JPH0814401A - メカニカルシール - Google Patents
メカニカルシールInfo
- Publication number
- JPH0814401A JPH0814401A JP16757294A JP16757294A JPH0814401A JP H0814401 A JPH0814401 A JP H0814401A JP 16757294 A JP16757294 A JP 16757294A JP 16757294 A JP16757294 A JP 16757294A JP H0814401 A JPH0814401 A JP H0814401A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sliding surface
- lubricating liquid
- ring
- sealing
- mechanical seal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Mechanical Sealing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ガスGを密封対象とした場合のメカニカルシ
ールのシール性及び耐久性を向上させる。 【構成】 密封対象ガスGが回転環15と固定環13に
よる互いの摺動面の内周側に達する外流型のメカニカル
シールであって、摺動面の外周に達する反密封側空間A
に潤滑液Oを充填し、回転環15と固定環13のうち一
方の摺動面151に、環状溝152及びこの環状溝15
2と反密封側空間Aとを連通する潤滑液通路153から
なる潤滑液導入部を設ける。また、他の手段としては、
回転環15を密封対象ガスGの圧力及び摺動発熱で摺動
面151の外周側が開くように変形させることによって
潤滑液Oを摺動面151に介入させる。
ールのシール性及び耐久性を向上させる。 【構成】 密封対象ガスGが回転環15と固定環13に
よる互いの摺動面の内周側に達する外流型のメカニカル
シールであって、摺動面の外周に達する反密封側空間A
に潤滑液Oを充填し、回転環15と固定環13のうち一
方の摺動面151に、環状溝152及びこの環状溝15
2と反密封側空間Aとを連通する潤滑液通路153から
なる潤滑液導入部を設ける。また、他の手段としては、
回転環15を密封対象ガスGの圧力及び摺動発熱で摺動
面151の外周側が開くように変形させることによって
潤滑液Oを摺動面151に介入させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば撹拌機の回転軸
の軸周に装着されてガスを密封対象とするメカニカルシ
ールに関する。
の軸周に装着されてガスを密封対象とするメカニカルシ
ールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、図7に示すような撹拌機におい
て、撹拌缶1内の撹拌羽根2を回転させるためのほぼ垂
直な回転軸3に設けられる軸封装置4は、撹拌缶1内上
部のガスGを密封対象としているため、このような軸封
装置4には、殆どの場合、2組のメカニカルシールを軸
方向(上下)に並べて配置すると共に両メカニカルシー
ルの間に潤滑液(シーラント)を供給してなるダブルメ
カニカルシールが用いられる。しかし、このようなダブ
ルメカニカルシールは、2組のメカニカルシールが必要
であるばかりでなく、これを装着する軸周のハウジング
の構造も複雑になって、装置が全体的に複雑かつ大型化
し、高価格になってしまう問題がある。
て、撹拌缶1内の撹拌羽根2を回転させるためのほぼ垂
直な回転軸3に設けられる軸封装置4は、撹拌缶1内上
部のガスGを密封対象としているため、このような軸封
装置4には、殆どの場合、2組のメカニカルシールを軸
方向(上下)に並べて配置すると共に両メカニカルシー
ルの間に潤滑液(シーラント)を供給してなるダブルメ
カニカルシールが用いられる。しかし、このようなダブ
ルメカニカルシールは、2組のメカニカルシールが必要
であるばかりでなく、これを装着する軸周のハウジング
の構造も複雑になって、装置が全体的に複雑かつ大型化
し、高価格になってしまう問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、装置の簡素化及
び低価格化を図るために、上記軸封装置4として単一の
メカニカルシールを用いた場合には、その密封摺動面が
ドライ摺動状態になってしまうので、顕著な例ではガス
Gの漏洩量が2000cc/hrにも達する場合があ
る。これは、液体を密封対象とする場合に比較してガス
は微小隙間を通過する際の粘性が極めて小さいからであ
る。しかも、液体潤滑されている場合と比較して、ドラ
イ摺動条件では摺動面の摩耗が著しく、シール可能なガ
ス圧力も、せいぜい2.5kg/cm2 程度が上限であ
る。
び低価格化を図るために、上記軸封装置4として単一の
メカニカルシールを用いた場合には、その密封摺動面が
ドライ摺動状態になってしまうので、顕著な例ではガス
Gの漏洩量が2000cc/hrにも達する場合があ
る。これは、液体を密封対象とする場合に比較してガス
は微小隙間を通過する際の粘性が極めて小さいからであ
る。しかも、液体潤滑されている場合と比較して、ドラ
イ摺動条件では摺動面の摩耗が著しく、シール可能なガ
ス圧力も、せいぜい2.5kg/cm2 程度が上限であ
る。
【0004】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、単一のメ
カニカルシールでガスを密封対象とした場合のシール性
及び耐久性の向上を図ることにある。
れたもので、その技術的課題とするところは、単一のメ
カニカルシールでガスを密封対象とした場合のシール性
及び耐久性の向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の技術的課題を有効
に解決するための手段として、本発明は、密封対象ガス
が回転環と固定環による互いの摺動面の内周側に達する
外流型のメカニカルシールであって、前記摺動面の外周
に達する反密封側空間に潤滑液を充填し、前記回転環と
固定環のうちの一方の摺動面に、前記反密封側空間に開
放された潤滑液導入部を形成したものであり、好ましく
は、前記潤滑液導入部が、円周方向に連続した環状溝及
びこの環状溝と前記反密封側空間とを連通する潤滑液通
路からなるものである。
に解決するための手段として、本発明は、密封対象ガス
が回転環と固定環による互いの摺動面の内周側に達する
外流型のメカニカルシールであって、前記摺動面の外周
に達する反密封側空間に潤滑液を充填し、前記回転環と
固定環のうちの一方の摺動面に、前記反密封側空間に開
放された潤滑液導入部を形成したものであり、好ましく
は、前記潤滑液導入部が、円周方向に連続した環状溝及
びこの環状溝と前記反密封側空間とを連通する潤滑液通
路からなるものである。
【0006】また、上述の技術的課題を有効に解決する
ための他の手段として、本発明は、密封対象ガスが回転
環と固定環による互いの密封摺動面の内周側に達する外
流型のメカニカルシールであって、前記密封摺動面の外
周に達する反密封側空間に潤滑液を充填し、前記回転環
と回転軸側との間に介在させるパッキンを、前記回転環
の内周面に前記摺動面と反対側の端部側に偏在して配置
したものであり、この場合、前記回転環の物性値を、 ヤング率 ;500kgf/mm2 以下 熱膨張係数;9×10-51/℃ 以上 熱伝導度 ;5×10-6kcal/s・℃・mm以下 とするものである。
ための他の手段として、本発明は、密封対象ガスが回転
環と固定環による互いの密封摺動面の内周側に達する外
流型のメカニカルシールであって、前記密封摺動面の外
周に達する反密封側空間に潤滑液を充填し、前記回転環
と回転軸側との間に介在させるパッキンを、前記回転環
の内周面に前記摺動面と反対側の端部側に偏在して配置
したものであり、この場合、前記回転環の物性値を、 ヤング率 ;500kgf/mm2 以下 熱膨張係数;9×10-51/℃ 以上 熱伝導度 ;5×10-6kcal/s・℃・mm以下 とするものである。
【0007】なお、一般にメカニカルシールは、密封対
象とする流体が反密封側へ漏洩するのを防止するもので
あるから、当然ながら、本発明においても密封対象ガス
は反密封側空間に充填した潤滑液よりも高圧である。
象とする流体が反密封側へ漏洩するのを防止するもので
あるから、当然ながら、本発明においても密封対象ガス
は反密封側空間に充填した潤滑液よりも高圧である。
【0008】
【作用】本発明によれば、回転環と固定環の互いの摺動
面のうちの一方には、潤滑液が充填された外周の反密封
側空間へ開放された潤滑液導入部が形成されていること
から、潤滑液がこの潤滑液導入部を通じて摺動面間に介
入されやすくなる。特に前記潤滑液導入部が、摺動面に
円周方向に連続した環状溝及び環状溝と前記反密封側空
間とを連通する潤滑液通路を形成したものである場合
は、摺動面の内周側に達する密封対象ガスに対する密封
は、前記摺動面のうち、環状溝よりも内径側部分におい
て行われ、摺動面外周の反密封側空間から潤滑液通路を
通じて環状溝内に導入された潤滑液は、その内周側の摺
動面間に潤滑液膜として介入されると共に、潤滑液膜に
よって前記密封対象ガスに対する密封作用が向上され
る。
面のうちの一方には、潤滑液が充填された外周の反密封
側空間へ開放された潤滑液導入部が形成されていること
から、潤滑液がこの潤滑液導入部を通じて摺動面間に介
入されやすくなる。特に前記潤滑液導入部が、摺動面に
円周方向に連続した環状溝及び環状溝と前記反密封側空
間とを連通する潤滑液通路を形成したものである場合
は、摺動面の内周側に達する密封対象ガスに対する密封
は、前記摺動面のうち、環状溝よりも内径側部分におい
て行われ、摺動面外周の反密封側空間から潤滑液通路を
通じて環状溝内に導入された潤滑液は、その内周側の摺
動面間に潤滑液膜として介入されると共に、潤滑液膜に
よって前記密封対象ガスに対する密封作用が向上され
る。
【0009】また、回転環と回転軸側との間に介在させ
るパッキンが、回転環の摺動面と反対側の端部内周面に
配置され、特に、前記回転環は、ヤング率が500kg
f/mm2 以下であり、熱膨張係数が9×10-51/℃
以上であり、熱伝導度が5×10-6kcal/s・℃
・mm以下であるものとすることによって、回転環はパ
ッキンよりも摺動面側の内周面に作用する密封対象ガス
の圧力及び摺動発熱による熱歪によって、摺動面側が大
径となるようにテーパ状に変形され、固定環との摺動面
が外周側で開かれる。このため、摺動面外周の反密封側
空間の潤滑液が摺動面間に液膜として介入されるように
なって、摺動面が潤滑されると共に前記ガスに対する密
封作用が向上される。
るパッキンが、回転環の摺動面と反対側の端部内周面に
配置され、特に、前記回転環は、ヤング率が500kg
f/mm2 以下であり、熱膨張係数が9×10-51/℃
以上であり、熱伝導度が5×10-6kcal/s・℃
・mm以下であるものとすることによって、回転環はパ
ッキンよりも摺動面側の内周面に作用する密封対象ガス
の圧力及び摺動発熱による熱歪によって、摺動面側が大
径となるようにテーパ状に変形され、固定環との摺動面
が外周側で開かれる。このため、摺動面外周の反密封側
空間の潤滑液が摺動面間に液膜として介入されるように
なって、摺動面が潤滑されると共に前記ガスに対する密
封作用が向上される。
【0010】
【実施例】図1は、本発明の好ましい一実施例を示すも
のである。この実施例のメカニカルシールは、先に述べ
た図7に示すような撹拌機のほぼ垂直な回転軸3の軸周
において撹拌缶1内上部のガスGを密封するための軸封
装置4として装着されており、すなわち前記撹拌缶1の
上部で回転軸3の軸周を包囲するように設けられた軸封
部ハウジング11の内周にパッキン12を介して固定さ
れた固定環であるメイティングリング13と、回転軸3
の外周面にパッキン14を介して軸方向(上下)移動自
在に設けられ下端面がメイティングリング13の上端面
に摺接された回転環であるシールリング15とを有す
る。シールリング15は、その上方で回転軸3の外周面
にセットスクリュ17で固定されたカラー16に上端を
押さえられたコイルスプリング(図示省略)によって、
コンプレッションリング18を介して下方へ付勢され、
メイティングリング13の上端面に押し付けられている
と共に、前記カラー16に設けたノックピン19が、シ
ールリング15の背面外径部に形成した係合切欠15a
と係合することによって、回転軸3と一体回転されるよ
うになっている。
のである。この実施例のメカニカルシールは、先に述べ
た図7に示すような撹拌機のほぼ垂直な回転軸3の軸周
において撹拌缶1内上部のガスGを密封するための軸封
装置4として装着されており、すなわち前記撹拌缶1の
上部で回転軸3の軸周を包囲するように設けられた軸封
部ハウジング11の内周にパッキン12を介して固定さ
れた固定環であるメイティングリング13と、回転軸3
の外周面にパッキン14を介して軸方向(上下)移動自
在に設けられ下端面がメイティングリング13の上端面
に摺接された回転環であるシールリング15とを有す
る。シールリング15は、その上方で回転軸3の外周面
にセットスクリュ17で固定されたカラー16に上端を
押さえられたコイルスプリング(図示省略)によって、
コンプレッションリング18を介して下方へ付勢され、
メイティングリング13の上端面に押し付けられている
と共に、前記カラー16に設けたノックピン19が、シ
ールリング15の背面外径部に形成した係合切欠15a
と係合することによって、回転軸3と一体回転されるよ
うになっている。
【0011】軸封部ハウジング11の内周であってメイ
ティングリング13とシールリング15の互いの摺動面
の外周に達する反密封側空間Aには、潤滑液O(例えば
潤滑油)が充填され貯留されている。シールリング15
の下端にはノーズとも呼ばれる環状の摺動突起150が
突設されており、この摺動突起150の下端面がメイテ
ィングリング13に対する摺動面151となっている。
この摺動面151には図2にも示すように、潤滑液導入
部として、円周方向に連続した環状溝152と、この環
状溝152と摺動面151の外周の反密封側空間Aとを
連通する潤滑液通路である所要数の切欠153が形成さ
れている。
ティングリング13とシールリング15の互いの摺動面
の外周に達する反密封側空間Aには、潤滑液O(例えば
潤滑油)が充填され貯留されている。シールリング15
の下端にはノーズとも呼ばれる環状の摺動突起150が
突設されており、この摺動突起150の下端面がメイテ
ィングリング13に対する摺動面151となっている。
この摺動面151には図2にも示すように、潤滑液導入
部として、円周方向に連続した環状溝152と、この環
状溝152と摺動面151の外周の反密封側空間Aとを
連通する潤滑液通路である所要数の切欠153が形成さ
れている。
【0012】シールリング15と回転軸3との間に介在
されたパッキン14は、摺動面151に対して軸方向へ
10mm以上離れた位置にあって、密封対象ガスGの圧
力による上方への移動及びこれによるシールリング15
の内周面からの逸脱を、カラー16の内径部からシール
リング15の内周へ向けて突出された筒状部16aによ
って阻止されている。また、メイティングリング13の
材料としてはセラミックが用いられており、シールリン
グ15の材料としては、次に列挙する物性値を有するP
TFE樹脂が用いられている。 ヤング率 ;500kgf/mm2 以下 熱膨張係数;9×10-51/℃ 以上 熱伝導度 ;5×10-6kcal/s・℃・mm以下
されたパッキン14は、摺動面151に対して軸方向へ
10mm以上離れた位置にあって、密封対象ガスGの圧
力による上方への移動及びこれによるシールリング15
の内周面からの逸脱を、カラー16の内径部からシール
リング15の内周へ向けて突出された筒状部16aによ
って阻止されている。また、メイティングリング13の
材料としてはセラミックが用いられており、シールリン
グ15の材料としては、次に列挙する物性値を有するP
TFE樹脂が用いられている。 ヤング率 ;500kgf/mm2 以下 熱膨張係数;9×10-51/℃ 以上 熱伝導度 ;5×10-6kcal/s・℃・mm以下
【0013】なお、図1において参照符号20はコンプ
レッションリング18をカラー16に軸方向移動自在に
係合させるドライブピンである。
レッションリング18をカラー16に軸方向移動自在に
係合させるドライブピンである。
【0014】このメカニカルシールは、メイティングリ
ング13の内周隙間Bを通じてシールリング15の内周
隙間Cへ、パッキン14によるシールリング15と回転
軸3との間の密封位置まで侵入する撹拌缶1内の密封対
象ガスGを、非回転のメイティングリング13と、回転
軸3と共に回転しつつこのメイティングリング13に押
し付けられるシールリング15との互いの密接摺動によ
って軸封するもので、密封対象ガスGが、メイティング
リング13とシールリング15の摺動面間において外周
側へ漏れようとする、いわゆる外流型のメカニカルシー
ルである。シールリング15の摺動面151のうち、環
状溝152よりも外周側となる外周側摺動面151bに
は、環状溝152と反密封側空間Aとを連通する切欠1
53が形成されているので、メイティングリング13と
の摺接による密封は、専ら環状溝152よりも内周側と
なる内周側摺動面151aで行われる。したがって、外
周側摺動面151bにおいては、実質的にメイティング
リング13との摺接による密封機能を奏するものではな
いが、コイルスプリングによるメイティングリング13
との密接荷重を内周側摺動面151aと分担して受ける
ため、密封機能を奏する内周側摺動面151aにおける
面圧が緩和され、このため切欠153を通じて外周の反
密封側空間Aから環状溝152内へ導入された潤滑液O
による内周側摺動面151aへの潤滑液膜の形成が促さ
れる。また、この潤滑液膜の介入によって、摺動面内周
側の密封対象ガスGに対する密封機能が格段に向上す
る。
ング13の内周隙間Bを通じてシールリング15の内周
隙間Cへ、パッキン14によるシールリング15と回転
軸3との間の密封位置まで侵入する撹拌缶1内の密封対
象ガスGを、非回転のメイティングリング13と、回転
軸3と共に回転しつつこのメイティングリング13に押
し付けられるシールリング15との互いの密接摺動によ
って軸封するもので、密封対象ガスGが、メイティング
リング13とシールリング15の摺動面間において外周
側へ漏れようとする、いわゆる外流型のメカニカルシー
ルである。シールリング15の摺動面151のうち、環
状溝152よりも外周側となる外周側摺動面151bに
は、環状溝152と反密封側空間Aとを連通する切欠1
53が形成されているので、メイティングリング13と
の摺接による密封は、専ら環状溝152よりも内周側と
なる内周側摺動面151aで行われる。したがって、外
周側摺動面151bにおいては、実質的にメイティング
リング13との摺接による密封機能を奏するものではな
いが、コイルスプリングによるメイティングリング13
との密接荷重を内周側摺動面151aと分担して受ける
ため、密封機能を奏する内周側摺動面151aにおける
面圧が緩和され、このため切欠153を通じて外周の反
密封側空間Aから環状溝152内へ導入された潤滑液O
による内周側摺動面151aへの潤滑液膜の形成が促さ
れる。また、この潤滑液膜の介入によって、摺動面内周
側の密封対象ガスGに対する密封機能が格段に向上す
る。
【0015】シールリング15は、通常の摺動材である
カーボンや超硬合金,SiC,銅合金等に比較してヤン
グ率が小さいため、変形しやすく、熱膨張係数は前記カ
ーボン,超硬合金,SiC,銅合金等からなる摺動材に
比較して著しく大きい反面、熱伝導性はカーボン摺動材
よりも低いものとなっている。このため、メイティング
リング13の内周隙間Bを通じてシールリング15の内
周隙間Cへ、パッキン14による密封位置まで侵入する
密封対象ガスGの圧力によって、図3に示すように、シ
ールリング15は摺動突起150側が拡大するテーパ状
に変形される。また、摺動面151における発熱によっ
て、この摺動面151側は熱膨張によって顕著に拡径さ
れるが、摺動面151と反対の端部15a側は殆ど熱膨
張しないため、前記テーパ状の変形が促される。その結
果、摺動面151がその外周側においてメイティングリ
ング13から僅かに離れ、更には、この摺動面151の
うちの実質的な密封摺動部である内周側摺動面151a
においても、その外周側すなわち環状溝152側がメイ
ティングリング13から僅かに離れるので、反密封側空
間Aからの潤滑液Oが介入され、良好な潤滑液膜が形成
される。
カーボンや超硬合金,SiC,銅合金等に比較してヤン
グ率が小さいため、変形しやすく、熱膨張係数は前記カ
ーボン,超硬合金,SiC,銅合金等からなる摺動材に
比較して著しく大きい反面、熱伝導性はカーボン摺動材
よりも低いものとなっている。このため、メイティング
リング13の内周隙間Bを通じてシールリング15の内
周隙間Cへ、パッキン14による密封位置まで侵入する
密封対象ガスGの圧力によって、図3に示すように、シ
ールリング15は摺動突起150側が拡大するテーパ状
に変形される。また、摺動面151における発熱によっ
て、この摺動面151側は熱膨張によって顕著に拡径さ
れるが、摺動面151と反対の端部15a側は殆ど熱膨
張しないため、前記テーパ状の変形が促される。その結
果、摺動面151がその外周側においてメイティングリ
ング13から僅かに離れ、更には、この摺動面151の
うちの実質的な密封摺動部である内周側摺動面151a
においても、その外周側すなわち環状溝152側がメイ
ティングリング13から僅かに離れるので、反密封側空
間Aからの潤滑液Oが介入され、良好な潤滑液膜が形成
される。
【0016】発明者らが、シールリング15を上述の物
性値を有するPTFE樹脂製、メイティングリング13
をセラミック製、シールリング15の摺動面151とパ
ッキン14による密封位置との軸方向距離を10mm、
コイルスプリングの荷重による摺動面の面圧を1.78
kg/cm2 、バランス値(摺動面の面積Sと、パッキ
ン14の前面隙間Cにおける密封対象ガスの圧力がシー
ルリング15をメイティングリング13側へ押し付ける
ように作用する部分の軸方向投影面積S0 との比率;S
0/S×100%)を60とした図1に示す実施例構造の
メカニカルシールを用いて、軸回転数=200rpm、
密封対象ガスの圧力=6kg/cm2 Gの試験条件で漏
洩試験を行ったところ、密封対象ガスの漏洩量が0.2
3cc/hrと極めて少なく、優れた密封性能を実現で
きることが確認された。また、摺動面151の温度を計
測したところ64℃であり、この時摺動面外周に0.1
〜2.0μmの微小な面開きが形成されていることが確
認された。
性値を有するPTFE樹脂製、メイティングリング13
をセラミック製、シールリング15の摺動面151とパ
ッキン14による密封位置との軸方向距離を10mm、
コイルスプリングの荷重による摺動面の面圧を1.78
kg/cm2 、バランス値(摺動面の面積Sと、パッキ
ン14の前面隙間Cにおける密封対象ガスの圧力がシー
ルリング15をメイティングリング13側へ押し付ける
ように作用する部分の軸方向投影面積S0 との比率;S
0/S×100%)を60とした図1に示す実施例構造の
メカニカルシールを用いて、軸回転数=200rpm、
密封対象ガスの圧力=6kg/cm2 Gの試験条件で漏
洩試験を行ったところ、密封対象ガスの漏洩量が0.2
3cc/hrと極めて少なく、優れた密封性能を実現で
きることが確認された。また、摺動面151の温度を計
測したところ64℃であり、この時摺動面外周に0.1
〜2.0μmの微小な面開きが形成されていることが確
認された。
【0017】また、比較例として、シールリング15が
メカニカルシール用の通常の摺動材であるカーボン(ヤ
ング率;1400kgf/mm2 ,熱膨張係数;5×1
0-61/℃,熱伝導度;8Kcal/s・℃・mm)か
らなり、摺動面151に環状溝152等を形成しないも
のを用いたメカニカルシールについても上述と同様の漏
洩試験を行ったところ、摺動面151には殆ど外周側の
面開きの形成が認められず、潤滑不足による温度の異常
上昇が発生した。なお、この比較例としてのカーボンよ
りも上記実施例に近似した物性値を有する材料であっ
て、メカニカルシール用摺動材として適した低摩擦・耐
熱・耐摩耗性材料は、現状では存在しない。
メカニカルシール用の通常の摺動材であるカーボン(ヤ
ング率;1400kgf/mm2 ,熱膨張係数;5×1
0-61/℃,熱伝導度;8Kcal/s・℃・mm)か
らなり、摺動面151に環状溝152等を形成しないも
のを用いたメカニカルシールについても上述と同様の漏
洩試験を行ったところ、摺動面151には殆ど外周側の
面開きの形成が認められず、潤滑不足による温度の異常
上昇が発生した。なお、この比較例としてのカーボンよ
りも上記実施例に近似した物性値を有する材料であっ
て、メカニカルシール用摺動材として適した低摩擦・耐
熱・耐摩耗性材料は、現状では存在しない。
【0018】図4は、本発明に係るメカニカルシールの
第二の実施例として、上記第一の実施例における切欠1
53の代わりに、シールリング15の摺動突起150の
うち環状溝152の外周側となる部分に、この環状溝1
52と外周の反密封側空間Aとを連通する潤滑液通路と
して所要数の小孔154を形成したもので、上記と同様
の作用・効果が得られる。
第二の実施例として、上記第一の実施例における切欠1
53の代わりに、シールリング15の摺動突起150の
うち環状溝152の外周側となる部分に、この環状溝1
52と外周の反密封側空間Aとを連通する潤滑液通路と
して所要数の小孔154を形成したもので、上記と同様
の作用・効果が得られる。
【0019】また、潤滑液導入部としては、図5の第三
の実施例及び図6の第四の実施例に示すように、摺動面
151に、外周側へ開放された半月状の切欠155もし
くは弓形の切欠156を形成したものであっても良い。
の実施例及び図6の第四の実施例に示すように、摺動面
151に、外周側へ開放された半月状の切欠155もし
くは弓形の切欠156を形成したものであっても良い。
【0020】なお、本発明において、シールリング15
の材料はPTFE樹脂に限定されるものではなく、上述
の物性値を満足する摺動材であれば良い。
の材料はPTFE樹脂に限定されるものではなく、上述
の物性値を満足する摺動材であれば良い。
【0021】
【発明の効果】本発明のメカニカルシールによると、摺
動面外周の反密封側空間に潤滑液を充填して、この潤滑
液が摺動面に介入される構成としたことにより、ガスを
密封対象とするものであるにも拘らず、ダブルメカニカ
ルシールとする必要がなく、密封性及び耐久性の向上が
実現される。
動面外周の反密封側空間に潤滑液を充填して、この潤滑
液が摺動面に介入される構成としたことにより、ガスを
密封対象とするものであるにも拘らず、ダブルメカニカ
ルシールとする必要がなく、密封性及び耐久性の向上が
実現される。
【図1】本発明に係るメカニカルシールの第一の実施例
を軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
を軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【図2】上記実施例のメカニカルシールにおける摺動面
の一部を軸心と平行な方向から見た説明図である。
の一部を軸心と平行な方向から見た説明図である。
【図3】上記実施例のメカニカルシールにおけるシール
リングの変形状態を誇張して示す説明図である。
リングの変形状態を誇張して示す説明図である。
【図4】本発明に係るメカニカルシールの第二の実施例
を軸心を通る平面で切断して示す部分的な半断面図であ
る。
を軸心を通る平面で切断して示す部分的な半断面図であ
る。
【図5】本発明に係るメカニカルシールの第三の実施例
における摺動面の一部を軸心と平行な方向から見た説明
図である。
における摺動面の一部を軸心と平行な方向から見た説明
図である。
【図6】本発明に係るメカニカルシールの第四の実施例
において摺動面の一部を軸心と平行な方向から見た説明
図である。
において摺動面の一部を軸心と平行な方向から見た説明
図である。
【図7】メカニカルシールが装着される撹拌機を概略的
に示す説明図である。
に示す説明図である。
3 回転軸 13 メイティングリング(固定環) 14 パッキン 15 シールリング(回転環) 151,151a 摺動面 152 環状溝 153 切欠(潤滑液通路) 154 小孔(潤滑液通路) A 反密封側空間 G 密封対象ガス O 潤滑液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陳 典廷 埼玉県坂戸市大字片柳1500番地 イーグル 工業株式会社埼玉工場内 (72)発明者 柳澤 隆 埼玉県坂戸市大字片柳1500番地 イーグル 工業株式会社埼玉工場内 (72)発明者 尾形 洋一 埼玉県坂戸市大字片柳1500番地 イーグル 工業株式会社埼玉工場内
Claims (4)
- 【請求項1】 密封対象ガスが回転環と固定環による互
いの摺動面の内周側に達する外流型のメカニカルシール
であって、前記摺動面の外周に達する反密封側空間に潤
滑液を充填し、前記回転環と固定環のうちの一方の摺動
面に、前記反密封側空間に開放された潤滑液導入部を形
成したことを特徴とするメカニカルシール。 - 【請求項2】 請求項1の記載において、 前記潤滑液導入部が、円周方向に連続した環状溝及びこ
の環状溝と前記反密封側空間とを連通する潤滑液通路か
らなることを特徴とするメカニカルシール。 - 【請求項3】 密封対象ガスが回転環と固定環による互
いの密封摺動面の内周側に達する外流型のメカニカルシ
ールであって、前記密封摺動面の外周に達する反密封側
空間に潤滑液を充填し、前記回転環と回転軸側との間に
介在させるパッキンを、前記回転環の内周面に前記摺動
面位置から軸方向に10mm以上離れて配置したことを
特徴とするメカニカルシール。 - 【請求項4】 請求項3の記載において、回転環の物性
値を、 ヤング率 ;500kgf/mm2 以下 熱膨張係数;9×10-51/℃ 以上 熱伝導度 ;5×10-6kcal/s・℃・mm以下 としたことを特徴とするメカニカルシール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16757294A JPH0814401A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | メカニカルシール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16757294A JPH0814401A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | メカニカルシール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0814401A true JPH0814401A (ja) | 1996-01-16 |
Family
ID=15852230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16757294A Pending JPH0814401A (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | メカニカルシール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0814401A (ja) |
-
1994
- 1994-06-28 JP JP16757294A patent/JPH0814401A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2385278B1 (en) | Low breakout friction energized gasket | |
US3433489A (en) | Mechanical seal with flow control | |
US7377518B2 (en) | Mechanical seal ring assembly with hydrodynamic pumping mechanism | |
US5992856A (en) | Rotary, reciprocating seals with double spring and separating band rings | |
EP0130841B1 (en) | Valve stem packing assembly | |
EP0163450B1 (en) | Improvements in mechanical seals | |
CN109328279B (zh) | 机械轴封 | |
JP4104654B2 (ja) | シールリング | |
JP2001000017U (ja) | パッキン包含組立体 | |
US4423879A (en) | Mechanical seal | |
US8857818B2 (en) | Internally pressurized seals | |
US6357755B1 (en) | Sealing elements for dry running piston compressors | |
US3970320A (en) | Mechanical seal with thermo-cooling | |
US4438936A (en) | Secondary sealing element with U-shaped sealing ring for mechanical seals | |
US2729478A (en) | Packing construction | |
JPH09292034A (ja) | メカニカルシール | |
JP3966901B2 (ja) | シールリング | |
US5192083A (en) | Single ring sector seal | |
US3836158A (en) | Packing ring | |
JPH0814401A (ja) | メカニカルシール | |
US2889159A (en) | Shaft seal | |
CN213685279U (zh) | 一种密封装置 | |
JP2001317637A (ja) | メカニカルシールによる圧縮機の軸封機構 | |
US3947045A (en) | Rotary sealing means | |
US3198530A (en) | Outside balanced mechanical seal |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020227 |