JPH08146066A - 電気信号測定方法および装置 - Google Patents

電気信号測定方法および装置

Info

Publication number
JPH08146066A
JPH08146066A JP6291884A JP29188494A JPH08146066A JP H08146066 A JPH08146066 A JP H08146066A JP 6291884 A JP6291884 A JP 6291884A JP 29188494 A JP29188494 A JP 29188494A JP H08146066 A JPH08146066 A JP H08146066A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electro
crystal
electric field
optical
optic crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6291884A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2810976B2 (ja
Inventor
Taro Itaya
太郎 板谷
Itaru Nakagawa
格 中川
Yoshinobu Sugiyama
佳延 杉山
Kimihiro Ota
公廣 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP6291884A priority Critical patent/JP2810976B2/ja
Priority to US08/506,385 priority patent/US5737082A/en
Publication of JPH08146066A publication Critical patent/JPH08146066A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2810976B2 publication Critical patent/JP2810976B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R15/00Details of measuring arrangements of the types provided for in groups G01R17/00 - G01R29/00, G01R33/00 - G01R33/26 or G01R35/00
    • G01R15/14Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks
    • G01R15/24Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks using light-modulating devices
    • G01R15/241Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks using light-modulating devices using electro-optical modulators, e.g. electro-absorption
    • G01R15/242Adaptations providing voltage or current isolation, e.g. for high-voltage or high-current networks using light-modulating devices using electro-optical modulators, e.g. electro-absorption based on the Pockels effect, i.e. linear electro-optic effect
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J4/00Measuring polarisation of light

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気回路上の電界ベクトルの複数ベクトル成
分を高時間分解能で高精度に測定可能にする。 【構成】 測定装置はレーザ、光学素子、電気光学結
晶、光電変換素子、電気回路からなる。電気光学結晶4
3には電界による光学的主軸方向の屈折率変化と光学的
主軸方向変化の2つの効果を持つものを選び、被測定電
気回路44が発生する電界中に置かれる。レーザ光は電
気光学結晶に入射され、結晶を通過した反射光は2つの
偏光方向に分解されて、各々光電変換素子52,53に
より光電変換される。電気出力の差分信号が測定信号で
ある。光学素子である半波長板46によりレーザ光の偏
光方向を2つ選ぶことで、結晶の屈折率変化と光学的主
軸方向変化に対応した2信号が得られる。上記2信号の
一次結合から、電界ベクトルの2成分が求まる。 【効果】 測定の再現性・精度を劣化させることなく、
複数方向の電界成分が電気光学結晶を機械的に動かすこ
となく測定可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、電気光学結晶の
光学的性質が電界の存在により変化することを利用して
電気信号を測定する電気信号測定方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明は一般に電気光学サンプリング法
と総称される電気信号測定方法に関する。以下に、従来
実施されている電気光学サンプリング法について説明す
る。
【0003】図1に従来の電気光学サンプリング法の測
定の原理を示す。被測定電気回路1に近接してその上方
に電気光学結晶2が配置され、その結晶に対しほぼ垂直
にレーザ光源3から射出されたレーザ光4が照射されて
いる。レーザ光4は結晶2の底面で反射されて検出装置
5に到着する。検出装置5ではレーザ光が電気信号に変
化されて出力する。この構成においてレーザ光4は結晶
2に厳密に垂直には入射されていないが、その結果生じ
る誤差は充分に小さくすることができる。また、電気光
学結晶2を使用する代わりに、被測定電気回路1が形成
されている基板自体の電気光学効果を利用して、レーザ
光4をその基板の側面もしくは基板裏面から測定部位に
向って入射することも、可能かつ望ましい場合には行わ
れている。
【0004】この原理図において、結晶2への入射光は
時間的に安定した一定の偏光状態になるように制御され
ている。この一定の偏光状態を実現するには、レーザ光
4を後述の図2に示すように、偏光子によって直線偏光
状態に変化させ、その後に適当な位相補償板によって楕
円偏光または円偏光状態とするのが最も確実である。一
方、従来の測定法では、入射光が直線偏光、楕円偏光、
円偏光のいずれであってもかまわないが、簡便のため、
入射光の偏光状態として直線偏光状態が選択されてい
る。また、高速に変化する電気信号の1時点を測定する
のに適切なように、入射光としてはパルス光が使用され
る。そのため、レーザ光源3としてはパルスレーザが使
用される。
【0005】被測定電気回路1に電圧が印加されると、
それに伴って電界が発生し、その電気力線の一部は電気
光学結晶2も貫通するため、電気光学結晶2の中にも電
界が発生する。電気光学結晶はその性質の一つとして、
電界の印加により光の屈折率が変化する。従って、レー
ザ光4を用いて結晶2の屈折率変化を測定すれば、電気
光学結晶1の中の電界、さらには印加された電圧を測定
することができる。
【0006】しかしながら、この従来の測定方法を微小
回路中の一点の電圧測定に用いようとすると、上記電界
は電気光学結晶2の被測定電気回路の近傍部分にのみ発
生するので、レーザ光の光路のうちで電界と相互作用を
する長さは微小な値、典型的には1μmから数十μmに
ならざるをえない。電気光学効果は微小な効果であるの
で、結果として反射光の位相変化も微小であることか
ら、実際の検出方法としては図2に示す構成による方法
が採用されている。
【0007】図2では、検出原理を分り易く示すため
に、レーザ光4は電気光学結晶7を透過するように描か
れているが、これは図1の電気光学結晶2においてレー
ザ光4が底面で反射して往復したのに対し、2倍の厚さ
の結晶を透過したものとして描いたものである。電気光
学結晶7は、光学的主軸の1つがレーザ光4に平行にな
り、他の2つの軸がレーザ光4に垂直になるように配置
されている。以後、レーザ光4の入射方向をX軸とす
る。
【0008】図2の(a)に、レーザ光の位置8におけ
る偏光状態9を示す。すなわち、偏光子6を透過したレ
ーザ光の偏光方向はY軸にもZ軸にも平行ではないよう
に入射されている。一般にはレーザ光は、偏光方向がY
軸とZ軸に共に45°の角度をなすように入射される
が、これに限らずY軸方向とZ軸方向の偏波成分を共に
充分に含むように入射すればよい。以後、レーザ光の偏
光方向は光学的主軸方向に対して45°の角をなすとし
て説明する。
【0009】電気光学結晶7を透過したレーザ光はY軸
方向とZ軸方向の偏波成分の間で位相の進み方に差が生
じる。その位相差は2つの原因による。その一つは、電
気光学結晶自体の持つ複屈折性によるものであり、もう
一つは、電界が印加されたときの屈折率の変化がY軸方
向とZ軸方向の間で異なることによるものである。図2
の(b)にレーザ光4の位置10における、電界が存在
しないときの偏光状態11を模式的に示し、図2の
(c)に位置10における、電界が存在するときの偏光
状態12を模式的に示す。偏光状態11では電気光学結
晶7の複屈折性によって2つの偏波成分の間に位相差が
生じ、そのために楕円偏光となっている。偏光状態12
では偏光状態11を生じさせた位相差に電気光学効果に
よる位相差成分が加算され、偏光状態11とは異なった
楕円偏光となっている。実際には、偏光状態11と偏光
状態12の違いは微小である。
【0010】このレーザ光は検出装置13に到着する。
検出装置13は位相補償板14、複屈折プリズム15、
および2つの光電変換器16,17からなる。位相補償
板14はY軸方向とZ軸方向の偏波成分にさらに位相差
を与えることを目的とした光学素子であり、位相差が調
節できるようになっている。位相補償板14を通過した
レーザ光の偏光状態に関し、図2の(d)には電界が存
在しないときの偏光状態18を、図2の(e)には電界
が存在するときの偏光状態19を示す。すなわち、電界
が存在しないときには円偏光となるように位相補償板1
4は調節される。この条件下では、電気光学結晶7に電
界が存在するときには偏光状態19は完全な円偏光とは
ならない。
【0011】位相補償板14を通過した後に、レーザ光
は複屈折プリズム15に到着する。複屈折プリズム15
は入射光をプリズムが決定する2つの光学的主軸に沿っ
た偏波成分に分解し、各々の偏波成分を異なった経路に
よって射出する機能を持つ。図2の(f)に本装置で用
いるプリズム15の光学的主軸20および21を示す。
すなわち、このプリズム15により入射光は主軸20お
よび21にそれぞれ平行な2つの直線偏光として分解さ
れる。分解されたレーザ光は光電変換器16および17
に到着し、電気信号に変換される。光電変換器16,1
7として例えばフォトダイオードを使用すると、入射光
強度に比例した電流が電気信号として出力される。
【0012】図2の(d)のようにレーザ光が円偏光1
8の時には、2つの光電変換器16,17には等しい強
度の光が到着するので、出力される光電流値は等しくな
る。他方、図2の(e)のように偏光状態が楕円偏光1
9の時には、2つの光電変換器16,17には異なった
強度の光が到着するので、出力される光電流値は異な
る。従って、2つの光電変換器16,17から出力する
光電流の差分値を検出するような電気回路22に光電変
換器16および17の出力を供給することによって、偏
光状態の変化に比例した電気信号23を得ることができ
る。
【0013】実際の測定においては、光電変換強度、す
なわち一定の光が入射したときの出力電流値を、2つの
光電変換器16,17で一致させるのには困難が伴うの
で、位相補償板14を調節することにより、偏光状態1
8の光がプリズム15で分解されて2つの光電変換器1
6,17に到着したときに、共に同じ光電流を生じさせ
るように、偏光状態18を円偏光から微小にずらす操作
を行う。その場合においても、偏光状態19は偏光状態
18と異なるため、偏光状態の電界による変化に比例し
た電気信号23が得られる。
【0014】上記の従来装置は、一般には被測定電気回
路中の2点間の電圧を測定することに用いられている。
具体的には、被測定電気回路の2点間の適切な位置に電
気光学結晶7とレーザ光4を配置し、その2点間に0V
を印加し、電気信号23が0となるように位相補償板1
4を調節した後、その2点間に既知の電圧を印加し、電
気信号23を測定して、測定電圧と電気信号23との比
例関係を明らかにした後に、実際の測定を開始するとい
う方法がとられている。
【0015】その際、上記2点間の電圧によって生じる
電界ベクトルのうちどの成分を検出対象にするかが検討
され、その電界成分に関して電気光学結晶7を通過する
光の位相差が最も大きくなるように、電気光学結晶7の
種類と光学的主軸の配置が決定される。このように決定
された条件では、多くの場合、電界ベクトルの他の成分
による位相差への寄与は0ではないが、2点間の電圧測
定を目的とする限り問題とはならない。
【0016】一方、上記の測定方法を、電界ベクトルの
各成分を測定するために用いることも考えられている。
これは、電気信号が極めて速い時間で変化をするときに
は、電界ベクトルは複雑な挙動を示し、実験による具体
的測定によって初めて明らかとなることから、測定技術
として極めて重要である。
【0017】電界ベクトルの1成分のみを正確に測定す
るためには、電界ベクトルの他の成分に関しては感度を
持たず、レーザ光4に電気光学効果による位相差を与え
ないような電気光学結晶の選択、および光学的主軸の配
置を行えばよい。また、電界ベクトルの複数成分を測定
するためには、各々の成分の測定に適した結晶配置での
測定をそれぞれ行えばよい。例えば、電気回路の表面内
の2方向の電界ベクトル成分の測定を行うためには、1
方向の測定を行った後に電気光学結晶を90°回転させ
て、もう1方向の測定を行えばよい(板谷他、電子情報
通信学会信学技法ED93−70,87(199
3).)。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように1方向の電界成分のみに感度を持つように電気光
学結晶とその光学的主軸を決定すると、電気光学係数の
小さな成分を利用しなければならないという欠点を持
つ。例えば、現在得られている電気光学結晶の中で、最
も大きな電気光学係数を有するのは強誘電性ペロブスカ
イト結晶であるLiNbO3 やLiTaO3 のようなC
3V型結晶(複三方錐体型結晶)であるが、その屈折率は
次式(1)のように表わすことができる。
【0019】
【数1】
【0020】ここで、x,y,zは光学的主軸であり、
この標記では3軸が右手直交系をなし、しかも光学軸を
z軸と定めている。また、n0 ,ne は常光線、異常光
線に対する外部電界のないときの屈折率であり、nx
y ,nz はそれぞれx軸,y軸,z軸方向の偏光した
光線に関する、外部電界のあるときの屈折率であり、E
y ,Ez はそれぞれ外部から印加された電界のy軸,z
軸方向に関する成分であり、r22,r13,r33は電気光
学係数(ポッケルス定数)である。
【0021】下記の表1にC3V型結晶のうちでも最大の
電気光学係数をもつLiNbO3 とLiTaO3 の電気
光学係数を示すが、r33はr22,r13よりもかなる大き
な値を持つ。このことはC3V型結晶において一般的に知
られていることである。
【0022】
【表1】
【0023】従来の電気光学サンプリング法では、最大
の電気光学係数r33を利用するために、入射レーザ光は
電気光学結晶の光学軸zに垂直なx軸またはy軸に沿っ
て入射させている。x軸に沿って入射させるときは、入
射レーザ光はy軸方向の偏波成分とz軸方向の偏波成分
を等しく持つように調整される。そのとき、電気光学効
果による位相変化は、上式(1)に示したように、
【0024】
【外1】
【0025】両者の位相変化の相対差はne −n0 を定
数項に持ち、変化成分はr22y +(r13−r33)Ez
に比例することとなる。従って、測定結果は2方向の電
界成分Ey ,Ez の影響を含む。具体的には、Ey の影
響はr22に比例した感度で含み、Ez の影響はr33に比
例した感度で含む。
【0026】上記と同様の計算によって、y軸に沿って
レーザ光が入射するときにおいても測定結果は2方向の
電界成分Ey ,Ez の影響を含むことが分かる。いずれ
の場合も、1方向の電界成分のみに比例した測定結果を
得ることができない。仮に、上記の測定を電気光学結晶
を90°回転させることによって2回実行すれば、Ey
とEz の寄与度の異なる2つの結果を一点において得る
ことができ、両者の間での加減算によって1方向の電界
成分のみに比例した測定結果を得ることは原理的に可能
であるが、これは測定値の精度を大きく劣化させるた
め、実用上非常に困難である。
【0027】すなわち、上記の2つの測定における結晶
配置での測定感度を等しくするためには、結晶の回転前
後で、電気光学結晶と被測定電気回路との距離を正確に
再現しなければならないが、その距離は1μm程度の微
小な値に設定されるので、距離のわずかな変動によって
も電気光学結晶中に誘起される電界強度が大きく変動
し、その結果として測定感度が大幅に変化することが避
けられない。したがって、互いの感度比が不明な状態で
上記の加減算を行っても信頼できる値は得られない。こ
のことは、従来行われている、測定感度を最大とする測
定法においては、1方向の電界成分のみを測定すること
が不可能であることを示している。
【0028】この問題を解決するために従来採用されて
いる方法は、レーザ光をz軸に沿って入射させ、その入
射光をx軸方向の偏波成分とy軸方向の偏波成分を等し
く持つように調整するという方法である。そのとき、電
気光学効果による位相変化は、上記式(1)に示すよう
に、
【0029】
【外2】
【0030】両者の位相変化の相対差に比例する測定結
果はnx −ny に比例することとなる。従って、その測
定結果は1方向の電界成分Ey のみに比例した出力とな
る。直交する2方向の電界成分をそれぞれ測定するため
には、2つの測定の間で電気光学結晶を90°回転すれ
ばよい。この場合、1方向の電場ベクトル成分は1回の
測定で求まるので、測定感度の校正方法が存在する場合
には測定の精度は良い。しかし、実際には直交する2方
向に関して両方ともに校正方法が存在する場合は少ない
ので、電界ベクトルの各成分の大きさの比を精度良く求
めるのに困難が伴う。さらに、この場合の測定感度は電
気光学係数r22に比例するが、r22はr33に対して一般
に小さな値であるので、x軸およびy軸に沿って入射さ
せる測定方法に比べて、測定感度が大きく劣化するとい
う問題がある。
【0031】C3V型以外のTd 型(六四面体型)のGa
As等やC6V型(複六方錐体型)のZnS等を電気光学
結晶として測定に利用することも従来から行われている
が、これらの物質の電気光学係数は、前述の表1に示し
たように、C3V型結晶の最大電気光学係数r33に対して
1桁以上小さい値であり、測定感度の向上は望めないと
いう欠点がある。
【0032】本発明は、上述の従来の課題を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、電気回
路上の電界ベクトルの複数ベクトル成分を高時間分解能
で高精度に測定可能な電気信号測定方法および装置を提
供することにある。
【0033】さらに詳しくは、本発明の目的は、測定の
再現性・精度を劣化させることなく、複数方向の電界成
分が電気光学結晶を機械的に動かすことなく測定できる
新規な電気光学サンプリング法による電気信号測定方法
および装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の方法は、電気光学結晶の光学的性質が電界
の存在により変化することを利用して、該電気光学結晶
に隣接して配置された電気回路から発生する電界もしく
は該電気回路中の2点の電圧を検知することで電気信号
を測定する電気信号測定方法において、偏光状態が明確
に規定された光パルスを前記電気光学結晶の無電界条件
での光学的主軸のうちの1つに並行になる方向で該電気
光学結晶に入射させ、該電気光学結晶を通過して反射も
しくは透過した光の偏光状態を測定するに際して、前記
電気光学結晶を機械的に動かすことなく半波長板と偏光
子を用いて入射光の偏光状態として2つの異なる状態に
おける測定を行うステップと、該2つの異なる状態にお
ける測定の結果から前記電気光学結晶中の電界ベクトル
の3成分のうちの2成分をそれぞれ求めるステップとか
らなることを特徴とする。
【0035】また、本発明の方法は、他の態様として、
前記電気光学結晶として該結晶中の電界の存在によりそ
の光学的主軸の方向が変化する性質を有する電気光学結
晶を採用し、前記2つの異なる状態における測定のうち
の1つの測定においては入射光の偏光状態として直線偏
光でかつ偏光方向が前記電気光学結晶の無電界状態にお
ける光学的主軸のうちの1つに並行となる状態を採用
し、前記入射光の前記電気光学結晶への入射方向として
屈折率楕円体の回転軸以外の方向を採用して、前記入射
光の偏光状態が前記電気光学結晶中の電界の存在により
変化することを利用して電気信号を測定することを特徴
とすることができる。
【0036】また、本発明の方法は、他の態様として、
前記電気光学結晶として電気光学効果による屈折率の変
化と該電気光学効果による光学主軸の方向変化という2
つの作用を有する電気光学結晶を採用し、前記入射光の
前記電気光学結晶への入射方向を該電気光学結晶の光軸
以外の光学的主軸方向に一致させることを特徴とするこ
とができる。
【0037】また、本発明の方法は、他の態様として、
前記電気光学結晶として光学的主軸方向に対応する電気
光学係数と該光学的主軸方向の変化に対応する電気光学
係数の両方が比較的大きいという性質を有する結晶光学
上のC3V型結晶、典型的にはLiNbO3 、LiTaO
3 を使用することを特徴とすることができる。
【0038】また、上記目的を達成するため、本発明の
装置は、電気光学結晶の光学的性質が電界の存在により
変化することを利用して、該電気光学結晶に隣接して配
置された電気回路から発生する電界もしくは該電気回路
中の2点の電圧を検知することで電気信号を測定する電
気信号測定装置において、偏光状態が明確に規定された
光パルスを前記電気光学結晶の無電界条件での光学的主
軸のうちの1つに並行になる方向で該電気光学結晶に入
射させ、該電気光学結晶を通過して反射もしくは透過し
た光の偏光状態を測定するに際して、前記電気光学結晶
を機械的に動かすことなく入射光の偏光状態として2つ
の異なる状態における測定を行うための入射光の偏光方
向を設定する半波長板と設定された該偏光方向に合わせ
ることの可能な偏光子とからなる偏光調整手段と、前記
電気信号による電気光学効果により位相変調を受けて前
記電気光学結晶から出射する光の位相を調整可能に補償
する位相補償板と該位相補償板で補償された光の位相変
化を強度変化に変換する複屈折プリズムと該複屈折プリ
ズムから出射する光を光電変換する光電変換器とからな
る検出手段と、該検出手段から得られる前記2つの異な
る状態における測定の結果から前記電気光学結晶中の電
界ベクトルの3成分のうちの2成分をそれぞれ求める演
算手段とを具備することを特徴とする。
【0039】また、本発明の装置は、他の態様として、
前記偏光調整手段は前記入射光の偏光方向を前記電気光
学結晶の結晶軸に対して45°傾けて該電気光学結晶に
入射する測定と、前記入射光の偏光方向を前記電気光学
結晶の結晶軸に沿って該電気光学結晶に入射する測定を
実行し、前記演算手段は前記45°入射で得られた波形
から進行方向電界成分に起因する成分を除いて正確な立
上がり時間・パルス幅を得ることの可能な補正処理を行
うことを特徴とすることができる。
【0040】また、本発明の装置は、他の態様として、
前記偏光調整手段は、前記入射光の偏光方向を前記電気
光学結晶の結晶軸に沿って該電気光学結晶に入射する測
定を実行するに際し、このときの前記偏光子の出力が最
大になるように前記半波長板を調整し、出力光が横方向
電界に感度を持たずに進行方向電界に最大の感度を持つ
ように前記位相補償板を調整することを特徴とすること
ができる。
【0041】
【作用】本発明の作用および原理について以下に詳述す
る。
【0042】本発明では、2つの測定のうちの一つに、
電気光学効果による屈折率楕円体の主軸方向の変化の計
測を用いる。この主軸方向の変化は、電気光学結晶と入
射レーザ光の配置により規定されるある電界成分に比例
した出力となって計測される。(一方、従来の電気光学
効果による屈折率変化に対応する出力は、上記の主軸変
化に対応する電界成分とそれに直交する電界成分の重ね
合わせとなる。)これらの測定により得られた2つの測
定結果を後述のように加減算することで、直交する2方
向の電界成分を測定することができる。この2つの測定
手順は、電気光学結晶を一定の位置に固定した状態のま
まで実行可能であるので、測定手順の間での感度比の不
確定性は生じず、得られた2つの測定結果を加減算する
ことにより、直交する2方向の電界成分を精度良く計測
できるという顕著な利点が得られる。以下に、電気光学
効果による屈折率楕円体の変化について、この効果を生
じる結晶の1つであるC3V型結晶に基づいて説明する。
【0043】一般に、屈折率に異方性のある物質に対す
る光の屈折率は、空間中に描いた屈折率楕円体と呼ばれ
るものが記述される。ある方向から光を入射したときの
屈折率は、光の入射方向に垂直で、上記楕円体の中心を
含む平面で楕円体を切断したときの切り口が形成する楕
円で記述される。レーザ光をx軸に沿って入射させる場
合について以下説明を行う。このときの楕円は次式
(2)で表される。レーザ光をy軸に沿って入射させる
ときについても、同様の計算により同様な効果が期待さ
れる。
【0044】
【数2】
【0045】この楕円の主軸方向が光学的主軸であり、
式(2)の第1項および第2項から前述の屈折率変化の
式(1)が導き出されている。しかしながら、式(2)
の第3項により、電界Ey が存在するときには、光学的
主軸が、電界の存在しないときに対して方向を変化させ
る。主軸方向の変化はr51y に比例する。ただし、こ
の主軸方向の変化は1mrad以下の非常に小さな値で
あるので、主軸方向の屈折率変化に対する寄与は無視で
きる。主軸方向の屈折率変化は、屈折率差(ny−n
z )の電界による変化分であるので、式(1)により、
22y +(r13−r33)EZ に比例する。
【0046】前述の表1に示したようにC3V型電気光学
結晶の電気光学係数r51は、r33と同程度に大きいの
で、両測定における電界成分に対する感度は同程度であ
る。従って、光学的主軸の方向変化と屈折率差の変化に
対応する測定結果を加減算すれば、直交する2つの電界
成分Ex ,Ey を求めることができる。
【0047】上述の本発明の測定方法では、電気光学結
晶の配置と、レーザ光の経路を変更しないので、測定精
度は測定感度の校正精度で決定される値にまで向上す
る。さらに、2つの電界の測定値の比の精度は、電気光
学係数の決定精度と同様になり、例えば電気光学結晶と
被測定電気回路との距離の不確定性などの、測定方法に
よって新たに導入される不確定要因というものが存在し
ない。以下に、光学的主軸方向の変化を測定する方法に
ついて述べる。
【0048】屈折率楕円体の主軸方向の変化を得るため
の方法としては、電気光学結晶を通らない参照レーザ光
との干渉による直接測定、入射レーザ光の偏光方向を変
化させることによる主軸方向の測定、電気光学結晶自身
の複屈折を利用して主軸変化の効果を光の位相変化に置
き換える測定が挙げられる。現在の光学技術において
は、干渉実験による主軸方向の測定における測定精度
は、レーザ光の横モードと光学系の調整に大きく依存す
るので、安定かつ簡便な測定方法ではない。また、入射
レーザ光の偏光方向を変化させることによる主軸方向の
測定は、電気光学効果による主軸方向の微小変化を検出
するのに必要な測定感度を持っていない。従って、電気
光学結晶自身の複屈折を利用して主軸方向の変化を光の
位相変化に置き換える方法が、再現性のある精度良い測
定結果を得る最も有効な手段となる。以下に、この方法
の原理ついて説明する。
【0049】この方法では、入射レーザ光を、電気光学
結晶のx軸に沿って入射させ、レーザ光の偏光状態を直
線偏光とし、その偏光方向をy軸またはz軸に並行にす
る。結晶中に電界が存在しないときは、入射レーザ光の
偏光方向は、その結晶中の固有偏光方向である主軸方向
に一致しているので、結晶からの出力も直線偏光とな
る。一方、電気光学結晶中に電界が存在すると、その結
晶の光学的主軸はy軸もしくはz軸から変化する。変化
した後の主軸方向をそれぞれy′軸,z′軸とすると、
入射光はy′軸方向の偏波成分にz′軸方向の偏波成分
が微小に付け加わったものとして振る舞う。この電気光
学結晶に複屈折性が存在すると、y′軸とz′軸方向の
屈折率が異なるので、y′軸とz′軸間に位相差が発生
し、偏光状態は楕円偏光となる。主軸方向の変化は上記
位相差に比例し、従来の測定で用いられたのと全く同じ
検出装置(図2参照)により、電気信号として出力に変
換される。このときの電気信号出力は、電気光学結晶と
レーザ光の配置により規定されるある方向の電界成分に
比例した出力となる。
【0050】上記の本発明による測定を、従来の測定と
同じ結晶範囲で、光路も変更せずに実施するための測定
方法の原理を図3を参照して以下に説明する。
【0051】新たに半波長板24を、従来実施されてき
た電気光学サンプリング法におけるレーザ光源3と偏光
子6の間に挿入する。半波長板24は、素子を回転させ
ることによりレーザ光の偏光方向を変える作用を持つ素
子である。偏光子6の偏光方向を半波長板24を透過し
た光の主な偏光方向に合わせることにより、任意の方向
の直線偏光のレーザ光を小さな挿入損失で実現すること
ができる。なお、半波長板24を用いずに偏光子6を回
転させるだけでもレーザ光の偏光方向を変化させること
は可能であるが、従来例の説明で既述したように、偏光
方向の変化に伴って出力光の強度が変化するために高感
度測定に不利となり、また各偏光方向での光強度の変化
を正確に測定しないと高精度な測定が行えないという問
題があるので、実用できない。
【0052】入射光の偏光方向が、図3の(a)に示す
ように、電気光学結晶7のx軸およびy軸に対して45
°の角をなしているとき、得られる出力は結晶の屈折率
変化に比例したものとなり、従来の測定法と同じにな
る。このときの電気信号出力は、主軸方向の変化に対応
した上記電界成分とそれに垂直な電界成分の重ね合わせ
となる。
【0053】入射光が上記2つの偏光状態、すなわち偏
光方向が光学的主軸に平行でもなく45°でもないとき
の電気信号出力は、主軸方向の変化に対応した上記電界
成分とそれに垂直な電界成分の重ね合わせとなるが、こ
れらの2成分の比が45°入射の時とは異なるようにな
る。
【0054】以上の手段で得られた、屈折率変化に比例
した出力と、光学的主軸方向の変化に比例した出力を加
減算することにより、直交する2方向の電界成分を求め
ることができる。特に、入射光の偏光方向を結晶のx軸
に平行とした1測定を行い、また、x軸およびy軸に対
して45°とした1測定を行い、これらを2測定とすれ
ば、一回の加減算により直交する2方向の電界成分を求
めることができる。同様に、入射光の偏光方向を結晶の
y軸に平行とした1測定を行い(図3の(d)参照)、
また、x軸およびy軸に対して45°とした1測定を行
い、これらを2測定としても、一回の加減算により直交
する2方向の電界成分を求めることができる。
【0055】本発明の測定において使用する電気光学結
晶は、結晶中の電界により屈折率のみの変化だけでな
く、主軸方向の変化をも引き起こすものでなければなら
ない。また、主軸方向の変化が光出力に比例することを
保証するために、結晶自身が複屈折性を有することが必
要である。さらに、入射レーザ光の方向は、屈折率楕円
体の常光線に対する主軸方向であることが必要である。
本測定に用いるC3V型電気光学結晶の2つの電気光学係
数であるr51とr33は、最も大きな2つの電気光学係数
である。これらの2つの大きな電気光学係数が存在する
ことにより、屈折率の変化と主軸方向の変化に比例した
2つの出力を感度良く測定することができる。このよう
な条件を満たす電気光学結晶としては、LiNbO3
LiTaO3 が挙げられる。
【0056】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0057】図4に本発明の一実施例の構成を示す。使
用するレーザは、アルゴンイオンレーザ31で励起の衝
突モード同期(CPM:Colliding Puls
eMode−Locked)色素レーザ32である。C
PM色素レーザ32の出力光はパルス光であり、繰り返
し周波数は約100MHz、平均出力は約20mW、パ
ルス幅は80fs(フェムト秒)、中心波長は620n
mである。電気光学サンプリング部において、色素レー
ザ32の出力をビームスプリッタ34により9:1に分
岐し、前者の出力を被測定部の光伝導スイッチの励起レ
ーザ光35に、後者の出力を電気光学サンプリングにお
ける測定用レーザ光36として用いる。上記光伝導スイ
ッチは、被測定電気回路44に、測定用レーザ光36と
同期した電気パルスを発生させるためのものである。3
8〜41は励起レーザ光35を可変遅延するための可動
ミラー系であり、45は信号発生器である。
【0058】測定用レーザ光36は、半波長板46によ
り偏光方向を設定し、偏光子47を前述の偏光方向に合
わせた後、被測定電気回路44に近接して置かれた電気
光学結晶43に入射される。電気光学結晶43中で位相
変調されることにより偏光状態の変化した測定用レーザ
光は、ソレイユ・バビネ位相補償板50により位相補償
された後、複屈折プリズム51を通して、強度変調に置
き換えられて受光器52,53に受光される。フォトダ
イオードからなる光電変換器受光器52,53からの出
力は差動増幅器54により増幅されることにより電気信
号出力55として得られる。
【0059】上記被測定回路44の一例を図5に示す。
この被測定回路44は、半絶縁性GaAs基板上に金属
電極を対向させることにより製作される光伝導スイッ
チ、および2本の並行金属電極線からなるコプラナトラ
ンスミッションラインを一体化して作製したものであ
る。金属電極は厚さ200nmの金を真空蒸着すること
により作製される。光伝導スイッチにおける金属電極の
ギャップ長は2μmであり、ストリップラインの金属線
幅と金属線間隔は共に20μmである。電気光学結晶4
3はこの被測定回路部44の上に密着して置かれる。
【0060】電気光学結晶43としてはLiTaO3
用い、その配置は、結晶のx軸が被測定回路44の表面
に垂直になるように設定している。結晶の裏面には、誘
電体多層膜による反射コーティングが施されている。ま
た、結晶の大きさは、縦300μm、横250μm、厚
さ50μmである。
【0061】2つの測定の1つとして、測定用レーザ光
(プローブビームとも称する)36の偏光方向を結晶4
3の主軸方向に対して45°になるように入射する。こ
のとき、上記ストリップライン上を伝搬する電気信号に
対し、進行方向電界と横方向電界が共に電気光学効果を
及ぼすが、結晶44の配置として、横方向電界に対して
感度が最大になるように設定されている。この測定結果
としては、進行方向電界成分の効果に横方向電界成分の
効果が重畳したものが出力として得られる。このときの
測定結果を後述の図6に示す。
【0062】また、2つの測定の他の1つとして、測定
レーザ光36の偏光方向を結晶43の軸方向に合わせた
場合、進行方向電界成分のみに比例して、電気光学結晶
の主軸方向が変化し、主軸方向の変化に比例した出力が
得られる。このときの測定結果を後述の図7に示す。こ
れらの2つの測定結果から進行方向と横方向の電界成分
が求められる。
【0063】図6は、サンプリングビーム(測定用レー
ザ光)の偏光方向を結晶軸に対して45°傾けて電気光
学結晶(EOプローブとも称する)43に入射したとき
の測定結果を示すものである。測定点は光伝導スイッチ
150(μm)の位置であり、信号線上S・伝送線路中
央L・グランド線上Gの3点で測定を行ったものであ
る。信号線上Sでの測定においては、アンダーシュート
が顕著に現れる。また、ライン間Lおよびグランド線上
Gにおいてもアンダーシュートが現れる。これらのアン
ダーシュートの原因は、進行方向電界成分が小さな電気
光学係数r22を介してリターデーションの変化をもたら
すことによる。進行電界成分が横方向電界成分に重畳し
ているときの立ち上がり時間は、進行方向電界成分の寄
与を除いた上で立ち上がり時間・パルス幅を評価しなけ
ればならない。
【0064】図7は、サンプリングビームの偏光方向を
結晶軸に沿って電気光学結晶43に入射したときの測定
結果を示す。このとき感度が最大になるように、図4に
示す入射偏光子47の前方の半波長板44を回転するこ
とにより偏光子47の出力を最大になるようにする。ま
た、ソレイユ・バビネ位相補償板50を調整して、横方
向電界に感度を持たずに進行方向電界に最大に感度をも
つように設定する。測定位置は、図6の45°入射の時
と同じである。この結果得られる出力波形はインパルス
的であり、それに続いて小さなピークがある。図6との
時間軸上の対応関係をみると、進行方向電界はパルスの
急峻な立ち上がり部に顕著に現れることが確認された。
【0065】図7において、パルス幅は、信号線上S・
ライン間L・グランド線上Gの各点において、300
(fs)・400(fs)・400(fs)であり、信
号線上Sでは他の測定点より幅の短いものとなってい
る。また、ピーク電界強度のばらつきは10%以下であ
った。パルスのピーク時刻に関しては、ライン間Lで測
定したものが他の測定点でのピーク時刻より前になって
いることが明らかになった。
【0066】正確な立ち上がり時間を求めるためには、
45°入射で得られた波形から進行方向電界成分に起因
する成分を除く必要性がある。ライン間Lの測定結果と
補正後の結果を図8に示す。補正前の測定結果は図6か
らのものであり、補正用の進行方向電界成分は図7から
得られたものである。図8から分るように、進行方向電
界成分の補正により、パルスの立ち上がり部のリンギン
グがなくなった。補正前の10〜90%立ち上がり時間
は350(fs)であり、補正後の立ち上がり時間は3
00(fs)であった。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
入射レーザ光の偏光状態を変える半波長板と偏光子を使
用することで、測定の再現性・精度を劣化させることな
く、複数方向の電界成分が電気光学結晶を機械的に動か
すことなく測定可能にしているので、従来不可能であっ
た電気回路上の電界ベクトルの複数方向の電界成分に対
応した測定結果を得ることができるようになり、その複
数方向の電界成分ベクトルで規定される平面内の任意の
方向の電界成分を高時間分解能で高精度に求めることが
できるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気光学サンプリング法における測定の原理を
示す模式図である。
【図2】従来の電気光学サンプリング法の基本的な構成
と、レーザ光の偏光状態を示す説明図である。
【図3】本発明の基本的な構成とレーザ光の偏光状態を
示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例の複数の電界成分の測定を可
能とする電気光学サンプリング装置の構成を示す光路図
である。
【図5】図4の本発明の一実施例における被測定部を詳
細に示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例において、測定用レーザ光の
偏光方向を結晶軸に対して45°の角をなすように入射
したときの光伝導スイッチの測定結果を示すグラフであ
る。
【図7】本発明の一実施例において、測定用レーザ光の
偏光方向を結晶のz軸に沿って入射したときの光伝導ス
イッチの測定結果を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施例において、ライン間の横方向
電界成分を進行方向電界を補正することにより得られた
波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1 被測定電気回路 2,7 電気光学結晶 3 レーザ光源 4 レーザ光 5,13 検出装置 6 偏光子 14 位相補償板 15 複屈折プリズム 16,17 光電変換器 22 電気回路 23 電気信号 24 半波長板 31 アルゴンイオンレーザ 32 CPM色素レーザ 34 ビームスプリッタ 35 励起レーザ光(ポンプビーム) 36 測定用レーザ光(プロームビーム、サンプリング
ビーム) 38〜41 可変遅延用の可動ミラー系 43 電気光学結晶(EOプローブ) 44 被測定電気回路 45 信号発生器 46 半波長板 47 偏光子 50 ソレイユ・バビネ位相補償板 51 複屈折プリズム 52,53 光電変換器受光器 54 差動増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01R 31/302 (72)発明者 太田 公廣 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気光学結晶の光学的性質が電界の存在
    により変化することを利用して、該電気光学結晶に隣接
    して配置された電気回路から発生する電界もしくは該電
    気回路中の2点の電圧を検知することで電気信号を測定
    する電気信号測定方法において、 偏光状態が明確に規定された光パルスを前記電気光学結
    晶の無電界条件での光学的主軸のうちの1つに並行にな
    る方向で該電気光学結晶に入射させ、該電気光学結晶を
    通過して反射もしくは透過した光の偏光状態を測定する
    に際して、前記電気光学結晶を機械的に動かすことなく
    半波長板と偏光子を用いて入射光の偏光状態として2つ
    の異なる状態における測定を行うステップと、 該2つの異なる状態における測定の結果から前記電気光
    学結晶中の電界ベクトルの3成分のうちの2成分をそれ
    ぞれ求めるステップとからなることを特徴とする電気信
    号測定方法。
  2. 【請求項2】 前記電気光学結晶として該結晶中の電界
    の存在によりその光学的主軸の方向が変化する性質を有
    する電気光学結晶を採用し、 前記2つの異なる状態における測定のうちの1つの測定
    においては入射光の偏光状態として直線偏光でかつ偏光
    方向が前記電気光学結晶の無電界状態における光学的主
    軸のうちの1つに並行となる状態を採用し、 前記入射光の前記電気光学結晶への入射方向として屈折
    率楕円体の回転軸以外の方向を採用して、 前記入射光の偏光状態が前記電気光学結晶中の電界の存
    在により変化することを利用して電気信号を測定するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電気信号測定方法。
  3. 【請求項3】 前記電気光学結晶として電気光学効果に
    よる屈折率の変化と該電気光学効果による光学主軸の方
    向変化という2つの作用を有する電気光学結晶を採用
    し、 前記入射光の前記電気光学結晶への入射方向を該電気光
    学結晶の光軸以外の光学的主軸方向に一致させることを
    特徴とする請求項2に記載の電気信号測定方法。
  4. 【請求項4】 前記電気光学結晶として光学的主軸方向
    に対応する電気光学係数と該光学的主軸方向の変化に対
    応する電気光学係数の両方が比較的大きいという性質を
    有する結晶光学上のC3V型結晶、典型的にはLiNbO
    3 、LiTaO3 を使用することを特徴とする請求項3
    に記載の電気信号測定方法。
  5. 【請求項5】 電気光学結晶の光学的性質が電界の存在
    により変化することを利用して、該電気光学結晶に隣接
    して配置された電気回路から発生する電界もしくは該電
    気回路中の2点の電圧を検知することで電気信号を測定
    する電気信号測定装置において、 偏光状態が明確に規定された光パルスを前記電気光学結
    晶の無電界条件での光学的主軸のうちの1つに並行にな
    る方向で該電気光学結晶に入射させ、該電気光学結晶を
    通過して反射もしくは透過した光の偏光状態を測定する
    に際して、前記電気光学結晶を機械的に動かすことなく
    入射光の偏光状態として2つの異なる状態における測定
    を行うための入射光の偏光方向を設定する半波長板と設
    定された該偏光方向に合わせることの可能な偏光子とか
    らなる偏光調整手段と、 前記電気信号による電気光学効果により位相変調を受け
    て前記電気光学結晶から出射する光の位相を調整可能に
    補償する位相補償板と該位相補償板で補償された光の位
    相変化を強度変化に変換する複屈折プリズムと該複屈折
    プリズムから出射する光を光電変換する光電変換器とか
    らなる検出手段と、 該検出手段から得られる前記2つの異なる状態における
    測定の結果から前記電気光学結晶中の電界ベクトルの3
    成分のうちの2成分をそれぞれ求める演算手段とを具備
    することを特徴とする電気信号測定装置。
  6. 【請求項6】 前記偏光調整手段は前記入射光の偏光方
    向を前記電気光学結晶の結晶軸に対して45°傾けて該
    電気光学結晶に入射する測定と、前記入射光の偏光方向
    を前記電気光学結晶の結晶軸に沿って該電気光学結晶に
    入射する測定を実行し、 前記演算手段は前記45°入射で得られた波形から進行
    方向電界成分に起因する成分を除いて正確な立上がり時
    間・パルス幅を得ることの可能な補正処理を行うことを
    特徴とする請求項5に記載の電気信号測定装置。
  7. 【請求項7】 前記偏光調整手段は、前記入射光の偏光
    方向を前記電気光学結晶の結晶軸に沿って該電気光学結
    晶に入射する測定を実行するに際し、このときの前記偏
    光子の出力が最大になるように前記半波長板を調整し、
    出力光が横方向電界に感度を持たずに進行方向電界に最
    大の感度を持つように前記位相補償板を調整することを
    特徴とする請求項6に記載の電気信号測定装置。
JP6291884A 1994-11-28 1994-11-28 電気信号測定方法および装置 Expired - Lifetime JP2810976B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6291884A JP2810976B2 (ja) 1994-11-28 1994-11-28 電気信号測定方法および装置
US08/506,385 US5737082A (en) 1994-11-28 1995-07-24 Method of electro-optical measurement for vector components of electric fields and an apparatus thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6291884A JP2810976B2 (ja) 1994-11-28 1994-11-28 電気信号測定方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08146066A true JPH08146066A (ja) 1996-06-07
JP2810976B2 JP2810976B2 (ja) 1998-10-15

Family

ID=17774698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6291884A Expired - Lifetime JP2810976B2 (ja) 1994-11-28 1994-11-28 電気信号測定方法および装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5737082A (ja)
JP (1) JP2810976B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115113132A (zh) * 2022-06-14 2022-09-27 浙江晨泰科技股份有限公司 一种智能电表的电压实时监测方法及装置

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5952818A (en) * 1996-05-31 1999-09-14 Rensselaer Polytechnic Institute Electro-optical sensing apparatus and method for characterizing free-space electromagnetic radiation
FR2902523B1 (fr) * 2006-06-16 2008-09-05 Inst Nat Polytech Grenoble Sonde electro-optique de mesure vectorielle d'un champ electromagnetique
US7920263B2 (en) 2007-09-06 2011-04-05 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Apparatus and system for electro magnetic field measurements and automatic analyses of phase modulated optical signals from electrooptic devices
WO2011003041A1 (en) * 2009-07-01 2011-01-06 The Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Navy Quasi - longitudinal mode electro-optic) high power microwave sensor
CN102175931A (zh) * 2011-01-17 2011-09-07 西安交通大学 一种基于Pockels效应的二维表面电荷测量系统及其测量方法
WO2015170780A1 (ja) * 2014-05-07 2015-11-12 国立大学法人電気通信大学 レーザー装置
CN108693413B (zh) * 2018-04-25 2023-09-19 华北电力大学 旋转式光学电场传感器及其测定电场方法

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3556662A (en) * 1968-05-03 1971-01-19 Us Navy Device for determining birefringence
US3614451A (en) * 1968-08-19 1971-10-19 Ibm Sampling system utilizing electrooptic techniques
US3623814A (en) * 1969-04-01 1971-11-30 Gen Telephone & Elect Light beam deflection sensor
US3771874A (en) * 1972-07-14 1973-11-13 Us Air Force Pyrometer using a passive line shape spectral filter
US3902805A (en) * 1973-09-17 1975-09-02 Vishay Intertechnology Inc Automatic birefringence measuring apparatus
US4053763A (en) * 1976-05-25 1977-10-11 The United States Of America As Represented By The United States Energy Research And Development Administration Method and apparatus for pulse stacking
US4353650A (en) * 1980-06-16 1982-10-12 The United States Of America As Represented By The United States Department Of Energy Laser heterodyne surface profiler
US4446425A (en) * 1982-02-12 1984-05-01 The University Of Rochester Measurement of electrical signals with picosecond resolution
US4603293A (en) * 1984-03-27 1986-07-29 University Of Rochester Measurement of electrical signals with subpicosecond resolution
US4681449A (en) * 1984-09-07 1987-07-21 Stanford University High speed testing of electronic circuits by electro-optic sampling
DE3642309A1 (de) * 1986-02-25 1987-08-27 Smw Spanneinrichtungen Einrichtung zur betaetigung der spannbacken eines kraftspannfutters
US4875006A (en) * 1988-09-01 1989-10-17 Photon Dynamics, Inc. Ultra-high-speed digital test system using electro-optic signal sampling
US4904931A (en) * 1988-09-28 1990-02-27 Westinghouse Electric Corp. Electro-optical voltage measuring system incorporating a method and apparatus to derive the measured voltage waveform from two phase shifted electrical signals
US4983911A (en) * 1990-02-15 1991-01-08 Photon Dynamics, Inc. Voltage imaging system using electro-optics
US5124635A (en) * 1990-02-15 1992-06-23 Photon Dynamics, Inc. Voltage imaging system using electro-optics
US5097201A (en) * 1990-02-15 1992-03-17 Photon Dynamics, Inc. Voltage imaging system using electro-optics
US5170127A (en) * 1991-02-19 1992-12-08 Photon Dynamics, Inc. Capacitance imaging system using electro-optics
JP3089889B2 (ja) * 1993-04-06 2000-09-18 富士ゼロックス株式会社 通信端末装置
CA2130873C (en) * 1993-08-27 1997-02-04 Dai Yui Method for assembling optical isolator and method for measuring isolation

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115113132A (zh) * 2022-06-14 2022-09-27 浙江晨泰科技股份有限公司 一种智能电表的电压实时监测方法及装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2810976B2 (ja) 1998-10-15
US5737082A (en) 1998-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4046243B2 (ja) 精密電流検知のための光ファイバ装置及び方法
US6952107B2 (en) Optical electric field or voltage sensing system
JP2571385B2 (ja) 電圧検出装置
US7786719B2 (en) Optical sensor, optical current sensor and optical voltage sensor
CN107655599B (zh) 一种光学元件微小应力的测量方法
JPH0573178B2 (ja)
CA1240174A (en) Method of and device for real time measurement of the state of polarization of a quasi-monochromatic light beam
US5517022A (en) Apparatus for measuring an ambient isotropic parameter applied to a highly birefringent sensing fiber using interference pattern detection
JPH05264609A (ja) 高周波電気信号のエレクトロオプティカル効果による測定方法およびシステム
JP2810976B2 (ja) 電気信号測定方法および装置
US4982151A (en) Voltage measuring apparatus
JP2986503B2 (ja) 光方式直流電圧変成器
JP3533651B1 (ja) 時間分解・非線形複素感受率測定装置
JP3489701B2 (ja) 電気信号測定装置
US11885841B2 (en) Electric field sensor
JPH0755891A (ja) 集積回路の試験方法および試験装置
EP0506358B1 (en) Sampling-type optical voltage detector
Jerrard Sources of error in ellipsometry
JPH01320473A (ja) 電気光学効果素子及びそれを用いた電気信号波形測定装置
Ito et al. Evaluation of the optical phase shift in a Ca Ramsey fringe stabilized optical frequency standard by means of laser-beam reversal
RU2433414C1 (ru) Волоконно-оптический датчик тока
JPS5899761A (ja) 光による電界,磁界測定器
JP3872456B2 (ja) 電界センサ
Weber et al. Ultra-high-bandwidth polarization interferometry and optimal quadratic phase detection
GB1570802A (en) Measuring apparatus employing an electro-optic transducer

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term