JPH08170483A - 割岩用パワージャッキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧配管の接続構造を簡略化し、ゴムチュー
ブの耐久性を向上させる。 【構成】 継手管４の外周のフランジ８に円錐形の凹部
８Ａを形成し、フランジ８に隣接する円盤状のプレッシ
ャプレート７との間に同様の円錐面を備えてゴムチュー
ブ３の外周に嵌合する軟質ゴム製のリング部材９を挟持
する。さらに、ゴムチューブ３の外周に円弧状断面のプ
ロテクタ５と円筒形のチューブプロテクタ６を装着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、岩盤掘削装置の改良に
関し、さらに詳しくは穿孔した岩盤に挿入して油圧で岩
盤を破砕するパワージャッキの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】岩盤をドリルなどで穿孔した後、孔内に
油圧で放射方向に膨張するジャッキを挿入して膨張させ
ることで周囲の岩盤を破砕する割岩用パワージャッキ
が、例えば特開平４−９９１７号に開示されている。

【０００３】このパワージャッキは、図６と７に示すよ
うに浅い略Ｖ字形断面の溝１Ａを向かい合わせて配設し
た２本のスラスト部材１と、この凹部１Ａが形成する中
空部に軸方向に配設されたゴムチューブ３と、ゴムチュ
ーブ３の外周に接して対称位置に配設され、両端をそれ
ぞれ溝１Ａの壁面に摺接する２本のウェッジ２とを備え
ている。

【０００４】ゴムチューブ３の端部は筒型のホルダ２０
に挿入される。ホルダ２０の端部にはフランジ２１が形
成され、フランジ２１に相接する円盤状の座金２４がゴ
ムチューブ３の外周に装着される。スラスト部材１には
これらのフランジ２１と座金２４を受け入れるガイド溝
１Ｂが形成される。また、フランジ２１には座金２４に
面して円錐形の凹部２１Ａが形成され、この凹部２１Ａ
と同型のリング部材２２をゴムチューブ３の外周に装着
し、座金２４を介して凹面部２１Ａとガイド溝１Ｂの壁
面との間で挟持している。ゴムチューブ３の開口部には
継手管２３が挿入され、この継手管２３に図示されない
油圧配管が接続される。ゴムチューブ３の反対側の端部
にも同様の部材が配設されるが、継手管２３は密閉され
る。

【０００５】油圧配管からゴムチューブ３に油圧を供給
すると、膨張するゴムチューブ３がウェッジ２を放射方
向に押し出し、押し出されたウェッジ２がスラスト部材
１をそれぞれウェッジ２の動作方向と直角に駆動するこ
とにより凹部１Ａを押し広げ、周囲の岩盤に亀裂を生じ
させる。この時、スラスト部材１のガイド溝１Ｂがフラ
ンジ２１と座金２４に沿って摺動することにより、スラ
スト部材１を軸横断方向に案内する。また、リング部材
２２がゴムチューブ３の膨張によりフランジ２１と座金
２４の間に楔状に侵入する。これにより、座金２４がス
ラスト部材１とウェッジ２とを軸方向に押圧し、スラス
ト部材１の軸横断方向変形を阻止する。

【０００６】継手管２３はこぶ状の係止部２３Ａを備
え、ホルダ２０の内側においてゴムチューブ３の開口部
にこの係止部２３を侵入させ、ゴムチューブ３が係止部
２３Ａから脱落しないように、係止部２３Ａと継手管２
３の外周に装着した筒状のストッパ２５とでゴムチュー
ブ３の端部を挟持し、ストッパ２５を継手管２３の外周
に螺合するナット２６と座金２７とにより係止部２３Ａ
に向けて締め込むようにしている。

【０００７】

【発明の課題】このパワージャッキの場合には、ゴムチ
ューブ３と継手管２３との接続部から高圧の圧油が漏出
しないように、接続部に数多くの部材が使用されてお
り、スラスト部材１やウェッジ２などの動作部と比較し
て接続部の構成が複雑で、接続部が占めるスペースも大
きいという問題があった。

【０００８】また、油圧を供給しても、ゴムチューブ３
のホルダ２０の内側の部分はホルダ２０に膨張を規制さ
れるため、ゴムチューブ３は座金２４を過ぎたところか
ら急激に膨張することになり、座金２４とスラスト部材
１あるいはウェッジ２との隙間にゴムチューブ３が噛み
込まれたり、膨張したゴムチューブ３の外周部がこれら
の部材の隅部に押し付けられてゴムチューブ３の表面が
傷つきやすく、損傷箇所がゴムチューブ３の破裂の原因
となるという問題があった。

【０００９】本発明は、上記問題点を解決すべくなされ
たもので、油圧配管との接続構造の簡略化と、ゴムチュ
ーブの耐久性の向上を目的とする。

【００１０】

【課題を達成するための手段】本発明は、軸方向に形成
された略Ｖ字形断面の溝を向かい合わせて配設された２
本のスラスト部材と、これらの溝が構成する中空部に軸
方向に配設されたゴムチューブと、ゴムチューブの両側
の対称位置に両側面をそれぞれ溝の斜面に当接するよう
にして配置された２本のウェッジとを備えた割岩用パワ
ージャッキにおいて、ゴムチューブの一端を挿入する孔
部と、この孔部に連通する油圧配管の接続部とを両端に
形成した継手管を備え、ゴムチューブ挿入部の外側に位
置して継手管の外周にフランジを形成し、このフランジ
に隣接する円盤状のプレッシャプレートをゴムチューブ
の外周に嵌合し、フランジにプレッシャプレートに向け
て円錐形の凹部を形成し、同じ円錐面を備えた軟質ゴム
からなるリング部材をゴムチューブの外周に装着してこ
の凹面部とプレッシャプレートとの間に挟持するととも
に、これらのフランジとプレッシャプレートに嵌合して
ゴムチューブの膨張時にスラスト部材を軸横断方向に案
内するガイド溝を前記スラスト部材に形成している。

【００１１】また、プレッシャプレートに接するゴムチ
ューブの外周に円筒状のゴム製プロテクタを装着してい
る。

【００１２】さらに、スラスト部材に接するゴムチュー
ブの外周部に円弧状断面のゴム製プロテクタを装着して
いる。

【００１３】

【作用】圧油供給によりゴムチューブが膨張すると、軟
質ゴムで形成されたリング部材が、フランジとプレッシ
ャプレートの間に隙間なく食い込み、継手管とこれに挿
入したゴムチューブとの間から作動油が漏出するのを阻
止するシール部材として機能する。また、このリング部
材はプレッシャプレートを介してスラスト部材に均一な
軸方向力を及ぼし、スラスト部材の変形を阻止する。

【００１４】円筒状のプロテクタは膨張したゴムチュー
ブがプレッシャプレートとスラスト部材あるいはウェッ
ジとの間に噛み込まれたり、これらの部材の隅部に押し
付けられて傷付くのを防止する。

【００１５】円弧状のプロテクタはスラスト部材の溝の
壁面と膨張するゴムチューブとの直接の接触を防止し
て、ゴムチューブが損耗するのを防止する。

【００１６】

【実施例】図１〜図５に本発明の実施例を示す。

【００１７】図１〜図３に示すように、本発明のパワー
ジャッキは軸方向に伸びる浅いＶ字形断面の溝１Ａを形
成した２本のスラスト部材１を備える。これらのスラス
ト部材１は溝１Ａを向かい合わせにして配設され、ゴム
バンド１０により相互に接近する方向に弾性保持され
る。

【００１８】相対する溝１Ａが構成する中空部にはゴム
チューブ３が軸方向に貫通し、ゴムチューブ３の両側の
対称位置に、２基のウェッジ２が側面をそれぞれ溝１Ａ
の壁面に摺接するようにしてスラスト部材１に挟持され
る。これにより、ゴムチューブ３が膨張すると、ウェッ
ジ２が外側へ押し出され、スラスト部材１をゴムバンド
１０の弾性保持力に抗して互いに離間する方向へ駆動す
る。

【００１９】ゴムチューブ３にはスラスト部材１との接
触面を覆うように、円弧状断面の硬質ゴム製のプロテク
タ５が対称位置に装着される。また、ゴムチューブ３の
端部近くの外周にはプロテクタ５に隣接して同じく硬質
ゴム製の円筒状のチューブプロテクタ６が嵌合する ゴムチューブ３の一方の端部は円盤状のプレッシャプレ
ート７を貫通して継手管４に接続される。チューブプロ
テクタ６はこのプレッシャプレート７の内側からゴムチ
ューブ３の中央に向けて所定の長さでゴムチューブ３を
覆うように配置される。

【００２０】継手管４は筒型の硬質部材で例えば金属で
構成される。継手管４のプレッシャプレート７に接する
端面にはゴムチューブ３の外周に嵌合する孔部が開口
し、プレッシャプレート７の貫通したゴムチューブ３の
端部はこの孔部に挿入される。継手管４のこの開口部の
外周にはフランジ８が一体に形成される。一方、継手管
４の反対側の端部はスラスト部材１から軸方向に突出
し、突出部に油圧配管を接続する接続口４Ａが形成され
る。この接続口４Ａは継手管４の内部を介してゴムチュ
ーブ３に連通する。

【００２１】フランジ８にはプレッシャプレート７に面
して円錐形の凹部８Ａが形成され、プレッシャプレート
７とこの凹部８Ａとの間に軟質ゴムで形成されたリング
部材９が挟持される。リング部材９は凹部８Ａに対応す
る円錐面を備え、ゴムチューブ３の外周に嵌合する。

【００２２】フランジ８とプレッシャプレート７はスラ
スト部材１の端部に形成したガイド溝１Ｂの内側に嵌合
する。このガイド溝１Ｂは継手管４とプレッシャプレー
ト７とを一体に保持するとともに、ゴムチューブ３の膨
張時にスラスト部材１を中心軸と直角方向に案内する。
なお、プレッシャプレート７のガイド溝１Ｂとの摺接面
には摩擦抵抗を小さくするために例えばテフロンコーテ
ィングを施しておくと良い。

【００２３】ゴムチューブ３のもう一方の端部にも同様
にチューブプロテクタ６とプレッシャプレート７とリン
グ部材９を介して継手管４に接続されるが、この継手管
４の接続口４Ａは油圧配管に接続せずに密閉される。

【００２４】次に作用を説明する。

【００２５】継手管４の接続口４Ａに接続された油圧配
管からゴムチューブ３に圧油が供給されると、ゴムチュ
ーブ３が膨張し、ウェッジ２を外側へ押し出すことによ
り、スラスト部材１がゴムバンド１０の弾性保持力に抗
して互いに離間する方向へ駆動される。

【００２６】ゴムチューブ３の端部は継手管４とプレッ
シャプレート７により膨張を規制されているため、ゴム
チューブ３は図４に示すように、プレッシャプレート７
を越えた位置、すなわちプレッシャプレート７よりもゴ
ムチューブ３の中央寄りで膨張する。このために、プレ
ッシャプレート７の周囲においてゴムチューブ３に大き
な変形圧力が作用する。また、膨張するゴムチューブ３
がスラスト部材１に及ぼす駆動力も一様ではなく、中央
部ほど大きくなるため、ガイド溝１Ｂの壁面とプレッシ
ャプレート７との間あるいはウェッジ２とプレッシャプ
レート７との間に隙間が生じやすくなる。

【００２７】しかしながら、このパワージャッキにおい
ては、プレッシャプレート７付近のゴムチューブ３には
外周に硬質ゴム製のチューブプロテクタ６が装着されて
いるので、ゴムチューブ３がプレッシャプレート７と溝
１Ｂとの間に生じる隙間に挟み込まれたり、これらの部
材の鋭角部に押し付けられたりすることがなく、度重な
る使用においてもゴムチューブ３が損傷する恐れはな
い。

【００２８】ゴムチューブ３はまた軟質ゴムで形成され
たリング部材９に放射方向の力を及ぼす。この放射方向
の力によりリング部材９はフランジ８とプレッシャプレ
ート７の間へ楔状に侵入し、フランジ８とプレッシャプ
レート７に隙間なく密着する。ゴムチューブ３への圧油
供給に伴い、継手管４の孔部とゴムチューブ３の外周と
の間を通って圧油が漏出しようとするが、この密着部に
より阻止されるので、継手管４の外側へ圧油が漏出する
恐れはなく、良好なシール特性が得られる。このため、
継手管に直接ゴムチューブ３を挿入するという簡易な構
成で油圧配管との接続部を構成することが可能となる。

【００２９】さらに、軟質ゴムで構成されたリング部材
９はプレッシャプレート７に均一な軸方向力を及ぼし、
これがスラスト部材１の変形を阻止する方向に作用する
のでスラスト部材１の変形量も小さく抑えられる。

【００３０】一方、スラスト部材１の中間部においては
圧油の供給によりゴムチューブ３が図５に示すように溝
１Ａの壁面を押圧するが、膨張とともに変形するゴムチ
ューブ３と溝１Ａの壁面との間には放射方向のみなら
ず、接戦方向の力が作用する。この力は繰り返し作用す
ることでゴムチューブ３の表面を摩耗させるが、このパ
ワージャッキにおいては、ゴムチューブ３のスラスト部
材１との当接面に硬質ゴム製の円弧状断面のプロテクタ
５が装着されており、このプロテクタ５がゴムチューブ
３の摩耗を防止する。したがって、度重なる使用におい
てもゴムチューブ３は損耗しにくく、高い耐久性が得ら
れる。

【００３１】

【発明の効果】以上のように本発明は、継手管の外周の
フランジに形成した円錐形の凹部とプレッシャプレート
との間に同様の円錐面を備えた軟質ゴムからなるリング
部材を挟持したので、ゴムチューブの膨張に伴い、リン
グ部材がフランジとプレッシャプレートの間に隙間なく
食い込み、継手管とこれに挿入したゴムチューブとの間
から作動油が漏出するのを阻止するシール部材として機
能する。このため、油漏れの心配なしにゴムチューブと
油圧配管との接続構造を簡略化することができる。

【００３２】また、プレッシャプレートに接するゴムチ
ューブの外周に円筒状のゴム製プロテクタを装着したの
で、膨張するゴムチューブがプレッシャプレートとスラ
スト部材あるいはウェッジとの間に噛み込まれるのを防
止して、ゴムチューブの損耗を抑制することができる。

【００３３】さらに、スラスト部材に接するゴムチュー
ブの外周部に円弧状断面のゴム製プロテクタを装着した
ので、スラスト部材とゴムチューブとの直接の接触によ
るゴムチューブの損耗を防止することができる。

【００３４】したがって、本発明によりパワージャッキ
の構成の簡略化と耐久性の向上が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すパワージャッキの側面図
と縦断面図との合成図である。

【図２】図１中のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】図１中のＢ−Ｂ矢視図である。

【図４】膨張時のパワージャッキの側面図と縦断面図と
の合成図である。

【図５】図４中のＣ−Ｃ矢視図である。

【図６】従来例を示すパワージャッキの側面図と縦断面
図との合成図である。

【図７】図６中のＤ−Ｄ矢視図である。

【符号の説明】

１ スラスト部材 １Ａ 溝 １Ｂ ガイド溝 ２ ウェッジ ３ ゴムチューブ ４ 継手管 ５ プロテクタ ６ チューブプロテクタ ７ プレッシャプレート ８ フランジ ８Ａ 凹部 ９ リング部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に形成された略Ｖ字形断面の溝を
   向かい合わせて配設された２本のスラスト部材と、これ
   らの溝が構成する中空部に軸方向に配設されたゴムチュ
   ーブと、ゴムチューブの両側の対称位置に両側面をそれ
   ぞれ溝の斜面に当接するようにして配置された２本のウ
   ェッジとを備えた割岩用パワージャッキにおいて、ゴム
   チューブの一端を挿入する孔部と、この孔部に連通する
   油圧配管の接続部とを両端に形成した継手管を備え、ゴ
   ムチューブ挿入部の外側に位置して継手管の外周にフラ
   ンジを形成し、このフランジに隣接する円盤状のプレッ
   シャプレートをゴムチューブの外周に嵌合し、フランジ
   にプレッシャプレートに向けて円錐形の凹部を形成し、
   同じ円錐面を備えた軟質ゴムからなるリング部材をゴム
   チューブの外周に装着してこの凹面部とプレッシャプレ
   ートとの間に挟持するとともに、これらのフランジとプ
   レッシャプレートに嵌合してゴムチューブの膨張時にス
   ラスト部材を軸横断方向に案内するガイド溝を前記スラ
   スト部材に形成したことを特徴とする割岩用パワージャ
   ッキ。
2. 【請求項２】 プレッシャプレートに接するゴムチュー
   ブの外周に円筒状のゴム製プロテクタを装着した請求項
   １記載の割岩用パワージャッキ。
3. 【請求項３】 スラスト部材に接するゴムチューブの外
   周部に円弧状断面のゴム製プロテクタを装着した請求項
   １記載の割岩用パワージャッキ。