され
る。但し、20KHzの周波数で駆動するオフ期間で
は、超音波放射出力は20ηWとなり、この程度まで小
さくなると洗浄力はほぼ0になる。従って、デューティ
比が100%から、75%、50%へと変化すると、洗
浄力は、100%から75%、50%へと低減される。
【0032】尚、1周期を28KHzの周波数で駆動す
るオン期間と休止期間とし、オン期間を変えることによ
っても超音波振動子への平均入力を随意に変えることも
可能であるが、このような間欠運転を行った場合は、発
振をオンからオフにした時、およびオフからオンにした
時に、超音波振動子5に寄生振動が生じ、不快な異常音
が発生するので好ましくない。
【0033】図3に示した駆動回路においては、油温に
応じて洗浄力を100%、75%、50%と変化させた
ごとく、広範囲に洗浄力を安定的に変化させることがで
きる利点が得られる(本第2発明)。一方、使用する油Y
の粘性が温度によってあまり変化しないのであれば、つ
まり、0ないし20%前後の調整で対応できるのであれ
ば、図8に示すごとく、パワーアンプを電圧制御でコン
トロールする簡便な温度補償回路を備えた駆動回路を使
用しても差し支えない。
【0034】図8において、1は、電源回路であり、こ
の装置の各回路に制御電圧を供給すると共に、パワーコ
ントローラ2(2a,2b)に給電する。3(3a,3b)
は、28KHzの超音波周波数を発振する発振回路であ
り、4(4a,4b)は、発振回路3よりの超音波信号を
パワー増幅するパワーアンプであり、このパワーアンプ
4の終段トランジスタのコレクタ電圧が、パワーコント
ローラ2によりコントロールされる。5(5a,5b)は
超音波振動子である。
【0035】6はサーミスタであり、7が油温補償回路
である。この油温補償回路7は、サーミスタ6の検出温
度に基づき、図9に示すような特性線に従ってパワーア
ンプ4のコレクタ電圧(それ故、パワーアンプの出力)を
変化させるべく、パワーコントローラ2を制御して、油
温の温度補償を行っている。
【0036】8は、洗浄容器53に手を指し入れた時
に、この動作を赤外線により感知する赤外線感知器であ
り、単なる人体接近では感知しないよう、ここでは焦電
検出タイプのものを用いる。この赤外線感知器8は、図
2の例えば洗浄容器53の周縁部に設けられる。9は、
随意に所望の時間を設定できるタイマーであり、前記赤
外線感知器8より感知信号が入力されると、タイマー9
よりオン信号を出力し、セット時間後にオフ信号を出力
する。10は、タイマー9よりのオン、オフ信号に基づ
き、パワーアンプ4の動作をオンにし、又、図9に示し
たように、油温が65℃に達し、油温補償回路7から所
定の信号が送出された時、パワーアンプ4の動作を強制
的にオフにする。
【0037】この駆動制御回路によれば、図9に示され
るように、外容器51内の油温が30℃以下なら、パワ
ーアンプ4は130%で駆動され、これより油温が上昇
するにつれてパワーアンプ5の出力が低下するようにな
っており、いづれの油温においても、洗浄液中に浸した
手の単位面積当たりの超音波照射エネルギーを一定値に
なるように制御する。
【0038】尚、この駆動制御回路においては、赤外線
感知器8による近接スイッチを設けたため、図2のごと
く、両手の洗浄を行うものにあっては、濡れた手でスイ
ッチオンオフする操作が不要なので便利である。
【0039】又、図2の装置は、両手の洗浄を目的とし
たために2組みの洗浄装置を設けたが片手の洗浄でよい
のなら、図10の第1発明の第1実施形態の変形例で示
すように1組みの洗浄装置を備えればよい。
【0040】図2および図10では、超音波振動子5の
振動子放射面(上端面)から離隔して音響レンズ52を設
けている。この構成では、音響レンズ52を保持するた
めの機構が必要となるが、その保持機構でもって音響レ
ンズ52を上下動できるようにしておけば、超音波の収
束点、つまり、洗浄部位を、例えば洗浄容器53の形状
もしくは被洗浄物に応じて随意に変更できる利点が得ら
れる。
【0041】一方、超音波振動子5の超音波放射面に音
響レンズ52を密着して設けた構成の超音波洗浄機を本
第1発明の第2実施形態として図11に示している。
尚、この11図のものは図10の洗浄機に対してその実
施形態を適用したものである。この場合、音響レンズ5
2から、洗浄容器53の洗浄液中の洗浄部位(超音波の
収束点)までの距離を60mmとする。この構成では、
前記の保持機構が不要なため装置の構成が簡略化する。
尚、音響レンズ52も振動して可聴音が僅かに発生する
かも知れないが、その音が油Yおよび外容器51を伝わ
って外部に漏れることはない。
【0042】図12は、本第1発明の第3実施形態を示
している。ここでは、超音波発生および収束手段(G)と
して、振動素子5-1および音響レンズ52の替わりに、
台座50-1の上面凹曲面に、コイン状の振動素子50-2
を複数個配設した超音波発生・収束器50を用いてい
る。この構成では、高価な音響レンズ52が不要とな
り、装置の構成も簡略化する。
【0043】本第1発明に係わる図2、図10、図11
および図12の装置のごとく、外容器51とは別に、洗
浄液を蓄える洗浄容器53を設けたことによる利点を以
下に記す。 ・洗浄に伴い汚濁する洗浄液Xの取り替え量を少なくで
きる。外容器内の油Yは交換不要である。 ・超音波振動子5よりの超音波振動を伝播させる媒体と
して、伝播効率のよい液体を採用できる。 ・前記媒体として絶縁性を有する油を用いれば、超音波
振動子5の端子5-4、リード線5-5、および引き出し端
子5-6を絶縁する処置が不要となる。 ・洗浄容器の材質は、金属以外にプラスチック容器を用
いることができ、又、被洗浄物の形状に応じて最適な形
状容器を用いることができる。
【0044】一方、従来タイプのように一つの外容器5
1に洗浄液Xを蓄えた超音波洗浄機に対しても適用で
き、図13に本第3発明の第1実施形態を示している。
この構成では外容器51には1種類の洗浄液X(一般に
導電性)が満たされるだけなので、超音波振動子5に対
して絶縁化処理を施す必要があるため、超音波振動子5
の下半分に対して絶縁部材Zを充填して、端子5-4、リ
ード線5-5及び引き出し端子5-6の絶縁おり、その際、
超音波振動子5自身の冷却のため、絶縁部材Zとして
は、熱伝導度の優れたものが要求されるため、モールド
樹脂を採用している。
【0045】本第3発明の第1実施形態の変形例を図1
4(図13において超音波振動子および音響レンズを1
組みとした)に示す。
【0046】本第3発明の第2実施形態の図15(図1
4において音響レンズを超音波振動子に密着させた)に
示す。
【0047】本第3発明に係わる図13、図14および
図15の装置のごとく、外容器51に直接に洗浄液を蓄
えた構成による利点を以下に記す。 ・超音波の媒体液に粘性の少ない洗浄液を用いるため、
液温度が変化しても超音波の伝播特性は殆ど変化せず、
駆動制御回路としては図8のものが適しており、かつ、
温度補償のために設けたサーミスタ6、油温補償回路7
は不要であり、又、パワーコントローラ2の省略も可能
であり、簡素化される。 ・洗浄機自身の構成が簡単となる(油を用いるものであ
れば、その油を容器内に閉封する構造を必要とする)。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、超音波
振動子よりの超音波を、音響レンズを用いて洗浄液中の
洗浄箇所に収束させるようにしたので、洗浄箇所での単
位面積当たりの超音波照射エネルギーが高められ、許容
入力を超えるようなパワーを入力しなくても所望の洗浄
力を得ることができる。又、超音波振動子の振動面が外
容器に直接接触していないために発生音は極めて小さ
く、更には、超音波振動子自身が絶縁油またはモールド
樹脂中にあるため放熱効果がよく過熱の恐れもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来タイプの超音波洗浄機の概略構成図
【図2】 本第1発明の第11実施形態を示す超音波洗
浄機の内部透過した斜視図
【図3】 図2の洗浄機に適した駆動制御ブロック図
【図4】 音響レンズの作用を説明するために用いた図
【図5】 図3の温度/電圧変換回路の変換特性図
【図6】 図3のオンタイム制御回路の出力特性図
【図7】 図3の切換回路の動作図を示したタイムチャ
ート
【図8】 図2の洗浄機に適した別の駆動制御ブロック
【図9】 図8の油温度補償回路7の補償特性を示した
【図10】 本第1発明の第1実施形態の変形例を示し
た斜視図
【図11】 本第1発明の第2実施形態を示した斜視図
【図12】 本第1発明の第3実施形態を示した斜視図
【図13】 本第3発明の第1実施形態を示した斜視図
【図14】 本第3発明の第1実施形態の変形例を示し
た斜視図
【図15】 本第3発明の第2実施形態を示した斜視図
【符号の説明】
1 電源回路 2 パワーコントローラ 3 発振回路 4 パワーアンプ 5 超音波振動子 6 サーミスタ 7 油温補償回路 8 赤外線感知器 9 タイマー 10 オンオフ制御回路 50 超音波発生・収束器 51 外容器 52 音響レンズ 53 洗浄容器 61 発振回路 63 切換回路 64 パワーアンプ 65 温度/電圧変換回路 66 オンタイム制御回路 67 プッシュスイッチ 68 タイマー 69 オンオフ制御回路 X 洗浄液 Y 油 Z モールド樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 幸雄 兵庫県西宮市芦原町9番52号 古野電気株 式会社内 (72)発明者 笹倉 豊喜 兵庫県西宮市芦原町9番52号 古野電気株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外容器(51)に蓄えた絶縁性を有する油
    (Y)に浸漬して超音波発生及び収束手段(G)を設け、そ
    して、内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容器(53)を、前
    記油(Y)に浮かべるようにして設け、超音波を洗浄液中
    の一点に収束させることを特徴とする超音波洗浄機。
  2. 【請求項2】 超音波振動子(5)よりの超音波出力を制
    御するパワーコントロール手段と、絶縁性を有する油
    (Y)の温度を検出する温度検出手段とを備え、油温が変
    化しても一定の洗浄力が得られるよう、油温に応じてパ
    ワーコントロール手段により超音波出力を制御する請求
    項1記載の超音波洗浄機。
  3. 【請求項3】 外容器(51)に蓄えた絶縁性を有する油
    (Y)に浸漬して超音波振動子(5)を設け、その超音波振
    動子(5)の超音波放射面の上方に、もしくは前記超音波
    放射面に密着して、音波を収束させるための音響レンズ
    (52)を配し、更に、内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容
    器(53)を前記油(Y)に浮かべるようにして設け、超音
    波振動子(5)よりの超音波を音響レンズ(52)により、
    超音波を洗浄液中の一点に収束させることを特徴とする
    超音波洗浄機。
  4. 【請求項4】 外容器(51)に蓄えた絶縁性を有する油
    (Y)に浸漬して複数個の超音波振動子(5)を離間して設
    け、それらの超音波振動子(5)の超音波放射面の上方
    に、もしくは前記超音波放射面に密着して、音波を収束
    させるための音響レンズ(52)をそれぞれ配し、更に、
    内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容器(53)を前記油(Y)
    に浮かべるようにして設け、各超音波振動子(5)よりの
    超音波を音響レンズ(52)により、超音波を洗浄液中の
    各一点にそれぞれ収束させることを特徴とする手洗い用
    超音波洗浄機。
  5. 【請求項5】 赤外線感知器を備え、差し出した手を感
    知して自動的にスイッチオンさせる請求項4記載の超音
    波洗浄機。
  6. 【請求項6】 凹曲面上に小面積の超音波振動素子を複
    数個配設してなる超音波発生・収束器(50)を、外容器
    (51)に蓄えた絶縁性を有する油(Y)に浸漬して設け、
    そして、超音波発生・収束器の上方に、内部に洗浄液
    (X)を蓄えた洗浄容器(53)を前記油(Y)に浮かべるよ
    うにして設け、超音波を洗浄液中の一点に収束させるこ
    とを特徴とする超音波洗浄機。
  7. 【請求項7】 外容器(51)に蓄えた絶縁性を有する油
    (Y)に浸漬して超音波発生及び収束手段(G)を設け、そ
    して、内部に洗浄液(X)を蓄えた洗浄容器(53)を、前
    記油(Y)に浮かべるようにして設け、超音波を洗浄液中
    の一点に収束させる構成を有し、かつ前記超音波発生及
    び収束手段(G)よりの超音波放射出力を制御するために
    異なる二つの周波数信号をそれぞれ発生させる信号発生
    手段(61及び62)と、絶縁性を有する油(Y)の温度を
    検出する温度検出手段(6)とを備え、油温が変化しても
    一定の洗浄力が得られるよう、異なる二つの周波数信号
    を、油温に応じて設定したデューティ比で採用して上記
    超音波振動子(52)を駆動することを特徴とする超音波
    洗浄機。
  8. 【請求項8】 外容器(51)に蓄えた洗浄液(X)に、リ
    ード端子部等に熱伝導度の良い絶縁材料にて絶縁処理を
    施した超音波振動子(5)を浸漬して設け、超音波を洗浄
    液中の一点に収束させることを特徴とする超音波洗浄
    器。
  9. 【請求項9】 外容器(51)に蓄えた洗浄液(X)に、リ
    ード端子部等に熱伝導度の良い絶縁材料にて絶縁処理を
    施した超音波振動子(5)を浸漬して設け、その超音波振
    動子(5)の超音波放射面の上方に、もしくは超音波放射
    面に密着して、音波を収束させる音響レンズ(52)を配
    し、超音波振動子(5)よりの超音波を音響レンズ(52)
    により、超音波を洗浄液中の一点に収束させることを特
    徴とする超音波洗浄機。
JP7262892A 1994-11-14 1995-10-11 超音波洗浄機 Pending JPH08192123A (ja)

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