JPH08142359A - 記録装置及びその製造方法 - Google Patents
記録装置及びその製造方法Info
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- JPH08142359A JPH08142359A JP31596594A JP31596594A JPH08142359A JP H08142359 A JPH08142359 A JP H08142359A JP 31596594 A JP31596594 A JP 31596594A JP 31596594 A JP31596594 A JP 31596594A JP H08142359 A JPH08142359 A JP H08142359A
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 印画紙50に対向する染料収容部87と、この染
料収容部87の染料22を加熱により印画紙50へ飛翔させる
ための気化構造体101 と、染料収容部87へ染料22を供給
するための供給通路84を設けたスペーサ82とを有し、気
化構造体101 がスペーサ82上に一体に設けられているプ
リンタヘッド70又はプリンタ200 。 【効果】 熱転写記録方式の特長を生かしながら、染料
等の記録材を良好に飛翔させて記録性能を向上させると
共に、取り扱いや加工上の破損をなくし、位置合わせや
接着剤の塗布工程等を改善して歩留りの向上及びコスト
の低減を図り、また、精度を向上させて特性のバラツキ
を改善し、加工部分の強度を増して信頼性を向上させた
プリンタヘッド又はプリンタ、及びその製造方法を提供
することができる。
料収容部87の染料22を加熱により印画紙50へ飛翔させる
ための気化構造体101 と、染料収容部87へ染料22を供給
するための供給通路84を設けたスペーサ82とを有し、気
化構造体101 がスペーサ82上に一体に設けられているプ
リンタヘッド70又はプリンタ200 。 【効果】 熱転写記録方式の特長を生かしながら、染料
等の記録材を良好に飛翔させて記録性能を向上させると
共に、取り扱いや加工上の破損をなくし、位置合わせや
接着剤の塗布工程等を改善して歩留りの向上及びコスト
の低減を図り、また、精度を向上させて特性のバラツキ
を改善し、加工部分の強度を増して信頼性を向上させた
プリンタヘッド又はプリンタ、及びその製造方法を提供
することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録装置及びその製造
方法に関するものである。
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、テレビジョン、コ
ンピュータグラフィクス等の画像記録において、モノカ
ラーの記録は勿論のこと、ハードコピーのカラー化に対
するニーズが高まっている。これに対応して、色々な方
式のプリンタが開発され、様々な分野に展開している。
ンピュータグラフィクス等の画像記録において、モノカ
ラーの記録は勿論のこと、ハードコピーのカラー化に対
するニーズが高まっている。これに対応して、色々な方
式のプリンタが開発され、様々な分野に展開している。
【0003】これらの記録方式の中で、適当なバインダ
樹脂中に高濃度の転写染料が分散してなるインク層が塗
布されたインクシートと、転写された染料を受容する染
着樹脂がコーティングされた印画紙等の被転写体とを一
定の圧力で密着させ、インクシート上に位置する感熱記
録ヘッドから画像情報に応じた熱を加え、この加熱に応
じてインクシートから染料受容層に転写染料を熱転写さ
せる方式がある。
樹脂中に高濃度の転写染料が分散してなるインク層が塗
布されたインクシートと、転写された染料を受容する染
着樹脂がコーティングされた印画紙等の被転写体とを一
定の圧力で密着させ、インクシート上に位置する感熱記
録ヘッドから画像情報に応じた熱を加え、この加熱に応
じてインクシートから染料受容層に転写染料を熱転写さ
せる方式がある。
【0004】上記の操作を例えば、減法混色の三原色で
あるイエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号
についてそれぞれ繰り返すことによって、フルカラー画
像を得るようにしたいわゆる熱転写方式は、小型化、保
守が容易で、即時性を備え、銀塩カラー写真並の高品位
な画像を得る優れた技術として注目を集めてはいる。
あるイエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号
についてそれぞれ繰り返すことによって、フルカラー画
像を得るようにしたいわゆる熱転写方式は、小型化、保
守が容易で、即時性を備え、銀塩カラー写真並の高品位
な画像を得る優れた技術として注目を集めてはいる。
【0005】図23は、こうした熱転写方式のプリンタの
要部の概略正面図である。このプリンタによれば、感熱
記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと称する。)1とプ
ラテンローラ3とが対向し、これらの間に、ベースフィ
ルム12b上にインク層12aを設けたインクシート12と、
紙40b上に染着樹脂層(染料受容層)40aを設けた被記
録紙(被転写体)40とが挟着された状態で、プラテンロ
ーラ3によってサーマルヘッド1に押し付けられる。
要部の概略正面図である。このプリンタによれば、感熱
記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと称する。)1とプ
ラテンローラ3とが対向し、これらの間に、ベースフィ
ルム12b上にインク層12aを設けたインクシート12と、
紙40b上に染着樹脂層(染料受容層)40aを設けた被記
録紙(被転写体)40とが挟着された状態で、プラテンロ
ーラ3によってサーマルヘッド1に押し付けられる。
【0006】そして、サーマルヘッド1によって選択的
に加熱されたインク層12a中のインク(転写染料)が、
被転写体20の染着樹脂層20aにドット状に転写され、熱
転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、一
般に、長手状のサーマルヘッドを被記録紙走行方向に直
交させて固定して配したライン方式や、サーマルヘッド
を記録紙走行方向に直交する方向に往復動させるシリア
ル方式が採用されている。
に加熱されたインク層12a中のインク(転写染料)が、
被転写体20の染着樹脂層20aにドット状に転写され、熱
転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、一
般に、長手状のサーマルヘッドを被記録紙走行方向に直
交させて固定して配したライン方式や、サーマルヘッド
を記録紙走行方向に直交する方向に往復動させるシリア
ル方式が採用されている。
【0007】ところで、本出願人は、上記した如き熱転
写記録方式の利点を生かしつつ、廃棄物及び転写エネル
ギーを低減し、プリンタを小型、軽量化するために、図
24に示すような非接触方式の染料気化型レーザビームプ
リンタ(LBP)を既に提案した。
写記録方式の利点を生かしつつ、廃棄物及び転写エネル
ギーを低減し、プリンタを小型、軽量化するために、図
24に示すような非接触方式の染料気化型レーザビームプ
リンタ(LBP)を既に提案した。
【0008】この記録方式によれば、熱溶融性の染料層
22を気化部17に有する記録ヘッド(例えばシリアル型の
プリンタヘッド)40と、気化した(或いは昇華した)染
料32を受容する受容層50aを持つ被記録体(印画紙)50
との間に1μm〜1mmの範囲の微小空隙17aを設けてい
る。
22を気化部17に有する記録ヘッド(例えばシリアル型の
プリンタヘッド)40と、気化した(或いは昇華した)染
料32を受容する受容層50aを持つ被記録体(印画紙)50
との間に1μm〜1mmの範囲の微小空隙17aを設けてい
る。
【0009】そして、レーザ光Lの照射によって、記録
ヘッド40の気化部17の染料収容部37に収容した液化染料
22をその沸点近傍まで選択的に加熱して気化させ、気化
染料32を空隙17a内で飛翔させて、気化穴23から被記録
体である印画紙50上に転写し、連続的な階調を持つ画像
を得る。この操作を減法混色の三原色であるイエロー、
マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞ
れ繰り返すことによって、フルカラー化を達成できる。
ヘッド40の気化部17の染料収容部37に収容した液化染料
22をその沸点近傍まで選択的に加熱して気化させ、気化
染料32を空隙17a内で飛翔させて、気化穴23から被記録
体である印画紙50上に転写し、連続的な階調を持つ画像
を得る。この操作を減法混色の三原色であるイエロー、
マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞ
れ繰り返すことによって、フルカラー化を達成できる。
【0010】なお、この記録方式では、印画紙50を記録
ヘッド40に対して例えば上方側で対向させ、気化部17の
上面付近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光さ
れたレーザ光Lを照射して気化染料32を上方に飛翔若し
くは移行させるのがよい。
ヘッド40に対して例えば上方側で対向させ、気化部17の
上面付近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光さ
れたレーザ光Lを照射して気化染料32を上方に飛翔若し
くは移行させるのがよい。
【0011】この場合、転写染料が加熱手段により空隙
17aを移動するためには、気化現象の他に、高出力レー
ザが照射された時にしばしば見られ、染料分子の結合が
効率よく切断されてそのエネルギーを利用して非常に大
きい速度でエッチングされる現象や、沸騰や爆発により
発生したガスのエネルギーを利用して非常に大きい速度
でエッチングされる現象も利用できる(こうした気化機
構以外の転写機構をアブレーションと称する:以下、同
様)。
17aを移動するためには、気化現象の他に、高出力レー
ザが照射された時にしばしば見られ、染料分子の結合が
効率よく切断されてそのエネルギーを利用して非常に大
きい速度でエッチングされる現象や、沸騰や爆発により
発生したガスのエネルギーを利用して非常に大きい速度
でエッチングされる現象も利用できる(こうした気化機
構以外の転写機構をアブレーションと称する:以下、同
様)。
【0012】また、レーザ光透過性のあるヘッドベース
14に染料溜め15を設け、ヘッドベース14上に固定した蓋
体13との間に液化染料22を収容し、ここから染料通路27
を経て気化部17に液化染料22を供給する。この場合、気
化部17への染料の供給効率及び気化効率の向上のため
に、発熱によって生じる染料の表面張力低下による染料
逃げを防止し、毛細管現象を利用して継続的な染料の供
給及び保持を行うために、小さなビーズ21からなるビー
ズ集合体20を気化部17に設けている。
14に染料溜め15を設け、ヘッドベース14上に固定した蓋
体13との間に液化染料22を収容し、ここから染料通路27
を経て気化部17に液化染料22を供給する。この場合、気
化部17への染料の供給効率及び気化効率の向上のため
に、発熱によって生じる染料の表面張力低下による染料
逃げを防止し、毛細管現象を利用して継続的な染料の供
給及び保持を行うために、小さなビーズ21からなるビー
ズ集合体20を気化部17に設けている。
【0013】そして、上記の空隙11を保持し、X方向
(紙面垂直方向)に移動する印画紙50をガイドするため
に、蓋体13上に保護板(図示せず)を固定している。こ
の保護板には、上記の染料の液化状態を保持するための
ヒータが埋設されていてよいが、ここではヒータ26は染
料収容部(上記の通路27)内に配設する。
(紙面垂直方向)に移動する印画紙50をガイドするため
に、蓋体13上に保護板(図示せず)を固定している。こ
の保護板には、上記の染料の液化状態を保持するための
ヒータが埋設されていてよいが、ここではヒータ26は染
料収容部(上記の通路27)内に配設する。
【0014】固体染料収納槽41内の固形粉末状の熱溶融
性染料42は、逆止弁44によって供給口43から供給され、
ヒータ26により融解点まで加熱されて溶融(液化)され
る。この液化染料22は、ビーズ集合体20による毛細管現
象によって気化部17のビーズ集合体20の上面に定量ずつ
高速に供給される。
性染料42は、逆止弁44によって供給口43から供給され、
ヒータ26により融解点まで加熱されて溶融(液化)され
る。この液化染料22は、ビーズ集合体20による毛細管現
象によって気化部17のビーズ集合体20の上面に定量ずつ
高速に供給される。
【0015】また、このプリンタヘッドを含むプリンタ
全体は、例えばフルカラー用として図25に示すように、
イエロー、マゼンタ、シアンの各染料溜め15Y、15M、
15Cをそれぞれ共通のベース14に設けて各染料供給部又
は供給ヘッド部37Y、37M、37Cを構成し、そこから各
色の染料を12〜24個の多数のドットを形成する列状の気
化部17Y、17M、17Cに供給する。
全体は、例えばフルカラー用として図25に示すように、
イエロー、マゼンタ、シアンの各染料溜め15Y、15M、
15Cをそれぞれ共通のベース14に設けて各染料供給部又
は供給ヘッド部37Y、37M、37Cを構成し、そこから各
色の染料を12〜24個の多数のドットを形成する列状の気
化部17Y、17M、17Cに供給する。
【0016】各気化部に対しては、対応するレーザ(特
に半導体レーザチップ)18を各12〜24個アレイ状に配し
たマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多
数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によ
ってそれぞれ集光する(36はレーザ光Lを直角方向に導
くためのミラー)。
に半導体レーザチップ)18を各12〜24個アレイ状に配し
たマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多
数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によ
ってそれぞれ集光する(36はレーザ光Lを直角方向に導
くためのミラー)。
【0017】集光レンズとしては、図示したレンズ系で
もよいが、仮想線で示す1枚の径大の集光レンズ38を使
用してよい。このレンズ38は、光入射位置に応じて光出
射位置が上記の各気化部17C、17M、17Yに相当するよ
うに屈折経路が変化するように形成されたものである。
なお、マルチレーザアレイ30は、基板33に設けたコント
ロールIC34によって駆動制御し、またヒートシンク35
によって十分に放熱できるようになっている。
もよいが、仮想線で示す1枚の径大の集光レンズ38を使
用してよい。このレンズ38は、光入射位置に応じて光出
射位置が上記の各気化部17C、17M、17Yに相当するよ
うに屈折経路が変化するように形成されたものである。
なお、マルチレーザアレイ30は、基板33に設けたコント
ロールIC34によって駆動制御し、またヒートシンク35
によって十分に放熱できるようになっている。
【0018】なお、モノカラー印刷の場合は、図26に示
すように、1次元レーザアレイ30を作製し、それぞれの
レーザ素子を独立かつ並列に動作できる構造にすること
によって、簡単にビーム数の一倍以上の印刷速度が得ら
れる(例えば24ビームのレーザアレイを用いれば24倍の
速度となる)。
すように、1次元レーザアレイ30を作製し、それぞれの
レーザ素子を独立かつ並列に動作できる構造にすること
によって、簡単にビーム数の一倍以上の印刷速度が得ら
れる(例えば24ビームのレーザアレイを用いれば24倍の
速度となる)。
【0019】上記した各プリンタヘッドはいずれも、染
料収容部37を記録ドット数に対応した個数分だけ液化染
料22をドット状に収容すると共に、レーザ18も記録ドッ
ト数の各発光点を有するアレイ状に配したものである。
レーザ18に依らない上記の熱転写方式のプリンタでも、
サーマルヘッド1の加熱部も同様にドット状に配列され
ている。
料収容部37を記録ドット数に対応した個数分だけ液化染
料22をドット状に収容すると共に、レーザ18も記録ドッ
ト数の各発光点を有するアレイ状に配したものである。
レーザ18に依らない上記の熱転写方式のプリンタでも、
サーマルヘッド1の加熱部も同様にドット状に配列され
ている。
【0020】上記したように、この染料気化型レーザビ
ームプリンタによれば、記録に消費される染料について
は、その失われた分だけを染料溜めから溶融状態で気化
部へ自発的若しくは強制的に流すことにより、或いは、
適当な基体上に連続的に塗布され、その基体が転写部に
移動することにより、気化部へ連続的に供給することが
できる。これは、染料がバインダ樹脂を殆ど含有しない
ために、可能となる。従って、記録に関与する気化部
は、繰り返して多数回使用できるので、上述した熱転写
方式においてはインクシートが1回限りの使い捨てであ
るのに対し、省資源及び環境保護の面で有利である。
ームプリンタによれば、記録に消費される染料について
は、その失われた分だけを染料溜めから溶融状態で気化
部へ自発的若しくは強制的に流すことにより、或いは、
適当な基体上に連続的に塗布され、その基体が転写部に
移動することにより、気化部へ連続的に供給することが
できる。これは、染料がバインダ樹脂を殆ど含有しない
ために、可能となる。従って、記録に関与する気化部
は、繰り返して多数回使用できるので、上述した熱転写
方式においてはインクシートが1回限りの使い捨てであ
るのに対し、省資源及び環境保護の面で有利である。
【0021】また、気化型又はアブレーション型である
ために、染料層と被記録体(印画紙)とが接触しないで
記録を行え、従って、2回目以降のプリント時に上述し
た熱転写方式でみられるような染料の逆転写、混色は生
じることがないと共に、加熱部分は気化部を含むヘッド
のみとなり、上述した熱転写方式に比べて著しく消費電
力が低減する。同時に、染料の供給に上述したインクシ
ートではなく小体積の染料溜めを使用するために、プリ
ンタを小型、軽量化できる。
ために、染料層と被記録体(印画紙)とが接触しないで
記録を行え、従って、2回目以降のプリント時に上述し
た熱転写方式でみられるような染料の逆転写、混色は生
じることがないと共に、加熱部分は気化部を含むヘッド
のみとなり、上述した熱転写方式に比べて著しく消費電
力が低減する。同時に、染料の供給に上述したインクシ
ートではなく小体積の染料溜めを使用するために、プリ
ンタを小型、軽量化できる。
【0022】また、この記録方式は、染料の気化又は昇
華を利用したものであるために、上述の熱転写方式のよ
うに被記録体の染料受容層を加熱する必要がなく、イン
クシートと被記録体とを高い圧力で押し付ける必要もな
く、この点でもプリンタの小型化、軽量化に有利であ
る。そして、気化部の染料層と被記録体とが接触しない
ために、それらの間で熱融着が起こり得ないだけではな
く、染料と受容層樹脂の相溶性が小さくても記録可能で
ある。従って、染料及び受容層樹脂の設計、選択の幅が
著しく広がる。
華を利用したものであるために、上述の熱転写方式のよ
うに被記録体の染料受容層を加熱する必要がなく、イン
クシートと被記録体とを高い圧力で押し付ける必要もな
く、この点でもプリンタの小型化、軽量化に有利であ
る。そして、気化部の染料層と被記録体とが接触しない
ために、それらの間で熱融着が起こり得ないだけではな
く、染料と受容層樹脂の相溶性が小さくても記録可能で
ある。従って、染料及び受容層樹脂の設計、選択の幅が
著しく広がる。
【0023】また、染料の気化(或いは昇華)のための
熱エネルギー供給源として、光源に半導体レーザ18を用
いることを基本としているが、半導体レーザは電力から
光への変換効率が高く、その上、指向性、集光性に優れ
ているので、染料の熱エネルギー伝達効率も非常に高
い。従って、従来方式(上記のサーマルヘッドによる熱
転写やインクジェット)に比べてトータルのエネルギー
利用効率が格段に高くなり、小型化や省電力化に有利に
なるという特徴も有する。
熱エネルギー供給源として、光源に半導体レーザ18を用
いることを基本としているが、半導体レーザは電力から
光への変換効率が高く、その上、指向性、集光性に優れ
ているので、染料の熱エネルギー伝達効率も非常に高
い。従って、従来方式(上記のサーマルヘッドによる熱
転写やインクジェット)に比べてトータルのエネルギー
利用効率が格段に高くなり、小型化や省電力化に有利に
なるという特徴も有する。
【0024】さらに、従来のインクジェット方式のカラ
ープリンタでは、階調表現が難しいが、半導体レーザは
出力パワーやパルス幅等の制御が容易であるため、上記
の記録方式では簡単に多階調表現が実現できる。即ち、
カラービデオカメラ等で作りだされた電気的な画像を半
導体レーザによって画像信号に応じた染料転写に変換
し、銀塩写真に匹敵する少なくとも1色当たり 128階調
を持つフルカラー画像を形成することができる。
ープリンタでは、階調表現が難しいが、半導体レーザは
出力パワーやパルス幅等の制御が容易であるため、上記
の記録方式では簡単に多階調表現が実現できる。即ち、
カラービデオカメラ等で作りだされた電気的な画像を半
導体レーザによって画像信号に応じた染料転写に変換
し、銀塩写真に匹敵する少なくとも1色当たり 128階調
を持つフルカラー画像を形成することができる。
【0025】なお、この染料気化型の記録方法に適した
転写体としてのヘッド40は、転写時に瞬間的に加わる熱
量に対して十分耐える性質と、気化部(転写部)へ毛細
管現象により自発的に液状の染料を供給するための表面
積が大きくかつ転写時にも強固に染料を保持することの
できる構造(図24での20)とを有することが好ましい。
また、適当な保温装置を設けることによって、融点が室
温以上である染料又は染料混合物の使用も可能になる。
転写体としてのヘッド40は、転写時に瞬間的に加わる熱
量に対して十分耐える性質と、気化部(転写部)へ毛細
管現象により自発的に液状の染料を供給するための表面
積が大きくかつ転写時にも強固に染料を保持することの
できる構造(図24での20)とを有することが好ましい。
また、適当な保温装置を設けることによって、融点が室
温以上である染料又は染料混合物の使用も可能になる。
【0026】また、この記録方法に適した転写染料は、
適当な気化速度又はアブレーション速度を有し、単独若
しくは混合状態で 200℃以下において流動状態を示し、
かつ必要十分な耐熱性を具備していれば、どのような染
料でもよい。具体的には、分散染料、油溶性染料、塩基
性染料、酸性染料などが挙げられる。特に、アブレーシ
ョン機構が気化機構よりも優位を占める場合は、直接染
料のように分子量が大きくて気化速度が小さい染料や、
カーボンブラックや顔料でさえも転写は可能である。融
点が室温以上にある染料でも、染料同士を混合すること
により、或いは染料と揮発性の低分子量物質を混合する
ことにより、融点は低下する。
適当な気化速度又はアブレーション速度を有し、単独若
しくは混合状態で 200℃以下において流動状態を示し、
かつ必要十分な耐熱性を具備していれば、どのような染
料でもよい。具体的には、分散染料、油溶性染料、塩基
性染料、酸性染料などが挙げられる。特に、アブレーシ
ョン機構が気化機構よりも優位を占める場合は、直接染
料のように分子量が大きくて気化速度が小さい染料や、
カーボンブラックや顔料でさえも転写は可能である。融
点が室温以上にある染料でも、染料同士を混合すること
により、或いは染料と揮発性の低分子量物質を混合する
ことにより、融点は低下する。
【0027】また、この記録方法に適した印画紙は、転
写染料と適当な相溶性を有し、転写染料を容易に受容し
て染料本来の発色を促進し、かつ染料を固定する作用が
あれば、どのような印画紙でもよい。例えば、分散染料
に対しては、分散染料と相溶性の良いポリエステル樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂等を表面にコ
ートした紙などが好ましい。印画紙に転写された染料の
定着は、転写後の画像を加温して、表面の転写染料を受
像層内部に浸透させる方式も可能である。
写染料と適当な相溶性を有し、転写染料を容易に受容し
て染料本来の発色を促進し、かつ染料を固定する作用が
あれば、どのような印画紙でもよい。例えば、分散染料
に対しては、分散染料と相溶性の良いポリエステル樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂等を表面にコ
ートした紙などが好ましい。印画紙に転写された染料の
定着は、転写後の画像を加温して、表面の転写染料を受
像層内部に浸透させる方式も可能である。
【0028】染料転写方式の加熱手段は、大別して、熱
ヘッドによる方法と、レーザ光と、レーザ光の波長領域
を含む波長領域に吸収を示し、光エネルギーを熱エネル
ギーに変換する材料(光熱変換体)(図示せず)とレー
ザ光とを組み合わせる方法とが挙げられる。
ヘッドによる方法と、レーザ光と、レーザ光の波長領域
を含む波長領域に吸収を示し、光エネルギーを熱エネル
ギーに変換する材料(光熱変換体)(図示せず)とレー
ザ光とを組み合わせる方法とが挙げられる。
【0029】レーザ光を使用する場合には、解像度が著
しく向上すると共に、レーザ光密度を光学系で大きくす
ることにより集中的な加熱が可能となり、到達温度が上
がり、この結果、熱効率が向上するという特徴がある。
特に、マルチレーザを使用することによって、1画面を
転写する時間は大幅に短縮される。
しく向上すると共に、レーザ光密度を光学系で大きくす
ることにより集中的な加熱が可能となり、到達温度が上
がり、この結果、熱効率が向上するという特徴がある。
特に、マルチレーザを使用することによって、1画面を
転写する時間は大幅に短縮される。
【0030】但し、光熱変換体は、連続的に光エネルギ
ーのレーザ光を吸収するために耐熱性を十分に満足する
ものでなければならない。従って、この方式に用いる光
熱変換体としては、レーザの発光波長に一致する吸収を
示す金属薄膜、金属薄膜と高誘電率を持つセラミック薄
膜との2層膜等の薄膜系光吸収体を直接転写部に設ける
他に、カーボンブラック、金属微粒子等の微粒子系光吸
収体や、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色
素、シアニン系色素、アントラキノン系色素等の有機系
色素又は有機金属系色素等の如く耐熱性の優れた染料又
は顔料を転写染料に均一に分散して使用してもよい。
ーのレーザ光を吸収するために耐熱性を十分に満足する
ものでなければならない。従って、この方式に用いる光
熱変換体としては、レーザの発光波長に一致する吸収を
示す金属薄膜、金属薄膜と高誘電率を持つセラミック薄
膜との2層膜等の薄膜系光吸収体を直接転写部に設ける
他に、カーボンブラック、金属微粒子等の微粒子系光吸
収体や、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色
素、シアニン系色素、アントラキノン系色素等の有機系
色素又は有機金属系色素等の如く耐熱性の優れた染料又
は顔料を転写染料に均一に分散して使用してもよい。
【0031】
【発明に至る経過】また、本出願人は、インクシート及
び感熱ヘッドを必要としないで、省電力、小型化及び低
コストを図った他の昇華型カラービデオプリンタを特願
平5−236541号、特願平4−300587号、特願平5−1124
1 号、特願平5−12106 号等において提案している。
び感熱ヘッドを必要としないで、省電力、小型化及び低
コストを図った他の昇華型カラービデオプリンタを特願
平5−236541号、特願平4−300587号、特願平5−1124
1 号、特願平5−12106 号等において提案している。
【0032】このプリンタの類似構造を図27〜図31によ
って具体的に説明する(但し、図24のヘッドと共通する
部分には共通符号を付す。)と、ヘッド部60は、分散染
料としての固形粉末状の昇華染料42を収納する染料槽41
と、下側に位置する高強度材からなる耐摩耗性の保護層
61と、中央に位置するスペーサ62と、上側に位置するヘ
ッドベース63とによって構成されている。なお、図28
は、図27とは上下を逆にして示したものである。
って具体的に説明する(但し、図24のヘッドと共通する
部分には共通符号を付す。)と、ヘッド部60は、分散染
料としての固形粉末状の昇華染料42を収納する染料槽41
と、下側に位置する高強度材からなる耐摩耗性の保護層
61と、中央に位置するスペーサ62と、上側に位置するヘ
ッドベース63とによって構成されている。なお、図28
は、図27とは上下を逆にして示したものである。
【0033】そして更に、染料収納槽41内の固形粉末状
の昇華染料42を加熱液化して導く液化染料導入部64と、
この液化染料導入部64に沿って所定間隔毎に複数配置さ
れ、この液化染料導入部64から導かれた液化分散染料22
を気化熱によって気化させる各気化部17と、この気化部
内にて染料22の液面下に設けた気化用発熱体65と、それ
を支える断熱材66と、発熱体65上において染料22の保持
及び供給を行う多孔性構造体である小柱体80の群とを有
している。断熱材66の両側面には発熱体の電極65A、65
Bが設けられ、図示省略した構造を介して取り出されて
いる(但し、ヒータ68との間の絶縁構造は図示省略)。
の昇華染料42を加熱液化して導く液化染料導入部64と、
この液化染料導入部64に沿って所定間隔毎に複数配置さ
れ、この液化染料導入部64から導かれた液化分散染料22
を気化熱によって気化させる各気化部17と、この気化部
内にて染料22の液面下に設けた気化用発熱体65と、それ
を支える断熱材66と、発熱体65上において染料22の保持
及び供給を行う多孔性構造体である小柱体80の群とを有
している。断熱材66の両側面には発熱体の電極65A、65
Bが設けられ、図示省略した構造を介して取り出されて
いる(但し、ヒータ68との間の絶縁構造は図示省略)。
【0034】保護層61は、印画紙50に軽圧で接触する際
に各気化部17の気化穴23内に汚れや塵、埃や異物等が混
入するのを防止する機能を有しており、熱伝導率がよ
く、耐熱性、耐摩耗性に優れたタンタル等の金属系やガ
ラス系の材料によって形成されている。また、保護層61
には、各気化部17の気化穴23の一部になる四角柱状の複
数の穴61aをエッチング技術等の微細加工により形成し
てある。
に各気化部17の気化穴23内に汚れや塵、埃や異物等が混
入するのを防止する機能を有しており、熱伝導率がよ
く、耐熱性、耐摩耗性に優れたタンタル等の金属系やガ
ラス系の材料によって形成されている。また、保護層61
には、各気化部17の気化穴23の一部になる四角柱状の複
数の穴61aをエッチング技術等の微細加工により形成し
てある。
【0035】スペーサ62は、例えばガラス系やセラミッ
ク系、ポリエチレン系樹脂、タンタル等の金属系で形成
され、材料や厚み及びその組み合わせにより、液化分散
染料22の溶融温度の調整と、保護層61への伝熱による印
画紙50の染料受容層50aの温度の調整とを行う機能を有
している。
ク系、ポリエチレン系樹脂、タンタル等の金属系で形成
され、材料や厚み及びその組み合わせにより、液化分散
染料22の溶融温度の調整と、保護層61への伝熱による印
画紙50の染料受容層50aの温度の調整とを行う機能を有
している。
【0036】なお、印画紙50は、実際には、セルロース
系の樹脂などによって形成され、分散染料を吸収する染
料受容層50aと、ベース材50bとからなっている。ベー
ス材50bは、耐熱性が強く、非吸湿性の良いポリプロピ
レン層と、ベース紙と、ポリプロピレン層に対するバラ
ンスをとり、印画紙50が反らないようにするための別の
ポリプロピレン層とが積層された構造になっており、ま
た、光吸収層(これは省略可能である。)が設けられて
いてもよい。
系の樹脂などによって形成され、分散染料を吸収する染
料受容層50aと、ベース材50bとからなっている。ベー
ス材50bは、耐熱性が強く、非吸湿性の良いポリプロピ
レン層と、ベース紙と、ポリプロピレン層に対するバラ
ンスをとり、印画紙50が反らないようにするための別の
ポリプロピレン層とが積層された構造になっており、ま
た、光吸収層(これは省略可能である。)が設けられて
いてもよい。
【0037】スペーサ62には、図27、図28、図30に示す
ように、各気化部17の気化穴23の一部になる四角柱状の
複数の穴62aをそれぞれ形成していると共に、染料収納
槽41(イエロー用41Y、マゼンタ用41M、シアン用41
C)側からヘッドベース63の他端側に延びて各気化部17
の気化穴23に連通する複数の溝穴64を形成している。
ように、各気化部17の気化穴23の一部になる四角柱状の
複数の穴62aをそれぞれ形成していると共に、染料収納
槽41(イエロー用41Y、マゼンタ用41M、シアン用41
C)側からヘッドベース63の他端側に延びて各気化部17
の気化穴23に連通する複数の溝穴64を形成している。
【0038】更に、保護層61とスペーサ62との間には染
料液止め層67が設けられている。この染料液止め層67
は、耐熱性があって化学的に安定しているフッ素系やシ
リコン系の樹脂材料によって形成され、液化分散染料22
が保護層61の壁面を経由して外部へ漏れて印画紙50の染
料受容層50aに付着するのを防止するものである。
料液止め層67が設けられている。この染料液止め層67
は、耐熱性があって化学的に安定しているフッ素系やシ
リコン系の樹脂材料によって形成され、液化分散染料22
が保護層61の壁面を経由して外部へ漏れて印画紙50の染
料受容層50aに付着するのを防止するものである。
【0039】また、図27、図28、図29に示すように、液
止め層67には、各気化部17の気化穴23の一部になる四角
柱状の複数の穴67aをそれぞれ形成している。なお、保
護層61と染料液止め層67とスペーサ62とは、耐熱性があ
る接着剤でそれぞれ接着されている。
止め層67には、各気化部17の気化穴23の一部になる四角
柱状の複数の穴67aをそれぞれ形成している。なお、保
護層61と染料液止め層67とスペーサ62とは、耐熱性があ
る接着剤でそれぞれ接着されている。
【0040】ヘッドベース63は、融点が高く、熱成形性
がなく、低熱伝導性である例えばガラス、セラミックス
等によってなるべく薄く形成されている。また、図27に
示すように、ヘッドベース63の各染料収納槽41側には、
各液化染料導入部64に連通する供給口(接続穴)43を形
成している。
がなく、低熱伝導性である例えばガラス、セラミックス
等によってなるべく薄く形成されている。また、図27に
示すように、ヘッドベース63の各染料収納槽41側には、
各液化染料導入部64に連通する供給口(接続穴)43を形
成している。
【0041】更に、ヘッドベース63の各液化染料導入部
64側の面には、各染料槽41内まで板状のヒータ(発熱
体)68を取り付けている。このヒータ68は、例えばカー
ボン又はシリコン系化合物で形成され、通電により50℃
〜300 ℃の熱を発して固形粉末状の分散染料42を液化す
ると共に、液化状態で保温する機能を有する。
64側の面には、各染料槽41内まで板状のヒータ(発熱
体)68を取り付けている。このヒータ68は、例えばカー
ボン又はシリコン系化合物で形成され、通電により50℃
〜300 ℃の熱を発して固形粉末状の分散染料42を液化す
ると共に、液化状態で保温する機能を有する。
【0042】図27に示すように、ヒータ68の一方の端部
は、上方に垂直に折り曲げられて各染料収納槽41内に挿
入されていると共に、その他方の端部は各液化染料導入
部64の終端部側まで伸びている。また、図31に示すよう
に、ヒータ68はヘッドベース63の全面に配置されてお
り、スペーサ62及び保護層61を保温して印画紙50の染料
受容層50aも加熱できるようになっている。
は、上方に垂直に折り曲げられて各染料収納槽41内に挿
入されていると共に、その他方の端部は各液化染料導入
部64の終端部側まで伸びている。また、図31に示すよう
に、ヒータ68はヘッドベース63の全面に配置されてお
り、スペーサ62及び保護層61を保温して印画紙50の染料
受容層50aも加熱できるようになっている。
【0043】図27〜図31に示した上記のプリンタヘッド
60によれば、図24〜図26に示したプリンタヘッド40で述
べた特長を有している上に、このプリンタヘッド40と比
較すると、以下に述べるような利点を有している。
60によれば、図24〜図26に示したプリンタヘッド40で述
べた特長を有している上に、このプリンタヘッド40と比
較すると、以下に述べるような利点を有している。
【0044】まず、各気化部17における気化のための染
料加熱は、レーザ光Lを使用するのではなく、各気化部
に設けた発熱体65の発熱によって行っているので、高価
な半導体レーザ(特に並列に複数本設けるマルチレーザ
アレイ)の代わりに低コストの発熱体の使用が可能とな
り、また、気化効率はレーザの電気光変換効率に依存せ
ずにヒータの発熱を直接利用することになり、全体とし
ての効率が向上する。
料加熱は、レーザ光Lを使用するのではなく、各気化部
に設けた発熱体65の発熱によって行っているので、高価
な半導体レーザ(特に並列に複数本設けるマルチレーザ
アレイ)の代わりに低コストの発熱体の使用が可能とな
り、また、気化効率はレーザの電気光変換効率に依存せ
ずにヒータの発熱を直接利用することになり、全体とし
ての効率が向上する。
【0045】しかしながら、本発明者がプリンタヘッド
60について検討を加えた結果、次に述べるような改善す
べき点が残されていることを見出した。
60について検討を加えた結果、次に述べるような改善す
べき点が残されていることを見出した。
【0046】プリンタヘッド60のヘッド構造において、
図27〜図30に示すように、気化部17において断熱材66及
び発熱体65(更には数μmサイズの小柱体80の群)から
なる気化構造体81はスペーサ62とは別個に設けられてお
り、また、スペーサ62は数10μm以下の厚みに加工され
ていて、更に、スペーサ62に微小サイズの穴62aを多数
個加工して形成し、各穴62aに上記の気化構造物81を固
定する必要がある。従って、次のような問題点(1)〜
(4)がある。
図27〜図30に示すように、気化部17において断熱材66及
び発熱体65(更には数μmサイズの小柱体80の群)から
なる気化構造体81はスペーサ62とは別個に設けられてお
り、また、スペーサ62は数10μm以下の厚みに加工され
ていて、更に、スペーサ62に微小サイズの穴62aを多数
個加工して形成し、各穴62aに上記の気化構造物81を固
定する必要がある。従って、次のような問題点(1)〜
(4)がある。
【0047】(1)スペーサ62は薄くて、ヘッド作製工
程中に割れ易く、その加工が容易ではない。 (2)スペーサ62の各穴62a内に上記の微小な構造体81
(特に断熱材66)を接着して固定することが困難であ
る。 (3)上記構造体81による気化領域を穴62a内で位置合
わせすることも容易ではない。 (4)上記構造体81が微小サイズであるため、破損し易
い。
程中に割れ易く、その加工が容易ではない。 (2)スペーサ62の各穴62a内に上記の微小な構造体81
(特に断熱材66)を接着して固定することが困難であ
る。 (3)上記構造体81による気化領域を穴62a内で位置合
わせすることも容易ではない。 (4)上記構造体81が微小サイズであるため、破損し易
い。
【0048】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した熱転写記録方式の特長を生かしながら、染料等の記
録材を良好に飛翔させて記録性能を向上させると共に、
取り扱いや加工上の破損をなくし、位置合わせや接着剤
の塗布工程等を改善して歩留りの向上及びコストの低減
を図り、また、精度を向上させて特性のバラツキを改善
し、加工部分の強度を増して信頼性を向上させた記録装
置、及びその製造方法を提供することにある。
した熱転写記録方式の特長を生かしながら、染料等の記
録材を良好に飛翔させて記録性能を向上させると共に、
取り扱いや加工上の破損をなくし、位置合わせや接着剤
の塗布工程等を改善して歩留りの向上及びコストの低減
を図り、また、精度を向上させて特性のバラツキを改善
し、加工部分の強度を増して信頼性を向上させた記録装
置、及びその製造方法を提供することにある。
【0049】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、被記録
体に対向する記録材収容部と、この記録材収容部の記録
材を加熱により前記被記録体へ飛翔させるための記録材
飛翔用構造体と、前記記録材収容部へ前記記録材を供給
するための記録材供給構造部とを有し、前記記録材飛翔
用構造体が前記記録材供給構造部上に一体に設けられて
いる記録装置に係るものである。
体に対向する記録材収容部と、この記録材収容部の記録
材を加熱により前記被記録体へ飛翔させるための記録材
飛翔用構造体と、前記記録材収容部へ前記記録材を供給
するための記録材供給構造部とを有し、前記記録材飛翔
用構造体が前記記録材供給構造部上に一体に設けられて
いる記録装置に係るものである。
【0050】本発明の記録装置によれば、記録材飛翔用
構造体(例えば、断熱材と発熱体と小柱体群とからなる
微小な気化構造体)が、記録材供給構造部(例えば、液
化染料供給通路を有するスペーサ部材)上に一体化され
ているので、この一体化構造は肉厚に形成されることに
なり、記録材供給構造部及び微小な記録材飛翔用構造体
を加工するときの機械的強度が十分となり、割れや破損
を生じることなく、取扱い性、加工性及び信頼性、更に
は歩留り及びコストパフォーマンスを向上させることが
できる。
構造体(例えば、断熱材と発熱体と小柱体群とからなる
微小な気化構造体)が、記録材供給構造部(例えば、液
化染料供給通路を有するスペーサ部材)上に一体化され
ているので、この一体化構造は肉厚に形成されることに
なり、記録材供給構造部及び微小な記録材飛翔用構造体
を加工するときの機械的強度が十分となり、割れや破損
を生じることなく、取扱い性、加工性及び信頼性、更に
は歩留り及びコストパフォーマンスを向上させることが
できる。
【0051】また、記録材飛翔用構造体を記録材供給構
造部上でパターニングによって形成し、このパターニン
グ後にそのまま残せばよいから、接着剤等を用いて個々
に固定する必要はなくなり、位置合わせを容易かつ高精
度に行え、記録特性を改善することができる。
造部上でパターニングによって形成し、このパターニン
グ後にそのまま残せばよいから、接着剤等を用いて個々
に固定する必要はなくなり、位置合わせを容易かつ高精
度に行え、記録特性を改善することができる。
【0052】そして、本発明の記録装置は、記録材を加
熱して被記録体へ飛翔させる熱転写方式のものであるか
ら、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品
位化、高階調性等の特長を有している。
熱して被記録体へ飛翔させる熱転写方式のものであるか
ら、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品
位化、高階調性等の特長を有している。
【0053】特に、この記録装置は、記録材が加熱によ
って記録材と非接触状態で対向配置された被記録体へ飛
翔するように構成されることが望ましい。即ち、間隙を
通して記録材を被記録体に飛翔させるように構成される
のがよく、既述した非接触方式の染料気化型プリンタ用
の記録ヘッドに好適である。
って記録材と非接触状態で対向配置された被記録体へ飛
翔するように構成されることが望ましい。即ち、間隙を
通して記録材を被記録体に飛翔させるように構成される
のがよく、既述した非接触方式の染料気化型プリンタ用
の記録ヘッドに好適である。
【0054】なお、本発明の記録装置は、上述したプリ
ンタヘッドの如き記録ヘッドのみならず、この記録ヘッ
ドを組み込んだプリンタも包含する概念である(以下、
同様)。
ンタヘッドの如き記録ヘッドのみならず、この記録ヘッ
ドを組み込んだプリンタも包含する概念である(以下、
同様)。
【0055】本発明の記録装置においては、記録材の保
持を行う多孔性構造からなる記録材飛翔用構造体が記録
材気化又はアブレーション部に配され、記録材供給路を
有するスペーサ部材上に一体に設けられているのが望ま
しい。
持を行う多孔性構造からなる記録材飛翔用構造体が記録
材気化又はアブレーション部に配され、記録材供給路を
有するスペーサ部材上に一体に設けられているのが望ま
しい。
【0056】このような多孔性構造を設けると、その毛
細管作用で記録材の逃げを抑制し、記録材を効果的に保
持及び定量供給し、熱を効率良く伝えることを可能に
し、気化又はアブレーション効率を向上させることがで
き、また記録材の定量供給により気化又はアブレーショ
ン量を一定として高画質の記録が得られる。
細管作用で記録材の逃げを抑制し、記録材を効果的に保
持及び定量供給し、熱を効率良く伝えることを可能に
し、気化又はアブレーション効率を向上させることがで
き、また記録材の定量供給により気化又はアブレーショ
ン量を一定として高画質の記録が得られる。
【0057】そして、上記記録材飛翔用構造体として、
上記多孔性構造と共に、この多孔性構造の下部に断熱材
を設けると、熱を効果的に保持し、その逃げを抑制して
加熱効率を高めることができる。
上記多孔性構造と共に、この多孔性構造の下部に断熱材
を設けると、熱を効果的に保持し、その逃げを抑制して
加熱効率を高めることができる。
【0058】また、記録材飛翔用構造体を有する記録材
収容部に、記録材を加熱するための発熱体が、例えば記
録材飛翔用構造体の一部分として上記多孔性構造の下部
又は上部に設けられていると、その発熱体への通電によ
って記録材を効率良く加熱できると共に、レーザを使用
する必要がないために低コスト化が可能となる。
収容部に、記録材を加熱するための発熱体が、例えば記
録材飛翔用構造体の一部分として上記多孔性構造の下部
又は上部に設けられていると、その発熱体への通電によ
って記録材を効率良く加熱できると共に、レーザを使用
する必要がないために低コスト化が可能となる。
【0059】記録材の加熱は、そうした発熱体による以
外に、加熱ビーム(例えばレーザ光)の照射によって行
うこともできる。
外に、加熱ビーム(例えばレーザ光)の照射によって行
うこともできる。
【0060】なお、上記記録材供給構造部が更に補強材
に固定されていると、記録装置の機械的強度は一層向上
する。
に固定されていると、記録装置の機械的強度は一層向上
する。
【0061】本発明はまた、上記した本発明の記録装置
を効果的に製造する方法として、記録材収容部となる第
1素材(例えばSiO2 層)と記録材供給構造部となる
第2素材(例えば石英ガラス板)とを一体化する工程
と、前記第2素材に記録材供給路を形成する工程と、前
記記録材供給路が開口した記録材収容部を前記第1素材
に形成する工程と、この第1素材の前記記録材収容部に
記録材飛翔用構造体(例えば小柱体群)を形成する工程
とを有する、記録装置の製造方法も提供するものであ
る。上記記録材供給路を有する記録材供給構造部を更に
補強材(例えば石英ガラス板)に固定することが望まし
い。
を効果的に製造する方法として、記録材収容部となる第
1素材(例えばSiO2 層)と記録材供給構造部となる
第2素材(例えば石英ガラス板)とを一体化する工程
と、前記第2素材に記録材供給路を形成する工程と、前
記記録材供給路が開口した記録材収容部を前記第1素材
に形成する工程と、この第1素材の前記記録材収容部に
記録材飛翔用構造体(例えば小柱体群)を形成する工程
とを有する、記録装置の製造方法も提供するものであ
る。上記記録材供給路を有する記録材供給構造部を更に
補強材(例えば石英ガラス板)に固定することが望まし
い。
【0062】或いは、この製造方法に代えて、記録材収
容部及び記録材供給構造部となる素材(例えば石英ガラ
ス板)に記録材供給路を形成する工程と、前記素材を補
強材(例えば石英ガラス板)に固定する工程と、前記素
材を所定厚みに加工する(例えば研磨する)工程と、前
記記録材供給路が開口した記録材収容部を前記素材に形
成する工程と、この素材の前記記録材収容部に記録材飛
翔用構造体(例えば小柱体群)を形成する工程とを有す
る、記録装置の製造方法を実施してもよい。
容部及び記録材供給構造部となる素材(例えば石英ガラ
ス板)に記録材供給路を形成する工程と、前記素材を補
強材(例えば石英ガラス板)に固定する工程と、前記素
材を所定厚みに加工する(例えば研磨する)工程と、前
記記録材供給路が開口した記録材収容部を前記素材に形
成する工程と、この素材の前記記録材収容部に記録材飛
翔用構造体(例えば小柱体群)を形成する工程とを有す
る、記録装置の製造方法を実施してもよい。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明が以下の実施例のみに限定されるもので
ないことは勿論である。
するが、本発明が以下の実施例のみに限定されるもので
ないことは勿論である。
【0064】図1〜図10は、本発明を非接触方式の染料
気化型プリンタ(例えばビデオプリンタ:以下、同様)
に適用した第1の実施例を示すものである。
気化型プリンタ(例えばビデオプリンタ:以下、同様)
に適用した第1の実施例を示すものである。
【0065】まず、図1及び図2について、本実施例に
よる発熱体方式のプリンタヘッド70の特徴的構成を説明
する。
よる発熱体方式のプリンタヘッド70の特徴的構成を説明
する。
【0066】このプリンタヘッド70の染料気化部77にお
いては、厚さが例えば6〜15μmのSiO2 層からなる
絶縁板73に染料収容部87が凹状に形成され、この収容部
に絶縁板73の微細加工による幅及び径が例えば1〜2μ
mの微細な小柱体80の群が気化構造体101 の一部として
設けられている。
いては、厚さが例えば6〜15μmのSiO2 層からなる
絶縁板73に染料収容部87が凹状に形成され、この収容部
に絶縁板73の微細加工による幅及び径が例えば1〜2μ
mの微細な小柱体80の群が気化構造体101 の一部として
設けられている。
【0067】この小柱体80は、収容部87の底面からその
上面に至るまでの高さに設けられ、かつ、各小柱体間に
は微小空隙92を有しており、この空隙によって全体とし
て多孔性構造を構成している。空隙92は、その毛細管作
用によって収容部87内で液化染料22を保持すると同時
に、プリンタの1ドット分の時系列的動作に必要な十分
な量の液化染料22を上方(気化面又は液面)へ供給する
作用をなすものである。
上面に至るまでの高さに設けられ、かつ、各小柱体間に
は微小空隙92を有しており、この空隙によって全体とし
て多孔性構造を構成している。空隙92は、その毛細管作
用によって収容部87内で液化染料22を保持すると同時
に、プリンタの1ドット分の時系列的動作に必要な十分
な量の液化染料22を上方(気化面又は液面)へ供給する
作用をなすものである。
【0068】そして、この小柱体80の下面に接して、小
柱体群の領域のほぼ全域に亘って厚さが例えば1μm又
はそれ以下の発熱体75が設けられている。
柱体群の領域のほぼ全域に亘って厚さが例えば1μm又
はそれ以下の発熱体75が設けられている。
【0069】発熱体75はカーボンやポリシリコン等のシ
リコン系化合物で染料収容部87の底面上に形成されてい
て、その両側には一対のアルミニウム電極94と95が設け
られている。
リコン系化合物で染料収容部87の底面上に形成されてい
て、その両側には一対のアルミニウム電極94と95が設け
られている。
【0070】電極94−95間にはマトリックス駆動によっ
て画像信号に基づく信号電圧が印加され、これによる通
電で発熱体75において50〜500 ℃の発熱を生じ、この熱
で液化染料22を効率良く加熱して気化させるものであ
る。そして、絶縁板73下に石英ガラスからなるスペーサ
82が一体化して設けられているために、スペーサ82が断
熱材として作用し、上記の発熱体75による熱は殆ど放散
されることはない。
て画像信号に基づく信号電圧が印加され、これによる通
電で発熱体75において50〜500 ℃の発熱を生じ、この熱
で液化染料22を効率良く加熱して気化させるものであ
る。そして、絶縁板73下に石英ガラスからなるスペーサ
82が一体化して設けられているために、スペーサ82が断
熱材として作用し、上記の発熱体75による熱は殆ど放散
されることはない。
【0071】スペーサ82には、液化染料22の供給通路84
が形成され、これが染料導入口84’として染料収容部87
の底面に開口している。従って、液化染料22は、連続的
に通路84及び導入口84’を介して染料収容部87内に導入
され、気化構造体101 へ供給されることになる。
が形成され、これが染料導入口84’として染料収容部87
の底面に開口している。従って、液化染料22は、連続的
に通路84及び導入口84’を介して染料収容部87内に導入
され、気化構造体101 へ供給されることになる。
【0072】ここで注目すべきことは、上記の絶縁板73
はスペーサ82上に一体化されていることである。この一
体化構造は、絶縁板73又はスペーサ82が単独である場合
に比べて肉厚であって、機械的強度が大きくなってい
る。
はスペーサ82上に一体化されていることである。この一
体化構造は、絶縁板73又はスペーサ82が単独である場合
に比べて肉厚であって、機械的強度が大きくなってい
る。
【0073】従って、染料収容部87や小柱体80、更には
染料通路84等を加工するときの機械的強度が十分とな
り、割れや破壊を生じることなく、取扱い性、加工性及
び信頼性、更には歩留り及びコストパフォーマンスを向
上させることができる。
染料通路84等を加工するときの機械的強度が十分とな
り、割れや破壊を生じることなく、取扱い性、加工性及
び信頼性、更には歩留り及びコストパフォーマンスを向
上させることができる。
【0074】また、小柱体80及び染料収容部87をスペー
サ82上での絶縁板73のパターニングによって形成し、こ
のパターニング後にそのまま残して気化構造体101 を形
成できるから、これを接着剤によって個々に固定する必
要はなくなり、パターニング時の位置合わせのみでよい
ために小柱体80及び染料収容部87、更には導入口84’の
位置合わせを容易かつ高精度に行え、記録特性を改善す
ることができる。
サ82上での絶縁板73のパターニングによって形成し、こ
のパターニング後にそのまま残して気化構造体101 を形
成できるから、これを接着剤によって個々に固定する必
要はなくなり、パターニング時の位置合わせのみでよい
ために小柱体80及び染料収容部87、更には導入口84’の
位置合わせを容易かつ高精度に行え、記録特性を改善す
ることができる。
【0075】そして、スペーサ82は更に、石英ガラス板
からなる底板102 に接合、固定されているので、この底
板102 が補強材として作用し、ヘッドの機械的強度が一
層十分となっている。但し、この底板102 は必ずしも設
けなくてよく、スペーサ82の下面には染料収納槽(図示
せず)を直接取り付けてもよい。
からなる底板102 に接合、固定されているので、この底
板102 が補強材として作用し、ヘッドの機械的強度が一
層十分となっている。但し、この底板102 は必ずしも設
けなくてよく、スペーサ82の下面には染料収納槽(図示
せず)を直接取り付けてもよい。
【0076】上記の電極94及び95は発熱体75と共にスペ
ーサ82の上面に設けられるが、それら電極94及び95を含
む上面には、フッ素系又はシリコン系樹脂からなる染料
液止め層97が設けられ、液化染料22の上方への漏れを防
止している。更にこの液止め層97上には、既述した保護
層61と同等のタンタルやガラス等からなる保護層91が設
けられている。各層91、97には気化用の開口91a、97a
が形成されている。
ーサ82の上面に設けられるが、それら電極94及び95を含
む上面には、フッ素系又はシリコン系樹脂からなる染料
液止め層97が設けられ、液化染料22の上方への漏れを防
止している。更にこの液止め層97上には、既述した保護
層61と同等のタンタルやガラス等からなる保護層91が設
けられている。各層91、97には気化用の開口91a、97a
が形成されている。
【0077】上記のように構成された染料気化部77は、
図1及び図2では1ドット分示したが、ヘッド70におい
て実際には、図27〜図31に示したと同様に、フルカラー
用として各色(イエローY、マゼンタM、シアンC)毎
に複数ドットが配置される。従って、この場合、図1及
び図2の構造がライン状に配設される。図示省略した
が、これらの各気化部には、各収納槽から染料供給通路
84を経て各色の液化染料が供給される。
図1及び図2では1ドット分示したが、ヘッド70におい
て実際には、図27〜図31に示したと同様に、フルカラー
用として各色(イエローY、マゼンタM、シアンC)毎
に複数ドットが配置される。従って、この場合、図1及
び図2の構造がライン状に配設される。図示省略した
が、これらの各気化部には、各収納槽から染料供給通路
84を経て各色の液化染料が供給される。
【0078】そして、印画紙50をカラー印画する際に、
画像信号に応じて発熱体75により熱が発生する。この気
化熱により、各気化部の染料が気化し、保護層91の穴91
aを通り、印画紙50の受容層50aにY、M、Cの順で転
写される。
画像信号に応じて発熱体75により熱が発生する。この気
化熱により、各気化部の染料が気化し、保護層91の穴91
aを通り、印画紙50の受容層50aにY、M、Cの順で転
写される。
【0079】本実施例によるプリンタヘッド70は、図27
に示したヘッド60と同様、染料22を加熱して間隙を通し
て印画紙50へ飛翔させる熱転写方式のものであるから、
既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品位
化、高階調性等の特長を有している。染料の液化、保温
用のヒータ(図27でのヒータ68)等については図示省略
したが、図27で述べたと同様に採用されてよい。
に示したヘッド60と同様、染料22を加熱して間隙を通し
て印画紙50へ飛翔させる熱転写方式のものであるから、
既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品位
化、高階調性等の特長を有している。染料の液化、保温
用のヒータ(図27でのヒータ68)等については図示省略
したが、図27で述べたと同様に採用されてよい。
【0080】なお、小柱体80や各層73、82、102 は、ガ
ラスで形成したが、他の材質でも形成可能である。例え
ば、ポリイミド等の高分子材、セラミックス系、シリコ
ン系、金属系等又はこれらの組み合わせで形成すること
もできる。高分子材で形成できるのは、プリンタヘッド
70を印画紙50に対して押し付けない構造としているた
め、大きな圧力を受けないことに依るものであり、ま
た、発熱体75の作動時に熱放散も少なく、熱的絶縁性が
良好となる。
ラスで形成したが、他の材質でも形成可能である。例え
ば、ポリイミド等の高分子材、セラミックス系、シリコ
ン系、金属系等又はこれらの組み合わせで形成すること
もできる。高分子材で形成できるのは、プリンタヘッド
70を印画紙50に対して押し付けない構造としているた
め、大きな圧力を受けないことに依るものであり、ま
た、発熱体75の作動時に熱放散も少なく、熱的絶縁性が
良好となる。
【0081】次に、本実施例によるヘッド70の製造方法
の一例を図3〜図10について説明する。
の一例を図3〜図10について説明する。
【0082】まず、図3のように、石英ガラス板からな
るスペーサ材82上にCVD(化学的気相成長法)等によ
ってポリシリコン(P−Si)103 を厚さ1μm又はそ
れ以下に成膜する。
るスペーサ材82上にCVD(化学的気相成長法)等によ
ってポリシリコン(P−Si)103 を厚さ1μm又はそ
れ以下に成膜する。
【0083】次いで、図4のように、ポリシリコン層10
3 をフォトリソグラフィでパターニングし、発熱体75を
スペーサ材82上に形成し、更にアルミニウムを真空蒸着
法等によって全面に被着し、これをフォトリソグラフィ
でパターニングして発熱体75の一対のアルミニウム電極
94及び95を形成する。
3 をフォトリソグラフィでパターニングし、発熱体75を
スペーサ材82上に形成し、更にアルミニウムを真空蒸着
法等によって全面に被着し、これをフォトリソグラフィ
でパターニングして発熱体75の一対のアルミニウム電極
94及び95を形成する。
【0084】次いで、図5のように、全面にスパッタ法
等によってSiO2 層73を厚さ6〜15μmに成膜する。
等によってSiO2 層73を厚さ6〜15μmに成膜する。
【0085】次いで、図6のように、SiO2 層73上に
真空蒸着法又はスパッタ法によってクロム等の金属薄膜
104 を全面に被着し、これを所定パターンのフォトレジ
ストをマスクとしてパターニングし、染料収容部となる
パターン87’と小柱体となるパターン80’をそれぞれ形
成する。このパターニング法に代えて、まずフォトレジ
ストを所定パターンに形成し、この上に金属薄膜104 を
被着し、リフトオフによって金属薄膜104 を図6の形状
にパターニングしてもよい。
真空蒸着法又はスパッタ法によってクロム等の金属薄膜
104 を全面に被着し、これを所定パターンのフォトレジ
ストをマスクとしてパターニングし、染料収容部となる
パターン87’と小柱体となるパターン80’をそれぞれ形
成する。このパターニング法に代えて、まずフォトレジ
ストを所定パターンに形成し、この上に金属薄膜104 を
被着し、リフトオフによって金属薄膜104 を図6の形状
にパターニングしてもよい。
【0086】次いで、図7のように、パウダービームエ
ッチング(PBE)によってスペーサ材82を裏面から加
工し、染料供給通路84を面方向に形成する。この場合、
スペーサ材82が厚いときには、裏面を研磨して厚みを調
整してから通路84を加工してよい。
ッチング(PBE)によってスペーサ材82を裏面から加
工し、染料供給通路84を面方向に形成する。この場合、
スペーサ材82が厚いときには、裏面を研磨して厚みを調
整してから通路84を加工してよい。
【0087】次いで、図8のように、引き続いてパウダ
ービームエッチング(PBE)によって染料収容部パタ
ーン87’の位置に染料供給通路84に通じる染料導入穴8
4’をSiO2 層73の厚みを貫通して形成する。
ービームエッチング(PBE)によって染料収容部パタ
ーン87’の位置に染料供給通路84に通じる染料導入穴8
4’をSiO2 層73の厚みを貫通して形成する。
【0088】次いで、図9のように、金属薄膜104 をマ
スクとしてリアクティブイオンエッチング(RIE)を
行い、SiO2 層73に染料収容部87と小柱体80の群とを
それぞれ形成する。この際、染料導入口84’は、染料供
給通路84を染料収容部87に開口させるようになる。
スクとしてリアクティブイオンエッチング(RIE)を
行い、SiO2 層73に染料収容部87と小柱体80の群とを
それぞれ形成する。この際、染料導入口84’は、染料供
給通路84を染料収容部87に開口させるようになる。
【0089】次いで、図10のように、スペーサ材82の裏
面に石英板からなる底板102 を融着によって固定する。
この固定は、低融点ガラスや接着剤等で行うこともでき
る。この後は、上面に必要な層を形成し、図1のヘッド
を完成する。
面に石英板からなる底板102 を融着によって固定する。
この固定は、低融点ガラスや接着剤等で行うこともでき
る。この後は、上面に必要な層を形成し、図1のヘッド
を完成する。
【0090】以上のように、スペーサ82の上面に設けた
SiO2 層73に対し小柱体80を微細加工し、スペーサ82
の裏面に溝加工して通路84を形成し、更に微細加工で厚
み方向に穴84’を加工して通路84と連結した構造とする
加工工程を行うことにより、安定かつ低コストに加工を
行え、また、位置合わせや強度が向上し、精度が良く、
信頼性の高い気化部構造が得られる。
SiO2 層73に対し小柱体80を微細加工し、スペーサ82
の裏面に溝加工して通路84を形成し、更に微細加工で厚
み方向に穴84’を加工して通路84と連結した構造とする
加工工程を行うことにより、安定かつ低コストに加工を
行え、また、位置合わせや強度が向上し、精度が良く、
信頼性の高い気化部構造が得られる。
【0091】図11は、本発明を非接触方式の染料気化型
プリンタに適用した第2の実施例を示すものである。
プリンタに適用した第2の実施例を示すものである。
【0092】この実施例では、図1及び図2に示した例
と比べて、染料収容部87において小柱体80の上方に、気
化穴75aを有する発熱体75をブリッジ状に設けているこ
とが異なり、他は同様に構成されている。
と比べて、染料収容部87において小柱体80の上方に、気
化穴75aを有する発熱体75をブリッジ状に設けているこ
とが異なり、他は同様に構成されている。
【0093】即ち、発熱体75は小柱体80の上面に、電極
94及び95は絶縁板73の上面に形成されているので、発熱
体75の下部に(これより深い位置に)多孔性構造として
の小柱体80が設けられることになる。従って、この発熱
体75は、収容部87内の液化染料22の表面域において液化
染料22の表面に接するか或いはこの表面下に少なくとも
部分的に浸漬されるが、後者の状態の方が気化及び供給
効率の面で望ましいと言える。
94及び95は絶縁板73の上面に形成されているので、発熱
体75の下部に(これより深い位置に)多孔性構造として
の小柱体80が設けられることになる。従って、この発熱
体75は、収容部87内の液化染料22の表面域において液化
染料22の表面に接するか或いはこの表面下に少なくとも
部分的に浸漬されるが、後者の状態の方が気化及び供給
効率の面で望ましいと言える。
【0094】この場合、発熱体75には、小柱体80の間隙
92が存在しない領域に多数の気化穴75aが形成されてお
り、小柱体80の空隙92の毛細管作用に加えて気化穴75a
の毛細管作用も発揮されるため、染料の保持と供給、更
には加熱・気化を効果的に行うことができる。
92が存在しない領域に多数の気化穴75aが形成されてお
り、小柱体80の空隙92の毛細管作用に加えて気化穴75a
の毛細管作用も発揮されるため、染料の保持と供給、更
には加熱・気化を効果的に行うことができる。
【0095】図13〜図20は、本発明を非接触方式の染料
気化型プリンタに適用した第3の実施例を示すものであ
る。
気化型プリンタに適用した第3の実施例を示すものであ
る。
【0096】この実施例は、レーザ光照射による加熱方
式のプリンタに関するものであって、図1及び図2に示
した例と比べて、染料収容部87をスペーサ82に直接設け
ていること、及び発熱体を配設せずにレーザ18によるレ
ーザ光Lで加熱を行うことにおいて異なり、他は同様に
構成されている。
式のプリンタに関するものであって、図1及び図2に示
した例と比べて、染料収容部87をスペーサ82に直接設け
ていること、及び発熱体を配設せずにレーザ18によるレ
ーザ光Lで加熱を行うことにおいて異なり、他は同様に
構成されている。
【0097】即ち、スペーサ82には、染料供給通路84及
び導入口84’を設けると共に、その上面に染料収容部87
及び小柱体80を形成している。この構造もやはり、スペ
ーサ82自体は肉厚化され、機械的強度が大きくなってい
る。
び導入口84’を設けると共に、その上面に染料収容部87
及び小柱体80を形成している。この構造もやはり、スペ
ーサ82自体は肉厚化され、機械的強度が大きくなってい
る。
【0098】従って、染料収容部87や小柱体80、更には
染料通路84等を加工するときの機械的強度が十分とな
り、割れや破壊を生じることなく、取扱い性、加工性及
び信頼性、更には歩留り及びコストパフォーマンスを向
上させることができる。
染料通路84等を加工するときの機械的強度が十分とな
り、割れや破壊を生じることなく、取扱い性、加工性及
び信頼性、更には歩留り及びコストパフォーマンスを向
上させることができる。
【0099】また、小柱体80及び染料収容部87をスペー
サ82のパターニングによって形成できるから、パターニ
ング時の位置合わせのみでよいために小柱体80及び染料
収容部87、更には導入口84’の位置合わせを容易かつ高
精度に行え、記録特性を改善することができる。
サ82のパターニングによって形成できるから、パターニ
ング時の位置合わせのみでよいために小柱体80及び染料
収容部87、更には導入口84’の位置合わせを容易かつ高
精度に行え、記録特性を改善することができる。
【0100】そして、スペーサ82は更に、石英ガラス板
からなる底板102 に接合、固定されているので、この底
板102 が補強材として作用し、ヘッドの機械的強度が一
層十分となっている。
からなる底板102 に接合、固定されているので、この底
板102 が補強材として作用し、ヘッドの機械的強度が一
層十分となっている。
【0101】次に、本実施例によるヘッド70の製造方法
の一例を図15〜図20について説明する。
の一例を図15〜図20について説明する。
【0102】まず、図15のように、パウダービームエッ
チング(PBE)によってスペーサ材82を裏面から加工
し、数10μmの染料供給通路84を面方向に形成する。
チング(PBE)によってスペーサ材82を裏面から加工
し、数10μmの染料供給通路84を面方向に形成する。
【0103】次いで、図16のように、スペーサ材82の裏
面に石英板からなる底板102 を融着によって固定する。
この固定は、低融点ガラスや接着材等で行うこともでき
る。
面に石英板からなる底板102 を融着によって固定する。
この固定は、低融点ガラスや接着材等で行うこともでき
る。
【0104】次いで、図17のように、スペーサ材82を表
面から研磨し、 150μm以下の厚みとする。
面から研磨し、 150μm以下の厚みとする。
【0105】次いで、図18のように、スペーサ材82上に
真空蒸着法又はスパッタ法によってクロム等の金属薄膜
104 を全面に被着し、これを所定パターンのフォトレジ
ストをマスクとしてパターニングし、染料収容部となる
パターン87’と小柱体となるパターン80’をそれぞれ形
成する。このパターニング法に代えて、フォトレジスト
を所定パターンに形成し、この上に金属薄膜104 を被着
し、リフトオフによって金属薄膜104 を図18の形状にパ
ターニングしてもよい。
真空蒸着法又はスパッタ法によってクロム等の金属薄膜
104 を全面に被着し、これを所定パターンのフォトレジ
ストをマスクとしてパターニングし、染料収容部となる
パターン87’と小柱体となるパターン80’をそれぞれ形
成する。このパターニング法に代えて、フォトレジスト
を所定パターンに形成し、この上に金属薄膜104 を被着
し、リフトオフによって金属薄膜104 を図18の形状にパ
ターニングしてもよい。
【0106】次いで、図19のように、パウダービームエ
ッチング(PBE)によって染料収容部パターン87’の
位置に染料供給通路84に通じる染料導入穴84’をスペー
サ材82の厚みを貫通して形成する。
ッチング(PBE)によって染料収容部パターン87’の
位置に染料供給通路84に通じる染料導入穴84’をスペー
サ材82の厚みを貫通して形成する。
【0107】次いで、図20のように、金属薄膜104 をマ
スクとしてリアクティブイオンエッチング(RIE)を
行い、スペーサ材82に染料収容部87と小柱体80の群とを
それぞれ形成する。この際、染料導入口84’は、染料供
給通路84を染料収容部87に開口させるようになる。この
後は、上面に必要な層を形成し、図13のヘッドを完成す
る。
スクとしてリアクティブイオンエッチング(RIE)を
行い、スペーサ材82に染料収容部87と小柱体80の群とを
それぞれ形成する。この際、染料導入口84’は、染料供
給通路84を染料収容部87に開口させるようになる。この
後は、上面に必要な層を形成し、図13のヘッドを完成す
る。
【0108】以上のように、スペーサ82自体に小柱体80
を微細加工し、スペーサ82の裏面に溝加工して通路84を
形成し、更に、微細加工で厚み方向に穴84’を加工して
通路84と連結した構造とする加工工程を行うことより、
安定かつ低コストに加工を行え、また、位置合わせや強
度が向上し、精度が良く、信頼性の高い気化部構造が得
られる。
を微細加工し、スペーサ82の裏面に溝加工して通路84を
形成し、更に、微細加工で厚み方向に穴84’を加工して
通路84と連結した構造とする加工工程を行うことより、
安定かつ低コストに加工を行え、また、位置合わせや強
度が向上し、精度が良く、信頼性の高い気化部構造が得
られる。
【0109】しかも、スペーサ82自体に小柱体80からな
る気化構造101(スペーサ82は断熱材にもなる。)を形成
しているので、それだけヘッド構造を簡略化でき、その
作製がより容易となる。
る気化構造101(スペーサ82は断熱材にもなる。)を形成
しているので、それだけヘッド構造を簡略化でき、その
作製がより容易となる。
【0110】上記した第1、第2及び第3の実施例によ
る各ヘッド70を有するカラービデオプリンタ200 は、図
21に示すように、縦方向(X方向)の紙送りと、X方向
と直交方向のヘッドの横方向(Y方向)スキャンとによ
って、印刷を行うものであり、これらの縦方向の紙送り
と横方向のヘッドスキャンは交互に行うように構成され
ている。
る各ヘッド70を有するカラービデオプリンタ200 は、図
21に示すように、縦方向(X方向)の紙送りと、X方向
と直交方向のヘッドの横方向(Y方向)スキャンとによ
って、印刷を行うものであり、これらの縦方向の紙送り
と横方向のヘッドスキャンは交互に行うように構成され
ている。
【0111】このプリンタ200 において、各色のヘッド
部Y、M、Cからなるプリンタヘッド70は、シリアル型
ヘッドとして、送りねじ機構からなるヘッド送り軸201
とヘッド支軸202 により印画紙50の紙送り方向Xと直交
するヘッド送り方向Yに往復移動自在にしてある。
部Y、M、Cからなるプリンタヘッド70は、シリアル型
ヘッドとして、送りねじ機構からなるヘッド送り軸201
とヘッド支軸202 により印画紙50の紙送り方向Xと直交
するヘッド送り方向Yに往復移動自在にしてある。
【0112】また、ヘッド70に対して、印画紙50を挟む
ように支持する紙送りローラ203 が回転自在に設けられ
ている。なお、ヘッド70は、フレキシブルハーネス204
を介してヘッド駆動回路基板(図示せず)等に接続され
ている。
ように支持する紙送りローラ203 が回転自在に設けられ
ている。なお、ヘッド70は、フレキシブルハーネス204
を介してヘッド駆動回路基板(図示せず)等に接続され
ている。
【0113】1ラインの印画が終了したら、ヘッド支え
を兼ねた紙送り駆動ローラ203 で印画紙50を1ライン分
送る。印画スタートは1色毎に順次に行われるが、3ド
ット以降は同時に印画される。なお、複数の第一発熱体
75がある場合は、交互に稼働させ、選択された発熱体75
は印画に供される一方、非印画の発熱体75は余熱を利用
して染料の液化や保温に使用し、温度をコントロールす
ることができる。
を兼ねた紙送り駆動ローラ203 で印画紙50を1ライン分
送る。印画スタートは1色毎に順次に行われるが、3ド
ット以降は同時に印画される。なお、複数の第一発熱体
75がある場合は、交互に稼働させ、選択された発熱体75
は印画に供される一方、非印画の発熱体75は余熱を利用
して染料の液化や保温に使用し、温度をコントロールす
ることができる。
【0114】図22は、ライン型に構成されたヘッド70を
有するカラービデオプリンタ200 を示すものであり、印
画紙50の幅方向に亘って各色のヘッド部Y、M、Cが並
置されている。
有するカラービデオプリンタ200 を示すものであり、印
画紙50の幅方向に亘って各色のヘッド部Y、M、Cが並
置されている。
【0115】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可
能である。
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可
能である。
【0116】例えば、上述した発熱体(ヒータ)75の形
状、材質、サイズ等については、種々のもの或いは組み
合わせを採用することができ、ポリ−Siの層とメタル
配線とを両用することや適宜SiNやSiO2 等の絶縁
膜を付着して保護膜を形成することもできる。
状、材質、サイズ等については、種々のもの或いは組み
合わせを採用することができ、ポリ−Siの層とメタル
配線とを両用することや適宜SiNやSiO2 等の絶縁
膜を付着して保護膜を形成することもできる。
【0117】また、気化部に形成すべき多孔性構造は、
上述したものに限らず、例えば柱体の場合はその高さ、
平面又は断面形状、密度等を変化させてよいし、また、
その形成箇所も微細パターン化又は多孔質化、或いは表
面積の拡大等が要求される箇所であれば適用可能であ
る。多孔性構造としては、柱状体以外にも、壁状体や、
図24に示したビーズ集合体、繊維体等で形成したもので
あってもよい。
上述したものに限らず、例えば柱体の場合はその高さ、
平面又は断面形状、密度等を変化させてよいし、また、
その形成箇所も微細パターン化又は多孔質化、或いは表
面積の拡大等が要求される箇所であれば適用可能であ
る。多孔性構造としては、柱状体以外にも、壁状体や、
図24に示したビーズ集合体、繊維体等で形成したもので
あってもよい。
【0118】また、染料気化型の転写方式に限らず、既
述したアブレーションによる転写方式も可能であり、い
ずれの場合も染料又は記録材が飛翔して転写されるもの
である。
述したアブレーションによる転写方式も可能であり、い
ずれの場合も染料又は記録材が飛翔して転写されるもの
である。
【0119】また、記録材(染料)を収容する記録材収
容部の数やドット数、及びこれに対応した発熱体や気化
部の数は種々変更してよいし、その配列形状やサイズ等
も上述したものに限定されることはない。
容部の数やドット数、及びこれに対応した発熱体や気化
部の数は種々変更してよいし、その配列形状やサイズ等
も上述したものに限定されることはない。
【0120】また、染料収容部、染料供給通路をはじ
め、ヘッドやプリンタの構造や形状は、前記以外の適宜
の構造、形状としてよく(図25〜図31に示した気化部と
同様に気化部を構成してよく)、ヘッドを構成する各部
分の材料には、他の適宜の材料を使用してよい。記録染
料についても、マゼンタ、イエロー、シアンの3色とし
て(更には、黒を加えた)フルカラーの記録を行うほ
か、2色印刷、1色のモノカラー又は白黒の記録を行う
ことができる。
め、ヘッドやプリンタの構造や形状は、前記以外の適宜
の構造、形状としてよく(図25〜図31に示した気化部と
同様に気化部を構成してよく)、ヘッドを構成する各部
分の材料には、他の適宜の材料を使用してよい。記録染
料についても、マゼンタ、イエロー、シアンの3色とし
て(更には、黒を加えた)フルカラーの記録を行うほ
か、2色印刷、1色のモノカラー又は白黒の記録を行う
ことができる。
【0121】また、染料の加熱に発熱体又はレーザを使
用する以外にも、これらの発熱体とレーザとを組み合わ
せることもできる。この場合は、各加熱手段のパワーを
下げても良好に気化を実現することができる。
用する以外にも、これらの発熱体とレーザとを組み合わ
せることもできる。この場合は、各加熱手段のパワーを
下げても良好に気化を実現することができる。
【0122】また、上述の例のように、固体染料を一旦
液状にし、これを気化させて記録を行う他、固体染料を
レーザ光によって加熱して直接気化(即ち、昇華)させ
て記録を行うことができるし、染料溜めに液化染料(室
温にて液状)を収容することができる。上述したプリン
タにおいて、ヘッド上方からレーザ光を照射してその下
側に位置する被記録紙に記録を行ってもよいし、この逆
方向(下から上)に記録を行ってもよい。
液状にし、これを気化させて記録を行う他、固体染料を
レーザ光によって加熱して直接気化(即ち、昇華)させ
て記録を行うことができるし、染料溜めに液化染料(室
温にて液状)を収容することができる。上述したプリン
タにおいて、ヘッド上方からレーザ光を照射してその下
側に位置する被記録紙に記録を行ってもよいし、この逆
方向(下から上)に記録を行ってもよい。
【0123】なお、本発明は、記録材とこの記録材を溶
解若しくは分散させかつ加熱により体積膨張する物質
(即ち、キャリア)とを含有する記録液を供給し、加熱
により前記記録液の状態を変化させて液滴を生成させ、
この液滴を前記記録ヘッドと対向配置された被記録体へ
移行させるインクジェット方式にも適用可能である。
解若しくは分散させかつ加熱により体積膨張する物質
(即ち、キャリア)とを含有する記録液を供給し、加熱
により前記記録液の状態を変化させて液滴を生成させ、
この液滴を前記記録ヘッドと対向配置された被記録体へ
移行させるインクジェット方式にも適用可能である。
【0124】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、被記録体
に対向する記録材収容部と、この記録材収容部の記録材
を加熱により前記被記録体へ飛翔させるための記録材飛
翔用構造体と、前記記録材収容部へ前記記録材を供給す
るための記録材供給構造部とを有し、前記記録材飛翔用
構造体が前記記録材供給構造部上に一体に設けられてい
るので、この一体化構造は肉厚に形成されることにな
り、記録材構造部及び微小な記録材飛翔用構造体を加工
するときの機械的強度が十分となり、割れや破壊を生じ
ることなく、取扱い性、加工性及び信頼性、更には歩留
り及びコストパフォーマンスを向上させることができ
る。
に対向する記録材収容部と、この記録材収容部の記録材
を加熱により前記被記録体へ飛翔させるための記録材飛
翔用構造体と、前記記録材収容部へ前記記録材を供給す
るための記録材供給構造部とを有し、前記記録材飛翔用
構造体が前記記録材供給構造部上に一体に設けられてい
るので、この一体化構造は肉厚に形成されることにな
り、記録材構造部及び微小な記録材飛翔用構造体を加工
するときの機械的強度が十分となり、割れや破壊を生じ
ることなく、取扱い性、加工性及び信頼性、更には歩留
り及びコストパフォーマンスを向上させることができ
る。
【0125】また、記録材飛翔用構造体を記録材供給構
造部上でパターニングによって形成し、このパターニン
グ後にそのまま残せばよいから、接着剤等を用いて個々
に固定する必要はなくなり、位置合わせを容易かつ高精
度に行え、記録特性を改善することができる。
造部上でパターニングによって形成し、このパターニン
グ後にそのまま残せばよいから、接着剤等を用いて個々
に固定する必要はなくなり、位置合わせを容易かつ高精
度に行え、記録特性を改善することができる。
【0126】そして、本発明の記録装置は、記録材を加
熱して被記録体へ飛翔させる熱転写方式のものであるか
ら、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品
位化、高階調性等の特長を有している。
熱して被記録体へ飛翔させる熱転写方式のものであるか
ら、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品
位化、高階調性等の特長を有している。
【図1】本発明の第1の実施例によるプリンタヘッドの
主要部の断面図(図2のI−I線断面図)である。
主要部の断面図(図2のI−I線断面図)である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】同プリンタヘッドの主要部の作製工程の一段階
を示す斜視図である。
を示す斜視図である。
【図4】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図5】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図6】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図7】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図8】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図9】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図10】同作製工程の更に他の段階を示す断面図であ
る。
る。
【図11】本発明の第2の実施例によるプリンタヘッドの
主要部の断面図(図12のXI−XI線断面図)である。
主要部の断面図(図12のXI−XI線断面図)である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】本発明の第3の実施例によるプリンタヘッドの
主要部の断面図(図14のXIII−XIII線断面図)である。
主要部の断面図(図14のXIII−XIII線断面図)である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】同プリンタヘッドの主要部の作製工程の一段階
を示す斜視図である。
を示す斜視図である。
【図16】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図17】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図18】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図19】同作製工程の他の段階を示す斜視図である。
【図20】同作製工程の更に他の段階を示す斜視図であ
る。
る。
【図21】本発明の実施例によるプリンタヘッドを有する
プリンタの概略斜視図である。
プリンタの概略斜視図である。
【図22】同プリンタヘッドを有する他のプリンタの概略
斜視図である。
斜視図である。
【図23】従来の感熱記録ヘッドを用いたプリンタの要部
正面図である。
正面図である。
【図24】本発明の完成前に案出されたプリンタの概略断
面図である。
面図である。
【図25】同プリンタのヘッドの分解斜視図である。
【図26】同他のプリンタのヘッドの分解斜視図である。
【図27】本発明の案出前に出願されたプリンタの概略断
面図(図30の XXVII−XXVII 線断面図)である。
面図(図30の XXVII−XXVII 線断面図)である。
【図28】同プリンタのヘッドの主要部分の拡大断面斜視
図である。
図である。
【図29】同プリンタのヘッドの一部分の斜視図である。
【図30】同プリンタのヘッドの他の一部分の斜視図であ
る。
る。
【図31】同プリンタヘッドの一部分の平面図である。
22・・・液化染料 32・・・気化染料 50・・・印画紙 84、84’・・・染料供給通路又は染料導入口 70・・・プリンタヘッド 73・・・絶縁板 75・・・発熱体 75a・・・気化穴 77・・・気化部 80・・・小柱体 82・・・スペーサ 87・・・染料収容部 91・・・保護層 92・・・空隙 94、95・・・電極 97・・・液止め層 101 ・・・気化構造体 102 ・・・底板 200 ・・・プリンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 3/04 103 S
Claims (10)
- 【請求項1】 被記録体に対向する記録材収容部と、こ
の記録材収容部の記録材を加熱により前記被記録体へ飛
翔させるための記録材飛翔用構造体と、前記記録材収容
部へ前記記録材を供給するための記録材供給構造部とを
有し、前記記録材飛翔用構造体が前記記録材供給構造部
上に一体に設けられている記録装置。 - 【請求項2】 記録材の保持を行う多孔性構造からなる
記録材飛翔用構造体が記録材気化又はアブレーション部
に配され、記録材供給路を有するスペーサ部材上に一体
に設けられている、請求項1に記載した記録装置。 - 【請求項3】 多孔性構造下に断熱材が設けられてい
る、請求項2に記載した記録装置。 - 【請求項4】 記録材飛翔用構造体を有する記録材収容
部に、記録材を加熱するための発熱体が設けられてい
る、請求項1〜3のいずかれ1項に記載した記録装置。 - 【請求項5】 記録材収容部の記録材が加熱ビームによ
って加熱されるようにした、請求項1〜3のいずれか1
項に記載した記録装置。 - 【請求項6】 記録材供給構造部が更に補強材に固定さ
れている、請求項1〜5のいずれか1項に記載した記録
装置。 - 【請求項7】 記録材が気化又はアブレーションし、記
録材と非接触状態で対向配置された被記録体へ飛翔する
ようにした、請求項1〜6のいずれか1項に記載した記
録装置。 - 【請求項8】 記録材収容部となる第1素材と記録材供
給構造部となる第2素材とを一体化する工程と、前記第
2素材に記録材供給路を形成する工程と、前記記録材供
給路が開口した記録材収容部を前記第1素材に形成する
工程と、この第1素材の前記記録材収容部に記録材飛翔
用構造体を形成する工程とを有する、請求項1〜7のい
ずれか1項に記載した記録装置の製造方法。 - 【請求項9】 記録材供給路を有する記録材供給構造部
を更に補強材に固定する、請求項8に記載した製造方
法。 - 【請求項10】 記録材収容部及び記録材供給構造部とな
る素材に記録材供給路を形成する工程と、前記素材を補
強材に固定する工程と、前記素材を所定厚みに加工する
工程と、前記記録材供給路が開口した記録材収容部を前
記素材に形成する工程と、この素材の前記記録材収容部
に記録材飛翔用構造体を形成する工程とを有する、請求
項1〜7のいずれか1項に記載した記録装置の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31596594A JPH08142359A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 記録装置及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31596594A JPH08142359A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 記録装置及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08142359A true JPH08142359A (ja) | 1996-06-04 |
Family
ID=18071723
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31596594A Pending JPH08142359A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 記録装置及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08142359A (ja) |
-
1994
- 1994-11-25 JP JP31596594A patent/JPH08142359A/ja active Pending
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