JPH0814338B2 - ガス制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はガスを燃料とする調理器や暖房器や給湯器の
燃焼量調節の目的で使用され、特に電気的な手段で駆動
されるガス流量の制御装置に関するものである。

従来の技術 ガス燃料量を加熱対象の状態に応じて調節する必要が
ある用途は非常に多く、電気量の操作で行う例が多く見
られるようになった。最も単純であるが良く使われる例
として第８図に示した電磁弁列からなる制御装置があ
る。バーナ１へ至るガス流路２の途中に並列に配置され
た複数の電磁弁３と、各電磁弁とは直列で各々異った孔
径を有するオリフィス４によって構成されている。すべ
ての電磁弁を開いた状態が最大燃焼量であり、最も小さ
い径のオリフィスを持つ電磁弁のみを開いた場合が最小
燃焼量となる。この間は、複数の電磁弁の組合せによっ
て段階的に燃焼量を変化させることが出来る。もちろ
ん、すべての電磁弁を閉じれば燃焼停止となる。

次に、燃焼量を連続的に変化させる必要がある場合に
用いられる例を第９図に示した。ガス流路５に設けられ
入口６から出口７に至る途中の弁孔８と、弁孔８と対応
した弁体９はダイヤフラム10によって他端が支持され、
永久磁石11が取り付けられている。永久磁石11と対向し
て磁気鉄心12と励磁コイル13からなる電磁石14が設けら
れ、励磁コイル13への通電量によってガス流路５を流れ
るガス量を調節する構成である。すなわち、磁気鉄心12
の極性が永久磁石11と反発力を生じる方向になるよう励
磁コイル13に通電すると弁体９は弁孔８から離れてガス
が流れるようになり、この時の出口７におけるガス圧力
は前記の反発力とダイヤフラム10の有効受圧面積で決定
されるから励磁コイル13への通電量で下流のバーナへの
供給ガス圧を調節することが可能となる。又、通電しな
い状態では永久磁石11は磁石鉄心12との間に吸引力を生
じるので弁体９の表面に柔軟な弾性体15を設けておくこ
とによってガスの流れを停止させることも出来るように
なっていた。（例えば、実開昭55−49137号公報） 発明が解決しようとする問題点 しかしながら上記のような構成では、第８図の例では
多数の電磁弁を要するため制御装置としてのサイズが大
きくなって応用機器内への収納に不都合であったり、全
開状態での通電総量が高くなるため発熱が周辺機器に悪
影響を及ぼすと共に電源回路の大型高価格化を招くとい
う不都合があった。又、第９図の例では、最大流量に対
する最少流量の比すなわち絞り比に限界があって、通常
は1/4程度以下になると弁孔８との隙間が極めて小さく
なるため部分的に接触する状態となって通電量とガス供
給圧の関係が再現性に乏しい不安定なものであった。こ
のため実用に供し得る絞り比を任意に得たい用途には不
向きであった。又、永久磁石や磁気回路の製作誤差のた
め通電量とガス圧力の関係が品物ごとに異るので、最大
燃焼量及び最少燃焼量に相当する電流値を製作時に設定
する必要があった。更には、停止状態の弁部押圧力が永
久磁石の吸引力に基づくものであるから弱くて、確実な
気密性を期待することは出来ないものであった。

本発明は前記従来の問題点の解決を図るもので、ガス
量の絞り比を任意に高く設定すると共にその流量精度を
高く確保し、併わせて動作電力の低減と長期耐久信頼性
の向上を果すことを目的としたものである。

問題点を解決するための手段 本発明によるガス制御装置は、複数の流路を切換え開
閉するコックと、前記複数の流路に各々対応して設けた
オリフィスと、前記コックを回転駆動するモータと、前
記コック軸に取付けられ複数のコック停止位置に対応し
た出力信号と前記複数の各停止位置の間の非停止位置に
対応した出力信号を得る位置信号発生器と、前記位置信
号発生器からの現位置信号と目標位置信号を受けてコッ
ク回転方向を選択し目標位置信号がコック完全閉塞位置
の場合は現位置からの最短方向を選択し、目標位置信号
がコック完全閉塞位置以外の場合は前記閉塞位置を通ら
ない方向を選択する方向選択部と、前記方選択部に応じ
た方向の駆動信号を前記モータへ送る駆動制御部を備え
た構成である。

作用 本発明は、上記のような構成であるから、モータの回
転によってコックが複数の流路を切換え開閉し、コック
の停止位置によりガスが流れる流路の組み合わせを予め
設定した状態に選ぶことができる。その複数の流路に対
応して各々孔径が異なるオリフィスが設けてあるので、
コック停止位置によってガスが流れるオリフィスの孔の
組み合わせを選定したことになり、最大燃焼量から最少
燃焼量まで段階的に変化させることができる。したがっ
て最大燃焼量と最少燃焼量の絞り比は、オリフィスの孔
径によって決められるので任意に大きい絞り比の設定が
可能で、また流量精度は主にオリフィスの孔径に依存す
るのみなので、高いレベルを確保できる。次に、コック
の位置はコックの軸に取り付けられた位置信号発生器に
よって、コック停止位置に対応した位置およびその中間
の非停止位置も含めて監視している。したがって、燃焼
量を変更すべく目標位置が入力指示されると、方向選択
部が現位置信号と目標位置との関係からコックを時計方
向に回転すべきか反時計方向に回転すべきかを判断し、
駆動制御部を介してモータを回転し、目標位置信号に達
したらモータを停止させる。この場合、目標位置がコッ
クの完全閉塞位置なら最短角度方向を選択し、完全閉塞
位置でなければその完全閉塞位置を通らない方向が選択
される。またコックの軸に位置信号発生器を直接取り付
けた構成なので、モータギアのバックラッシや機械伝達
部のあそびガタの影響を受けずにコック自信の回転位置
を正確に検出できることと合わせて、位置信号発生器は
コック停止位置に対応した位置およびその中間の非停止
位置も割り付けてあり、非停止位置信号から目標位置の
停止位置信号に信号が変化した時モータに停止信号を出
し、慣性によってモータが停止するまでの時間遅れがあ
っても、段階的に流量が変化するコックなので、モータ
正逆転時とも目標流量位置に正確に停止できる。前述し
たようにモータ駆動部を動作させる必要があるのはガス
燃焼量を変化させる短時間であるから、発熱は無視でき
るし、電源も短時間定格で小型軽量化が容易となる。も
ちろんモータ駆動部の動作時間は燃焼時間に比べて圧倒
的に短い。

実 施 例 次に、本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。
第１図において、ガス流路16の途中に設けたコック17は
中心軸線で回転する閉子18とその外部のハウジング19か
ら構成されている。閉子18は第２図に示したような外観
形状であり軸線方向に複数の穴20a、20b、20c、20d、20
e、20fを設け、各穴とつながる周方向の長さが異る溝21
e、21c、21d、21e、21fが形成されている。一方、ハウ
ジング19には閉子18の穴20の高さ方向と一致させて複数
の流路22a、22b、22c、22d、22e、22fが径方向に貫通し
ており、その外側では前記の複数の流路22に各々対応し
た径の異るオリフィス23a、23b、23c、23d、23e、23fが
設けられている。前述した閉子の穴20と溝21とハウジン
グ19の流路22の回転方向における位置関係を第３図に示
した。破線で示した流路22を基準とした完全閉塞状態で
は角度ハの位置に穴20が一列に設けられ、各々の溝は角
度ニ、ホ、ヘ、トの位置まで延びている。溝21fのみ穴2
0fよりも基準位置イに近い角度ロからトの間に設けられ
ている。各穴は第２図、第３図とも一列に形成したが溝
21の範囲内であればどの位置にあっても動作に変わりは
ない。オリフィス23は各々の流路22ごとに独立して形成
しても良いが第１図や第４図のように一枚のオリフィス
板24としてまとめると構成が簡単になる。オリフィス23
通過した下流では継手25によって流路22fのみ独立し他
は合流して図示していないパイロットバーナと主バーナ
に接続されている。

閉子18の上端は断面Ｄ型の軸26となり第５図に示した
ような外観の位置信号発生部27の回転部中央に設けられ
たＤ型の穴28を貫通し、中継軸29を介してモータ駆動部
30により回転させられる。第６図（ａ）、（ｂ）は中継
軸29を介してモータ駆動部30により回転させられる。第
６図（ａ）、（ｂ）は中継軸29を示すもので閉子の軸26
の端面に設けた溝31にはまり込む凸部32と、その反対側
にはモータ駆動部30の出力軸33がはまり込む凹溝34が形
成されており、前記の凸部32と凹溝34とは直角の位置関
係に配置している。

位置信号発生器27は第７図のようなパターンを持つ基
板の表面を回転部に半径方向に並べた摺動ブラシが接触
しながら回転することによって最内周の共通面に対しそ
の外側４本が電気的にオン又はオフするアブソリュート
形エンコーダになっている。第７図で幅広の部分がオン
で細い部分がオフである。各々の制御環と接続した端子
を35a、35b、35c、35dとし、共通端子を36として、第７
図の各角度位置に応じたオン又はオフの組合せによる４
ビットの出力信号を示すと次の通りである。ここではオ
ンを１と表現しオフを０と表現している。

前記の表及び第７図の角度を示しイロ…ヘトは第３図
でのイロ…ヘトと対応している。従って、第３図の位置
関係では完全閉塞の位置関係にあるので閉子がこの位置
にある時に領域Ａに位置信号発生器27の接触ブラシがあ
る配置とすれば閉塞位置信号は1111である。反時計方向
に回転して領域Ｄに来ればオリフィス23fのみ流れてパ
イロットバーナにガスを送る状態となり、この時の信号
は1101である。次に領域Ｆになるとすべてのオリフィス
23にガスが流れる最大燃焼の状態となり信号は0001であ
る。更に回転するとオリフィス23の組合せが変化し領域
トではメインバーナはオリフィス23dのみを流れる最少
燃焼の状態となり信号は0010となる。

これらの出力信号パターンと各位置での燃焼量の関係
は予め方向選択部37が記憶していて、被加熱体の状況や
始動又は停止指令による目標位置信号と現位置信号を比
較してモータ駆動部30の回転方向を選択する。この場合
に、方向選択部37の中にある判定部38は、コックの完全
閉塞位置から始動する場合は、第７図に示すと反時計方
向へ回してパイロットバーナが先ず点火できる条件を満
たし、閉塞動作をする場合は角度イに最も早く達し得る
方向にモータを回し、燃焼量を変化させる場合は完全閉
塞位置を通らない方向にモータを回すように方向判定を
行うものである。この判定結果によりモータ駆動部30へ
の通電極性を決定する磁性切換部39を経て、駆動制御部
40がモータ電流のオンオフや停止すべき位置でブレーキ
をかけるブレーキ制御などの動作を行う。

以上述べたような構成であるから、既に述べた絞り比
の拡大と各位置での流量精度の確保はオリフィス板24の
オリフィス23径のみで決まるので容易に達成される。
又、ガス流量を変更しなくても良い状態ではモータ駆動
部30が電力消費しないので微少な消費電力にとどめるこ
とが出来る。特に第７図のようなパターンを持つアブソ
リュート形エンコーダを閉子自体に取付けることによっ
て閉子を誤差を含まない確実な位置に停止させることが
出来るので、閉子18の穴20とハウジング19の流路22が停
止状態で不一致となって生じる燃焼量減少の恐れがな
い。このことは、必要ガス量を供給するための前記穴20
や流路22の径に必要以上の余裕を見込まなくて良いた
め、閉止18の径や長さを小さく設計できることになり、
同時にモータ駆動部30の出力トルクも低減できるという
効果を生むものである。

ガス燃焼機器では点火させる時にパイロットバーナに
先ず点火し、その後にメインバーナに点火させる動作を
行わせると点火遅れによる爆発着火がないのでこのよう
な点火シーケンスを用いるが、本発明の構成では閉子18
の回転で簡単に実現できる。又、誤って閉塞位置イから
点火時に時計方向に回転したとしても、ただちに領域Ｐ
やＯの位置信号を確認するから誤りを自己検出すること
が出来る。

又、コックの寿命は無限ではないので、停止指令の時
に現在位置から最も早く閉塞位置へ達する方向に回すこ
とによってコックの摺動距離を短くする効果があり、実
使用面での耐久性向上に貢献することができる。

発明の効果 以上のように本発明のガス制御装置によれば、既に述
べた効果に加えて次のような効果がある。

（１） ガスを完全停止させる場合に最短方向へ回す制
御を行うので、停止する必要が生じてから消化するまで
の時間を短くできる。このことは、被加熱体の熱容量が
小さい時に過熱することを防ぐ効果があるもので、特に
調理機器に適用した場合には過熱による煮こぼれを防止
するのに効果的である。

（２）コックの軸に位置信号発生器を直接取り付けた構
成なので、モータギアのバックラッシや機械伝達部のあ
そびガタの影響を受けずにコック自信の回転位置を正確
に検出できることと合わせて、位置信号発生器はコック
停止位置に対応した位置およびその中間の非停止位置も
割り付けてあり、非停止位置信号から目標位置の停止位
置信号に信号が変化した時モータに停止信号を出し、慣
性によってモータが停止するまでの時間遅れがあって
も、段階的に流量が変化するコックなので、モータ正逆
転時とも目標流量位置に正確に停止でき、正確な流量制
御ができる。

（３）コックの軸に取り付けられた位置信号発生器によ
って、コック停止位置に対応した出力信号とその中間の
非停止位置に対応した出力信号が得られる構成なので、
方向選択部が判断した方向に回転しつつあるかどうか回
転開始直後の早期に確認でき、高い制御信頼性を確保で
きる。

（４）目標位置がコックの完全閉塞位置なら最短角度方
向を選択し、完全閉塞位置でなければその完全閉塞位置
を通らない方向を選択する方向選択部を備えた構成なの
で、燃焼を中断することなく燃焼量を可変でき安全で、
かつ動作がすばやく長寿命のガス制御装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるガス制御装置の要部
断面図、第２図は閉子の正面図および側面図、第３図は
閉子の穴と溝及びハウジングに設けた流路との位置関係
を示す展開図、第４図は多数のオリフィスを形成したオ
リフィス板の正面図、第５図は位置信号発生器の正面
図、第６図は中継軸の正面図および側面図、第７図はア
ブソリュート形エンコーダの摺動接触面のパターン図、
第８図は従来のガス制御装置のガス回路図、第９図は従
来の他の例を示す縦断面図である。 17……コック、22……複数の流路、23……オリフィス、
26……軸、27……位置信号発生器、30……モータ駆動
部、37……方向選択部、38……判断部、40……駆動制御
部。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−99571（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−713（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−159282（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭55−2723（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の流路を切換え開閉するコックと、前
   記複数の流路に各々対応して設けたオリフィスと、前記
   コックを回転駆動するモータ駆動部と、前記コック軸に
   取付けられ複数のコック停止位置に対応した出力信号と
   前記複数の各停止位置の間の非停止位置に対応した出力
   信号を得る位置信号発生器と、前記位置信号発生器から
   の現位置信号と目標位置信号を受けてコック回転方向を
   選択し目標位置信号がコック完全閉塞位置の場合は現位
   置からの最短方向を選択し、目標位置信号がコック完全
   閉塞位置以外の場合は前記閉塞位置を通らない方向を選
   択する方向選択部と、前記方向選択部に応じた方向の駆
   動信号を前記モータ駆動部へ送る駆動制御部からなるガ
   ス制御装置。
2. 【請求項２】位置信号発生器は、コック軸に直接取付け
   られ、複数のコック停止位置および前記複数の各停止位
   置の間の非停止位置に各々対応した異なるビット信号を
   発生するアブソリュート形エンコーダにてなる特許請求
   の範囲第１項記載のガス制御装置。