JPH08135702A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JPH08135702A
JPH08135702A JP27786494A JP27786494A JPH08135702A JP H08135702 A JPH08135702 A JP H08135702A JP 27786494 A JP27786494 A JP 27786494A JP 27786494 A JP27786494 A JP 27786494A JP H08135702 A JPH08135702 A JP H08135702A
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cashew dust
soft
hard
cashew
friction
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JP27786494A
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Tamotsu Hayashi
保 林
Masuo Yamashita
益男 山下
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Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高負荷時の高い摩擦係数を確保すると共に、
鳴き性能を向上する。 【構成】 繊維基材と、樹脂結合剤と、カシューダスト
及びその他の充填剤とを含む摩擦材において、カシュー
ダストとして、ショア硬度が80以上である硬質カシュ
ーダストとショア硬度が80未満である軟質カシューダ
ストとを、2:3〜3:2の重量比で組合わせて使用す
る。硬質カシューダストはフルフラールを硬化剤として
得られ、軟質カシューダストはホルムアルデヒド、ヘキ
サミン等を硬化剤として得られる。硬質カシューダスト
によって高速制動時等の高負荷時においても高い摩擦係
数μが確保されると共に、軟質カシューダストによって
制動時の鳴き性能が向上される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両、産業用機械等に
使用されるディスクブレーキパッド、ライニング、或い
はクラッチフェーシング等の摩擦材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等に使用されるディスクブレーキ
パッド、ライニング等の摩擦材は、その相手材であるデ
ィスクロータ、ブレーキドラムと摩擦係合し、運動エネ
ルギーを熱エネルギーに変える重要な役割を担ってい
る。そのため、摩擦材には優れた耐摩耗性が必要である
だけでなく、十分に高い摩擦係数を有することが必要で
あり、しかも、制動時には常に熱を発生し高温となるた
め、温度変化によっても摩擦係数の変化の少ない安定し
た摩擦特性が要求される。更には、相手材に対する攻撃
性がないこと、摩擦時に異音(鳴き)を生じないこと等
も必要であり、摩擦材に求められる特性は多項目に亘っ
ている。
【0003】そこで従来から、これらの各種の特性を満
足するために、摩擦材は複合材として構成されている。
すなわち摩擦材は、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊
維等の骨格を形成する繊維基材と、この繊維基材を結合
保持するフェノール樹脂等の樹脂結合剤と、これらの繊
維と結合剤とのマトリックス中に分散して充填される摩
擦性能を調整するための各種の充填剤とから一般に構成
されている。そして、この充填剤としては、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム等の体質充填剤、グラファイト、二
硫化モリブデン等の固体潤滑剤、カシューダスト、シリ
カ等のアブレッシブ剤、或いはその他の摩擦調整のため
の添加剤等が使用されている。
【0004】ここで、充填剤の一部として使用されるカ
シューダストは、カルダノールが主成分であるカシュー
ナットの殻液またはその重合体を、アルデヒド類或いは
ポリアミン類からなる硬化剤によって加熱下で縮合させ
て硬化し、これを冷却した後ダスト状に粉砕したもので
ある。そして、このカシューダストは、摩擦係合時に溶
融して摩擦材の表面に平滑な有機の潤滑性皮膜を形成
し、それによって摩擦材の摩擦係数を向上すると共に安
定化し、また摩耗を少なくして摩擦材の寿命を長くする
作用を有している。更には、その潤滑性皮膜によって制
動時の鳴き(ノイズ)を減少し、鳴き性能を向上する作
用も有している。そのため、カシューダストは、摩擦材
の重要な成分の一つとして広く使用されている。
【0005】なお、摩擦材に摩擦調整剤として使用され
るこのようなカシューダストについては、例えば、特開
昭58−47079号公報、及び特開平2−26331
号公報にその製造方法に関して開示されている。なおこ
れらでは、具体的には、摩擦材の防錆性を高めるため
に、アルカリ性のカシューダストを得ることを目的とし
ている。なお更に、特殊なカシューダストとして、カシ
ューダスト成分と無機質粉体材料とを複合化させたもの
も知られ、例えば、特開昭58−77925号公報には
カシューダストとグラファイトとの複合体について、ま
た特開昭62−149785号公報には、カシューダス
ト成分と硫酸バリウム等の無機質粉末との復合体につい
て、それぞれ開示されている。これらは、主に、カシュ
ーダストの耐熱性の向上を図ったものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように摩擦材には
カシューダストが一般に配合されるが、このカシューダ
ストは、その硬度或いは硬化剤の種類によって、硬質カ
シューダストと軟質カシューダストの2種類に分けられ
る。即ち、カシューナット殻液またはその重合体を硬化
するための硬化剤としてはホルムアルデヒド(またはパ
ラホルムアルデヒド)、またはヘキサミン(ヘキサメチ
レンテトラミン)と、フルフラールとが一般的である
が、フルフラールを硬化剤として用いた場合には、ショ
ア硬度が一般に80以上、通常では85以上のカシュー
ダストが得られ、また、ホルムアルデヒドまたはヘキサ
ミンを使用した場合には、ショア硬度が一般には70以
下のカシューダストとなる。そこでこのことから、カシ
ューダストは、主に硬化剤の種類から、ショア硬度が8
0以上である硬質カシューダストとショア硬度が80未
満である軟質カシューダストとの2種類に分けることが
できる。
【0007】ところで近年では、自動車の高速化に伴な
って、制動条件も苛酷なものとなってきている。そし
て、上記のカシューダストとして軟質カシューダストを
用いた場合、例えば100km/hの高速からの制動を
行った際には、フェードに近い現象が生じるためと考え
られるが、摩擦係数が低下し、十分な摩擦係数が得られ
ない傾向があった。そのため、摩擦材のカシューダスト
としては、特にディスクブレーキパッドのようなブレー
キ用の摩擦材の場合では、耐熱性も高い硬質カシューダ
ストが一般に用いられている。
【0008】しかしながら、このように摩擦材のカシュ
ーダストとして硬質カシューダストを使用すると、高速
制動時等の高負荷時にも高い摩擦係数が得られるが、そ
の反面、軟質カシューダストを用いた場合では良好であ
った鳴き性能が低下し、制動時にしばしば鳴き(ノイ
ズ)が生じる傾向があった。そして、このような鳴きを
防止するために摩擦材にゴムダストを配合することは知
られているが、ゴムは耐熱性が低いため、耐フェード性
を著しく悪化させる。そのため、高速化と共に自動車の
高級化も進む中で、高負荷時の高い摩擦係数を確保する
一方で、その鳴き性能を更に向上することが強く要望さ
れていた。
【0009】そこで、本発明は、高負荷時の高い摩擦係
数を確保することができると共に、優れた鳴き性能を得
ることができる摩擦材の提供を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の2
種類のカシューダストである硬質カシューダストと軟質
カシューダストに着目して検討を重ねた結果、これらを
一定の範囲内の割合で混合して使用することによって、
高負荷時の摩擦係数を実質的に低下させることなく、鳴
き性能を大幅に向上することができることを見出し、ま
た確認した。
【0011】即ち、本発明にかかる摩擦材は、繊維基材
と、樹脂結合剤と、カシューダスト及びその他の充填剤
とを含む摩擦材において、カシューダストは、ショア硬
度が80以上である硬質カシューダストとショア硬度が
80未満である軟質カシューダストとからなり、かつ、
硬質カシューダストと軟質カシューダストとの配合比
(重量)が2:3〜3:2であることを特徴とするもの
である。
【0012】ここで、ショア硬度が80以上である硬質
カシューダストとしては、上記のように、カシューナッ
ト殻液またはその重合体の硬化剤としてフルフラールを
用いたものを挙げることができる。そして、フルフラー
ルを用いることによって、一般にショア硬度が80以
上、通常では85以上のカシューダストを得ることがで
き、この硬化剤の分量を多くする程その硬度を高くする
ことができる。また、このフルフラール硬化型の硬質カ
シューダストは、リン、或いはボロン等で変性すること
によって、更にその硬度を高めることができる。
【0013】他方、ショア硬度が80未満である軟質カ
シューダストとしては、硬化剤としてホルムアルデヒド
(またはパラホルムアルデヒド)、或いはアセトアルデ
ヒド、プロピオンアルデヒド等の低級アルデヒド、また
はヘキサミンを用いたものが挙げられる。そして、これ
らの硬化剤の種類と分量によって種々のショア硬度のカ
シューダストが得られ、ショア硬度が70を僅かに越え
る場合もあるが、一般には比較的軟質で、ショア硬度が
70以下のカシューダストとなる。なお、この軟質カシ
ューダストとしては、カシューナット殻液自体を硬化剤
を用いないで高分子量に重合して固形化し、次いで粉砕
したものであってもよい。更に、硬化剤としてフルフラ
ールを用いた場合であっても、ニトリル系或いはアクリ
ル系等のゴムや、あまに油等のオイルで変性した場合に
は、ショア硬度は80未満となり、軟質カシューダスト
として同様に使用することができる。
【0014】そして、これらの硬質カシューダストと軟
質カシューダストとの配合比は、重量比で、1:1の等
量を中間にした2:3〜3:2の範囲内が好ましく、ま
た適切である。なお、この配合比はいずれか一方のカシ
ューダストを100重量部とした場合、他方は67〜1
50重量部となる割合である。いずれか一方のカシュー
ダストが多すぎるとその多い方のカシューダストの特性
が支配的となり、硬質カシューダストが多い場合には十
分に鳴き性能を向上することができず、また、軟質カシ
ューダストが多い場合には、高負荷時の十分な摩擦係数
が得らず、耐フェード性も低下する。そして、上記の配
合比の範囲では、硬質カシューダストによって高負荷時
の十分な摩擦係数が得られると共に、その摩擦係数が実
質的に低下されることなく、軟質カシューダストによっ
て鳴き性能が向上される。
【0015】また、硬質カシューダストと軟質カシュー
ダストとを合計した摩擦材全体に対する配合割合は、要
求される摩擦係数等に応じて任意に決めることができる
が、一般に5〜25重量%が好ましい。この合計の配合
割合が余り少ないと、カシューダストを使用することに
よる摩擦係数の向上等の効果が十分に得られない。その
ため、その配合割合は実用上一般に5重量%以上が好ま
しい。また逆に、余り多すぎると、耐フェード性がやは
り低下するため好ましくない。したがって、その配合割
合は25重量%を限度とし、それ以下であることが好ま
しい。
【0016】なお、摩擦材を形成するカシューダスト以
外の成分、即ち、繊維基材、樹脂結合剤、及びその他の
充填剤は、従来と同様である。
【0017】繊維基材としては、、シリケート繊維、ア
ルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール、ス
ラグウール、カーボン繊維、或いはガラス繊維等の無機
繊維、スチール繊維、ステンレススチール繊維、銅繊
維、真鍮繊維等の金属繊維、アラミド繊維、ノボロイド
繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の有機繊維等を挙
げることができる。そして、これらの繊維は単独でまた
は適宜組み合わせて、摩擦材の具体的種類または用途に
応じて使用することができる。ディスクブレーキパッド
の場合は一般に、これらの無機繊維、金属繊維、有機繊
維が適切に組み合わされて使用される。
【0018】樹脂結合剤としては、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、或いはSBR等のゴム等を使用すること
ができる。しかし、これらの中でも、フェノール樹脂ま
たはその変性物が最も一般に使用されているものでもあ
り、好適である。
【0019】また、充填剤としては、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム等の体質充填剤、グラファイト、二硫化モ
リブデン、三流化アンチモン等の固体潤滑剤、主に熱伝
導性を向上するための銅粉、亜鉛粉、真鍮粉等の金属
粉、シリカ等のアブレッシブ剤、或いはその他の摩擦調
整のための添加剤等を使用することができる。
【0020】そして、本発明にかかる摩擦材は、例え
ば、以上の硬質カシューダスト及び軟質カシューダスト
と、繊維基材、樹脂結合剤、及びその他の充填剤を混合
し、この混合物を予備成形した後、加熱加圧成形する通
常の熱成形方法によって製造することができる。
【0021】
【作用】上記のように、カシューダストとして硬質カシ
ューダストを使用すると、例えば100km/hの高速
で制動した場合のような高負荷時にも高い摩擦係数が得
られるが、鳴き性能が低下する傾向がある。また、カシ
ューダストとして軟質カシューダストを使用すると、優
れた鳴き性能が得られるが、そのような高負荷時の摩擦
係数が低下する傾向がある。
【0022】本発明にかかる摩擦材においては、カシュ
ーダストとして、ショア硬度が80以上である硬質カシ
ューダストとショア硬度が80未満である軟質カシュー
ダストとが2:3〜3:2の配合比(重量)で併用され
ている。そのため、その硬質カシューダストによって、
高速制動時のような高負荷時にも高い摩擦係数が得られ
ると共に、適切な配合比の軟質カシューダストによっ
て、その摩擦係数を実質的に低下させることなく、鳴き
性能を向上することができる。即ち、高負荷時の高い摩
擦係数を確保することができると共に、優れた鳴き性能
を得ることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明する。
【0024】〔摩擦材(パッド)の作製〕図1に示す配
合組成(重量%)で、本発明の実施例1乃至実施例5の
摩擦材を作製した。また、これらとの比較のために比較
例1乃至比較例4の摩擦材も合わせて作製した。なお、
これらの実施例及び比較例の摩擦材は、具体的には、自
動車のディスクブレーキ用パッドとして具体化したもの
である。
【0025】図1のように、これらの実施例及び比較例
の摩擦材(ディスクブレーキパッド)は、繊維基材と、
樹脂結合剤と、摩擦調整剤としての充填剤とを含み形成
されている。そして、繊維基材は、アラミド繊維8重量
%、チタン酸カリウム繊維8重量%、セラミック繊維8
重量%、及び銅繊維10重量%の混合物からなり、スチ
ール繊維を含まないものである。したがってここでは、
摩擦材は非スチール系摩擦材として形成されている。な
おこの繊維基材は、各実施例及び比較例において同じ割
合で使用した。
【0026】樹脂結合剤は、ここではフェノール樹脂を
用い、12重量%の割合で、各実施例及び比較例におい
て配合した。
【0027】また、充填剤としては、主に耐摩耗性を向
上するための固体潤滑剤であるグラファイトと、主に摩
擦係数を高めるためのアブレッシブ剤であるシリカと、
体質充填剤としての硫酸バリウムと、そして、カシュー
ダストとを配合した。そして、グラファイトとシリカ
は、各実施例及び比較例において同じ割合でそれぞれ8
重量%及び3重量%ずつ配合し、また、硫酸バリウムと
カシューダストは、各実施例及び比較例において割合を
変えて配合した。
【0028】ここで、カシューダストとしては、ショア
硬度が80以上の硬質カシューダストと、ショア硬度が
80未満の軟質カシューダストとが使用されている。具
体的には、この硬質カシューダストは、カルダノールを
主成分とするカシューナット殻液の重合体(平均重合度
約2.5)をフルフラールと付加重縮合させて硬化し、
次いで粉砕したフルフラール硬化型カシューダストであ
り、ショア硬度は95である。また、軟質カシューダス
トは、そのフルフラールに代えてホルムアルデヒドを硬
化剤として用いたホルムアルデヒド硬化型カシューダス
トであり、ショア硬度は64である。
【0029】そして、これらの硬質カシューダストと軟
質カシューダストとを、各実施例及び比較例において、
それぞれ配合割合を変えて使用した。即ち、実施例1で
は、硬質カシューダストを2重量%、軟質カシューダス
トを3重量%(合計5重量%)使用した。実施例2で
は、これを逆にして、硬質カシューダストを3重量%、
軟質カシューダストを2重量%(合計5重量%)使用し
た。実施例3では、硬質カシューダストと軟質カシュー
ダストとを等量で8重量%ずつ(合計16重量%)使用
した。また、実施例4では硬質カシューダストを10重
量%、軟質カシューダストを15重量%(合計25重量
%)と比較的多く使用し、またこれを逆にして、実施例
5では硬質カシューダストを15重量%、軟質カシュー
ダストを10重量%(合計25重量%)使用した。な
お、実施例4の場合、使用した硬質カシューダストと軟
質カシューダストとの重量比は実施例1と同じ2:3で
あり、また、実施例5の場合では、その重量比は3:2
で実施例2と同じである。
【0030】これらの実施例1乃至実施例5に対して、
比較例1では、軟質カシューダストは使用しないで、硬
質カシューダストのみを16重量%使用した。また、こ
れとは逆に、比較例2では軟質カシューダストのみを1
6重量%使用した。更に、比較例3では硬質カシューダ
ストを8重量%、軟質カシューダストを17重量%(合
計25重量%)使用し、また、比較例4では硬質カシュ
ーダストを17重量%、軟質カシューダストを8重量%
(合計25重量%)使用した。これらの比較例3と比較
例4では、硬質カシューダストと軟質カシューダストと
の合計の配合量は実施例4及び実施例5と同じである
が、それらの配合量の差が大きくされている(一方を1
とした場合、他方は2.1)。
【0031】なお、硬質カシューダストと軟質カシュー
ダストとの合計の配合割合は、実施例1,2では5重量
%、実施例3及び比較例1,2では16重量%、実施例
4,5及び比較例3,4では25重量%であるため、そ
れに応じて、硫酸バリウムの配合割合はそれぞれ、38
重量%、27重量%、18重量%とされている。
【0032】そして、これらの実施例及び比較例の摩擦
材(ディスクブレーキパッド)の作成は、通常の熱成形
による方法によって、具体的には次のように行った。即
ち、カシューダストを含む上記の配合の摩擦材原料をV
型ブレンダで十分均一に混合し、次いで、この粉状混合
物を予備成形金型に投入し、常温下、200kg/cm
2 の圧力で1分間加圧して、予備成形した。この摩擦材
の予備成形物を、予め表面にフェノール樹脂系接着剤を
塗布した裏金と共に熱成形金型にセットし、400kg
/cm2 の加圧圧力、160℃の温度で10分間熱成形
した。そして、これを更に250℃で120分間熱処理
して、摩擦材を得た。
【0033】〔評価試験〕次いで、作製したこれらの実
施例及び比較例の各摩擦材(ディスクブレーキパッド)
について、それらの摩擦性能と鳴き性能に関する評価試
験を行った。
【0034】摩擦性能については、JASO−C406
−82に準じて、擦り合わせ後の第2効力時(安定期)
の高速制動試験を行い、その時の摩擦係数μを測定し
た。試験条件は次のとおりである。
【0035】使用キャリパブレーキ型式:PD48−1
1S イナーシャ:5.0kgf・m・s2 初速度:100km/h 制動液圧:80kgf/cm2 なお、擦り合わせは65km/h×40kgf/cm2
×120℃×200回で行った。
【0036】また、耐フェード性能を評価するために、
同様に上記の条件で第1フェード試験を実施し、その第
1フェード試験時の最少摩擦係数μを測定した。
【0037】更に、鳴き性能については、実車(PD5
4−18V型キャリパブレーキ)による試験を行い、制
動時のブレーキ鳴き(ノイズ)の発生回数を測定した。
具体的には、次の100回の鳴き試験を行い、耳にかす
かに聞こえる程度以上の鳴き(極小レベル)をカウント
した。
【0038】20km/h×10kgf/cm2 ×50
℃×20回 20km/h×10kgf/cm2 ×100℃×20回 20km/h×10kgf/cm2 ×150℃×20回 20km/h×10kgf/cm2 ×100℃×20回 20km/h×10kgf/cm2 ×50℃×20回 実施例及び比較例の各摩擦材について測定したこれらの
高速制動時の摩擦係数μ「高速制動時摩擦係数μ」、第
1フェード時の最少摩擦係数μ「第1フェード時最小摩
擦係数μ」、及び、100回の実車鳴き試験時の鳴き発
生回数「実車鳴き回数」を、図1に合わせて示す。
【0039】〔試験結果〕図1のように、カシューダス
トとして硬質カシューダストと軟質カシューダストとを
適切な重量比で配合した実施例1乃至実施例5の摩擦材
(ディスクブレーキパッド)は、高速制動時と共に第1
フェード時においても比較的高い摩擦係数μを保持して
いると共に、鳴き性能にも優れている。
【0040】このことは、比較例との対比から、より明
らかである。特に、カシューダストの合計の配合量が同
じである実施例3と比較例1及び比較例2とを対比する
と、カシューダストが硬質カシューダストのみからなる
比較例1は、高速制動時の摩擦係数μと第1フェード時
の最小摩擦係数μは実施例3とほとんど同じであるが、
ブレーキ鳴き回数が15回と多い。また、軟質カシュー
ダストのみからなる比較例2は、鳴き回数はゼロである
が、特に第1フェード時の最小摩擦係数μが低い。なお
高速制動時の摩擦係数μも低いが、これは、制動試験が
速度100km/hの高負荷条件で行われ、フェードに
近い状態になったためと考えられる。そして、これらに
対して、硬質カシューダストと軟質カシューダストとを
等量で使用した実施例3では、比較例1とほとんど同じ
摩擦係数μが維持される一方、鳴き回数がゼロに減少さ
れている。
【0041】また、カシューダストとして硬質カシュー
ダストと軟質カシューダストとが併用されているが軟質
カシューダストの配合が多い比較例3では、軟質カシュ
ーダストのみを用いた比較例2と同様な傾向があり、ま
た、軟質カシューダストの配合が少ない比較例4では、
比較例1と同様に摩擦係数μは十分に高いが、鳴き回数
が10回と多く、鳴き性能が十分ではない。これらに対
して、カシューダストの合計量は同じであるが硬質カシ
ューダストと軟質カシューダストとの配合比が3:2ま
たは2:3である実施例4と実施例5では、高速制動時
の摩擦係数μが高く、第1フェード時の最小摩擦係数μ
も十分に高いと共に、実車鳴き回数は共にゼロであり、
優れた鳴き性能が得られている。しかも、高速制動時の
摩擦係数μにおいては、実施例5では軟質カシューダス
トが配合されているにもかかわらず、硬質カシューダス
トがほぼ同じ量で配合された比較例1と同じ摩擦係数μ
が得られている。更に、これらの実施例4と実施例5と
では、硬質カシューダストと軟質カシューダストとの配
合量に差はあるが、摩擦性能及び鳴き性能においては実
質的に差がなく、また同様なことは、配合比が3:2ま
たは2:3である実施例1と実施例2との間にも見られ
る。
【0042】そこで、これらの試験結果から、カシュー
ダストとして硬質カシューダストと軟質カシューダスト
とを併用することによって、高速制動時や第1フェード
時のような高負荷時にも十分に高い摩擦係数μを得るこ
とができる(十分な耐フェード性を得ることができる)
と共に鳴き性能を大幅に向上することができること、ま
たここで、硬質カシューダストと軟質カシューダストと
の配合比(重量)は3:2〜2:3の範囲が適切である
ことが分かる。なお、カシューダストの合計の配合割合
は、多すぎると第1フェード時の最小摩擦係数μも低下
する傾向が見られるため、25重量%を限度として、5
〜25重量%が好ましいことも分かる。
【0043】なお、このように本発明の摩擦材について
は、特にディスクブレーキパッドを例として説明した
が、本発明を実施する場合は、ディスクブレーキパッド
だけに限定されるものではなく、ドラムブレーキのライ
ニング、或いはクラッチフェーシング等、種々の摩擦材
に適用することができる。また、繊維基材等の種類と配
合割合等についても、この実施例に限定されることな
く、種々に変更することができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる摩擦材
は、繊維基材と、樹脂結合剤と、カシューダスト及びそ
の他の充填剤とを含む摩擦材において、カシューダスト
は、ショア硬度が80以上である硬質カシューダストと
ショア硬度が80未満である軟質カシューダストとから
なり、かつ、硬質カシューダストと軟質カシューダスト
との配合比(重量)が2:3〜3:2であることを特徴
とするものである。
【0045】そのため、この摩擦材によれば、硬質カシ
ューダストによって、高速制動時のような高負荷時にも
高い摩擦係数が得られると共に、適切な配合比の軟質カ
シューダストによって、その摩擦係数を実質的に低下さ
せることなく、鳴き性能を向上することができる。即
ち、高負荷時の高い摩擦係数を確保することができると
共に、優れた鳴き性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例及び比較例の摩擦材(デ
ィスクブレーキパッド)の組成(重量%)と、それらの
評価試験の結果とを示す表図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材と、樹脂結合剤と、カシューダ
    スト及びその他の充填剤とを含む摩擦材において、 前記カシューダストは、ショア硬度が80以上である硬
    質カシューダストとショア硬度が80未満である軟質カ
    シューダストとからなり、かつ、前記硬質カシューダス
    トと前記軟質カシューダストとの配合比(重量)が2:
    3〜3:2であることを特徴とする摩擦材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6479413B1 (en) * 2000-08-30 2002-11-12 Benjamin V. Booher Composite friction elements and pultrusion method of making

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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