JPH08162833A - 移動地球局用アンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】仰角方向の追尾が必要のない移動体地球局にお
いて小型軽量かつ低価格のアンテナ装置を製作可能にす
る。 【構成】軸対称の指向特性を持つアンテナ１を、円筒の
上部を斜めに切断した形状の回動部２の上面中心で空芯
の回転ジョイント３で接続し、その回動部３の底面で基
台６と空芯の回転ジョイント４で接続し、回動部底面の
縁の一端をギヤで駆動モータ５に接続して回動させるこ
とにより、仰角一定のままでアンテナ開口面の向きを変
え、全方位角に対して衛星を追尾できるようにする。 【効果】本発明により、仰角が一定という条件のもと
に、１個の駆動モータのみでアンテナと基台との相対的
回転ねじれ無しに衛星方向を追尾できるので、高価な高
周波信号用のロータリージョイントを使うことなく、装
置の小型化と低価格化を期せるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は移動体衛星通信システム
で自動車や船舶等の移動体に搭載される移動地球局の指
向性アンテナとその追尾機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】指向性アンテナを持つ移動地球局の場
合、常に衛星方向を追尾するために移動体の姿勢の変動
を補償するようにアンテナを動かす必要があり、従来、
移動地球局用アンテナ装置の追尾機構としては以下の様
な技術が用いられていた。一般にアンテナが全天のどの
方向にも向くことを可能にするために、互いに直交する
２つの回転軸、即ち、垂直面内で直交する方位角軸と仰
角軸（アジマスとエレベーション、略してＡｚ−Ｅ
ｌ）、又は水平面内で直交する２軸（Ｘ−Ｙ）のどちら
かの組合せを設け、それぞれの軸を別々のモータで駆動
する。

【０００３】Ａｚ−Ｅｌ駆動の特長としては、特に陸上
の自動車や近海向けの船舶のような移動範囲の小さい移
動体で使用する移動地球局の場合には、衛星仰角が移動
範囲内でほぼ一定のため、仰角軸の駆動を省略して方位
角軸のみの駆動として小型・軽量化を図ることが可能で
ある。一方、Ｘ−Ｙ駆動の特長としては、基台とアンテ
ナの方位角軸回りの回転が無いため、ロータリージョイ
ントが不要で、通常の同軸ケーブルを用いてアンテナに
給電できる。

【０００４】アンテナのビーム方向を常に衛星方向に指
向させる追尾制御手段としては、移動体の進行方向の方
位角及び移動体の水平面に対する傾斜角を各種センサで
測定して基台に対するアンテナのビーム方向を求める手
法、又は、受信した衛星からの電波の強度が常に最大に
なるようにビーム方向を試行的に制御する手法、又は、
上記２種の手法を組合せた手法が用いられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上に述べた従
来のアンテナ装置は、衛星仰角がほぼ一定で仰角方向の
追尾が必要ない場合にＡｚ−Ｅｌ駆動では駆動モータは
１つで良く小型にできるが、方位角軸は何回転にもわた
って同じ方向に回転し続けて給電線が軸に絡みついた
り、ねじ切れたりする可能性があるため、アンテナへ基
台部から直接同軸ケーブル等で接続して給電するわけに
はいかず、高周波信号を通すロータリージョイント（回
転部分に高周波信号を通す部品）が必要で、そのために
装置の信頼性、高周波信号の通過損失による品質劣化、
高価格といった問題点があった。又、Ｘ−Ｙ駆動ではア
ンテナは基台に対して方位角方向の回転は生じないため
ロータリージョイントは不要だが、衛星仰角がほぼ一定
で仰角方向の追尾が必要ない場合にも必ず２軸共に駆動
しなければならないため駆動モータが２個必要で装置の
大型化、高価格といった問題点があった。即ち、Ａｚ−
Ｅｌ駆動、Ｘ−Ｙ駆動のいずれにしても、小型軽量化と
ロータリージョイントの不使用を両立するわけにいかな
かった。

【０００６】そこで、本発明は、仰角方向の追尾が必要
のない移動体地球局において、高価な高周波信号用のロ
ータリージョイントを使うことなく方位角方向の衛星追
尾を可能とすると共に、装置の小型軽量化、低価格化、
高信頼化を期せる移動地球局用アンテナ装置の提供を目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る移動地球局用アンテナ装置は、仮想水
平面上に位置するアンテナ基台（例えば基台６）の表面
に垂直な第１回動軸を有する第１空芯回転ジョイント
（例えば回転ジョイント４）を介して、アンテナ基台上
面側へ回動自在に接続した第１回動部材（例えば回動部
２）と、仮想水平面に対して衛星仰角の角度だけ傾けた
第２回転軸を有する第２空芯回転ジョイント（例えば回
転ジョイント３）を介して、上記第１回動部材と回動自
在に接続した第２回動部材（例えばアンテナ１の基板）
と、上記第２回動部材と一体的に回動すると共に、第２
回転軸に軸対象な指向性を有するアンテナ（１）と、上
記第１空芯回転ジョイントと第２空芯回転ジョイントの
空芯部を介してアンテナの給電点（８）に接続される高
周波信号線（７）と、上記アンテナ基台が設置された移
動体の移動方向に応じて、上記第１回動部材の回動制御
を行うことにより、アンテナのビーム方向を衛星方位へ
向ける衛星追尾機構（例えば、駆動モータ５および追尾
制御装置）と、を備えるものとした。

【０００８】

【作用】上記のように構成した移動地球局用アンテナ装
置によれば、移動体の移動に伴って衛星の方位角が変化
すると、衛星追尾機構によって第１回動部材が回動させ
られ、第２空芯回転ジョイントの第２回転軸が衛星方向
に向くことになる。従って、第２回転軸に軸対象な指向
性を有するアンテナのビーム方向も衛星方向に一致する
こととなる。また、アンテナ基台と第１回動部材とは第
１空芯回転ジョイントを介して、第１回動部材と第２回
動部材とは第２空芯回転ジョイントを介して、それぞれ
回動自在に接続してあると共に、第１、第２空芯回転ジ
ョイントの空芯部を介して、アンテナと高周波信号線と
を接続するものとしたので、給電点における高周波信号
線とアンテナとの接続状態に影響を及ぼすことなく、第
２回動部材のみを衛星方向に指向させることができる。

【０００９】

【実施例】次に本発明に係る移動地球局用アンテナ装置
の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。

【００１０】図１は、本発明に係る移動地球局用アンテ
ナ装置のアンテナ部と回動部を示す斜視図である。

【００１１】図中１は円盤状の形状をしたアンテナ部で
ある。マイクロストリップパッチアンテナのような薄い
円盤状のアンテナが適しているが、他にパラボラアンテ
ナ等の軸対象の指向性を持つアンテナならばどれでも良
い。薄いアンテナの場合には、アンテナ素子そのものを
アンテナ部とすることもできるし、アンテナ部の円盤状
の基板上にアンテナ素子を貼り付けても良い。ただし、
本発明の装置が適用できる電波の偏波は、円偏波に限ら
れ、使用するアンテナ素子も円偏波用のものに限られ
る。

【００１２】２は円筒を斜めに切断した形状の回動部
で、この回動部２はアンテナ１及び基台６と空芯の回転
ジョイント３及び４によって接続されている。底面の回
転ジョイント４が基台６の表面に垂直な回転軸回りの回
転をするためのもので、上面の回転ジョイント３が基台
６の表面に対して衛星仰角分だけ傾いた回転軸回りの回
転をするためのものである。回動部２の底面の縁は基台
６の駆動モータ５とギヤを介して回転が伝達されるよう
になっており、動力を受けて水平面内で回動する。な
お、本図に示す駆動機構は、駆動モータ５の回転力を回
動部に直接伝達して従動回転させるものとしたが、駆動
機構はこれに限定されるものではない。例えば、駆動モ
ータ５の回転軸を回動部円筒の中心軸と平行に設置し、
プーリーとベルト等の動力伝達手段を介して回動部を間
接的に従動回転させるようにしても良い。回動部２が回
動しても、アンテナ１は回動部２と回転ジョイント３で
接続されているため回動部２の回動には必ずしも追随せ
ず自由に動かせる。したがって、例えば、通常の同軸ケ
ーブル等で給電して基台とアンテナを接続すれば、その
ケーブルが回転を抑制するため、アンテナ１は基台６と
の相対的な回転ねじれ無しに仰角一定に保ちながら任意
の方位角方向に向けることができる。

【００１３】３及び４で示す空芯の回転ジョイントは、
回転軸に垂直な２つの平面を互いに回転させるためのも
ので、例えば、内輪と外輪がボールベアリングを介して
互いに回転できるようになっており、その内輪が上側平
面に固定されて外輪が下側平面に固定されるような構造
を持つことによって、回転軸部分が中空になった回転ジ
ョイントを使用する。

【００１４】５は駆動モータで、モータを回転させるこ
とによって回動部２を回動させ、所望の方位角にアンテ
ナ１を向ける。すなわち、アンテナ１のビーム方向を常
に衛星方向に指向させるように、追尾制御手段（図示省
略）が駆動モータ５を制御することで、移動体の移動方
向に拘わらずアンテナ１のビーム方向を常に衛星方向に
指向させ得る移動地球局装置として機能するのである。

【００１５】６は基台で、これを移動体、例えば、自動
車の屋根に取付ける。また、全体をレドームで覆うこと
によって雨天でも使用できるようにする。図ではわかり
やすいように主反射鏡１よりも大きくなっているが、実
際には主反射鏡を支えるだけの大きさがあればよい。

【００１６】アンテナ１と送受信機をつなぐ高周波信号
線７は安価な通常の同軸ケーブルが使用でき車内の送受
信機に接続される。なお、アンテナは、平面状アンテナ
の場合にはそのまま使用できるし、また、それ以外の形
状の場合には円盤にアンテナを取付けて使用できる。い
ずれの場合でも、アンテナ給電点８で高周波信号線７と
接続され、高周波信号線７は回転ジョイント３及び４の
空芯部分を通って送受信機に接続される。使用するアン
テナは、方位角方向の向きによっていずれの縁の一端が
一番上に来るかは一定でないので、開口面に垂直な仮想
線に対して軸対称の指向特性を持つ必要がある。

【００１７】ここには図示していないが、移動地球局用
アンテナ装置として動作するためには、移動体の内部に
追尾制御手段となる追尾装置が必要である。追尾装置
は、アンテナからの受信信号、又は、移動体の進行方向
を検出するセンサーからの信号、もしくはその両方の信
号を使ってアンテナのビームの方位が常に衛星の方位方
向に一致するよう駆動モータ５を制御するための装置で
ある。

【００１８】このほか、移動地球局として通信をするた
めには、送受信装置を移動体の内部に持つことが必要で
ある。また、本装置は、送受信両用の通信アンテナ装置
として使えるほか、衛星放送の受信装置のような受信専
用のアンテナ装置としても利用できる。

【００１９】なお、本発明は、双方向の衛星通信だけで
なく、衛星放送の車載用受信装置などにも容易に使用で
き、自家用乗用車にも搭載できるくらいの小型軽量でか
つ安価に製作できるため、その効果は極めて大きい。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る移動
地球局用アンテナ装置によれば、移動体の移動に伴って
衛星の方位角が変化すると、衛星追尾機構によって第１
回動部材が回動させられ、第２空芯回転ジョイントの第
２回転軸が衛星方向に向くことになる。従って、第２回
転軸に軸対象な指向性を有するアンテナのビーム方向も
衛星方向に一致することとなる。また、アンテナ基台と
第１回動部材とは第１空芯回転ジョイントを介して、第
１回動部材と第２回動部材とは第２空芯回転ジョイント
を介して、それぞれ回動自在に接続してあると共に、第
１、第２空芯回転ジョイントの空芯部を介して、アンテ
ナと高周波信号線とを接続するものとしたので、給電点
における高周波信号線とアンテナとの接続状態に影響を
及ぼすことなく、第２回動部材のみを衛星方向に指向さ
せることができる。

【００２１】従って、仰角が一定という条件のもとに、
１個の駆動モータのみでアンテナが基台との第１回転軸
回りの相対的回転ねじれ無しに任意の方位角方向にビー
ムを向けることが可能となるので、高価な高周波信号用
のロータリージョイントを使うことなく方位角方向の衛
星追尾が可能で、装置の小型化と低価格化を期せるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す斜視図である。

【図２】図１の実施例の断面図である。

【符号の説明】

１ アンテナ ２ 回動部 ３ 空芯ジョイント ４ 空芯ジョイント ５ 駆動モータ ６ 基台 ７ 高周波信号線 ８ アンテナ給電点

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アンテナのビーム方向を常に衛星方向に
   一致させる追尾機構を備え、陸上又は水上での移動体に
   搭載された状態で静止衛星との通信を行う移動地球局ア
   ンテナ装置において、 仮想水平面上に位置するアンテナ基台の表面に垂直な第
   １回動軸を有する第１空芯回転ジョイントを介して、ア
   ンテナ基台上面側へ回動自在に接続した第１回動部材
   と、 仮想水平面に対して衛星仰角の角度だけ傾けた第２回転
   軸を有する第２空芯回転ジョイントを介して、上記第１
   回動部材と回動自在に接続した第２回動部材と、 上記第２回動部材と一体的に回動すると共に、第２回転
   軸に軸対象な指向性を有するアンテナと、 上記第１空芯回転ジョイントと第２空芯回転ジョイント
   の空芯部を介してアンテナの給電点に接続される高周波
   信号線と、 上記アンテナ基台が設置された移動体の移動方向に応じ
   て、上記第１回動部材の回動制御を行うことにより、ア
   ンテナのビーム方向を衛星方位へ向ける衛星追尾機構
   と、 を備えることを特徴とする移動地球局用アンテナ装置。