JPH0814068B2 - 熱成形性複合材料及びその製造方法 - Google Patents

熱成形性複合材料及びその製造方法

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JPH0814068B2
JPH0814068B2 JP63208638A JP20863888A JPH0814068B2 JP H0814068 B2 JPH0814068 B2 JP H0814068B2 JP 63208638 A JP63208638 A JP 63208638A JP 20863888 A JP20863888 A JP 20863888A JP H0814068 B2 JPH0814068 B2 JP H0814068B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、軽量であり、かつ吸音性に優れた熱成形性
複合材料とその製造方法に関する。
(従来の技術) 軽量で、また吸音性を有する熱成形性複合材料を製造
する方法として、たとえば特開昭57−77361号公報に
は、無機繊維に樹脂を混合した後、このものを加熱する
ことにより、樹脂にて無機繊維を相互に結合させ、その
後圧縮成形する技術が提案されている。
ところで、このような複合材料を所定形状に賦形する
には、赤外線ヒーター等の加熱装置で、複合材料の両面
をその樹脂の融点以上の温度に加熱した後、加熱装置か
ら搬送装置を用いて比較的定温の成形機まで搬送し、こ
の成形機において所望形状に成形するようにしている。
従来、このように加熱された複合材料を搬送するにあた
って、たとえば、搬送コンベア等の搬送装置を用いたの
では溶融樹脂が搬送装置に付着するおそれがあるので、
複合材料の両端部をクリップ等の保持具で吊り下げ支持
し、この状態でその保持具を成形機の位置まで移動させ
るようにしている。
(発明が解決しようとする課題) ところが、従来の複合材料は、その内部と表面部とで
ほぼ均一に形成され、無機繊維を結合する樹脂は内部と
表面部とで同種のものが使用されているために、表面部
の樹脂の融点以上の温度で複合材料を加熱すると、必然
的に内部の樹脂が溶融することになり、その結果、複合
材料の保形性が悪くなり、複合材料の搬送中に、複合材
料の幅方向の中央部が自重により下方へ垂れるという欠
点があった。そのため、複合材料の垂れる部分が搬送装
置、あるいは成形機に接触することになって搬送に支障
を生じることがあった。また、搬送時の垂れの問題をな
くすために、複合材料を樹脂の融点以上に加熱しない場
合には、成形性に劣るものである。
本発明は上記欠点を解決するものであり、その目的と
するところは、軽量で、また吸音性が優れている上に、
搬送時には加熱により下方へ垂れることの少ない熱成形
性複合材料及びその製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の熱成形性複合材料は、無機繊維からなるマッ
ト状物の全体に熱可塑性樹脂が溶融含浸され、無機繊維
が熱可塑性樹脂にて相互に接合されており、空隙率が50
〜99%である略板状体であって、内部の熱可塑性樹脂の
融点が表面部の熱可塑性樹脂の融点より高いことを特徴
としており、そのことにより上記目的が達成される。
また、本発明の熱成形性複合材料の製造方法は、無機
繊維と有機繊維とを有するマット状物に、該有機繊維の
融点より低い融点を有する熱可塑性樹脂からなるシート
状物を積層し、この積層体を該有機繊維の融点以上の温
度で加熱してシート状物及び有機繊維を溶融させると共
に、積層体を圧縮して溶融樹脂をマット状物に含浸さ
せ、その後有機繊維の融点以上の温度で該圧縮力を解除
し、上記特定の構造を有する熱成形性複合材料を得るこ
とを特徴としており、そのことにより上記目的が達成さ
れる。さらに、本発明の熱成形性複合材料の製造方法
は、無機繊維を主な材料として形成されるマット状物
に、熱可塑性樹脂からなる第1のシート状物を介して該
第1のシート状物より低融点の熱可塑性樹脂からなる第
2のシート状物を積層し、この積層体を第1のシート状
物の融点以上の温度条件下で圧縮して第1及び第2のシ
ート状物をそれぞれ溶融させると共に、その溶融樹脂を
マット状物に含浸させ、その後第1のシート状物の融点
以上の温度で該圧縮力を解除し、上記特定の構造を有す
る熱成形性複合材料を得ることを特徴としており、その
ことにより上記目的が達成される。
本発明の熱成形性複合材料は、無機繊維からなるマッ
ト状物の全体に熱可塑性樹脂が溶融含浸され、無機繊維
が熱可塑性樹脂にて相互に接合されて略板状に形成され
ている。
上記無機繊維としては、たとえばガラス繊維、ロック
ウール繊維等があげられ、その長さは後述するマット状
物の形成の容易さの点から20〜200mmが好ましく、50mm
以上の繊維が70重量%含まれているのがより好ましい。
また、無機繊維の直径は5〜30μmが好ましく、より好
ましくは5〜20μmである。無機繊維の直径が小さくな
り過ぎると機械的強度が低下し、無機繊維の直径が大き
くなり過ぎると、得られるマット状物が重くなって嵩密
度が大きくなる。
上記熱可塑性樹脂は、無数の無機繊維を相互に結合す
るものであればよく、たとえばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレ
ン、ポリビニルブチラール等があげられる。
このようにして無機繊維が熱可塑性樹脂で相互に結合
された熱成形性複合材料の内部は、三次元的な網状構造
に形成され、連続した空隙が存在する多孔性となってお
り、複合材料の空隙率は50〜99%である。熱成形性複合
材料を自動車の天井材として使用する場合、その厚みは
3〜10mm程度が好ましく、かさ密度は0.05〜0.3g/cm2
ものが好ましい。上記無機繊維を結合する熱可塑性樹脂
の融点は、内部と表面部とで異なっており、表面部の熱
可塑性樹脂の融点は内部の熱可塑性樹脂の融点より低く
なっている。
次に、熱成形性複合材料の熱賦形方法を説明する。
熱成形性複合材料は加熱加圧することにより、所望形
状に容易に賦形することができる。また、この熱成形性
複合材料の表面に発泡シートや化粧用表皮材等を積層接
着した状態で賦形してもよい。熱成形性複合材料を加熱
するには、赤外線ヒーターやオーブン等を用いることが
でき、表面部の融点以上の温度に加熱する。そして、加
熱した複合材料の両端部をクリップ等の保持具で吊り下
げ、この状態で成形機の位置まで搬送し、成形機にセッ
トして圧縮成形するのである。上記したように複合材料
の表面には内部の樹脂に比べて低融点の樹脂が存在して
いるので、複合材料の加熱温度は表面部の樹脂が溶融す
る程度でよく、内部の樹脂が溶融するまで行う必要はな
い。従って、複合材料を加熱した場合には、内部の樹脂
は完全に溶融していない状態で存在し、この内部によっ
て複合材料を保形することができ、上記方法によって複
合材料を搬送する際に、中央部が下方へ垂れることはな
いのである。
次に、本発明の熱成形性複合材料の製造方法を説明す
る。
本発明で使用するマット状物は、任意の製造方法が採
用されてよく、たとえば上記無機繊維と有機繊維をカー
ドマシンに供給し、解繊及び混繊してマット状物を製造
する方法があげられる。また、マット状物の機械的強度
を向上させるためにニードルパンチを施してもよく、ニ
ードルパンチは1cm2当たり、1〜100箇所行われるのが
好ましく、より好ましくは10〜50箇所である。マット状
物の密度は大きくなると重くなり、小さくなると機械的
強度が低下するので、100〜1000g/m2が好ましい。マッ
ト状物に使用される無機繊維と有機繊維との重量比は、
5:1〜1:5の範囲に設定するのが好ましい。この範囲より
無機繊維の添加量が少なくなると、成形品の耐熱性が劣
り、無機繊維の添加量が多くなると無機繊維相互の結合
力が低下する傾向にある。有機繊維は上記熱可塑性樹脂
からなる繊維が使用され、その長さ及びその直径は無機
繊維と混繊して容易にマット状物を形成できる程度が好
ましく、有機繊維の長さは5〜200mmが好ましく、より
好ましくは20〜100mmであり、有機繊維の直径は3〜50
μmが好ましく、より好ましくは20〜40μmである。ま
た、マット状物には上記熱可塑性樹脂よりなる有機粉末
が添加されてもよい。有機粉末はマット状物を製造する
際、あるいは製造した後に散布することもできる。有機
粉末は乾燥粉末として使用してもよく、あるいは粉末の
分散液やエマルジョンの形態で使用してもよい。この有
機粉末の添加量は多くなるとマット状物の重さが重くな
るので、無機繊維の使用量以下とするのが好ましい。有
機粉末の粒径は、粉末状態で添加される際には50〜100
メッシュが好ましく、貧溶媒に分散された状態もしくは
エマルジョンにして添加される際には、それより小さく
てもよい。
次に、このようにして得られたマット状物に、有機繊
維の融点より低い融点を有する熱可塑性樹脂からなるシ
ート状物を積層する。シート状物はマット状物の両面又
は片面に積層してもよい。シート状物をマット状物に積
層する方法は、任意の方法が採用されてよく、たとえば
マット状物の両面又は片面にシート状物を載置する方
法、熱融着する方法、あるいはシート状物を金型より押
し出す際に、マット状物表面にラミネートする方法等が
あげられる。
上記シート状物は、その融点が上記有機繊維の融点よ
り低い熱可塑性樹脂からなり、該熱可塑性樹脂として
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリエステル
等があげられる。有機繊維とシート状物との組み合わせ
は、たとえば高密度ポリエチレン繊維と低密度ポリエチ
レンからなるシート状物、ポリプロピレン繊維と低密度
又は高密度のポリエチレンからなるシート状物、ポリエ
チレン又はポリプロピレン繊維とエチレン・酢酸ビニル
共重合体からなるシート状物、ナイロン繊維とポリエチ
レン又はポリプロピレンからなるシート状物、ポリエス
テル繊維とポリエチレン又はポリプロピレンからなるス
ート状物等の組み合わせがあげられる。
該シート状物と有機繊維との比率は、重量比で1:3〜
3:1が好ましい。シート状物が上記範囲より多いと、有
機繊維の使用量が相対的に少なくなるので複合材料の加
熱搬送時の垂れの問題が大きくなり、シート状物が上記
範囲より少ないと、低融点樹脂が少なくなるので、複合
材料の成形性が低下する。シート状物の厚さは10〜300
μmが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。
シート状物の厚さが厚くなり過ぎると重くなり、薄くな
り過ぎると機械的強度が低下する。
次に、上記マット状物とシート状物とが積層されてな
る積層体を有機繊維の溶融温度以上の温度に加熱する。
上記加熱は有機繊維の融点以上の温度で行うものであ
り、有機繊維及びシート状物を溶融することにより、こ
れらの溶融樹脂がマット状物中に含浸して無機繊維はそ
れらの樹脂で相互に接続される。従って、加熱条件とし
ては、有機繊維の溶融温度より10〜70℃高い温度で1〜
10分行うのが好ましい。また、加熱方法は、任意の方法
が採用されてよく、たとえば、オーブン中で積層体の全
体を加熱する方法、あるいは遠赤外線ヒーター、赤外線
ヒーター等による輻射加熱方法等があげられる。積層体
は上記のようにして加熱された後、有機繊維及びシート
状物が溶融した状態で圧縮される。この圧縮方法は任意
の方法が採用されてよく、たとえばプレス圧縮、ロール
圧縮等があげられる。プレスで圧縮する際の圧力は0.1
〜50kg/cm2が好ましく、より好ましくは1〜20kg/cm2
あり、ロールで圧縮する際の一対のロール間距離はマッ
ト状物の厚みの1/5〜1/20が好ましく、より好ましくは1
/8〜1/15である。圧縮時間は1〜30秒が好ましい。ま
た、圧縮する際に熱可塑性樹脂が冷却されて固化すると
マット状物の厚みが回復しなくなり、空隙率が小さくな
るので、プレス金型及びロールも所定温度に加熱されて
いるのが好ましい。
次いで、このようにして圧縮された樹脂含浸マット状
物は、空隙率を上げるために次に圧縮が解除されると共
に、有機繊維の溶融温度以上の温度に加熱されてその厚
みが回復される。マット状物の厚みを回復するには、た
とえば次の二つの方法によって行うことができる。その
一つは、溶融樹脂をマット状物に含浸一体化させた後、
有機繊維の溶融温度以上の温度でほぼ無加圧化状態で所
定時間保持することにより、無機繊維の弾性復元力によ
ってマット状物の厚みを元の状態へ回復させるものであ
り、他の方法は溶融樹脂をモット状物に含浸一体化させ
た後、このものを有機繊維の溶融温度以上の温度で加熱
すると共に、マット状物の両側に拡張部材を配設し、溶
融樹脂と該拡張部材とを接着させた状態で、マット状物
の厚み方向外方へ拡張部材を移動させることにより、強
制的にマット状物の厚みを増加させるものである。拡張
部材としては、溶融した樹脂には接着するが、冷却した
樹脂には接着しないものが好ましく、たとえばテフトン
シート、テフロン被覆鉄板、マイラーシート、ポリエス
テルフィルム、アルミ板等を用いることができる。ま
た、拡張部材を厚み方向外方へ移動させるには、たとえ
ば真空吸着装置を拡張部材に吸着させて真空吸着装置を
外側へ移動させることにより行うことができる。
上記加熱に要する時間は、マット状物の厚みがほぼ元
の厚みに回復するまで行うのがよく、一般には2秒〜5
分行うのが好ましく、より好ましくは2秒〜30秒であ
る。厚みが回復された樹脂含浸マット状物は、次に常温
にまで冷却されて本発明に係る熱成形性複合材料が得ら
れる。この冷却は常温の空気中に放置することによって
行ってもよく、また冷風を吹き付けることによって行っ
てもよい。
このようにして空隙率が50〜99%である上記構成の熱
成形性複合材料が得られる。この製造方法によれば、得
られた熱成形性複合材料の表面部には、主に上記シート
状物が溶融してなる比較的低融点の熱可塑性樹脂が存在
し、複合材料の内部には主に上記有機戦域が溶融してな
る比較的高融点の可塑性樹脂が存在している。
次に、本発明の熱成形性複合材料の他の製造方法を説
明する。
前記のようにして得られた無機繊維を主な材料として
形成されたマット状物の片面又は両面に、熱可塑性樹脂
からなる第1のシート状物を介して該第1のシート状物
より低融点の熱可塑性樹脂からなる第2のシート状物を
積層する。または、マット状物の一方の面に上記によう
に第1のシート状物及び第2のシート状物をそれぞれこ
の順で重ねると共に、マット状物の他方の面に第2のシ
ート状物のみを重ねるようにしても良い。第1のシート
状物及び第2のシート状物としては、上記した熱可塑性
樹脂を使用することができる。また、第1のシート状物
と第2のシート状物との組み合わせは、たとえば、ポリ
エチレンフィルムとポリプロピレンフィルム、低密度ポ
リエチレンフィルムと高密度ポリエチレンフィルム、ポ
リエチレンフィルムとポリエステルフィルム、ポリプロ
ピレンフィルムとポリエステルフィルム、ポリエチレン
フィルムとナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム
とナイロンフィルム等の組み合わせがあげられる。第1
及び第2のシート状物の厚さはそれぞれ30〜300μmが
好ましい。なお、マット状物は無機繊維だけから形成さ
れていてもよいし、無機繊維を相互により強固に接合さ
せるために前述の有機繊維が添加されてもよい。
次に、このようにしてマット状物と各シート状物とを
積層した積層体を、第1のシート状物の融点以上の温度
条件で圧縮して第1及び第2のシート状物をそれぞれ溶
融させると共に、その溶融樹脂をマット状物に含浸させ
る。ここで、圧縮力は、1〜50kg/cm2が好ましく、より
好ましくは1〜20kg/cm2である。圧縮時間は1〜30秒が
好ましい。その後、第1のシート状物の融点以上の温度
で該圧縮力を解除して厚みを増加させる。この厚みを増
加させる操作は、上記した無加圧条件下で放置すること
により、無機繊維の弾性復元力を利用して厚みを回復さ
せる方法、あるいは強制的に複合材料の表面部を外側へ
引っ張る方法等の方法で行うことができる。その後、冷
却することにより、溶融樹脂を固化させて無機繊維が熱
可塑性樹脂で相互に結合され、しかも内部には上記した
ように空隙率が50〜99%である厚さ3〜20mm程度の熱成
形性複合材料が得られる。なお、他の成形条件及び操作
等は上記した製造方法と同様に行うことができる。
この製造方法によれば、第1のシート状物がマット状
物側に配設され、第2のシート状物が外側に配設された
状態で加熱圧縮されるため、第1のシート状物の溶融樹
脂は複合材料の内部に比較的多量に含浸し、第2のシー
ト状物の溶融樹脂は複合材料の表面部に比較的多量に含
浸することになる。
本発明によって得られた熱成形性複合材料は、軽量で
あり、また耐熱性、賦形性に優れているので、たとえ
ば、自動車、列車、航空機等の移動機の内装用基材、あ
るいは建築用内装材、梱包材料等として好適に使用する
ことができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
なお、本実施例において空隙率は次のようにして求め
た。まず、使用した樹脂及び無機繊維の平均比重ρを求
める。
樹脂1gの比重をρとし、無機繊維1gの比重をρ
すると、 ρ=(1+1)/1/ρ+1/ρ) =2/(1/ρ+1/ρ) となる。
次に、測定する試験体の厚さをt cm、大きさ1m2当た
りの重量をwgとすると、 空隙率 K=1−w/{10,000×t×2/(1/ρ+1/ρ)} となる。
従って、たとえばポリエチレン(比重0.95)とガラス
繊維(比重2.5)とからなる厚さ7mm(0.7cm)、重量800
g/m2の板状試験体の空隙率は、 1−800/{10,000×0.7×2/(1/0.95+1/2.5)} =0.917−(91.7%)となる。
実施例1 長さ50mm、直径10μmのガラス繊維(400g/m2)と、
長さ50mm、直径2デニール(約10μm)のポリプロピレ
ン繊維(融点;165℃、100g/m2)とを、カードマシンに
供給し、解繊及び混繊して綿状物を得た。次に、この綿
状物にニードルパンチを30箇所/cm2の割合で打って目付
け500g/m2のマット状物を得た。次に、マット状物の両
側に厚み100μm、融点135℃の高密度ポリエレンフィル
ムを重ね、さらにそのポリエチレンフィルムの外側にテ
フロンシートを重ね、この積層体を成形機にセットして
200℃に機熱しれた熱盤上で2分間加熱し後、5kg/cm2
圧力で20秒間圧縮した。
次に、この温度に保った状態でマット状物への圧縮を
解除し、その後外側のテフロンシートを真空吸着装置に
よりマット状物の厚み方向外方へ移動させてシート間を
7mmまで拡開し、その後マット状物をテフロンシートに
挟んだ状態で1分間空冷し、ポリエチレンフィルムが固
化したことを確認した後、テフロンシートを剥がして厚
み7mmの板状熱成形性複合材料を得た。
得られた熱成形性複合材料の空隙率は93.2%であっ
た。また、その内部の樹脂は主にポリプロピレンであ
り、その表面部の樹脂は主にポリエチレンであった。
次に、この熱成形性複合材料を1250×1900mmに切断
し、長手側の辺を100mm間隔でクリップで固定して吊り
下げ支持し、この状態で複合材料の表面を280℃の赤外
線ヒーターで30秒間加熱した。複合材料の表面は180
℃、内部は160℃に達した。この時の、複合材料の中央
部の垂れは53mmであった。
実施例2 長さ50mm、直径10μmのガラス繊維(400g/m2)をカ
ードマシンに供給し、解繊及び混繊して綿状物を作成し
た。次に、この綿状物にニードルパンチを30箇所/cm2
割合で打って目付け500g/m2のマット状物を得た。
次に、このマット状物の両面に、厚み50μm、融点16
5℃のポリプロピレンフィルムを重ね、その外側に厚み1
00μm、融点135℃のポリエチレンフィルムを重ね、さ
らにそのフィルムの外側にテフロンシートを重ね、この
積層体を成形機にセットして圧縮した以外は、実施例1
と同様にして熱成形性複合材料を得た。得られた複合材
料の空隙率は93.1%であった。複合材料の垂れ程度を実
施例1と同様にして測定したところ50mmであった。
比較例1 実施例1において、有機繊維として、融点135℃のポ
リエチレン繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして
熱成形性複合材料を得た。この複合材料の垂れ程度を実
施例1と同様にして測定したところ158mmであった。
比較例2 実施例2においてポリプロピレンフィルムの代わり
に、150μm厚のポリエチレフィルム(融点135℃)を用
いた以外は、実施例2と同様にして熱成形性複合材料を
得た。この複合材料の垂れ程度を実施例1と同様にして
測定したところ156mmであった。
(発明の効果) このように、本発明の熱成形性複合材料は、無機繊維
からなるマット状物の全体に熱可塑性樹脂が溶融含浸さ
れ、多数の無機繊維が樹脂で結合されており、空隙率が
50〜99%であるので、軽量であって、機械的強度が高
く、また熱賦形性に優れている。しかも、表面部の樹脂
の融点は内部の樹脂の融点より低いので、この複合材料
を加熱成形する際の温度は、表面部の樹脂が溶融する程
度で良く、内部の樹脂を完全に溶融させる必要はなく、
従って内部で複合材料を保形することができて加熱搬送
時に垂れるのを減少でき、複合材料の加熱搬送時に搬送
装置や成形機等に接触することがない。
又、本発明の製造方法により、容易にかつ効率よく製
造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維からなるマット状物の全体に熱可
    塑性樹脂が溶融含浸され、無機繊維が熱可塑性樹脂にて
    相互に接合されており、空隙率が50〜99%である略板状
    体であって、内部の熱可塑性樹脂の融点が表面部の熱可
    塑性樹脂の融点より高いことを特徴とする熱成形性複合
    材料。
  2. 【請求項2】無機繊維と有機繊維とを有するマット状物
    に、該有機繊維の融点より低い融点を有する熱可塑性樹
    脂からなるシート状物を積層し、この積層体を該有機繊
    維の融点以上の温度で加熱してシート状物及び有機繊維
    を溶融させると共に、積層体を圧縮して溶融樹脂をマッ
    ト状物に含浸させ、その後有機繊維の融点以上の温度で
    該圧縮力を解除することを特徴とする請求項1記載の熱
    成形性複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】無機繊維を主な材料として形成されるマッ
    ト状物に、熱可塑性樹脂からなる第1のシート状物を介
    して該第1のシート状物より低融点の熱可塑性樹脂から
    なる第2のシート状物を積層し、この積層体を第1のシ
    ート状物の融点以上の温度条件下で圧縮して第1及び第
    2のシート状物をそれぞれ溶融させると共に、その溶融
    樹脂をマット状物に含浸させ、その後第1のシート状物
    の融点以上の温度で該圧縮力を解除することを特徴とす
    る請求項1記載の熱成形性複合材料の製造方法。
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