JPH08161449A - 回折格子記録媒体およびその作成方法 - Google Patents

回折格子記録媒体およびその作成方法

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JPH08161449A
JPH08161449A JP6329995A JP32999594A JPH08161449A JP H08161449 A JPH08161449 A JP H08161449A JP 6329995 A JP6329995 A JP 6329995A JP 32999594 A JP32999594 A JP 32999594A JP H08161449 A JPH08161449 A JP H08161449A
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数のモチーフを重ねて表現しても、輝度お
よび画質が低下することのない回折格子記録媒体および
その作成方法を提供する。 【構成】 英文字「A」を表すモチーフAと、英文字
「B」を表すモチーフBと、を重複させた回折格子像を
形成する。7×7の画素配列で表現されたモチーフA,
Bを用意し、モチーフAのみを構成する画素には、格子
線配置角度90°の回折格子パターンを割り付け、モチ
ーフBのみを構成する画素には、格子線配置角度45°
の回折格子パターンを割り付ける。また、モチーフA,
Bの双方を構成する画素には、90°の格子線と45°
の格子線とを重ねて記録した多重回折格子パターンを割
り付ける。格子線のライン幅dLとスペース幅dSとの
関係を、dL:dS=1:2以上になるようにする。多
重回折格子パターンを描画するには、ネガパターンを用
い、四角形のスペース部分を描画するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回折格子記録媒体および
その作成方法、特に、真正な物品であることを証明する
ためのセキュリティ用回折格子シールへの利用に適した
回折格子記録媒体およびその作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クレジットカード、預金通帳、金券など
の偽造を防止するための手段として、ホログラムシール
が利用されている。また、ビデオテープや高級腕時計な
どの商品についても、海賊版が出回るのを防止するため
に、ホログラムシールが利用されており、この他、装飾
用、販売促進用といった目的にも、ホログラムシールが
利用されている。このようなホログラムシールには、三
次元立体像ではなく二次元の絵柄がモチーフとして用い
られることが多い。
【0003】ホログラムシールを作成する方法として
は、レーザ光を用いて干渉縞を形成させる光学的なホロ
グラム撮影方法が一般的である。すなわち、二次元の絵
柄モチーフが描かれた原稿を用意し、2つに分岐させた
レーザ光の一方をこの原稿に照射し、その反射光と分岐
したもう一方のレーザ光とを干渉させてその干渉縞を感
光材に記録するのである。こうしてホログラム原版が作
成できたら、この原版を用いて、プレスの手法によりホ
ログラムシールを量産することができる。
【0004】ところが、最近では、コンピュータによる
画像処理技術や、電子ビームによる描画技術が進歩した
ため、コンピュータによって用意した画像データに基づ
いて電子ビームを走査し、疑似的なホログラム原版を作
成する方法が実用化されている。すなわち、媒体上に微
細な回折格子を記録し、この回折格子によって二次元の
絵柄のモチーフを表現するのである。たとえば、特願平
5−148681号明細書には、二次元の絵柄を複数の
画素で表現し、多数の回折格子を配してなる画素パター
ンを個々の画素に割り付けることにより、回折格子記録
媒体を形成する新規な方法が提案されている。また、特
願平5−317273号明細書には、このような回折格
子記録媒体を量産するための効率的な作成方法が開示さ
れており、特願平5−317274号明細書には、階調
をもった絵柄を表現するための改良点が開示され、特願
平6−177505号明細書には、色彩をもった絵柄を
表現するための改良点が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した回折格子記録
媒体では、同一平面上に、異なる複数のモチーフを表現
する場合、格子線の配置角度が互いに異なる複数の画素
パターンを各モチーフごとに用いることになる。たとえ
ば、モチーフAを構成する画素には、格子線配置角度が
45°の画素パターンを割り付け、モチーフBを構成す
る画素には、格子線配置角度が90°の画素パターンを
割り付ければ、所定角度から観察したときにモチーフA
のみが観察され、また別な角度から観察したときにはモ
チーフBのみが観察されるような回折格子記録媒体を作
成することが可能になる。
【0006】ただし、モチーフAとモチーフBとが平面
上で重なる場合には、何らかの工夫が必要になる。そこ
で従来は、1つの画素を複数の副画素に分割し、各副画
素ごとに画素パターンを割り付けるという手法を採って
いる。たとえば、1つの画素を2行2列からなる4つの
副画素に分割し、左上と右下の副画素にはモチーフAの
ための画素パターンを割り付け、左下と右上の副画素に
はモチーフBのための画素パターンを割り付けるように
すれば、モチーフAとモチーフBとが画素単位では重複
することはあっても、副画素単位では重複することはな
く、各副画素には、格子線配置角度が45°の画素パタ
ーンか格子線配置角度が90°の画素パターンのいずれ
か一方のみが割り付けられることになり、支障は生じな
くなる。
【0007】しかしながら、このように1つの画素を複
数の副画素に分割して画素パターンを割り付け、複数の
モチーフを重複記録する方法を採った回折格子記録媒体
には、観察時に輝度および画質が低下するという問題が
ある。たとえば、上述のように4つの副画素に分割した
場合、観察時には、1つの画素全体から回折光は得られ
ず、モチーフAを観察したときには左上と右下の副画素
からの回折光しか得られず、モチーフBを観察したとき
には左下と右上の副画素からの回折光しか得られなくな
る。このため、各モチーフをそれぞれ単独で記録した場
合に比べて、輝度が半分になってしまい、全体的に暗い
画像しか得られない。また、画素の代わりに副画素を用
いるために、画質も低下することになる。
【0008】そこで本発明は、複数のモチーフを重ねて
表現しても、輝度および画質が低下することのない回折
格子記録媒体およびその作成方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、回折格子により所定のモ
チーフを表現した回折格子記録媒体において、第1の方
向を向いた第1の格子線と第2の方向を向いた第2の格
子線との双方を同一の閉領域内に記録するようにしたも
のである。
【0010】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る回折格子記録媒体において、ライン幅dL
とスペース幅dSとの間に、dS≧2・dLなる関係が
得られるような格子線を用いるようにしたものである。
【0011】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2
の態様に係る回折格子記録媒体において、格子線のライ
ン部分が凸部、スペース部分が凹部をなすように構成し
たものである。
【0012】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3
の態様に係る回折格子記録媒体において、所定の可視波
長λに対して、dS>λなる式を満足するようなスペー
ス幅dSをもった格子線を用いるようにしたものであ
る。
【0013】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4
の態様に係る回折格子記録媒体において、記録媒体表面
に立てた法線に対して所定の観察角度θを定義し、(d
S+dL)・sinθ=λなる式を満足するようなライ
ン幅dLおよびスペース幅dSをもった格子線を用いる
ようにしたものである。
【0014】(6) 本発明の第6の態様は、回折格子に
より複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体におい
て、第1の方向を向いた第1の格子線を画素閉領域内に
多数配置してなる第1の画素パターンと、第2の方向を
向いた第2の格子線を画素閉領域内に多数配置してなる
第2の画素パターンと、第1の格子線および第2の格子
線の双方を画素閉領域内に多数配置してなる多重画素パ
ターンと、を定義し、第1のモチーフのみを構成する画
素には第1の画素パターンを割り付け、第2のモチーフ
のみを構成する画素には第2の画素パターンを割り付
け、第1のモチーフおよび第2のモチーフの双方を構成
する画素には多重画素パターンを割り付けるようにした
ものである。
【0015】(7) 本発明の第7の態様は、回折格子に
より複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体におい
て、所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる
画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより
複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子
線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとし
て複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフの
それぞれについて1グループを対応づけ、異なるグルー
プに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに
配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配
置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素には、そのモチーフ
に対応づけられたグループに所属する画素パターンを割
り付け、2つのモチーフを構成する画素には、各モチー
フに対応づけられた2つのグループにそれぞれ所属する
画素パターンについて定義された多重画素パターンを割
り付けるようにしたものである。
【0016】(8) 本発明の第8の態様は、回折格子に
より複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体におい
て、所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる
画素パターンを、格子線の配置角度を変えることにより
複数定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子
線の配置角度が近似する画素パターンを1グループとし
て複数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフの
それぞれについて1グループを対応づけ、異なるグルー
プに所属する2つの画素パターンについて、それぞれに
配置されている格子線を同一の画素閉領域内に重ねて配
置することにより得られる多重画素パターンを定義し、
単一のモチーフのみを構成する画素については、これを
分割して得られる各副画素に、そのモチーフに対応づけ
られたグループに所属する画素パターンを割り付け、複
数のモチーフを構成する画素については、これを分割し
て得られる各副画素に、各モチーフに対応づけられたグ
ループのそれぞれに所属する画素パターンもしくはその
多重画素パターンを割り付け、各グループに関連した格
子線配置角度で配置された格子線が少なくとも1つの副
画素に現れるように構成したものである。
【0017】(9) 本発明の第9の態様は、回折格子に
より所定のモチーフを表現した回折格子記録媒体を作成
する方法において、第1の方向を向いた第1の格子線を
多数配置してなる第1のパターンを、格子線間のスペー
ス領域の輪郭線を四角形で表現した第1の二次元図形デ
ータとして用意する段階と、第2の方向を向いた第2の
格子線を多数配置してなる第2のパターンを、格子線間
のスペース領域の輪郭線を四角形で表現した第2の二次
元図形データとして用意する段階と、第1のパターンと
第2のパターンとを重ねた多重パターンを、第1の二次
元図形データおよび第2の二次元図形データについての
論理演算により求め、この多重パターンを、第1の二次
元図形データを構成する四角形と第2の二次元図形デー
タを構成する四角形との交差領域を新たな四角形で表現
した第3の二次元図形データとして用意する段階と、原
版構成層上にレジスト層を形成する段階と、レジスト層
の状態を変化させる性質をもったビームを、多重パター
ンを示す第3の二次元図形データに基づいて走査し、こ
のデータによって定義された四角形領域のみにビーム照
射を行う段階と、レジスト層のうちのビーム照射領域の
みを残すような現像を行う段階と、原版構成層のうち、
残存レジスト層によって覆われていない露出領域をエッ
チング法により蝕刻し、四角形領域が凸状をなす原版を
作成する段階と、原版を用いて、四角形領域が凹状をな
す回折格子記録媒体を作成する段階と、を行うようにし
たものである。
【0018】(10) 本発明の第10の態様は、回折格子
により複数のモチーフを表現した回折格子記録媒体を作
成する方法において、所定の画素閉領域内に多数の格子
線を配置してなる画素パターンを、格子線の配置角度を
変えることにより複数用意する段階と、それぞれ所定の
画素値をもった複数の画素を平面上の所定位置に定義す
ることにより所定のモチーフを表現したモチーフ画素情
報を、複数のモチーフのそれぞれについて用意する段階
と、モチーフ画素情報における各画素値に基づいて、各
画素位置に所定の画素パターンを対応づける段階と、単
一の画素パターンが対応づけられた画素位置について
は、この単一の画素パターンを割り付け、異なる2つの
画素パターンが対応づけられた画素位置については、こ
の対応づけられた2つの画素パターンを重ねた多重画素
パターンを割り付ける段階と、を行うようにしたもので
ある。
【0019】
【作 用】本発明の基本概念は、向きの異なる2種類の
格子線を同一の閉領域内に記録した多重回折格子を用い
て、複数のモチーフを多重記録する点にある。回折格子
は、媒体の表面上に立体的な凹凸構造をもった多数の溝
を形成してなるものであり、溝、すなわち格子線はいず
れも平行に、単一の向きに形成するのがこれまでの既成
概念であった。本願発明者は、向きの異なる2種類の格
子線を重ねて記録した場合にも、それぞれの格子線につ
いて回折現象を起こさせることが可能であることを見出
だしたのである。
【0020】ただし、このような多重回折格子によっ
て、実用可能な回折現象を起こさせるためには、特定の
条件設定が必要になる。本願発明者の行った実験によれ
ば、ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、dS≧2
・dLなる関係が得られるような格子線を用いれば、多
重回折格子として機能する媒体が得られることが確認で
きた。しかも媒体上において、格子線のライン部分が凸
部、スペース部分が凹部をなすように構成すると、実用
上、より明るい多重回折格子が得られる。なお、人間を
観察者とする多重回折格子の場合には、所定の可視波長
λに対して、dS>λなる式を満足させるスペース幅d
Sが必要になる。これは、凹部を構成するスペース幅d
Sが可視波長λよりも大きいという条件を示すものであ
り、凹部に可視波長λの光を導入するために必要な条件
となる。また、回折格子記録媒体を偽造防止用シールと
して用いる場合、特定の観察角度が定まるのが一般的で
ある。たとえば、クレジットカードのための偽造防止用
シールとして用いるのであれば、クレジットカードの表
面に立てた法線に対して30°程度手前に傾斜した角度
を、一応の観察角度と定めるのが一般的である。本願発
明者は、用途に応じた所定の観察角度θを定義し、所定
の可視波長λに対して、(dS+dL)・sinθ=λ
なる式を満足するようなライン幅dLおよびスペース幅
dSをもった格子線を用いるようにすると、その用途に
最適な回折格子記録媒体を形成できることを確認した。
(dS+dL)・sinθ=λなる式は、回折格子のピ
ッチが(dS+dL)である場合のブラッグの式におい
て、回折次数n=1とすることにより得られる式であ
り、最も明るい一次回折光を所定の観察角度において得
るために必要な条件になる。
【0021】このような多重回折格子を用いれば、互い
に重なり合う複数のモチーフを同一平面上に表現する場
合にも、従来のように副画素を用いる必要はなくなる。
たとえば、モチーフAを格子線配置角度が45°の画素
パターンによって表現し、モチーフBを格子線配置角度
が90°の画素パターンによって表現する場合、モチー
フAのみを構成する画素には、45°の画素パターンを
割り付け、モチーフBのみを構成する画素には、90°
の画素パターンを割り付ければよい。そして、モチーフ
A,Bの双方を構成する画素には、45°の向きに配置
された格子線と90°の向きに配置された格子線とを重
ねて記録した多重画素パターンを割り付けるようにすれ
ばよい。1つの画素を副画素に分割する必要はなくなる
ため、従来のように輝度や画質が低下するという問題は
生じなくなる。
【0022】多重画素パターンは、コンピュータを用い
た演算により容易に発生させることができる。また、多
重画素パターンを電子線で描画する場合には、格子線に
よって四辺を囲まれた四角形領域を描画するようにすれ
ば、効率的な作業を行うことができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を図示するいくつかの実施例に
基づいて説明する。
【0024】§1. 従来の回折格子記録媒体 はじめに、前述した特願平5−148681号明細書な
どに開示されている従来の回折格子記録媒体の構成を簡
単に説明しておく。まず、図1(a) に示すようなモチー
フ(英文字の「A」を示す)を回折格子記録媒体上に表
現する従来の方法について説明する。はじめに、図1
(a) に示すモチーフに対応する画像データとして、図1
(b) に示すようなモチーフ画素情報を用意する。ここに
示す例では、7行7列に画素が配列されており、各画素
は「0」または「1」のいずれかの画素値をもってお
り、いわゆる二値画像を示す情報となる。このような情
報は、いわゆる「ラスター画像データ」と呼ばれている
一般的な画像データであり、通常の作画装置によって作
成することができる。あるいは、紙面上に描かれたデザ
イン画をスキャナ装置によって取り込むことにより、こ
のようなモチーフ画素情報を用意してもかまわない。
【0025】続いて、図2に示すように、ライン幅dL
をもったラインLと、スペース幅dSをもったスペース
Sとを、閉領域V内に交互に配置してなる画素パターン
を定義する。ラインLは、媒体上では格子線となる部分
であり、幅dLの格子線が、互いに間隔dSだけ隔てて
多数形成されることになる。このような回折格子のピッ
チpはp=dL+dSとなり、ラインL(格子線)は、
いずれも同一の角度θをもって配置されている。ここ
で、閉領域Vは1つの画素を構成する領域であり、実際
には非常に微小な要素になる。別言すれば、図1(a) ,
(b) に示した7×7の配列における1つ1つの画素に相
当した大きさのものになる。この例では、閉領域Vとし
て、縦×横が50μm×45μmの大きさの長方形を用
いているが、たとえば50μm×50μmの大きさの正
方形のものを用いてもよい。また、この閉領域V内に配
置されるラインLの幅dLおよびスペースSの幅dSも
光の波長に準じた微小な寸法をもったものであり、この
例では、ライン幅dL=0.6μm、スペース幅dS=
0.6μm、ピッチp=1.2μmである。
【0026】要するに、ラインLは回折格子としての機
能を果たすライン幅dLおよびピッチpで配置されてい
る必要がある。ラインLの配置角度θは、所定の基準軸
に対して設定された角度である。本明細書では、図示す
るような方向にX軸およびY軸をとったXY座標系を定
義し、X軸を基準軸としてラインLの配置角度θを表わ
すことにする。もちろん、このような画素パターンは、
コンピュータ内に画像データとして用意されることにな
る。 次に、図1(b) に示すようなモチーフ画素情報に
おける各画素値に基づいて、図2に示すような画素パタ
ーンを所定の画素に対応づけ、各画素位置に、対応する
画素パターンを配置する処理を行う。具体的には、図1
(b) に示すモチーフ画素情報において、画素値が「1」
である画素のそれぞれに図2の画素パターンを対応づけ
る。画素値が「0」である画素には、画素パターンは対
応づけられない。こうして対応づけられた画素位置に、
それぞれ画素パターンを割り付けてゆく。いわば、図1
(b) に示す配列を壁にたとえれば、この壁の中の「1」
と描かれた各領域に、図2に示すようなタイルを1枚ず
つ貼る作業を行うことになる。この結果、図3に示すよ
うな画像パターンが得られる。この画像パターンが最終
的に回折格子記録媒体に記録されるパターンである。図
1(a) に示すモチーフがそのまま表現されているが、1
つ1つの画素は回折格子で構成されており、回折格子と
しての視覚的な効果が得られることになる。
【0027】以上、画素単位で回折格子パターンを割り
付ける基本的な例を説明したが、続いて、複数のモチー
フを表現するための従来の手法を説明する。回折格子か
ら得られる回折光は方向性を有するため、観察方向によ
っては観察できたりできなかったりする。したがって、
たとえば、図4に示すように、格子線の配置角度が異な
った画素パターンP1(格子線配置角度45°)とP2
(格子線配置角度90°)とを同一媒体上に割り付けれ
ば、ある観察角度からは画素パターンP1のみが観察さ
れ、別な観察角度からは画素パターンP2のみが観察さ
れることになる。そこで、モチーフAを画素パターンP
1によって表現し、モチーフBを画素パターンP2によ
って表現すれば、異なる2つのモチーフを同一平面上に
表現することができ、しかも、ある観察角度からはモチ
ーフAのみが観察され、別な観察角度からはモチーフB
のみが観察されるような記録媒体を形成することが可能
になる。これが、同一媒体上に異なる複数のモチーフを
表現するための基本手法である。
【0028】ところが、互いに画素が重なり合うような
2つのモチーフを、同一媒体上に表現する場合には、何
らかの工夫が必要になる。たとえば、図5(a) ,(b) に
示すような2つのモチーフA,Bに対して、上述の基本
手法をそのまま適用して作業を進めてみる。ここでは、
モチーフAについては図4に示すパターンP1を対応さ
せ、モチーフBについては図4に示すパターンP2を対
応させるものとしよう。すると、モチーフAについては
図6(a) に示すような対応関係情報R1が作成され、モ
チーフBについては図6(b) に示すような対応関係情報
R2が作成される。ところが、この2つの対応関係情報
R1,R2に基づいて、実際に画素パターンを割り付け
る作業を行おうとすると、図6に実線で囲った画素につ
いて画素パターンの衝突が生じる。たとえば、2行4列
目の画素について見ると、対応関係情報R1によれば画
素パターンP1を割り付ける旨が示されているのに対
し、対応関係情報R2によれば画素パターンP2を割り
付ける旨が示されている。このため、実際にはどちらの
画素パターンを割り付ければよいか判断できなくなる。
【0029】そこで従来は、副画素という概念を導入す
ることによって、この問題を解決している。たとえば、
図5(a) ,(b) に示す7行7列の画素配列によって所定
のモチーフが表現されている場合、個々の画素を2行2
列の副画素に分割し、左上および右下の副画素によって
モチーフAを表現し、左下および右上の副画素によって
モチーフBを表現すれば、画素単位では両モチーフが重
なっても、副画素単位では両モチーフが重なることはな
くなる。図7(a) ,(b) は、このような副画素への画素
パターン配置を示すものである。ここで、実線で囲まれ
た個々の矩形は画素であり、この画素を破線で示すよう
に4分割して得られる小さな矩形が副画素である。図7
(a) は、モチーフAを表現するために、モチーフAにお
いて画素値が「1」である画素(図5(a) に黒で現され
ている画素)については、その画素内の左上および右下
の副画素に格子線配置角度45°の画素パターンP1を
割り付けた状態を示し、図7(b) は、モチーフBを表現
するために、モチーフBにおいて画素値が「1」である
画素(図5(b) に黒で現されている画素)については、
その画素内の左下および右上の副画素に格子線配置角度
90°の画素パターンP2を割り付けた状態を示す。図
7(a) において画素パターンが割り付けられた副画素
と、図7(b) において画素パターンが割り付けられた副
画素とは、決して同じ位置にくることはないので、両者
を重ねることにより、図8に示すような回折格子記録媒
体を得ることができる。
【0030】この図8に示す回折格子記録媒体内には、
モチーフAとモチーフBとが重複して表現されているこ
とになる。しかも、モチーフAを表現する副画素と、モ
チーフBを表現する副画素とでは、格子線の形成角度が
異なるため、ある1つの方向から観察するとモチーフA
が認識でき(図7(a) のようなパターンが認識でき
る)、別な方向から観察するとモチーフBが認識できる
(図7(b) のようなパターンが認識できる)ようになっ
ている。このような手法を用いれば、画素が重複する複
数のモチーフについて、同一平面上に重複して表現する
ことが可能になる。
【0031】しかしながら、このような副画素を用いる
手法には、輝度や画質が低下するという問題があること
は既に述べたとおりである。たとえば、図3に示すよう
に通常の画素によって表現されたモチーフAと、図7
(a) に示すように副画素によって表現されたモチーフA
とを比較してみれば、後者において回折光が得られる面
積は前者の半分になっており、全体的に輝度が半分に低
下してしまうことがわかる。更に、個々の画素の大きさ
を比較すれば、前者の画素に対し後者の画素は、大きさ
が1/4となり回折格子開口面が小さく輝度が更に低下
することになる。個々の画素の大きさを小さくすること
なしに、複数のモチーフを重複記録する手法として、特
願平5−148681号明細書の図28の説明には、画
素を間引く方法も開示されているが、画素を間引けば画
質の劣化は避けられない。本発明は、従来のこのような
問題を解決するための新規な手法を提供するものであ
る。以下、本発明の手法を詳述する。
【0032】§2. 本発明に係る回折格子記録媒体 ここでは、図5(a) ,(b) に示すような2つのモチーフ
A,Bを記録する場合を例にとりながら本発明に係る手
法を説明する。本発明に係る手法では、図9に示すよう
に、3種類の画素パターンを用意する。画素パターンP
1,P2は、上述の§1で説明した従来の手法で用いた
画素パターンと全く同じである。画素パターンP1(格
子線配置角度45°)はモチーフAを表現するためのパ
ターンであり、画素パターンP2(格子線配置角度90
°)はモチーフBを表現するためのパターンである。本
発明では、更に、多重画素パターンP12を用意する。
この多重画素パターンP12は、画素パターンP1,P
2を重ね合わせたパターンであり、画素パターンP1内
に存在する配置角度45°の格子線と、画素パターンP
2内に存在する配置角度90°の格子線との双方を配置
したパターンである。このように、向きの異なる2種類
の格子線を有する回折格子を、多重回折格子と呼ぶこと
にする。
【0033】通常の照明環境下では、画素パターンP1
が形成された回折格子記録媒体は、図9の下段に示す観
察方向D1から観察した場合に明るく見え、画素パター
ンP2が形成された回折格子記録媒体は、図9の下段に
示す観察方向D2から観察した場合に明るく見える。と
ころが、多重画素パターンP12は、その両方の性質を
兼ねそなえており、観察方向D1,D2のいずれの方向
から観察しても明るく見える。そこで、モチーフAのみ
を構成する画素については画素パターンP1を割り付
け、モチーフBのみを構成する画素については画素パタ
ーンP2を割り付け、モチーフAとモチーフBとの双方
を構成する画素については多重画素パターンP12を割
り付けるようにすれば、副画素を用いることなしに、両
パターンを表現することが可能である。
【0034】具体的には、図5(a) ,(b) に示すような
モチーフA,Bの両方を表現するには、図10に示すよ
うな対応関係情報を用意し、この対応関係情報に基づい
て、図9に示す3種類の画素パターンP1,P2,P1
2を割り付ければよい。図11は、このような割り付け
を行って得られた回折格子記録媒体を示すものである。
この回折格子記録媒体では、図5(a) に示すモチーフA
において黒く示された画素位置には、必ず角度45°の
格子線が配置されており、図9に示す観察方向D1から
観察すれば、モチーフAが観察されることになる。一
方、図5(b) に示すモチーフBにおいて黒く示された画
素位置には、必ず角度90°の格子線が配置されてお
り、図9に示す観察方向D2から観察すれば、モチーフ
Bが観察されることになる。
【0035】このような多重回折格子を画素として用い
る方法によれば、従来の副画素を用いる方法のような輝
度や画質の低下という問題は解消される。たとえば、図
3に示すように通常の画素によって表現されたモチーフ
Aと、図11に示すように多重画素パターンを含む画素
によって表現されたモチーフAとを比較すると、所定の
観察角度において回折光が得られる面積は両者とも同じ
であり、また画素の形状は両者とも完全な矩形になる。
したがって、理論的には、輝度や画質は両者全く同じに
なり、副画素を用いる方法のような問題は生じなくな
る。ただ、実際には、前者に比べて後者の輝度は若干低
下する。これは、図9に示す多重画素パターンP12を
実際の記録媒体上に形成する場合、物理的な凹凸構造を
形成する必要があるため、画素パターンP1,P2の双
方を兼ねる理想的な多重回折格子を形成することが物理
的に困難であるためである。この多重回折格子の物理的
な構造については後に詳述するが、実際の多重回折格子
においては、多重画素パターンP12を観察方向D1か
ら観察したときに得られる輝度は、画素パターンP1を
同じ観察方向D1から観察したときに得られる輝度より
も若干低下し、また、多重画素パターンP12を観察方
向D2から観察したときに得られる輝度は、画素パター
ンP2を同じ観察方向D2から観察したときに得られる
輝度よりも若干低下する。しかし従来のような副画素を
用いる方法に比べれば、本発明に係る多重パターンを用
いる方法の方が、十分な輝度が得られる。
【0036】§3. 多重回折格子としての条件 本発明の基本概念は、向きの異なる2種類の格子線を同
一の閉領域内に記録した多重回折格子を用いて、複数の
モチーフを多重記録する点にある。しかし、このような
多重回折格子によって、実用可能な回折現象を起こさせ
るためには、特定の条件設定が必要になる。本願発明者
は、図12(a) に示すような格子線配置角度が0°の回
折格子と、図12(b) に示すような格子線配置角度が9
0°の回折格子とを多重記録し、図13に示すような格
子を試作してみたところ、どのような観察方向から観察
しても、回折光は全く観察できなかった。図12(a) に
示す回折格子も図12(b) に示す回折格子も、従来ごく
一般的に用いられてきた標準的な回折格子である。すな
わち、いずれの回折格子も、ラインLの幅dLとスペー
スSの幅dSとが等しく、dL:dS=1:1なる条件
をもった回折格子である。
【0037】このように、ごく標準的な「dL:dS=
1:1」なる条件をもった2種類の回折格子を重ね合わ
せて得られた格子では回折現象が全く見られなかった
が、本願発明者は、「dL:dS」なる比率を1:1か
ら変えることにより、回折現象が生じることを見出だし
た。たとえば、「dL:dS=1:2」なる条件をもっ
た2種類の回折格子を重ね合わせて得られた格子では、
回折現象が生じる。すなわち、図14(a) に示すような
格子線配置角度が0°の回折格子と、図14(b)に示す
ような格子線配置角度が90°の回折格子とを多重記録
し、図15に示すような格子を試作してみたところ、縦
方向(図14(a) に示す回折格子についての回折光が観
察できる方向)および横方向(図14(b) に示す回折格
子についての回折光が観察できる方向)のいずれから観
察したときにも回折光が観察できた。ただ、この多重回
折格子について観察された回折光の明るさは、もとの回
折格子(図14(a) ,(b) に示す回折格子)について観
察された回折光よりもやや暗くなる。
【0038】多重回折格子を形成するための「dL:d
S」なる比率に関する臨界条件を見出だすため、この比
率を種々変えて実験を行ったところ、「dL:dS=
1:2」なる条件が、発明者が認識する範囲内におい
て、回折光を得るための臨界条件であることが確認でき
た。すなわち、ライン幅dLとスペース幅dSとの間
に、 dS≧2・dL (基本条件) なる関係が得られるような格子線をもった2種類の回折
格子を重ね合わせれば、多重回折格子が得られることに
なる。もちろん、光の回折現象であるから、格子線のピ
ッチp(p=dL+dS)が光の波長に近い長さを有す
る必要があることは言うまでもない。「dL:dS=
1:2」なる条件が多重回折格子を形成するための臨界
条件になる理由についての理論的な解析は、現段階では
なされていないが、この比率が1:2以上であり、ピッ
チpが回折を起こすピッチでありさえすれば、多重回折
格子を形成することができると、本願発明者は考えてい
る。極端な例を示せば、たとえ「dL:dS=1:無限
大」であっても、ピッチpが回折を起こすピッチであり
さえすれば、多重回折格子を形成することができると予
想できる。もっとも、「1:無限大」という比率を実現
するためには、ライン幅dL=0にする必要があり、現
実的にはこのような多重回折格子を形成することは不可
能である。ただ、実際の媒体上に形成されたラインL
は、光の遮蔽物として機能すれば足り、ライン幅dLが
0に限りなく近付いたとしても、ラインLが光を遮蔽す
る機能をもっていれば、本発明に係る多重回折格子を形
成することは可能である。
【0039】また、図15に示す多重回折格子のもとに
なった2種類の回折格子(図14(a) ,(b) に示す回折
格子)は、互いにライン幅dLが等しく、また互いにス
ペース幅dSが等しい回折格子であるが、必ずしもこれ
らが等しい2種類の回折格子を用いる必要はない。それ
ぞれの回折格子において、dS≧2・dL(基本条件)
なる関係が得られていれば、互いに異なるライン幅d
L,スペース幅dSをもった2種類の回折格子を重ね合
わせても、多重回折格子を得ることは可能である。
【0040】ところで、図15に示す多重回折格子は、
白黒のパターンとして示されているが、実際に媒体上に
形成される多重回折格子は、微細な凹凸構造をもった構
造体になる。たとえば、図15に示す白黒のパターンに
おいて、黒い部分(すなわち、ラインLの部分)を凸
部、白い部分(ラインLによって四辺を囲まれた四角形
のスペースSSの部分)を凹部とするような多重回折格
子記録媒体80の側断面図を図16に示す。ここで、ス
ペースSSの部分は窪み85を形成し、この窪み85に
光が入射して回折現象が起こることになり、ラインLの
部分はこの入射光に対する遮蔽壁86として機能するこ
とになる(前述したように、遮蔽壁86としての機能を
もっていれば、理論的には厚みが0でもかまわない)。
もっとも、この図16に示す凹凸構造とは逆に、図15
に示す白黒のパターンにおいて、黒い部分を凹部、白い
部分を凸部とするような回折格子記録媒体を作成して
も、多重回折格子として機能する。しかしながら、実用
上は、図16に示すように、 黒い部分(ライン部分)を凸部、 白い部分(スペース部分)を凹部とする (実用条件
1) のが好ましい。なぜなら、dS≧2・dLなる基本条件
により、白い部分の幅dSの方が黒い部分の幅dLより
も2倍以上長くなるので、白い部分を凹部として窪み8
5を形成した方が、よりたくさんの光を窪み85内に取
り込むことができ、よりたくさんの回折光を得ることが
できるようになるためである。
【0041】また、図16に示す構造において、所定の
波長λの光について回折現象を起こさせるためには、窪
み85の幅、すなわち、スペース幅dSを波長λよりも
大きくとる必要がある。スペース幅dSよりも波長が大
きい光は、窪み85内に入り込むことができず回折され
ないためである。ただ、紫外域や赤外域の回折光は、人
間が観察する回折格子記録媒体としては無用のものであ
る。したがって、実用的な回折格子記録媒体としての条
件としては、更に、 可視波長λについて dS>λ (実用条件2) という条件が必要になる。
【0042】ところで、回折格子記録媒体を偽造防止用
シールとして用いる場合、特定の観察角度が定まるのが
一般的である。通常は、図16に示すように、媒体80
の表面に立てた法線に対して±45°の範囲内から観察
するのが一般的である。たとえば、クレジットカードの
ための偽造防止用シールとして用いるのであれば、クレ
ジットカードの表面に立てた法線に対して30°程度手
前に傾斜した角度を、一応の観察角度と定めるのが一般
的である。この観察角度は、クレジットカードを手にし
たときの最も自然な観察角度とされている。
【0043】このように、特定の観察角度を定めること
ができれば、回折格子記録媒体としてのより好ましい条
件設定が可能である。たとえば、多重回折格子記録媒体
80の上面に、垂直上方から光が入射し、この光が所定
の観察角度θの方向に回折するための条件は、ブラッグ
の式 p・sinθ=nλ により与えられる。ここで、pは回折格子のピッチであ
り、本発明の場合p=(dS+dL)である。また、θ
は上述したように観察角度(媒体表面に立てた法線との
なす角)であり、λは観察される光の波長、nは得られ
る回折光の次数(n=1,2,3,…)である。実用上
は、最も明るい1次回折光を利用するのが好ましく、n
=1とすることになる。したがって、上記ブラックの式
より、実用的な多重回折格子記録媒体の条件式として
は、 (dS+dL)・sinθ=λ (実用条件3) なる式が得られる。
【0044】結局、多重回折格子記録媒体を得るための
基本条件と、これを実用化するために必要な実用条件を
まとめると次のようになる。 <基本条件> dS≧2・dL <実用条件1> ライン部分を凸部、スペース部分を
凹部とする <実用条件2> 可視波長λについて dS>λ <実用条件3> (dS+dL)・sinθ=λ 本発明の具体的な実施例としては、 dL=0.4μm, dS=0.8μm (ピッチp=
1.2μm) θ=30° (sinθ=1/2) λ=0.6μm (可視波長) なる設定を行っている。この設定では、dS=2・dL
であり基本条件を満足しており、また、dS>λであり
実用条件2をも満足している。更に、(dS+dL)・
sinθ=(0.4μm+0.8μm)・1/2=0.
6μm=λとなり、実用条件3をも満足している。よっ
て、上述の設定によれば、上記すべての条件を満足した
実用的な多重回折格子記録媒体を作成することが可能で
ある。
【0045】§4. 多重回折格子パターンの描画方法 続いて、本発明に係る多重回折格子パターンを媒体上に
形成する方法を説明する。図16に示すように、本発明
に係る多重回折格子記録媒体80は、表面に凹凸構造を
もった媒体である。このような媒体を作成する場合、ま
ず、凹凸構造が逆転した原版を作成し、この原版を用い
たプレス加工により媒体を大量生産するのが一般的であ
る。原版を作成するには、原版構成層上にレジスト層を
形成し、このレジスト層を図15に示すようなパターン
にパターニングした後、原版構成層の露出部をエッチン
グすることになる。ただ、一般に回折格子のパターン
は、ライン幅dL,スペース幅dSともにサブミクロン
オーダの微細パターンであるため、レジスト層に対する
露光をフォトマスクを用いて行うことは困難である。そ
のため、通常は電子ビームを用いてレジスト層を直接露
光する方法が採られている。
【0046】本発明に係る多重回折格子の原版を作成す
る場合も、従来の一般的な回折格子原版を作成する場合
と同様に、電子ビームを用いてレジスト層の露光を行っ
ている。従来は、図14(a) あるいは(b) に示すような
画像データに基づいて電子ビームを走査し、レジスト層
上に図示するような白黒パターンを形成していた。すな
わち、ラインLに相当する黒い領域にビームを照射して
露光部とするのである。したがって、本発明では、図1
5に示すような画像データに基づいて電子ビームを走査
し、レジスト層上に白黒パターンを形成すればよい。
【0047】しかしながら、現在市販されている電子ビ
ーム描画装置では、四角形の図形データの集合として描
画対象を指定する方式を採るのが一般的である。別言す
れば、一般的な電子ビーム描画装置は、与えられた4つ
の頂点座標値に基いて、この4つの頂点を結ぶ四角形内
の領域に電子ビームを走査する機能しかもっていない。
このような電子ビーム描画装置を用いて、図14(a) あ
るいは(b) に示すような通常の回折格子パターンを描画
することは容易である。すなわち、1本1本のラインL
は、幅dLをもった非常に細長い四角形であるため、そ
の4つの頂点座標値を電子ビーム描画装置に与えれば、
これを描画することができる。ところが、図15に示す
ような本発明に係る多重回折格子パターンを描画するた
めには、少し工夫が必要である。一般的な電子ビーム描
画装置によって描画させるためには、この多重回折格子
パターンをいくつかの四角形に分けてやる必要がある。
【0048】1つの方法としては、この図15に示すパ
ターンを、図14(a) のパターンと図14(b) のパター
ンとに分ける方法が考えられる。すなわち、図14(a)
に示すパターンを描画した後に、図14(b) に示すパタ
ーンを重ねて描画すれば、図15に示すパターンが得ら
れることになる。しかしながら、この方法では、図17
(a) にハッチングを施して示したように、2本のライン
Lの交差領域CCにおいて、二重描画が行われることに
なり好ましくない。すなわち、この交差領域CCに対応
するレジスト層には、電子ビームが2回照射されること
になり、通常のラインLの部分に比べて露光量が2倍に
なるのである。このため、レジスト層を現像したとき
に、通常のラインLの部分と、交差領域CCの部分とに
差が生じてしまうことになる。このような差を生じさせ
ないために、図17(b) に示すように、交差部分におい
て一方のラインLを分断し、それぞれ重なり合うことの
ない多数の四角形を定義し、各四角形ごとに露光する方
法を採ることもできる。しかしながら、このような方法
では、隣接する四角形間距離が非常に小さくなるため、
レジスト層に対する露光/現像というプロセスを行う上
で支障が生じやすい。
【0049】そこで本実施例では、次のような方法によ
り、電子ビーム描画を行っている。すなわち、図15に
示す多重回折格子パターンの白黒を反転させ、図18に
示すようなネガパターンを形成するのである。このネガ
パターンでは、ラインLの部分が白、四角形のスペース
SSの部分が黒で現されている。そして、電子ビームに
よって、この黒で現されている四角形のスペースSSの
領域を描画させるのである。スペースSSの部分はいず
れも四角形であり、電子ビーム描画装置には、この四角
形の4つの頂点座標値を与えるだけで容易に描画を行う
ことができる。
【0050】なお、このような白黒反転処理は、パター
ンが二値ラスター画像データとして表現されている場合
には、「1」と「0」とを入れ換えるだけの処理です
む。しかしながら、データ量を削減するためには、パタ
ーンはベクトルデータとして表現するのが好ましい。こ
の場合は次のような処理を行えばよい。まず、図14
(a) ,(b) に示すパターンを、格子線間のスペース領域
(図の白い領域)の輪郭線を四角形で表現した二次元図
形データ(ベクトルデータ)としてそれぞれ用意する。
そしてこれら2つの二次元図形データ間で論理演算を行
い、各四角形の交差領域を新たな四角形(図15の白い
領域もしくは図18の黒い領域)で表現した二次元図形
データを得るようにすればよい。
【0051】ところで、図17に示すパターンの代わり
に、図18に示すネガパターンを用いる場合には、レジ
スト層として、電子ビームによる露光部分が現像によっ
て残るネガ型レジストを用いる必要がある。以下、この
ようなネガ型レジストを用いて原版を作成するプロセス
を、図19〜図23の側断面図を参照しながら、各段階
ごとに順を追って説明する。
【0052】まず、図19に示すように、基板1の上に
原版構成層2を形成し、その上にネガ型のレジスト層3
を形成する。この実施例では、基板1としてガラス基板
を用い、原版構成層2として金属層(たとえば、銅)を
用いている。続いて、図18に示すようなネガパターン
に基いて電子ビームを走査し、図に黒で示されている四
角形のスペースSSの領域のみを露光する。これによ
り、図20に示すように、レジスト層3上には露光部3
aと非露光部3bとが形成されることになる。露光部3
aは図18における黒い領域に相当する部分であり、非
露光部3bは図18における白い領域に相当する部分で
ある。続いて、レジストに対する現像を行うと、ネガ型
のレジストであるため、非露光部3bが溶出して除去さ
れ、図21に示すように、露光部3aのみが残ることに
なる。そこで、この残存した露光部3aをマスクとして
用い、原版構成層2に対するエッチングを行う。する
と、図22に示すように、原版構成層2の露出部がエッ
チング除去され、四角形のスペースSSに相当する領域
にだけ、残存層2aおよび露光部3aが残ることにな
る。回折格子記録媒体をプレスの手法により大量生産す
る場合は、この図22に示す構造体をそのまま原版60
として用いることができる。もちろん、このあと、レジ
スト(露光部3a)を剥離除去して、図23に示す構造
体を原版60として用いてもよい。このような原版60
は、四角形のスペースSSの部分が凸状をなす原版であ
る。したがって、この原版を用いてプレス工程を行え
ば、図16に示すような多重回折格子記録媒体が作成で
きる。
【0053】ところで、§2において既に述べたよう
に、本発明では、図9に示すような種々の画素パターン
を所定の画素位置に割り付けることにより、モチーフを
表現することになる。図9では、説明の便宜上、各画素
パターンP1,P2,P12を、所定の画素領域内に所
定角度でラインLを引いて示しているが、実際には、こ
れらのラインLあるいはスペースSはいずれも四角形に
なる。図24は、図9に示す3種類の画素パターンP
1,P2,P12が、四角形のラインLおよびスペース
Sによって構成されている点を強調して示した図であ
る。この例では、前述した基本条件を満足させるため
に、ライン幅dLとスペース幅dSとの比dL:dS=
1:2に設定している。具体的な寸法値としては、この
実施例では、dL=0.4μm,dS=0.8μmであ
り、1画素の大きさは45μm×50μmあるいは50
μm×50μm程度であるから、1つの画素領域にはよ
り多数のラインLおよびスペースSが形成されているこ
とになる。
【0054】前述したように、電子ビーム描画装置に与
える描画指示としては、四角形の4頂点座標値を用いる
のが一般的である。しかも、一般的に用いられている電
子ビーム描画装置では、図のようにXY二次元座標系を
定義した場合に、二辺がX軸に平行になるような平行四
辺形あるいは二辺がY軸に平行になるような平行四辺形
を描画させると、非常に効率良い描画作業を行うことが
可能になり、描画時間も短縮されるという性質がある。
そこで、本実施例では、スペースS,SSを構成する部
分を、上述したいずれかの平行四辺形で表現し、その4
頂点の座標値を電子ビーム描画装置に与えるようにし
て、効率的な描画を可能にしている。
【0055】たとえば、画素パターンP1では、図の平
行四辺形ABCDの4頂点座標値を電子ビーム描画装置
に与え、図に斜線ハッチングを施して示したスペースS
の領域を描画するようにしている。厳密に言えば、図に
ドットによるハッチングを施して示した領域Tも、本来
描画すべき領域であるが、二辺がX軸に平行な平行四辺
形ABCDが、電子ビーム描画装置に与えられる描画領
域となるようにするため、領域Tは描画領域からは除外
した。このように、輪郭近傍の一部の領域については、
描画対象から除外し、二辺がX軸に平行な平行四辺形に
よってのみ、画素パターンP1の描画領域を定義するよ
うにしたため、非常に効率的な描画が可能になる。
【0056】また、画素パターンP2では、図の平行四
辺形ABCD(実際は長方形)の4頂点座標値を電子ビ
ーム描画装置に与え、図に斜線ハッチングを施して示し
たスペースSの領域を描画するようにしている。このよ
うに、格子線配置角度が90°あるいは0°の場合は、
スペースSの領域がすべて長方形になるため、描画対象
から除外する領域を設ける必要はない。
【0057】一方、多重パターンP12では、図の平行
四辺形ABCDの4頂点座標値を電子ビーム描画装置に
与え、図に斜線ハッチングを施して示した四角形のスペ
ースSSの領域を描画するようにしている。この場合、
図に斜線ハッチングを施して示した四角形のスペースS
Sは、二辺がY軸に平行な平行四辺形になるため、やは
り効率的な描画が可能になる。なお、輪郭近傍の変則的
な形をしたスペースTT(図にドットによるハッチング
を施して示す)も、本来描画すべき領域であるが、描画
効率を低下させる要因になるため描画対象からは除外し
た。
【0058】なお、図24では、スペースT,TTの領
域が強調して描かれているが、実際には、これらの領域
は輪郭近傍のほんの一部の領域であるため、描画対象か
ら除外しても、実用上は何ら支障は生じない。
【0059】§5. 本発明に係る回折格子記録媒体の
作成装置 続いて、上述した回折格子記録媒体を効率良く作成する
ための装置の一例を示しておく。図25は、本発明に係
る回折格子記録媒体の作成装置の一実施例を示すブロッ
ク図である。ここで、モチーフ画像データ入力装置10
は、図5に示すようなモチーフについての画像データ
を、ワークステーション20に入力するための装置であ
る。たとえば、紙面上に描かれたモチーフの絵柄に基づ
いてモチーフ画像データを入力するのであれば、このモ
チーフ画像データ入力装置10としてはスキャナ装置を
用いればよい。あるいは、コンピュータを用いたグラフ
ィックソフトウエアで描いた絵柄に基づいてモチーフ画
像データを入力するのであれば、たとえば、フロッピデ
ィスクドライブ装置をこのモチーフ画像データ入力装置
10として用いればよい。
【0060】ワークステーション20は、入力したモチ
ーフの各画素に、所定の画素パターンを割り付ける処理
を行ったり、あるいは2つの画素パターンを重ね合わせ
て多重画素パターンを作成する処理を行ったりするため
のプログラムを搭載したコンピュータであり、キーボー
ドやマウスなどの入力機器およびディスプレイやプリン
タなどの出力機器が接続されている。また、記憶装置3
0は、このワークステーション20に接続されたフロッ
ピディスクドライブ装置やハードディスクドライブ装置
などの外部記憶装置である。この記憶装置30内には、
面付指示データ、割付指示データ、画素パターンデー
タ、多重画素パターンデータが保存される。これらの各
データの内容については後述する。
【0061】一方、フォーマット変換装置40は、ワー
クステーション20から与えられる面付指示データ、割
付指示データ、画素パターンデータ、多重画素パターン
データを、電子ビーム描画装置50が要求するフォーマ
ットに適合した描画データに変換する機能をもった装置
である。フォーマット変換されたデータは、描画データ
として電子ビーム描画装置50に与えられる。§4で述
べたように、この描画データは、描画領域を構成する四
角形の4頂点の座標値の集合である。こうして、電子ビ
ーム描画装置50によってレジスト層上への描画が行わ
れ、回折格子記録原版60が作成される。プレス装置7
0は、この回折格子記録原版70を用いて、フィルム上
に回折格子パターンをプレスする装置であり、このプレ
ス加工により、回折格子記録媒体80が大量生産される
ことになる。
【0062】この装置では、回折格子パターンを形成す
る種々の画像データが、階層構造をもったデータとして
取り扱われる。まず、モチーフ画像データ入力装置10
から入力されたモチーフは、ワークステーション20内
において、必要に応じて複数の領域に分割される。たと
えば、図26に示すように、モチーフが描かれた領域が
4つの領域A1〜A4に分割されたものとしよう。この
とき、各領域をどの位置に面付けすればよいかを示す面
付指示データが作成される。この例では、各領域の左下
隅の位置を面付指示データとして用いている。すなわ
ち、領域A1〜A4は左下隅が、それぞれ点Q1〜Q4
の位置にくるように面付けされることになる。また、こ
の実施例では、本来のモチーフが表示された領域A1〜
A4の他に、位置合わせなどの工程に必要な位置情報U
(いわゆるトンボ)を表示したアクセサリ領域A0を定
義している。アクセサリ領域A0には、この他、製造番
号などを記述することができ、要するに後の工程に必要
な工程管理情報を記録しておくことができる。
【0063】こうして領域分割を行った後、各領域ごと
に、割付指示データを作成する処理が行われる。たとえ
ば、領域A1内に、図5に示すような2つのモチーフ
A,Bを割り付ける場合、図10に示すような対応関係
情報が割付指示データとして用意されることになる。ま
た、記憶装置30内には、図9に示すような画素パター
ンP1,P2および多重画素パターンP12が用意され
る。ここで、画素パターンP1,P2については、予め
記憶装置30内に用意しておくと便利であるが、多重画
素パターンP12については、必要に応じて演算により
発生させることができる。
【0064】ここで、割付指示データと画素パターンデ
ータとの関係を考えてみる。画素パターンデータは、図
9に示すように、1つの画素を構成するパターンを示す
データであり、割付指示データは、図10に示す対応関
係情報のように、各画素位置にどの画素パターンを割り
付けるかを指示するデータである。したがって、画素パ
ターンデータを割付指示データの下位階層のデータと考
えれば、最終的に回折格子記録媒体上に形成される描画
データは、下の階層の画素パターンデータと上の階層の
割付指示データとによって表現されることになる。更
に、図26に示すような領域分割を行ったことを考える
と、最終的に回折格子記録媒体上に形成される描画デー
タは、図27に示すように、上位階層の面付指示デー
タ、中位階層の各割付指示データ、下位階層の各画素パ
ターンデータ、によって表現されることがわかる。
【0065】このように、階層構造をもった表現を行え
ば、全領域に実際の格子線のパターンデータを展開した
場合に比べ、データ量をかなり低減させることができ
る。たとえば、1画素には多数の格子線が形成されるた
め、この1画素についてのデータはかなりの量になる
が、階層構造をもった表現を行えば、下位階層のデータ
として、画素パターンデータを画素パターンの数だけ用
意すれば足りる。
【0066】こうしてワークステーション20におい
て、上位階層の面付指示データ、中位階層の割付指示デ
ータ、下位階層の画素パターンデータ、の3種類の階層
データが作成され、記憶装置30内にそれぞれ独立して
保存される。しかも、フォーマット変換装置40に対し
ても、これらの各階層データは、階層構造をもったまま
別個に与えられ、フォーマット変換装置40が出力する
描画データも、階層構造をもったままのデータとなる。
現在普及している電子ビーム描画装置50は、通常、こ
のような階層構造をもった描画データに基づく描画処理
を行うことができる。したがって、電子ビーム描画装置
50にデータを受け渡すまで、画像データを階層構造を
もったデータとして取り扱うことができ、効率良いデー
タ処理が可能になる。
【0067】§6. 1つのモチーフについて複数の画
素パターンを用いる実施例 これまで述べた実施例は、1つのモチーフについて1つ
の画素パターンを用いる例であった。すなわち、図5
(a) に示すモチーフAについては図9に示す画素パター
ンP1を用い、図5(b) に示すモチーフBについては図
9に示す画素パターンP2を用い、両パターンが重なっ
た部分の画素にだけ図9に示す画素パターンP12を用
いていた。しかしながら、1つのモチーフについて複数
の画素パターンを用いることも可能である。たとえば、
図28に示す例では、モチーフAについて3種類の画素
パターンP1,P2,P3を用い、モチーフBについて
3種類の画素パターンP4,P5,P6を用いている。
この図28に示す6種類の画素パターンP1〜P6は、
いずれも格子線の配置角度が少しずつ異なっている。た
だ、これら6種類の画素パターンは、互いに格子線の配
置角度が近似する2つのグループに分類することが可能
である。すなわち、第1のグループは、格子線配置角度
が45°付近に設定された画素パターンP1〜P3であ
り、これらはモチーフAについて用いられる。一方、第
2のグループは、格子線配置角度が90°付近に設定さ
れた画素パターンP4〜P6であり、これらはモチーフ
Bについて用いられる。
【0068】45°と90°のように、格子線配置角度
が極端に異なる画素パターンは、所定の方向から観察し
たときに同時に観察されることはない。ところが、±5
°程度の角度差しかもたない互いに格子線配置角度が近
似した画素パターン(たとえば、図28に示す画素パタ
ーンP1〜P3)は、所定の方向から観察したときにも
同時に観察されうる。ただ、互いに明るさが若干異なる
ことになる。特願平5−317274号明細書には、こ
のような性質を利用して、階調をもったモチーフを表現
する手法が開示されている。たとえば、モチーフAを構
成する画素の画素値として、前述の例では、「0」また
は「1」の二値しか定義していなかったが、0〜255
で表わされる8ビットの画素値を定義しておき、画素値
0〜100の画素については画素パターンP1を割り当
て、画素値101〜200の画素については画素パター
ンP2を割り当て、画素値201〜255の画素につい
ては画素パターンP3を割り当てるようにすれば、階調
をもったモチーフを表現することが可能になる。モチー
フBについても同様に、画素値に応じて3種類の画素パ
ターンP4〜P6のうちのいずれかを割り当てればよ
い。
【0069】このように、モチーフAについては画素パ
ターンP1〜P3のいずれかを割り当て、モチーフBに
ついては画素パターンP4〜P6のいずれかを割り当て
るようにする方法に本発明を適用するのであれば、両モ
チーフの双方を構成する画素については、それぞれの画
素パターンを重ね合わせた多重画素パターンを割り当て
るようにすればよい。たとえば、モチーフAの画素とし
ては画素パターンP1を、モチーフBの画素としては画
素パターンP5を、それぞれ重ねて割り当てる必要があ
る画素位置には、画素パターンP1とP5とを重ねて得
られる多重画素パターンを割り当てればよい。
【0070】図28に示す例の場合、モチーフAのため
の画素パターンP1〜P3と、モチーフBのための画素
パターンP4〜P6との組み合わせによって得られる多
重画素パターンは、P14(P1とP4の組み合わせの
意味),P15,P16,P24,P25,P26,P
34,P35,P36の9通りあることになる。したが
って、この9通りの多重画素パターンを用意しておけ
ば、本発明を適用することが可能になる。もっとも、こ
の9通りの多重画素パターンは、もとの画素パターンP
1〜P6の画像データに基いて演算により随時発生させ
ることができるので、予めすべての多重画素パターンを
用意しておく必要はなく、必要に応じてその都度演算に
よって発生させればよい。
【0071】§7. 3つ以上のモチーフを記録する実
施例 これまで述べた実施例は、モチーフAとモチーフBとい
う2つのモチーフを重ねて記録する例であった。ここで
は、3つ以上のモチーフを重ねて記録する実施例を述べ
る。いま、図29に示すように、モチーフAについては
画素パターンP1(格子線配置角度0°)を用い、モチ
ーフBについては画素パターンP2(格子線配置角度4
5°)を用い、モチーフCについては画素パターンP3
(格子線配置角度90°)を用い、3種類のモチーフ
A,B,Cを回折格子記録媒体上に記録する場合を考え
る。格子線配置角度が、0°,45°,90°のように
極端に異なる画素パターンは、所定方向から観察した場
合に同時に観察されることはないので、観察方向に応じ
て、それぞれモチーフA,B,Cが別個に観察されるこ
とになる。
【0072】本発明の基本原理は、複数のモチーフを構
成する画素については、多重回折格子を割り付けるとい
う点にある。そこで、このような3つのモチーフを記録
する場合には、図29の下段に示すように、二重回折格
子P12,P23,P13と、三重回折格子P123
と、を用意しておき、モチーフA,Bの双方を構成する
画素には二重回折格子P12を割り付け、モチーフB,
Cの双方を構成する画素には二重回折格子P23を割り
付け、モチーフA,Cの双方を構成する画素には二重回
折格子P13を割り付け、更に、3つのモチーフA,
B,Cのすべてを構成する画素には三重回折格子P12
3を割り付けるようにすればよい。
【0073】これを具体的なモチーフについて見てみよ
う。いま、図30(a) ,(b) ,(c)に示すような3種類
のモチーフA,B,Cを1枚の回折格子記録媒体上に重
ねて記録することを考える。この場合、図30(d) に示
すような対応関係情報が得られる。この対応関係情報の
各画素内には、その画素が構成するモチーフ名がアルフ
ァベットで示されている。ここで、単一のアルファベッ
ト「A」,「B」,「C」が記された画素には、図29
に示す画素パターンP1,P2,P3をそれぞれ割り付
ければよい。また、2つのアルファベット「AB」,
「BC」,「CA」が記された画素には、図29に示す
二重画素パターンP12,P23,P13をそれぞれ割
り付ければよい。更に、3つのアルファベット「AB
C」が記された画素(図では実線で囲ってある)には、
図29に示す三重画素パターンP123を割り付ければ
よい。
【0074】このように、二重,三重,四重,…といっ
た多重回折格子を用いれば、理論的には、複数のモチー
フをいくつでも重ねて記録することが可能である。しか
しながら、このような方法により3つ以上のモチーフを
重ねて記録する手法は、実用上適用できない。なぜな
ら、多重画素パターンP12,P23,P13のような
二重回折格子は、§3で述べた条件を満足させることに
より実現可能であるが、多重画素パターンP123のよ
うな三重回折格子あるいは四重以上の回折格子を実現す
ることは非常に困難である。実際のところ、三重回折格
子P123を試作してみたが、実用上十分な回折光はい
ずれの観察方向からも得ることはできなかった。もちろ
ん、特定の条件設定を行えば、実用的な三重回折格子P
123を作成できる可能性は否定できないが、現時点で
は、そのような条件は見出だされていない。
【0075】そこで、本願発明者は、二重回折格子と副
画素とを併用することにより、3つ以上のモチーフを重
ねて記録する新規な方法を考え出した。まず、図30に
示すモチーフを構成する各画素をそれぞれ4分割し、2
行2列に配列された副画素を定義する。そして、図30
(d) に示す対応関係情報の各画素内に記されたアルファ
ベットに基いて、図31に示すように、各副画素内に画
素パターンP1,P2,P3あるいは多重パターンP1
2,P23,P13を割り付けるのである。たとえば、
単一のアルファベット「A」が記された画素について
は、これを4分割した各副画素のいずれにも、画素パタ
ーンP1を割り付ければよい。同様に、単一のアルファ
ベット「B」が記された画素については、これを4分割
した各副画素のいずれにも、画素パターンP2を割り付
け,単一のアルファベット「C」が記された画素につい
ては、これを4分割した各副画素のいずれにも、画素パ
ターンP3を割り付ければよい。
【0076】また、2つのアルファベット「AB」が記
された画素については、これを4分割した各副画素のう
ちの、たとえば左上と右下の副画素に画素パターンP1
を割り付け、左下と右上の副画素に画素パターンP2を
割り付ける。あるいは、4分割した各画素のいずれにも
多重画素パターンP12を割り付ける。輝度を向上させ
る上では、後者の割り付けを行うのが好ましい。2つの
アルファベット「BC」が記された画素および「CA」
が記された画素についての割り付けも全く同様である。
【0077】更に、3つのアルファベット「ABC」が
記された画素については、これを4分割した各副画素の
うちの、たとえば左上と右下の副画素に多重画素パター
ンP13を割り付け、左下と右上の副画素に多重画素パ
ターンP12を割り付けるのである。あるいは、多重画
素パターンP12とP13とを組み合わせて割り付けて
もよいし、多重画素パターンP13とP23とを組み合
わせて割り付けてもよい。もちろん副画素のどの位置に
どの多重画素パターンを割り付けてもかまわない。この
ような割り付けを行えば、3つのアルファベット「AB
C」が記された画素内には、画素の全領域ではないにせ
よ、必ず配置角度が0°の格子線と、配置角度が45°
の格子線と、配置角度が90°の格子線との3つの格子
線が存在することになり、画素パターンP1,P2,P
3の3つを兼ねることができる。
【0078】4つのモチーフを重ねて記録する場合に
も、同様の手法が利用できる。すなわち、4つのモチー
フA,B,C,Dのうち、2つまたは3つのモチーフが
重なった画素については、図31に示すような割り付け
を行えばよいし、4つのモチーフのすべてが重なった画
素については、たとえば、図32に示すように、4分割
した各副画素に、多重パターンP12(モチーフAにつ
いての画素パターンとモチーフBについての画素パター
ンとを重ねることによって得られるパターン)と、多重
パターンP34(モチーフCについての画素パターンと
モチーフDについての画素パターンとを重ねることによ
って得られるパターン)とを割り付けるようにすればよ
い。
【0079】要するに、1つの画素を複数の副画素に分
割し、その画素が構成するモチーフに対応づけられた画
素パターンの格子線配置角度で配置された格子線が少な
くとも1つの副画素に現れるように、各副画素に画素パ
ターンあるいは多重画素パターンを割り付けるようにす
れば、3つ以上のモチーフを重ねて記録することが可能
になる。もちろん、この手法は、§6で述べたように、
1つのモチーフについて複数の画素パターンを用いる実
施例にも適用可能である。
【0080】以上、本発明を図示するいくつかの実施例
に基いて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能で
ある。
【0081】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る回折格子記録
媒体およびその作成方法によれば、多重回折格子により
複数のモチーフを表現するようにしたため、複数のモチ
ーフを重ねて表現しても、輝度および画質が低下するこ
とのない回折格子記録媒体が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回折格子記録媒体のモチーフとし
て用いられているパターンおよび画素情報の一例を示す
図である。
【図2】本発明に係る回折格子記録媒体に用いられる画
素パターンの一例を示す図である。
【図3】図1に示すモチーフと図2に示す画素パターン
とを用いて作成された回折格子記録媒体を示す図であ
る。
【図4】図5に示す2つのモチーフについてそれぞれ用
いられる画素パターンの一例を示す図である。
【図5】本発明に係る回折格子記録媒体に重複して記録
される2つのモチーフの例を示す図である。
【図6】図5に示す2つのモチーフと、図4に示す2つ
の画素パターンとの対応関係を定義する対応関係情報を
示す図である。
【図7】図5に示す2つのモチーフを、それぞれ副画素
によって表現した状態を示す図である。
【図8】図7に示す2つのモチーフを重ねて配置するこ
とにより作成される回折格子記録媒体を示す図である。
【図9】図5に示す2つのモチーフについてそれぞれ用
いられる画素パターンP1,P2、およびこれを重ねる
ことにより得られる多重画素パターンP12の一例を示
す図である。
【図10】図5に示す2つのモチーフと、図9に示す3
つのパターンとの対応関係を定義する対応関係情報を示
す図である。
【図11】図10に示す対応関係情報に基いて、各パタ
ーンを割り付けることによって作成される回折格子記録
媒体を示す図である。
【図12】ライン幅dLとスペース幅dSとの比率が
1:1である2種類の回折格子パターンを示す図であ
る。
【図13】図12に示す2種類の回折格子パターンを重
ねることにより得られる多重回折格子パターンを示す図
である。
【図14】ライン幅dLとスペース幅dSとの比率が
1:2である2種類の回折格子パターンを示す図であ
る。
【図15】図14に示す2種類の回折格子パターンを重
ねることにより得られる多重回折格子パターンを示す図
である。
【図16】図15に示す多重回折格子パターンをもった
回折格子記録媒体の構造を示す側断面図である。
【図17】図15に示す多重回折格子パターンの描画方
法の一例を示す図である。
【図18】図15に示す多重回折格子パターンのネガパ
ターンを示す図である。
【図19】本発明に係る回折格子記録媒体を大量生産す
るために用いる原版の製造プロセスの初期段階を示す側
断面図である。
【図20】図19に示す状態において、レジスト層3に
対して描画を行った状態を示す側断面図である。
【図21】図20に示す状態において、レジスト層を現
像した状態を示す側断面図である。
【図22】図21に示す状態において、原版構成層2に
対するエッチングを行った状態を示す側断面図である。
【図23】図22に示す状態から、残存レジストを剥離
除去し、原版の製造を完了した状態を示す側断面図であ
る。
【図24】本発明に係る回折格子パターンおよび多重回
折格子パターンを、電子線で描画するための手法を示す
平面図である。
【図25】本発明に係る回折格子記録媒体を作成する装
置構成の一例を示すブロック図である。
【図26】図25に示す装置において利用される面付指
示データを説明するための図である。
【図27】図25に示す装置によって取り扱われるデー
タの階層構造を示す図である。
【図28】1つのモチーフについて複数の画素パターン
を用いる実施例を示す図である。
【図29】3つのモチーフを重ねて記録する際に用いる
画素パターンおよび多重画素パターンを示す図である。
【図30】図29に示す画素パターンおよび多重画素パ
ターンを用いて表現される3つのモチーフと、画素の対
応関係とを示す図である。
【図31】副画素を用いて、3つのモチーフを重ねて記
録する実施例を示す図である。
【図32】副画素を用いて、4つのモチーフを重ねて記
録する実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…基板 2…原版構成層 3…レジスト層 3a…露光部 3b…非露光部 10…モチーフ画像データ入力装置 20…ワークステーション 30…記憶装置 40…データフォーマット変換装置 50…電子ビーム描画装置 60…回折格子記録原版 70…プレス装置 80…多重回折格子記録媒体 85…窪み 86…遮蔽壁 A,B,C…モチーフ CC…交差領域 D1,D2…観察方向 L…格子線のライン P1〜P6…画素パターン P12,P13,P23,P123…多重画素パターン R1,R2…対応関係情報 S…格子線のスペース SS…四角形のスペース T…描画対象から除外されたスペース TT…描画対象から除外されたスペース U…トンボマーク(位置情報) V…格子線を配置する閉領域 X,Y…座標軸 dL…格子線のライン幅 dS…格子線のスペース幅 p…格子線のピッチ θ…格子線の配置角度

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折格子により所定のモチーフを表現し
    た回折格子記録媒体において、 第1の方向を向いた第1の格子線と第2の方向を向いた
    第2の格子線との双方を同一の閉領域内に記録したこと
    を特徴とする回折格子記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の回折格子記録媒体にお
    いて、 ライン幅dLとスペース幅dSとの間に、dS≧2・d
    Lなる関係が得られるような格子線を用いたことを特徴
    とする回折格子記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の回折格子記録媒体にお
    いて、 格子線のライン部分が凸部、スペース部分が凹部をなす
    ように構成したことを特徴とする回折格子記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の回折格子記録媒体にお
    いて、 所定の可視波長λに対して、dS>λなる式を満足する
    ようなスペース幅dSをもった格子線を用いたことを特
    徴とする回折格子記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の回折格子記録媒体にお
    いて、 記録媒体表面に立てた法線に対して所定の観察角度θを
    定義し、(dS+dL)・sinθ=λなる式を満足す
    るようなライン幅dLおよびスペース幅dSをもった格
    子線を用いたことを特徴とする回折格子記録媒体。
  6. 【請求項6】 回折格子により複数のモチーフを表現し
    た回折格子記録媒体において、 第1の方向を向いた第1の格子線を画素閉領域内に多数
    配置してなる第1の画素パターンと、第2の方向を向い
    た第2の格子線を画素閉領域内に多数配置してなる第2
    の画素パターンと、第1の格子線および第2の格子線の
    双方を画素閉領域内に多数配置してなる多重画素パター
    ンと、を定義し、 第1のモチーフのみを構成する画素には前記第1の画素
    パターンを割り付け、第2のモチーフのみを構成する画
    素には前記第2の画素パターンを割り付け、第1のモチ
    ーフおよび第2のモチーフの双方を構成する画素には多
    重画素パターンを割り付けたことを特徴とする回折格子
    記録媒体。
  7. 【請求項7】 回折格子により複数のモチーフを表現し
    た回折格子記録媒体において、 所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素
    パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数
    定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の
    配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複
    数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれ
    ぞれについて1グループを対応づけ、 異なるグループに所属する2つの画素パターンについ
    て、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領
    域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パタ
    ーンを定義し、 単一のモチーフのみを構成する画素には、そのモチーフ
    に対応づけられたグループに所属する画素パターンを割
    り付け、2つのモチーフを構成する画素には、各モチー
    フに対応づけられた2つのグループにそれぞれ所属する
    画素パターンについて定義された多重画素パターンを割
    り付けたことを特徴とする回折格子記録媒体。
  8. 【請求項8】 回折格子により複数のモチーフを表現し
    た回折格子記録媒体において、 所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素
    パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数
    定義し、これら複数の画素パターンを、互いに格子線の
    配置角度が近似する画素パターンを1グループとして複
    数のグループに分け、表現すべき複数のモチーフのそれ
    ぞれについて1グループを対応づけ、 異なるグループに所属する2つの画素パターンについ
    て、それぞれに配置されている格子線を同一の画素閉領
    域内に重ねて配置することにより得られる多重画素パタ
    ーンを定義し、 単一のモチーフのみを構成する画素については、これを
    分割して得られる各副画素に、そのモチーフに対応づけ
    られたグループに所属する画素パターンを割り付け、 複数のモチーフを構成する画素については、これを分割
    して得られる各副画素に、各モチーフに対応づけられた
    グループのそれぞれに所属する画素パターンもしくはそ
    の多重画素パターンを割り付け、各グループに関連した
    格子線配置角度で配置された格子線が少なくとも1つの
    副画素に現れるように構成したことを特徴とする回折格
    子記録媒体。
  9. 【請求項9】 回折格子により所定のモチーフを表現し
    た回折格子記録媒体を作成する方法であって、 第1の方向を向いた第1の格子線を多数配置してなる第
    1のパターンを、格子線間のスペース領域の輪郭線を四
    角形で表現した第1の二次元図形データとして用意する
    段階と、 第2の方向を向いた第2の格子線を多数配置してなる第
    2のパターンを、格子線間のスペース領域の輪郭線を四
    角形で表現した第2の二次元図形データとして用意する
    段階と、 第1のパターンと第2のパターンとを重ねた多重パター
    ンを、第1の二次元図形データおよび第2の二次元図形
    データについての論理演算により求め、この多重パター
    ンを、第1の二次元図形データを構成する四角形と第2
    の二次元図形データを構成する四角形との交差領域を新
    たな四角形で表現した第3の二次元図形データとして用
    意する段階と、 原版構成層上にレジスト層を形成する段階と、 前記レジスト層の状態を変化させる性質をもったビーム
    を、前記多重パターンを示す第3の二次元図形データに
    基づいて走査し、このデータによって定義された四角形
    領域のみにビーム照射を行う段階と、 前記レジスト層のうちのビーム照射領域のみを残すよう
    な現像を行う段階と、 前記原版構成層のうち、残存レジスト層によって覆われ
    ていない露出領域をエッチング法により蝕刻し、四角形
    領域が凸状をなす原版を作成する段階と、 前記原版を用いて、四角形領域が凹状をなす回折格子記
    録媒体を作成する段階と、 を有することを特徴とする回折格子記録媒体の作成方
    法。
  10. 【請求項10】 回折格子により複数のモチーフを表現
    した回折格子記録媒体を作成する方法であって、 所定の画素閉領域内に多数の格子線を配置してなる画素
    パターンを、格子線の配置角度を変えることにより複数
    用意する段階と、 それぞれ所定の画素値をもった複数の画素を平面上の所
    定位置に定義することにより所定のモチーフを表現した
    モチーフ画素情報を、複数のモチーフのそれぞれについ
    て用意する段階と、 前記モチーフ画素情報における各画素値に基づいて、各
    画素位置に所定の画素パターンを対応づける段階と、 単一の画素パターンが対応づけられた画素位置について
    は、この単一の画素パターンを割り付け、異なる2つの
    画素パターンが対応づけられた画素位置については、こ
    の対応づけられた2つの画素パターンを重ねた多重画素
    パターンを割り付ける段階と、 を有することを特徴とする回折格子記録媒体の作成方
    法。
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