JPH08144393A - 耐火梁 - Google Patents

耐火梁

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JPH08144393A
JPH08144393A JP6291199A JP29119994A JPH08144393A JP H08144393 A JPH08144393 A JP H08144393A JP 6291199 A JP6291199 A JP 6291199A JP 29119994 A JP29119994 A JP 29119994A JP H08144393 A JPH08144393 A JP H08144393A
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勝利 吉田
Shigeki Ito
茂樹 伊藤
Kazuchika Konno
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 部分的な耐火被覆が可能にしてを抜本的な作
業効率の改善のみならず、コストダウンも図れる耐火梁
を得ること。 【構成】 両端が単純支持状態に支持され、一方のフラ
ンジ1bのフランジ面に構造物の平面部が取り付けられ
てなるH形断面の鉄骨梁であるH形鋼1について、H形
鋼1の中央部は該構造物3の両フランジ1b、1cのエ
ッジ面を残して全て耐火被覆材2で耐火被覆され、前記
H形鋼1の中央部以外の部分は該構造物3の平面部が取
り付くフランジ1bのエッジ面と少なくとも該構造物3
の平面部が取り付かないフランジジ1c部分を残して全
て耐火被覆材2で耐火被覆されて形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はH形鋼等のH形断面の鉄
骨を用いた耐火梁に係り、特にH形断面の鉄骨梁の耐火
被覆面積を削減し、作業効率の向上を図り、コストダウ
ンを可能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、H形断面の鉄骨梁の耐火被覆は、
応力状態等によらず全周及び全長にわたって一様に施工
していた。例えばロックウールを耐火被覆材とした場
合、ロックウールは吹付によって被覆されるが、全周に
耐火被覆することになると、吹付作業の困難な部位とし
て例えばフランジエッジ部がある。この吹付作業を容易
にするために、ロックウールを予め成形板に加工してお
き、この成形板を梁に貼り付けて被覆する工法が特開昭
63−223246号公報に開示されている。この被覆
工法は、図20に示すように複数の切り欠き3aを有す
るロックウール成形板3で図19に示すように構造物1
に取り付けられたH形鋼の梁2の下フランジ2aを包み
込み、ついで梁2のウェブ部2bを別のロックウール耐
火材4で覆う方法である。また、施工現場での吹付作業
そのものを省略する方法として、工場内で予め梁に耐火
被覆を施した後施工現場に搬入するプレコート工法もあ
る。プレコート工法に用いられる被覆材料としては、モ
ルタル、セラミックブランケット、耐火塗料などが用い
られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の特
開昭63−223246号公報に記載の被覆工法は、作
業能率の向上を目指したものであるが、従来通りの現場
作業は残り、作業能率の向上の改善の余地がある。通
常、構造部材は地震や風等の大きな短期的荷重によって
決まっているが、火災時に構造に作用する荷重は構造自
重と積載荷重のみであり、しかもこれら荷重は梁全体に
均等に負荷されるわけではなく、梁の中の場所によって
は構造耐力に十分な余裕があるにもかかわらず、従来は
これを一律一様に耐火被覆してきた。しかし、構造体の
中でも応力状態は一様ではないことを考え合わせれば、
一律一様な耐火被覆には無駄があるという問題点があっ
た。
【0004】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、構造体の中でも応力状態は一
様ではないことに鑑み、全面を耐火被覆することはせ
ず、部分的な耐火被覆にとどめることにより、抜本的な
作業効率の改善のみならず、コストダウンも図れる耐火
梁を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐火梁は、
両端が単純支持状態に支持され、一方のフランジのフラ
ンジ面に構造物の平面部が取り付けられてなるH形断面
の鉄骨梁の中央部は該構造物の両フランジのエッジ面を
残して全て耐火被覆材で耐火被覆され、前記鉄骨梁の中
央部以外の部分は該構造物の平面部が取り付くフランジ
のエッジ面と少なくとも該構造物の平面部が取り付かな
いフランジ部分又は取り付くフランジ部分を残して全て
耐火被覆材で耐火被覆されて形成されている。ここで単
純支持状態とは梁に垂直荷重が加わった場合、支点にお
いて垂直方向のせん断力は支持するが曲げモーメントは
支持しない支持状態をいう。
【0006】また、本発明に係るもう一つの耐火梁は、
両端が固定支持状態に支持され、一方のフランジのフラ
ンジ面に構造物の平面部が取り付けられてなるH形断面
の鉄骨梁の中央部と両端部は該構造物の両フランジのエ
ッジ面を残して全て耐火被覆材で耐火被覆され、前記鉄
骨梁の中央部と両端部以外の部分は該構造物の平面部が
取り付くフランジのエッジ面と少なくとも該構造物の平
面部が取り付かないフランジジ部分又は取り付くフラン
ジ部分を残して全て耐火被覆材で耐火被覆されて形成さ
れている。ここで固定支持とは梁に垂直荷重が加わった
場合、支点において垂直方向のせん断力と曲げモーメン
トの両方を支持する支持状態をいう。
【0007】
【作用】図1は耐火被覆材が施された耐火梁で、(イ)
〜(ニ)の各種の耐火被覆状態を示す断面図、図2は図
1の(イ)〜(ニ)の耐火被覆状態の時の有効断面をそ
れぞれ示す説明図、図3は両端が単純支持状態の梁のス
パン中央に集中荷重が作用した場合の作用状態と各部に
おける曲げモーメントとせん断力を示す説明図、図4は
本発明の両端が単純支持される耐火梁の耐火被覆材が施
された各部の状態を示す断面図、図5は両端が固定支持
状態の梁のスパン中央に集中荷重が作用した場合の作用
状態と各部における曲げモーメントとせん断力を示す説
明図、図6は本発明の両端が固定支持される耐火梁の耐
火被覆材が施された各部の状態を示す断面図、図7は本
発明の両端が単純支持される耐火梁の運搬状態を示す斜
視図、図8は図7のA−A線断面図、図9は本発明の両
端が単純支持される耐火梁のトラック積載状態を示す断
面図である。
【0008】図において、1はH形断面の鉄骨梁である
H形鋼、2はH形鋼1に施されたロックウールの耐火被
覆材で、2aはH形鋼1のウエブ1aに施された耐火被
覆材、2bは構造物3の平面部が取り付けられるH形鋼
1の上フランジ1bの裏面に施された耐火被覆材、2c
は構造物3の平面部が取り付けられないH形鋼1の下フ
ランジ1cの表面に施された耐火被覆材、2dは構造物
3の平面部が取り付けられないH形鋼1の下フランジ1
cの裏面に施された耐火被覆材である。
【0009】本発明においては、両端が単純支持され、
一方のフランジ1bのフランジ面に構造物3の平面部が
取り付けられてなるH形断面の鉄骨梁であるH形鋼1に
ついて、H形鋼1の中央部は該構造物3の両フランジ1
b、1cのエッジ面を残して全て耐火被覆材2で耐火被
覆され、前記H形鋼1の中央部以外の部分は該構造物3
の平面部が取り付くフランジ1bのエッジ面と少なくと
も該構造物3の平面部が取り付かないフランジジ1c部
分又は取り付くフランジジ1b部分を残して全て耐火被
覆材2で耐火被覆されて形成されている。従って、耐火
梁となるH形鋼1は部分的な耐火被覆となって吹付け作
業が困難な箇所は削減され、耐火被覆面積の減少による
コストダウンが図れる。さらに、構造物3の平面部が取
り付けられるH形鋼1のフランジ1bのフランジ面と両
フランジ1b、1cのエッジ面は耐火被覆されていない
ため、図7及び図8に示すようにH形鋼1に耐火被覆材
2が施されてなる耐火梁を吊り下げたワイヤ5によるク
レーン玉掛けや、図9に示すようにトラックの荷台6に
緩衝材7を用いて積載する時のハンドリングが容易にな
ることにより、工場のみの耐火被覆が可能になり、支保
工を用いた耐火被覆材2の現場での吹付作業を無くすこ
とができ、作業効率は抜本的に改善される。
【0010】また、両端が固定支持され、一方のフラン
ジ1bのフランジ面に構造物3の平面部が取り付けられ
てなるH形断面の鉄骨梁であるH形鋼1について、H形
鋼1の中央部と両端部は該構造物3の両フランジ1b、
1cジ1bのエッジ面を残して全て耐火被覆材2で耐火
被覆され、前記H形鋼1の中央部と両端部以外の部分は
該構造物3の平面部が取り付くフランジ1bのエッジ面
と少なくとも該構造物3の平面部が取り付かないフラン
ジジ1c部分又は取り付くフランジジ1b部分を残して
全て耐火被覆材2で耐火被覆されて形成されている。従
って、一端が支持される耐火梁と同様に、耐火梁となる
H形鋼1は部分的な耐火被覆となって吹付け作業が困難
な箇所は削減され、耐火被覆面積の減少によるコストダ
ウンが図れ、さらに、耐火梁のクレーン玉掛けやトラッ
ク積載時のハンドリングが容易になることにより、工場
のみの耐火被覆が可能になり、支保工を用いた耐火被覆
材の現場での吹付作業を無くすことができ、作業効率は
抜本的に改善される。
【0011】このように、両端が単純支持又は固定支持
され、一方のフランジ面に構造物の平面部が取り付けら
れてなるH形断面の鉄骨梁であるH形鋼に部分的な耐火
被覆が可能となったのは次の理由によるものである。耐
火被覆を施す理由は、火災時に高温になり強度の低下し
た鉄骨が、荷重を支えられなくなるのを防ぐことにあ
る。しかし、火災時の鉄骨の各部における残存耐力はそ
れぞれ火災時に各部にかかる応力の違いによって異なる
ため、火災時の鉄骨の各部の応力に応じて各部の耐火被
覆状態を変えることが望ましい。例えば、大きな応力が
負荷される部分には耐火被覆を施すが、比較的小さな応
力しか負荷されていない部分には耐火被覆を省略するこ
とができる。耐火被覆を省略することができる目安とし
ては残存耐力を保持することであり、荷重から生じる各
種応力度が許容応力度を越えないことである。つまり、
許容応力度比(負荷応力度/許容応力度)が1.0以下
であれば、その部位の耐火被覆を省略することができる
と考えられるからである。
【0012】従って、どの部位について耐火被覆を省略
することができるかは、まず梁に荷重が作用する場合に
おける各部位における常時の許容応力度比をチェックす
ることが必要である。その許容応力度比には次の3つが
あるから、これらをそれぞれチェックすることが必要で
ある。それは、せん剪断応力度と、曲げ応力度と、
組合わせ応力度である。なお、曲げ応力度について
は、梁断面が中立軸に対し非対称の場合は、圧縮側と引
張側で断面係数が異なり、その結果曲げ応力度も異なる
こと、梁断面が中立軸に対し対称の場合でも圧縮側の横
座屈を考慮しなければならないことから、圧縮側と引張
側では許容応力度が異なること、以上の理由から圧縮側
と引張側についてのチェックも必要である。
【0013】つぎに、図1のH形鋼について(イ)〜
(ニ)に示すような態様でそれぞれ耐火被覆した場合の
火災時の各許容応力度比をチェックし、梁の各部におけ
る許容応力度比が1.0以下となるように耐火被覆態様
を適宜選択すれば、部分的な耐火被覆を省略することが
可能となる。即ち、その具体的な選択は、例えば、図1
の(ロ)に示すような態様おいては、H形鋼1のウエブ
1aにのみ耐火被覆材2aで耐火被覆されている。この
場合、火災においては、上下フランジ1b、1cは耐火
被覆されていないため、高温になり、所定の強度を維持
し得ず、所定の強度を維持できるのは図2の(ロ)にハ
ッチングで示した有効断面部分Dのみとなる。
【0014】なお、横座屈を考慮して、圧縮側の曲げ応
力度はフランジに生じさせることとする。よって、フラ
ンジがない図2の(ロ)は曲げ応力度はゼロとなり、曲
げ荷重に耐えられないことになる。つまり、曲げ応力度
が生じる部位には図1の(ロ)に示すような態様の耐火
被覆を用いることはできない。また、図1の(ハ)と
(ニ)に示すような態様おいては、フランジに圧縮側の
曲げ応力度が生じる部位にそれぞれ耐火被覆が施されて
おり、(ハ)は正曲げ、(ニ)は負曲げの時に用いられ
ることになる。図2の(イ)、(ハ)、(ニ)のDは図
1の(イ)、(ハ)、(ニ)に対応した有効断面をそれ
ぞれ示す。
【0015】最初に、支持条件が一端ピン、他端ローラ
で、スパンがLの単純梁において、スパン中央に集中荷
重Pが作用する場合を例に説明する。図3の(a) におい
て、スパン中央に集中荷重Pが作用する場合を示し、
(b) はこのときの曲げモーメントの状態を示し、(c) は
このときのせん断力の状態を示している。スパン中央に
集中荷重Pが作用した場合の曲げモーメントは、中央で
最大であり、端部に近づくにつれて小さくなる。また、
せん断力は中央でゼロであり、そこから端部までは最大
値の半分のP/2である。このように外力分布は一様で
はない。そのため、火災時には中央部は耐荷重が最大で
あるため耐火被覆は図1の(イ)の如く行うが、端部で
は耐荷重が小さくてもよく、かつ全長にわたって正曲げ
であるため、下フランジの耐火被覆は省略でき、図1の
(ハ)のように被覆すればよい。よって、スパン方向の
耐火被覆時の梁断面は許容応力度比とのチェックを行う
ことにより、図4のように梁の中央部は図1の(イ)の
ように耐火被覆し、梁の両端部は図1の(ハ)のように
耐火被覆して部分被覆することが可能となる。一方、負
曲げの場合には応力分布は図3の状態とは逆になるた
め、梁の中央部は図1の(イ)のような耐火被覆、梁の
両端部は図1の(ニ)のような耐火被覆となる。
【0016】次に、支持条件が、両端固定、スパンがL
の梁において、スパン中央に集中荷重Pが作用する場合
を例に説明する。図5の(a) において、スパン中央に集
中荷重Pが作用する場合を示し、(b) はこのときの曲げ
モーメントの状態を示し、(c) はこのときのせん断力の
状態を示している。スパン中央に集中荷重Pが作用した
場合の曲げモーメントは、4等分点に近づくにつれて小
さくなる。また、せん断力は中央でゼロであり、そこか
ら端部まで最大値の半分のP/2である。
【0017】火災時の耐火被覆は次のように行う。ま
ず、中央部と両端部は耐荷重が最大であるため耐火被覆
は図1の(イ)の如く行う。ついで、梁中央付近は正曲
げではあるが、曲げモーメントが次第に減少している部
分はフランジの被覆を略すことができ、正曲げであるこ
とを考慮して図1の(ハ)のように耐火被覆する。ま
た、梁の端付近は負曲げで、かつ曲げモーメントは最大
よりも小さいから、その部分は図1の(ニ)のように耐
火被覆すればよい。よって、スパン方向の耐火被覆時の
梁断面は許容応力度比とのチェックを行うことにより、
図6のように梁の中央部と両端部は図1の(イ)のよう
に耐火被覆し、梁中央付近は図1の(ハ)のように耐火
被覆し、梁の端付近は図1の(ニ)のように耐火被覆し
て部分被覆することが可能となる。なお、単純支持と固
定支持の場合における実際の梁について、具体的にどの
位置で耐火被覆形式を一部省略するかが問題となるが、
これは実施例の項で説明する。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示す。 (実施例1)最初に支持条件が一端ピン他端がローラ
で、スパンが5mのH形鋼の梁について述べる。この梁
のスパン中央に集中荷重2tが作用する場合、図10に
示すように曲げモーメントはスパン端部でゼロ、スパン
中央部で+2.5t,せん断力はスパン端部で1t,ス
パン中央部で2tである。梁はSS400級で、その断
面はH−250×125×6×9(H形鋼の高さ×フラ
ンジ巾×ウェブ厚×フランジ厚)と仮定する。図1の
(イ)〜(ニ)のようにそれぞれ耐火被覆した時の有効
せん断面積、断面係数を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】図11に図1の(イ)に示す耐火被覆した
時の常時の各許容応力度比を示す。図12に図1の
(イ)と(ハ)に示す耐火被覆した時の火災時の各許容
応力度比を示す。これら許容応力度比は下記に示す数式
に基づいて計算したものである。 1)せん断応力度の許容応力度比 τs /fs ≦1.0 、τ
s =(Q/A) τs :せん断応力度、fs :許容せん断応力度、Q:せ
ん断力、 A:せん断有効断面積 2)圧縮側曲げ応力度の許容応力度比 c σb /c fb
≦1.0 、c σb =(M/Zc) ここで、c σb :圧縮側曲げ応力度、c fb :圧縮側許
容曲げ応力度、M:曲げモーメント、 Zc :圧縮
側断面係数 引張側曲げ応力度の許容応力度比 t σb /tfb ≦
1.0 、t σb =(M/Zt) ここで、t σb :引張側曲げ応力度、t fb :引張側許
容曲げ応力度(=ft)Zt :引張側断面係数 3)組合せ応力度:荷重が一方向のみに作用する場合のせ
ん断応力度と曲げ応力度の組合せ (σb 2
+3τs 2 ) /ft 2 ≦1.0 ここで σb:c σb とt σb の大きい方の値 ft:許容引張応力度(引張側許容曲げ応力度)
【0021】なお、火災時の許容応力度は、建物形状に
よる火災性状で生じる温度での鉄骨の降伏点強度になる
が、ここでは短期許容応力度と仮定している。その短期
許容応力度とは一般に地震時、暴風時、積雪時等におけ
る許容引張応力度をいう。図11に示す常時の各許容応
力度比は、火災時ではないので、有効断面は図2の
(イ)の全断面である。各許容応力度比とも1.0以下
であり、十分な残存耐力があることを示している。ここ
に、残存耐力があるとはある外力が加わった時に応力が
許容応力度以内にあることをいう、即ち許容応力度比が
1.0未満にあることである。
【0022】図12に示す火災時の各許容応力度比を見
ると、図1の(イ)の耐火被覆をした場合は、各許容応
力度比も1.0以下であり、十分な耐荷力がある。ま
た、図1の(ハ)の耐火被覆をした場合は、曲げ引張り
と組合せ力の許容応力度比が中央部で1.0を越える。
この結果、図13に示すように全スパンを1とした場
合、中央部の0.24は図1の(イ)の耐火被覆とし、
その両端を図1の(ハ)の耐火被覆とすればよいという
ことになり、部分的な耐火被覆となる。なお、耐火被覆
材の被覆厚みは目標とする耐火時間、被覆材の種類によ
って異なるが、ロックウールを被覆する場合、耐火時間
1時間に対しては35mm以上、2時間に対しては50
mm以上,3時間に対しては65mm以上がそれぞれ適
当である。従って、耐火被覆されるH形鋼は吹付け作業
が困難な箇所は削減され、耐火被覆面積の減少によるコ
ストダウンが図れる。しかも、H形鋼の構造物の平面部
が取り付けられるフランジのフランジ面と両フランジの
エッジ面は耐火被覆されていないため、耐火被覆後の耐
火梁のクレーン玉掛けやトラック積載時のハンドリング
が容易になることにより、工場のみの耐火被覆が可能に
なり、支保工を用いた耐火被覆材の現場での吹付作業を
無くすことができ、作業効率は抜本的に改善される。
【0023】(実施例2)次に、支持条件が両端固定
で、スパンが5mの梁について述べる。この単純梁のス
パン中央に集中荷重4tが作用する場合、図14に示す
ように曲げモーメントはスパン中央部で+2.5tm、
端部で−2.5tm、せん断力はスパン端部でん1t、
スパン中央部で2tである。梁はSS400級で、その
断面はH−250×125×6×9(H形鋼の高さ×フ
ランジ巾×ウェブ厚×フランジ厚)とと仮定する。図1
の(イ)〜(ニ)のように耐火被覆した時の有効せん断
面積、断面係数は表1と同様である。図15に図1の
(イ)に示す耐火被覆した時の常時の各許容応力度比を
示す。図16に図1の(イ)に示す耐火被覆した時の火
災時の各許容応力度比を示す。図17に図1の(ハ)と
(ニ)に示す耐火被覆した時の火災時の各許容応力度比
を示す。これら許容応力度比は実施例1に示した数式に
基づいて計算したものである。
【0024】図15に示すように常時の各許容応力度比
とも1.0以下であり、十分な残存耐力があることを示
している。また、図16に示す火災時の各許容応力度比
を見ると、図1の(イ)の耐火被覆をした場合は、各許
容応力度比とも1.0以下であり、十分な残存耐力があ
る。また、図17に示す火災時の各許容応力度比を見る
と、図1の(ハ)の耐火被覆を中央部にした場合は、曲
げ引張りと組合せ力の許容応力度比が1.0をこえる箇
所がある。また、図1の(ニ)の耐火被覆を端部にした
場合は、曲げ引張りと組合せ力の許容応力度比が1.0
をこえる箇所がある。この結果、図18に示すように全
スパンを許容応力度比1とした場合、中央部の0.12
は図1の(イ)の耐火被覆とし、その両端の0.03は
図1の(イ)の耐火被覆とし、中央部付近の0.19は
図1の(ハ)の耐火被覆とし、端部付近は図1の(ニ)
の耐火被覆とすればよいことになり、部分的な耐火被覆
となる。
【0025】従って、この実施例も耐火被覆されるH形
鋼は吹付け作業が困難な箇所は削減され、耐火被覆面積
の減少によるコストダウンが図れる。しかも、H形鋼の
構造物の平面部が取り付けられるフランジのフランジ面
と両フランジのエッジ面は耐火被覆されていないため、
耐火被覆後の耐火梁のクレーン玉掛けやトラック積載時
のハンドリングが容易になることにより、工場のみの耐
火被覆が可能になり、支保工を用いた耐火被覆材の現場
での吹付作業を無くすことができ、作業効率は抜本的に
改善される。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、両端が単
純支持又は固定支持され、一方のフランジのフランジ面
に構造物の平面部が取り付けられてなるH形断面の鉄骨
梁について、部分的な耐火被覆材による耐火被覆が可能
となったので、H形断面の鉄骨梁の吹付け作業が困難な
箇所は削減され、耐火被覆面積の減少によるコストダウ
ンが図れ、しかもH形断面の鉄骨梁の構造物の平面部が
取り付けられるフランジのフランジ面と両フランジのエ
ッジ面は耐火被覆されていないため、耐火被覆後の耐火
梁のクレーン玉掛けやトラック積載時のハンドリングが
容易になることにより、工場のみの耐火被覆が可能にな
り、支保工を用いた耐火被覆材の現場での吹付作業を無
くすことができ、作業効率は抜本的に改善されるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐火被覆材が施された耐火梁で、(イ)〜
(ニ)の各種の耐火被覆状態を示す断面図である。
【図2】図1の(イ)〜(ニ)の耐火被覆状態の時の有
効断面をそれぞれ示す説明図である。
【図3】両端が単純支持状態の梁のスパン中央に集中荷
重が作用した場合の作用状態と各部における曲げモーメ
ントとせん断力を示す説明図である。
【図4】本発明の両端が単純支持される耐火梁の耐火被
覆材が施された各部の状態を示す断面図である。
【図5】両端が固定支持状態の梁のスパン中央に集中荷
重が作用した場合の作用状態と各部における曲げモーメ
ントとせん断力を示す説明図である。
【図6】本発明の両端が固定支持される耐火梁の耐火被
覆材が施された各部の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の両端が単純支持される耐火梁の運搬状
態を示す斜視図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】本発明の両端が単純支持される耐火梁のトラッ
ク積載状態を示す断面図である。
【図10】本発明の両端が単純支持される梁のスパン中
央に集中荷重が作用した場合の作用状態と各部における
曲げモーメントとせん断力を示す説明図である。
【図11】図1の(イ)に示す耐火被覆した時の常時の
各許容応力度比を示す説明図である。
【図12】図1の(イ)と(ハ)に示す耐火被覆した時
の火災時の各許容応力度比を示す説明図である。
【図13】本発明の両端が単純支持される梁の全スパン
を許容応力度比1とした場合の各部における耐火被覆の
状態を示す説明図である。
【図14】本発明の両端が単純支持される梁のスパン中
央に集中荷重が作用した場合の作用状態と各部における
曲げモーメントとせん断力を示す説明図である。
【図15】図1の(イ)に示す耐火被覆した時の常時の
各許容応力度比を示す説明図である。
【図16】図1の(イ)に示す耐火被覆した時の火災時
の各許容応力度比を示す説明図である。
【図17】図1の(ニ)と(ハ)に示す耐火被覆した時
の火災時の各許容応力度比を示す説明図である。
【図18】本発明の両端が固定支持される梁の全スパン
を許容応力度比1とした場合の各部における耐火被覆の
状態を示す説明図である。
【図19】従来の鉄骨構造物の複合耐火被覆工法の工程
図である。
【図20】ロックウール成型板の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 H形鋼 1a ウェブ 1b 上フランジ 1c 下フランジ 2 耐火被覆材 2a ウエブに施された耐火被覆材 2b 上フランジの裏面に施された耐火被覆材 2c 下フランジの表面に施された耐火被覆材 2d 下フランジの裏面に施された耐火被覆材 3 構造物

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端が単純支持状態に支持され、一方の
    フランジのフランジ面に構造物の平面部が取り付けられ
    てなるH形断面の鉄骨梁の中央部は該構造物の両フラン
    ジのエッジ面を残して全て耐火被覆材で耐火被覆され、
    前記鉄骨梁の中央部以外の部分は該構造物の平面部が取
    り付くフランジのエッジ面と少なくとも該構造物の平面
    部が取り付かないフランジ部分を残して全て耐火被覆材
    で耐火被覆されていることを特徴とする耐火梁。
  2. 【請求項2】 両端が固定支持状態に支持され、一方の
    フランジのフランジ面に構造物の平面部が取り付けられ
    てなるH形断面の鉄骨梁の中央部と両端部は該構造物の
    両フランジのエッジ面を残して全て耐火被覆材で耐火被
    覆され、前記鉄骨梁の中央部と両端部以外の部分は該構
    造物の平面部が取り付くフランジのエッジ面と少なくと
    も該構造物の平面部が取り付かないフランジ部分を残し
    て全て耐火被覆材で耐火被覆されていることを特徴とす
    る耐火梁。
  3. 【請求項3】 両端が単純支持状態に支持され、一方の
    フランジのフランジ面に構造物の平面部が取り付けられ
    てなるH形断面の鉄骨梁の中央部は該構造物の両フラン
    ジのエッジ面を残して全て耐火被覆材で耐火被覆され、
    前記鉄骨梁の中央部以外の部分は該構造物の平面部が取
    り付くフランジのエッジ面と少なくとも該構造物の平面
    部が取り付くフランジ部分を残して全て耐火被覆材で耐
    火被覆されていることを特徴とする耐火梁。
  4. 【請求項4】 両端が固定支持状態に支持され、一方の
    フランジのフランジ面に構造物の平面部が取り付けられ
    てなるH形断面の鉄骨梁の中央部と両端部は該構造物の
    両フランジのエッジ面を残して全て耐火被覆材で耐火被
    覆され、前記鉄骨梁の中央部と両端部以外の部分は該構
    造物の平面部が取り付くフランジのエッジ面と少なくと
    も該構造物の平面部が取り付くフランジジ部分を残して
    全て耐火被覆材で耐火被覆されていることを特徴とする
    耐火梁。
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