JPH0818896A - 曲面鏡型表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鏡面膜の裏表の気圧差を利用した曲面鏡に、
画像（映像）を投射して表示する曲面鏡型表示装置を改
良して、臨場感を向上させる。 【構成】 鏡面膜３をエンクロージャ２に張設して、張
設された鏡面膜３の裏表に気圧差を設けて曲面鏡１と
し、この曲面鏡１にフロントプロジェク５からの被写体
像を投射して表示装置とする。投射表示される被写体像
に応じて、真空ポンプ４のパワーを制御して、気圧差を
調整する。画像の内容に応じて、鏡面膜３の曲面率
（ａ，ｂ，ｃの状態）を制御調整して、表示される画像
の視覚的遠近感（Ａ，Ｂ，Ｃの状態）を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鏡面膜の裏表の気圧差
を利用した曲面鏡に、被写体像を投射して表示する曲面
鏡型表示装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、フライトシミュレータなどでは、
画面拡大型の表示装置が使われるようになりはじめてい
る。画面拡大型の表示装置は、比較的大型の凹面鏡に画
像（被写体）を投射投影し、遠焦点虚像を目視するよう
にして、画面を拡大して表示するものである。

【０００３】このような表示装置では、比較的大型の凹
面鏡が要求される。そのため、最近では、凹面鏡（曲面
鏡）として、金属蒸着膜などの鏡面膜の表裏の大気圧の
差を利用して膜面を変化させた球面状の鏡（凹面鏡）が
ある。表面が反射面とされた鏡面膜をエンクロージャに
張設密閉し、エンクロージャ内の圧力を調整して、気圧
差（大気圧差）により鏡面膜を凹面状（または凸面状）
としている。そして、鏡面鏡の鏡面精度を向上させるた
めの改良が色々と行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような画面拡大型の表示装置（凹面鏡型表示装置）で
は、基本的な目的が奥行き感のあるリアルな画像を得る
ことであるので、凹面鏡の焦点は、視覚上最も自然に見
える位置に固定されている。このため、画面が単調なも
のとなりやすく、画像（被写体像）の内容によっては、
臨場感がとぼしいものとなっていた。

【０００５】そこで、本発明は、映画，ビデオ，ゲーム
などのソフトウェアの内容とリンクして遠近感を変化さ
せて、臨場感を向上させた画面拡大型の表示装置を提供
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、鏡面膜をエンクロージャに張設して、張
設された鏡面膜の裏表に気圧差を設けて曲面鏡とし、こ
の曲面鏡に被写体像を投射する表示装置において、投射
表示される被写体像に応じて鏡面膜の曲面率を調整し
て、被写体像の視覚的遠近感を変化させるようにしたこ
とを特徴とする曲面鏡型表示装置を提供するものであ
る。

【０００７】さらに、鏡面膜への気圧差を制御して、鏡
面膜の曲面率を調整するようにしたことを特徴とする前
記に記載の曲面鏡型表示装置を提供するものである。

【０００８】また、鏡面膜への張力を制御して、鏡面膜
の曲面率を調整するようにしたことを特徴とする前記に
記載の曲面鏡型表示装置を提供するものである。

【０００９】さらに、被写体像となる画像信号と共に、
被写体像の視覚的遠近感を制御する制御信号が同期して
記録されたことを特徴とする情報記録媒体を提供するも
のである。

【００１０】

【作用】上記のように構成された曲面鏡型表示装置によ
れば、投射表示される被写体に応じて鏡面膜への気圧差
（または張力）が制御され、鏡面膜の曲面率が変化調整
される。鏡面膜の曲面率が変化すると、鏡面膜の焦点距
離が変化して、被写体の視覚的遠近感が変化する。

【００１１】

【実施例】本発明になる曲面鏡型表示装置の一実施例を
以下図面と共に詳細に説明する。図１は曲面鏡型表示装
置の構成図、図２は曲面鏡型表示装置に使用される曲面
鏡で、鏡面膜の裏表に気圧差を設けて構成した曲面鏡の
構成図である。

【００１２】本曲面鏡型表示装置は、曲面鏡に拡大され
奥行き感のある遠焦点虚像を生じさせて、視聴者に視覚
的遠近感がある画像を目視させる装置である。曲面鏡型
表示装置に使用される曲面鏡は、金属蒸着膜などの鏡面
膜の表裏の大気圧の差を利用して膜面を変化させて、球
面状とした曲面鏡（凹面鏡）である。曲面鏡（凹面鏡）
の焦点距離を変化させることにより、被写体像の視覚的
遠近感を変化させて臨場感を向上させている。

【００１３】図２（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、鏡面
膜を利用した曲面鏡１とは、エンクロージャ２の切欠き
部２ａに鏡面膜３をその支持形状が円形となるように張
設し、鏡面膜３に対して半径方向に放射状の張力を与
え、真空ポンプ４により鏡面膜の表裏の気圧ｅ，ｆに差
を設けて、膜面を略々球面状としたものである。真空ポ
ンプ４を減圧側に働かせれば（例えば、大気圧と数パー
セントの差を持たせれば）、鏡面膜３の膜面は凹面とな
る。なお、鏡面膜３は金属蒸着フィルムなどである。

【００１４】そして、図１に示すように、曲面鏡１は、
フロントプロジェクタ５，スクリーン６，ビデオレコー
ダ（ＶＴＲ）７により曲面鏡型表示装置がシステム構成
される。ビデオレコーダ７からの画像は、フロントプロ
ジェクタ５からスクリーン６に投射され、さらに、スク
リーン６上の画像が曲面鏡１に投射投影される。

【００１５】このとき、曲面鏡（凹面鏡）１の焦点距離
に応じた、拡大されかつ奥行き感のある遠焦点虚像（被
写体像）が生じる。例えば、基準の焦点位置である鏡面
膜３がｂ状態の時では、視聴者Ｍは中間位置に視覚的遠
近感が生じた画像Ｂを目視することになる。このよう
に、画像（被写体像）の大きさ及び奥行き感は形成され
ている曲面鏡（凹面鏡）１の焦点距離に依存する。

【００１６】このシステム構成において、真空ポンプ４
で強く引いたときには（または、後述するように鏡面膜
３を弱い張力で張ったときには）、鏡面膜３はａ状態で
焦点距離は短くなり、その結果、大きく奥行き感のある
画像Ａが得られる。逆に、真空ポンプ４で弱く引いたと
きに（または、後述するように鏡面膜３を強い張力で張
ったときに）、鏡面膜３はｃ状態で焦点距離は長く、そ
の結果、大きさ及び奥行き感が小さい画像Ｃが得られ
る。

【００１７】よって、曲面鏡（鏡面膜）の曲面率（すな
わち焦点距離）の制御調整を、画像（ＶＴＲ７からのソ
フトウェア）の内容に応じて行えば、被写体像の奥行き
感（すなわち視覚的遠近感）が変化して、従来にない効
果が得られることになる。

【００１８】そこで、被写体像の視覚的遠近感を制御す
る制御信号（すなわち鏡面膜の曲面率を調整するコント
ロール信号）をソフトウェアの内容（画像）と同期させ
て、あらかじめはテープ（情報記録媒体）Ｓに記録して
おく。例えば、オーディオの空きチャンネル，コントロ
ールパルスのデューティー比などの形でテープ上に画像
と共に記録しておく。例えば、前記した３パターンに制
御可能とし、中間位置の遠近感Ｂ，近い位置の遠近感
Ｃ，遠い位置の遠近感Ａとする。そして、通常は中間位
置の遠近感Ｂとし、ロケットやミサイルが飛び去るシー
ンでは遠い位置の遠近感Ａとし、自動車が衝突するシー
ンでは近い位置の遠近感Ｃとしたコントロール信号ＣＴ
を、画像信号と同期させて予めテープＳに記録してお
く。

【００１９】そして、ＶＴＲ７でテープＳを再生し、再
生信号を信号分離手段８で画像信号とコントロール信号
ＣＴとに分離して、コントロール信号ＣＴで真空ポンプ
４の電源電圧（パワー）を切り換える。なお、２０Ｖの
中間パワーでは曲率標準ｂとなって中間位置の遠近感Ｂ
となり、３０Ｖの強いパワーでは曲率大ａとって遠い位
置の遠近感Ａとなり、１０Ｖの弱いパワーでは曲率小ｃ
となって近い位置の遠近感Ｃとなるように構成されてい
る。

【００２０】このように、映画，ビデオ，ゲームなどの
ソフトウェアの内容と同期して遠近感の変化させれば、
極めて臨場感が向上した表示装置となる。

【００２１】続いて、曲面鏡（凹面鏡）の曲面率（すな
わち焦点距離）の制御調整手段について詳述する。図１
に示す例では、コントロール信号で真空ポンプ４のパワ
ーを調整することにより、気圧差を変えて焦点距離を制
御調整したが、以下図３〜図５に示すような構成でコン
トロール信号により焦点距離を制御調整しても良い。

【００２２】図３（Ａ）は、真空ポンプ４に向かう空気
の流量を調整するバルブ１０をコントロール信号ＣＴに
よって制御調整した構成で、多段階に連続的に制御する
のに適した構成である。

【００２３】図３（Ｂ）は、エンクロージャ２に入り込
む外気の流入量を調整するバルブ１１をコントロール信
号ＣＴによって制御調整した構成で、図３（Ａ）の構成
と同様に制御することができる。

【００２４】また、図４（Ａ）のように、エンクロージ
ャ２に開放孔１２と扉１３を設け、扉１３の機械的な開
閉をコントロール信号ＣＴによって行っても良い。この
構成では、エンクロージャ２内の気圧を急激に上げ焦点
距離を長くして、被写体像の視覚的遠近感を直ちに近く
にすることができる。したがって、ゲームなどの追突，
墜落などのシーンに効果的である。急激に大きさ及び奥
行き感を上昇させる効果が得られるので、色々と利用で
きる。なお、扉１３に限らず、急激な空気流入が可能な
ギャップ、バルブなどでも構わない。

【００２５】さらに、図４（Ｂ）は、上記した図４
（Ａ）と類似した構造であるが、この実施例では外気を
取り込むのでなく、エンクロージャ２の隣に気圧の低い
部屋１４を設けたものである。そして、エンクロージャ
２と部屋１４との間に、開放穴１２と扉１３とを設けて
仕切り、扉１３の機械的な開閉をコントロール信号ＣＴ
によって行う。このような構造にすると、エンクロージ
ャ２内の気圧を急激に下げ焦点距離を短くして、被写体
像の視覚的遠近感を直ちに遠くにすることができる。し
たがって、ゲームなどでロケットやミサイルが飛び去る
シーンに効果的である。急激に大きさ及び奥行き感を降
下させる効果が得られるので、色々と利用できる。

【００２６】また、図５（Ａ）及び（Ｂ）に示すよう
に、鏡面膜３の張力をコントロール信号ＣＴで調整して
も焦点距離の調整は可能である。例えば、図５（Ａ）の
ように、エンクロージャ２の外側にリング状の支点１６
を固定し、鏡面膜３の周辺部をリング状の支点１６を介
して複数個のアクチュエータ１５で引っ張るように構成
しておく。アクチュエータ１５で鏡面膜３の周辺部を図
中ｉ，ｊ方向に微動させ、鏡面膜３の張力を制御する。
コントロール信号ＣＴでアクチュエータ１５を制御する
と焦点距離を調整でき、前記した実施例と同様に被写体
像の視覚的遠近感を制御できる。

【００２７】また、図５（Ｂ）のように、エンクロージ
ャ２の外側に複数個のアクチュエータ１７を固定し、ア
クチュエータ１７のアーム１９の先端に可動自在なリン
グ１８を設ける。リング１８により張設された鏡面膜３
の円周縁部を押圧して、アクチュエータ１７でアーム１
９を図中ｉ，ｊ方向に微動させ、鏡面膜３を加圧して、
張力を制御しても良い。

【００２８】なお、コントロール信号ＣＴで、気圧差を
変えると共に張力を変えて、焦点距離を制御調整して、
被写体像の視覚的遠近感を制御しても良い。

【００２９】また、被写体像の視覚的遠近感を制御する
と、遠近感（奥行き感）と共に、その大きさが変化し
て、遠い位置では像が大きくなり、近い位置では像が小
さくなるので、視覚的遠近感の制御と共に像の大きさを
同期させて変化させても良い。

【００３０】予めソフトウエア作成時に、または、フロ
ントプロジェクタ５の再生時に拡大縮小レンズなどを使
用して、遠い位置では像が小さくし、近い位置では像を
大きくするようにしても良い。例えば、ロケットやミサ
イルが飛び去るシーンでは、視覚的遠近感を遠い位置と
して像を小さくし、自動車が衝突するシーンでは視覚的
遠近感を近い位置として像を大きくする。

【００３１】

【発明の効果】投射表示される被写体像に応じて鏡面膜
の曲面率を調整して、被写体像の視覚的遠近感を変化さ
せるようにしたので、従来と比較して臨場感が向上した
表示装置となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる曲面鏡型表示装置の一実施例を説
明する構成図である。

【図２】曲面鏡型表示装置に使用される曲面鏡で、鏡面
膜の裏表に気圧差を設けて構成した曲面鏡の構成図であ
る。

【図３】気圧差を変えて焦点距離を制御調整する構成を
説明する図である。

【図４】気圧差を変えて焦点距離を制御調整する別の構
成を説明する図である。

【図５】張力を変えて焦点距離を制御調整する構成を説
明する図である。

【符号の説明】

１ 鏡面膜を利用した曲面鏡 ２ エンクロージャ ３ 鏡面膜 ４ 真空ポンプ ５ フロントプロジェクタ ６ スクリーン ７ ビデオレコーダ（ＶＴＲ） ａ 曲率大の状態 ｂ 曲率標準の状態 ｃ 曲率小の状態 Ａ 遠い位置の遠近感の状態（大きく奥行き感のある画
像） Ｂ 中間位置に視覚的遠近感が生じた画像 Ｃ 近い位置の遠近感の状態（大きさ及び奥行き感が小
さい画像） Ｍ 視聴者 Ｓ テープ（情報記録媒体） ＣＴ コントロール信号

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鏡面膜をエンクロージャに張設して、張設
   された鏡面膜の裏表に気圧差を設けて曲面鏡とし、この
   曲面鏡に被写体像を投射する表示装置において、 投射表示される被写体像に応じて鏡面膜の曲面率を調整
   して、被写体像の視覚的遠近感を変化させるようにした
   ことを特徴とする曲面鏡型表示装置。
2. 【請求項２】鏡面膜への気圧差を制御して、鏡面膜の曲
   面率を調整するようにしたことを特徴とする請求項１に
   記載の曲面鏡型表示装置。
3. 【請求項３】鏡面膜への張力を制御して、鏡面膜の曲面
   率を調整するようにしたことを特徴とする請求項１に記
   載の曲面鏡型表示装置。
4. 【請求項４】被写体像となる画像信号と共に、被写体像
   の視覚的遠近感を制御する制御信号が同期して記録され
   たことを特徴とする情報記録媒体。