JPH08134735A - 加熱手段として蒸気を使用した合成糸の伸張方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ある程度織られた熱可塑性を有する
糸を伸張する方法に関するものである。 【構成】一まとまりにねじれた熱可塑性合成糸を伸張す
るための方法であって、該糸の加熱手段として、糸の移
動方向と垂直な方向から層流ジェットとして蒸気を噴射
することを特徴とする熱可塑性合成糸の伸張方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ある程度織られた熱可
塑性を有する糸を伸張する方法に関するものであり、糸
の加熱手段として蒸気及びその関連機器が使用されてい
る点に特徴がある。

【０００２】

【従来の技術】合成糸を伸張する方法の一つに伸張温度
に保たれた温水浴槽を使用するものがある。この方法に
おいては、十分に長い糸の通路にわたって所望の温度を
提供するため、浴槽内に温度自動調節器を備えた液体タ
ンクを十分に大きくすることが必要である。

【０００３】また、他の方法として、糸の移動工程にお
いて加熱手段（加熱板、加熱筒等）を使用するものがあ
る。さらに別の方法として、糸を十分高い温度の気体
（空気）を含む室の中を通過させる方法もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では、糸を迅速かつ精度よく一定の時間内に加熱するこ
とができないという欠点がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる方法は、
糸の移動方向に対して垂直方向から、一連の層流ジェッ
トとして蒸気を噴出することを基本とする。本方法及び
これに関連する装置は、特にねじれて一続きの（又は一
部がねじれた）多数の糸を一まとめにして伸張するもの
である。本発明にかかる装置では、通常、工場で提供す
ることができる２９５キロパスカル程度の蒸気圧力の飽
和蒸気が使用される。

【０００６】

【実施例】以下、添付の図面を参照しつつ、本発明を一
実施例に基づきより詳細に説明する。図１は本発明にか
かる装置の全体の概略図を示しており、装置は糸Ｄの入
口及び出口速度を制御するためのローラＦ、Ｆ’、加熱
板Ｂ、Ｂ’、温水洗浄装置Ｌ、伝導油加熱システムＥで
構成される。図２に示すように、加熱板Ｂ、Ｂ’は収容
室Ｃに配置されており、収容室Ｃは調整装置Ｒを伴う蒸
気取入口と、残分を利用しないで排出する蒸気排出口を
有している。

【０００７】なお、図３は糸の移動方向に対して垂直な
平面における加熱板の部分拡大図であり、図４は伝導加
熱用油コイルの通路を示す図である。図１に示す加熱伸
張装置に供給された糸は、サイジング工程に悪影響を与
えるスピニング油の残分を取り除くため、装置Ｌによっ
て予め温水洗浄され、その後、伸張工程、撚糸工程へと
移動する。糸は加熱板Ｂ、Ｂ’と接触することなく、こ
れらの間を通過する。一まとまりの糸の全体（ねじれて
一続きとなったもの）は、図３に示すように、開口Ｎか
ら噴出する多数の層流ジェットと均一に衝突する。図３
において、参照符号Ｖは蒸気供給室を示し、ＧはねじＨ
で固定された閉板であって、隣接する閉板とともに、
０．３ｍｍ程度の小さな隙間を形成し、加熱板と平行か
つ糸の移動方向と垂直な方向の開口Ｎとするものであ
る。本装置にはまた、従来より使用されている図２に示
す調整装置Ｒが備えられ、これにより入口蒸気圧を低下
させ、蒸気流れを調整することができる。この装置によ
って、糸は迅速に所望の伸張温度に達する。

【０００８】供給する蒸気流を変化させることにより、
また糸と加熱板との距離を変化させることによって加熱
温度を調整することができる。上下の加熱板の間隔は７
ｃｍ程度の精度で調整できる。さらに、蒸気供給室にお
いて図３及び図４に記載のコイルＭを内側に配置するこ
とによっても蒸気温度を調整することができる。このコ
イルＭの中には伝導加熱のための油が流れており、その
温度は精密に制御することができるからである。

【０００９】コイルによって提供される熱を付加するこ
とにより、放散熱を補償することができ、蒸気供給室に
おける蒸気の凝縮を避けることができる。さらに、制限
された範囲内において、前記開口から噴出する蒸気ジェ
ットの温度を調整することも可能である。

【００１０】

【発明の効果】本発明にかかる方法は、多量の糸が全体
的にねじれている場合でも非常に迅速に糸を加熱するこ
とができ、一まとまりの糸の全体を均一に高温度に加熱
することができる点で有利である。この利点は、蒸気を
加熱流体として使用したことの他に、特定の位置から特
定の方向へ多数の層流ジェットとして蒸気を噴射するこ
とによって得られるものである。

【００１１】上記のように、さらに蒸気供給室の内部の
コイルを流れる伝導加熱用の油による蒸気室の追加熱に
よっても温度調整をすることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる装置の全体の概略図。

【図２】収容室Ｃに配置される加熱板Ｂ、Ｂ’の詳細
図。

【図３】糸の移動方向に対して垂直な平面における加熱
板の部分拡大図。

【図４】伝導加熱用油コイルの通路を示す図。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ねじれた熱可塑性合成糸の全体を伸張する
   ための方法であって、該糸の加熱手段として、糸の移動
   方向と垂直な方向から層流ジェットとして蒸気を噴射す
   ることを特徴とする熱可塑性合成糸の伸張方法。
2. 【請求項２】スピニング油の残分を除去するため、前記
   伸張される糸が温水によって予め洗浄されることを特徴
   とする請求項１記載の熱可塑性合成糸の伸張方法。
3. 【請求項３】糸の加熱手段として低圧飽和蒸気を使用す
   ることを特徴とする請求項１記載の熱可塑性合成糸の伸
   張方法。
4. 【請求項４】追加加熱手段として、前記蒸気供給室内部
   に備えられ、伝導加熱手段としての油が流れる装置（コ
   イル）を有することを特徴とする請求項１記載の熱可塑
   性合成糸の伸張方法。
5. 【請求項５】請求項１記載の熱可塑性合成糸の伸張方法
   を実施するための装置であって、加熱板Ｂ、Ｂ’を有
   し、該加熱板に備えられた平行開口Ｎから、前記糸Ｄの
   移動方向に対して垂直方向に噴出する蒸気の多数の層流
   ジェットが供給されることを特徴とする熱可塑性合成糸
   の伸張装置。
6. 【請求項６】蒸気供給室Ｖの内側に、伝導加熱用の油の
   循環による追加加熱を行うためのコイルＭが備えられて
   いることを特徴とする請求項５記載の熱可塑性合成糸の
   伸張装置。