JPH08154015A - マルチビーム給電装置 - Google Patents

マルチビーム給電装置

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JPH08154015A
JPH08154015A JP12672195A JP12672195A JPH08154015A JP H08154015 A JPH08154015 A JP H08154015A JP 12672195 A JP12672195 A JP 12672195A JP 12672195 A JP12672195 A JP 12672195A JP H08154015 A JPH08154015 A JP H08154015A
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JP
Japan
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antenna elements
amplifier
matrix
matrix amplifier
antenna
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JP12672195A
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English (en)
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Hiroki Shiyouki
裕樹 庄木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】大電力伝送における電力損失などの問題を容易
に解決でき、低サイドローブ化のための励振分布設定が
容易に行え、増幅器の電源を高効率に利用できるマルチ
ビーム給電装置を提供する。 【構成】反射鏡と一次放射器とによって構成されるマル
チビーム給電装置であって、前記一次放射器が、ビーム
毎に設けられた各クラスタを構成する複数のアンテナ素
子と、この複数のアンテナ素子の一部あるいは全てに直
接接続されたマトリクス増幅器とを具備し、このマトリ
クス増幅器に接続されるアンテナ素子の各々が異なるク
ラスタに属する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマルチビーム給電装置に
関し、特に、衛星搭載用反射鏡アンテナの一次放射器と
して用いられるマルチビーム給電系に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、衛星通信の需要の増加に伴い、衛
星搭載アンテナの利得を上げて通信容量を大きくとるこ
とが要求されている。そのために、アンテナから放射さ
れるビームのカバレッジエリアを小さくし、狭い領域に
効率良く電波を放射させる必要がある。従って、複数の
ビームでサービスエリアをカバーするマルチビームによ
る衛星放送システムが必要である。一例として、図12
に示すような8ビームによるマルチビーム衛星通信を考
える。ここで周波数の有効利用を図るため、1ビーム置
きに同一周波数を利用する。この周波数有効利用のた
め、衛星搭載アンテナに対して放射パターンの低サイド
ローブ化が重要な技術となる。例えば、ビーム1に対し
て放射される電波は、同一周波数を用いるビーム3のカ
バレッジに対しては干渉が無いように、この領域内では
低サイドローブ特性を有する必要がある。このような低
サイドローブ特性を実現するアンテナ方式として、図1
3に示すような反射鏡324 と一次放射器323 によって構
成されるアンテナが考えられる。ここで一次放射器323
は、図14に示すように、8つのクラスタ101,102,103,
104,105,106,107,108 によって構成されている。各クラ
スタは、各々一つのビームを形成し、各々7個のアンテ
ナ素子で構成される。例えば、ビーム1を形成するクラ
スタ101 はアンテナ素子1,2,9,10,11,18,19で
構成される。このように、一つのビームを複数のアンテ
ナ素子により形成し、各アンテナ素子に適当な励振分布
を設定することにより、それらの合成パターンが低サイ
ドローブ特性をもつようにさせることが可能である。ま
た、ここで、ビームのクロスオーバーレベル(ビームと
ビームの境界での利得)を高くしたいという要求から、
クラスタを構成する一部のアンテナ素子を隣接するビー
ム間で共用する(一例として、アンテナ素子11はクラス
タ101 で形成されるビーム1とクラスタ102 で形成され
るビーム2の両方で利用される)。
【0003】以上のような考え方は既に多くの衛星搭載
用マルチビームアンテナに利用されている。その給電系
の構成として考えられる従来の方式を以下に示す。 図
15はマルチビーム給電系の従来の構成を示す一例であ
る。簡単のためクラスタ101,102 により形成されるビー
ム1,2に関する給電系構成だけを取り出して説明す
る。アンテナ素子1,2,9,10,11,18,19 はビーム1に対応
するクラスタ101 の給電回路116 により合成(受信の場
合)もしくは分配(送信の場合)され、同様にアンテナ
素子3,4,11,12,13,20,21はビーム2に対応するクラスタ
102 の給電回路117 により合成もしくは分配される。こ
こでアンテナ素子11,19,13,20,21は異なる二つのビーム
間で共用され、その二つのビームの周波数の分岐を行う
ための分波器111,112,113,114,115 が各々接続されてい
る。給電回路116,117 の中には、各クラスタを構成する
アンテナ素子に対して所定の励振分布を与えるように分
配器(合成器)、移相器などを用いた構成となってい
る。
【0004】給電回路116,117 には各々増幅器118,119
が接続され、送受の信号の増幅を行う。この増幅器とし
て送信の場合には高出力増幅器(具体的には進行波型増
幅管や固体増幅器など)、受信の場合には低雑音増幅器
が用いられる。この方式は給電回路でアンテナ素子の励
振分布を自由に設定できるので、周波数再利用のために
最適な低サイドローブパターンを各ビームで実現できる
利点がある。しかし、この方式は、各ビームの周波数帯
域が固定して変化しないことを前提としており周波数帯
域や通信量を各ビームの呼量に応じてフレクシブルに変
化させることができない。
【0005】図16の給電系構成は、ビーム間で周波数
帯域や通信量を柔軟に変化させることを可能とするため
の従来方式である。ここで、アンテナ素子1,2,9,10,11,
18,19 はビーム1に対応するクラスタの給電回路116 に
より合成もしくは分配されるところは図15の構成と同
様である。ただし、隣接するビーム間で共用するアンテ
ナ素子11,19 では、各ビームの占有周波数帯を柔軟に変
動させることを想定しているので、周波数帯域での分離
を行う分波器により各ビームへ信号を分離することが不
可能であり、これらのアンテナ素子に単なる分配器(合
成器)131,132を接続する。給電回路117,121,122,123,1
24,125,126 は各々ビーム2,5,6,3,4,7,8
に対応するものである(アンテナ素子との接続の様子は
ビーム1の場合とほぼ同様であり、簡単化のため図の詳
細は省略している)。
【0006】ここで、給電回路116,117,121,122 はマト
リクス増幅器127 に、給電回路123,124,125,126 はマト
リクス増幅器128 に各々接続される。マトリクス増幅器
127,128 は、3dBハイブリッド結合器129 (以後単にハ
イブリッドと呼ぶことにすると増幅器130 とにより構成
される。このマトリクス増幅器では、入力信号がハイブ
リッドにより等分配されて、四つの増幅器により増幅さ
れ、出力側のハイブリッドにより一方のポートに出力さ
れる。図に示すように四つのビームが同時に入力した場
合にも、常に各増幅器に対して同レベルで入出力し、別
々のポートに各ビームの出力が現れる。この場合、ビー
ム間での周波数帯域のアンバランス(通信量の差)があ
っても、増幅器への入力は均一化されるので増幅器は常
に高効率で動作できる。いま、ビーム1およびビーム5
が占める周波数faの帯域が全体に対して占有する割合
をx(0≦x≦1)とし、他のビームについては残りの
帯域を等分したもの、すなわち(1−x)/3であり、
マトリクス増幅器の中の一つの増幅器の最大出力電力を
Pmax とすると、増幅器の電源効率ηは次式のようにな
る。ここで電源効率は、電源により出力可能な増幅器の
最大出力電力に対して実際に発生する出力電力との比が
どのくらいになるかを示している。以後の説明におい
て、電源効率はこのような意味で用いる。 η=2[4xPmax +4(1−x)Pmax ]/(8Pmax )= 1.0
(1) 従って、この例の場合、電源効率は理論的に 100%
になる。
【0007】以上述べたように、図16の給電系構成は
ビーム間で通信量が変動する衛星通信システムに対して
増幅器の電源を有効に利用できるので、非常に有効であ
る。しかし、次のような問題点がある。
【0008】特に、送信アンテナとして利用する場合、
給電回路116,117,121,122,123,124,125,126 は大電力が
伝送されており、その中で励振分布を高精度に実現する
ことはハードウェアを形成する上で難しい点が多い。大
電力ゆえに発生するパッシブインターモジュレーション
(PIM,高調波が発生し、受信機などへ影響を与える
問題)やマルチパクション(2次電子の発生によりRF
的に短絡状態になり、大電力伝送に障害が発生する問
題)を抑えるために神経を尖らせる必要がある。また、
周波数帯域に柔軟性を持たせるとすると、ビーム間共用
素子に接続される合成器(分配器)131,132 において損
失が発生し(2ビーム共用の場合、このアンテナに対す
る入力の半分は損失となる)、アンテナ効率が低下した
り、熱が発生する問題もある。
【0009】合成器の代わりにハイブリッドなどを用い
て素子共用を行う方法なども考えられているが、この場
合にはビーム間共用素子の励振分布が拘束され、クラス
タとしての低サイドローブ化に適した最適な励振分布設
定ができなくなる。さらに、理想的に無限大であるマト
リクス増幅器のポート間のアイソレーションが実際には
有限の値にしか実現できないため、あるビームの信号が
他のビームのクラスタへ洩れ込む問題もある。この場
合、ビーム間アイソレーション特性を劣化させるビーム
間のアイソレーションレベルはマトリクス増幅器のポー
ト間アイソレーション特性に大きく依存し、このために
非常に高いビーム間アイソレーションが要求されるよう
な衛星通信システムには利用できないこともある。
【0010】さらに、給電系構成の従来の方法として、
図17のような構成も考えられる。この構成では、アン
テナ素子1,2,9,10,11,18,19,3,4,12,13,20,21 に各々増
幅器201,202,209,210,211,218,219,203,204,212,213,22
0,221 が直接接続されている(この図ではビーム3〜8
に関する部分を省略している)。その後、クラスタ単位
で給電回路136,137 が構成され、ここで低サイドローブ
化に最適な励振分布が設定されるビーム間で共用するア
ンテナ素子11,19,13,20,21において合成器131,132,133,
134,135 が各々接続されている。この合成器では、アン
テナ素子の方向へ半分の電力しか伝達されないのでここ
で損失が生じることになるが、この部分に伝送される信
号は小電力であるので特に問題にはならない。図17の
構成では特に送信アンテナとして利用する場合、アンテ
ナ素子と増幅器が直結されているので、大電力を伝送す
る部分が短く、図16の構成では問題となる電力損失、
PIM、マルチパクションに対する対策は容易になる。
しかし、増幅器の電源効率の点では不利である。前述の
議論と同様に、全ての増幅器の最大出力電力がPmax で
あり、クラスタを構成するアンテナ素子の励振電力が中
心のアンテナ素子を1、周辺のアンテナ素子がα(0<
α≦1)、ビーム1および3の周波数帯域の割合をxと
した場合(他の周波数は残りの帯域を等分する)、電源
効率ηは次のようになる。 η=[2(1+6α)xPmax +2(1+6α)(1−x)Pmax ]/43Pmax =2(1+6α)/43 (2) α=0.1 (=-10dB )とすると、η= 7.4%となり、電
源効率が非常に悪いことがわかる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、マ
ルチビームアンテナにおける従来の給電系構成において
マトリクス給電系を用いた場合には、大電力を伝送させ
ることに起因するパッシブインターモジュレーションや
マルチパクション、電力損失の問題を解決することが難
しく、また、電力損失低減のためにクラスタの励振分布
が制限されて十分に低サイドローブ化することが困難に
なる問題があった。
【0012】また、増幅器をアンテナ素子に直結した給
電系構成の場合には、増幅器の電源効率が非常に低くな
る問題点があった。本発明のマルチビーム給電装置はこ
のような課題に着目してなされたものであり、大電力伝
送に係わる電力損失などの問題を容易に解決でき、低サ
イドローブ化のための励振分布設定が容易に行え、ビー
ム間の通信量に変動がある場合にも増幅器の電源を高効
率に利用できるマルチビーム給電装置を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明のマルチビーム給電装置は、反射鏡と
一次放射器とによって構成されるマルチビーム給電装置
であって、前記一次放射器が、ビーム毎に設けられた各
クラスタを構成する複数のアンテナ素子と、この複数の
アンテナ素子の一部あるいは全てに直接接続されたマト
リクス増幅器とを具備し、このマトリクス増幅器に接続
されるアンテナ素子の各々が異なるクラスタに属する。
【0014】また、第2の発明のマルチビーム給電装置
は、前記マトリクス増幅器に接続される複数のアンテナ
素子の動作する周波数帯域が各々異なっており、各クラ
スタを構成する複数のアンテナ素子が、単一の周波数帯
域で動作する第1のアンテナ素子と、前記クラスタ間で
共有する第2のアンテナ素子とを含み、前記第1のアン
テナ素子は、各ビームに割り当てる周波数帯域の数に等
しいポート数を有するマトリクス増幅器に接続され、か
つ、前記第2のアンテナ素子は、異なる周波数帯域で動
作する他の共有アンテナ素子とともに、各ビームに割り
当てる周波数帯域の数を、共用される最大の周波数帯域
数で割り算して得られる値に等しいポート数を有するマ
トリクス増幅器に接続されている。
【0015】また、第3の発明のマルチビーム給電装置
は、前記マトリクス増幅器の最大出力電力が前記マトリ
クス増幅器に接続される複数のアンテナ素子に与える励
振電力によって決定される。
【0016】また、第4の発明のマルチビーム給電装置
は、反射鏡と一次放射器とによって構成されるマルチビ
ーム給電装置であって、前記一次放射器が、ビーム毎に
設けられた各クラスタを構成する複数のアンテナ素子の
うち各クラスタの中心となる第1のアンテナ素子に接続
された第1のマトリクス増幅器と、前記複数のアンテナ
素子のうち、前記第1のアンテナ素子以外のアンテナ素
子に接続され、前記第1のマトリクス増幅器とは別個に
設けられた第2のマトリクス増幅器とを具備する。
【0017】また、第5の発明のマルチビーム給電装置
は、前記第1かつ第2のマトリクス増幅器の入力ポート
に接続された給電回路をさらに具備し、この給電回路は
ビーム毎に設けられている。
【0018】
【作用】すなわち、第1の発明のマルチビーム給電装置
は、反射鏡と一次放射器とによって構成されるマルチビ
ーム給電装置において、前記一次放射器を、ビーム毎に
設けられた各クラスタを構成する複数のアンテナ素子
と、この複数のアンテナ素子の一部あるいは全てに直接
接続されたマトリクス増幅器とで構成し、このマトリク
ス増幅器に接続されるアンテナ素子の各々が異なるクラ
スタに属するようにする。
【0019】また、第2の発明のマルチビーム給電装置
は、前記マトリクス増幅器に接続される複数のアンテナ
素子の動作する周波数帯域を各々異ならせ、かつ、各ク
ラスタを構成する複数のアンテナ素子において、単一の
周波数帯域で動作する第1のアンテナ素子については、
各ビームに割り当てる周波数帯域の数に等しいポート数
を有するマトリクス増幅器に接続し、前記クラスタ間で
共有する第2のアンテナ素子については、異なる周波数
帯域で動作する他の共有アンテナ素子とともに、各ビー
ムに割り当てる周波数帯域の数を、共用される最大の周
波数帯域数で割り算して得られる値に等しいポート数を
有するマトリクス増幅器に接続するようにする。
【0020】また、第3の発明のマルチビーム給電装置
は、前記マトリクス増幅器の最大出力電力を、前記マト
リクス増幅器に接続される複数のアンテナ素子に与える
励振電力によって決定するようにする。
【0021】また、第4の発明のマルチビーム給電装置
は、反射鏡と一次放射器とによって構成されるマルチビ
ーム給電装置であって、前記一次放射器を、ビーム毎に
設けられた各クラスタを構成する複数のアンテナ素子の
うち各クラスタの中心となる第1のアンテナ素子に接続
された第1のマトリクス増幅器と、前記複数のアンテナ
素子のうち、前記第1のアンテナ素子以外のアンテナ素
子に接続され、前記第1のマトリクス増幅器とは別個に
設けられた第2のマトリクス増幅器とによって構成する
ようにする。また、第5の発明のマルチビーム給電装置
は、ビーム毎に設けられた給電回路を前記第1かつ第2
のマトリクス増幅器の入力ポートに接続するようにす
る。
【0022】
【実施例】本実施例では、反射鏡を介して電波の送受を
行う反射鏡型アンテナの一次放射器として、複数のアン
テナ素子で構成されるクラスタを用いる。ここで、複数
のアンテナ素子に設定する励振分布(励振振幅、励振位
相)およびアンテナ素子の放射指向性を適当に調整する
ことにより、ビーム単位で低サイドローブな放射指向性
を合成する。ここでクラスタを構成するアンテナ素子の
一部を隣接するクラスタと共用することにより、各ビー
ム毎の合成パターンにおいてそのクロスオーバー利得を
高くする。また、クラスタを構成する複数のアンテナ素
子の一部あるいは全てをマトリクス増幅器に直接接続
し、一つのマトリクス増幅器に接続されるアンテナ素子
が互いに異なるクラスタに属するようにし、かつ互いに
異なる周波数で動作信号を増幅する。これによって、マ
トリクス増幅器の中に設置される増幅器をそこに接続さ
れているアンテナ素子間で均一に利用できる。
【0023】以下に図面を用いて本発明の実施例を説明
する。本発明は、送受どちらでも適用できるが、以下の
説明は送信アンテナに利用した場合を前提に行う。図1
は、本発明の第1実施例を示すマルチビームアンテナの
一次放射器の構成を示す。ここでアンテナ全体として
は、図13に示すように、反射鏡324 と一次放射器323
で構成されている。この例では図12に示すように、8
ビームによってサービスエリアをカバーするマルチビー
ムによる衛星通信を想定し、1ビーム置きで同一周波数
を再利用する(ビーム1とビーム3が同一周波数fa、
ビーム2とビーム4が同一周波数fb、ビーム5とビー
ム7が同一周波数fc、ビーム6とビーム8が同一周波
数fd)。
【0024】ここでビーム1、2,3,4,5,6,
7,8は、図14に示すような、一次放射器323 を構成
するクラスタ101,102,103,104,105,106,107,108 により
各々形成される。クラスタ101 はアンテナ素子1,2,9,1
0,11,18,19 、クラスタ102 はアンテナ素子3,4,11,12,1
3,20,21、クラスタ103 はアンテナ素子5,6,13,14,15,2
2,23クラスタ104 はアンテナ素子7,8,15,16,17,24,25、
クラスタ105 はアンテナ素子19,20,27,28,29,36,37、ク
ラスタ106 はアンテナ素子21,22,29,30,31,38,39、クラ
スタ107 はアンテナ素子23,24,31,32,33,40,41、クラス
タ108 はアンテナ素子25,26,33,34,35,42,43、により各
々構成される。ここで、隣接するクラスタ間で1つのア
ンテナ素子を共用する。例えば、アンテナ素子11はクラ
スタ101,102で共用している。各アンテナ素子がどのビ
ームの形成に関与し、どの周波数で動作しているかにつ
いては図11にまとめて示してある。アンテナ素子とし
てホーンアンテナを用いた例を示すが、アンテナ素子は
この方式以外でも構わない。
【0025】各アンテナ素子は直接増幅器151 に接続さ
れるか、マトリクス増幅器152,153に接続される。その
増幅器への接続の仕方は以下のような規則に基づく。 (1)一つのマトリクス増幅器へ接続される複数のアン
テナ素子は異なるクラスタで構成されている。 (2)一つのマトリクス増幅器へ接続されるアンテナ素
子の動作する周波数帯域は全て異なる。 (3)クラスタの中心に配置されるアンテナ素子は各々
単独の周波数帯域で動作しており、これらは4ポートの
マトリクス増幅器153 に接続する。 (4)クラスタ周辺に配置されるアンテナ素子で隣接す
る二つのクラスタ(周波数帯)で共用されているもの
は、2ポートのマトリクス増幅器に接続する。 (5)上記(3)、(4)に当てはまらないアンテナ素
子でも(1)、(2)の条件に合うものはマトリクス増
幅器に接続する。マトリクス増幅器に接続するペアのア
ンテナ素子のないものに対しては、直接増幅器を接続す
る。
【0026】以上の規則に基づいて構成した結果が図1
の例である。ここでは、上記の条件の他に、一つのマト
リクス増幅器に接続するアンテナ素子間の距離が小さく
なるような配慮をしている。例えば、2ポートのマトリ
クス増幅器では、アンテナ素子間隔の2倍程度以下のも
のを一つのマトリクス増幅器に接続している。このよう
な配慮を行うことにより、マトリクス増幅器とアンテナ
素子間の伝送線路を短くすることができるので、線路損
失を小さくすることができる。
【0027】図2(a)、(b)は、4ポートおよび2
ポートのマトリクス増幅器の構成例を各々示している。
各マトリクス増幅器はハイブリッド結合器160 および増
幅器161 を伝送線路で図のように接続して構成される。
このマトリクス増幅器において、入力ポート(例えばポ
ートa)から入力した信号がハイブリッドにより構成さ
れる入力側のマトリクス回路により、所定の位相差が与
えられて等分され、その各々の信号が増幅器160 に入力
される。各増幅器で増幅された信号は入力側の位相関係
を維持しており、これが出力側のマトリクス回路を通過
することにより所定の出力ポートのみ(例えばポート
A)に出力信号が現れることになる。ここで入力ポート
と出力ポートの関係は一対一になっている(a→A、b
→B、c→C、d→D)。マトリクス増幅器の特徴は、
各ポートにおける入力信号の周波数が違っていれば混変
調を起さずに出力側でも分離でき、増幅器は常に同じレ
ベルで動作することである。また、特定の入力ポートの
信号量(占有帯域、チャンネル数などが変動しても全体
の信号量が同一であれば、増幅器の利用効率(電源効
率)は変わらない。
【0028】各マトリクス増幅器152,153 および増幅器
151 への入力は、ビーム毎に構成された給電回路154 に
よって行われる。給電回路154 では、クラスタを構成す
るアンテナ素子へ高利得化や低サイドローブ化された合
成パターンを形成するための励振分布を設定するもので
ある。
【0029】この励振分布設定の一例を図3に示す。図
3では電力分配器165 の分配比を調整することにより励
振振幅の設定を行い、移相器166 により励振位相を設定
している。一般的には、中心のアンテナ素子に与える励
振電力を1とすれば、周辺のアンテナ素子についてはそ
れより小さいレベルの励振電力αを与える。αの値はア
ンテナ素子形状、配列などによって変わってくるが-3〜
-10dB 程度の値となる複数のビーム(クラスタ)で共用
されるアンテナ素子11,13,15,19,20,21,22,23,24,25,2
9,31,33には合成器155 を介して、給電回路からの信号
が入力される。合成器155 としてはT分岐もしくは同等
の特性をもつコンポーネントを用いる。ここで電力の1
/2が損失となってしまうので、給電回路で設定する励
振振幅はこの損失分を補償するものでなければならな
い。この合成器の部分では電力損失が発生するが、信号
は増幅器に入力する前の小電力レベルの段階であり損失
により熱などが発生することもないので特に問題となら
ない。また、このような方法をとることにより、アンテ
ナ素子を複数のクラスタ(ビーム)で共用していてもそ
のために励振分布の設定が制限されることがなく、全く
クラスタ(ビーム)単位で独立に最適の励振分布の設定
が可能である。従って、マルチビームアンテナにおいて
周波数共用を実現する上で重要な低サイドローブ化など
の特性が良好に実現できる。
【0030】以下に、増幅器の電源効率について考えて
みる。アンテナ素子に単独に接続されている増幅器の最
大出力電力をPmax 、2ポートのマトリクス増幅器の中
の増幅器の最大出力電力を1/2 Pmax 、4ポートのマト
リクス増幅器の中の増幅器の最大出力電力を1/4 Pmax
とする。この最大出力電力の設定はマトリクス増幅器に
関してはトータルの最大出力電力がPmax となるように
している。励振分布については、各クラスタにおいて、
中心のアンテナ素子に与える励振電力のレベルを1とし
た場合、周辺のアンテナ素子には全てα(αは0でな
い)の励振電力を与えるものとする。ここでビーム1お
よびビーム3(周波数fa)が全周波数帯域の中で専有
する割合をx(0≦x≦1)として、他のビームの周波
数(fb、fc、fd)の帯域は残った領域を等分して
いるものとする場合、増幅器の電源効率ηは次式のよう
に表される。 η=全てのビームでの出力電力の和/増幅器の最大出力電力の和 =[2(1+6α)xPmax +2(1+6α)(1-x)Pmax ]/22Pmax (3) =(1+6α)/11 α=0.1 (=-10dB )とするとη=14.5%となり、アン
テナ素子に増幅器を直接接続した従来方式に比較して数
倍の電源効率が得られる。ここで、クラスタの周辺に配
置されたアンテナ素子に関しては増幅器の最大出力電力
はαPmax で十分であるので、アンテナ素子に直接接続
される増幅器の最大出力電力をαPmax2ポートのマト
リクス増幅器の中の増幅器の最大出力電力を1/2 αPma
x としても同一の出力電力が得られる。この場合の電源
効率ηは次式のようになる。 η=[2(1+6α)xPmax +2(1+6α)(1-x)Pmax ]/ (2+20α) Pmax =(1+6α)/ (1+10α) (4) ここで、α=0.1 (=-10dB )とするとη=80%とな
り、増幅器の電源効率は格段に改善される。なお、ここ
で増幅器の増幅率は全て同じである。また、ここで、全
ての帯域があるビームに集中しても入力対出力の線形性
が保障されるように増幅器の動作点(バックオフレベ
ル)を設定し、そのときの出力電力を最大出力電力と定
義している。
【0031】以上のような構成により、以下のような効
果が期待できる。 (1) アンテナ素子と増幅器の間の高電力信号が伝達
される部分に配置されるものは伝送線路とハイブリッド
結合器だけである。また、マトリクス増幅器に接続され
る複数のアンテナ素子は比較的近い位置に配置されるも
のを選ぶことができ、伝送線路の長さは最小限にするこ
とが可能である。これから、高電力化に伴う損失の低
減、パッシブインターモジュレーション(PIMの低
減、マルチパクションの防止などの対策が容易に行え
る。例えば、PIMの低減のために給電系の一体化成形
などの製造方法が考えられるが、本実施例ではこのよう
なことを考慮した製造、製作が容易である。また、受信
の場合にはアンテナ素子から増幅器へ至る部分での線路
損失を最小限に抑えることができるので、G/Tの劣化
を防ぐことができる。 (2) ビーム間で通信量の変動があり、それに伴い周
波数帯域などを変化させた場合にも、高い電源効率が得
られる。これから、通信量の変動が大きいことが予想さ
れる、衛星移動通信システムなどに利用される衛星搭載
アンテナなどの応用として非常に有効である。 (3) 低サイドローブ化などのための励振分布設定を
行う給電回路は信号が小電力レベルの領域であり、線路
損失に伴う熱の発生などの問題が全く無く、給電回路の
製作もマイクロストリップ線路などの平面回路により、
小型、薄型で、容易に、しかも精度良く行うことができ
る。
【0032】また、本実施例において、以下のような変
更を行ってもその効果は同じである。 (1) アンテナ素子、給電線路、給電回路コンポーネ
ントなどはその方式は全く問わない。どのような方式の
ものを用いても効果は同じである。 (2) クラスタの方式について、図14に示したよう
に、7つのアンテナ素子による構成を例にあげて説明し
たが、9つのアンテナ素子を用いる場合など他の方式を
用いても同様の効果がある。また、隣接クラスタにおけ
るアンテナ素子の共用についても、図14では1個のア
ンテナ素子を共用する場合について示したが、これを2
素子以上の共用としてもよい。 (3) 給電回路の構成についても図1に示した例の限
りではない。例えば、クラスタ周辺のアンテナ素子でそ
のクラスタ単独に利用されているものが各周波数帯にあ
れば、それらを集めて4ポートのマトリクス増幅器に接
続してもよい。この場合、最大出力電力の和がさらに小
さくできるので、電源効率をさらに上げることができ
る。また、周波数変換器を設けて、低い周波数帯へ変換
して給電回路を構成する方法が考えられる。この場合、
給電回路コンポーネントの製作が容易になったり、給電
損失を低減できるなどの利点がある。 (4) 各ビームに与えられる周波数帯を図12に示し
た。ここで、全周波数帯域に対する各周波数の割当とし
て、図4もしくは図5のような構成が考えられ、本実施
例の給電系構成はどちらでも対応ができる。図4では、
全帯域を領域毎に区切ったものであり、各周波数帯間で
重ならなければ状況に応じて帯域を広げたり狭めたりで
きる。図5では、もっと狭い周波数帯域(例えばチャン
ネル単位)で分割した場合を示しており、この場合も各
周波数帯で重なるところがなければ状況に応じて使用す
る帯域を多くしたり少なくしたりできる。本実施例は、
以上のように、周波数の利用形態に関しては全く柔軟に
利用できる。 (5) 前述したように、本実施例では、クラスタ中心
のアンテナ素子に対するクラスタ周辺のアンテナ素子へ
の励振電力の比がαである場合、クラスタ周辺のアンテ
ナ素子へ直接接続される増幅器の最大出力電力をαPma
x 、クラスタ周辺のアンテナ素子へ接続されるマトリク
ス増幅器内の増幅器の最大出力電力の和をαPmax 、ク
ラスタ中心のアンテナ素子へ接続されるマトリクス増幅
器内の増幅器の最大出力電力の和をPmax とすることに
より、増幅器の電源効率が 100%に近い良好な値とな
る。この場合、クラスタ周辺のアンテナ素子へ直接接続
される増幅器の構成を図6(a)、クラスタ周辺のアン
テナ素子へ接続される2ポートのマトリクス増幅器の構
成を図6(b)、クラスタ中心のアンテナ素子へ接続さ
れる4ポートのマトリクス増幅器の構成を図6(c)の
ようにすることもできる。図6(a)では、入力信号を
分配器176 で分配して、増幅器170 により増幅し、合成
器171 で合成して出力する。図6(b)の構成は図2
(b)の構成と全く同様であり、2ポートのマトリクス
増幅器173 はハイブリッド172 と増幅器170 により構成
される。図6(c)では、入力側、出力側のハイブリッ
ド172 を図のように構成することにより、入力信号を適
当な位相を与えて8分配して、各々増幅器170 により増
幅する。出力信号は、入力ポートに対応する出力ポート
に現れる。また、ハイブリッドの不要なポートには無反
射終端173 を接続する。このように構成された4ポート
のマトリクス増幅器174 は、動作は図2(a)に示した
ものと全く同様である。ここで、図6(a)〜(c)で
示した中の増幅器170を全く同一のもの(最大出力電力
をPmax とする)とすると、クラスタの中心に位置する
アンテナ素子に対しては最大出力電力が8Pmax 、周辺
のアンテナ素子に対しては最大出力電力が2Pmax とな
る。これはα=1/4 となる励振分布のときに(4) 式で示
した良好な電源効率を実現するものと一致する。
【0033】以上のような考え方により、クラスタ中心
のアンテナ素子とクラスタ周辺のアンテナ素子への最大
出力電力の比が簡単な整数比となる場合、同一の増幅器
を用いて給電系を構成できることを示している。この場
合、良好な電源効率が得られることの他に、利用する増
幅器を全て同一であることから、増幅器の設計製造、調
整などの工程が簡単になり、アンテナ全体の低コスト化
にも非常に有効である効果がある。
【0034】以下に本発明の第2実施例を説明する。図
7には本発明の他の実施例におけるビーム配置について
示す。9個の周波数帯(f1,f2,f3,f4,f
5,f6,f7,f8,f9)を図のように配置し、2
ビーム置きに同一周波数を利用する。このようなビーム
配列をある広がりをもって繰り返すものとし、いまその
中心にある9ビーム(実線で示したビーム)について注
目する。図8には、この9個のビームを形成するための
一次放射器の構成を示す。一つのビームを7個のアンテ
ナ素子によるクラスタで構成し、隣接クラスタ(ビー
ム)間で2個のアンテナ素子を共用する構成である。図
8では、図7の実線で示したビームに対応するアンテナ
素子を実線で示してある。また、各アンテナの動作して
いる周波数を示し、f1,f2…のように示してあるア
ンテナ素子はその周波数単独で動作しているもの(クラ
スタの中心に配置されるアンテナ素子に対応する)、f
123 …のように示すアンテナ素子はf1、f2f3の3
周波数で共用されているものを示す(クラスタの周辺に
配置されるアンテナ素子は3周波数で共用されてい
る)。ここで、図8に示すP−P´の線上に並ぶアンテ
ナ素子について注目すると、アンテナ素子はf178,f12
8,f2,f235,f356,f6,f469,f479,f7 の周波数で動
作するアンテナが繰り返して現れる。
【0035】図8に示すQ−Q´、R−R´に並ぶアン
テナ素子についても同様であり、この3種類の並び方が
一次放射器全体で繰り返される。図9には、P−P´の
線上に並ぶアンテナ素子を取り出して、その給電系構成
について示したものである。単一の周波数で動作するア
ンテナ素子f2,f6,f7は9ポートのマトリクス増
幅器182 に接続する。9ポートのマトリクス増幅器182
に接続される他のアンテナ素子はQ−Q´,R−R´の
線上に並ぶものであり、各々異なる周波数帯で動作する
アンテナ素子である。結果的にf1〜f9の周波数で動
作するアンテナ素子が全て9ポートのマトリクス増幅器
182 に接続される。
【0036】マトリクス増幅器182 は、図2(a)、
(b)、図7に示したものと同様に、ハイブリッド増幅
器により構成でき、16ポート(24 ポート)のマトリク
ス増幅器において7ポートを無反射終端でターミネーシ
ョンしたようなものでよい。P−P´の線上に並ぶアン
テナ素子f178,f235,f469は3ポートのマトリクス増幅器
180 に接続され、また、アンテナ素子f128,f356,f479は
3ポートのマトリクス増幅器181 に接続される。
【0037】3ポートのマトリクス増幅器180,181 につ
いても、図2(a)、(b)、図7に示したものと同様
に、ハイブリッド増幅器により構成でき、4ポート(2
2 ポート)のマトリクス増幅器において1ポートを無反
射終端でターミネーションした図10のようなものでよ
い。結果的に、3ポートのマトリクス増幅器180,181は
全ての周波数で動作することになる。Q−Q´,R−R
´の線上に並ぶアンテナ素子についても全く同様に全て
のアンテナ素子が9ポートもしくは3ポートのマトリク
ス増幅器に接続される。アンテナ素子に対して励振分布
を設定する給電回路とマトリクス増幅器との接続は、先
に述べた本発明の実施例と全く同様である。
【0038】以上のような構成において、クラスタ中心
のアンテナ素子が接続される9ポートのマトリクス増幅
器内の増幅器の最大出力電力和をPmax 、クラスタ周辺
のアンテナ素子が接続される3ポートのマトリクス増幅
器内の増幅器の最大出力電力和をαPmax として、ある
特定の周波数帯の占有帯域の比をx(0≦x≦1)とし
た場合、前述の説明と同様に、増幅器の電源効率ηは以
下のようになる(図8の並び方で無限個のアンテナ素子
が配列されていると仮定した場合)。 η=全てのビームでの出力電力の和/増幅器の最大出力電力の和 =[ (1+6α)xPmax +(1+6α)(1-x)Pmax ]/(1+6α)Pmax (5) = 1.0 従って、この場合、理論的には 100%の電源効率が得ら
れ(ただしアンテナが有限の場合には一次放射器の外縁
付近に配置されるアンテナ素子で3周波数共用すべきも
のが2周波数共用になったり、単独周波数利用になった
りする状況があるために効率は若干劣化する)、前述の
実施例と同様の効果が得られる。
【0039】以上のような構成を一般的に述べると、本
発明に係るマルチビーム給電装置の実施例の構成は以下
のようになる。 (1)ビームに割当てる周波数帯域の数をN(Nは4以
上の整数)とするとき、クラスタ内には単一の周波数帯
域で動作するアンテナ素子が存在し、クラスタ間で共用
するアンテナ素子については最大M個(Mは2以上)の
周波数帯域で共用され、単一の周波数帯域で動作するア
ンテナ素子についてはNポートのマトリクス増幅器に接
続され、複数の周波数帯域を共用するアンテナ素子につ
いては異なる周波数帯域で動作するものを集めてIポー
ト(IはN/M以上の整数)のマトリクス増幅器に接続
する。 (2)全てのマトリクス増幅器において、マトリクス増
幅器内にある増幅器の最大出力電力の和とそのマトリク
ス増幅器に接続されるアンテナ素子に与える励振電力の
関係は常に比例関係のある。例えば、クラスタ中心のア
ンテナ素子に1、周辺のアンテナ素子にαなる励振電力
が与えられていた場合には、クラスタ中心のアンテナ素
子に接続されるマトリクス増幅器内にある増幅器の最大
出力電力の和をPmax 、クラスタ周辺のアンテナ素子に
接続されるマトリクス増幅器内にある増幅器の最大出力
電力の和をαPmaxとする。 (3)ビーム数がNの倍数になっていない場合には、単
一の周波数帯域で動作するアンテナ素子に接続されるマ
トリクス増幅器のポート数はNよりも小さくなるものが
ある。 (4)一次放射器の外縁付近のアンテナ素子については
周波数帯域の共用数が中途半端になる(周波数帯域の共
用数がM以下もしくは単独の周波数帯域で動作する)も
のがある。このようなアンテナ素子で異なる周波数帯域
で動作するものを集めて接続されるマトリクス増幅器は
最大Nポートになる。
【0040】上記した実施例によれば、ビーム間での通
信量の変動がある場合にも増幅器の利用効率を高く維持
できる。従って、通信量の変動が大きく周波数帯域の割
当を変えるなど柔軟な対応が必要になる移動体衛星通信
システムにおける衛星搭載用アンテナに対して、電源の
有効利用という観点で非常に効果が大きい。また、アン
テナ素子と増幅器の間はハイブリッド結合器と伝送線路
だけの簡単な構成で済み、高出力化に伴うPIM、マル
チパクションなどの問題発生についての対策や低損失化
が容易に行える。また、マルチビーム衛星通信システム
において周波数有効利用を行う上で重要な低サイドロー
ブ化が、小電力の信号が伝送されている給電回路におい
て行われているので、アンテナ素子へ最適励振分布の設
定が容易に行える。さらに、このアンテナを構成する上
で必要な増幅器の種類はただの1種類もしくは高々2種
類で済むため、この増幅器の設計、製造調整などの工程
が非常に簡単化され、特性の良いものが低コストで製作
することが可能になり、衛星搭載アンテナなどの用途と
して効果は絶大である。
【0041】以下に本発明の第3の実施例を示す。図1
8は、本発明の第3実施例に係るマルチビームアンテナ
の一次放射器の構成を示す。ここでアンテナ全体として
は、図13に示したように、反射鏡324と一次放射器
323で構成されている。この例では図12に示したよ
うな、8ビームによってサービスエリアをカバーするマ
ルチビームによる衛星通信を想定する。ここでビーム
1,2,3,4,5,6,7,8は、図14に示したよ
うに、一次放射器323を構成するクラスタ101,1
02,103,104,105,106,107,10
8により各々形成される。クラスタ101はアンテナ素
子1,2,9,10,11,18,19、クラスタ10
2はアンテナ素子3,4,11,12,13,20,2
1、クラスタ103はアンテナ素子5,6,13,1
4,15,22,23、クラスタ104はアンテナ素子
7,8,15,16,17,24,25、クラスタ10
5はアンテナ素子19,20,27,28,29,3
6,37、クラスタ106はアンテナ素子21,22,
29,30,31,38,39、クラスタ107はアン
テナ素子23,24,31,32,33,40,41、
クラスタ108はアンテナ素子25,26,33,3
4,35,42,43、により各々構成される。ここ
で、隣接するクラスタ間で1つのアンテナ素子を共用す
る。例えば、アンテナ素子11はクラスタ101,10
2で共用している。図18に示すように、各アンテナ素
子はマトリクス増幅器201もしくはマトリクス増幅器
202に接続される。マトリクス増幅器201に接続さ
れるアンテナ素子は、各クラスタの中心素子10,1
2,14,16,28,30,32,34であり、その
他のアンテナ素子、すなわちクラスタを構成する周辺素
子はマトリクス増幅器202に接続される。マトリクス
増幅器の構成は前述の実施例で述べた通りである。各マ
トリクス増幅器への入力ポートは給電回路と接続され、
各ビーム1,2,3,4,5,6,7,8に対して給電
回路211,212,213,214,215,21
6,217,218が形成される。給電回路の構成につ
いても前述の実施例で述べた通りである。クラスタ間で
共用されるアンテナ素子に対応する入力ポートには、二
つの給電回路と接続され、二つの入力信号があるので、
合成器210により合成する。
【0042】この給電装置では、各ビーム毎に設けられ
た給電回路により各ビームのクラスタを構成するアンテ
ナ素子に対する励振振幅、励振位相が設定され、この入
力信号がマトリクス増幅器により増幅されて各アンテナ
素子へ入力される。ここで、マトリクス増幅器は大きく
二つに分けて構成しており、各ビームの動作周波数に関
係なく共通に増幅される。これは、同一周波数の信号を
共通増幅することによる混変調、波形歪み、アイソレー
ション劣化などが問題にならないような状況において利
用できる給電系構成である。この構成では、マトリクス
増幅器の中にある増幅器が全てのビームに関して共通に
使用されているので、増幅器の利用効率(電源効率)は
ほぼ100%となる利点がある。
【0043】また、ここでマトリクス増幅器をそれに接
続されるアンテナ素子の性格により二つに分けている。
具体的には、励振ウェイト(励振電力)の大きなクラス
タの中心素子についてはマトリクス増幅器201に接続
し、励振ウェイトの小さいクラスタの周辺素子は別個の
マトリクス増幅器202に接続するようにする。すなわ
ち、低サイドローブ化をはかる場合には、概してクラス
タの中心素子への励振電力に対して、周辺素子は例えば
−10dB程度の小さな励振電力になるので、励振電力
の大小により接続するマトリクス増幅器を選択する。こ
のようにする理由と効果は以下のとおりである。
【0044】マトリクス増幅器を実際につくった場合、
マトリクス増幅器の中のハイブリッド結合器の特性や増
幅器のアンバランス(増幅率、通過位相のバラツキ)や
故障などによりポート間のアイソレーション特性が劣化
する。この劣化が各ビームの指向性に影響を与え、例え
ばサイドローブレベルの上昇などの問題を起こす。そこ
で、マトリクス増幅器を分離することにより、ポート間
アイソレーション特性が劣化してもその影響が機械的に
遮断できることになる。特に、励振ウェイトの大きなポ
ートからの漏れが、励振ウェイトの小さなポートへ影響
し、その励振ウェイトを著しく変化させてしまうので、
この構成のように大きな励振ウェイトになるアンテナ素
子に対応するマトリクス増幅器を分離している。このよ
うにすることにより、マトリクス増幅器のポート間アイ
ソレーション特性劣化による放射指向性への悪影響を大
きく低減できる効果がある。
【0045】また、図18の構成では、励振ウェイトを
設定する給電回路が各ビーム毎に構成できるので、各々
のビームに対して最適な励振ウェイトを独立に設定でき
る利点がある。また、給電回路は増幅前の小信号の領域
で構成されているので、ここで生じる電力損失が全体の
システムに与える影響は軽妙なものに過ぎなくなる。例
えば、電力損失による熱の発生等が問題となる衛星搭載
用の用途として効果が大きい。また、ここで給電回路の
構成、設計、デバイスの選定などの自由度が大きくなる
ので、実際に給電回路をつくる上でのメリットが大き
い。例えば、給電回路の平面化、小形化などが容易に行
える。
【0046】本発明は給電装置の構成方法に関するもの
であり、給電装置を構成する具体的なコンポーネント、
例えばアンテナ素子や増幅器、合成器、線路方式といっ
たものの方式などは問わない。また、この実施例は給電
装置の基本構成に関して説明しているので、本発明の効
果を実現するための動作を変更しないものであれば、他
のコンポーネントの付加等があってもよい。例えば、不
要放射を制限するためにアンテナ素子とマトリクス増幅
器の間にフィルタ等を挿入してもよい。
【0047】図19は、本発明の他の実施例を説明する
ための図である。前述したように給電回路は自由な構成
が可能であり、図19に示すように全てのアンテナ素子
を励振するために、マトリクス増幅器201,202の
全てのポートに接続される給電回路220を構成するこ
ともできる。このような給電回路220を設けることに
より、複数のビームカバレッジにまたがるビームを形成
でき、給電回路の励振ウェイトの最適設定によりカバレ
ッジ形状にあった成形ビームを実現できる利点がある。
以上のような構成により、スポットビームのマルチビー
ム化と成形ビーム化が同時に実現できることになり、例
えば衛星搭載用アンテナなどの用途において複数のミッ
ションを共用化できることになり、衛星の効率的利用な
どの点で効果は大きい。
【0048】また、各ビームの給電回路の中(例えば給
電回路の出力ポートのところ)に励振ウェイトの可変す
るためのアクティブデバイス(可変移相器、可変増幅
器、可変減衰器、スイッチなど)を挿入することによ
り、励振ウェイトを変更することができる。このような
構成により、次のような操作が可能になる効果がある。
・ビーム形状を変更できる。例えば、サイドローブレベ
ルを変更したり、サイドローブを抑圧している領域を変
えたり、成形ビームの場合にはビームの形やビーム成形
度を制御できる。・衛星搭載アンテナの場合には特に効
果がある。例えば衛星位置の変更に伴うカバレッジエリ
アの変更が容易になり、周回衛星や複数の軌道位置に利
用する衛星搭載アンテナに利用できる。また、局所的な
降雨による伝搬減衰等に対応するためにビーム利得を部
分的に上げるような操作も可能になり、利用価値は高
い。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、高利得化、低サイドロ
ーブ化に対して良好な特性を実現できまた、ビーム間で
の通信量の変動に対して柔軟に対応でき、増幅器の電源
効率を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるマルチビーム給電
系の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるマトリクス増幅器
の構成図である。
【図3】本発明の第1実施例における給電回路の構成図
である。
【図4】本発明の第1実施例における周波数帯域の分割
の仕方を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例における周波数帯域の他の
分割の仕方を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例における増幅器およびマト
リクス増幅器の構成図である。
【図7】本発明の第2実施例に係るマルチビームの配置
例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例における一次放射器の構成
を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例におけるマルチビーム給電
系の構成図である。
【図10】本発明の第2実施例におけるマトリクス増幅
器の構成図である。
【図11】各アンテナ素子がどのビームの形成に関与
し、どの周波数で動作しているかを示す図である。
【図12】マルチビームの配置例を示す図である。
【図13】反射鏡を用いたマルチビームアンテナの構成
例を示す図である。
【図14】本発明の実施例における一次放射器の構成を
示す図である。
【図15】従来の方法によるマルチビーム給電系の構成
図である。
【図16】従来の方法によるマルチビーム給電系の構成
図である。
【図17】従来の方法によるマルチビーム給電系の構成
図である。
【図18】本発明の他の実施例におけるマルチビーム給
電系の構成図である。
【図19】本発明の他の実施例におけるマルチビーム給
電系の構成図である。
【符号の説明】
1〜43…アンテナ素子,324 …反射鏡,323 …一次放射
器,101 〜108 …クラスタ,116,117,121,122,123,124,
125,126,136,137,154 …給電回路,135,155,165,171,17
6 …合成器(分配器),118,119, 130,151,161,170,18
3,201,202,203,204,209,210,211,212,213,218,219,220,
221 …増幅器,165 …移相器,173 …無反射終端,12
7,128,152,153,173,174,180,181,182 …マトリクス増幅
器,129,160,172,184 …ハイブリッド,211,212,213,21
4,215,216,217,218,220 …給電回路、210 …合成器(分
配器),201,202 …マトリクス増幅器。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射鏡と一次放射器とによって構成され
    るマルチビーム給電装置であって、前記一次放射器が、 ビーム毎に設けられた各クラスタを構成する複数のアン
    テナ素子と、 この複数のアンテナ素子の一部あるいは全てに直接接続
    されたマトリクス増幅器とを具備し、 このマトリクス増幅器に接続されるアンテナ素子の各々
    が異なるクラスタに属することを特徴とするマルチビー
    ム給電装置。
  2. 【請求項2】 前記マトリクス増幅器に接続される複数
    のアンテナ素子の動作する周波数帯域が各々異なってお
    り、各クラスタを構成する複数のアンテナ素子は、単一
    の周波数帯域で動作する第1のアンテナ素子と、前記ク
    ラスタ間で共有する第2のアンテナ素子とを含み、前記
    第1のアンテナ素子は、各ビームに割り当てる周波数帯
    域の数に等しいポート数を有するマトリクス増幅器に接
    続されかつ、前記第2のアンテナ素子は、異なる周波数
    帯域で動作する他の共有アンテナ素子とともに、各ビー
    ムに割り当てる周波数帯域の数を、共用される最大の周
    波数帯域数で割り算して得られる値に等しいポート数を
    有するマトリクス増幅器に接続されていることを特徴と
    する請求項1記載のマルチビーム給電装置。
  3. 【請求項3】 前記マトリクス増幅器の最大出力電力
    は、前記マトリクス増幅器に接続される複数のアンテナ
    素子に与える励振電力によって決定されることを特徴と
    する請求項1記載のマルチビーム給電装置。
  4. 【請求項4】 反射鏡と一次放射器とによって構成され
    るマルチビーム給電装置であって、 前記一次放射器が、 ビーム毎に設けられた各クラスタを構成する複数のアン
    テナ素子のうち各クラスタの中心となる第1のアンテナ
    素子に接続された第1のマトリクス増幅器と、 前記複数のアンテナ素子のうち、前記第1のアンテナ素
    子以外のアンテナ素子に接続され、前記第1のマトリク
    ス増幅器とは別個に設けられた第2のマトリクス増幅器
    と、 を具備したことを特徴とするマルチビーム給電装置。
  5. 【請求項5】 前記第1かつ第2のマトリクス増幅器の
    入力ポートに接続された給電回路をさらに具備し、この
    給電回路はビーム毎に設けられていることを特徴とする
    請求項4記載のマルチビーム給電装置。
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