JPH0814323B2 - バタフライ弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、円筒状の弁本体内に円板状の弁体を回転
自在に軸支し、弁本体と弁体との間に介装されるシート
リングに弁体の外周縁を接離させて流路の開閉を行うバ
タフライ弁に関し、特に弁本体を２分割構造とし、弁本
体を互に締付けることにより弁の組み立てとパイプセグ
メントの取り付けとを行う形式のバタフライ弁に関す
る。

（従来の技術） 従来、円筒状の弁本体内に円板状の弁体を回転自在に
軸支し、弁本体と弁体との間に介装されるシートリング
に弁体の外周縁を接離させて流路の開閉を行うようにし
たバタフライ弁であって、第６、７図に示すように弁本
体を弁軸と直交する面に沿って上下２つの分割された弁
本体（1a）（1b）で構成し、弁本体（1a）（1b）のフラ
ンジ部（2a）（2b）をボルト・ナット（３）で締め付け
ることにより、内部に弁体（４）とシートリング（５）
を組み付け、更にパイプエンド（６）を結合するように
したバタフライ弁は公知である。

かかるバタフライ弁の弁本体（１）は精密鋳造により
形成され、全体としてコンパクトな形状を有し、メンテ
ナンスが容易な構造である。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この従来公知のバタフライ弁は、主要
部材である弁本体（１）が精密鋳造品である為、不必要
な部分に重量が付加されると共に、シートリングと密着
する弁本体内周面並びにパイプエンド（６）の端面を機
械加工しなければならない欠点があった。

又、シートリングは第７図に示すような厚肉の円筒形
状に形成せざるを得ない為、流体を閉止するための弁体
によるシートリングへの圧縮代が必然的に大きくなり、
シートリング着座面が摩耗により荒れ易く長期に亙って
安定したシール作用を保持することが出来ず、しかも弁
操作トルクも必要以上に大きくなっていた。

更に、かかる厚肉の円筒形状ではシートリングの総体
積が大きい為、弁本体が接合ボルトで締結される際のパ
イプエンドリップ部平面によるシートリング両端のガス
ケット面の押圧により、シートリングの圧縮体積が大き
くなり、シートリングが内径方向に膨出して弁着座部に
おける弁体とシートリングとの圧縮量が設計値を大きく
上回って来る結果、弁体の圧縮によるシートリング着座
面の荒れがより助長されてしまうという問題点があっ
た。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために、この発明が採った手段
は、弁軸と直交する平面で円筒体を上下に分割した形態
を有する２つの部材（10a）（10b）を相互にボルト・ナ
ット（12）で締結して略円筒状に形成される弁本体（1
0）と、該弁本体（10）内に回転自在に軸支される円板
状の弁体（18）と、弁本体（10）と弁体（18）との間に
介在されるシートリング（22）とからなり、弁本体（1
0）の締結時に弁本体（10）の両側端部にパイプセグメ
ント（23）を接続すると共に、シートリング（22）を圧
縮して弾性シールを達成するようにしたバタフライ弁に
おいて、弁本体（10）を構成する２分割形態の部材（10
a）（10b）を金属板材料のプレス成形により形成し、両
部材（10a）（10b）はその接合面に外径方向に延び出す
フランジ部（11）と、部材（10a）（10b）の中央部を円
周方向に延びる環状溝（13）と、該環状溝（13）の両側
において環状溝（13）と平行に円周方向に延び且外径方
向に突出したシートリング受入溝（14）並びにシートリ
ング受入溝（14）の外縁に延設される環状の係合リップ
（15）とを有し、パイプセグメント（23）はその端部に
外径方向に突出する環状のリップ部（26）と該リップ部
（26）に連接されパイプセグメント（23）の軸方向へ折
り返された係合溝（23）とを有し、前記２つの部材（10
a）（10b）の中央の環状溝（13）内に位置して弁軸筒
（16）（17）が挿通固定され、該弁軸筒（16）（17）の
内端は、弁本体（10）の内周面から内径方向に若干突出
しており、シートリング（22）は、前記弁軸筒（16）
（17）の内端突出部を受け入れるために弁軸孔（24）の
周囲に凹設した円形の溝（25）と、弁本体（10）と弁体
（18）との間に位置する密封部（22a）と、該密封部（2
2a）の両側から外径方向に延び出して前記シートリング
受入溝（14）内に嵌入しパイプセグメント（23）のリッ
プ部（26）からの圧縮を受ける鍔状シール部（22b）と
を有している。

（作 用） 弁本体を締付けるとき、弁本体（10）のシートリング
受入溝（14）内に嵌入したシートリング（22）の鍔状シ
ール部（22b）がパイプセグメント（23）のリップ部（2
6）で圧縮されシールされる。圧縮による鍔状シール部
（22b）の膨大は、シートリング受入溝（14）内の空隙
に逃出収容され、内径方向への膨出が防止される。シー
トリング（22）の弁軸孔（24）の周囲の円形の溝（25）
内に弁軸筒（16）（17）が嵌入係合している結果、弁体
への流体の負荷によってもたらされる弁軸孔（24）の変
形が防止される。

（発明の効果） この発明によれば下記のような効果がある。

シートリング密封部の肉厚を必要以上に大きくとる
必要がない為、弁体のシートリングへの圧縮量を小さく
出来、シール性能を長期に亙って安定に維持出来る。

シートリングの鍔状シール部において、パイプセグ
メントからの圧縮を弁本体内壁で受けることが出来、シ
ートリングの圧縮による逃げのほとんどを、弁本体とパ
イプセグメントとの間の空隙に収容分散させ、内径方向
への膨出を防止出来るため、トルクオーバー並びにシー
トリング着座部の摩耗を防止出来る。

弁本体、パイプセグメント等の構成部品をプレス加
工化することが出来、加工数の削減とコストの低減を図
ることが出来る。

シートリングの弁軸孔周囲の円形の溝に弁軸筒を嵌
入して、弁軸孔の変形が防止されているので、軸シール
部のシール性能の安定が図れる。

弁本体並びにパイプセグメントが薄板、薄肉パイプ
で構成出来る為、不必要な肉厚部の削減が出来、軽量化
が図れる結果、配管作業が容易となる。

（実施例） 以下に図面を参照しつつ、この発明の好ましい実施例
について説明する。図において（10）は全体として略円
筒形状をなすバタフライ弁の弁本体であって、弁軸と直
交する平面に沿って上下２つの部材（10a）（10b）に分
割された２分割の形態を成し、両部材（10a）（10b）の
接合面には外径方向に延び出すフランジ部（11）（11）
を備え、該フランジ部の（11）（11）間に挿通される締
結用ボルト・ナット（12）により締結されて円筒形状の
弁本体を構成する。

弁本体（10）を構成する２つの部材（10a）（10b）は
薄鋼板等の金属板材料からプレス成形により形成され
る。両部材（10a）（10b）は対称的な形状を有し、中央
部に円周方向に沿って延びる環状溝（13）を有し、該環
状溝（13）の両側に外径方向に突出する断面着状のシ
ートリング受入溝（14）が環状溝（13）に沿って環状に
形成される。該シートリング受入溝（14）の外縁には、
後述するパイプセグメントと係合する環状の係合リップ
（15）が外方へ向かって延出される。

弁本体（10）を構成する２つの部材（10a）（10b）の
中央部には、弁棒を挿通軸支するパイプ材からなる弁軸
筒（16）（17）が溶接等の手段で植立固定され、両弁軸
筒（16）（17）の内端は、弁本体（10）の内周面から内
径方向へ若干突出して終端している。一方の弁軸筒（1
6）の外端は外方へ延び出して開放されており、他方の
弁軸筒（17）の外端は閉塞される。弁本体（10）内に配
設された円板状の弁体（18）が弁軸筒（16）（17）に挿
通軸支された弁棒（19）（20）により回転自在にされて
おり、一方の弁棒（19）の角柱部（19a）との係合によ
り弁体（18）は弁棒（19）により駆動回転される。この
駆動側の弁棒（19）は弁軸筒（16）の外方へ延び出し、
所望の駆動手段が連結される。（21）は弁軸筒（16）
（17）内で弁棒（19）（20）を軸支する軸受である。

（22）は弁本体（10）の内周面と弁体（18）の外周縁
との間に介挿されるシートリングであって、ゴム等の軟
弾性材料で形成される。シートリング（22）は弁本体
（10）と弁体（18）との間に位置して、弁の開閉に作用
する略平板状の密封部（22a）と、弁本体（10）と後述
するパイプセグメント（23）との間に位置して両者の間
をシールする鍔状シール部（22b）とを有する。第５図
に示すように、シートリング（22）の直径方向対向位置
には、弁棒（19）（20）を挿通するための弁軸孔（24）
が穿孔されると共に、該弁軸孔（24）の外面周囲には、
前記弁軸筒（16）（17）の内方突出部を受け入れるため
の円形の溝（25）が凹設される。そして、弁の組立時
に、この円形の溝（25）内に弁軸筒（16）（17）の内端
部が嵌入され、シートリング（22）が弁軸筒（16）（1
7）で保持される結果、弁閉止時における流体圧による
弁体の移動に伴うシートリングの弁軸孔（24）の変形が
防止され、軸シール部のシール性能が安定化される。

パイプセグメント（23）は、その一端に外周方向に延
び出すリップ部（26）を有し、該リップ部（26）に連続
して、弁本体（10）の係合リップ（15）を受け入れる係
合溝（27）が形成される。弁本体（10）のシートリング
受入溝（14）内に嵌入した前記シートリング（22）の鍔
状シール部（22b）がこのパイプセグメント（23）のリ
ップ部（26）により圧縮され、密封性が作出される。
又、係合リップ部（15）が係合溝（27）に嵌入係合し
て、弁本体（10）とパイプセグメント（23）とが連結さ
れる。

弁本体（10）のフランジ部（11）に挿通された締結用
ボルト・ナット（12）を締め付けるとき、弁本体（10の
シートリング受入溝（14）内で、パイプセグメント（2
3）のリップ部（26）で締め付け圧縮されたシートリン
グ（22）の鍔状シール部（22b）は、空隙（28）（第４
図）に向かって膨出し、内周方向への膨みが防止され
る。かくして、パイプセグメント（23）のリップ部（2
6）によるシートリング（22）への押圧力は、そのほと
んどが弁本体とパイプセグメント（23）との間に挟まれ
た鍔状シール部（22b）で吸収され、圧縮によるシート
リング（22）の逃げは、空隙（28）に収容されることと
なる。

この結果、弁本体（10）の締め付けによるシートリン
グへの圧縮で、弁体（18）との密封に作用する密封部
（22a）が内径方向へ膨んで来ることがない為、確実な
シール性が保障されると共に、シートリング（22）へ弁
体の喰込量が増大して駆動トルクが設計値より大きくな
るトルクオーバーが発生して来るおそれがなくなる。

弁本体（10）並びにパイプセグメント（23）のリップ
部（26）とこれに続く係合溝（27）は薄金属板のプレス
加工により形成出来、又パイプセグメント本体と弁軸筒
（16）（17）は汎用のパイプを採用することが出来る
為、従来の精密鋳造にみられた不必要な重量を削減出
来、且機械加工を不要とすることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るバタフライ弁の組立状態を示す
全体の斜視図、第２図は正面図、第３図は第２図III−I
II線に沿った断面図、第４図は要部の拡大断面図、第５
図はシートリングの一部拡大斜視図、第６図は従来のバ
タフライ弁の正面図、第７図は同シートリング密封部の
拡大断面図である。 （10）……弁本体、（11）……フランジ部 （12）……締結用ボルト・ナット、（13）……環状溝 （14）……シートリング受入溝、（15）……係合リップ （16）（17）……弁軸筒、（18）……弁体 （19）（20）……弁棒、（21）……軸受 （22）……シートリング、（23）……パイプセグメント （24）……弁軸孔、（25）……円形の溝 （26）……リップ部、（27）……係合溝 （28）……空隙

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弁軸と直交する平面で円筒体を上下に分割
   した形態を有する２つの部材（10a）（10b）を相互にボ
   ルト・ナット（12）で締結して略円筒状に形成される弁
   本体（10）と、該弁本体（10）内に回転自在に軸支され
   る円板状の弁体（18）と、弁本体（10）と弁体（18）と
   の間に介在されるシートリング（22）とからなり、弁本
   体（10）の締結時に弁本体（10）の両側端部にパイプセ
   グメント（23）を接続すると共に、シートリング（22）
   を圧縮して弾性シールを達成するようにしたバタフライ
   弁において、弁本体（10）を構成する２分割形態の部材
   （10a）（10b）を金属板材料のプレス成形により形成
   し、両部材（10a）（10b）はその接合面に外径方向に延
   び出すフランジ部（11）と、部材（10a）（10b）の中央
   部を円周方向に延びる環状溝（13）と、該環状溝（13）
   の両側において環状溝（13）と平行に円周方向に延び且
   外径方向に突出したシートリング受入溝（14）並びにシ
   ートリング受入溝（14）の外縁に延設される環状の係合
   リップ（15）とを有し、パイプセグメント（23）はその
   端部に外径方向に突出する環状のリップ部（26）と該リ
   ップ部（26）に連接されパイプセグメント（23）の軸方
   向へ折り返された係合溝（23）とを有し、前記２つの部
   材（10a）（10b）の中央の環状溝（13）内に位置して弁
   軸筒（16）（17）が挿通固定され、該弁軸筒（16）（1
   7）の内端は、弁本体（10）の内周面から内径方向に若
   干突出しており、シートリング（22）は、前記弁軸筒
   （16）（17）の内端突出部を受け入れるために弁軸孔
   （24）の周囲に凹設した円形の溝（25）と、弁本体（1
   0）と弁体（18）との間に位置する密封部（22a）と、該
   密封部（22a）の両側から外径方向に延び出して前記シ
   ートリング受入溝（14）内に嵌入しパイプセグメント
   （23）のリップ部（26）からの圧縮を受ける鍔状シール
   部（22b）とを有しており、フランジ部（11）にボルト
   ・ナット（12）を挿通して部材（10a）（10b）、弁体
   （18）シートリング（22）並びにパイプセグメント（2
   3）を相互に接合するとき、係合リップ（15）が係合溝
   （27）に嵌入すると共に、シートリング受入溝（14）と
   リップ部（26）との間にシートリング（22）の弾性変形
   を受け入れる空隙（28）が作出されていることを特徴と
   するバタフライ弁。