JPH08188854A - 高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステンレス鋼

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JPH08188854A
JPH08188854A JP209795A JP209795A JPH08188854A JP H08188854 A JPH08188854 A JP H08188854A JP 209795 A JP209795 A JP 209795A JP 209795 A JP209795 A JP 209795A JP H08188854 A JPH08188854 A JP H08188854A
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fatigue
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Akio Yamamoto
章夫 山本
Takeshi Takada
健 高田
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト
系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 重量%で、C≦0.02%、Si:0.1〜
1.5%、Mn≦1.0%、Cr:11.0〜22.0
%、Al:0.005〜0.01%未満、N≦0.01
5%、さらに必要によりTi≦0.6%、Nb≦1.0
%の1種以上、またMo≦2%、Cu≦1.5%、Ni
≦1.5%の1種以上を含む高温疲労特性の優れたベロ
ーズ用フェライト系ステンレス鋼。 【効果】 本願発明により、高価なNiを含まない安価
で耐応力腐食割れ性が優れかつ高温での疲労特性の優れ
たフェライト系ステンレス鋼のベローズが製造可能とな
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベローズ用のフェライ
ト系ステンレス鋼に関するものである。フェライト系ス
テンレス鋼のベローズは、従来のオーステナイト系ステ
ンレス鋼のベローズに対して耐応力腐食割れ性が極めて
優れている特徴を有する。しかし、自動車の排気管のつ
なぎ部分などの高温部分に用いられるベローズや、高温
溶液用配管のつなぎ部分などの耐食性を要求される部分
に用いられるベローズでは、高温での疲労や腐食疲労が
発生しやすい。本発明は、このような疲労破壊の発生し
やすい高温環境で用いられるベローズへの加工に最適
な、高温疲労特性を改善したベローズ用フェライト系ス
テンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】気体や液体あるいは粉体を扱う種々の機
械装置では、それらの移動を金属配管を介して行なうこ
とが大半である。そして、その配管の途中には熱膨張に
よる歪を吸収したり振動を吸収して伝達を防止するため
にベローズが用いられている。従来、このベローズには
銅やオーステナイト系ステンレス鋼などが用いられてき
た。この理由は、ベローズ構造への加工が他の金属では
困難であったためである。すなわち、銅やオーステナイ
ト系ステンレス鋼は、冷間での伸びが大きく、伸びによ
って成形されるバルジ加工を適用するベローズには最適
の材料である。これに対して、炭素鋼などのbcc結晶
からなる金属は延性特に溶接部の延性が不足するためバ
ルジ加工ができなかった。
【0003】一方、オーステナイト系ステンレス鋼製の
ベローズは、製造は容易であるものの、内部を通る腐食
性の溶液によっては応力腐食割れが発生しやすいという
欠点があった。これは、ベローズは管の凸部分の山と凹
部分の谷の曲げによって歪や振動を吸収するために、凸
部分と凹部分には必ず応力が掛かる。すなわち、応力の
除去は不可能な構造、部品である。それにもかかわらず
オーステナイト系ステンレス鋼は、応力腐食割れ感受性
の高い合金である。このため、オーステナイト系ステン
レス鋼製のベローズは応力腐食割れが極めて発生しやす
いという欠点があった。
【0004】応力腐食割れを回避するために、応力腐食
割れ感受性の低い材料を用いるか、構造的に応力腐食割
れを起きにくい構造すなわち応力付加が残らない構造と
するかのどちらかであった。オーステナイト系ステンレ
ス鋼の応力腐食割れ感受性を低減するためには、例えば
特開昭49−107915号に記載されているように、
Ni含有量を増加させ、Cr,N,Mo,Pを低減する
ことが提案されている。しかし、このような鋼を用いて
も応力腐食割れ発生までの時間が相応に伸びるだけで応
力腐食割れの発生を防止するまでには至らなかった。
【0005】一方、構造的にはベローズの凹凸の数を増
やしたり凹部や凸部の曲げ角度を小さくすることで、応
力を分散して一つ一つの凹部ないし凸部に掛かる応力を
低下させることが考えられている。しかしこの方法は、
ベローズが大きくなったり長くなってその結果装置も大
きくする必要があるなど、コストが高くなる欠点があっ
た。しかも、それでも応力腐食割れの感受性は解消せ
ず、環境によっては応力腐食割れに悩まされてきた。
【0006】これに対して本発明者らは、フェライト系
ステンレス鋼の延性を限定して事実上応力腐食割れ感受
性を解消したベローズを製造することに成功した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フェライト系
ステンレス鋼のベローズにおいては、高温で使用すると
極めて短時間で、主としてベローズの山部分で疲労ない
し腐食疲労と思われる破壊を起こす現象が認められた。
破面を調査した結果、表面層の起点と思われる部位から
わずかではあるが酸化物が認められ、破壊は極めて軽度
の内部酸化が起点となった疲労ないし腐食疲労と推定さ
れた。
【0008】そこで、素材の耐酸化性を改善するため
に、従来知見に基づいてAlの添加を試みたものの、ベ
ローズへの加工が困難となる上に、なんとか加工できた
ベローズも破壊までの時間はむしろ逆に短時間化するこ
とが判明した。さらに、これらの素材は、単に高温に放
置するだけでは内部酸化は認められない。従って、素材
の段階でわずかに残る酸化層や表面の凹凸が原因と推定
してベローズへの加工の前に全面を約5μmバフ研磨し
て評価したが改善効果は認められたものの、大きな効果
はなかった。
【0009】このように、フェライト系ステンレス鋼の
ベローズに発生する破壊は、加工残留応力が存在し、さ
らに応力が加わることによって、内部酸化と疲労が同時
に促進される破壊であり、機械的な応力(残留歪と付加
応力)によって化学的な反応が促進されるという点では
応力腐食割れに相当するいわば応力酸化割れともいえる
現象であり、従来経験したことのない全く新しい破壊現
象に遭遇したのである。本発明は、この新しい破壊現象
の機構を明らかにしその原因を見出し、それを基に疲労
ないし腐食疲労と思われる破壊事故の発生を防止するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フェライ
ト系ステンレス鋼のベローズに発生する破壊が、残留歪
と付加応力によって促進された疲労試験中に発生する内
部酸化が起点となった疲労と推定し、残留歪と付加応力
で促進される内部酸化の防止方法を検討した。まず、破
壊の起点と思われる部分で認められた酸化物を詳細に検
討した結果、Alの酸化物が認められることが判明し
た。
【0011】そこで、C:0.012〜0.0013
%、Si:0.25〜0.27%、Mn:0.25〜
0.27%、Cr:12.6〜12.9%、N:0.0
075〜0.0096%を含み、かつAlの添加量の
0.001%から0.05%に変えたフェライト系ステ
ンレス鋼の冷延焼鈍板を用意し、700℃にて残留歪も
応力も付与しない状態での耐高温酸化試験と引張加工付
与後の高温疲労試験を行ない、Alの影響を検討した。
【0012】その結果、引張加工付与後の高温疲労試験
の場合、酸化増量に対してはAlの影響は認められなか
ったものの、Alを増加させるとわずかではあるが内部
酸化が生ずることが認められた。そしてこの内部酸化
は、Alの酸化物であることがわかった。内部酸化は、
粒内ばかりでなく粒界にも認められた。一方、応力を付
与しない状態での耐高温酸化試験では、内部酸化や酸化
増量に対してAlの影響はほとんど認められなかった。
【0013】前述したように、Alはフェライト系ステ
ンレス鋼の耐酸化性を向上させる元素であることが公知
であり、事実Alを添加した耐高温酸化ステンレス鋼が
開発され、既に実用化されてから久しい。しかるに、残
留歪と応力が加わると、公知知見とは全く逆にAlによ
ってわずかではあるが内部酸化が発生しやすくなり、劣
化することが明らかとなったのである。このような機構
で、Alを増量すると疲労ないし腐食疲労の起点の生成
が促進され、結果として破壊までの時間が極めて短時間
化したものと考えている。なお、起点発生後の亀裂進展
速度については、現状ではAlの影響は明確ではない。
【0014】ところで、疲労や腐食疲労の起点には、硬
質介在物や粗大な析出物が悪影響を及ぼす。鋼の脱酸が
不十分な場合、粗大な酸化物系の介在物が鋼中に残留
し、破壊の発生起点となって高温での疲労や腐食疲労特
性が劣化することは、炭素鋼などの経験から容易に考え
られる。従って、必要とする脱酸を確実にするために、
Alの添加は不可欠である。
【0015】本発明は、この知見に基づいてなされたも
のである。すなわち、本発明は、 1)重量%で、C :0.02%以下、
Cr:11.0%以上22.0%以下、Al:0.005%
以上0.01%未満、N :0.015%以下を含む高温
疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステンレス鋼
である。
【0016】ベローズ使用温度が600〜900℃にな
ると、素材中の常温では析出していたCrの炭窒化物が
再固溶し、改めて粒界などに再析出しさらに粗大化し
て、素材の強度を低下せしめ疲労や腐食疲労の起点とな
る。製造時に素材の段階で、この温度域では固溶しない
炭化物ないし窒化物として固定しておくことで、粒界へ
の再析出はなくなる。そこでTi,Nbを添加し、Cや
Nを高温で安定なTiやNbの炭窒化物に変えることを
考えた。さらにこのような高温になると、例えば自動車
の排気系のように、環境中に存在する種々の塩が付着溶
融して溶融塩腐食が発生する。この場合、耐酸化性とと
もに、いわゆる耐溶融塩腐食性が要求される。溶融塩腐
食に対しては、Siを適量添加し安定なSiの酸化物皮
膜を形成することが有効であることがわかった。
【0017】この考えに従って、自動車の排気系のよう
に600〜900℃の環境で使用することを狙った実施
態様として、第2の発明を完成した。すなわち、 2)重量%で、C :0.02%以下、
Si:0.1%以上1.5%以下、Mn:1.0%以下、
Cr:11.0%以上22.0%以下、
Al:0.005%以上0.01%未満、N :0.01
5%以下を含有し、さらにTi:C含有量とN含有量の
和の4倍以上でかつ0.6%以下、Nb:C含有量とN
含有量の和の8倍以上でかつ1.0%以下の1種以上を
含み、その他不可避不純物およびFeから成る高温疲労
特性の優れたベローズ用フェライト系ステンレス鋼であ
る。
【0018】また、ベローズは化学薬品を用いる部品と
して使用されることが多い。この場合、要求される耐食
性に応じて従来から認められている耐食性向上元素を添
加することが可能である。この考えに従って、高い耐食
性を要求される用途を狙った実施態様として、第3およ
び第4の発明を完成した。すなわち、 3)重量%で、C :0.02%以下、
Cr:11.0%以上22.0%以下、Al:0.005%
以上0.01%未満、N :0.015%以下を含有し、
さらにMo:2%以下、 Cu:1.
5%以下、Ni:1.5%以下の1種以上を含む高温疲労
特性の優れたベローズ用フェライト系ステンレス鋼であ
り、
【0019】4)重量%で、C :0.02%以下、
Si:0.1%以上1.5%以下、Mn:1.
0%以下、 Cr:11.0%以上2
2.0%以下、Al:0.005%以上0.01%未満、
N :0.015%以下を含有し、さらにTi:C含有量
とN含有量の和の4倍以上でかつ0.6%以下、Nb:
C含有量とN含有量の和の8倍以上でかつ1.0%以下
の1種以上を含み、またさらにMo:2%以下、
Cu:1.5%以下、Ni:1.5%以下の
1種以上を含み、その他不可避不純物およびFeから成
る高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステン
レス鋼である。
【0020】次に、本発明の限定条件を示す。ベローズ
用のフェライト系ステンレス鋼は、Cを0.02%以下
およびNを0.015%以下に低減したフェライト系ス
テンレス鋼に限定する。素材のC含有量は、0.02%
を超えるとベローズへの加工が困難となる上に、例え加
工できたとしても素材中に析出するCr炭化物によって
疲労特性が劣化するために0.02%を上限とする。
【0021】フェライト系ステンレス鋼は、ベローズで
はCr量にかかわらず耐応力腐食割れ性がオーステナイ
ト系ステンレス鋼に比べて圧倒的に優れている。しか
し、11%未満では、基本的な耐食性が極めて劣るため
に下限とし、多量に添加すると加工性が劣化するので2
2.0%を上限とした。
【0022】素材のN含有量は、0.015%を超える
とCの場合と同様にベローズへの加工が困難となる上
に、例え加工できたとしても素材中に析出したCr窒化
物によって疲労特性が劣化するために0.015%を上
限とする。
【0023】Alは、脱酸のために必要な元素であり確
実に脱酸する必要があることから0.005%を下限と
し、多量に添加すると残留歪と付加応力によって促進さ
れた疲労試験中に発生する内部酸化を発生しやすくなる
ために0.01%を上限とした。
【0024】自動車の排気系のように600〜900℃
の環境で使用することを狙った実施態様である第2の発
明においては、Siを添加することが特徴である。Si
は、耐溶融塩腐食性を確保するためには、600〜90
0℃の温度域でSiの安定な酸化皮膜を形成させること
が必要であり、そのためには0.1%以上添加する。し
かし、多量に添加するとベローズへの加工が極めて困難
となり、例え加工ができても凸部と凹部の径の差が小さ
くベローズの機能を確保するためには非常に長い構造に
する必要が生ずる。このために1.5%を上限とした。
【0025】Mnは、ベローズへの加工のためには素材
の加工性を確保する必要があるにもかかわらず、耐溶融
塩腐食性のためにSiを添加したことから、Mnを限定
して加工性を確保することとし、上限を1.0%とし
た。
【0026】また、溶接方法の厳しい限定を必要とせ
ず、かつ使用中の析出物粗大化による疲労特性や腐食疲
労特性の劣化のない実施態様として完成した第3の発明
においては、TiやNbを添加することが特徴である。
Tiは、溶接時に一旦固溶するCとNの大半を固定する
ために、C含有重量とN含有重量の和の4倍以上が当量
であり必要なために下限とした。しかし、多量に添加す
ると溶接時にNを吸収し窒化物を生成することとなり、
新たな溶接方法の限定が必要となるために、0.6%を
上限とした。Nbは、溶接時に一旦固溶するCとNの大
半を固定するために、C含有重量とN含有重量の和の8
倍以上が当量であり必要なために下限とした。しかし、
多量に添加すると溶接時にNを吸収し窒化物を生成する
こととなり、新たな溶接方法の限定が必要となるため
に、1.0%を上限とした。
【0027】高い耐食性を要求される用途に適用される
部品を狙った実施態様である第4および第5の発明にお
いては、Mo,Cu,Niの1種以上を添加することが
特徴である。Moは、特に塩素イオンに対して有効であ
るが、2%を超えて添加すると加工性が劣化して、ベロ
ーズへの加工が困難となるため上限とした。
【0028】Cuは、特に硫酸などのpHの低い環境で
の耐食性を改善するが、1.5%を超えて添加すると溶
接部粒界に未固溶のCuが析出し、ベローズへの加工が
困難となるため上限とした。
【0029】Niは、pHの低い環境での耐食性を改善
するが、1.5%を超えて添加すると溶接部にマルテン
サイト相を生じ、ベローズへの加工が困難となるため上
限とした。
【0030】
【作用】本発明では、高温疲労特性を改善したベローズ
用フェライト系ステンレス鋼を提供する。母材のフェラ
イト系ステンレス鋼は、CおよびNの含有量を低いレベ
ルに限定することによって、ベローズの凸部と凹部の径
の差を十分確保する加工が可能となる。
【0031】フェライト系ステンレス鋼のベローズに発
生する疲労ないし腐食疲労破壊は、加工残留応力が存在
し、さらに応力が加わることによって、内部酸化と疲労
が同時に促進される破壊である。すなわち、機械的な応
力(残留歪と付加応力)によって化学的な反応が促進さ
れるという点では応力腐食割れに相当するいわば応力酸
化割れともいえる現象である。このような従来経験した
ことのない全く新しい破壊現象に対しては、従来知見と
は全く逆にAl添加量を限定することで、わずかな内部
酸化を抑制し、疲労破壊ないし腐食疲労破壊の起点を防
止することができた。
【0032】また、母材中にTiを適量添加すること
で、溶接部や熱影響部でのCr炭化物の析出が解消し、
粒界腐食の発生や耐全面腐食性の劣化がなくなるため、
溶接方法を限定して溶融部や熱影響部を極力狭くする対
策が不要となり、溶接方法を厳しく限定する必要がなく
なる。さらに、Tiの適量の添加により、600〜90
0℃の環境でも素材中の析出していたCrの炭窒化物が
再固溶し、改めて粒界に再析出することに起因する素材
の強度の低下や疲労特性の劣化が解消する。
【0033】一方Siの適量添加とCr量の限定によ
り、Crを主体とした酸化皮膜に加えて安定なSiの酸
化物皮膜が形成されることから、耐酸化性が向上し、環
境中に存在する種々の塩が付着溶融して起こる溶融塩腐
食に対するいわゆる耐溶融塩腐食性が向上する。この結
果、自動車の排気系のように、600〜900℃の高温
疲労特性の優れた耐応力腐食割れ性に優れたベローズへ
の加工が可能なフェライト系ステンレス鋼が提供でき
る。
【0034】
【実施例】表1に示した鋼の0.7mm厚の冷延板(焼鈍
材)を用いて、外径55mmφの電縫溶接鋼管を製造し
た。この溶接管から液圧バルジ加工により、山ピッチ1
5mm、山高さ10mm、18山で全長約250mmのベロー
ズを製造した。このベローズの両端の山を掴み、700
℃の大気中にて、ベローズ伸びとして20%となるよう
繰り返し荷重を10Hzで付与した。表1には、この試験
により1×105 回以上破壊しなかったものを○印で、
それ未満で破壊したものを×印で表わした。
【0035】
【表1】
【0036】本発明鋼であるNo.1〜6の鋼から製造し
たベローズは、1×105 回以上の繰り返し荷重の付与
によっても、破壊せず、良好な形状を維持した。しか
し、Alの高いNo.7,No.8の鋼から製造したベロー
ズは短時間で破壊し、その破面の観察から、起点と推定
される部分の近傍からAlの酸化物と推定される酸化物
が検出された。またNo.9の鋼から製造したベローズ
は、Siなどの酸化物系介在物が多く、それらを起点と
して短時間で疲労破壊が発生することが認められた。
【0037】
【発明の効果】本願発明により、高価なNiを含まない
安価で耐応力腐食割れ性が優れかつ高温で疲労特性の優
れたフェライト系ステンレス鋼のベローズが製造可能と
なった。従来、フェライト系ステンレス鋼のベローズ
は、高温で使用すると短時間で疲労ないし腐食疲労破壊
によって破壊することがあった。しかし、本願発明によ
って、疲労破壊ないし腐食疲労破壊の起点となるわずか
な内部酸化を抑制し、破壊発生の防止を達成した。本発
明鋼からは、自動車排気系のような600〜900℃の
高温環境で使用しても、応力腐食割れはもちろん高温疲
労や溶融塩腐食の点でも十分満足できるベローズの製造
が可能である。
【0038】この結果、ベローズを使用した装置のメン
テナンスが極めて簡略化され、装置全体の寿命が伸びる
効果が得られる。また、メンテナンスの簡略化によって
生産性の向上も可能となるなど、工業的な利点は大き
い。これにより得られた効果は、工業的な面からの経済
的利益はもちろん、一時的とはいえ応力腐食割れや疲労
破壊の亀裂発生に起因する有害な液体や気体の漏洩が解
消して環境面での汚染がなくなる効果が得られ、直接経
済効果には現れない社会的利益も莫大なものとなる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.02%以下、 Cr:11.0%以上22.0%以下、 Al:0.005%以上0.01%未満、 N :0.015%以下 を含む高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ス
    テンレス鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.1%以上1.5%以下、 Mn:1.0%以下、 Cr:11.0%以上22.0%以下、 Al:0.005%以上0.01%未満、 N :0.015%以下を含有し、さらに Ti:C含有量とN含有量の和の4倍以上でかつ0.6
    %以下、 Nb:C含有量とN含有量の和の8倍以上でかつ1.0
    %以下 の1種以上を含み、その他不可避不純物およびFeから
    成る高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステ
    ンレス鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.02%以下、 Cr:11.0%以上22.0%以下、 Al:0.005%以上0.01%未満、 N :0.015%以下 を含有し、さらに Mo:2%以下、 Cu:1.5%以下、 Ni:1.5%以下 の1種以上を含む高温疲労特性の優れたベローズ用フェ
    ライト系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.1%以上1.5%以下、 Mn:1.0%以下、 Cr:11.0%以上22.0%以下、 Al:0.005%以上0.01%未満、 N :0.015%以下 を含有し、さらに Ti:C含有量とN含有量の和の4倍以上でかつ0.6
    %以下、 Nb:C含有量とN含有量の和の8倍以上でかつ1.0
    %以下の1種以上を含み、またさらに Mo:2%以下、 Cu:1.5%以下、 Ni:1.5%以下 の1種以上を含み、その他不可避不純物およびFeから
    成る高温疲労特性の優れたベローズ用フェライト系ステ
    ンレス鋼。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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