JPH08137510A - システム制御装置 - Google Patents

システム制御装置

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JPH08137510A
JPH08137510A JP7076401A JP7640195A JPH08137510A JP H08137510 A JPH08137510 A JP H08137510A JP 7076401 A JP7076401 A JP 7076401A JP 7640195 A JP7640195 A JP 7640195A JP H08137510 A JPH08137510 A JP H08137510A
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Kunio Yamada
邦夫 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 開発工数を大幅に低減させ、かつ、状況に応
じた制御を自動的に行う。 【構成】 制御量目標出力が指示されると、状態量が類
似している全ての事例が事例記憶部15内から検索され
る。そして、補正ルール作成部12は、類似した制御事
例を、操作量と制御量で構成される空間にプロットす
る。本実施例では、二次元平面上に各制御事例の操作量
と制御量をプロットし、ここから制御ルールを導出す
る。ここでは、最小二乗法による一次近似直線として計
算しており、(出力スコア=a×電圧設定値+b)と近
似できるような係数a、bを求めている。このようにし
て、制御ルールが抽出されると、操作量補正演算部16
は、出力目標値を実現するための操作量補正を算出し、
算出した操作量を操作量設定値出力部17を介して被制
御システム1に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、システムからの出力を制御する
ためのシステム制御装置に係わり、特に最適な制御を低
コストで、しかも常に精度良く行うことができ、さらに
商品開発時のデータ採取や最適化設計にかかる開発工数
を実質的にゼロにすることができるシステム制御装置に
関する。
【従来の技術】
【0002】従来より、システム制御を目的として、人
工知能の技術を用いる方法が広く行われている。その代
表的なものとしては、専門家が経験的に得たルールに基
づくエキスパートシステムによる制御方法、システム設
計上の知識に基づくモデルベース推論による制御方法、
ファジーやニューラルネットワークによる制御方法など
がある。
【0003】しかし、エキスパートシステムはルールの
存在しない未経験の状況に対しては対応できず、モデル
ベースでは未経験の状況にも対処できるものの、そのた
めには制御対象の動作メカニズムについての深い理解
(モデル)が不可欠であるなど、一長一短があった
(「事例に基づ推論と事例からの知識獲得」小林重信、
日本ファジー学会誌、Vol.4No.4P646−P6
55(1992))。
【0004】また、ファジーやニューラルネットワーク
では、入力と出力の関係が複雑な場合にも対応できるな
ど優れた特徴を持つ反面、ファジーでは技術者が試行錯
誤的にチューニングを行う必要があり、ニューロではあ
らかじめ技術者が適切な教師データを用意し、通常、数
千回から数万回以上というような多数回の(したがって
長時間の)学習サイクルを実行しなければならない。
【0005】したがって、チューニングや学習によって
取り込んだ入力と出力の関係自体が変化してしまうよう
なシステムには、通常は対応できない。すなわち、ファ
ジーにおいてはメンバーシップ関数のチューニングのや
り直し、ニューロにおいては教師データの作り直しと学
習のやり直しなど、制御系の再構築が必要であり、リア
ルタイムで被制御システムの最適な制御を実現すること
は極めて難しかった。
【0006】そこで、専門家が経験的に得たルールのみ
に依存することなく、制御対象の動作メカニズムについ
ての深い理解も必要ない推論方法として、過去の事例に
基づく推論方法(Case Based Reason
ing=CBR)が提案されている(特開平5−150
989)。このCBRでは過去の事例の中から現在の状
況に最も近い事例を検索し、その事例に基づいて現在の
状況についての推論を行うことができる。
【0007】しかし、従来のCBRは戦略支援などへの
応用が専らであり、システム制御に用いた例は少ない。
CBRのこのような使われ方から、通常は事前に網羅的
な大量のデータを事例として記憶させる必要があり、大
きな開発工数を要していた。
【0008】しかも、CBRの要素技術である事例の記
憶、事例の検索、事例からの推論、新しい事例の追加学
習など、どの要素技術においてもまだまだ研究段階であ
り、実用化のためには改良が必要となっている。(「事
例ベース推論の研究課題」小林重信、人工知能 75ー
4(1991.3.6) P29−38)
【0009】具体的には、先ず、従来のCBRでは類似
事例検索において、類似判断は一義的定量的な基準をも
っていないのが現状である。また、従来のCBRでは現
在の状況と十分に類似した過去の事例が存在しない場合
の推論方法が確立しておらず、不十分な事例に基づいて
不確かな推論を行うしかなかった。
【0010】さらに従来のCBRでは、ファジー/ニュ
ーロなどと異なり、随時新しい事例を学習することによ
り、知識を成長させられるという大きな特徴をもっては
いるものの、新しい事例を学習するかどうかの判断基準
が明確でなく、新しいクラスタの再構築には人間が介在
する必要があるなど、煩雑な作業が要求される。しかも
古い事例と新しい事例の間に経時的な変化が起こってい
ても(もはや古い事例では役に立たなくなっていて
も)、その区別がつけられないなど、システム制御に用
いる場合には問題が多かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
技術の欠点、すなわちエキスパートシステムに代表され
るルールベース推論、事例ベース推論、モデルベース推
論、および、ファジーやニューラルネットワークによる
制御方法がそれぞれに持っていた欠点を解消するために
なされたものであって、その目的とするところは、開発
工数を大幅に低減しながら、状況に適応した制御を行う
こところにある。
【0012】さらに、本発明は、以下のような目的を有
している。 制御誤差が許容誤差範囲以内に収まるように、制御装
置自身が自動的に必要な情報を選択的に学習して、制御
性能を向上させることを可能にする。 制御精度をより高めるために、システムの状況に最も
適した制御ルールを用いて制御ができるようにする。 現状に近い状況下で得られた制御ルールが複数個であ
った場合に、それらを有効に組み合わせて、より適した
制御ルールを創出する。 一義的定量的な制御ルールを容易に抽出する。 システムの現状と過去の事例との適合度を一義的定量
的に決定する。 必要に応じて制御事例の追加記憶(学習)を繰り返し
行った結果として、新たな制御事例を追加記憶するため
の記憶容量が不足した場合、最も重要性の低い事例を的
確に選択して消去し、最新のより重要性の高い事例を記
憶できるようにする。 制御事例の持つ情報を十分に活かしながら、しかも本
来的に制御事例を記憶するための記憶容量を低く押さえ
られるように構成する。 システムを再起動した場合、再起動の前後におけるシ
ステムの状態変化の影響を低減し、再起動当初から速や
かに精度の高い制御を行うことを可能にする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明にあっては、被制御装置に操
作量を与える操作量出力手段と、前記操作量、およびこ
れに対応して前記被制御装置から出力される制御量を制
御事例として記憶する制御事例記憶手段と、前記制御事
例記憶手段に記憶された複数の制御事例から制御ルール
を抽出する制御ルール抽出手段と、前記制御ルール抽出
手段によって抽出された制御ルールを用いて、前記制御
量を目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前
記操作量出力手段から出力させる操作量演算手段とを具
備することを特徴とする。
【0014】また、請求項3に記載の発明にあっては、
被制御装置に操作量を与える操作量出力手段と、前記操
作量およびこれに対応して前記被制御装置から出力され
る制御量および前記被制御装置の制御量に影響を与える
状態量を一組にして制御事例として記憶する制御事例記
憶手段と、前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制
御事例から制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段
と、前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ル
ールを用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量
を求め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させ
る操作量演算手段とを具備することを特徴とする。
【0015】請求項5に記載の発明にあっては、被制御
装置に操作量を与える操作量出力手段と、前記操作量お
よびこれに対応して前記被制御装置から出力される制御
量および前記被制御装置の制御量に影響を与える状態量
を一組にして制御事例として記憶するとともに、前記制
御事例記憶手段に記憶されている制御事例のうち、状態
量が類似しているものをまとめてクラスタを作成する制
御事例記憶手段と、前記各クラスタ毎に制御ルールを抽
出する制御ルール抽出手段と、前記制御ルール抽出手段
によって抽出された制御ルールのうち、制御実行時の状
態量に近いクラスタの制御ルールを用いて、前記制御量
を目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前記
操作量出力手段から出力させる操作量演算手段とを具備
することを特徴とする。
【0016】請求項7に記載の発明にあっては、被制御
装置に操作量を与える操作量出力手段と、前記操作量お
よびこれに対応して前記被制御装置から出力される制御
量および前記被制御装置の制御量に影響を与える状態量
を一組にして制御事例として記憶するとともに、状態量
が類似しているものをまとめてクラスタを作成する制御
事例記憶手段と、前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出
する制御ルール抽出手段と、前記制御ルール抽出手段に
よって抽出された制御ルールについて、直前の制御事例
に対する適合度を求め、各制御ルールについて適合度に
応じた重み付けを行って平均し、その結果得られる合成
ルールを用いて前記制御量を目的値に一致させる操作量
を求め、この操作量を前記操作量出力手段に出力させる
操作量演算手段とを具備することを特徴とする。
【0017】また、請求項2、4、6、8に記載の発明
にあっては、制御量が許容誤差範囲を超えた場合は、そ
の制御内容を新たな制御事例として記憶して新たな制御
ルールを作成することを特徴としている。
【0018】請求項9に記載の発明にあっては、請求項
1〜8いずれかに記載のシステム制御装置において、前
記制御ルールは、制御量およびこれに関連するn個の操
作量で構成されるn+1次元空間内で、各制御事例座標
点の最小二乗誤差法によるn次元平面として各制御量毎
に抽出されることを特徴とする。
【0019】請求項10に記載の発明にあっては、被制
御装置に操作量を与える操作量出力手段と、前記操作量
およびこれに対応して前記被制御装置から出力される制
御量および前記被制御装置の制御量に影響を与える状態
量を一組にして制御事例として記憶するとともに、状態
量が類似しているものをまとめてクラスタを作成する制
御事例記憶手段と、各クラスタ毎に、制御量およびこれ
に関連するn個の操作量で構成されるn+1次元空間内
で、各制御事例座標点の最小二乗誤差法によるn次元平
面として各制御量毎に制御ルールを抽出する制御ルール
抽出手段と、前記制御ルール抽出手段によって抽出され
た制御ルールについて、直前の制御事例に対する適合度
を求め、各制御ルールについて適合度に応じた重み付け
を行って平均し、その結果得られる合成ルールを用いて
前記制御量を目的値に一致させる操作量を求め、この操
作量を前記操作量出力手段に出力させる操作量演算手段
とを具備するとともに、前記操作量演算手段は、各制御
ルールが記述される座標空間内で、制御ルールを示すn
次元平面と、直前の制御事例を示す座標点との間の距離
の逆数を、各制御ルールについて規格化して前記適合度
を求めることを特徴とする。
【0020】請求項11に記載の発明にあっては、請求
項1〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段において記憶容量不足
が生じた際には、もっとも古い制御事例を消去すること
を特徴とする。
【0021】請求項12に記載の発明にあっては、請求
項9記載のシステム制御装置において、前記制御事例記
憶手段において記憶容量不足が生じた際には、もっとも
古い制御事例を消去することを特徴とする。
【0022】請求項13に記載の発明にあっては、請求
項5〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段は、クラスタが完成し
た時点において、そのクラスタの構成要素である制御事
例を消去することを特徴とする。
【0023】請求項14に記載の発明にあっては、請求
項5〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段は、記憶容量不足が生
じた際は、最も古いクラスタを消去することを特徴とす
る。
【0024】請求項15に記載の発明にあっては、請求
項13に記載のシステム制御装置において、前記制御事
例記憶手段は、記憶容量不足が生じた際は、最も古いク
ラスタを消去することを特徴とする。
【0025】請求項16に記載の発明にあっては、請求
項1〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段は、制御事例の要素と
して、その発生時刻、および操作量決定に使われた回数
を記憶し、記憶容量不足が生じた際には、所定の時点以
前に記憶され、かつ、使われた回数の最も少ない制御事
例を消去することを特徴とする。
【0026】請求項17に記載の発明にあっては、請求
項5〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段は、クラスタの要素と
して、作成時刻、および操作量決定に使われた回数を記
憶し、記憶容量不足が生じた際には、所定の時点以前に
記憶され、かつ、使われた回数の最も少ないクラスタを
消去することを特徴とする。
【0027】請求項18に記載の発明にあっては、請求
項5〜8および10いずれかに記載のシステム制御装置
において、前記制御事例記憶手段は、クラスタの要素と
して、作成時刻、および操作量決定に使われた際の累積
適合度を記憶し、記憶容量不足が生じた際には、所定の
時点以前に記憶され、かつ、累積適合度の最も小さいク
ラスタを消去することを特徴とする。
【0028】請求項19に記載の発明にあっては、被制
御装置に操作量を与える操作量出力手段と、前記操作量
およびこれに対応して前記被制御装置から出力される制
御量および前記被制御装置の制御量に影響を与える状態
量を一組にして制御事例として記憶するとともに、状態
量が類似しているものをまとめてクラスタを作成する制
御事例記憶手段と、前記各クラスタ毎に制御ルールを抽
出する制御ルール抽出手段と、前記制御ルール抽出手段
によって抽出された制御ルールについて、直前の制御結
果に対する適合度を求め、各制御ルールについて適合度
に応じた重み付けを行って平均し、その結果得られる合
成ルールを用いて前記制御量を目的値に一致させる操作
量を求め、この操作量を前記操作量出力手段に出力させ
る操作量演算手段とを具備し、前記操作量演算手段は、
前記被制御装置または当該制御動作が停止された後、再
起動された場合、停止直前の制御事例における操作量に
対して所定の変換を施し、該変換後の操作量を前記操作
量出力手段に出力させ、これによって得られる制御事例
に対する各制御ルールの適合度を求めることを特徴とす
る。
【0029】
【作用】請求項1記載の発明によれば、操作量と制御量
の組み合わせが制御事例として制御事例記憶手段に記憶
される。そして、制御ルール抽出手段は、記憶された制
御事例から制御ルールを導き出し、操作量演算手段は、
この制御ルールを用いて次の制御に用いる操作量を演算
する。すなわち、過去の制御事例から自動抽出した制御
ルールに基づいて被制御システムの制御を実行する。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、制御事例
記憶手段内に、制御量、操作量および状態量が一組にな
って制御事例が形成されるから、状態量が変化する状況
においても適用することができる。
【0031】請求項5に記載の発明によれば、制御事例
記憶手段内に、状態量が類似している制御事例がクラス
タとしてまとめられ、制御ルール抽出手段はクラスタ毎
に制御ルールを抽出する。さらに、操作量演算手段が制
御時点の状態量に対応するクラスタの制御ルールを選択
するから、制御時の状況に応じた操作量を出力される。
【0032】請求項7に記載の発明によれば、操作量演
算手段が各制御ルールの適合度を求め、これによる重み
付けを行って各制御ルールを合成しているから、制御時
の状況と各制御ルールとの定量的な適合度判断ができ、
高い制御精度が得られる。これにより、過去に制御時の
状況と類似した状況を経験していなくとも、初めて経験
する状況に対応した制御ルールを、推論することができ
るようになる。すなわち、例えば、過去に経験した高温
時と低温時の制御ルールから、中温時に適応すると期待
できる新たな制御ルールを創出することが出来るように
なる。
【0033】請求項2、4、6、8に記載の発明におい
ては、制御量(システム出力)が設定されている許容誤
差範囲を越えてしまった場合に、その制御内容を新たに
記憶すべき制御事例として追加記憶し、次回または次回
以降の制御には、その追加記憶された制御事例を含む制
御事例群から、制御ルールを自動抽出するようにしてい
る。したがって、状況の変化等に適応した制御を行うこ
とができるとともに、設定した許容誤差範囲に応じた精
度に自動的に収れんする。
【0034】請求項9に記載の発明にあっては、前記制
御ルールが、制御量およびこれに関連するn個の操作量
で構成されるn+1次元空間内で、各制御事例座標点の
最小二乗誤差法によるn次元平面として各制御量毎に抽
出されるので、誤差が統計的処理により低減される。ま
た、制御ルールが純粋に数学的に(最小二乗誤差法によ
るn次元平面として)得られるため、被制御システムに
ついての物理モデル化が不要になる。すなわち、被制御
システムをブラックボックスとして取り扱うことができ
るという効果がある。そのため、制御事例の要素とし
て、必ずしも制御量に係わる物理量を含む必要がないた
め、物理量センサが不要になる。すなわち、制御におい
てより直接的な量である操作量の設定値で代用できる。
【0035】請求項10に記載の発明にあっては、制御
ルールの自動抽出は、類似した状況下の制御事例からな
るクラスタ毎に行われ、制御実行時には各クラスタの適
合度を判定し、各々のクラスタの制御ルールを適合度に
応じて重み付け平均する。そして、この結果得られた制
御ルールによって操作量が算出される。この場合、制御
ルールは、各制御量ごとに、各制御量および関連するn
個の操作量で構成されるn+1次元空間内で、各制御事
例座標点の最小二乗誤差法によるn次元平面として抽出
され、制御実行時点の状態と各クラスタとの適合度は、
前回の制御実行時と同一の操作量に対する各クラスタの
n次元平面上の点(制御量)と、前回の制御実行時の制
御量(制御結果)との差(座標空間内の距離)の逆数
を、類似クラスタ全体に渡って規格化したものである。
【0036】請求項11、12に記載の発明にあって
は、制御事例記憶手段が容量不足に成った際には、もっ
とも古い制御事例が消去されるので、記憶エリアを有効
に使用することができる。
【0037】請求項13においては、ひとつのクラスタ
生成が完結した時点で、そのクラスタの構成要素である
事例または事例群を制御事例記憶手段から消去する。し
たがって、クラスタに対応する制御ルールだけが記憶さ
れることになり、記憶すべきデータ量を大幅に減らすこ
とができる。
【0038】請求項14、15においては、制御事例記
憶手段は、記憶容量不足となった場合は、最も古いクラ
スタを消去するので、新たなクラスタや制御事例を確実
に記憶することができる。
【0039】請求項16においては、操作量の決定に使
用された回数の少ない制御事例、すなわち、重要度の低
い制御事例が消去されるので、記憶エリアを有効に使用
できるとともに、重要データはいつまでも保存されると
いう利点がある。
【0040】請求項17においては、操作量の決定に使
用された回数の少ないクラスタ、すなわち、重要度の低
いクラスタが消去されるので、記憶エリアを有効に使用
できるとともに、重要クラスタはいつまでも保存される
という利点がある。
【0041】請求項18に記載の発明にあっては、累積
適合度の小さいクラスタ、すなわち、重要度の低いクラ
スタが消去されるので、上記と同様に、記憶エリアを有
効に使用できるとともに、重要クラスタがいつまでも保
持される。
【0042】請求項19に記載の発明にあっては、再起
動後の各制御ルールの適合度は、停止直前の制御事例に
おける操作量に対して所定の変換を施した操作量を指定
して得られる制御事例に基づいて算出され、この適合度
に応じた重み付け平均によって再起動後の制御ルールが
合成される。上記所定の変換としては、例えば所定の標
準操作量との平均あるいは重み付け平均、停止前の各制
御事例における操作量を平均した値との平均、係数の乗
算等、種々の態様がある。
【0043】以上のように、本発明によるシステム制御
装置は、必要な精度を保つためのリアルタイム学習が行
え、経時変化などが生じても、最適な制御ルールを自動
的に抽出できるという作用がある。そのため、この作用
をさらに利用することで、従来行っていたようなシステ
ム制御装置開発時の最適化作業を不要にすることが可能
になる。
【0044】
【実施例】
(第1実施例) A:第1実施例の構成 以下、図面を参照してこの発明の第1実施例について説
明する。なお、この実施例は、種々の対象に対して制御
が行える汎用制御システムについての例である。まず、
図1に示す1は、被制御システムであり、供給される操
作量に従って制御対象を変化させるアクチェータ部を有
している。また、被制御システム1は、制御対象の状態
を検出し、制御量として出力する。例えば、制御対象1
がレーザープリンタの場合は、操作量は、感光体の帯電
電圧の指示値やレーザーパワーの指示値であり、制御対
象がプリント濃度であれば、その検出値が制御量とな
る。ただし、被制御システム1が制御対象そのものをシ
ステム出力としている場合は、システム出力が制御量と
なる。
【0045】一般的に言えば、 操作量としては、被制
御システムの出力を調整するために設定できる要因(電
圧設定値、圧力設定値、調整用ボリュームの回転角度等
々)の諸設定値が採用され、制御量としては、被制御シ
ステムの出力や代用量が使用される。なお、出力値は、
物理量でも心理物理量など(善し悪しのスコアなど)で
あってもよく、要は定量化されているものであれば良
い。
【0046】本実施例においては、説明の簡略化のため
に、操作量を電圧設定値とし、出力値は無次元数とす
る。また、被制御システム1は、装置が置かれている状
況を反映した状態量を出力するようになっている。この
場合、状態量としては、被制御システム1の出力に影響
を及ぼすあらゆる要因を取り上げることができる。すな
わち、被制御システム1の置かれている状況(設置場所
の温度、湿度、気圧や経時的な変動、負荷の大小等々)
を示す量であればよく、複数種類の状態量であってもか
まわない。
【0047】また、状態量は、直接的な物理量でなく、
その代用となるものでも良い。例えば、稼働時間に比例
して機械的摩耗が発生し、その機械的磨耗量が被制御シ
ステム1の出力に影響を与える重要な物理的要因である
場合、磨耗量の代わりに累積稼動時間を状態量として代
用できる。要するに、システム出力という観点から、ど
のような状況下における制御事例なのかが把握できる量
であれば良いのである。
【0048】ちなみに、本実施例では、上記の観点か
ら、状態量として事例採取時刻を代用している。これ
は、本実施例においては、被制御システム1の本来的な
状態量が、周囲の様々な環境条件や経時劣化など多岐に
渡っている反面、ある限られた時間範囲では、ほぼ一定
であると見なせるものを想定しているからである。例え
ば、朝と夕とでは異なるが、10分前と10分後とでは
実質的にほぼ同じ状態であると見なせる程度のものを対
象にしている。
【0049】次に、システム制御装置2について説明す
る。まず、比較部10は、制御量が許容誤差以内である
か否かを判断し、許容誤差以内であれば信号Y、許容誤
差外であれば信号Nを記憶制御部11へ出力する。記憶
制御部11は、比較部10の出力信号が「N」でれば、
その時の制御量、状態量、操作量を一組にし、これを新
たな事例として事例記憶部15に記憶させる。一方、比
較部10の出力信号が「Y」でれば、そのときの制御量
は破棄する。
【0050】補正ルール作成部12は、事例記憶部15
に記憶された事例から補正ルールを作成し、これを操作
量補正演算部16に供給する。操作量補正演算部16
は、ユーザー等によって設定される制御量目標値を実現
するための操作量を、補正ルール作成部12内の補正ル
ールを参照して求める。そして、求められた操作量は、
操作量設定値出力部17を介して被制御システム1に出
力される。
【0051】また、被制御システム1からは、時刻情報
が状態量として出力され、これが状態量認識部19を介
して補正ルール作成部12および記憶制御部11に供給
されるようになっている。この実施例の場合、時刻情報
は、後述するように、事例採取時刻として用いられる。
ところで、状態量として事例採取時刻を採用した場合
は、システム制御装置2の内部において時刻情報を発生
し、その値を用いるように構成してもよい。
【0052】B:第1実施例の動作 (1)初期設定動作(立ち上げ動作) 次に、上述した構成によるこの実施例の動作について説
明する。この実施例を稼動させるためには、技術者が、
以下に述べるような立ち上げ作業を行う。まず、技術者
は、ある任意の操作量をマニュアル設定し、その設定下
で被制御システム1を動作させ、そのときの操作量、制
御量、状態量(すなわち、採取時刻)を、システム制御
装置2の事例記憶部15に記憶させる。次いで、技術者
は、操作量を許容される範囲内で任意に変化させなが
ら、上述の作業をn+1回以上繰り返し、システム制御
装置2内の事例記憶部15に、n+1以上の制御事例を
記憶させる。
【0053】ここで、nは、操作量の種類の数である。
したがって、操作量として電圧設定値だけを用いる本実
施例の場合には、n=1となるため、電圧設定値を異な
る値に設定した事例の採取を2回以上行えばよい。ま
た、操作量として、電圧設定値と圧力設定値の二つを用
いた場合では、n=2となるため、技術者は電力設定値
と圧力設定値をそれぞれ異なる値に設定しつつ、上記の
作業を3回以上繰り返せばよい。
【0054】表1は、操作量が電圧設定値だけの場合
に、3つの事例を採取した状態を示している。ここで、
状態量として示されているのは、時刻情報であり、例え
ば、事例1における「40525093015」は、1
994年、5月25日9時30分15秒を示している。
【0055】
【表1】
【0056】(2)稼働時の動作 次に、上記の立ち上げ作業が完了した後の動作について
説明する。まず、システムのスイッチが入れられ、制御
量目標出力が指示されると、システム制御装置2は、直
近の制御事例、すなわち前回スイッチが切られる直前の
制御事例を呼び出し、この制御事例を基に、状態量が類
似している全ての事例を検索する。この場合は、立ち上
げ直後であるため、立ち上げ作業の最後の制御事例であ
る表1の「事例3」が相当する。このため、補正ルール
作成部12は、事例記憶部15から「事例3」を読み出
す。
【0057】また、本実施例では、事例採取時刻が±1
0分以内であるものを、類似した状況下で採取した制御
事例であると見なしており、この結果、表1の事例1、
事例2は、事例3に類似していると判断される。
【0058】そして、補正ルール作成部12は、類似し
た制御事例を、操作量と制御量で構成されるn+1次元
空間にプロットする。すなわち、本実施例では操作量が
電圧設定値のみ(n=1)であるため、二次元平面上に
各制御事例の操作量と制御量がプロットされる。
【0059】ところで、制御量がm種類ある場合は、m
個のn+1次元空間にプロットされることになるが、同
一座標軸で表現できる制御量であれば、同一空間にプロ
ットしても構わない。そして、n+1次元空間内におけ
る制御量と操作量の関係を、m個の制御ルールとして導
出する。
【0060】本実施例の場合には、n=1、m=1であ
ることから、二次元平面上にプロットされた出力スコア
と電圧設定値の関係を、ひとつの制御ルールにより捉え
ることになる。さらに詳しく言えば、本実施例では、こ
の制御ルールを最小二乗法による一次近似直線として計
算している。この様子を図2に示す。すなわち、補正ル
ール作成部12においては、 出力スコア=a×電圧設定値+b と近似できるような係数a、bを求めている。
【0061】以上のようにして、制御量と操作量の関係
を捉えた制御ルールが抽出されると、指示された出力目
標値を実現するための操作量補正は容易に算出できる。
すなわち、操作量補正演算部16は、補正ルール作成部
12が作成した制御ルール(図2に示す直線)に基づい
て、操作量を容易に算出することができる。例えば、出
力目標値を出力スコア=100とした場合は、図2よ
り、操作量を66Vに設定すれば良いと推論できる。
【0062】次に、操作量補正演算部16は、算出した
操作量を操作量設定値出力部17に転送し、新たな操作
値として設定する。こうして得られた操作量設定値によ
り、被制御システム1が制御される。
【0063】(3)制御ルールの修正とクラスタの作成 次に、システム制御装置2は、上記の制御動作を行った
後、実際に得られたシステム出力が目標値通りであった
かを検証する。すなわち、上述の例の場合は、出力スコ
アが100になっているかどうかを検証する。ここで、
本実施例では、許容できる出力誤差を±2以下としてい
る。したがって、上記の例では、出力スコアが98以上
102以下になっていれば、制御が精度良く実行できた
ことになる。精度良く実行できた場合は、今回の制御に
用いた制御ルールが適切であったと解釈でき、今回の制
御内容が内包している情報は、すでに得ている情報(今
の場合、事例1〜3から抽出した制御ルール)に含まれ
ていることを意味しているから、追加記憶する必要はな
いと判断できる。
【0064】別の表現をすれば、今回の制御内容を新た
な制御事例として図2上にプロットしても、それから得
られる制御ルール(より具体的に言えば、一次近似直線
の係数aとbの値)は、実質的に変わらず、修正する必
要がない。このような理由から、システム出力が許容誤
差以内で目標値を実現した場合には、特別の処理動作を
することなく、次回の制御に移行することになる。
【0065】一方、システム出力が許容誤差範囲を越え
て目標値から外れてしまった場合には、操作量を推論す
るために用いた制御ルールが適切でなかったと解釈でき
る。したがって、今回の制御内容は、より現在のシステ
ムの状況に則した新たな制御事例として記憶する価値が
ある。別の言い方をすれば、今回の制御内容を新たな制
御事例として用いて、今回の制御で用いた制御ルールの
修正または新規の制御ルールの作成を行わなければなら
ない。また、制御事例を新たに記憶させるか否かは、記
憶制御部11によって決定される。
【0066】この実施例では、システム出力が許容誤差
範囲を越えて目標値から外れてしまった時の状態量が、
制御ルール抽出に用いられた制御事例(説明のために制
御事例Xとする。上記の例では、事例1〜3が制御事例
群Xに当たる)の状態量と類似している場合と、類似し
ていない場合に分けて、制御ルールの修正と新規作成を
区別して行っている。
【0067】制御ルールの修正を行う場合 本実施例では、今回の制御動作が行われた時刻が、制御
事例群Xの採取時刻から10分以内であれば、今回の制
御事例は制御事例群Xに追加され 、次回の制御に用い
る制御ルールの修正に用いられる。これは類似した状態
量における事例であるため、事例数を増やすことで、デ
ータの精度を統計的に高め、制御ルールの当てはまりが
良くなるように修正するためである。より具体的に言え
ば、補正ルール作成部12は、事例1〜3に今回の制御
事例を加えた4事例を用いて、係数aとbを再度計算し
直す。
【0068】クラスタの作成を行う場合 一方、新たな制御事例が採取時刻と10分以上異なった
ものであれば、制御システムの置かれている状態が変化
してしまったために、制御事例群Xから導かれた制御ル
ールでは、すでに当てはまらなくなってしまったものと
解釈できる。この場合には、新たな状態量の下で制御事
例を採取し直し、新たな制御ルールを抽出しなければな
らない。
【0069】すなわち、制御ルールの修正ではなく、新
規作成を行わなければならない。したがって、このよう
な場合には、システム出力が許容誤差範囲を越えて目標
値から外れてしまった時点から開始して、n+1回以上
の制御動作を通して、n+1個以上の制御事例を追加記
憶する。ここで、n+1回以上とするのは、立ち上げ時
と同じ理由からである。なお、n+1個以上の制御事例
を追加記憶している間の過渡的な制御については、上記
の制御ルールの修正が行われ、制御誤差の低減が図られ
る。
【0070】以上のような制御動作を繰り返し実行し、
必要となった新たな制御事例を追加記憶していくと、や
がて事例記憶部には、例えば表2のような制御事例が集
積される。この表2によって示されるような状態が、本
発明に係わるシステム制御装置の通常の事例記憶部15
の状態である。
【0071】
【表2】
【0072】ここで、本実施例では、類似した状態量を
もつ制御事例をまとめて、クラスタを作成している。こ
の様子を表3に示す。ただし、表3は動作を説明するた
めの便宜的なもので、実際にはクラスタが完成すると同
時に、そのクラスタに含まれる個々の制御事例は、事例
記憶部15から消去される。これは、個々の制御事例の
もっている情報は、クラスタから抽出された制御ルール
(本実施例では係数aとb)にすべて含まれるため、記
憶保存する必要がなくなることと、事例記憶部15の必
要容量を無用に増大させないためである。したがって、
事例記憶部15には、まだクラスタとしては完結してい
ない、最近採取されたばかりの制御事例(図示の例で
は、事例3)だけが記憶されている。一方、完成したク
ラスタに対応する制御ルールは、補正ルール作成部12
内に記憶される。すなわち、表4に示すように、事例と
制御ルール(完成したクラスタに対応する制御ルール)
とが分離されて記憶されている。
【0073】
【表3】
【0074】(4)適合度による制御 次に、表4によって示されるような状況下、すなわち、
立ち上げ時や立ち上げ直後ではない、一般的な稼動時
(多数のクラスタが形成されている時)における本シス
テム制御装置の制御動作について説明する。今、被制御
システム1の出力を得るべく、ユーザがスタートボタン
を押したとすると、システム制御装置2内の補正ルール
作成部12は、一時的に保存してある直前の操作量設定
値と、そのときの実際のシステム出力を見て、各クラス
タとの適合度を計算する。ここで、適合度とは、各クラ
スタの制御ルールに直前の操作量設定値を当てはめて得
られる各制御量推論値と、実際のシステム出力との差と
求め、その逆数を規格化(総計が1になるように)した
ものである。
【0075】
【表4】
【0076】この実施例では、制御量推論値と実際のシ
ステム出力との差が小さい順に5個のクラスタだけを類
似クラスタとして用いることにしている。なお、記憶部
に存在するクラスタの数が5個以下の場合には、存在す
るクラスタのみを用いて同様の演算をしている。このた
め、立ち上げ直後のようにクラスタが一つしか存在しな
い場合も含めて、同一の演算方法が使えるようになって
いる。
【0077】このようにして得られた適合度を「重み」
として用いて、各類似クラスタによる制御ルールを重み
付け平均し、これらを合成して新たな制御ルールを創出
する。例えば、係数aを重み付け平均してa’とし、さ
らにこの係数a’による近似直線が実際のシステム出力
と交わるように係数b’を求める。すなわち、 制御量=a’×操作量設定値+b’ なる制御ルールを創出する。
【0078】次に、操作量補正演算部16は、以上のよ
うにして得られた制御ルールから、制御量が出力目標値
となるような操作量設定値を求め、操作量設定値記憶部
17を介して、被制御システム1に設定することによっ
て、制御動作が実行される。これ以降は、上述した立ち
上げ後の場合と同様に、新たな制御結果(システム出
力)を許容誤差と比較することによって、今回の制御内
容を追加記憶すべきかを判断する。そして、適合度を用
いて合成したルールでは、許容誤差以内に抑えることが
できない場合には、必要に応じて制御ルールの修正また
は新規作成を行い、さらに次回の制御に備えることにな
る。
【0079】C:実施例効果 本実施例においては、以下に述べるような作用効果が得
られる。 (1)まず、上記のような立ち上げ作業のみで稼動可能
になるから、従来この種の装置では必要不可欠であった
事前のデータ採取や、それによる最適化作業が一切不要
になる。すなわち、従来は環境や経時変化を考慮してシ
ステムを最適化するためには、環境を様々に設定して膨
大なデータを採取したり、長期間に渡るランニング試験
が必要であった。また、そのための環境実験室が必要で
あるなど、設備コストや人件費といったコストが非常に
大きかったのであるが、本実施例では、実質的にほぼゼ
ロにできるという大きな効果がある。しかも、従来のよ
うな最適化作業という専門知識を必要とする作業が不要
になるため、開発技術者の確保が容易になるという効果
がある。
【0080】また、立ち上げ作業は本発明によるシステ
ム制御装置を稼動可能状態にするために、一度だけ行え
ば良く、しかもこの作業の「質」の善し悪しは、実稼働
時の本システム制御装置の性能には全く関係しないた
め、技術者の熟練度などを要求しない。すなわち、誰で
も一度の作業で立ち上げることができ、本システム制御
装置の性能を最大限に引き出すことができるものであ
る。
【0081】さらに、本発明によるシステム制御装置
は、実行した制御結果の善し悪しを、制御装置自身が判
断でき、必要な制御事例の追加記憶という方法により、
制御性能を自動的自立的に改善できるという効果があ
る。すなわち、従来のファジー制御方式やニューラルネ
ット方式では、事前に学習させるファジールールや教師
信号が最適でないと、実稼働時の性能は不十分のままで
あるため、開発技術者はファジーチューニングが最適に
なるよう試行錯誤的に長時間を掛けて開発したり、適切
な教師信号を決定するためにさらに予備的な研究検討が
必要になるなど、技術者の能力に対する依存度が大きか
ったが、本発明によれば、だれにでも最良の制御装置が
開発できるという効果が得られるのである。
【0082】しかも、本実施例によれば、学習は制御事
例をメモリに記憶するだけで良く、制御ルールは制御事
例に基づいた簡単な算術計算で瞬時に実行できるため、
従来のファジー制御のような技術者による試行錯誤的な
チューニングや、ニューラルネットのような長時間の学
習といった作業が一切不要になるという大きな効果が得
られる。すなわち、本実施例によれば、従来技術では不
可能であった全自動リアルタイム学習およびチューニン
グが、可能になるというおおきな効果が得られる。
【0083】(2)次に、本実施例によれば、制御動作
は過去の制御事例のみに基づいて行うことができるた
め、被制御システムをモデル化する必要がない。すなわ
ち、本発明においては、被制御対象がブラックボックス
であっても、そのまま制御することが可能になる。この
ため、制御装置開発技術者は、被制御システムについて
の詳細な物理的メカニズムを深く理解していなくても、
十分な性能の制御装置を開発することができるようにな
り、開発工数の低減が可能になる。
【0084】(3)また、制御事例の要素として、操作
量設定値がそのまま利用できるため、制御事例の要素と
なる物理量のセンシングが不要になる。このため、セン
サコストが削減できる。ところで、従来は適当なセンサ
が入手できないために(コストが高すぎたり、十分な性
能のものが存在しないために)、性能的にもっとも好ま
しい制御方式であっても、それを実現できなかったこと
があったが、本実施例ではセンサの制約を離れた自由な
方式選定が可能になり、最適方式の選択による性能向上
という大きな効果が得られる。
【0085】(4)次に、本実施例によれば、過去の事
例の中に稼動時の状況に十分に類似した事例が存在しな
い場合でも、適合度を用いて過去の複数の制御ルールを
適切に組み合わせて用いることができるため、精度の良
いシステム制御が実行できるという効果がある。しか
も、本実施例によれば、そのような方法で所望の制御精
度が達成できなかった場合には、システム制御装置が自
動的に制御事例の追加記憶を行って、自主的に制御性能
を改善することができる。
【0086】このように構成されていることから、さら
に、技術者が開発時に想定していなかったような状況下
で、ユーザが本システムを稼動させた場合にも、最適に
動作できるように、装置自身が学習できるとうい優れた
効果が得られる。例えば、従来は上述したように事前に
環境実験などを行っているのであるが、現実にあらゆる
条件下でデータを採取することは時間的工数的制約、あ
るいは実験設備の面から不可能であり、代表的な条件を
いくつか選択して行っているにすぎない。すなわち、温
度と湿度であれば高温高湿と低温低湿環境の二点という
ようにである。しかし、この二点のデータのみに基づい
て最適化作業が行われると、ユーザがそれ以外の環境下
でそのシステムを稼動させた場合には、十分な制御精度
が得られなくなる。また、温度と湿度に対しては最適化
したが、開発時には気圧変化の影響を考慮していなかっ
たというような場合などでは、高地や飛行機内など、気
圧が異なる場所で使用すると性能が低下してしまう。
【0087】しかし、本実施例によれば、このような場
合にあっても、装置自身がその使用環境下で十分な制御
精度が得られるように学習を行うため、被制御システム
は常に最高の性能を発揮できる。また、本実施例によれ
ば、上記と同様にして、被制御システムに経時的劣化が
発生した場合にも、劣化による影響を常時学習しつつ制
御を行えるため、常に最良の制御が可能になる。さら
に、消耗した部品を新品に交換したような場合でも、ユ
ーザやサービスマンが人手によって再調整などを行わな
くとも、本発明による自動学習によって調整ができてし
まう。
【0088】(5)本実施例によれば、最も重要度の低
くなった制御事例のみを的確に選択して、記憶部から消
去できることから、新たに必要となった制御事例やクラ
スタがメモリ不足で記憶できなくなるという問題は生じ
ない。そして、メモリ容量を必要最小限に設計できるた
め、コストの低減ができ、限られた容量のメモリを、最
も有効に使用することが可能になる。
【0089】とくに、本実施例のように、状態量として
時刻を採用し、クラスタが完成した時点で、そのクラス
タの構成要素である事例または事例群を記憶部から一括
して消去する場合には、事例記憶のためのメモリ容量は
最小にできる。
【0090】D:変形例 (1)制御ルールの導出方法は、最小二乗法による一次
近似以外のものであってもよい。すなわち、n+1次元
空間内におけるm種類の制御量とn種類の操作量の関係
を、m個の定量的な関係として捉えられるものであれ
ば、どのようなものであっても良い。したがって、さら
に高次の近似計算を行っても良いし、ニューラルネット
ワークなどに学習させるような方法でも良い。ただし、
ニューラルネットワークの学習には、ある程度以上の時
間がかかるため、早い応答速度が要求されるシステム制
御装置には適さない場合がある。
【0091】なお、当然のこととして、単純にm種類の
独立した制御量をn種類の独立した操作量を用いて制御
する場合には、n=mとなるが、n種類の操作量の間に
別途定められた関係式があったり、m種類の制御量が独
立していない場合には、n≠mとなる。
【0092】(2)また、操作量が電圧設定値と圧力設
定値の二種類であり、制御量が出力スコアAとBからな
るように構成されているシステム制御装置の場合では、
各事例は図3に示すような三次元空間にプロットされ
る。そして、この空間中で、出力スコアAについての電
圧設定値と圧力設定値の関係を示す平面Aと、出力スコ
アBについての電圧設定値と圧力設定値の関係を示す平
面Bの二つの平面が最小二乗法により計算される。すな
わち、これら二つの平面A,Bが制御ルールを示してい
る。なお、出力スコアAとBが次元の異なる物理量等で
あれば、それぞれ別の縦軸を持った二つのn+1次元空
間が用いられることは言うまでもない。
【0093】また、図3に示すn=2、m=2の例にお
いて、操作量を求める場合は、図4に示すようにして、
まず、スコアAとスコアA目標平面とが交わる直線、お
よびスコアBとスコアB目標平面が交わる直線を求め
る。これらの直線は、スコアAとスコアBの目標実現ラ
インとなる。そして、スコアAとスコアBの両方を、そ
れぞれ同時に目標値にするためには、それぞれの目標実
現ラインを電圧設定値軸と圧力設定値軸で作られる平面
へ射影して、その交点の電圧設定値と圧力設定値を採用
すれば良い。このようにして求められた電圧値と圧力値
とが補正後の操作量となる。
【0094】ここで、三次元空間内で平面の制御ルール
を作成した場合の適合度の算出例について図5を参照し
て説明する。図5は、スコアAについて、クラスタAお
よびクラスタBの平面が形成されている場合を示してお
り、ここで、新たにプロットされた点B5は、いずれの
平面にも位置してない。このとき、座標空間上で現在の
制御内容を示す点、すなわち、点B5と、各事例平面と
の間の距離を計算する。そして、その逆数を求め、それ
を規格化する。すなわち、各々の制御事例平面からの距
離の逆数を合計したものが1となるようにする。このよ
うに規格化された値は、前述した第1実施例における適
合度(直線の場合の適合度)と同義になり、この適合度
によって各事例平面の各座標軸方向の傾きを重み付けし
て合計する。そして、合計した量を、現状に適合できる
新たな制御事例平面の各座標軸方向の傾きとし、さらに
現在の制御内容をその面上に含むような高さ(制御量軸
の切片)に合わせ込んで、複合ルールを作成する。
【0095】(3)なお、状態量が変化せず、その検出
や記憶が不要なシステムにおいては、操作量と制御量だ
けを用いて制御することができる。この場合には、装置
構成が簡単になるメリットがある。
【0096】(4)上述した実施例においては、クラス
タの適合度を求めて制御を行ったが、状態量がもっとも
近いクラスタを判別し、このクラスタから抽出された制
御ルールを用いて制御してもよい。
【0097】(5)本実施例で用いた適合度の定義は、
一例であり、各クラスタについての適合の度合いを客観
的、一義的に示せる方法であれば、どのような定義方法
を用いてもよい。
【0098】(6)本実施例においては、制御量の許容
誤差を判断し、その結果に応じた制御を行ったが、制御
量の変化範囲が予め判っており、また、その範囲が狭い
場合には、許容誤差の判断を省略し、全ての制御事例を
記憶するように構成することもできる。
【0099】(7)本実施例におけるメモリ管理に代え
て、あるいは、加えて以下のようなメモリ管理を行って
も良い。 事例記憶部15において記憶容量不足が生じた際に
は、もっとも古い制御事例を消去する。 事例記憶部15は、記憶容量不足が生じた際は、最も
古いクラスタを消去する。 事例記憶部15は、制御事例の要素として、その発生
時刻、および操作量決定に使われた回数を記憶し、記憶
容量不足が生じた際には、所定の時点以前に記憶され、
かつ、使われた回数の最も少ない制御事例を消去する。 事例記憶15は、クラスタの要素として、作成時刻、
および操作量決定に使われた回数を記憶し、記憶容量不
足が生じた際には、所定の時点以前に記憶され、かつ、
使われた回数の最も少ないクラスタを消去する。 事例記憶部15は、クラスタの要素として、作成時
刻、および操作量決定に使われた際の累積適合度を記憶
し、記憶容量不足が生じた際には、所定の時点以前に記
憶され、かつ、累積適合度の最も小さいクラスタを消去
する。
【0100】(第2実施例) A:第2実施例の構成 次に、本発明の第2実施例について図6、図7を参照し
て説明する。ここで、図6は、第2実施例であるロボッ
トアームの構成を示す概略構成図であり、図7は同実施
例の制御部の構成を示すブロック図である。なお、図7
において、前述した図1の各部と対応する部分について
は同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0101】この実施例は、負荷が任意に変わるモータ
の制御に本発明を用いた例であり、より具体的には、軽
重さまざまなワークWを素早く搬送し、所望の場所に精
度良く載置するロボットアームの駆動制御の例である。
また、この例においては、物品の軽重に係わらず、でき
るだけ高速でロボットアームが動き、しかも決められた
位置に許容誤差以内で精度良く停止できるような電気エ
ネルギーをモータに供給しなければならないという要求
が課されている。
【0102】さて、図6において、ロボットアーム50
の先端にはワークWを把持するためのハンド51が設け
られており、さらに、ワークWの重量を検出する重量セ
ンサ52、および停止位置センサ53が設けられてい
る。ロボットアーム50は、モータやブレーキ機構を有
するロボット駆動部60によって駆動され、ロボット駆
動部60は制御装置61によって制御される。この場
合、ロボットアーム50は、ベルトコンベア55上を搬
送されてくるワークWをハンド51によって把持し、こ
れをターンテーブル65上に設定されている目標停止位
置P1またはP2に載置する。なお、ロボット駆動部6
0内のブレーキ機構は、常に一定の減速動作を行ってい
る。
【0103】次に、制御装置61は、図7に示すよう
に、第1実施例のシステム制御装置2(図1参照)と同
様の構成になっている。この場合の被制御システムは、
ロボット駆動部60やロボットアーム50等によって構
成されるロボットシステムである。そして、停止位置セ
ンサ53の出力信号が制御量となり、重量センサ52の
出力信号が状態量となっている。
【0104】ここで、目標停止位置に対する実際の停止
位置の誤差量は、手前過ぎを(−)、行き過ぎを(+)
で弁別し、その量をミリ単位で評価するようになってい
る。また、±3ミリ以内の誤差を許容誤差として設定し
ている。ところで、高速でロボットアーム50を動かす
ためには、重い物品ほど大きなエネルギーを供給すれば
よいのであるが、重い物品を持ったロボットアームは慣
性が大きくなるため、目標停止位置に瞬時に精度良く停
止することが難しくなる。そこで、搬送速度と停止位置
精度を両立させるために、最適なモータ供給電気エネル
ギー量を決定することが重要な課題となる。
【0105】また、物品の軽重に対する搬送速度と停止
位置精度の関係は非線形で複雑であり、従来技術で最適
な制御を行うためには、事前に様々な物品を用いて実験
を行い、フィードバックゲインの最適化や物品の重さに
応じたフィードバックゲインの切り換え等を、技術者が
多くの開発工程をかけて予め用意しておかなければなら
なかったものである。本実施例においては、このような
事前の準備が不要であり、かつ、最適化制御が容易に行
えるようになっている。
【0106】B:第2実施例の動作 (1)初期設定動作 次に、上記構成によるこの実施例の動作を説明するが、
始めに、初期設定動作について説明する。この実施例に
おいても、前述した第1実施例と同様に、以下に述べる
ような立ち上げ作業が必要になる。なお、この立ち上げ
作業は、本実施例を稼働状態にするために、一度だけ行
えばよく、しかも、この作業の「質」の善し悪しは、実
稼働時の性能にまったく関係しない。
【0107】始めに、技術者は、適当な重量のワークW
をロボットハンド51に握らせるとともに、適当なモー
タ供給電流値(操作量)をマニュアル設定し、その設定
下でロボット制御部60を動作させる。これにより、ロ
ボットアーム50が旋回し、目標位置P1またはP2に
当該ワークWを載置する。このときの停止位置ずれ量
(制御量)は、停止位置センサ53によって検出され、
制御装置61に供給される。また、ワークWの重量(状
態量)は、重量センサ52によって検出され、制御装置
61に供給される。そして、以上の処理の結果である第
1事例(操作量、制御量、状態量の組合わせ)を、事例
記憶部15に記憶させる。
【0108】次いで、技術者は、操作量であるモータ供
給電流値を、許容される範囲で設定変更しながら、上記
と同様の処理をn+1回以上繰り返し、事例記憶部15
内にn+1個以上の事例を記憶させる。このとき、状態
量であるワークWの重量は一定のままでよい。
【0109】ここで、nは操作量の種類であり、本実施
例ではn=1(モータに供給する電流値のみ)となるた
め、技術者はモータに供給する電流値を異ならせて、2
回以上事例を採取すればよい。
【0110】このようにして得られた立ち上げ時の制御
事例は、例えば、表5に示されるような形で、事例記憶
部15に記憶される。そして、事例記憶部15において
は、記憶された制御事例の状態量を比較し、類似した状
態量の制御事例をひとまとめにしたクラスタを構成す
る。
【0111】
【表5】
【0112】本実施例においては、重量の相違が±10
%までの事例を互いに類似した状態量の事例としてい
る。これは±10%までの重量変化であれば、モータ供
給電流値と停止位置精度の対応関係は、ほぼ一定である
ことが分かっているためである。したがって、表5に示
す立ち上げ時の事例は、同一のクラスタに分類される。
また、クラスタ内の制御事例の状態量の平均値を、その
クラスタの状態量としている。
【0113】次に、以上のようにして得られたクラスタ
に属する全ての制御事例を、操作量と制御量で構成され
るn+1次元空間にプロットする。本実施例では操作量
がモータに供給する電流設定値のみ(すなわちn=1)
であるため、二次元平面上に各制御事例をプロットす
る。
【0114】そして、補正ルール作成部12は、n+1
次元空間内における制御量と操作量の関係を、制御ルー
ルとして抽出する。より詳細に言えば、本実施例におい
ては、この制御ルールを最小二乗法による一次近似直線
として計算している。このようにして得られた制御ルー
ルを図8に示す。図8からも容易に理解できるように、 位置ずれ量=a×モータ電流設定値+b と近似できるような係数a,bを求めている。なお、こ
こで、制御ルールの導出方法は、一般にn+1次元空間
内におけるm種類の制御量とn種類の操作量の関係を、
m個の定量的な関係として捉えられるものであれば、ど
のようなものであっても良い。これらについては、第1
実施例において述べたとおりである。以上の処理によ
り、立ち上げ作業が完了する。
【0115】(2)実稼働時の動作 クラスタの適合度による制御 次に、上記立ち上げ作業が完了した後のロボット実稼働
時の動作について説明する。まず、ロボットが動作を開
始し、ワークWを把持すると、重量センサ52からワー
クWの重量を示す重量信号が出力される。補正ルール作
成部12では、供給される重量信号と、各クラスタの状
態量とを比較して、適合度を求める。
【0116】すなわち、ロボットアーム50が把持して
いるワークWと各クラスタの状態量(平均重量)との差
をとり、その逆数を全クラスタについて規格化したもの
を適合度として計算する。今の場合は、立ち上げ時のふ
たつの制御事例からなるクラスタしかないので、このク
ラスタが適合度100%となる。そして、各クラスタの
適合度が求められると、各々のクラスタで抽出された制
御ルールの適合度に応じた重み付け平均がなされ、合成
制御ルールが計算される。そして、この合成制御ルール
を用いて制御演算が行われる。
【0117】今の場合は、立ち上げ時のクラスタの適合
度が100%であるから、立ち上げ時のクラスタから抽
出された制御ルールがそのまま合成制御ルールとして制
御演算に供せられる。次に、操作量補正演算部16にお
いては、位置ずれ量がゼロになるようなモータ電流設定
値が合成制御ルールから求められる。そして、このモー
タ電流設定値に対応した電流値がアーム回転用モータ6
0aに供給され、第1回目の制御動作が実行される。
【0118】次に、上記のようにして実行されたワーク
搬送動作の結果、ワークWが目標位置P1またはP2に
精度良く載置されたか否かが判断される。この判断は停
止位置センサ53の出力信号に基づいて比較部10が行
う。そして、位置ずれ量が±3ミリ以上であれば、今回
のワークWの重量(状態量)、モータ電流設定値(操作
量)および位置ずれ量(制御量)の組が、新たな制御事
例として事例記憶部15に記憶される。
【0119】一方、位置ずれが±3ミリ未満であった場
合は、今回の制御によって得られた事例が、すでに得て
いる事例(すなわち、立ち上げ時の事例1,2からなる
クラスタにおいて抽出した制御ルール)に含まれている
ことを意味するから、追加記憶する必要はないと判断で
きる。したがって、特別の処理をすることなく、次回の
制御に移行する。
【0120】制御ルールの修正と新クラスタの生成 本実施例においては、新たに追加記憶した制御事例につ
いては、その状態量が既存のクラスタの状態量と類似し
ている場合と、類似していない場合に分けて処理を区別
している。すなわち、新たに追加記憶した制御事例の状
態量(今回搬送したワークの重量)が、既存のクラスタ
の状態量と比較して、±10%以内であれば、そのクラ
スタに追加分類され、そのクラスタで抽出される制御ル
ールの修正に用いられる。これは、事例を増やすことで
データの精度を統計的に高め、制御ルールの当てはまり
が良くなるように修正するためである。
【0121】一方、±10%以上異なっていれば、制御
事例は既存のクラスタには分類されず、新たなクラスタ
(例えば、クラスタBとする)が作られ、そこに分類さ
れる。そして、以後の制御動作を経て、クラスタBに分
類される制御事例が発生すると、クラスタBにおける制
御ルールが抽出されて、それ以降の制御に供されるよう
になる。
【0122】以上のような制御を繰り返し実行し、新た
な制御事例を追加記憶していくと、やがて制御事例記憶
部15には、例えば、表6のような制御事例が集積され
る。この表6によって示されるような状態は、本実施例
における事例記憶部15の一般的な状態である。
【0123】
【表6】
【0124】一般的な稼働状態における制御 次に、表6によって示されるような状況下、すなわち、
立ち上げ直後ではなく、有る程度制御が実行された後の
一般的な稼働状態における制御動作について説明する。
このような状況下において、ロボットアーム50がワー
クWを把持すると、その重量が重量センサ52によって
検出され、各クラスタの状態量と比較され、適合度が計
算される。
【0125】各クラスタの適合度が求められると、各々
のクラスタで抽出された制御ルールに適合度に対応した
重み付け平均がなされ、合成制御ルールが計算される。
そして、この合成制御ルールに基づいて、位置ずれ量が
ゼロになるようなモータ電流値が計算され、アーム回転
用モータ60aが制御される。そして、位置ずれ量が許
容誤差(±3ミリ)以上であれば、今回の制御事例が事
例記憶部15に記憶され、精度良く位置決めできた場合
には、事例の記憶はされず、次回の制御に移行する。
【0126】以上が一般的な稼働状況での制御動作であ
るが、動作手順そのものは立ち上げ直後の制御動作と全
く同じである。ただし、保有しているクラスタが豊富な
ため、そこから抽出された制御ルールも多いという点だ
けが相違する。このことから明かなように、本実施例に
おいては、立ち上げ直後であっても、長期間にわたって
制御を行った場合でも、全く同様の処理内容となり、両
者を識別する必要がない。したがって、立ち上げ直後か
ら、長期間にわたって全く同様に使用することができ
る。
【0127】C:実施例効果 本実施例においては、以下に述べる効果を奏することが
できる。 (1)従来この種の装置では、不可欠であった事前のデ
ータ採取や、それによる最適化作業が一切不要になり、
開発工数が大幅に低減できる。また、ロボットのメカニ
ズムや制御技術などに関する専門知識が不要になり、開
発技術者の熟練も要しない。
【0128】(2)制御結果の善し悪し(停止位置精
度)を、制御装置自身が判断し、制御事例の追加の可否
を決定しているので、制御性能を自動的に自立的に改善
できる。これは前述の第1実施例において述べたとお
り、ファジー制御やニューラルネットワーク方式などを
大きく凌駕するものである。
【0129】(3)制御事例の要素である操作量として
は、設定値がそのまま利用できるため、従来のようなモ
ータ供給電流のセンシングなどが不要になる。このた
め、電流計などのセンサコストが削減でき、同時に、セ
ンシング誤差による制御性能の低下も回避できる。
【0130】(4)技術者が開発時に想定していなかっ
たような状況で、すなわち、予想以上に重いあるいは軽
いワークを搬送する場合にも、制御装置自身が自律的に
学習し、最良の制御ができるように性能向上が図られ
る。同様にして、被制御システムに経時的劣化が発生し
た場合にも、劣化による影響を常時学習しつつ制御を行
っているため、常に最良の制御が可能になる。たとえ
ば、ブレーキ性能が時間と共に劣化するような場合であ
っても、それによって停止精度が低下するという事態を
回避することができる。
【0131】(5)消耗した部品を新品に交換した場合
でも、ユーザやサービスマンが人手によって再調整など
を行わなくとも、本発明による自動学習機能によって自
動調整が行われる。
【0132】D:変形例 第2実施例においても種々の変形が可能である。ただ
し、第1実施例で述べた変形例がほとんど適用できるの
で、重複を避けるために説明は省略する。
【0133】(第3実施例) A:第3実施例の背景 まず第3実施例の背景について説明する。既述した第1
実施例では、状態量として事例採取時刻を採用した。こ
れは、被制御システム1の状態に影響を与える要因は、
周囲の様々な環境条件や経時変化など多岐にわたってい
る反面、ある限られた時間的範囲では、ほぼ一定とみな
すことができるからである。例えば、10分前と10分
後では、実質的に状態変化はないものとみなせるが、朝
と夕、昨日と今日などでは温度や湿度が大きく異なる場
合がある。
【0134】したがって、システム制御装置2または被
制御システム1を一旦停止した後、再起動する場合、そ
の停止期間中すなわち状態量を含む制御事例の採取が行
われていない間、被制御システム1の物理的状態は大き
く異なっている場合も想定される。
【0135】一般に、こうしたことは、種々の制御シス
テムにおいて多く見受けられる。例えば、外部環境が一
定の場合であっても、一度稼動して温度が上昇した被制
御システムをその上昇した温度の下で制御していたもの
が、再起動時には装置の温度が室温まで低下しており、
被制御システム1の状態が全く異なってしまっている等
の場合がある。
【0136】このような場合、第1実施例においては、
被制御システム1が再び起動され、当該システム1の目
標出力が指示されると、システム制御装置2は、その直
近の、すなわちスイッチが切られる直前の制御事例を呼
び出し、該制御事例における操作量設定値から各制御ル
ールの適合度を求め、この得られた適合度によって各制
御ルールを重み付け平均し、新たな制御ルールを創出
(合成)する。
【0137】しかしながら、スイッチが切られる直前の
状態と現在の状態が大きく異なると、前回の操作量に対
して得られる制御量は制御量目標値からかけ離れてしま
い、大きな誤差を含んだ制御事例から適合度が算出さ
れ、新たな制御ルールが創出されることになる。もちろ
ん、その結果として生じた制御誤差が許容値を越えた場
合には、既述したように制御事例を追加するなどして、
次回以降の制御精度は高められる訳であるが、初期の誤
差が大きい場合には許容できる精度が得られるまでに相
当の時間がかかってしまう。
【0138】そこで、第3実施例では、再起動時に最初
の制御事例を得るために、スイッチが切られる直前の制
御事例にて設定された操作量と所定の標準操作量との平
均値を算出し、これを初期の操作量として設定する。こ
れによって、仮にスイッチが切られる直前の状態と再起
動時の状態が大きく異なる場合であっても、初期の誤差
が著しく大きくなるのを回避することが可能となる。
【0139】B:第3実施例の構成 以下、図9〜図13を参照し、第3実施例について説明
する。この実施例は、本発明を上述した再起動時の状態
変化が生じることが想定されるレーザプリンタに適用し
たものである。図9において、100はレーザプリンタ
の画像出力部であり、本実施例における被制御システム
となる。120は制御部であり、現像濃度を目標濃度に
一致させるべく画像出力部100のレーザ出力を制御す
る。
【0140】また、121は濃度調整ダイヤルであり、
操作者が所望の濃度に応じた値を設定する。濃度調整ダ
イヤル121の設定値は、変換器122によって、現像
濃度センサ110の出力に換算した値(例えば、「0」
〜「255」の値)に変換される。変換器122から出
力される目標濃度は、制御量メモリ123において保持
される。この場合、制御量メモリ123は、許容誤差も
記憶している。
【0141】一方、現像濃度センサ110の出力信号と
メモリ123の出力信号とは、濃度コンパレータ124
おいて比較される比較される。この比較においては、メ
モリ123が記憶している許容誤差が参照される。そし
て、現像濃度センサ110の出力信号は、両者の差が許
容値以内であれば、制御ルール検索器130に供給さ
れ、許容値以上であれば制御事例メモリ125に供給さ
れる。ただし、後述するシステムの再起動時において
は、各制御ルールの適合度(第1実施例参照)を算出す
るため、誤差の大きさの如何にかかわらず、現像濃度セ
ンサ110の出力信号は制御ルール検索器130に供給
される。
【0142】制御事例メモリ125は、制御事例を記憶
するメモリであり、状態量、操作量および制御量の3種
の量を一組にして記憶する。このように、制御事例を記
憶するのは、第1実施例で述べたように、過去に記憶さ
れた制御事例に基づいて種々の制御を行うためである。
【0143】ここで、制御事例メモリ125に記憶され
る状態量は、電子写真プロセスに支配的な影響を及ぼす
温度と湿度の値であり、操作量は、レーザプリンタの現
像濃度を変化させるレーザパワーの設定値(以下、LP
設定値という)であり、制御量は、現像濃度センサ11
0の出力信号である。
【0144】また、状態量コンパレータ126、クラス
タメモリ127および制御ルール演算器128は、制御
事例メモリ125に記憶された制御事例を参照して、制
御ルールを抽出する。
【0145】また、制御ルールメモリ129は、制御ル
ール演算器128が算出した制御ルールを複数記憶する
メモリであり、制御ルール検索器130から要求がある
と、その要求に応じた制御ルールを返信する。この場
合、制御ルール検索器130は、濃度コンパレータ12
4から供給される濃度差および操作量メモリ132から
供給される操作量(すなわち、LP設定値)に応じた制
御ルールを、制御ルールメモリ129に要求するように
なっている。
【0146】また、制御ルール検索器130は、後述す
るシステムの再起動時に、操作量メモリ132から供給
される操作量を制御ルールメモリ129に記憶される各
制御ルールに当てはめ、このときの現像濃度センサ11
0の検出結果に対する各制御ルールの適合度を算出す
る。そして、制御ルール検索器130は、算出した適合
度を「重み」として用い、各制御ルールを重み付け平均
し、新たな制御ルールを創出(合成)する。
【0147】また、操作量補正値演算器131は、制御
ルール検索器130によって検索または創出された制御
ルールを用いて、操作量の補正値を求め、求められた補
正値を操作量メモリ132に供給する。これにより、操
作量メモリ132は、操作量補正値に対応したLP設定
値を光量コントローラ116に供給する。
【0148】また、標準操作量メモリ133は、当該レ
ーザプリンサがいわゆる標準的な状態(例えば、高温高
湿でもなく低温低湿でもない中温中湿の状態)にある場
合に設定すべき操作量(以下、標準操作量という)を記
憶するメモリである。このメモリ133に記憶された標
準操作量は、当該レーザプリンタが再起動された場合
(例えば、一旦電源スイッチが切られ、再び電源が投入
されたとき)に、制御ルール検索器130へ出力され
る。この場合の制御ルール検索器130および操作量補
正値演算器131の動作は後述する。なお、上述した制
御事例メモリ125、制御ルールメモリ129および標
準操作量メモリ133は、いずれも不揮発性のメモリ素
子によって構成されるものとする。
【0149】また、基準パッチ信号発生器142は、校
正用基準パッチ信号を画像出力部100へ出力する。こ
こで、校正用基準パッチ信号とは、現像濃度センサ11
0によって現像濃度を検出する目的で、入力画像が露光
されない感光体の所定領域にパッチを生成すべくダミー
として出力されるものである。基準パッチ信号発生器1
42の動作タイミングは、同期回路141によって、制
御部120との同期がとられるようになっている。ま
た、タイマ140は、上記同期回路141と前述の標準
操作量メモリ133にタイムクロック信号を供給する。
【0150】C:第3実施例の動作 次に、上記構成による実施例の動作について説明する
が、以下ではレーザプリンタの状態(すなわち、温度お
よび湿度)が大きく変化するものと想定される、電源ス
イッチが切られた後の再起動時の動作を例として説明を
行う。
【0151】まず、電源スイッチが一旦切られた後、再
び電源スイッチが投入されることにより制御部120が
再起動されると、制御ルール検索器130は、標準操作
量メモリ133から標準操作量を読み出し、これを取り
込む。また、制御ルール検索器130は、制御事例メモ
リ133から、スイッチが切られる直前の操作量を制御
事例メモリ125から読み出し、これと上記標準操作量
とを操作量補正値演算器131に供給する。操作量補正
値演算器131は、制御ルール検索器130から供給さ
れるスイッチが切られる直前の操作量と標準操作量との
平均値を算出し、この結果を操作量メモリ132へ出力
する。これにより、操作量メモリ132は、上記平均値
に対応したLP設定値を光量コントローラ116に供給
する。
【0152】一方、基準パッチ信号発生器142から
は、上記制御部120の動作と同期して、校正用基準パ
ッチ信号が出力され、これによって基準パッチが感光体
に生成される。そして、このときの現像濃度はセンサ1
10によって検出され、その出力信号が制御ルール検索
器130に供給される。そして、制御ルール検索器13
0は、操作量メモリ132に記憶された操作量を各制御
ルールに当てはめ、上記検出された現像濃度に対する各
制御ルールの適合度を算出し、これによって新たな制御
ルールを創出(合成)する。
【0153】以降は、新たな制御結果(すなわち、濃度
差)を許容誤差と比較することによって、今回の制御内
容を追加記憶すべきか否かを判断し、必要に応じて制御
ルールの修正または新規作成を行い、さらに次回の制御
に備えることになる。
【0154】ここで、図10〜図13を参照し、前回
(すなわち停止前)の操作量設定値をそのまま再起動後
の操作量とした場合と本実施例のように前回の操作量設
定値と標準操作量の平均値を再起動後の操作量とした場
合の再起動前後における操作量(LP設定値)と制御量
(画像濃度)の関係を比較する。図10は前者の場合を
示し、図11〜図13は後者の場合を示している。
【0155】図10に示すように、前回の高温高湿に対
応した操作量設定値「105」をそのまま再起動後の操
作量とした場合、再起動後の状態も高温高湿であれば濃
度誤差はほとんど生じないが、再起動後の状態が低温低
湿である場合には、誤差は著しく大きくなる(最大濃度
差「0.8」)。
【0156】一方、図11に示すように、前回の高温高
湿に対応した操作量設定値「105」と標準操作量「1
25」との平均値「105」を再起動後の操作量とした
場合、再起動後の状態が低温低湿であっても誤差は前者
の場合ほど大きくならない(最大濃度差「0.6」)。
また、図12に示すように、前回の中温中湿に対応した
操作量設定値「125」と標準操作量「125」との平
均値「125」を再起動後の操作量とした場合、最大濃
度差は「0.4」となり、図13に示すように、前回の
低温低湿に対応した操作量設定値「145」と標準操作
量「125」との平均値「135」を再起動後の操作量
とした場合、最大濃度差は「0.6」となり、いずれも
誤差は前者の場合ほど大きくならない。
【0157】このように、本実施例によれば、再起動時
に最初の制御事例を得るために、スイッチが切られる直
前の制御事例にて設定された操作量と標準操作量との平
均値を算出し、これを再起動後の初期の操作量として設
定するので、仮にスイッチが切られる直前の状態と再起
動時の状態が大きく異なる場合であっても、初期の誤差
が著しく大きくならないため、適切な適合度によって制
御ルールを選択・合成でき、再起動当初から速やかに精
度の高い制御を行うことができる。
【0158】D:変更例 (1)なお、その他の態様として、上記標準操作量設定
値の代わりに、過去の制御事例における操作量設定値の
平均値を用いるようにしてもよい。これにより、予め標
準操作量を予備実験などによって決定しておく必要が無
くなる。また、ユーザの使用環境が一般のユーザにとっ
ての標準的な環境でなくユーザ固有のものである場合、
そのユーザ固有の使用環境を加味した操作量とすること
ができる。
【0159】(2)さらに他の態様としては、前回の操
作量設定値と標準操作量の平均値の代わりに、前回の操
作量設定値に重み付けをしたものと標準操作量との平均
値を用いてもよい。この場合、重み付けは、システムの
停止時間の長さによって規定する。すなわち、停止時間
が短ければ重みを大きくし、停止時間が長ければ重みを
小さくする。これにより、停止時間が短く、その間に生
じる状態の変動が確率的に小さい場合は、前回の設定値
に近い値となり、逆に停止時間が長く、その間に生じる
状態の変動の予想がつきにくい場合は、標準設定値に近
い値となる。
【0160】(3)また、上述した態様に限らず、前回
の操作量設定値に所定の係数を掛けるなど、その他種々
の変換を施すようにしてもよい。要は、前回の操作量設
定値をそのまま用いずに何らかの変換を施すことによっ
て、再起動前後の状態変化の影響を低減できればよい。
【0161】(4)また、本実施例では、電源スイッチ
を切った場合の再起動について説明したが、これに限ら
ず、リセットスイッチによる再起動など、システムの状
態が大きく変化することが想定されるものであれば他の
種類の再起動であってもよい。 (5)さらに、本実施例では、レーザプリンタの制御に
ついて説明したが、これに限らず、他の装置の制御にも
もちろん適用可能である。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜18に
記載の発明は、技術者によるデータ採取や最適化作業を
一切行うことなく、最良の制御性能が常に実現できると
いう効果がある。このため、開発コストが低減できると
ともに、熟練した技術者がいなくとも、十分な性能が得
られる。
【0163】また、本発明によれば、従来のファジーや
ニューラルネットワークなどの技術では不可能であった
全自動リアルタイム学習およびチューニングが実現でき
る。さらに、本発明では、被制御システムについての深
い理解やモデル化の必要がなく、ブラックボックスのま
までも、十分精度良く制御することが可能になる。ま
た、本発明によれば、センサ(コスト)が削減できると
ともに、センサの制約から開放された自由な制御方式が
選択できるようになる。しかも、本発明によれば、被制
御システムに経時的劣化が発生した場合や部品交換した
ような場合でも、自動的に最適調整が行われる。
【0164】さらに、請求項8、10に記載の発明によ
れば、過去の事例の中に稼動時の状況に十分に類似した
事例が存在しない場合でも、過去の複数の制御ルールか
ら新規の制御ルールを創出できる。
【0165】また、請求項2、4、6、8に記載の発明
においては、制御装置自身が自主的に必要性を判断して
制御事例を追加記憶できるため、制御性能を自立的に向
上させることができる。
【0166】さらに、請求項11〜18に記載の発明に
よれば、上述したさまざまの効果を少量のメモリによっ
て実現でき、しかもメモリ不足といった事態が生じない
という効果が得られる。
【0167】また、請求項19に記載の発明によれば、
システムを再起動した場合、再起動の前後におけるシス
テムの状態変化の影響を低減でき、再起動当初から速や
かに精度の高い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施例の全体構成を示すブロ
ック図である。
【図2】 同実施例の立上げ時の事例平面を示す概念図
である。
【図3】 同実施例において、2つの操作量および2つ
の制御量を採用する場合の制御事例空間を示す図であ
る。
【図4】 図3に示す場合において、操作量の補正値の
求め方を説明するための図である。
【図5】 制御平面を用いる場合の適合度の算出方法を
説明するための概念図である。
【図6】 この発明の第2実施例の全体構成を示す概略
構成図である。
【図7】 第2実施例における制御装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図8】 同実施例における立ち上げ時の制御ルールを
説明するための図である。
【図9】 この発明の第3実施例の全体構成を示すブロ
ック図である。
【図10】 停止前の操作量設定値をそのまま再起動後
の操作量とした場合の再起動前後における操作量と制御
量の関係を説明するための図である。
【図11】 停止前の操作量設定値と標準操作量の平均
値を再起動後の操作量とした場合の再起動前後における
操作量と制御量の関係を説明するための図である。
【図12】 別の条件下での図11に示す関係を説明す
るための図である。
【図13】 別の条件下での図11に示す関係を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 被制御システム 12 補正ルール作成部(制御ルール抽出手段) 15 事例記憶部(制御事例記憶手段) 16 操作量補正演算部(操作量演算部) 17 操作量設定値出力部(操作量出力手段)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、前記操作量、およびこれに対応して前記被制御
    装置から出力される制御量を制御事例として記憶する制
    御事例記憶手段と、 前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から
    制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    を用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を求
    め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる操
    作量演算手段とを具備することを特徴とするシステム制
    御装置。
  2. 【請求項2】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、前記操作量、およびこれに対応して前記被制御
    装置から出力される制御量を制御事例として記憶する制
    御事例記憶手段と、 前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から
    制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    を用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を求
    め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる操
    作量演算手段とを具備するとともに、 前記制御事例記憶手段は、制御量が許容誤差範囲を超え
    た場合は、その制御内容を新たな制御事例として記憶
    し、前記制御ルール抽出手段は、当該制御事例を含む制
    御事例群から新たな制御ルールを抽出することを特徴と
    するシステム制御装置。
  3. 【請求項3】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶する制御
    事例記憶手段と、 前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から
    制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    を用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を求
    め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる操
    作量演算手段とを具備することを特徴とするシステム制
    御装置。
  4. 【請求項4】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶する制御
    事例記憶手段と、 前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から
    制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    を用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を求
    め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる操
    作量演算手段とを具備するとともに、 前記制御事例記憶手段は、制御量が許容誤差範囲を超え
    た場合は、その制御内容を新たな制御事例として記憶
    し、前記制御ルール抽出手段は、当該制御事例を含む制
    御事例群から新たな制御ルールを抽出することを特徴と
    するシステム制御装置。
  5. 【請求項5】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、前記制御事例記憶手段に記憶されている制御事例
    のうち、状態量が類似しているものをまとめてクラスタ
    を作成する制御事例記憶手段と、 前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出する制御ルール抽
    出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    のうち、制御実行時の状態量に近いクラスタの制御ルー
    ルを用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を
    求め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる
    操作量演算手段とを具備することを特徴とするシステム
    制御装置。
  6. 【請求項6】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、前記制御事例記憶手段に記憶されている制御事例
    のうち、状態量が類似しているものをまとめてクラスタ
    を作成する制御事例記憶手段と、 前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出する制御ルール抽
    出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    のうち、制御実行時の状態量に近いクラスタの制御ルー
    ルを用いて、前記制御量を目的値に一致させる操作量を
    求め、この操作量を前記操作量出力手段から出力させる
    操作量演算手段とを具備し、 前記制御事例記憶手段は、制御量が許容誤差範囲を超え
    た場合は、その制御内容を新たな制御事例として対応す
    るクラスタに含めて記憶し、前記制御ルール抽出手段
    は、当該制御事例を含むクラスタから新たな制御ルール
    を抽出することを特徴とするシステム制御装置。
  7. 【請求項7】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、状態量が類似しているものをまとめてクラスタを
    作成する制御事例記憶手段と、 前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出する制御ルール抽
    出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    について、直前の制御結果に対する適合度を求め、各制
    御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均
    し、その結果得られる合成ルールを用いて前記制御量を
    目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前記操
    作量出力手段に出力させる操作量演算手段とを具備する
    ことを特徴とするシステム制御装置。
  8. 【請求項8】 被制御装置に操作量を与える操作量出力
    手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、状態量が類似しているものをまとめてクラスタを
    作成する制御事例記憶手段と、 前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出する制御ルール抽
    出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    について、直前の制御結果に対する適合度を求め、各制
    御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均
    し、その結果得られる合成ルールを用いて前記制御量を
    目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前記操
    作量出力手段に出力させる操作量演算手段とを具備し、 前記制御事例記憶手段は、制御量が許容誤差範囲を超え
    た場合は、その制御内容を新たな制御事例として対応す
    るクラスタに含めて記憶し、前記制御ルール抽出手段
    は、当該制御事例を含むクラスタから新たな制御ルール
    を抽出することを特徴とするシステム制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制御ルールは、制御量およびこれに
    関連するn個の操作量で構成されるn+1次元空間内
    で、各制御事例座標点の最小二乗誤差法によるn次元平
    面として各制御量毎に抽出されることを特徴とする請求
    項1〜8いずれかに記載のシステム制御装置。
  10. 【請求項10】 被制御装置に操作量を与える操作量出
    力手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、状態量が類似しているものをまとめてクラスタを
    作成する制御事例記憶手段と、 各クラスタ毎に、制御量およびこれに関連するn個の操
    作量で構成されるn+1次元空間内で、各制御事例座標
    点の最小二乗誤差法によるn次元平面として各制御量毎
    に制御ルールを抽出する制御ルール抽出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    について、直前の制御事例に対する適合度を求め、各制
    御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均
    し、その結果得られる合成ルールを用いて前記制御量を
    目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前記操
    作量出力手段に出力させる操作量演算手段とを具備する
    とともに、 前記操作量演算手段は、各制御ルールが記述される座標
    空間内で、制御ルールを示すn次元平面と、直前の制御
    結果を示す座標点との間の距離の逆数を、各制御ルール
    について規格化して前記適合度を求めることを特徴とす
    るシステム制御装置。
  11. 【請求項11】 前記制御事例記憶手段において記憶容
    量不足が生じた際には、もっとも古い制御事例を消去す
    ることを特徴とする請求項1〜8および10いずれかに
    記載のシステム制御装置。
  12. 【請求項12】 前記制御事例記憶手段において記憶容
    量不足が生じた際には、もっとも古い制御事例を消去す
    ることを特徴とする請求項9記載のシステム制御装置。
  13. 【請求項13】 前記制御事例記憶手段は、クラスタが
    完成した時点において、そのクラスタの構成要素である
    制御事例を消去することを特徴とする請求項5〜8およ
    び10いずれかに記載のシステム制御装置。
  14. 【請求項14】 前記制御事例記憶手段は、記憶容量不
    足が生じた際は、最も古いクラスタを消去することを特
    徴とする請求項5〜8および10いずれかに記載のシス
    テム制御装置。
  15. 【請求項15】 前記制御事例記憶手段は、記憶容量不
    足が生じた際は、最も古いクラスタを消去することを特
    徴とする請求項13に記載のシステム制御装置。
  16. 【請求項16】 前記制御事例記憶手段は、制御事例の
    要素として、その発生時刻、および操作量決定に使われ
    た回数を記憶し、記憶容量不足が生じた際には、所定の
    時点以前に記憶され、かつ、使われた回数の最も少ない
    制御事例を消去することを特徴とする請求項1〜8およ
    び10いずれかに記載のシステム制御装置。
  17. 【請求項17】 前記制御事例記憶手段は、クラスタの
    要素として、作成時刻、および操作量決定に使われた回
    数を記憶し、記憶容量不足が生じた際には、所定の時点
    以前に記憶され、かつ、使われた回数の最も少ないクラ
    スタを消去することを特徴とする請求項5〜8および1
    0いずれかに記載のシステム制御装置。
  18. 【請求項18】 前記制御事例記憶手段は、クラスタの
    要素として、作成時刻、および操作量決定に使われた際
    の累積適合度を記憶し、記憶容量不足が生じた際には、
    所定の時点以前に記憶され、かつ、累積適合度の最も小
    さいクラスタを消去することを特徴とする請求項5〜8
    および10いずれかに記載のシステム制御装置。
  19. 【請求項19】 被制御装置に操作量を与える操作量出
    力手段と、 前記操作量およびこれに対応して前記被制御装置から出
    力される制御量および前記被制御装置の制御量に影響を
    与える状態量を一組にして制御事例として記憶するとと
    もに、状態量が類似しているものをまとめてクラスタを
    作成する制御事例記憶手段と、 前記各クラスタ毎に制御ルールを抽出する制御ルール抽
    出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    について、直前の制御結果に対する適合度を求め、各制
    御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均
    し、その結果得られる合成ルールを用いて前記制御量を
    目的値に一致させる操作量を求め、この操作量を前記操
    作量出力手段に出力させる操作量演算手段とを具備し、 前記操作量演算手段は、前記被制御装置または当該制御
    動作が停止された後、再起動された場合、停止直前の制
    御事例における操作量に対して所定の変換を施し、該変
    換後の操作量を前記操作量出力手段に出力させ、これに
    よって得られる制御結果に対する各制御ルールの適合度
    を求めることを特徴とするシステム制御装置。
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