JPH08155908A - 改質木材の製法 - Google Patents
改質木材の製法Info
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- JPH08155908A JPH08155908A JP30122694A JP30122694A JPH08155908A JP H08155908 A JPH08155908 A JP H08155908A JP 30122694 A JP30122694 A JP 30122694A JP 30122694 A JP30122694 A JP 30122694A JP H08155908 A JPH08155908 A JP H08155908A
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Abstract
定性が良好であり、かつ有害な薬物、薬剤を使用するこ
となく、高い抗菌性、防腐性を有する改質木材を得る。 【構成】 木材のセルロース鎖の水酸基をハーフエステ
ル化するなどの手段により、セルロース鎖にカルボキシ
ルイオンなどのアニオンを導入し、ついで第4級アンモ
ニウムイオンなどのカチオンを構造中に有するポリマー
またはモノマーを含浸し、アニオンとカチオンとのイオ
ン対を形成させる。
Description
性、抗菌性を有し、かつ調湿機能をも具備する改質木材
に関し、木材のセルロース鎖にアニオンを導入し、この
アニオンとイオン対を形成するカチオンを持つポリマー
またはモノマーを木材中に含浸固定するようにしたもの
である。
して、アセチル化処理がよく知られている。このもの
は、木材を無水酢酸で処理して木材のセルロース鎖中の
水酸基を部分的にアセチル化し、疎水性を付与し、木材
中への水分の進入を防止し、吸湿による寸法変化を抑え
るようにしたものである。
て、CCA処理が知られている。この処理はクロム化合
物、銅化合物およびヒ素化合物からなる薬剤を水に溶解
し、この水溶液を木材中に含浸させ、上記金属化合物を
木材組織内に吸着、固定させ、抗菌性を与えて腐食から
保護するものである。
では、良好な寸法安定性を得ることができるものの、吸
湿性が同時に失われるため、木材本来の調湿機能が損な
われると言う欠点がある。一方、CCA処理によるもの
は、クロム、銅、ヒ素の毒性の高い金属化合物を使用す
ることになるので、使用時あるいは廃棄時の安全性や環
境汚染の問題がある。
ける課題は、木材本来の調湿機能を失うことなく、寸法
安定性が良好であり、かつ有害な薬物、薬剤を使用する
ことなく、十分な抗菌性、耐腐食性を有する改質木材を
得ることにある。
ルロース鎖にアニオンを化学処理により導入し、これに
カチオンを有するポリマーまたはモノマーを含浸し、ア
ニオンとカチオンとでイオン対を形成せしめることで解
決される。また、アニオン導入のための化学処理には、
二塩基酸無水物によるセルロース鎖の水酸基のハーフエ
ステル化反応が好ましく、カチオンとしては第4級アン
モニウムイオンが好ましい。
明では、木材としてブロック状のものが用いられ、その
樹種としては特に限定されることなく、ブナ、ヒノキ、
ヒバ、マツ、スギ、ナラ、タモ、ニレ、ツガ、モミ、カ
ツラ、ラワン、キリ、クリ、チーク、ウォルナットなど
が広く用いられる。また、木材のブロックの寸法も特に
限定されることなく任意であるが、厚みを10cm以
下、好ましくは5cm以下、さらに好ましくは2cm以
下とすることが、処理薬液の含浸の点から好ましい。
するための化学処理(以下、アニオン導入処理と呼ぶこ
とがある。)を施すわけであるが、その前に木材ブロッ
クを加熱、好ましくは減圧下で加熱するなどして、含ま
れている水分を除去し、含浸性を高めることが好まし
い。この水分除去の条件は温度100〜120℃、圧力
100トール以下、時間1〜24時間程度とされるが、
この範囲に限定されるものではなく、含有水分量が5〜
7重量%以下となるように定めればよい。
ものとしては、二塩基酸無水物によるセルロース鎖中の
水酸基のハーフエステル化がある。これに用いられる二
塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル
酸、無水コハク酸などの1種または2種以上の混合物が
挙げられる。処理は、上述の二塩基酸無水物をジメチル
フォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサ
ン、アセトンなどの溶媒に溶解し、この溶液を乾燥した
木材ブロックに含浸することによって行われる。
量%程度とされるが、この範囲に限定されるものではな
い。また、エステル化反応の触媒として、N,N′−ジ
メチルベンジルアミンなどの三級アミンを0.2〜1重
量%程度上記溶液に添加することもできる。木材ブロッ
クへの含浸は、溶液中に木材ブロックを浸漬する方法、
加圧釜に木材ブロックを収め、これに溶液を投入して加
圧する方法などによって行われる。
は、密閉容器において温度20〜40℃、時間1〜36
時間程度の条件で行われる。また、加圧釜を用いるもの
では、木材を収めたのち、内部を50トール以下に減圧
して約1〜5時間放置し、この状態で上記溶液を釜内に
導入し、ついで内部を760トール以上に加圧して1〜
24時間放置する方法などが好ましい。含浸処理後の木
材ブロックは、アセトン、メタノールなどの溶媒で未反
応の酸無水物等を洗浄、除去し、さらに乾燥すること
で、アニオン化木材が得られる。
材のセルロース鎖の水酸基の一部が二塩基酸の一方の酸
基とエステル化反応し、ハーフエステル化され、セルロ
ース鎖中にアニオンであるカルボキシル基(カルボキシ
イオン)が導入される。
めの手段として、上述の二塩基酸無水物によるハーフエ
ステル化以外に、例えば次のようなカルボキシエチル化
反応によっても、アニオンをセルロース鎖に導入するこ
とができる。すなわち、下記反応式によりセルロース鎖
の水酸基とアクリル酸のビニル基とを反応する方法であ
る。
材の重量は増加し、その増加率は元の重量の1.05〜
1.4倍程度となる。
中に含むポリマーまたはモノマーで処理する(以下、こ
れをカチオン導入処理と呼ぶことがある。)。ここで用
いられるカチオンを構造中に含むポリマーまたはモノマ
ーとは、第4級アンモニウムイオン、ホスホニウムイオ
ンなどのカチオンを構造中に持つアクリル酸エステルの
モノマーやこれを重合したポリマーなどが挙げられ、具
体的にはメタクロイルエチルジメチルオクタデシルアン
モニウムブロマイド、ジグアニドの塩基性塩酸塩、塩基
性硝酸塩などのジグアニド誘導体などが用いられる。
トン、エステル、アルコールなどの溶媒にモノマーと有
機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開
始剤を溶解した処理溶液をアニオン化木材中に含浸し、
加熱してモノマーを重合させることで行われる。また、
ポリマーを用いる場合には適宜の溶媒にポリマーを溶解
した処理溶液をアニオン化木材中に含浸し、乾燥してポ
リマーを固化することで行われる。上記処理溶液中のモ
ノマーまたはポリマーの濃度は、10〜50重量%程度
とされ、含浸条件は、上述のアニオン導入処理のそれと
ほぼ同様とされる。加熱条件は温度100〜120℃、
時間1〜24時間程度とされる。このカチオン導入処理
によっても、木材の重量は増加し、その増加率は、最初
の未処理の木材の重量の約1.3〜1.6倍程度になっ
ている。かくして、本発明の改質木材を得ることができ
る。
たはポリマーによる処理によって、セルロース鎖に導入
されたアニオンとポリマー中のカチオンとが下記の化学
反応に示すようにイオン対を形成し、これらイオン対が
多数セルロース鎖とポリマー鎖との間に形成される。
は、後述する実施例からも明らかなように、良好な寸法
安定性、防腐性、抗菌性を有し、かつ木材本来の吸湿性
をも持つものとなる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 〔防腐性能〕 (比較例1,アニオン導入処理)105℃で24時間以
上加熱し、水分を除いたヒノキあるいはブナ試験片(3
0(L)×30(R)×0.5(T)mm,但し寸法安定性測
定用)90枚を減圧容器(容量3L)内に設置し、真空
ポンプで約5トールまで減圧排気した。次いでコハク酸
無水物(和光純薬社製)600g、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)1400gの混合物を常温で導入し、その
まま1時間放置した。次に減圧を解除し、常圧、20℃
で6日間反応させた。ついで未反応薬剤および溶媒を除
去するためにアセトン洗浄を行った。洗浄後、一夜風乾
させ、105℃で24時間乾燥させた。
ン導入処理した板目試験片(60(L)×30(R)×0.
5(T)mm,12枚,30(L)×30(R)×0.5(T)
mm,10枚いずれもヒノキ材)を減圧容器に設置し、
メタクロイルエチルジメチルオクタデシルアンモニウム
ブロマイド42g(84mmol)、アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)1.4g(8.4mmol)、
エチルアルコール300gの混合液を減圧含浸した。1
日風乾した後、105℃で24時間加熱硬化させた。得
られた木材試験片を防かび試験に供した。
ン導入処理した板目試験片に対して、ビグアニド誘導体
(「プロクセルIB」商品名,ゼネカ社製,1%水溶
液)を含浸させ、105℃で24時間乾燥させた後、防
かび試験に供した。
ヒノキ試験片に市販防腐剤2種類(「アモルデンRC−
12」5%水溶液、「アモルデンREP」テトラクロロ
フェノール系2%水溶液,いずれも商品名,大和化学社
製)を減圧、含浸させ、1日風乾した後、105℃で2
4時間加熱した。
1、実施例1、実施例2と従来例1および従来例2で得
られた改質木材および未処理ヒノキ試験片について、そ
の防腐性能をJIS Z−2911「かび抵抗試験」に
より検討した。結果を図1のグラフに示す。図1の結果
から、実施例1および実施例2の改質木材は、市販防腐
剤を含浸したものと同等以上の防かび性を示し、単にア
ニオン導入処理を施した比較例1のものは、明らかな防
かび性が得られないことがわかる。したがって、本発明
のアニオン導入処理とカチオン導入処理を併用すること
で、良好な防腐性が得られることがわかる。
アンモニウムブロマイド24g(49mmol)、ベン
ジルメタクリレート86g(490mmol)、エチル
アルコール90g、AIBN0.8g(4.9mmo
l)の混合液を、比較例1と同様にしてアニオン導入処
理したヒノキ試験片(30×30×0.5mm,30
枚)に実施例1と同様にして含浸させた。105℃で一
日加熱硬化させた後、寸法安定性試験に供した。
イルエチルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイ
ド24g(49mmol)、ベンジルメタクリレート8
6g(490mmol)、エチルアルコール90g、A
IBN0.8g(4.9mmol)の混合液を、未処理
ヒノキ試験片(30×30×0.5mm,30枚)に実
施例1と同様の条件で含浸させた。105℃で一日加熱
硬化させた後、寸法安定性試験に供した。
タクリレート、450部、NKオリゴマー(新中村化学
社製)、50部、パーカドックス16(硬化剤,過酸化
物,化薬アクゾ社製)、5部の混合液を処理されていな
いヒノキ試験片に減圧含浸させた。加熱硬化の後寸法安
定性試験に供した。
よび比較例2で得られた改質木材の寸法安定性を抗膨潤
能(ASE)で比較した結果を図2に、吸湿性を図3
(抗吸湿能:MEE)に各々示した。また、図4には従
来例2で得られたPMMA含浸木材の寸法安定性を示し
た。寸法安定性試験は絶乾状態の寸法と重量を測定した
後、水に約一ヶ月間浸漬し、寸法、重量の変化を測定す
ることにより抗膨潤能(ASE)を測定した。ASEは
一般に以下の式で定義される。
材(実施例3)が、カチオン導入処理のみを施したもの
(比較例2)よりも寸法安定性が優れていることがわか
る。ASEの値(平均値)は78%と55%であり、明
らかに差が認められる。また、平均値で78%という値
は寸法安定度としては高く、従来より知られたアセチル
化処理に匹敵する値でもある。また、図3の抗吸湿能の
グラフからは、寸法安定性とは異なり、カチオン導入処
理のみを施したものの方が高い値を示しており、一方本
発明のものは、20%程度と低く、吸湿性は未処理材に
比べてほとんど変化がないことがわかる。これから、本
発明のものは、高い寸法安定性を有するにもかかわら
ず、木材が本来有する吸湿性もほぼそのまま有している
ことがわかる。
の寸法安定性を示すグラフであり、このグラフからこの
ものが高い重量増加率で含浸されているものにもかかわ
らず、その抗膨潤能はほぼ0%であり、未処理材に比べ
て寸法安定性が全く改善されていないことがわかる。し
たがって、これらの点からカチオン導入処理が寸法安定
性改善に大きな効果を示すことが明らかである。
木材の抗菌性能試験)未処理木材および比較例1のアニ
オン導入処理された木材(ヒノキ,ブナ)を粉砕し、木
材粉を調製した。これを105℃で24時間乾燥させた
後0.5gを採取し、緑膿菌を含む水溶液10ml中に
分散させた。次に激しく撹拌を行い、経時的にサンプリ
ングすることにより菌数の変化を追跡した。その結果を
図5に示した。まず、コントロールは木材粉を含まない
菌液のみの結果であり、これと比較して未処理ブナ材添
加では差はなく、一方、未処理ヒノキ材添加ではわずか
ではあるが抗菌性が認められた。一方、比較例1のアニ
オン導入処理された木材ではブナ、ヒノキとも明らかな
効果が認められた。
試験)比較例1のアニオン導入処理された木材(ブナ)
粉5gを採取し、あらかじめ調製した樹脂液(メタクロ
イルエチルジメチルオクタデシルアンモニウムブロマイ
ド28g(57mmol)、2,2′−アゾビス(2−
アミジノプロパン)二塩酸塩0.41g,エチルアルコ
ール125g,水125g)に浸した。激しい撹拌を1
日行い、濾過後軽く水洗浄を行った後105℃で24時
間加熱硬化を行った。また、ビグアニド誘導体(プラク
セルIB,1%水溶液)でも同様にして行った。このよ
うにして調製された改質木材粉の抗菌性を試験例3と同
様にして調べた。結果を図6に示す。本発明の改質木材
の木材粉は2時間で菌すべてを死滅させており、優れた
抗菌性を有していることが明らかとなった。また、この
処理木粉を水洗浄(木材粉5gに対して水1000ml
で1日撹拌を6回繰り返し)した後も図6に示された抗
菌性能は維持されていることが確認された。
ば、良好な寸法安定性、防腐性、抗菌性を有し、しかも
木材本来の調湿機能をも併せ持つ改質木材を得ることが
できる。また、この改質木材の製造に用いられる薬剤
は、特に有害なものではなく、労働安全衛生上の問題も
なく、環境汚染の心配もない。
Claims (4)
- 【請求項1】 木材繊維中のセルロース鎖の水酸基にア
ニオンを導入してアニオン化木材とし、ついで、このア
ニオン化木材にカチオンを構造中に有するモノマーまた
はポリマーを含浸せしめて、先に導入されたアニオンと
上記モノマーまたはポリマー中のカチオンとのイオン対
を形成することを特徴とする改質木材の製法。 - 【請求項2】 アニオンの導入手段が、二塩基酸無水物
によるハーフエステル化反応であることを特徴とする請
求項1記載の改質木材の製法。 - 【請求項3】 木材のセルロース鎖の導入されたアニオ
ンと木材中に含浸されたポリマー中のカチオンとで形成
されたイオン対を有することを特徴とする改質木材。 - 【請求項4】 上記アニオンがカルボキシイオンであ
り、上記アニオンが第4級アンモニウムイオンであるこ
とを特徴とする請求項3記載の改質木材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30122694A JP3381424B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 改質木材の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30122694A JP3381424B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 改質木材の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08155908A true JPH08155908A (ja) | 1996-06-18 |
JP3381424B2 JP3381424B2 (ja) | 2003-02-24 |
Family
ID=17894305
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30122694A Expired - Lifetime JP3381424B2 (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 改質木材の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3381424B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014233943A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | 国立大学法人大阪大学 | 耐腐朽性が高められた木材の製造方法 |
-
1994
- 1994-12-05 JP JP30122694A patent/JP3381424B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014233943A (ja) * | 2013-06-04 | 2014-12-15 | 国立大学法人大阪大学 | 耐腐朽性が高められた木材の製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3381424B2 (ja) | 2003-02-24 |
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