JPH08189887A - ガス検出方法及びガス検出装置 - Google Patents

ガス検出方法及びガス検出装置

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JPH08189887A
JPH08189887A JP62495A JP62495A JPH08189887A JP H08189887 A JPH08189887 A JP H08189887A JP 62495 A JP62495 A JP 62495A JP 62495 A JP62495 A JP 62495A JP H08189887 A JPH08189887 A JP H08189887A
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gas
temperature
temp
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sensor
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JP62495A
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Hideaki Hiraki
英朗 平木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不活性ガス中に存在するその分解ガスなどを
高感度かつ長期的に検出できるガス検出方法及びその装
置を提供することを目的とする。 【構成】 金属酸化物からなるガス吸着膜を設けた素
子、素子を加熱する手段及び素子を冷却する手段を収納
する容器(31)と、素子の周囲を検出対象となる不活
性ガスの分解ガスを含まない雰囲気に調整する真空ポン
プ(46)と、容器内に被検ガスを導入する手段と、加
熱手段、冷却手段、雰囲気調整手段及び被検ガス導入手
段を駆動する駆動回路(49)と、素子の特性変化を電
気信号に変換する発振回路(48)とを有するガス検出
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガス検出方法及びガス検
出装置に関し、特に不活性ガス中に存在するその分解ガ
スを検出する方法及びそのために使用される装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、大気中の還元性ガスを検出するセ
ンサとして酸化スズ(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)
などの金属酸化物の焼結体を用いた半導体式ガスセンサ
が知られている。これは金属酸化物が還元性ガスに接触
するとその電気抵抗が低下する現象を利用したものであ
る。すなわち、金属酸化物の表面には通常は大気中の酸
素が負イオン吸着しており、還元性ガスが発生するとこ
の吸着酸素による酸化反応が生じる。このとき、吸着酸
素が捕獲していた電子が金属酸化物へと移動するため、
金属酸化物の電子濃度が増加して電気抵抗が低下する。
しかし、半導体式ガスセンサは上記のような検出原理に
よっているため、大気中での還元性ガスの検出には有効
であるが、難燃性ガスの検出や無酸素雰囲気下での使用
には適していない。
【0003】また、難燃性ガスである亜硫酸ガス(SO
2 )、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)などの
検出用センサとしては定電位電解式ガスセンサが知られ
ている。これは電極と電解質との界面を特定の電位に保
ち、ガスを電解して生じる電解電流を測定する方式であ
る。この方式のセンサは還元性ガス及び難燃性ガスのい
ずれにも高感度を示すが、電解液を用いるため寿命が短
いという欠点がある。しかも、この方式のセンサで検出
可能なガスは限られており、例えばSF6 の分解ガスで
あるSOF2 を検出することはできない。
【0004】一方、近年になって高感度で室温動作が可
能なガスセンサとして水晶振動子式ガスセンサが注目さ
れている。このセンサは水晶振動子板の電極上にガス吸
着膜として有機系材料などを形成した構造を有してい
る。この方式のセンサでは、例えば下記式で与えられる
ように、ガス吸着膜に吸着したガスの重量変化ΔWを水
晶振動子の共振周波数の変化Δfとして検出する。
【0005】 Δf=−2.3×106 ×f2 ×Δw/A (ここでfは水晶振動子の共振周波数、Aは水晶振動子
の電極面積である。)また、この水晶振動子式ガスセン
サでは、吸着ガス量を共振周波数の変化として検出する
以外にも、インピーダンス、位相又はインダクタンスの
変化として検出することもできる。水晶振動子式ガスセ
ンサはこのような検出原理で動作するため、還元性ガス
及び難燃性ガスにいずれに対しても高感度を示し、pp
bオーダーのガス検出ができる。そして、特開昭55−
42054号公報、特開平1−229935号公報など
に示されているように、水晶振動子式ガスセンサは一般
的には常温で動作する、臭気ガスなどのセンサとしての
開発が進められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように水晶振動
子式ガスセンサは検出可能なガスの範囲が広いが、従来
は全てのガスを検出できるわけではなかった。例えば、
特開昭55−42054号公報記載のガス検出用センサ
では、湿度、炭化水素、炭酸ガス、二酸化硫黄などのガ
スを検出しているが、SF6 の分解ガスであるSOF2
は検出できない。同様に、難燃性ガス検出用として開発
された特開平1−229935号公報記載のガス検出用
センサにおいても、SF6 の分解ガスの1つであるHF
は検出できるが、SOF2 は検出できない。
【0007】また、これらのガスセンサは常温で使用す
るため、周囲温度によって感度が大きく変化し、さらに
ガスの種類によっては検出後にもガス吸着膜に検出対象
となるガスがそのまま吸着して残った状態となり、検出
を重ねると感度が低下する。このため、検出精度が悪
く、センサの寿命が短いという問題がある。
【0008】本発明は上記のような問題点を解決し、従
来は検出できなかった不活性ガス中に存在するその分解
ガスなどを高感度かつ長期的に検出できるガス検出方法
及びその装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】本発明のガス検出
方法は、金属酸化物からなるガス吸着膜を設けた素子を
用い、素子の特性変化に基づいて不活性ガス中に存在す
るその分解ガスを検出するにあたり、昇温することによ
りガス吸着膜に吸着したガスを脱離させた後、所定の検
出動作温度まで降温し、検出動作温度における素子の特
性変化に基づいて前記分解ガスを検出することを特徴と
するものである。
【0010】本発明の他のガス検出方法は、金属酸化物
からなるガス吸着膜を設けた素子を用い、素子の特性変
化に基づいて不活性ガス中に存在するその分解ガスを検
出するにあたり、昇温することによりガス吸着膜に吸着
したガスを脱離させた後、降温を開始し、降温中におけ
る素子の特性変化に基づいて前記分解ガスを検出するこ
とを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のガス検出装置は、金属酸化
物からなるガス吸着膜を設けた素子、前記素子を加熱す
る手段及び前記素子を冷却する手段を収納する容器と、
前記素子の周囲を検出対象となる不活性ガスの分解ガス
を含まない雰囲気に調整する手段と、前記容器内に被検
ガスを導入する手段と、前記加熱手段、冷却手段、雰囲
気調整手段及び被検ガス導入手段を駆動する手段と、前
記素子の特性変化を電気信号に変換する手段とを具備し
たことを特徴とするものである。
【0012】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明は不活性ガス中に存在するその分解ガスを検出対象と
するものであり、例えばガス絶縁電気機器の絶縁ガスと
して用いられるSF6 の分解ガスであるSOF2 の検出
に適用される。
【0013】本発明においてガス検出用の素子として
は、例えば水晶振動子、音叉振動子、セラミック圧電振
動子、単結晶シリコン又は多結晶シリコンと圧電性薄膜
とを組み合わせて作製した振動子、表面波(SAW)デ
バイスなどを用い、その両面に電極及び金属酸化物から
なるガス吸着膜を積層して設けた構造を有し、検出対象
となるガスの吸着量の変化を振動子板の電気特性変化と
して出力するものが挙げられる。これらの素子を用いる
場合、ガス吸着量の変化を発振周波数の変化として検出
してもよいし、この他にも例えばネットワークアナライ
ザー法などの方法を用いてガス吸着膜のインピーダン
ス、位相、インダクタンスの変化として検出する方法
や、ガス吸着膜の光透過率(スペクトル)変化として検
出する方法を用いてもよい。
【0014】ガス吸着膜として用いられる金属酸化物は
ガス吸着能があり、高温安定性を示すものであれば特に
限定されず、酸化錫、酸化銅、酸化タングステン、酸化
アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化コバ
ルトなどが用いられる。ガス吸着膜の膜厚は0.01〜
1μm程度の場合に特に良好な特性が得られる。
【0015】本発明の方法においては、例えばヒーター
を用いて素子を昇温することによりガス吸着膜に吸着し
たガスを脱離させた後、所定の検出動作温度まで降温
し、検出動作温度における素子の特性変化に基づいて検
出対象となる分解ガスを検出する。
【0016】本発明の他の方法においては、素子を昇温
することによりガス吸着膜に吸着したガスを脱離させた
後、降温を開始し、降温中における素子の特性変化に基
づいて検出対象となる分解ガスを検出する。この方法で
は、所望の降温速度に制御できるように、降温手段とし
てペルチェ素子などの冷却素子を用いることが望まし
い。
【0017】いずれの方法でも、素子を検出動作温度を
超えて加熱することによりガス吸着膜からのガスの脱離
が促進され、短時間のうちにガス吸着膜の表面が初期状
態に再生されるので、測定回数を重ねても感度が低下し
ない。また、ガス吸着膜を構成する金属酸化物は熱化学
的に安定なので、多数回の昇温・降温を繰り返しても検
出に耐えることができる。
【0018】前者の方法の場合、素子の昇温時到達温度
及び検出動作温度はガス吸着膜及びガスの種類によって
異なるが、一般的に昇温時到達温度はガス吸着膜からガ
スが脱離さえすればよいので350℃以上好ましくは4
00℃以上に設定される。一方、検出動作温度はガス吸
着膜及びガスの種類に応じて設定される昇温時到達温度
と比較して十分低ければよく、室温〜400℃未満好ま
しくは室温〜350℃以下に設定される。ここで、検出
動作温度を高く設定した場合には、ガスの吸脱着が急速
に起こるため応答性の点では有利であるが、ガス濃度の
差に応じた検出出力の差が小さくなる傾向があり分解能
及びS/N比の点で不利である。逆に、検出動作温度を
室温程度に低く設定した場合には、ガスの吸着が徐々に
起こるため応答性の点では若干不利であるが、ガス濃度
の差に応じた検出出力の差が大きく分解能及びS/N比
の点で有利である。
【0019】後者の方法では、検出対象となるガスの濃
度と、降温中の所定時間内における素子特性の変化量
(差分)又は変化速度(微分値)との相関関係を利用し
てガスを検出する。
【0020】なお、いずれの方法でも、より高精度な結
果を得るために以下のようにして検出を行なってもよ
い。(a)検出用の素子に加えてこれと同一の特性を持
つ参照用の素子を用い、参照用素子をベローズなどの容
器に入れて分解ガスを含まない不活性ガス(例えばSF
6 )を充填し、温度及び圧力は両センサで同一になるよ
うに設定する。この場合、参照用素子には検出対象とな
る分解ガスが吸着しないので、検出用素子と参照用素子
との出力差を差動検出することにより高精度な結果が得
られる。(b)予め素子の特性変化の温度や圧力に対す
る依存性を測定した結果をメモリーに格納し、温度や圧
力の情報をもとにして実測した特性変化を補償すること
によっても高精度な結果が得られる。
【0021】本発明のガス検出装置は、周囲温度が変動
するような環境に置かれた例えばガス絶縁電気機器にそ
のまま接続してSF6 の分解ガスであるSOF2 を検出
するような場合に用いるものである。この装置では、金
属酸化物からなるガス吸着膜を設けた素子並びに上述し
た本発明の方法にしたがってこの素子を昇温するための
加熱手段及び素子を降温するための冷却手段を所定の容
器に収納する。容器内に収納された素子の周囲を検出対
象となる不活性ガスの分解ガスを含まない雰囲気にする
手段としては、真空排気系や、それまでに存在した雰囲
気をパージするための分解ガスを含まない不活性ガス
(例えばSF6 )のみを供給するガス供給系が挙げられ
る。容器内へは例えば電磁弁の開閉を制御することによ
り被検ガスを導入する。加熱手段、冷却手段、雰囲気調
整手段及び被検ガス導入手段は所定の駆動回路により駆
動する。この駆動回路は例えばメモリに記録された手順
に従って各機器を駆動するようにすることが好ましい。
素子の特性変化を電気信号に変換する手段としては、例
えば素子が水晶振動子である場合には通常の発振回路が
用いられる。
【0022】このような装置を用いれば、素子の昇温・
降温変化を常に一定に制御することができるので、周囲
温度の変動などの影響を受けることなくガスの検出が可
能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。 実施例1 図1に本実施例における水晶振動子式ガスセンサの概略
断面図を示す。図1において、1は水晶振動子板であり
市販の50MHzATカット水晶振動子板を用いてい
る。この水晶振動子板1の両面には電極2a、2bが設
けられている。各電極2a、2bの上面にはガス吸着膜
3a、3bが設けられ、かつ高耐熱性の導電性ペースト
4a、4bにより電極2a、2bにリード線5a、5b
が接着されている。図2にこの素子の平面図を示す。図
2に示すように、水晶振動子板1は円盤状であり、その
上に形成された電極2aはほぼ円形状でパッド部を有
し、その上にガス吸着膜3aが形成される。導電性ペー
スト4aは電極2aのパッド部に塗布される。裏面もこ
れと同様な構成となっている。
【0024】なお、電極2a、2bはクロム(Cr)下
地層の表面に金(Au)層を形成したものからなる。ガ
ス吸着膜3a、3bは酸化錫又は酸化銅からなってい
る。これらの各ガス吸着膜は、酸化錫の原料として2−
エチルヘキサン酸錫、酸化銅の原料として銅含有レジネ
ートを用い、以下のように熱分解法によって形成した。
まず、各々の原料をn−ブタノールに溶解して、所定濃
度の原料溶液を調製する。この原料溶液中に水晶振動子
板の全面を浸漬塗布した後、約120℃で30分間乾燥
し、さらに約500℃で30分間焼成して熱分解し、酸
化錫又は酸化銅からなる約0.4μmの膜厚のガス吸着
膜を形成する。
【0025】さらに、絶縁性の支持台11に固定された
リードピン12a、12b、12c、12dのうち、リ
ードピン12a、12bにリード線5a、5bを接続す
ることにより素子を保持している。また、リードピン1
2c、12dに支持用リードフレーム13を接続し、支
持用リードフレーム13に水晶振動子板1の両面に平行
に平板状のセラミックヒーター14a、14bを取り付
けている。さらに、ステンレス製の保護ネット15を設
けたキャップ16を支持台11に被せて内部の素子など
を保護している。以上のように実装してガスセンサ20
を作製した。
【0026】このガスセンサを用いて図3に示す検出系
を構成し、以下のようにして被検ガスの検出を行った。
まず、内容積2.5リットルの耐圧性密閉容器21の端
部にガスセンサ20を取り付ける。このガスセンサ20
を発振回路22によって駆動し、周波数測定器23によ
って共振周波数をモニターする。ガスセンサ20はリー
ド線12a、12bを介して発振回路22に接続されて
いる。発振回路22としては市販の50MHz用ICを
用いている。次に、密閉容器21の内部を真空排気した
後、ガスボンベ24から不活性ガスであるSF6 を充填
して1気圧に設定し、一定時間放置する。次いで、ヒー
ター14a、14bに通電し、30秒間ヒーター温度を
昇温して素子温度を約400℃にまで到達させた後、ヒ
ーター温度を降温して素子温度を約300℃として約2
0分間保持する。その後、密閉容器21内が所定の濃度
になるように所定体積の被検ガスをシリンジ25から注
入して、周波数変化量を調べる。被検ガスとしてはSF
6 の分解ガスの代表的成分の1つであるSOF2 、さら
にはSO2 、HCl、HFの4種類の難燃性ガスをそれ
ぞれ用いた。
【0027】上記のようにして、素子温度を400℃に
昇温後、300℃まで降温するという方法において、各
被検ガスの濃度を約20ppmに設定した場合、素子の
ガス吸着膜の種類と被検ガスの種類との組み合わせに応
じて検出された周波数変化量を下記表1に示す。表1に
示されるように、ガス吸着膜として酸化錫又は酸化銅を
用いたいずれの素子でも、それぞれのガスに対して十数
Hz〜数十Hzの周波数変化を示すことがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】さらに、被検ガスとして濃度20ppmの
SOF2 を用い、1〜2日の間隔で長期間にわたって測
定を実施した。図4に測定回数に対する周波数変化量を
示す。図4からわかるように、ガス吸着膜が酸化錫又は
酸化銅のいずれの素子でも、測定が100回にわたって
も周波数変化量は多少の過渡的な変動が見られる程度で
ほぼ一定しているとみなすことができ、検出の再現性が
高い。図4における周波数変化量は十分大きく、良好な
感度で20ppmのガス濃度を検出できることがわか
る。なお、他の被検ガスに対しても図4と同様な特性が
得られた。
【0030】実施例2 実施例1では素子を検出動作温度以上に昇温した後、所
定の検出動作温度まで降温して検出を行ったが、本実施
例では降温時の特性変化から分解ガスを検出する方法に
ついて説明する。なお、装置の構成は、実施例1におけ
る図1及び図3と同様である。
【0031】本実施例の方法では、まず密閉容器21の
内部を真空排気した後、ガスボンベ24から不活性ガス
であるSF6 を充填して1気圧に設定し、一定時間放置
する。次いで、ヒーター14a、14bに通電し、30
秒間ヒーター温度を昇温して素子温度を約400℃にま
で到達させた後、ヒーターの通電を停止して素子の降温
を開始する。その後、密閉容器21内が所定の濃度にな
るように、所定体積の被検ガス(SOF2 )をシリンジ
25から注入し、素子の降温に伴う発振周波数変化を周
波数測定器で測定する。なお、予めSOF2 濃度0pp
m(SOF2 を注入しない場合)について、素子の降温
に伴う発振周波数変化を測定しておく。
【0032】図5にSOF2 濃度が0ppm及び20p
pmの場合について、ガス注入後の発振周波数変化の様
子を示す。この図からわかるように、SOF2 を注入し
た場合の方が、降温に伴う発振周波数の低下速度が速い
ことがわかる。従って、例えばある設定時間内における
被検ガスを注入しない時の周波数の低下速度と被検ガス
を注入した時の周波数の低下速度との差(測定条件が同
じ場合、周波数変化量の差)に基づいてガス濃度を検出
できる。
【0033】図6にSOF2 濃度を0ppm及び20p
pmとして交互に100回検出を繰り返した時の発振周
波数低下量を示す。図6から明らかなように、測定を繰
り返しても0ppm、20ppmともほぼ周波数低下量
の変動はほとんどなく、ほぼ一定の値を示しており、検
出の再現性が高い。また、図6における周波数低下量の
差は十分大きく、良好な感度で20ppmのガス濃度を
検出できることがわかる。
【0034】実施例3 実施例2の方法は周囲の環境(温度など)が一定してい
ることを前提にしているが、実際にSF6 の分解ガスを
検出すべきガス絶縁電気機器などは自然環境下に設置さ
れていることが多く、このような場合には周囲温度の変
動に伴って素子の放熱条件が変動することが考えられ
る。また、周囲温度が変動しない場合でも検出周期が変
化すると、素子の蓄熱状態が変化して昇温時到達温度や
降温時の冷却速度が変化し、検出特性に変動をもたらす
ことが考えられる。本実施例では、このような変動を補
償してSF6 分解ガスを検出できる装置及び方法につい
て説明する。
【0035】図7は本実施例におけるガスセンサの配置
を示す断面図である。配管の一部にガスセンサの収納室
を設けた構造の真空容器31内にガスセンサ20を設置
し、ガスセンサの周囲に冷却素子としてペルチェ素子3
2を、ヒーター近傍に温度センサとして熱電対33を実
装している。
【0036】図8は図7のガスセンサを用いて例えばガ
ス絶縁遮断器(GIS)で発生した分解ガスをオフライ
ンで検出する装置の一例を示す構成図である。図8にお
いて、真空容器31のガス導入口側にフィルター41、
圧力調整器42及び電磁弁43を設ける。真空容器31
の排気側に電磁弁44、吸着剤45及び真空ポンプ46
を設ける。電磁弁43及び電磁弁44のそれぞれの外側
の配管に電磁弁47を設けたバイパス配管を接続する。
発振回路48によりガスセンサ20の水晶振動子板に電
圧を印加し、その発振周波数変化を電気信号に変化す
る。ガスセンサ20のヒーター14a、14b及びペル
チェ素子32並びに電磁弁43、44、47及び真空ポ
ンプ46を駆動回路49により駆動する。この駆動回路
49は熱電対33にも接続している。検出制御回路50
により発振回路48及び駆動回路49を制御する。検出
制御回路50に表示装置51及び記録装置52を接続す
る。検出制御回路50には電源53から電力を供給す
る。一方、ガス絶縁遮断器(GIS)100のガス採取
口には開閉弁101が設けられている。そして、真空容
器31のガス導入口とGIS100のガス採取口とをク
イックジョイント102により接続する。
【0037】検出制御回路50は予め不揮発性メモリ
(ROM)に記録された手順に基づき基準クロックのタ
イミングに従って駆動回路49に制御信号を出力し、駆
動回路49は個々の機器を駆動する。検出制御回路50
は発振回路48からの出力と予め測定されROMに記録
された標準サンプルに関する検出データとを比較できる
ように表示装置51及び記録装置52へ出力する。
【0038】以下にこの検出装置を用いて、GIS内部
のガス検出を実施する手順を説明する。なお、ここでは
センサの状態チェックとガス検出動作とを交互に行う。
クイックジョイント102を接続して検出装置をセッテ
ィングした後、電源53をオンして検出制御回路50を
動作させる。前述したように検出制御回路50は駆動回
路49に制御信号を出力し、駆動回路49は個々の機器
を駆動する。これにより、まず真空ポンプ46が排気動
作を開始する。わずかな時間をおいて電磁弁43、4
5、47が開き、配管及び真空容器31が排気される。
次に、ヒーター14a、14bへの通電が開始して素子
を昇温し、熱電対33の信号を参照しながら素子を所定
の温度で一定時間保持する。次いで、ヒーター14a、
14bへの通電を停止し、熱電対33の信号を参照しな
がらペルチェ素子32により冷却して素子を所定の温度
まで冷却する。その後、電磁弁43、45、47が閉
じ、真空ポンプ46が停止する。この間、検出制御回路
50は発振回路48の出力変化を検出する。
【0039】この検出結果とROMに記録されているデ
ータとの比較によりセンサの状態チェックがなされ、こ
れ以降の動作条件が決定される。ここで、検出信号が分
解ガスが存在しない時のデータから外れている場合は、
再度上述した真空ポンプによる排気からの動作を繰り返
す。一方、検出信号が分解ガスが存在しない時のデータ
に一致する場合には、開閉弁101の開閉を要求する信
号を表示装置51に出力する。開閉弁101を開き、了
解の信号が入力されたら検出動作が開始する。
【0040】検出動作では、電磁弁24が開き、GIS
100からのガスが圧力調整器42で圧力調整され、フ
ィルター41で微粒子が除去された状態で、一定時間だ
け真空容器31内へ導入される。そして、発振回路48
からの出力を検出制御回路50において標準データと比
較した信号を表示装置51及び記録装置52へ出力す
る。必要に応じて以上の検出動作を繰り返す。
【0041】試験的な検出を実施する目的で、GIS内
においてSF6 ガスの分解によるSOF2 の生成量がほ
ぼ20ppmになる条件で放電させた。この処理後のG
IS中のガスを上記の検出装置を用いて繰り返し検出し
た。図9に検出装置の周囲温度が10℃又は40℃の環
境において、昇温時到達温度400℃、降温時のペルチ
ェ素子の温度を20℃として検出を繰り返した時の検出
装置の濃度表示値の変化を示す。図9から周囲温度が1
0℃及び40℃のいずれの場合でも、100回の検出を
行なってもほぼ一定の感度でガス濃度を検出できること
がわかる。
【0042】なお、本実施例においては、1つのガスセ
ンサのみを用いた場合の動作例について説明したが、ガ
スセンサを複数個用いて交互に使用すれば検出時間を短
縮できる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、不
活性ガス中に存在するその分解ガスなどを高感度かつ長
期的に検出できるガス検出方法及びその装置を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における水晶振動子式ガスセ
ンサの概略断面図。
【図2】同水晶振動子式ガスセンサの素子部の平面図。
【図3】本発明の実施例1におけるガス検出系の構成
図。
【図4】本発明の実施例1においてSOF2 ガスを検出
した場合の測定回数と周波数変化量との関係を示す特性
図。
【図5】本発明の実施例2においてSOF2 ガスを検出
した場合の降温中での発振周波数の変化を示す特性図。
【図6】本発明の実施例2においてSOF2 ガスを検出
した場合の測定回数と周波数変化量との関係を示す特性
図。
【図7】本発明の実施例3におけるガスセンサ部分の断
面図。
【図8】本発明の実施例3におけるガス検出系の構成
図。
【図9】本発明の実施例3においてSF6 中のSOF2
ガスを検出した場合の測定回数とガス濃度との関係を示
す特性図。
【符号の説明】
1…水晶振動子板、2a、2b…電極、3a、3b…ガ
ス吸着膜、4a、4b…導電性ペースト、5a、5b…
リード線、11…支持台、12a、12b、12c、1
2d…リードピン、13…支持用リードフレーム、14
a、14b…セラミックヒーター、15…保護ネット、
16…キャップ、20…ガスセンサ、21…耐圧性密閉
容器、22…発振回路、23…周波数測定器、24…ガ
スボンベ、25…シリンジ、31…真空容器、32…ペ
ルチェ素子、33…熱電対、41…フィルター、42…
圧力調整器、43、44、47…電磁弁、45…吸着
剤、46…真空ポンプ、48…発振回路、49…駆動回
路、50…検出制御回路、51…表示装置、52…記録
装置、53…電源、100…ガス絶縁遮断器(GI
S)、101…開閉弁、102…クイックジョイント。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物からなるガス吸着膜を設けた
    素子を用い、素子の特性変化に基づいて不活性ガス中に
    存在するその分解ガスを検出するにあたり、昇温するこ
    とによりガス吸着膜に吸着したガスを脱離させた後、所
    定の検出動作温度まで降温し、検出動作温度における素
    子の特性変化に基づいて前記分解ガスを検出することを
    特徴とするガス検出方法。
  2. 【請求項2】 金属酸化物からなるガス吸着膜を設けた
    素子を用い、素子の特性変化に基づいて不活性ガス中に
    存在するその分解ガスを検出するにあたり、昇温するこ
    とによりガス吸着膜に吸着したガスを脱離させた後、降
    温を開始し、降温中における素子の特性変化に基づいて
    前記分解ガスを検出することを特徴とするガス検出方
    法。
  3. 【請求項3】 前記素子として振動子板を用い、降温中
    における素子の特性変化として発振周波数の変化量を用
    いて分解ガスを検出することを特徴とする請求項1又は
    2記載のガス検出方法。
  4. 【請求項4】 降温手段として冷却素子を用いることを
    特徴とする請求項2記載のガス検出方法。
  5. 【請求項5】 金属酸化物からなるガス吸着膜を設けた
    素子、前記素子を加熱する手段及び前記素子を冷却する
    手段を収納する容器と、前記素子の周囲を検出対象とな
    る不活性ガスの分解ガスを含まない雰囲気に調整する手
    段と、前記容器内に被検ガスを導入する手段と、前記加
    熱手段、冷却手段、雰囲気調整手段及び被検ガス導入手
    段を駆動する手段と、前記素子の特性変化を電気信号に
    変換する手段とを具備したことを特徴とするガス検出装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007533953A (ja) * 2003-11-13 2007-11-22 テクニシェ・ユニバーシテート・クラウシュタール センサ、センサ機構、および測定方法
JP2007304086A (ja) * 2006-03-31 2007-11-22 Sony Deutsche Gmbh バッテリの漏洩を検出する装置
JP2008502911A (ja) * 2004-06-12 2008-01-31 アクバイオ・リミテッド センサおよび較正要素のアレイを備えた分析機器
JP2009300095A (ja) * 2008-06-10 2009-12-24 Shimizu Corp 汚染濃度計測装置
CN108169324A (zh) * 2018-01-22 2018-06-15 上海灵磐电子科技有限公司 基于石英晶体微天平的气敏材料评估装置

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