JPH08186966A - 塊状磁極を有する同期電動機の磁束特性測定方法および磁束特性測定装置 - Google Patents

塊状磁極を有する同期電動機の磁束特性測定方法および磁束特性測定装置

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JPH08186966A
JPH08186966A JP32751594A JP32751594A JPH08186966A JP H08186966 A JPH08186966 A JP H08186966A JP 32751594 A JP32751594 A JP 32751594A JP 32751594 A JP32751594 A JP 32751594A JP H08186966 A JPH08186966 A JP H08186966A
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direct
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fhz
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JP32751594A
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Mitsuhiro Kawamura
光弘 川村
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 同期電動機をベクトル制御する場合に必要な
磁束特性(電機子電流から電機子鎖交磁束への伝達関
数)の測定が簡単にできる測定方法を示す。 【構成】 直軸の磁束特性ゲインを周波数fHzで測定
し、その前後の周波数特性を−8dB/decから−10dB/dec
の傾斜で推定する。横軸の磁束特性ゲインを周波数fHz
で測定し、その前後の周波数特性を−6dB/decから−8
dB/decの傾斜で推定する。別途求めた直軸同期リアクタ
ンスXd から、低い周波数でのゲインLd を、又横軸同
期リアクタンスXq から低い周波数でのゲインLq をそ
れぞれ求めて、前記推定した特性線に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】同期電動機をベクトル制御する場
合には、同期電動機の磁束特性をあらかじめ測定し、制
御装置の演算要素として、この磁束特性を用いることに
よって適切な制御が可能となる。この発明は、同期電動
機が塊状磁極機の場合の、上記磁束特性の測定方法と測
定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電動機を速度制御したりトルク制御した
りする自動制御系を構成する際に、電動機の諸特性を知
っている事が必要である。又、制御が高速応答を要求さ
れる場合には、これらの諸特性の内でも、電動機の周波
数伝達関数がきわめて重要となることは周知のとおりで
ある。
【0003】従来から、例えば可変速制御装置を制御応
答速度を高めるように調整するためには、最初に、電動
機の周波数伝達関数又は、伝達関数を知るために必要な
関連した諸特性を計測する方法がとられている。電動機
が塊状磁極を有する同期電動機である場合にも、このよ
うな事情は同じではあるが、その特性の計測が容易では
ないと言う問題があった。
【0004】即ち、同期電動機の理論では、電機子電流
入力から電機子鎖交磁束出力への伝達関数をオペレーシ
ョナルインピーダンスといい、たとえば、「拡張した滑
り法」による測定が良く知られている。同期電動機が塊
状磁極機の場合にも、この測定方法を用い、その結果を
分析し、制御演算に必要な磁束特性を求めることができ
る。又、特開昭60−183953号公報には誘導電動機の場合
について一例が示されている。前記「拡張した滑り法」
については、電気学会論文誌B、97巻、5号、P287
(昭52−5)上之園親佐、岡田隆夫、高博:「同期機
定数測定のための拡張した滑り法」に示されているが、
その要点を以下に説明する。
【0005】「拡張した滑り法」は、同期機の滑りを変
化させることにより、回転子に印加する磁界の周波数を
変化させ、電機子電流入力から電機子鎖交磁束出力への
伝達関数を調べる試験であって、図13にその試験装置の
構成を示す。図13において1は被試験機であり、51はそ
の界磁コイル、52は電機子コイルを示している。31は被
試験機1に直結された試験用駆動機であり、可変速電源
装置32によりN2rpmで運転される。
【0006】33は被試験機1の電機子コイル52に接続さ
れた試験用電源で被試験機1の定格周波数fHz の3
相平衡電源である。34は、電機子コイル52の電圧と電流
とを検出し、駆動機31の速度N2rpmとの関係を分析する
ことができる特性分析器である。
【0007】図13の測定は次のように行われる。即ち、
まず、被試験機1の電機子コイル52には、定格周波数f
Hz の3相平衡電源33から、定格電圧の10%程度の電
圧を加える。この同期速度をN1rpmとする。次に界磁巻
線51は開放し、別の可変速電動機31により回転子をN2r
pmの速度で駆動する。このとき、回転子に印加される磁
界の周波数fHzは以下のようになる。
【0008】f=(N1 −N2 ×f / N1 ここで、回転子に直結した可変速電動機31の速度を、電
機子電流による回転磁界の同期速度N1rpmよりわずかに
低い回転数から下げていき、ほぼ停止状態まで連続的に
変化させれば、回転子に印加される磁界の周波数fHz
は、きわめて低い周波数から、ほぼfHz まで連続的
に上昇変化する。そして、この間の電機子電圧と電機子
電流の関係を分析すれば、その周波数領域における電機
子電流から電機子鎖交磁束への伝達関数を知ることがで
きる。
【0009】ただし、この「拡張した滑り法」による測
定試験では、被試験機が普通の商用周波数の同期機の場
合でも、以下に示すような実施上の困難さが存在する。
ましてベクトル制御される同期機には、極めて低い定格
周波数であるものの場合があり、この困難さがきわめて
顕著になる。
【0010】(1)電機子電流による回転磁界の速度と
わずかに異なった速度で回転子を駆動する必要があるの
で、被試験機のサイズが大きくなると、固定子側の3相
電源33や回転子側の駆動電動機31などの準備が大掛かり
なものになる。
【0011】(2)試験実施の際には、滑りを安定に維
持するため、回転子に直結した可変速電動機31に熟練し
た運転操作、あるいは高精度の可変速電源32を用意しな
ければならない。
【0012】(3)リアクショントルクの影響で生じる
回転数の脈動は、測定誤差の原因となる。
【0013】これらの問題に関する検討、たとえば、固
定子側の3相電源が、わずかに周波数が異なる回転子の
誘起電圧に引き込まれず安定した周波数を維持するため
の条件の把握、リアクショントルクの影響で生じる回転
数脈動の把握、その結果生じる測定誤差の把握は困難で
ある。したがってこのような従来の方法によれば同期電
動機の磁束特性を知るまでに、多大の時間と設備を要す
ることになる。
【0014】ところで、同期電動機をトルクあるいは速
度制御等するベクトル制御では、トルクを制御するため
に電機子鎖交磁束と電機子電流を制御する。したがっ
て、電機子鎖交磁束を制御装置の演算において計算する
必要があり、そのためには電機子電流から電機子鎖交磁
束への伝達関数を知る(測定する)ことが必要である。
また、制御の過渡状態において良好な制御を行う上で電
機子電圧や界磁電圧を知ることも必要だがそのためには
電機子巻線の漏れインダクタンスおよび界磁巻線の漏れ
インダクタンスの値を把握することも必要である。が、
これらは、前記の「拡張した滑り法」とは別に試験を行
う必要がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、同期電
動機をベクトル制御する上で必要な特性を測定する従来
のいわゆる「拡張した滑り法」では同期電動機の磁束特
性の測定に大がかりな設備と多大の試験時間を必要と
し、作業効率が悪いという問題点があった。又同期電動
機をベクトル制御する上で必要な特性の全てが、この
「拡張した滑り法」で得られるわけではないので、他の
測定を改めて行う必要があるなどの問題があって、簡単
な測定方法が求められていた。
【0016】この発明は、上記のような要求に応えるた
めになされたもので、塊状磁極同期電動機の電機子電流
から電機子鎖交磁束への伝達関数を従来より簡単な方法
で測定する方法を提供するものであり、又、同時に電機
子巻線の漏れインダクタンスおよび界磁巻線の漏れイン
ダクタンスを測定する方法も提供する。さらに、この測
定方法を自動的に行う測定装置を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明によ
る塊状磁極を有する同期電動機の磁束特性測定方法は、
界磁巻線を開放してあらかじめ定めたfHzでの直軸イン
ピーダンスを測定する手順と、fHz近傍の周波数での直
軸特性を仮定する直軸特性仮定手順と、直軸同期リアク
タンスXd から低い周波数でのゲインを算出するゲイン
算出手順と、直軸磁束特性推定手順とを有する。
【0018】第2の発明による塊状磁極を有する同期電
動機の磁束特性測定方法は、あらかじめ定めたfHzでの
横軸インピーダンス測定手順と、fHz近傍の周波数での
特性を仮定する横軸特性仮定手順と、横軸同期リアクタ
ンスXq からゲインを算出するゲイン算出手順と、横軸
特性推定手順とを有する。
【0019】第3の発明による磁束特性測定方法は、界
磁開放直軸インピーダンス測定手順と、界磁短絡直軸イ
ンピーダンス測定手順と、電機子巻線漏れインダクタン
ス算出手順と、界磁巻線漏れインダクタンス算出手順と
を有する。
【0020】第4の発明による塊状磁極を有する同期電
動機の磁束特性測定装置は、交流電源と、交流印加手段
と、電圧電流検出手段と、直軸インピーダンス演算手段
と、ゲイン演算手段とを有する。
【0021】第5の発明による塊状磁極を有する同期電
動機の磁束特性測定装置は、交流電流と、交流印加手段
と、電圧電流検出手段と、横軸インピーダンス演算手段
と、ゲイン演算手段とを有する。
【0022】第6の発明による磁束特性測定装置は、入
力部と、発振器と、電機子測定部と、界磁測定部と、仮
定記憶部と、演算部とを有する。
【0023】第7の発明による磁束特性測定装置は、第
6の発明の手段に加えて、その演算部がLdf演算部と、
qf演算とを有する。
【0024】第8の発明による磁束特性測定装置は、第
6の発明の手段に加えて、その演算部がインダクタンス
演算部を有する。
【0025】
【作用】第1の発明における直軸特性仮定手順と、第2
の発明における横軸特性仮定手順は、それぞれ、同期電
動機の磁束特性を測定する手順を簡素化する作用を有す
る。
【0026】第3の発明における界磁開放直軸インピー
ダンス測定手順と、界磁短絡直軸インピーダンス測定手
順、及び電機子巻線漏れインダクタンス算出手順と、界
磁巻線漏れインダクタンス算出手順とは電機子巻線漏れ
インダクタンスと界磁巻線漏れインダクタンスとの測定
を簡素化する作用を有する。
【0027】第4、第5の発明におけるゲイン演算手段
は、同期電動機の磁束特性測定装置の構成を簡素化する
作用を有する。
【0028】第6の発明による演算部は磁束特性の測定
手順を自動的に進行させることにより、測定作業を容易
化する。
【0029】第7の発明によるLdf演算部とLqf演算部
及び第8の発明によるインダクタンス演算部とは測定作
業の内の計算作業部分を自動的に進行させることにより
測定作業を簡昜化する。
【0030】
【実施例】同期電動機を可変速制御する(負荷変動に対
して速度を一定に保つ制御も含む)特にベクトル制御を
行う上で、ぜひ得たい特性には例えば次のようなものが
ある。
【0031】(1)直軸電機子電流入力から直軸電機子
鎖交磁束出力への周波数伝達関数(周波数特性線)。 (2)横軸電機子電流入力から横軸電機子鎖交磁束出力
への周波数伝達関数(周波数特性線)。 (3)電機子巻線の漏れインダクタンス。 (4)界磁巻線の漏れインダクタンス。 以下、上記のそれぞれについて実施例により説明する。
【0032】実施例1.直軸電機子電流入力から直軸電
機子鎖交磁束出力への周波数特性線を求める手順を示す
フローチャートの一例を図1に示す。図2は図1のフロ
ーを説明するための説明図である。次に図1のフローに
ついて図2を参照しつつ説明する。図2中に記載のST
番号は図1のステップ番号に対応している。
【0033】まずステップ(ST11)で測定の対象とな
る同期電動機を制御する予定の可変速制御装置(図示し
ていない)に用いられている電機子電流制御系の遮断周
波数f0Hz (これは一般にこの種制御系の設計基本定数
であり概知のものである)よりも低く、かつ塊状磁極に
渦電流が顕著に誘導される周波数fHzを決定する。たと
えば、20Hzから150Hz の範囲であって、通常の場合には
測定の実施が容易な50Hz、または、60Hzの商用周波数を
fHzとして用いてよい。
【0034】次にステップ(ST12)でfHzにおける界
磁開放直軸インピーダンスを測定する。測定方法の詳細
は後述する。ステップ(ST13)で上記直軸インピーダ
ンスから周波数特性線のfHzにおけるゲインAを求め
る。ステップ(ST14)でfHz近傍のゲイン特性は−8
〜−10dB/decであると仮定する。
【0035】又、別途同期電動機の同期リアクタンスX
d を測定する(ST15)そしてステップ(ST16)で、
d から直軸同期インダクタンスLd を求める。(ST
15)(ST16)の詳細は後述する。ステップ(ST17)
で周波数特性線の周波数がfに比べて十分低い周波数に
おけるゲインが直軸同期インダクタンスLd によって定
まるゲインであると仮定する。
【0036】ステップ(ST18)で図2に示すように周
波数特性線を(ST13)のゲインA、(ST14)のゲイ
ンの傾斜、(ST17)の低周波でのゲインLd から求め
る。
【0037】次に前記の界磁開放直軸インピーダンスの
測定方法について説明する。図3は、周波数fHzにおけ
る界磁開放直軸インピーダンスの測定方法の説明図であ
る。図において51は塊状磁極を有する同期電動機1の界
磁コイル、52は電機子巻線(3相)である。
【0038】53は、fHzの交流周波数を発生することの
できる電源である。b相からc相へ流した電流が直軸の
起磁力となる位置(図3に示す位置)で回転子を止め
て、周波数fHzにおける界磁開放直軸インピーダンスを
測定する。界磁巻線を開放した条件で電機子のb相から
c相へ周波数fHzの交流電流を流し、電機子電流
bc1、電圧Vbc1 と、界磁巻線に誘導される電圧Vf1
を測定する。これでST12の直軸インピーダンスが測定
されたことになる。
【0039】測定時の電機子電流Ibc1 の大きさは、同
期電動機の運転条件からかけ離れた条件では都合が悪い
ので、少なくとも定格電機子電流の10%以上とするのが
好ましい。図3での測定結果を式(1)に代入すれば、
周波数fHzにおける直軸電機子電流から直軸電機子鎖交
磁束へのゲインLdf(図2のゲインA)が求まる。(単
位はH) Ldf=(Vbc1)/( bc1 ×2πf×2 ) …(1) これでST13のゲインAが定まる。
【0040】Vf1の測定結果は後述する界磁巻線漏れイ
ンダクタンスの測定(後述)に利用するのでここでは関
係がない。
【0041】次に、低い周波数(即ち周波数特性グラフ
の左端)におけるゲインを求めるための直軸同期インダ
クタンスLd の求め方について説明する。
【0042】まず、直軸同期リアクタンスXb を、従来
から知られている同期機の定数測定法(たとえば、JE
C−114 などに記載された方法。)で測定する。単位法
による直軸同期リアクタンスをXd 、定格電機子線間電
圧をVボルト、定格電機子電流をIアンペア、定格周波
数をfb Hzとすれば、式(2)から直軸同期インダクタ
ンスLd が求まる。(単位はH)
【0043】 Ld =Xd ×V/(√3I×2πfb ) …(2) これが(ST15)と(ST16)に相当する。
【0044】そして、周波数(Hz)を横軸、インダクタ
ンス(H)を縦軸とする両対数のグラフ用紙に、周波数
がfHzインダクタンスがLdfなるA点、Ld の大きさの
横線、A点を通る−8dB/decから−10dB/decの傾斜の直
線を描く。図4は、このようにして描いた周波数特性で
あり、塊状磁極同期電動機の直軸電機子電流から直軸電
機子鎖交磁束への伝達関数のゲイン特性である。
【0045】実施例2.横軸電機子電流入力から横軸電
機子鎖交磁束出力への周波数特性線を求める手順を示す
フローチャートの一例を図5に示す。図6は図5のフロ
ーを説明するための説明図である。次に図5のフローに
ついて図6を参照しつつ説明する。
【0046】まずステップ(ST11)(図1のST11と
同じ)で可変速制御装置(図示していない)に用いられ
ている電機子電流制御系の遮断周波数f0Hz より低く、
かつ塊状磁極に渦電流が顕著に誘導される周波数fHzを
決定する。たとえば、20Hzから150Hz の範囲、通常の場
合には、測定の実施が容易な50Hz、または60Hzの商用周
波数をfHzとして用いてよい。
【0047】次にステップ(ST52)でfHzにおける横
軸インピーダンスを測定する。測定方法の詳細は後述す
る。ステップ(ST53)で上記横軸インピーダンスから
周波数特性線のfHzにおけるゲインBを求める。
【0048】ステップ(ST54)でfHz近傍のゲイン特
性は−6〜−8dB/decであると仮定する。又、別途同期
電動機の同期リアクタンスXq を測定する(ST55)。
そして(ST56)でXq から横軸同期インダクタンスL
q を求める。(ST55)と(ST56)の詳細は後述す
る。
【0049】(ST57)で周波数特性線の周波数がfH
zに比べて十分低い周波数におけるゲインが横軸同期イ
ンダクタンスLq によって定まるゲインであると仮定す
る。
【0050】(ST58)で図6に示すように周波数特性
線を、(ST53)のゲインB、(ST54)のゲインの傾
斜、(ST57)の低周波でのゲインLq 、から求める。
【0051】次に前記したST52の横軸インピーダンス
の測定について説明する。図7は、周波数fHzにおける
横軸インピーダンスの測定を示す。界磁は開放してお
く。b相からc相へ流した電流が横軸に起磁力となる位
置(図7に示す位置)で回転子を止めて、周波数fHzに
おける横軸インピーダンスを測定する。電機子のb相か
らc相へ周波数fHzの交流電流を流し、電機子電流I
bc3 、電圧Vbc3 を測定する。これでST52の横軸イン
ピーダンスが測定されたことになる。
【0052】図7の測定結果を式(3)に代入すれば、
周波数fHzにおける横軸電機子電流から横軸電機子鎖交
磁束へのゲインLqf(図6のB)が求まる。(単位は
H) Lqf=Vbc3/(Ibc3 ×2πf×2) …(3) これでST53のゲインBが定まる。
【0053】次に、低い周波数(即ち周波数特性グラフ
の左端)におけるゲインを求めるための横軸同期インダ
クタンスLq の求め方について説明する。まず、横軸同
期リアクタンスXq を、従来から知られている同期機の
定数測定法(たとえば、JEC−114 などに記載された
方法「単位法」ともいう。)で測定する。単位法による
横軸同期リアクタンスをXq 、定格電機子線間電圧をV
ボルト、定格電機子電流をIアンペア、定格周波数をf
b Hzとすれば、式(4)から横軸同期インダクタンスL
q が求まる。(単位はH)
【0054】 Lq =Xq ×V/(√3I×2πfb ) …(4) これが(ST55)と(ST56)に相当する。
【0055】実施例1と同様に、周波数(Hz)を横軸、
インダクタンス(H)を縦軸とする両対数のグラフ用紙
に、周波数がfHz、インダクタンスがLqfなるB点、L
q の大きさの横線、B点を通る−6dB/decから−8dB/d
ecの傾斜の直線を描く。図8は、このようにして描いた
周波数特性であり、塊状磁極同期電動機の横軸電機子電
流からの横軸電機子鎖交磁束への伝達関数のゲイン特性
である。
【0056】実施例3.本発明による、電機子巻線の漏
れインダクタンスの測定方法、及び界磁巻線の漏れイン
ダクタンスの測定方法のフローを図9に示す。図中(S
T11)(ST12)は図1の同番号のステップと同じであ
る。図10にST92の周波数fHzにおける界磁短絡直軸イ
ンピーダンスの測定を示す。b相からc相へ流した電流
が直軸の起磁力となる位置(図示の位置)で回転子を止
めて、周波数fHzにおける界磁短絡直軸インピーダンス
を測定する。即ち界磁巻線を短絡した条件で電機子のb
相からc相へ周波数fHzの交流電流を流し、電機子電流
bc2 と、界磁巻線に誘導される電流If2を測定する。
これでインピーダンスを測定したことになる。
【0057】次に、実施例1の界磁開放直軸インピーダ
ンスと上記で求めた界磁短絡直軸インピーダンスの測定
結果を用い、電機子巻線の漏れインダクタンスLl およ
び界磁巻線の漏れインダクタンスLf を式(5)から算
定する。これがステップ(ST93)に相当する。
【0058】 である。
【0059】ただし、式(5)におけるTr は式(6)
で示される。 Tr =Ibase / If base …(6)
【0060】Ibaseは電機子電流の単位法基準値、I
f baseは界磁電流の単位法基準値を示し、両者の比がT
r である。なお、電機子電流の単位法基準値Ibaseは、
同期電動機の定格電流実効値の1.73倍、界磁電流の単位
法基準値If baseは、定格電機子電流による電機子反作
用を打ち消す界磁電流値である。
【0061】実施例4.図11及び図12に本発明の第6〜
第8の発明の一実施例による塊状磁極を有する同期電動
機の磁束特性測定装置の構成を示す。図において、10は
磁束特性測定装置である。
【0062】2は、同期電動機1の界磁コイル51に接続
されており、界磁コイル51を短絡もしくは開放するスイ
ッチを有するとともに、界磁コイル51の電圧Vf1、電流
f2を測定する界磁測定部である。
【0063】53は同期電動機1の電機子コイル52の3相
の内の2線に接続されており、あらかじめ定めた周波数
fHzを発振する発振器である。3は前記発振器53に接続
された電機子コイル52の2線に接続され、その電圧V
bc1 と電流Ibc1 、Ibc2 、Ibc3 を測定する電機子測
定部である。
【0064】界磁測定部2と電機子測定部3は、具体的
な構成は図示しないが電圧センサ(電圧検出手段)、電
流センサ(電流検出手段)と、A/D変換器、リレー、
スイッチ回路等で構成される。
【0065】4は、同期電動機1に関するデータ等を人
が入力するための入力部、例えばキーボード等である。
5は、実施例1〜3、で説明した演算を行う上での条
件、たとえば式や仮定を記憶(プログラムとして記憶)
している記憶部である。
【0066】6は、あらかじめプログラムとして入力さ
れている実施例1〜3で説明した手順に従って、界磁コ
イル51を開放、短絡したりする命令を発したり、発振器
53を発振させたりするとともに界磁測定部2と電機子測
定部3に必要な測定を行わせ、得られたデータを回収し
て、必要な(後述)演算を行う演算部である。
【0067】演算結果は、外部へ出力され表示部7に表
示される。演算部6は、CPU、RAM、通信ターミナ
ル等で構成される。演算部6はゲイン演算手段である。
7は、演算部6によって計算された演算結果を作表又は
作図等して見やすい形式で出力する周波数特性の表示部
であり、具体的にはCRTあるいはプリンター等で構成
される。
【0068】図12は図11の演算部6を詳細に示すもので
ある。図において、入出力母線20にはCPU21、RAM
25、通信ターミナル26(具体的にはRS232 Cプリンタ
ー出力等)ROM27等がある。
【0069】又、22は直軸電圧Vbc1 と直軸電流Ibc1
にもとづいて直軸電機子電流から直軸電機子鎖交磁束へ
のゲインLdfを求めるLdf演算部、23は横軸電圧Vbc3
と横軸電流Ibc3 にもとづいて、横軸電機子電流から横
軸電機子鎖交磁束へのゲインLqfを求めるLqf演算部で
ある。
【0070】24は直軸電圧Vbc1 と直軸電流Ibc1 界磁
電圧Vf1及び電機子電流Ibc2 と界磁電流If2にもとづ
いて、電機子巻線の漏れインダクタンスLl もしくは、
界磁巻線の漏れインダクタンスLf を演算するインダク
タンス演算部である。
【0071】次に動作について説明する。実施例1〜3
で説明したように、同期電動機1の電機子は所定の角度
で停止しておく。この状態を入力部4から入力する。界
磁コイル51と電機子コイル52の2線を磁束特性測定装置
10に接続する。磁束特性測定装置10の図示しないスター
トスイッチを操作すると、最初に実施例1の図1の手順
に従って界磁開放直軸インピーダンスの測定ステップ
(ST12)が自動的に行われる。
【0072】続いて実施例3の図10の界磁短絡直軸イン
ピーダンスの測定が自動的に行われる。続いて実施例2
の図5の横軸インピーダンスの測定(ステップST52)
が自動的に行われる。
【0073】そして、別途測定した直軸同期リアクタン
スXd と横軸同期リアクタンスXqとを入力部4から入
力すると、自動的に演算部6で演算が行われ、結果が表
示部7に表示される。
【0074】表示されるデータとしては図4、図8に示
したゲイン特性と電機子巻線及び界磁巻線の漏れインダ
クタンス等であり、これらのデータによって、一般的な
可変速制御システムの調整は実用上十分に行うことがで
きる。発振器53とその出力端子は交流印加手段である。
【0075】図12では、Ldf演算部22、Lqf演算部23、
インダクタンス演算部24をそれぞれ独立した物として示
しているが、これらは独立した装置でなく例えばCPU
21がROM27に記憶されたプログラムに従って、それぞ
れの手順に従った作業を行うものであってもよいことは
自明である。
【0076】
【発明の効果】以上のように、この発明の第1、第2、
第3の発明によれば、従来その測定が煩雑であった塊状
磁極同期電動機の磁束特性の測定を簡単に行なえるとい
う効果がある。
【0077】又、第4〜第8の発明によれば塊状磁極を
有する同期電動機の磁束特性を半自動的に測定すること
ができるので、磁束特性の測定をより簡単に行なえると
いう効果がある。
【0078】また第3、第7、第8の発明によれば電機
子巻線と界磁巻線の漏れインダクタンスを精度良く測定
できるので、磁束制御の精度向上が可能となるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の磁束特性測定方法のフローチャー
トである。
【図2】 図1のフローチャートの動作説明図である。
【図3】 図1のフローチャートのステップ12の説明図
である。
【図4】 図1のフローに従って得られる直軸電機子電
流から直軸電機子鎖交磁束への周波数特性図例である。
【図5】 実施例2の磁束特性測定方法のフローチャー
トである。
【図6】 図5のフローチャートの動作説明図である。
【図7】 図5のフローチャートのステップ52の説明図
である。
【図8】 図5のフローに従って得られる横軸電機子電
流から横軸電機子鎖交磁束への周波数特性図の例であ
る。
【図9】 実施例3の磁束特性測定方法のフローチャー
トである。
【図10】 図9のステップ92の説明図である。
【図11】 実施例4の磁束特性測定装置の構成図であ
る。
【図12】 図11の演算部6の詳細構成図である。
【図13】 従来の磁束特性測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 塊状磁極を有する同期電動機 2 界磁測定部 3 電機子測定部 4 入力部 5 記憶部 6 演算部 7 表示部 20 母線 21 CPU 22 Ldf演算
部 23 Lqf演算部 24 インダク
タンス演算部 51 界磁コイル 52 電機子コ
イル 53 fHz発振器

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塊状磁極の界磁を有する同期電動機の磁
    束特性の測定方法であって、 この同期電動機を制御する電機子電流制御系の遮断周波
    数より低いあらかじめ定めた周波数fHzにおいて、 a)界磁コイルを開放して直軸インピーダンスを測定す
    る直軸インピーダンス測定手順と、 b)上記のfHz近傍の周波数において、直軸電機子電流
    入力から、直軸電機子鎖交磁束出力への伝達関数のゲイ
    ンの傾斜特性が約−10dB/decの傾斜特性を持ち、かつ、
    fHzより十分低い周波数においては、このゲインが直軸
    同期リアクタンスXd から求めた直軸同期インダクタン
    スLd に等しいと仮定する直軸特性仮定手順と、 c)上記a)で求めた直軸インピーダンスからfHzにお
    けるゲインを算出するゲイン算出手順と、 d)上記c)で算出したfHzにおけるゲインとb)にお
    ける仮定とをもとに、fHz近傍とfHz以下の周波数領域
    の直軸磁束特性を推定する直軸磁束特性推定手順とを含
    むことを特徴とする塊状磁極同期電動機の磁束特性測定
    方法。
  2. 【請求項2】 塊状磁極の界磁を有する同期電動機の磁
    束特性の測定方法であって、この同期電動機を制御する
    電機子電流制御系の遮断周波数より低いあらかじめ定め
    た周波数fHzにおいて a)横軸インピーダンスを測定する横軸インピーダンス
    測定手順と、 b)上記のfHz近傍の周波数において横軸電機子電流入
    力から、横軸電機子鎖交磁束出力への伝達関数のゲイン
    の傾斜特性が約−8dB/decの傾斜特性を持ち、かつ、上
    記fHzより十分低い周波数においては、このゲインが横
    軸同期リアクタンスXq から求めた横軸同期インダクタ
    ンスLq に等しいと仮定する横軸特性仮定手順と、 c)上記a)で求めた横軸インピーダンスからfHzにお
    けるゲインを算出するゲイン算出手順と、 d)上記で算出したfHzにおけるゲインとb)における
    仮定とをもとに、fHz近傍とfHz以下の周波数領域の横
    軸磁束特性を推定する横軸磁束特性推定手順とを含むこ
    とを特徴とする塊状磁極同期電動機の磁束特性測定方
    法。
  3. 【請求項3】 塊状磁極の界磁を有する同期電動機の磁
    束特性の測定方法であって、 この同期電動機を制御する電機子電流制御系の遮断周波
    数より低いあらかじめ定めた周波数fHzにおいて a)界磁コイルを開放して直軸インピーダンスと界磁コ
    イルに誘導される電圧Vf1とを測定する界磁開放直軸イ
    ンピーダンス測定手順と、 b)界磁コイルを短絡して直軸インピーダンスと界磁コ
    イルに誘導される電流If1とを測定する界磁短絡直軸イ
    ンピーダンス測定手順と、 c)上記a)とb)の測定結果から所定の演算式にもと
    づいて電機子巻線の漏れインダクタンスを算出する電機
    子巻線漏れインダクタンス算出手順と、界磁巻線の漏れ
    インダクタンスを算出する界磁巻線漏れインダクタンス
    算出手順とを含むことを特徴とする塊状磁極を有する同
    期電動機の磁束特性測定方法。
  4. 【請求項4】 周波数fHzを発振する交流発振器と、こ
    の交流電源を同期電動機の直軸に印加する交流印加手段
    と、この直軸の電機子電圧及び電流を測定する電圧電流
    検出手段と、この検出した電圧電流から直軸インピーダ
    ンスを演算する直軸インピーダンス演算手段と、直軸電
    機子電流入力から直軸電機子鎖交磁束出力への伝達関数
    ゲインをfHz近傍で−8ないし−10dB/decの傾斜特性を
    持ち、かつ、fHzより十分低い周波数においてはこのゲ
    インが直軸同期インダクタンスLd に等しいとして演算
    するゲイン演算手段とを有することを特徴とする、塊状
    磁極を有する同期電動機の磁束特性測定装置。
  5. 【請求項5】 周波数fHzを発振する交流発振器と、こ
    の交流電源を同期電動機の横軸に印加する交流印加手段
    と、この横軸の電機子電圧及び電流を測定する電圧電流
    検出手段と、この検出した電圧電流から横軸インピーダ
    ンスを演算する演算手段と、横軸電機子電流入力から横
    軸電機子鎖交磁束出力への伝達関数ゲインをfHz近傍で
    −6ないし−8dB/decの傾斜特性を持ち、かつ、fHzよ
    り十分低い周波数においてはこのゲインが横軸同期イン
    ダクタンスLq に等しいとして演算するゲイン演算手段
    とを有することを特徴とする、塊状磁極を有する同期電
    動機の磁束特性測定装置。
  6. 【請求項6】 塊状磁極を有する同期電動機の磁束特性
    測定装置であって測定条件又は、別途測定したデータを
    入力する入力部と、この入力データを記憶する記憶部、
    あらかじめ指定した周波数fHzの交流電圧を出力する発
    振器と、電機子コイルに接続されて前記発振器の出力を
    この電機子コイルに印加したときの電圧Vbc、電流Ibc
    を測定する電機子測定部と、界磁コイルに接続されて必
    要に応じてこの界磁コイルを短絡又は開放し、この界磁
    コイルの電圧Vf と電流If とを測定する界磁測定部
    と、前記発振器、入力部、記憶部、電機子測定部、界磁
    測定部を制御するとともに、前記の入力したデータ、前
    記電機子測定部と前記界磁測定部が測定したデータ、あ
    らかじめ記憶部に入力され記憶している仮定とにもとづ
    いて演算を行う演算部とを有することを特徴とする塊状
    磁極を有する同期電動機の磁束特性測定装置。
  7. 【請求項7】 演算部は、界磁コイルを開放して測定し
    た直軸電圧Vbc1 、直軸電流Ibc1 にもとづいて直軸電
    機子電流から直軸電機子鎖交磁束へのゲインLdfを求め
    るLdf演算部と、横軸電圧Vbc3 、横軸電流Ibc3 にも
    とづいて横軸電機子電流から横軸電機子鎖交磁束へのゲ
    インLqfを求めるLqf演算部とを有することを特徴とす
    る請求項6記載の塊状磁極を有する同期電動機の磁束特
    性測定装置。
  8. 【請求項8】 演算部は界磁コイルを開放して測定した
    直軸電圧Vbc1 、直軸電流Ibc1 、界磁電圧Vf1、界磁
    コイルを短絡して測定した電機子電流Ibc2、界磁電流
    f2にもとづいて電機子巻線の漏れインダクタンスLl
    もしくは、界磁巻線の漏れインダクタンスLf を演算す
    るインダクタンス演算部を有することを特徴とする請求
    項6記載の塊状磁極を有する、同期電動機の磁束特性測
    定装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102565540A (zh) * 2010-11-15 2012-07-11 Abb公司 用于确定同步磁阻机的电感的方法和设备
CN112505544B (zh) * 2020-11-19 2024-05-28 西安热工研究院有限公司 一种黑启动自励磁校核装置及方法

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