JPH08175499A - 大気圏再突入カプセル - Google Patents

大気圏再突入カプセル

Info

Publication number
JPH08175499A
JPH08175499A JP32497794A JP32497794A JPH08175499A JP H08175499 A JPH08175499 A JP H08175499A JP 32497794 A JP32497794 A JP 32497794A JP 32497794 A JP32497794 A JP 32497794A JP H08175499 A JPH08175499 A JP H08175499A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
capsule
entry
atmosphere
time
ablation material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32497794A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryujiro Kurosaki
隆二郎 黒崎
Takuji Kurotaki
卓司 黒滝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP32497794A priority Critical patent/JPH08175499A/ja
Publication of JPH08175499A publication Critical patent/JPH08175499A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Toys (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大気圏再突入カプセルにおいて、周縁部に設
けられた低速飛行用空力デバイスをアブレーション材で
覆うことにより、再突入時には空力加熱の軽減を図り、
低速飛行時にはアブレーション材の昇華後露出した上記
デバイスを用いて、良好な空力動特性を得る。 【構成】 低速飛行用空力デバイスとしてカプセル本体
1周縁部にカプセル周縁部突起11を取り付ける。カプ
セル本体1とカプセル周縁部突起11を覆うようにアブ
レーション材2を再突入時の減少厚さ分だけコーティン
グする。 【効果】 アブレーション材2の効果により再突入時の
空力加熱量が軽減でき、かつ低速飛行時においても、カ
プセル周縁部突起11を低速飛行用空力デバイスとして
機能させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アブレーション材を
用いて空力加熱防御を行なう大気圏再突入カプセルの低
速時空力動特性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の大気圏再突入カプセルの
概略図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は正面
図、図6(c)は再突入時における状態を示す図であ
る。大気圏再突入カプセルにおいては、再突入時の空力
環境を考慮し、正面投影面積を大きくするために、図6
の様な形状となることが多い。図中1はカプセル本体、
2はアブレーション材、3は極超音速の気流、4は衝撃
波、5はアブレーション材の昇華によって生じた熱分解
ガスである。このような再突入カプセルが大気圏再突入
時に音速を越えて高速で飛行すると、物体の前方に強い
衝撃波4が発生し、急激に空気が圧縮され、空気の運動
エネルギが熱エネルギに変換され空気は加熱される。こ
の現象を空力加熱と呼んでいる。
【0003】空力加熱は、特に高速で飛行する大気圏再
突入時において重要な課題となる。空気の運動エネルギ
が熱エネルギに変換された後、物体の周りの空気の薄い
層即ち境界層の中に流入し、境界層内の空気の温度が上
昇する。空力加熱による空気の温度上昇は以下の式で与
えられる。
【0004】
【数1】
【0005】この様に、非常に高温に加熱された空気か
ら機体の周りに形成された境界層に熱が流入し、境界層
の温度を上昇させ、さらに、物体表面に熱が侵入し、機
体の温度が上昇する。この時、境界層から物体に流入す
る熱量は、物体における熱伝達率及び、境界層外縁と物
体表面の総温度差に比例する。これを式で表すと、以下
のようになる。 Q=H×(T2 −T1 ) ここで、Qは流入する熱量、Hは熱伝達率、(T2 −T
1 )は境界層外縁と物体表面の総温度差である。
【0006】アブレーション材を機体表面にコーティン
グすることは、前述した空力加熱を軽減する方法の一つ
である。図7は、この方法の原理図であり、図中6は機
体構造材である。アブレーション材がコーティングされ
た機体が空力加熱を受けると、アブレーション材が昇華
し始め、熱分解ガス5を発生する。昇華反応の際、大量
の昇華熱を周囲の空気から吸収するため、空力加熱は軽
減される。この際、アブレーション材は熱分解されて質
量を失い、その結果、アブレーション材の厚さは減少し
ていく。この厚さの減少速度は表面温度の関数であり、
これを式で表すと、以下のようになる。
【0007】
【数2】
【0008】ここで、vはアブレーション材厚さの減少
速度、TW は表面温度、TC は昇華反応が起こる最低温
度である。
【0009】図8は、大気圏再突入カプセルの機体表面
温度の履歴図の例である。図において、横軸は飛行時刻
t、縦軸は表面温度TW を表す。時刻t0 は再突入開始
時刻、時刻t1 は再突入終了時刻、TW はその間におけ
る表面温度の平均値を表す。この場合、再突入時におけ
るアブレーション材厚さの減少量Δyを式で表すと、以
下のようになる。
【0010】
【数3】
【0011】このように、アブレーション材をコーティ
ングすることにより空力加熱量を軽減することが可能で
あるが、空力加熱量は物体の曲率半径の平方根に反比例
するため、大気圏再突入カプセルのような厳しい空力加
熱に晒される飛行体では、有害な空力加熱を避けるた
め、機体表面はなるべく突起物を持たない滑らかな形状
であることが不可欠である。
【0012】一方、このような再突入カプセルが再突入
を終了した後にパラシュート等を用いて、安全に着地ま
たは着水するためには、パラシュート等を開く亜音速領
域前までのカプセル本体による減速中において、安定し
た姿勢を保ち続けることが要求される。しかし、カプセ
ル型の再突入回収物体は、外縁付近において曲率半径が
急激に変化するため、音速通過付近の遷音速領域におい
て動特性が悪化し、振動発生しやすいことが知られてい
る。図9は、カプセル本体1上の流れの特徴を示す図で
あり、図中7は遷音速の気流、8はカプセル背後の非定
常渦、9はカプセルの重心、10は揺れのモーメントで
ある。カプセル型の再突入回収物体は、一般的に外縁付
近において曲率半径が急激に小さくなるため、この付近
から後方に向かって渦流が発生する。再突入中のマッハ
数が大きい間は、この渦流は十分強く、また渦流が始ま
る剥離点の位置も安定しているため、カプセルの重心9
回りの姿勢を乱そうとする揺れのモーメント10は小さ
く問題は起こらない。しかし、再突入が終了し、パラシ
ュート等を開くまで減速をする間の音速通過付近の遷音
速領域においては、遷音速の気流7の持つ動圧が小さく
なるため上記渦流の強さは十分でなくなり、さらに渦流
が始まる剥離点の位置も非定常的に前後に移動するよう
になるため、カプセル背後の非定常渦8が発生する。そ
の結果、カプセルの重心9回りの姿勢を乱そうとする揺
れのモーメント10は大きくなり、安定を保つことが困
難となる。この有害な現象を避けるためには、遷音速付
近の低速時において、カプセル本体1上においてさらに
強い渦流を発生させ、かつ剥離点の位置を一定に保つこ
とが望ましい。そのためにはカプセル本体1上に何らか
の空力デバイスを設ける必要があるが、これらは全て、
機体の凹凸を利用しているため、前述したように、再突
入時における空力加熱の軽減という点から見て、そのま
まで使用することはできない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した通り、従
来の大気圏再突入カプセルは、大気圏再突入時の空力加
熱を軽減するため、滑らかな機体形状を持つことが不可
欠であり、そのために再突入後の音速通過付近の遷音速
領域において動特性が悪化するという課題があった。
【0014】この発明は、このような課題を解決するた
めになされたもので、アブレーション材を機体表面にコ
ーティングすることによって再突入時の空力加熱を軽減
させると共に、低速時空力動特性も良好にすることを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の実施例1によ
る大気圏再突入カプセルは、機体表面に、コーティング
されたアブレーション材及び低速飛行用の複数の突起を
有し、大気圏再突入時には滑らかな機体形状を保ち、そ
の後の低速飛行時のみ、低速時における空力動特性を向
上させるための複数の突起が機体表面に露出して機能す
る手段を設けたものである。
【0016】また、この発明の実施例2による大気圏再
突入カプセルは、機体表面に、コーティングされたアブ
レーション材及び低速飛行用の複数の小翼を有し、大気
圏再突入時には滑らかな機体形状を保ち、その後の低速
飛行時のみ、低速時における空力動特性を向上させるた
めの複数の小翼が機体表面に露出して機能する手段を設
けたものである。
【0017】また、この発明の実施例3による大気圏再
突入カプセルは、機体表面に、コーティングされたアブ
レーション材及び低速飛行用の複数の小翼とそれらに直
交方向に取り付けられた翼端板を有し、大気圏再突入時
には滑らかな機体形状を保ち、その後の低速飛行時の
み、低速時における空力動特性を向上させるための複数
の小翼とそれらに直交方向に取り付けられた翼端板が機
体表面に露出して機能する手段を設けたものである。
【0018】また、この発明の実施例4による大気圏再
突入カプセルは、機体表面に、コーティングされたアブ
レーション材及び低速飛行用の複数の切り欠き部を有
し、大気圏再突入時には滑らかな機体形状を保ち、その
後の低速飛行時のみ、低速時における空力動特性を向上
させるための複数の切り欠き部が機体表面に露出して機
能する手段を設けたものである。
【0019】また、この発明の実施例5による大気圏再
突入カプセルは、機体表面に、コーティングされたアブ
レーション材及び低速飛行用のリングを有し、大気圏再
突入時には滑らかな機体形状を保ち、その後の低速飛行
時のみ、低速時における空力動特性を向上させるための
リングが機体表面に露出して機能する手段を設けたもの
である。
【0020】
【作用】この発明の実施例1によれば、低速飛行用の複
数の突起を覆うようにアブレーション材をコーティング
した状態で再突入を行なうことによって、滑らかな機体
形状を保持しながら空力加熱の軽減を図り、再突入後の
音速通過付近の遷音速飛行時には、アブレーション材厚
さの減少によって機体表面に露出した低速飛行用の複数
の突起を用いて、良好な空力動特性を得ることができ
る。
【0021】また、この発明の実施例2によれば、低速
飛行用の複数の小翼を覆うようにアブレーション材をコ
ーティングした状態で再突入を行なうことによって、滑
らかな機体形状を保持しながら空力加熱の軽減を図り、
再突入後の音速通過付近の遷音速飛行時には、アブレー
ション材厚さの減少によって機体表面に露出した低速飛
行用の複数の小翼を用いて、良好な空力動特性を得るこ
とができる。
【0022】また、この発明の実施例3によれば、低速
飛行用の複数の小翼とそれらに直交方向に取り付けられ
た翼端板を覆うようにアブレーション材をコーティング
した状態で再突入を行なうことによって、滑らかな機体
形状を保持しながら空力加熱の軽減を図り、再突入後の
音速通過付近の遷音速飛行時には、アブレーション材厚
さの減少によって機体表面に露出した低速飛行用の複数
の小翼とそれらに直交方向に取り付けられた翼端板を用
いて、良好な空力動特性を得ることができる。
【0023】また、この発明の実施例4によれば、低速
飛行用の複数の切り欠き部を覆うようにアブレーション
材をコーティングした状態で再突入を行なうことによっ
て、滑らかな機体形状を保持しながら空力加熱の軽減を
図り、再突入後の音速通過付近の遷音速飛行時には、ア
ブレーション材厚さの減少によって機体表面に露出した
低速飛行用の複数の切り欠き部を用いて、良好な空力動
特性を得ることができる。
【0024】また、この発明の実施例5によれば、低速
飛行用のリングを覆うようにアブレーション材をコーテ
ィングした状態で再突入を行なうことによって、滑らか
な機体形状を保持しながら空力加熱の軽減を図り、再突
入後の音速通過付近の遷音速飛行時には、アブレーショ
ン材厚さの減少によって機体表面に露出した低速飛行用
のリングを用いて、良好な空力動特性を得ることができ
る。
【0025】
【実施例】
実施例1.図1は、この発明の実施例1を示す説明図で
あり、図1(a)は再突入以前の状態における側面図、
図1(b)は同状態における正面図、図1(c)は再突
入後の遷音速飛行時における状態を示す図である。図中
11は機体構造材6と同じ材質でつくられた複数のカプ
セル周縁部突起、図中12はカプセル背後の対称渦であ
る。この発明による大気圏再突入カプセルが大気圏再突
入時に極超音速で飛行する時、カプセル前方において図
6(c)に示すように衝撃波4が発生し、衝撃波4の後
方では気体が急激に減速されて運動エネルギが熱エネル
ギに変換され、熱が発生する。
【0026】この発明による大気圏再突入カプセルは、
カプセル本体1に機体構造材6と同じ材質でつくられた
複数のカプセル周縁部突起11を有しており、再突入軌
道投入時から再突入以前の飛行状態においては、図1
(a)に示すように、厚さΔyを有するアブレーション
材2でコーティングされている。この時、再突入カプセ
ルは滑らかな表面を持ち、有害な空力加熱を受けること
なく飛行することができる。再突入が始まると急激な空
力加熱のため、アブレーション材2は昇華をし始め空力
加熱を軽減すると同時に、徐々に厚さも減少していく。
この際、カプセル周縁部突起11が露出し始めるまで
は、再突入カプセルは滑らかな表面を保つため、カプセ
ル周縁部突起11を有することに起因する有害な空力加
熱を受けることはない。その後、カプセル周縁部突起1
1が露出し始めると、有害な空力加熱を受け始めるが、
アブレーション材2の厚さの減少は徐々に進行するため
に表面は比較的滑らかに保たれ、アブレーション材2が
ない場合に比べて、空力加熱の度合は小さくて済む。再
突入が終了して飛行速度が減少した後のパラシュート等
が開くまでの音速付近の遷音速飛行時には、再突入カプ
セルは図1(c)に示すようにカプセル周縁部突起11
が機体表面に露出した状態になり、カプセル周縁部突起
11の両側よりカプセル背後の対称渦12が発生する。
カプセル背後の対称渦12の渦の強さは、カプセル周縁
部突起11がない場合のカプセル背後の非定常渦8に比
べて大きく、かつ渦流が始まる剥離点の位置も安定して
いるため、音速付近の遷音速飛行時において良好な空力
動特性を得ることができる。
【0027】このように、この発明においては、大気圏
再突入カプセルの課題である、再突入時における空力加
熱量の軽減及び、低速飛行時における空力動特性の改善
という相反する要求を同時に満足させることができる。
【0028】実施例2.図2は、この発明の実施例2を
示す説明図であり、図2(a)は再突入以前の状態にお
ける側面図、図2(b)は同状態における正面図、図2
(c)は再突入後の遷音速飛行時における状態を示す図
である。図中13は機体構造材6と同じ材質でつくら
れ、かつ同一方向にピッチの付けられた複数の小翼、図
中14はカプセル背後の定常渦である。この発明による
大気圏再突入カプセルが大気圏再突入時に極超音速で飛
行する時、カプセル前方において図6(c)に示すよう
に衝撃波4が発生し、衝撃波4の後方では気体が急激に
減速されて運動エネルギが熱エネルギに変換され、熱が
発生する。
【0029】この発明による大気圏再突入カプセルは、
カプセル本体1に機体構造材6と同じ材質でつくられた
複数の小翼13を有しており、再突入軌道投入時から再
突入以前の飛行状態においては、図2(a)に示すよう
に、厚さΔyを有するアブレーション材2でコーティン
グされている。この時、再突入カプセルは滑らかな表面
を持ち、有害な空力加熱を受けることなく飛行すること
ができる。再突入が始まると急激な空力加熱のため、ア
ブレーション材2は昇華をし始めて空力加熱を軽減する
と同時に、徐々に厚さも減少していく。この際、小翼1
3が露出し始めるまでは、再突入カプセルは滑らかな表
面を保つため、小翼13を有することに起因する有害な
空力加熱を受けることはない。その後、小翼13が露出
し始めると、有害な空力加熱を受け始めるが、アブレー
ション材2の厚さの減少は徐々に進行するために表面は
比較的滑らかに保たれ、アブレーション材2がない場合
に比べて、空力加熱の度合は小さくて済む。再突入が終
了して飛行速度が減少した後のパラシュート等が開くま
での音速付近の遷音速飛行時には、再突入カプセルは図
2(c)に示すように小翼13が機体表面に露出した状
態になり、そこにおいてカプセル背後の定常渦14が発
生する。小翼13は同一方向にピッチが与えられている
ため、カプセル背後の定常渦14の強さは、小翼13が
ない場合のカプセル背後の非定常渦8に比べて大きく、
かつ渦流が始まる剥離点の位置も安定しているため、音
速付近の遷音速飛行時において良好な空力動特性を得る
ことができる。
【0030】このように、この発明においては、大気圏
再突入カプセルの課題である、再突入時における空力加
熱量の軽減及び、低速飛行時における空力動特性の改善
という相反する要求を同時に満足させることができる。
【0031】実施例3.図3は、この発明の実施例3を
示す説明図であり、図3(a)は再突入以前の状態にお
ける側面図、図3(b)は同状態における正面図、図3
(c)は再突入後の遷音速飛行時における状態を示す図
である。図中15は機体構造材6と同じ材質でつくら
れ、小翼13の翼端部に設けられた翼端板である。この
発明による大気圏再突入カプセルが大気圏再突入時に極
超音速で飛行する時、カプセル前方において図6(c)
に示すように衝撃波4が発生し、衝撃波4の後方では気
体が急激に減速されて運動エネルギが熱エネルギに変換
され、熱が発生する。
【0032】この発明による大気圏再突入カプセルは、
カプセル本体1に機体構造材6と同じ材質でつくられた
小翼13に加え翼端板15を有しており、再突入軌道投
入時から再突入以前の飛行状態においては、図3(a)
に示すように、厚さΔyを有するアブレーション材2で
コーティングされている。この時、再突入カプセルは滑
らかな表面を持ち、有害な空力加熱を受けることなく飛
行することができる。再突入が始まると急激な空力加熱
のため、アブレーション材2は昇華をし始めて空力加熱
を軽減すると同時に、徐々に厚さも減少していく。この
際、小翼13及び翼端板15が露出し始めるまでは、再
突入カプセルは滑らかな表面を保つため、小翼13及び
翼端板15を有することに起因する有害な空力加熱を受
けることはない。その後、小翼13及び翼端板15が露
出し始めると、有害な空力加熱を受け始めるが、アブレ
ーション材2の厚さの減少は徐々に進行するために表面
は比較的滑らかに保たれ、アブレーション材2がない場
合に比べて、空力加熱の度合は小さくて済む。再突入が
終了して飛行速度が減少した後のパラシュート等が開く
までの音速付近の遷音速飛行時には、再突入カプセルは
図3(c)に示すように翼端板15が取り付けられた小
翼13が機体表面に露出した状態になり、そこにおいて
カプセル背後の定常渦14が発生する。小翼13は同一
方向にピッチが与えられており、カプセル背後の定常渦
14の強さは、翼端板15の存在による二次元翼効果の
ために、翼端板15が存在しない実施例2の場合よりも
強くなる。従って、実施例2より安定で良好な音速付近
の遷音速飛行時における空力動特性を得ることができ
る。
【0033】このように、この発明においては、大気圏
再突入カプセルの課題である、再突入時における空力加
熱量の軽減及び、低速飛行時における空力動特性の改善
という相反する要求を同時に満足させることができる。
【0034】実施例4.図4は、この発明の実施例4を
示す説明図であり、図4(a)は再突入以前の状態にお
ける側面図、図4(b)は同状態における正面図、図4
(c)は再突入後の遷音速飛行時における状態を示す側
面図である。図中16はカプセル本体1の一部を切り欠
くことによって設けられた複数の切り欠き部である。こ
の発明による大気圏再突入カプセルが大気圏再突入時に
極超音速で飛行する時、カプセル前方において図6
(c)に示すように衝撃波4が発生し、衝撃波4の後方
では気体が急激に減速されて運動エネルギが熱エネルギ
に変換され、熱が発生する。
【0035】この発明による大気圏再突入カプセルは、
カプセル本体1の一部を切り欠くことによって設けられ
た切り欠き部16を有しており、再突入軌道投入時から
再突入以前の飛行状態においては、図4(a)に示すよ
うに、アブレーション材2でコーティングされている。
この時、再突入カプセルは滑らかな表面を持ち、有害な
空力加熱を受けることなく飛行することができる。再突
入が始まると急激な空力加熱のため、アブレーション材
2は昇華をし始めて空力加熱を軽減すると同時に、徐々
に厚さも減少していく。この際、切り欠き部16が露出
し始めるまでは、再突入カプセルは滑らかな表面を保つ
ため、切り欠き部16を有することに起因する有害な空
力加熱を受けることはない。再突入が終了して飛行速度
が減少した後のパラシュート等が開くまでの音速付近の
遷音速飛行時には、再突入カプセルは図4(c)に示す
ように切り欠き部16が機体表面に露出した状態にな
り、切り欠き部16の両端面よりカプセル背後の対称渦
12が発生する。カプセル背後の、対称渦12の強さ
は、切り欠き部16がない場合のカプセル背後の非定常
渦8に比べて大きく、かつ渦流が始まる剥離点の位置も
安定しているため、音速付近の遷音速飛行時において良
好な空力動特性を得ることができる。
【0036】このように、この発明においては、大気圏
再突入カプセルの課題である、再突入時における空力加
熱量の軽減及び、低速飛行時における空力動特性の改善
という相反する要求を同時に満足させることができる。
【0037】実施例5.図5は、この発明の実施例5を
示す説明図であり、図5(a)は再突入以前の状態にお
ける側面図、図5(b)は同状態における正面図、図5
(c)は再突入後の遷音速飛行時における状態を示す図
である。図中17は機体構造材6と同じ材質でつくられ
たリングである。この発明による大気圏再突入カプセル
が大気圏再突入時に極超音速で飛行する時、カプセル前
方において図6(c)に示すように衝撃波4が発生し、
衝撃波4の後方では気体が急激に減速されて運動エネル
ギが熱エネルギに変換され、熱が発生する。
【0038】この発明による大気圏再突入カプセルは、
機体構造材6と同じ材質でつくられたリング17を有し
ており、再突入軌道投入時から再突入以前の飛行状態に
おいては、図5(a)に示すように、厚さΔyを有する
アブレーション材2でコーティングされている。この
時、再突入カプセルは滑らかな表面を持ち、有害な空力
加熱を受けることなく飛行することができる。再突入が
始まると急激な空力加熱のため、アブレーション材2は
昇華をし始めて空力加熱を軽減すると同時に、徐々に厚
さも減少していく。この際、リング17が露出し始める
までは、再突入カプセルは滑らかな表面を保つため、リ
ング17を有することに起因する有害な空力加熱を受け
ることはない。その後、リング17が露出し始めると、
有害な空力加熱を受け始めるが、アブレーション材2の
厚さの減少は徐々に進行するために表面は比較的滑らか
に保たれ、アブレーション材2がない場合に比べて、空
力加熱の度合は小さくて済む。再突入が終了して飛行速
度が減少した後のパラシュート等が開くまでの音速付近
の遷音速飛行時には、再突入カプセルは図5(c)に示
すようにリング17が機体表面に露出した状態になり、
リング17よりカプセル背後の対称渦12が発生する。
カプセル背後の対称渦12の渦の強さは、リング17が
ない場合のカプセル背後の非定常渦8に比べて大きく、
かつ渦流が始まる剥離点の位置も安定しているため、音
速付近の遷音速飛行時において良好な空力動特性を得る
ことができる。
【0039】このように、この発明においては、大気圏
再突入カプセルの課題である、再突入時における空力加
熱量の軽減及び、低速飛行時における空力動特性の改善
という相反する要求を同時に満足させることができる。
【0040】
【発明の効果】この発明の実施例1によれば、大気圏再
突入カプセルの機体表面に低速飛行用の複数の突起を設
け、それをアブレーション材で覆うことにより、再突入
時の空力加熱を軽減させると共に、再突入後の音速付近
の遷音速飛行時における空力動特性も良好にすることが
できる。
【0041】この発明の実施例2によれば、大気圏再突
入カプセルの機体表面に低速飛行用の複数の小翼を設
け、それをアブレーション材で覆うことにより、再突入
時の空力加熱を軽減させると共に、再突入後の音速付近
の遷音速飛行時における空力動特性も良好にすることが
できる。
【0042】この発明の実施例3によれば、大気圏再突
入カプセルの機体表面に低速飛行用の複数の小翼とそれ
らに直交方向に取り付けられた翼端板を設け、それをア
ブレーション材で覆うことにより、再突入時の空力加熱
を軽減させると共に、再突入後の音速付近の遷音速飛行
時における空力動特性も良好にすることができる。
【0043】この発明の実施例4によれば、大気圏再突
入カプセルの機体表面に低速飛行用の複数の切り欠き部
を設け、それをアブレーション材で覆うことにより、再
突入時の空力加熱を軽減させると共に、再突入後の音速
付近の遷音速飛行時における空力動特性も良好にするこ
とができる。
【0044】この発明の実施例5によれば、大気圏再突
入カプセルの機体表面に低速飛行用のリングを設け、そ
れをアブレーション材で覆うことにより、再突入時の空
力加熱を軽減させると共に、再突入後の音速付近の遷音
速飛行時における空力動特性も良好にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による大気圏再突入カプ
セルを示す図である。
【図2】 この発明の実施例2による大気圏再突入カプ
セルを示す図である。
【図3】 この発明の実施例3による大気圏再突入カプ
セルを示す図である。
【図4】 この発明の実施例4による大気圏再突入カプ
セルを示す図である。
【図5】 この発明の実施例5による大気圏再突入カプ
セルを示す図である。
【図6】 従来の大気圏再突入カプセルの説明図であ
る。
【図7】 アブレーション材による空力加熱軽減法の原
理図である。
【図8】 大気圏再突入カプセルの機体表面温度の履歴
図である。
【図9】 大気圏再突入カプセルの低速飛行時における
流れの特徴を示す図である。
【符号の説明】
1 カプセル本体、2 アブレーション材、3 極超音
速の気流、4 衝撃波、5 熱分解ガス、6 機体構造
材、7 遷音速の気流、8 カプセル背後の非定常渦、
9 カプセルの重心、10 揺れのモーメント、11
カプセル周縁部突起、12 カプセル背後の対称渦、1
3 小翼、14 カプセル背後の定常渦、15 翼端
板、16 切り欠き部、17 リング。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地球周回軌道上から大気圏内に再突入
    し、地上で回収される大気圏再突入カプセルにおいて、
    カプセル前面に周縁部に低速飛行用の複数の突起を設け
    るとともに、上記複数の突起を含むカプセル本体を、大
    気圏再突入時に熱分解により上記突起を露出させるよう
    に機能するアブレーション(ablation)材で覆
    ったことを特徴とする大気圏再突入カプセル。
  2. 【請求項2】 地球周回軌道上から大気圏内に再突入
    し、地上で回収される大気圏再突入カプセルにおいて、
    カプセル周縁部に低速飛行用の複数の小翼を設けるとと
    もに、上記複数の小翼を含むカプセル本体を、大気圏再
    突入時に熱分解により上記小翼を露出させるように機能
    するアブレーション(ablation)材で覆ったこ
    とを特徴とする大気圏再突入カプセル。
  3. 【請求項3】 カプセル周縁部の複数の小翼の翼端に、
    小翼と直交方向に翼端板を取り付けたことを特徴とする
    請求項2記載の大気圏再突入カプセル。
  4. 【請求項4】 地球周回軌道上から大気圏内に再突入
    し、地上で回収される大気圏再突入カプセルにおいて、
    カプセル周縁部に低速飛行用の複数の切り欠き部を設け
    るとともに、上記複数の切り欠き部を含むカプセル本体
    を、大気圏再突入時に熱分解により上記切り欠き部を露
    出させるように機能するアブレーション(ablati
    on)材で覆ったことを特徴とする大気圏再突入カプセ
    ル。
  5. 【請求項5】 地球周回軌道上から大気圏内に再突入
    し、地上で回収される大気圏再突入カプセルにおいて、
    カプセル周縁部の外側に低速飛行用のリングを設けると
    ともに、上記リングを含むカプセル本体を、大気圏再突
    入時に熱分解により上記リングを露出させるように機能
    するアブレーション(ablation)材で覆ったこ
    とを特徴とする大気圏再突入カプセル。
JP32497794A 1994-12-27 1994-12-27 大気圏再突入カプセル Pending JPH08175499A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32497794A JPH08175499A (ja) 1994-12-27 1994-12-27 大気圏再突入カプセル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32497794A JPH08175499A (ja) 1994-12-27 1994-12-27 大気圏再突入カプセル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08175499A true JPH08175499A (ja) 1996-07-09

Family

ID=18171752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32497794A Pending JPH08175499A (ja) 1994-12-27 1994-12-27 大気圏再突入カプセル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08175499A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013023079A (ja) * 2011-07-21 2013-02-04 Sadayuki Amiya 宇宙船
JP2016182874A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 三菱電機株式会社 リエントリ宇宙機誘導制御システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013023079A (ja) * 2011-07-21 2013-02-04 Sadayuki Amiya 宇宙船
JP2016182874A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 三菱電機株式会社 リエントリ宇宙機誘導制御システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2069199B1 (en) Vortex generators on rotor blades to delay an onset of large oscillatory pitching moments and increase maximum lift
US10035587B2 (en) Aerodynamically efficient lightweight vertical take-off and landing aircraft with multi-configuration wing tip mounted rotors
US8186617B2 (en) Aircraft having a lambda-box wing configuration
Fradenburgh The helicopter and the ground effect machine
WO2008054518A2 (en) Emissionless silent and ultra-efficient airplane using cfj airfoil
US11247773B2 (en) Pylon mounted tilt rotor
US5037044A (en) Aerodynamic or hydrodynamic surfaces
Malik et al. Application of drag reduction techniques to transport aircraft
US2918229A (en) Ducted aircraft with fore elevators
US6318677B1 (en) Method and apparatus for generating a stable leading-edge lifting-vortex controller
Qian et al. Improving the performance of ducted fans for VTOL applications: A review
CN107458583A (zh) 一种基于主动流动控制技术的飞翼布局飞行器航向控制装置
CN106628115A (zh) 一种四涵道飞翼式无人机
CN207607638U (zh) 基于主动流动控制技术的飞翼布局飞行器航向控制装置
JPH08175499A (ja) 大気圏再突入カプセル
EP0052360B1 (en) Air aspiration device of aircraft-mounted gas-turbine engine
JPH07149299A (ja) 大気圏再突入航空機
CN109050877B (zh) 一种使用斜槽引气机翼的微型无人机
US11014651B1 (en) Enhanced high-speed airfoil performance, including increased lift/drag ratio, from localized high-temperature speed of sound increases, and associated systems and methods
Gera Stability and control of wing-in-ground effect vehicles or wingships
Meng et al. Take-off characteristics and longitudinal controllability of FanWing
Yang et al. A new VTOL aircraft
Hebbar et al. Effect of canard oscillations on an X-31A-like model in pitching maneuver
JPH06227500A (ja) 大気圏再突入航空機
Campbell Overview of powered-lift technology