JPH08186863A - 無線通信システム - Google Patents

無線通信システム

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Publication number
JPH08186863A
JPH08186863A JP6339363A JP33936394A JPH08186863A JP H08186863 A JPH08186863 A JP H08186863A JP 6339363 A JP6339363 A JP 6339363A JP 33936394 A JP33936394 A JP 33936394A JP H08186863 A JPH08186863 A JP H08186863A
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JP
Japan
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transmission
cell
reception
signal
communication system
Prior art date
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JP6339363A
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English (en)
Inventor
Masayasu Miyake
正泰 三宅
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 受信中継局が網羅するセルを増加しても、回
線コストをアップすることなく、システム全体のコスト
を小さく抑えることができる無線通信システムを提供す
る。 【構成】 受信中継局30は、サービスエリア40に存
在する移動体端末25からの送信信号を受信アンテナ3
0aで受信し、送信アンテナ30bから送信基地局21
のサービスエリア42のより内側にある受信中継局31
に向けて送信する。受信中継局31は、そのサービスエ
リア41に存在する移動体端末26からの送信信号を受
信アンテナ31aで受信し、外側にある他の受信中継局
30からの送信信号と、上記受信アンテナ31aで受信
した移動体端末26からの送信信号とをまとめ、送信ア
ンテナ31cで送信基地局21の受信アンテナ23に向
けて送信する。送信基地局21は、サービスエリア42
に存在する移動体端末27からの送信信号を受信アンテ
ナ24で受信するとともに、その周囲にある受信中継局
31からの送信信号を受信アンテナ23で受信し、それ
らをまとめて中央統制局20へ送出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PHS端末等の無線通
信携帯情報端末で音声やデータを相互に通信する無線通
信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、無線通信システムにおける端末と
して、利用者に携帯され、一般の家庭内電話機を含む他
の端末と、音声やデータを相互に通信する無線通信携帯
情報端末(例えば、携帯電話機、PHS端末:Personal
Handy Phone System 端末、PDA:Personal Digital A
ssistant、ページャー等)が知られている。これらの無
線通信携帯情報端末は、携帯した上で使用できるように
二次電池等により駆動され、相手先の電話番号や、住所
録、スケジュール、文字・音声によるメモ等の各種デー
タを蓄積できるようになっている。
【0003】ここで、図12は、従来の無線通信システ
ムの一例を示すブロック図である。図において、無線通
信携帯情報端末(以下、移動体端末という)1,2は、
各々が存在するサービスエリア3,4を網羅する無線基
地局5,6と無線で結ばれている。無線基地局5,6
は、互いに中央統制局7を介して結合されている。ま
た、システム外の固定端末(家庭内の電話機等)9と
は、一般公衆網8を経由して結合されている。このよう
な構成によって、互いに異なるサービスエリア、または
同一のサービスエリアに存在する移動体端末同士、また
は移動体端末1,2と固定端末9との間でデータの授受
が可能となる。無線基地局5は、1つのサービスエリア
3を構成し、該サービスエリア3内に存在する複数の移
動体端末(移動体端末1を含む)と無線通信回線を確立
している。また、無線基地局6は、1つのサービスエリ
ア4を構成し、該サービスエリア4内に存在する複数の
移動体端末(移動体端末2を含む)と無線通信回線を確
立している。このように、図12に示す無線通信システ
ムの特徴は、1つの無線基地局で1つのサービスエリア
を構成し、そのサービスエリア内の移動体端末とだけ無
線通信回線を確立しているところにある。無線基地局6
の送信出力は、20W前後で、サービスエリア3は、約
3〜5kmである。また、移動体端末の送信出力は、3
〜5Wが一般的である。
【0004】次に、図13は、従来の無線通信システム
の他の例を示すブロック図である。図において、図12
に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略す
る。図に示す無線通信システムは、現在、米国において
提案されており、N−PCSと呼ばれる双方向ページン
グシステムである。図において、送信基地局10のサー
ビスエリア11は非常に広く、その中に、比較的狭いサ
ービスエリア12,13の受信基地局14,15があ
る。送信基地局10から送出される送信信号は、移動体
端末16,17によって受信される。移動体端末16,
17から送出される送信信号は、受信基地局14,15
で受信される。送信基地局10と各受信基地局14,1
5は、中央統制局18に接続されており、該中央統制局
18は、一般公衆網8を経由して、システム外部に配設
された固定端末9と接続されている。このような構成に
よって、互いに異なるサービスエリア12,13、また
は同一のサービスエリアに存在する移動体端末同士、ま
たは移動体端末16,17と固定端末9との間でのデー
タの授受が可能となる。送信基地局10の送信電力は、
数百Wで、サービスエリアは、半径10〜20kmであ
り、受信サービスエリアは、3〜7km、移動体端末の
送信出力は、1W以上が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した図
12に示す従来の無線通信システムでは、移動体端末
1,2を小型化しようとすると、送信電力を低減する必
要がある。しかしながら、移動体端末の送信電力を低減
すると、サービスエリア3,4を小さくしなければなら
ず、ある一定の地域を網羅するためには、無線基地局
5,6の数を増加しなければならない。無線基地局5,
6の数を増加すると、無線基地局と中央統制局7とを接
続するための施設が必要となり、無線通信システム全体
のコストアップにつながるという問題があった。
【0006】これに対して、図13に示す無線通信シス
テムでは、サービスエリア12,13を小さくすること
により、移動体端末16,17の送信電力を低減してい
る。しかしながら、ある一定の地域を網羅するために
は、図12の無線通信システムと同様に、受信基地局1
4,15の数を増加しなければならず、受信基地局と中
央統制局18とを接続するための施設が必要となり、無
線通信システム全体のコストアップにつながるという問
題があった。
【0007】そこで本発明は、受信中継局が網羅するセ
ルを増加しても、回線コストをアップすることなく、シ
ステム全体のコストを小さく抑えることができる無線通
信システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1記載の発明による無線通信システムは、複数の移
動体端末からの送信信号を一般回線に接続された中央統
制局に集束し、移動体同士または移動体と前記一般回線
に接続された端末との間でデータを授受する無線通信シ
ステムにおいて、前記中央統制局によるサービスエリア
を複数のセルに分割し、該分割されたセルを前記複数の
移動体端末の受信専用のセルとすることを特徴とする。
【0009】また、好ましい態様として、例えば請求項
2記載のように、前記中央統制局に接続され、前記サー
ビスエリアに存在する前記複数の移動体端末の全てに情
報を送信する送信基地局と、前記複数のセルの各々に配
置され、配置されたセルに存在する複数の移動体端末か
らの送信信号を受信するとともに、該受信した信号を、
そのセルの近傍で、前記送信基地局が配設された、より
中央に近いセルに順次送信して、最終的に前記送信基地
局に集結する受信中継局とを具備するようにしてもよ
い。
【0010】また、好ましい態様として、例えば請求項
3記載のように、前記複数の移動体端末の送信信号の周
波数と、前記受信中継局が中継に用いる送信信号の周波
数とを同一にするとともに、前記受信中継局は、前記複
数の移動体端末からの送信信号の受信と、自身が存在す
るセルの近傍で、前記送信基地局が配設された、より中
央に近いセルに順次中継するための送受信を、時分割で
行うようにしてもよい。また、好ましい態様として、前
記複数の移動体端末が1セル当たりで用いる周波数の数
は、時分割で行う代わりに周波数分割で接続するように
すると、全体で用いる周波数の数Fの1/3としてもよ
い。
【0011】また、前記受信中継局は、例えば請求項5
記載のように、そのセルの近傍で、前記送信基地局が配
設された、より中央に近いセルに順次送信する際に用い
る送信信号を、時分割した各スロットで、略同一のシン
ボル速度で多値変調するとともに、前記複数の移動体端
末からの送信信号と中継のための送信信号とを同一周波
数、同一帯域幅としてもよい。また、前記受信中継局
は、例えば請求項6記載のように、時分割した各スロッ
トで、異なる方向から送信される中継のための送信信号
を、電気的に指向性が変化する指向性アンテナで受信す
るようにしてもよい。
【0012】また、前記複数の移動体端末は、例えば請
求項7記載のように、前記受信中継局に送信する送信信
号に、または受信中継局が受信した信号に、一括して中
継する信号にそれぞれまとめて、該移動体端末が存在す
るセルを識別する識別番号を付与するようにしてもよ
い。また、前記送信基地局は、例えば請求項8記載のよ
うに、前記複数の移動体端末に情報を送信する送信アン
テナに指向性アンテナを用いるようにしてもよい。
【0013】また、前記送信基地局の送信信号は、例え
ば請求項9記載のように、その一部が前記受信中継局か
ら送信される、該受信中継局のセルを識別する識別番号
と、該受信中継局との通信回線設定に必要な制御情報と
に置き換えられるようにしてもよい。また、前記受信中
継局は、例えば請求項10記載のように、前記送信基地
局から送信される特定の信号を受信し、該受信した特定
の信号を自身のセル内に存在する前記複数の移動体端末
に繰り返し送信するようにしてもよい。
【0014】また、好ましい態様として、前記特定の信
号は、例えば請求項11記載のように、前記サービスエ
リア内に存在する全ての移動体端末へ向けて送信される
緊急情報を含む同報通信情報であってもよい。また、前
記複数の移動体端末は、例えば請求項12記載のよう
に、その送信信号の変調方式に、シンボル間隔の半分の
タイミングで信号の変化を止め、その状態を保持する耐
マルチパス変調を用いるようにし、同一チャンネル間干
渉耐力を増加するようにしてもよい。
【0015】
【作用】本発明では、中央統制局によるサービスエリア
を複数のセルに分割し、該分割されたセルを複数の移動
体端末の受信専用のセルとする。そして、中央統制局に
接続された送信基地局は、サービスエリアに存在する複
数の移動体端末の全てに情報を送信する。また、複数の
セルの各々に配置された受信中継局は、配置されたセル
に存在する複数の移動体端末からの送信信号を受信する
とともに、該受信した信号を、そのセルの近傍で、送信
基地局が配設された、より中央に近いセルに順次送信し
て、最終的に中央統制局に接続された送信基地局に集結
させる。したがって、複数のセルに配設された受信中継
局と中央統制局とを接続するための回線設備が不要とな
る。この結果、移動体端末を増加するために、サービス
エリア(すなわち、受信中継局)を増加しても、回線コ
ストをアップすることなく、システム全体のコストを小
さく抑えることが可能となる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。 A.実施例の構成 A−1.無線通信システムの構成 図1は本発明の実施例による移動体端末等の無線通信シ
ステムの構成を示すブロック図である。なお、図12,
図13に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省
略する。図において、中央統制局20は、無線通信シス
テム全体を管理するとともに、一般公衆網8を介して、
システム外部に配設された固定端末9との接続を管理す
る。次に、一般公衆網8は、全国に張り巡らされた通常
のアナログ電話回線網、あるいは専用のデジタル回線網
である。
【0017】次に、送信基地局21は、中央統制局20
に物理的に接続されており、該中央統制局20を介し
て、一般公衆網8を経由し、上記固定端末9に接続され
る。送信基地局21は、大電力の送信信号を送出する送
信アンテナ22、隣接したサービスエリア41からの送
信信号を受信する受信アンテナ受信中継局からの送信信
号を受信する受信アンテナ23、および自身のサービス
エリア42の移動体端末からの送信信号を受信する受信
アンテナ24を備えている。送信アンテナ22は、上述
したサービスエリア40,41,42を含む広範囲のサ
ービスエリア43を確保する。各サービスエリア40,
41には、複数の移動体端末が存在するとともに、これ
ら複数の移動体端末からの送信信号を受信する受信中継
局30,31が配設されている。また、サービスエリア
42にも、複数の移動体端末が存在し、送信基地局21
が中継基地局を兼ねることによって、これら複数の移動
体端末からの送信信号を受信する。また、図示の例で
は、説明を簡単にするために、各サービスエリア40,
41,42に存在する移動体端末として、移動体端末2
5,26,27のみを示している。
【0018】次に、移動体端末25,26,27は、利
用者に携帯されることから小型化にする必要があるの
で、その送信出力は、比較的小さい値であり、その送信
信号の到達範囲は限られる。したがって、送信基地局2
1の(受信)サービスエリア42、および受信基地局3
0,31の(受信)サービスエリア40,41は、送信
基地局21の(送信)サービスエリア43に比べて十分
小さい。移動体端末25,26は、各々、送信基地局2
1の送信アンテナ22からの送信信号を受信する。一
方、移動体端末25,26の送信信号は、該当するサー
ビスエリア40,41に配設された受信中継局30,3
1によって受信される。移動体端末27も同様に送信基
地局21の送信アンテナ22からの送信信号を受信す
る。一方、移動体端末27の送信信号は、該当するサー
ビスエリア42の送信基地局21の受信アンテナ24に
よって受信される。
【0019】受信中継局30は、サービスエリア40に
存在する移動体端末25からの送信信号を受信する受信
アンテナ30a、および受信した信号を隣接したサービ
スエリア41の受信中継局31に送信する送信アンテナ
30bを備えている。また、受信中継局31は、サービ
スエリア41に存在する移動体端末26からの送信信号
を受信する受信アンテナ31a、隣接したサービスエリ
ア40の受信中継局30からの送信信号を受信する受信
アンテナ31b、および受信アンテナ31a,31bで
受信した信号を混合して、隣接したサービスエリア42
の送信基地局21に送信する送信アンテナ31bを備え
ている。
【0020】A−2.サービスエリアの構成 次に、各受信基地局30,31と移動体端末25,2
6,27の送信電力とで決まるサービスエリア40,4
1,42の関係について図2を参照して説明する。図に
おいて、上述したサービスエリアは、六角形のセルで示
されており、セル401は、送信基地局21の受信アン
テナ24による(受信)サービスエリア42に相当す
る。言い換えると、セル401の中心に送信基地局21
が配設されている。また、セル402,403,40
4,405,406,407は、セル401に隣接する
サービスエリアを示しており、例えば、サービスエリア
41がセル402〜407のいずれか1つに相当する。
また、セル410,411,……,420,421は、
上記セル402〜407に隣接するサービスエリアを示
しており、例えば、サービスエリア40が上述したサー
ビスエリア410〜421のいずれか1つに相当する。
送信基地局21の送信アンテナ22によるサービスエリ
ア43は、図2に示すセル全体を囲む外周に相当する。
【0021】B.実施例の動作 次に、上述した実施例による動作について説明する。サ
ービスエリア40に存在する移動体端末、例えば、移動
体端末25からの送信信号は、受信中継局30の受信ア
ンテナ30aで受信される。受信中継局30で受信され
た複数の移動体端末からの受信信号は、送信アンテナ3
0bから送信基地局21のサービスエリア42のより内
側にある受信中継局31に向けて送信される。図2で説
明すると、セル410〜421の中央にある受信中継局
は、それぞれ、その内周にあるセル402〜407のい
ずれかに、移動体端末からの受信信号をまとめて送信す
ることになる。例えば、セル410,411からの送信
信号は、セル402の受信中継局で受信され、セル41
2,413からの送信信号は、セル403の受信中継局
で受信される。以下、同様に、セル414,415から
の送信信号はセル404に、セル416,417からの
送信信号はセル405に、セル418,419からの送
信信号はセル406に、セル420,421からの送信
信号はセル407に送信される。
【0022】受信中継局31は、そのサービスエリア4
1に存在する移動体端末、例えば、移動体端末26から
の送信信号を受信アンテナ31aで受信する。受信中継
局31は、それよりも外側にある他の受信中継局30他
からの送信信号と、上記受信アンテナ31aで受信した
移動体端末からの送信信号とをまとめ、送信アンテナ3
1cで送信基地局21の受信アンテナ23に向けて送信
する。したがって、図2では、セル402〜407の中
央にある受信中継局は、それぞれ、その外周にある2つ
のセルからの送信信号を受信するとともに、自身のセル
内に存在する移動体端末からの送信信号を受信し、これ
らをまとめてセル401の中央にある送信基地局21に
送信する。
【0023】送信基地局21は、自身のサービスエリア
42に存在する移動体端末、例えば、移動体端末27か
らの送信信号を受信アンテナ24で受信するとともに、
その周囲にある受信中継局31他からの送信信号を受信
アンテナ23で受信し、それらをまとめて中央統制局2
0へ送出する。したがって、中央統制局20には、送信
基地局21の送信アンテナ22によるサービスエリア4
3に存在する全ての移動体端末からの受信信号が供給さ
れる。この結果、互いに異なるサービスエリア40,4
1,42、または同一のサービスエリアに存在する移動
体端末同士、または移動体端末25,26,27と固定
端末9との間でのデータの授受が可能となる。
【0024】このように、上述した実施例では、中央統
制局20に接続されている送信基地局21と、各サービ
スエリアの受信中継局とは階層的に無線回線で接続され
ているため、各サービスエリアの受信中継局と中央統制
局20とを接続するための回線設備が不要となる。した
がって、各サービスエリアに存在する移動体端末、例え
ば移動体端末25,26,27の送信電力を小さくし、
受信中継局30,31によるサービスエリア40,4
1、または送信基地局21の受信アンテナ24によるサ
ービスエリア42を小さくした結果、サービスエリア
(すなわち、受信中継局)を増加しても、各サービスエ
リアの受信中継局と中央統制局20とを接続する回線コ
ストをアップすることなく、システム全体のコストを小
さく抑えることができる。
【0025】C.無線通信システムの伝送方式A 次に、上述した無線通信システムにおける伝送方式の一
例について説明する。従来の無線通信システムでは、2
種類の周波数を用いて、各サービスエリアに配設された
無線基地局から移動体端末への送信と、移動体端末から
無線基地局への送信とに、ハードウエアの実現が可能な
範囲で適度に異なる周波数群を割り当てていた。これに
対して、上述した本実施例の無線通信システムにおいて
は、送信基地局21から移動体端末25,26,27へ
の送信は、従来のシステムと同じであるが、移動体端末
25,26から受信中継局30,31への送信、もしく
は移動体端末27から送信基地局21への送信は、受信
中継局間で用いる周波数に応じて大きく異なる。すなわ
ち、受信中継局間の送信に用いる周波数を、移動体端末
が送信する際に用いる周波数と異なる周波数に設定する
と、従来の無線通信システムと同じになるが、この場
合、中継のために別の周波数を用いなければならない。
そこで、本実施例の無線通信システムでは、移動体端末
の送信周波数と中継に用いる送信周波数とを同一にし、
中継のために別の周波数を用いなくとも効率的に伝送で
きる伝送方式を提供する。
【0026】図2において、送信基地局21の(送信)
サービスエリア43内に、N台の移動体端末が一様に分
布している場合、1つのセル内に存在する移動体端末の
数は、全セル数がCとすると、N/Cとなる。また、1
台の移動体端末が単位時間当たりに送受信するデータの
量は同じで、これをRとすると、1セルの受信中継局3
0(または31)が受信するデータ量はNR/Cとな
る。このデータ量「NR/C」が受信中継局間で中継さ
れる。内周のセルに配設された受信中継局、すなわち、
図2に示すセル402〜407に配設された受信中継局
は、その外周囲に隣接する2つのセルからのデータと、
それ自身のセル内に存在する移動体端末からのデータと
を受信するので、3NR/Cのデータ量を内周のセル4
01に送信することになる。
【0027】本実施例では、多くの移動体端末のデータ
を少ない周波数で無線伝送するために、移動体端末は、
時分割で送信する。すなわち、N台の移動体端末は、各
々、ある限られた時間間隔Tの間に、F個の周波数を用
いてデータ量Rの通信を行う。この結果、1台当たりの
移動体端末は、平均T/FNの時間を占有して、変調速
度Mでデータ量Rの送信を行う。この場合、データ量R
は、 R=TF・(M/N) となる。そこで、本実施例の無線通信システムでは、1
セル内のN/C台の移動体端末は、データ量RをF/L
個の周波数を用いて変調速度kMで送信するようにする
と、1セル当たり時間T’を占有することになり、デー
タ量Rは、 R=T’・(C/N)・(kM)・(F/L) となる。したがって、1セルが占有する時間T’は、 T’=(L/Ck)T となる。この時間T’は、各セルでの移動体端末からの
送信信号を受信する受信時間であり、kを「2」、図2
の場合は、C=19、L=3とすると、時間T’は、時
間Tの約11%となる。
【0028】なお、上述した説明において、1セル当た
りの使用周波数をF/L(L=3)としたのは、セル間
での周波数の干渉を防止するために、隣接するセル間で
は、同じ周波数を用いないようにするためである。ま
た、変調速度を「kM」としたのは、セルサイズ(サー
ビスエリア)が小さくなることにより、マルチパス干渉
波が発生した場合の遅延波の遅延時間が小さくなり、よ
り高速の変調信号が伝送できるためである。
【0029】このように、上述した伝送方式Aでは、移
動体端末の送信を時分割で行うようにしたので、各セル
での移動体端末からの送信信号の受信に要する時間は、
送信に必要な時間Tの約11%の時間T’となり、残り
の約89%の時間は、中継に必要な時間に割り当てるこ
とができる。中継に必要な時間は、中継信号の変調方式
に依存する。変調方式の選択は、受信中継局が固定であ
り、指向性アンテナ等を用いることが可能であるので、
非常に大きな自由度を得ることができ、中継に必要な時
間の配分は大きな自由度で設定できる。ここでは、図2
の配置の例を示したが、セル401〜407の7つのセ
ルで構成する方法、セル401,402,403の3つ
のセルで構成する方法等、図2以外のセル構成にも対応
でき、セル構成に応じてフレーム構成を変えることでそ
れらに対応できる。
【0030】D.無線通信システムの伝送方式B 上述した伝送方式Aでは、移動体端末の送信を時分割で
行うことで、送信信号の周波数を有効的に利用できるこ
とを説明した。ここでは、その時分割の効果をさらに改
善する伝送方式の一例を説明する。図3は、図2と同様
にサービスエリアを六角形のセルで表した模式図であ
る。図において、最外周のセル501,502、および
セル503,504は、各々、RN/Cのデータを内周
のセル521、およびセル522に送信する。内周囲の
セル521,522は、各々、3RN/Cのデータを中
央のセル530に配設された送信基地局へ送信する。す
なわち、内周のセル521,522は、最外周のセル5
01〜504の3倍のデータ量を伝送する必要がある。
すなわち、最外周の2つのセルは、内周の1つのSセル
に送信し、内周の6つのセルは、各々、中央のセルに送
信する。
【0031】ここで、図4(a)は、任意のセルにおけ
る送受信での時間スロットを示す模式図であり、それぞ
れの時間スロットは、全体の約11%になっている。ま
ず、時間スロット601において、各セル501〜52
6の受信中継局、およびセル530の送信基地局が自身
のセル501〜530に存在する移動体端末からの送信
信号を受信する。次に、時間スロット602において、
最外周のセル501,503,505,507,50
9,511の受信中継局が内周のセル521〜526に
送信する。次に、時間スロット603において、残りの
最外周のセル502,504,506,508,51
0,512の受信中継局が内周のセル521〜526に
送信する。そして、時間スロット604において、内周
のセル521の受信中継局が中央のセル530に配設さ
れた送信基地局に送信する。次に、時間スロット605
において、内周のセル522の受信中継局が中央のセル
530に配設された送信基地局に送信し、時間スロット
606において、内周のセル523の受信基地局が中央
のセル530に配設された送信基地局に送信する。以
下、同様にして、時間スロット607において、セル5
24からセル530へ、時間スロット608において、
セル525からセル530へ、時間スロット609にお
いて、セル526からセル530へ送信する。
【0032】時間スロット602,603に伝送される
データ量は、(N/19)R(F/3)であり、このデ
ータ量を時間T’(=0.11T)に伝送することか
ら、変調速度pMは、 pM=1.4NR/FT =1.4M となる。すなわち、移動体端末が受信する速度の1.4
倍の速度を持つ変調方式が必要となる。これは、例え
ば、移動体端末の受信変調方式をBPSK(バイナリ相
偏移変調;Binary Phase Shift Keying)とすると、最
外周のセルからの中継送信に用いる変調方式は、同じシ
ンボル変調速度でQPSK(四相差動位相変調;Quadra
ture Phase Shift Keying)を用いることで実現でき、
この場合には、使用周波数の占有帯域幅を変更する必要
がない。
【0033】同様に、時間スロット604〜609に伝
送されるデータ量は、3(N/19)R(F/3)であ
り、このデータ量を時間T’(=0.11T)に伝送す
ることから、変調速度qMは、 qM=4.3NR/FT =4.3M となる。すなわち、移動体端末が受信する速度の4.3
倍の速度を持つ変調方式が必要となる。これは、例え
ば、移動体端末の受信変調方式をBPSKとすると、内
周のセルからの中継送信に用いる変調方式は、同じシン
ボル変調速度で32QAM(直交振幅変調;Quadrature
Amplitude Modulation)を用いることで実現でき、こ
の場合には、使用周波数の占有帯域幅を変更する必要が
ない。
【0034】上述したように、図4(a)では、時間ス
ロット602,603では、6つのセルが同時に送信
し、また、時間スロット604〜609では、1セル毎
に送信する例を示した。これに対して、図4(b)で
は、時間スロット604〜609において、2つのセル
が同時に送信する方式を示している。すなわち、図4
(b)において、時間スロット704,705,706
は、図4(a)に示す時間スロット604〜609に比
べて、2倍(0.22T)になるので、変調速度を低減
することが可能となり、シンボル速度を一定にすると、
変調に必要な多値数が減少し、同じシンボル速度で16
QAMの変調方式を用いることができる。
【0035】このように、上述した伝送方式Bでは、受
信中継局による中継に用いる送信信号を、時分割した各
スロットで、略同一のシンボル速度で多値変調すること
により、シンボル速度を変えることなく中継できる。ま
た、例えば、図1に示す受信中継局30の送信アンテナ
30b、受信中継局31の受信アンテナ31bおよび送
信アンテナ31c、送信基地局21の受信アンテナ23
を、指向性アンテナとすることで、マルチパス干渉を引
き起こす遅延波の受信電力を低減できる。この結果、マ
ルチパスによる劣化を抑えることができる。また、各セ
ルの受信中継局は、複数の方向からの送信信号を、異な
る時間スロットで受信するので、電気的に指向性を変化
できる指向性アンテナを用いることができ、この結果、
必要なアンテナの個数を低減することができる。
【0036】E.無線通信システムの伝送方式C 次に、本実施例による無線通信システムにおいて、マル
チパスによる劣化を防止する他の伝送方式を説明する。
ここで、図5は、図2および図3と同様にサービスエリ
アを六角形のセルで表した模式図であり、図6は、本無
線通信システムの伝送方式Cにおける移動体端末から送
信される送信信号を示す模式図である。図において、各
セルにある移動体端末は、各々、送信信号として、図6
に示すような時間的に短いバースト信号901,90
2,903を、同セル内に配設された受信中継局に送信
する。この移動体端末が送信するバースト信号901,
902,903には、受信した受信中継局を識別するた
めの局番号911,912,913が含まれる。そし
て、各セル内の受信中継局は、これらバースト信号90
1,902,903を、内周のセル内に配設された受信
中継局を介して、中央のセル401に配設された送信基
地局21へ送信する。
【0037】ここで、例えば、セル418の受信中継局
がバースト信号901を中継したとする。セル401に
配設された送信基地局21は、セル418に配設された
受信中継局が受信した移動体端末のバースト信号901
を受信すると、その受信信号内にある局番号911を検
出することによって、そのバースト信号を送信した移動
体端末がセル418に存在し、その他のセル、例えば、
セル419,417には存在しないことを判別する。し
たがって、この場合、セル401の送信基地局21は、
該当する移動体端末が存在するセル418に対してのみ
送信すればよい。そこで、セル401に存在する送信基
地局21の送信アンテナ22(図1参照)の指向性を、
図5に示す直線L1とL2で挟まれる領域で最も強くな
るようにすれば、例えば、セル418の近傍のセル41
6の方向には漏れなくすることが可能となり、セル41
8以外の方向に無駄な電力を輻射する必要がなくなる。
また、近傍のセル、例えば、セル416内に反射物体が
あり、そこで反射した電波がセル418に進入してマル
チパス干渉による劣化が生じる場合においても、指向性
アンテナを用いることで、マルチパスの発生を低減で
き、該マルチパスによる劣化を防止できる。
【0038】このように、上述した伝送方式Cでは、移
動体端末からの送信信号に該移動体端末が存在するセル
の位置を示す信号として、そのセルの受信中継局を識別
する局番号を追加するとともに、送信基地局21の送信
アンテナ22に指向性アンテナを用いることにより、移
動体端末が存在するセル、またはその近傍にのみに、送
信基地局21の送信信号を送信するようにしたので、マ
ルチパス反射を軽減でき、無線通信システムの伝送劣化
を低減できる。
【0039】F.無線通信システムの伝送方式D 上述したように、本無線通信システムでは、移動体端末
からの送信電力を小さくすることで、各サービスエリア
が小さくなる。また、移動体端末の加入数を増加するた
めには、複数の周波数を用いる必要がある。複数の移動
体端末が隣接するサービスエリアにある場合、同じ周波
数の信号を送信することはできなくなる。このような現
象を防止するために、隣接するサービスエリア(セル)
では、異なる周波数の送信信号を用いる必要がある。し
たがって、移動体端末は、自身が存在するサービスエリ
アを認識し、利用できる送信信号の周波数を決定する必
要がある。しかしながら、送信基地局21から移動体端
末へ送信される送信信号にそのような情報を付加するこ
とはできない。そのために、図7に示すように、送信基
地局21からの送信信号と、受信中継局からの送信信号
との2つの送信信号を移動体端末に向けて送信するよう
にする。
【0040】図7において、送信信号は、信号100
1,1002,1003の一組で1つのフレームを構成
している。信号1001は、送信基地局21から送信さ
れる信号であり、フレームの先頭を示す信号と、システ
ム全体を制御する信号とが含まれる。この信号1001
は、例えば、サービスエリア43内に存在する移動体端
末25,26,27と、受信中継局30,31とに送信
される。また、信号1003は、送信基地局21からサ
ービスエリア43内に存在する移動体端末25,26,
27への情報信号である。次に、信号1002は、受信
中継局30,31からそれぞれのサービスエリアに存在
する移動体端末25,26、もしくは移動体端末27に
向けての送信信号であり、該信号1002には、受信中
継局を識別するための情報、受信中継局からの制御信号
が含まれている。該信号1002は、広い範囲に分布し
複数のサービスエリアに存在する移動体端末にサービス
エリアを識別させるために、受信中継局の制御情報、す
なわち、ある特定の受信基地局の周波数情報を同じ周波
数で時分割で送信される。
【0041】図7は、7つのサービスエリアに対しての
送信信号を示しており、この場合のサービスエリアの配
置例としては、図5に示す太線L3,L4で囲まれる範
囲のセル402,403,410,411,412,4
13が対象となる。すなわち、信号1011はセル40
2の受信中継局によって送信され、信号1012はセル
403の受信中継局によって送信される。以下、信号1
013はセル410、信号1014はセル411、信号
1015はセル412、信号1016はセル413、信
号1017はセル421に対応する。各サービスエリア
に存在する移動体端末は、上記信号1011〜1017
の中から自分が存在するであろう最も確からしい受信中
継局を選択し、その受信中継局から送信される信号で規
定される周波数等の制御情報に従って、それに対応する
サービスエリアの受信中継局と交信する。最も確からし
いサービスエリアの選択としては、受信電力、受信アイ
パターンの開き、またはこれらを複合して識別する方式
が考えられる。
【0042】次に、図8は、送信基地局から移動体端末
への送信信号と、複数の移動体端末からの送信信号とを
示す模式図である。図において、送信信号1101(1
フレーム)は、送信周期と受信周期とが等しい場合にお
ける信号である。移動体端末は、送信基地局21からの
1周期の先頭信号1102を受信し、続いて、受信基地
局から時分割で送信される信号1103を受信し、自身
のサービスエリアを識別する。自身のサービスエリアを
識別した移動体端末は、移動体端末から受信基地局へ割
り当てられた時分割の時間スロット1111で、必要な
情報として、信号1121,1122,1123,11
24,1125を自身のサービスエリアに配設された受
信中継局に送信する。受信中継局は、移動体端末から受
信した信号1121,1122,1123,1124,
1125をまとめて、送信基地局21へ、中継用に割り
当てられた時間スロット1112,1113において送
信する。
【0043】このように、上述した伝送方式Dでは、移
動体端末に受信サービスエリアを認識させるために、送
信基地局21からの送信信号の一部を、受信中継局から
の送信信号に置き換えることで、受信中継局のサービス
エリアと、受信中継局との通信回線設定に必要な制御情
報とを移動体端末に通知することができる。
【0044】G.無線通信システムの伝送方式D 次に、本実施例による無線通信システムにおいて、緊急
通信を含む同報通信を行う場合の伝送方式について説明
する。緊急通信は、全ての通信に優先する。送信基地局
21からの送信信号は、サービスエリア43の全ての地
点に到達することは事実上不可能に近い。このような場
合においても、緊急通信は、何らかの方法で行わなけれ
ばならない。本実施例による無線通信システムでは、1
つの送信基地局21によるサービスエリアを複数の細分
化された領域を受信サービスエリアとしている。したが
って、これらのより狭い領域の受信サービスエリアを、
新たな送信サービスエリアとすることで送信信号の受信
確率を高くすることが可能となる。すなわち、緊急通信
を行うために、本伝送方式Dでは、各サービスエリア、
例えば、図1に示すサービスエリア40,41,42
(または、図2に示すセル401〜420)に配設され
た受信中継局30,31は、送信基地局21が送信する
緊急情報を受信する機能を備えるとともに、受信した緊
急情報を再送信する機能を備える。
【0045】緊急通信を行う際には、送信基地局21
は、信頼性と確実性とを確保するために、比較的短く、
図9に示す送信信号1202,1203を、所定の周期
1201で繰り返し送信する。各サービスエリアにある
受信中継局は、上記送信信号1202,1203を受信
し、予め緊急時用に割り当てられた時分割スロットに従
って、それぞれのサービスエリアで、送信信号121
1,1212,1213,……,1233,1241,
1242,1243,……を繰り返し送信する。繰り返
す回数は、送信信号1202,1203の最初の部分に
受信中継局宛の制御信号として送信することで指示す
る。
【0046】このように、上述した伝送方式Dでは、図
1に示すように、中央統制局20が送信基地局21との
み接続され、各サービスエリア40,41に配設された
受信中継局30,31と接続されていない場合であって
も、受信中継局30,31は、送信基地局21が送信す
る緊急情報を受信することが可能となる。また、受信中
継局30,31は、自身のサービスエリアにある移動体
端末に、受信した緊急情報を所定回数、繰り返し再送信
するので、送信基地局21によるサービスエリア43、
および受信中継局30,31等によるサービスエリア4
0,41等の両方の範囲にわたって、緊急情報を送信す
ることができ、移動体端末が受信できるであろうサービ
スエリアの範囲内で電波の届かない地域を減少させるこ
とができる。
【0047】F.無線通信システムの伝送方式E 次に、本実施例による無線通信システムにおいて、マル
チパスによる劣化を防止する他の伝送方式を説明する。
前述したように、移動体端末による通信環境では、マル
チパス干渉の発生は避けることが非常に難しい。このマ
ルチパス干渉の発生に対する対策の一つとして、変調方
式で回避する方法(耐マルチパス変調方式)としていく
つかの方式が提案されている。これらの方式では、いず
れも、変調信号のシンボル周期を前半と後半とに分割
し、例えば、前半を情報による変調部分とし、後半をダ
ミーの部分とすることで、シンボル周期の半分程度のマ
ルチパス干渉に耐え得る信号形式を実現している。
【0048】一方、移動体による通信環境では、限られ
た周波数で多くの加入者を収容するためには、異なるサ
ービスエリアで、同じ周波数の信号を再利用することが
必要である。しかしながら、同じ周波数の信号を再利用
するサービスエリアがあまり近接していると、同じ周波
数の信号を用いることから、同一チャンネルでの干渉が
生じるので、伝送劣化を引き起こす。同様に、位置的、
周波数的に近いサービスエリア同士では、隣接チャンネ
ル間で干渉が発生する。したがって、移動体端末による
通信環境では、システムの設計は、これら加入者容量、
各種信号干渉、サービスエリア等のパラメータのトレー
ドオフが重要になる。
【0049】ここでは、本実施例の無線通信システム
に、耐マルチパス変調方式の一例として、π/2-TF
SK(周波数変位キーイング;Frequency-Shift Keyin
g)を適用した伝送方式を説明する。図10は、注目す
るサービスエリア、例えば、図2に示すセル406にお
ける信号の信号軌跡を示す模式図である。図において、
信号軌跡1321は、各タイミングを示す時間軸130
1,1302,……,1305の各点で起こり得る全て
の変化を重ねて記入したものであり、通常、これらのう
ちただ1本の軌跡が信号のものとなる。また、図示する
信号軌跡1321では、信号の「1」を斜め上向きに変
化する軌跡とし、信号の「0」を斜め下向きに変化する
軌跡としている。図に示すように、信号軌跡1321
は、シンボル間隔、すなわち、時間軸1301と時間軸
1302との間隔の半分のところで変化しなくなる(水
平となる)。このように、シンボル間隔の途中で信号の
変化を止め、その状態を保持する方式が耐マルチパス変
調の特徴である。
【0050】したがって、例えば、信号軌跡1321
が、図11に示す、シンボル間隔の半分遅れた場合の信
号軌跡1322と重なった場合でも、信号が変化する部
分は、互いに保持される。なお、図11では、図10に
示す信号軌跡を破線で示している。このため、時間軸の
どの部分にある情報が必要な信号であるかが予め分かっ
ている場合には、マルチパス干渉がある場合であっても
正しく復調することが可能となる。これは、同一のチャ
ンネル干渉についても同じことが言える。すなわち、例
えば、図2に示すセル406とセル416とにおいて、
各セルの移動体端末が同じ周波数の信号を送信する場
合、セル406の受信中継局は、セル416の移動体端
末から同一チャンネルの干渉信号を受信することにな
る。この場合、セル406の移動体端末用の送信信号
と、セル416の移動体端末用の送信信号とは、図11
に示すように、それぞれのタイミングがシンボル間隔の
半分だけオフセットしているので、同一チャンネルでの
干渉を軽減できる。
【0051】なお、セル406の受信中継局は、セル4
16の移動体端末が送信した同一チャンネルでの干渉信
号そのものにはオフセットがあるので、回避できるが、
マルチパス干渉波に関しては、むしろ、タイミング的に
は効果がない。しかしながら、この場合、セル416内
の移動体端末からの信号がマルチパス信号として、セル
406の受信中継局に到達するには十分減衰していると
考えられるので、特に問題にならない。また、セル間で
変調するシンボルのオフセットは、前述した無線通信シ
ステムの伝送方式Dにおいて示した方式で設定すればよ
い。すなわち、受信中継局は、そのセル内の移動体端末
に、送信基地局21からの送信信号に制御情報を付与し
て送信し、一方、移動体端末は、この制御情報を受信
し、自身が存在するサービスエリアを確認するととも
に、シンボル間のオフセットを設定するようにすればよ
い。
【0052】このように、上述した伝送方式Eでは、移
動体端末の送信信号の変調方式に耐マルチパス変調を用
いて、耐マルチパス変調のマルチパス耐力を同一チャン
ネル間の干渉耐力として利用することにより、セル間で
の周波数間隔を小さくし、送信信号の周波数利用効率を
向上できる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、中央統制局によるサー
ビスエリアを複数のセルに分割し、該分割されたセルを
複数の移動体端末の受信専用のセルとし、複数のセルの
各々に配置された受信中継局によって、セルに存在する
複数の移動体端末からの送信信号を受信するとともに、
該受信した信号を、そのセルの近傍で、送信基地局が配
設された、より中央に近いセルに順次送信して、最終的
に中央統制局に接続された送信基地局に集結させるよう
にしたので、以下の効果を得ることができる。 (1)中央統制局に接続されている送信基地局と、各セル
の受信中継局とは階層的に無線回線で接続されているた
め、各セルの受信中継局と中央統制局とを接続するため
の回線設備が不要となる。 (2)したがって、セルを増加しても、各セルの受信中継
局と中央統制局とを接続する回線コストをアップするこ
となく、システム全体のコストを小さく抑えることがで
きる。 (3)移動体端末からの受信と中継のための送受信とを時
分割で行うようにしたので、中継のために特別な周波数
の信号を用意する必要をなくすことができる。 (4)受信中継局の中継に用いる信号を、時分割した各ス
ロットで、略同一のシンボル速度で多値変調するととも
に、前記複数の移動体端末からの送信信号と中継のため
の送信信号とを同一周波数、同一帯域幅としたため、シ
ンボル速度を変えることなく中継でき、周波数の有効利
用を図ることができる。 (5)また、受信中継局に指向性アンテナを用いること
で、マルチパス干渉を引き起こす遅延波の受信電力を低
減できる。 (6)また、電気的に指向性を変化できる指向性アンテナ
を用いるようにするこで、必要なアンテナの個数を低減
できる。 (7)移動体端末からの送信信号に該移動体端末が存在す
るセルを識別する識別番号を付与するようにしたので、
移動体端末が存在するセル、またはその近傍にのみに、
送信基地局の送信信号を送信することにより、マルチパ
ス反射を軽減でき、無線通信システムの伝送劣化を低減
できる。 (8)移動体端末に受信サービスエリアを認識させるため
に、送信基地局からの送信信号の一部を、受信中継局か
らの送信信号に置き換えることで、受信中継局のサービ
スエリアと、受信中継局との通信回線設定に必要な制御
情報とを移動体端末に通知することができる。 (9)送信基地局から送信される特定の信号を受信中継局
によって受信し、該受信した特定の信号を自身のセル内
に存在する複数の移動体端末に繰り返し送信するように
したので、中央統制局によるサービスエリアの全範囲に
わたって、緊急情報を送信することができ、移動体端末
が受信できるであろうサービスエリアの範囲内で電波の
届かない地域を減少させることができる。 (10)移動体端末の送信信号の変調方式に耐マルチパス変
調を用いることにより、セル間での周波数間隔を小さく
し、送信信号の周波数利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による移動体端末等の無線通信
システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例による無線通信システムのサービスエ
リアを六角形のセルで表した模式図である。
【図3】本実施例による無線通信システムにおいて伝送
方式Aを説明するためのサービスエリアを表した模式図
である。
【図4】本実施例による任意のセルでの送受信に用いら
れる時間スロットを示す模式図である。
【図5】本実施例による無線通信システムの伝送方式C
を説明するためのサービスエリアを表した模式図であ
る。
【図6】本実施例による無線通信システムの伝送方式C
での移動体端末から送信される送信信号を示す模式図で
ある。
【図7】本実施例による無線通信システムの伝送方式C
での移動端末に向けて送信される送信信号を示す模式図
である。
【図8】本実施例による無線通信システムの伝送方式C
での送信基地局から移動体端末への送信信号と複数の移
動体端末からの送信信号とを示す模式図である。
【図9】本実施例による無線通信システムの伝送方式D
での緊急通信の際に、送信基地局および受信中継局が送
信する送信信号を示す模式図である。
【図10】本実施例による無線通信システムの伝送方式
Eでの注目するサービスエリアにおける信号の信号軌跡
を示す模式図である。
【図11】本実施例による無線通信システムの伝送方式
Eでの注目するサービスエリアにおける信号の信号軌跡
を示す模式図である。
【図12】従来の無線通信システムの一例を示すブロッ
ク図である。
【図13】従来の無線通信システムの他の例を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
8 一般公衆網(一般回線) 9 固定端末 20 中央統制局 21 送信基地局 22 送信アンテナ 23 受信アンテナ 24 受信アンテナ 25,26,27 移動体端末(複数の移動体端末) 30,31 受信中継局 30a 受信アンテナ 30b 送信アンテナ 31a 受信アンテナ 31b 受信アンテナ 31c送信アンテナ 40,41,42 サービスエリア 43 サービスエリア 401〜421 セル(複数のセル)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の移動体端末からの送信信号を一般
    回線に接続された中央統制局に集束し、移動体同士また
    は移動体と前記一般回線に接続された端末との間でデー
    タを授受する無線通信システムにおいて、 前記中央統制局によるサービスエリアを複数のセルに分
    割し、該分割されたセルを前記複数の移動体端末の受信
    専用のセルとすることを特徴とする無線通信システム。
  2. 【請求項2】 前記中央統制局に接続され、前記サービ
    スエリアに存在する前記複数の移動体端末の全てに情報
    を送信する送信基地局と、 前記複数のセルの各々に配置され、配置されたセルに存
    在する複数の移動体端末からの送信信号を受信するとと
    もに、該受信した信号を、そのセルの近傍で、前記送信
    基地局が配設された、より中央に近いセルに順次送信し
    て、最終的に前記送信基地局に集結する受信中継局とを
    具備することを特徴とする請求項1記載の無線通信シス
    テム。
  3. 【請求項3】 前記複数の移動体端末の送信信号の周波
    数と、前記受信中継局が中継に用いる送信信号の周波数
    とを同一にするとともに、 前記受信中継局は、前記複数の移動体端末からの送信信
    号の受信と、自身が存在するセルの近傍で、前記送信基
    地局が配設された、より中央に近いセルに順次中継する
    ための送受信を、時分割で行うようにしたことを特徴と
    する請求項2記載の無線通信システム。
  4. 【請求項4】 前記複数の移動体端末が1セル当たりで
    用いる周波数の数は、全体で用いる周波数の数Fの1/
    3であることを特徴とする請求項3記載の無線通信シス
    テム。
  5. 【請求項5】 前記受信中継局は、そのセルの近傍で、
    前記送信基地局が配設された、より中央に近いセルに順
    次送信する際に用いる送信信号を、時分割した各スロッ
    トで、略同一のシンボル速度で多値変調するとともに、
    前記複数の移動体端末からの送信信号と中継のための送
    信信号とを同一周波数、同一帯域幅としたことを特徴と
    する請求項2記載の無線通信システム。
  6. 【請求項6】 前記受信中継局は、時分割した各スロッ
    トで、異なる方向から送信される中継のための送信信号
    を、電気的に指向性が変化する指向性アンテナで受信す
    ることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
  7. 【請求項7】 前記複数の移動体端末は、前記受信中継
    局に送信する送信信号に該移動体端末が存在するセルを
    識別する識別番号を付与することを特徴とする請求項2
    記載の無線通信システム。
  8. 【請求項8】 前記送信基地局は、前記複数の移動体端
    末に情報を送信する送信アンテナに指向性アンテナを用
    いることを特徴とする請求項7記載の無線通信システ
    ム。
  9. 【請求項9】 前記送信基地局の送信信号は、その一部
    が前記受信中継局から送信される、該受信中継局のセル
    を識別する識別番号と、該受信中継局との通信回線設定
    に必要な制御情報とに置き換えられることを特徴とする
    請求項2記載の無線通信システム。
  10. 【請求項10】 前記受信中継局は、前記送信基地局か
    ら送信される特定の信号を受信し、該受信した特定の信
    号を自身のセル内に存在する前記複数の移動体端末に繰
    り返し送信することを特徴とする請求項2記載の無線通
    信システム。
  11. 【請求項11】 前記特定の信号は、前記サービスエリ
    ア内に存在する全ての移動体端末へ向けて送信される緊
    急情報等の同報通信であることを特徴とする請求項10
    記載の無線通信システム。
  12. 【請求項12】 前記複数の移動体端末は、その送信信
    号の変調方式に、シンボル間隔の半分のタイミングで信
    号の変化を止め、その状態を保持する耐マルチパス変調
    を用い、同じ周波数を利用する他の受信サービスエリア
    では、シンボル間隔の半分のタイミングをオフセットし
    て送信することにより、同一チャンネル干渉による劣化
    を軽減し、周波数再利用を密にすることを特徴とする請
    求項2記載の無線通信システム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1086898C (zh) * 1996-12-06 2002-06-26 松下电器产业株式会社 个人手持电话系统的终端装置及使用它的数据收集系统
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JP2010520674A (ja) * 2007-03-02 2010-06-10 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド 多重ホップ中継方式を使用する広帯域無線通信システムにおける基地局と中継局との間のフレームオフセット交渉装置及び方法
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