JPH081342B2 - フリーピストンの慣性力を利用した膨張圧縮サイクル - Google Patents

フリーピストンの慣性力を利用した膨張圧縮サイクル

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JPH081342B2
JPH081342B2 JP4158827A JP15882792A JPH081342B2 JP H081342 B2 JPH081342 B2 JP H081342B2 JP 4158827 A JP4158827 A JP 4158827A JP 15882792 A JP15882792 A JP 15882792A JP H081342 B2 JPH081342 B2 JP H081342B2
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幸生 山田
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博之 今井
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明はランキンサイクルによっ
て熱源から仕事を取り出し、該取り出された仕事によっ
て逆ランキンサイクルからなるヒートポンプサイクルを
駆動させる、いわゆるランキンサイクル蒸気圧縮ヒート
ポンプサイクルに関し、更に詳しくは該ランキンサイク
ル蒸気圧縮ヒートポンプサイクルに使用される膨張圧縮
機をフリーピストンの慣性力を利用した膨張圧縮機と
し、この膨張圧縮機によって所望の膨張圧縮サイクルを
得ることに関する。
【0002】
【従来の技術】一般の冷暖房機器に使用されているヒー
トポンプシステムは電気モータを使用して仕事を得、こ
の仕事によってヒートポンプサイクルを駆動させるもの
であるが、この電気モータの代わりにランキンサイクル
によって仕事を取り出し、この仕事によってヒートポン
プサイクルを駆動するようにしたランキンサイクル蒸気
圧縮ヒートポンプシステムも既に公知である。
【0003】これを図でもって説明すると、図5は一般
に使用されているヒートポンプサイクルを利用した冷暖
房機器を示すものであり、電気モータ1によって圧縮機
2を駆動させ、フロン等の気体状の作動媒体を断熱圧縮
する。すると作動媒体は温度上昇し、凝縮器3に導入さ
れる。凝縮器3では作動媒体が熱を放熱(Qc0)し、
凝縮して液体となる。そして、液体となった作動媒体は
膨張弁4を通って断熱膨張し、低温となって蒸発器5に
導入される。蒸発器4では作動媒体が熱を吸熱(Qe)
して気体状となり、再度圧縮器2へ到る。上記放熱(Q
0)を暖房として利用し、上記吸熱(Qe)を冷房と
して利用するのが前記ヒートポンプサイクルを利用した
冷暖房機器である。
【0004】前記図5に示すヒートポンプサイクルは、
仕事源として電気モータ1を使用しており、熱源をその
まま仕事源とするものではない。近年、太陽熱や廃熱を
利用して直接冷暖房を行わせようとする試みがなされて
ており、この太陽熱や廃熱からなる熱源をそのまま仕事
源としたのが図6に示すランキンサイクル蒸気圧縮ヒー
トポンプシステムである。
【0005】図6を参照して、蒸気発生器6内の作動媒
体が熱を吸熱(Qg)し、これが蒸気となって膨張機7
で膨張して仕事を得る。膨張機7で膨張した作動媒体は
凝縮器8へ導入され、ここで熱を放熱(Qc1)して凝
縮する。凝縮された作動媒体はポンプ9で昇圧され、再
度蒸気発生器6へ戻される。このサイクルはランキンサ
イクルRCとなっている。膨張機7で得られた仕事はヒ
ートポンプサイクルHCの圧縮機10を駆動するものと
なっている。即ち、膨張機7によって圧縮機10を駆動
させ、作動媒体を断熱圧縮する。すると作動媒体は温度
上昇し、凝縮器11に導入される。凝縮器11では作動
媒体が熱を放熱(Qc2)し、凝縮して液体となる。そ
して、液体となった作動媒体は膨張弁12を通って断熱
膨張し、低温となって蒸発器13に導入される。蒸発器
13では作動媒体が熱を吸熱(Qe)して気体状とな
り、該気体状となった作動媒体は再度圧縮器10へ戻
る。上記放熱(Qc2)を暖房として利用し、上記吸熱
(Qe)を冷房として利用するのは前記図5のヒートポ
ンプサイクルと同様である。ここで、膨張機7と圧縮機
10とが一体構造となっているものを本発明でいうとこ
ろの膨張圧縮機と称している。
【0006】上記図6に示すランキンサイクル蒸気圧縮
ヒートポンプシステムでは、2つの作動媒体(同一の作
動媒体であっても良いし、別種類の作動媒体であっても
良い)を閉鎖回路で別個に循環させるものであるが、1
つの作動媒体を使用することにより凝縮器を共通化する
方式のランキンサイクル蒸気圧縮ヒートポンプシステム
も提案されている。
【0007】図7を参照して、蒸気発生器14内の作動
媒体が熱を吸熱(Qg)し、これが蒸気となって膨張機
15から仕事を得る。膨張機15で膨張した作動媒体は
凝縮器16へ導入され、ここで熱を放熱(Qc3)して
凝縮する。凝縮された作動媒体はポンプ17で昇圧さ
れ、再度蒸気発生器14へ戻される。このサイクルはラ
ンキンサイクルとなっている。膨張機15で得られた仕
事はヒートポンプサイクルの圧縮機18を駆動させ、作
動媒体を断熱圧縮する。すると作動媒体は温度上昇し、
前記膨張機15で断熱膨張した作動媒体と合流して凝縮
器16に導入される。凝縮器16に導入された作動媒体
は熱を放熱(Qc4)し、凝縮して液体となる。そし
て、液体となった作動媒体は膨張弁19を通って断熱膨
張し、低温となって蒸発器20に導入される。蒸発器2
0では作動媒体が熱を吸熱(Qe)して気体状となり、
再度圧縮器18へ戻される。ここで、ランキンサイクル
における放熱(Qc3)とヒートポンプサイクルの放熱
(Qc4)との和が全放熱(Qc)となる。
【0008】上述の図7に示すランキンサイクル蒸気圧
縮ヒートポンプサイクルをTーs線図で説明すると、図
8のようになる。即ち、凝縮器16を通過した状態
(1)の凝縮作動媒体は2つに分離され、一方の作動媒
体はポンプ17により状態(2)まで昇圧された後、蒸
気発生器14で熱を吸熱(Qg)し、状態(5)まで加
熱される。ここで状態(3)から状態(4)までの間は
二相状態である。他方の作動媒体は膨張弁19で状態
(8)まで圧力を下げられた後、蒸発器20で熱を吸熱
(Qe)し、状態(9)となる。状態(5)まで加熱さ
れた作動媒体は状態(6)まで膨張して仕事をし、この
仕事によって状態(9)の作動媒体を状態(6)まで圧
縮する。
【0009】ここにおいても、膨張機15と圧縮機18
とが一体化した構造のものを膨張圧縮機と称している。
この膨張圧縮機は作動媒体の膨張空間と、作動媒体の圧
縮空間と、前記膨張空間の体積変化を直接仕事に変え、
該得られた仕事によって圧縮空間の体積変化を行わせる
機構とを備えており、複雑な構造となっているのが一般
的である。
【0010】前述のような膨張圧縮機として、ベーンタ
イプの膨張圧縮機、対向ピストンタイプの膨張圧縮機、
フリーピストンタイプの膨張圧縮機等、種々の形式のも
のが公知である。以下に、従来公知の膨張圧縮機の一例
を挙げると、図9に示すようなものが知られている。シ
リンダー21にはフリーピストン22が往復動自在に設
けられており、該シリンダー21及びフリーピストン2
2には凹部と凸部が設けられ、該凹凸部によって圧縮部
分23A、23Bと膨張部分24A、24Bとポンプ部
分25A、25Bが形成されている。そのサイクルの作
用は次のとおりである。即ち、作動媒体が図の左方の膨
張部分24Aに導入されて断熱膨張するとフリーピスト
ン22が図の右方に動作する。すると、左方のポンプ部
分25及び左方の圧縮部分25Aに作動媒体が吸入さ
れ、更に右方の圧縮部分23Bの作動媒体が圧縮される
と同時に右方のポンプ部分25Bの作動媒体を給送す
る。その反対に、作動媒体が右方の膨張部分24Bに導
入されて膨張するとフリーピストン22が左方に動作
し、右方のポンプ部分25B及び右方の圧縮部分23B
に作動媒体が吸入され、左方の圧縮部分23Aの作動媒
体が圧縮されると同時に左方のポンプ部分25Aの作動
媒体を給送する。これによって、作動媒体の膨張仕事を
圧縮部分23A、23Bとポンプ部分25A、25Bの
仕事に直接変換するものである。
【0011】
【発明の解決しようとする課題】ところが、図9に示す
従来公知のランキンサイクル蒸気圧縮ヒートポンプシス
テムに使用されている膨張圧縮機の膨張圧縮サイクルに
よると、次のような問題点があった。即ち、シリンダー
21とフリーピストン22の間に凹凸部を設けて圧縮部
分23A、23B、膨張部分24A、24B、ポンプ部
分25A、25B等を形成しなければならず、構造が複
雑であり、高コストとなる上、圧縮部分23A、23
B、膨張部分24A、24B、ポンプ部分25A、25
B等の密封を必要とする摺動部分が多く、そのシールが
困難なものとなっている。
【0012】そこで、本発明の目的は、前記従来公知の
膨張圧縮機の問題点を解決し、構造が簡単であり、かつ
シール部分の少ないランキンサイクル蒸気圧縮ヒートポ
ンプシステムに使用されるフリーピストンの慣性力を利
用した膨張圧縮機の膨張圧縮サイクルを提供せんとする
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の他の特徴とする
ところは、次のようなフリーピストンの慣性力を利用し
た膨張圧縮機の膨張圧縮サイクルにある。即ち、蒸気発
生器と、凝縮器と、蒸発器と、膨張弁と、膨張圧縮機と
からなり、作動媒体を循環させてランキンサイクルによ
って熱源から仕事を取り出し、該取り出された仕事によ
って逆ランキンサイクルからなるヒートポンプサイクル
を駆動させるランキンサイクル蒸気圧縮ヒートポンプサ
イクルにおいて、単一のシリンダーと該単一のシリン
ダー内を往復動するフリーピストンと、該フリーピスト
ンの左右の空間に高圧の作動媒体を導入する高圧弁と、
該フリーピストンの左右の空間に低圧の作動媒体を導入
する低圧弁と、該フリーピストンの左右の空間から作動
媒体を排出する排出弁とからなり、該フリーピストンの
左右の空間に作動媒体を導入して一方の空間に導入され
た高圧の作動媒体によって他方の空間に導入されている
低圧の作動媒体を圧縮するようにした膨張圧縮機を使用
し、該フリーピストンの慣性力を利用して次のような状
態変化の膨張圧縮サイクルとする。状態(1)におい
て、シリンダーの左側の空間は高圧の作動媒体PHの状
態となっており、シリンダーの右側の空間は低圧の作動
媒体PLの状態となっており、圧力PHは前記蒸気発生
器の内部で作動媒体が加熱されたときの圧力であり、圧
力PLは前記蒸発器の内部で作動媒体が蒸発したときの
圧力である。この状態では左右空間の作動媒体の比エン
トロピは同じとなっている。また、左右の高圧弁、低圧
弁、排出弁は閉鎖している。状態(1)から状態(2)
へ移行するときには、左側の高圧弁が開かれ、シリンダ
ーの左側の空間に高圧の作動媒体PHが吸入され、フリ
ーピストンが右方へ移動して右側の空間の作動媒体が断
熱圧縮される。左側の空間の作動媒体PHは同一温度か
つ同一圧力となっている。状態(2)から状態(3)に
移行するときには、左側の高圧弁は閉鎖され、フリーピ
ストンの慣性力によって左側の空間の作動媒体は断熱膨
張し、右側の空間の作動媒体は引き続いて断熱圧縮され
る。状態(3)に到ったときには、左側の空間の圧力は
低圧の作動媒体PLと同一となっている。状態(3)か
ら状態(4)に移行するときには、フリーピストンの慣
性力による移行は継続されており、左側の低圧弁が開か
れ、左側の空間に低圧の作動媒体PLが吸入され、右側
の空間は更に断熱圧縮される。状態(4)に到ったとき
には、右側の空間の作動媒体PMの圧力は前記凝縮器の
圧力と同一となっている。状態(4)から状態(5)へ
移行するときには、フリーピストンの慣性力による右方
向への移行は継続されており、左側の空間には更に低圧
の作動媒体PLが吸入され、右側の排出弁が開かれ、
側の空間の作動媒体PMが排出される。この間右側の空
間の作動媒体PMの温度圧力は一定である。状態(5)
から状態(6)へ移行するときには、フリーピストンの
慣性力による右方向への移行は更に継続されており、
側の排出弁が閉鎖され、右側の空間は断熱圧縮される。
状態(6)になると、左側の低圧弁が閉鎖され、左側の
空間には低圧の作動媒体PLが封入され、右側の空間は
断熱圧縮により高圧の作動媒体PHと同一状態となり、
前記状態(1)と左右逆転の状態とする。状態(6)と
なった後、次にはフリーピストンが左方向に移行させな
がら前述の状態(1)から状態(6)までの変化を生じ
させ、順次この動作を繰り返してなること。
【0014】
【実施例】以下、図によって本発明の一実施例を説明す
る。図1は本発明の一実施例になるランキンサイクル蒸
気圧縮ヒートポンプシステムを示す概略系統図である。
【0015】図1を参照して、蒸気発生器31、凝縮器
32、蒸発器33は配管34によって連絡されている。
凝縮器32と蒸気発生器31とを連絡する配管34には
ポンプ35が設けられ、凝縮器32と蒸発器33を連絡
する配管34には、膨張弁36が設けられている。凝縮
器32と蒸気発生器31及び蒸発器33を連絡する配管
34には本発明に係る膨張圧縮機37が設けられてい
る。配管34内にはフロン等の作動媒体が封入されてお
り、前記蒸気発生器31、凝縮器32、蒸発器33で熱
の授受を行う。上記構成及び作用は前述の図3に示すラ
ンキンサイクル蒸気圧縮ヒートポンプシステムと同じで
あるから詳細な説明は省略する。蒸気発生器31には配
管38を介して水等からなる循環媒体が循環されてお
り、太陽熱の集熱器39が該配管38に設けられてい
る。この集熱器39によって太陽熱が集熱され、循環媒
体が加熱される。加熱された循環媒体は蒸気発生器31
内の作動媒体を加熱するものとなっている。凝縮器32
には配管40を介して水等からなる循環媒体が循環され
ており、該循環媒体は凝縮器32から発生する熱を受け
取ることにより昇温する。配管40には分岐配管40
A、40Bへ分岐させる切り換え弁41が設けられ、一
方の分岐配管40Aは室内熱交換器42を介して凝縮器
32へ連絡され、他方の分岐配管40Bは室外熱交換器
43を介して凝縮器32へ連絡されている。蒸発器33
には配管44を介して水等からなる循環媒体が循環され
ており、該循環媒体は蒸発器33により熱を吸収されて
温度低下する。配管44には分岐配管44A、44Bへ
分岐させる切り換え弁45が設けられ、一方の分岐配管
44Aは室内熱交換器42を介して蒸発器33へ連絡さ
れ、他方の分岐配管44Bは室外熱交換器43を介して
蒸発器33へ連絡されている。
【0016】この図1に示すランキンサイクル蒸気圧縮
ヒートポンプシステムを暖房システムとして利用する際
には、室内熱交換器42を凝縮器32へ連絡させ、室外
熱交換器43を蒸発器33へ連絡させ、凝縮器32で発
生する熱を暖房に利用する。又、冷房システムとして利
用する際には、室内熱交換器42を蒸発器33へ連絡さ
せ、室外熱交換器43を凝縮器32へ連絡させ、蒸発器
33で発生する吸熱作用を利用して冷房する。
【0017】本発明は上記ランキンサイクル蒸気圧縮ヒ
ートポンプシステムに使用されている膨張圧縮機37の
膨張圧縮サイクルに関するものであり、以下のような構
造の膨張圧縮機を使用するものとなっている。図2を参
照して、シリンダー51の内部にはフリーピストン52
が摺動自在に設けられ、該フリーピストン52が往復動
することによりシリンダー51の内部を左右の作動空間
53A、53Bに区画している。シリンダー51の両端
の端壁54A、54Bには図1の蒸気発生器31によっ
て高圧となった作動媒体を吸入する高圧弁55A、55
Bと図1の蒸発器33で低圧となった作動媒体を吸入す
る低圧弁56A、56B、及び左右の作動空間53A、
53Bで膨張した後の作動媒体を排出する排出弁57
A、57Bが設けられている。それぞれの高圧弁55
A、55B、低圧弁56A、56B及び排出弁57A、
57Bは開閉制御装置58によって開閉制御される。
【0018】上記図2の膨張圧縮機37の膨張圧縮サイ
クルを以下に説明する。図3及び図4を参照して、先ず
状態(1)では、シリンダーの左側の空間は圧力PHの
状態となっており、シリンダーの右側の空間は圧力PL
の状態となっている。この状態では図2の高圧弁54
A、54B、低圧弁55A、55B及び排出弁56A、
56Bは全て閉じている。ここで、圧力PHは蒸気発生
器31(図1)の内部で作動媒体が加熱されたときの圧
力であり、圧力PLは蒸発器33(図1)の内部で作動
媒体が蒸発したときの圧力である。この状態の左右の作
動媒体の比エントロピは同じとなっている。次に、状態
(1)から状態(2)へ移行するときには、シリンダー
の左側の高圧弁が開き、左側の空間に高圧の作動媒体P
Hが吸入される。すると、フリーピストンが右方へ移動
して右側の空間の作動媒体が断熱圧縮(C)される。左
側の高圧弁は状態(2)へ到ると閉じられる。この変化
においては、左側の空間の作動媒体は同一温度かつ同一
圧力となっている。次に、状態(2)から状態(3)に
移行するときには、全ての弁が閉じられており、フリー
ピストンの慣性力によって左側の空間の作動媒体は断熱
膨張(E)され、右側の空間の作動媒体は更に断熱圧縮
(C)される。状態(3)に到ったときには、左側の空
間の圧力は低圧の作動媒体PLと同一となっている。次
に、状態(3)から状態(4)に移行するときには、フ
リーピストンの慣性力による移行は継続されており、低
圧弁が開かれて左側の空間に低圧の作動媒体PLが吸入
され、右側の空間は更に断熱圧縮される。状態(4)に
到ったときには、右側の空間の作動媒体PMの圧力は凝
縮器32(図1)の圧力と同一となっている。続いて、
状態(4)から状態(5)へ移行するときには、フリー
ピストンの慣性力による右方向への移行は継続されてお
り、左側の空間には更に低圧の作動媒体PLが吸入さ
れ、右側の排出弁が開いて右側の空間の作動媒体PMが
排出され、図1の凝縮器32へ給送される。この間右側
の空間の作動媒体PMの温度圧力は一定である。更に、
状態(5)から状態(6)へ移行するときには、フリー
ピストンの慣性力による右方向への移行は更に継続され
ており、右側の排出弁が閉じて右側の空間は断熱圧縮
(C)される。そして、状態(6)になると左側の空間
には低圧の作動媒体PLが封入され、右側の空間は断熱
圧縮により高圧の作動媒体PHと同一の圧力状態とな
り、この状態(6)は前記状態(1)と左右逆転の同一
状態となっている。状態(6)となった後、次にはフリ
ーピストンが左方向に移行しながら前述の状態(1)か
ら状態(6)までの変化を生じさせ、順次この動作を繰
り返す。
【0019】以上に説明した本発明の慣性利用型フリー
ピストン膨張圧縮機によると、フリーピストンの質量、
ストローク、弁の開閉磁気の制御を適当に選定するとこ
とにより、図8に示すような理想的なサイクルに近似す
るような実際のサイクルが得られるものとなる。
【0020】
【発明の効果】以上に説明した本発明による効果を挙げ
ると、以下のとおりである。即ち、構成として必要とな
るのが、単一のシリンダーとフリーピストン及び3つの
開閉制御弁だけであるから、構造が簡単かつ小型軽量で
あり、低コストとなる。又、密封を必要とする摺動部分
が少なく、そのシールが簡単なものとなって、この点に
おいても小型、軽量かつ低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の膨張圧縮サイクルを得る膨張
圧縮機が使用されたランキンサイクル蒸気圧縮ヒートポ
ンプサイクルの一例を示すシステム図である。
【図2】図2は、図1の膨張圧縮機の一例を示す概略断
面図である。
【図3】図3は、図2の膨張圧縮機による本発明の膨張
圧縮サイクルを説明する図である。
【図4】図4は、図3に示す本発明の膨張圧縮サイクル
を説明するための線図であり、図においてフリーピスト
ンの左右の空間の作動媒体の圧力(P)を縦軸に採り、
フリーピストンのストローク(X)を横軸に採り、図の
P1はフリーピストンの左側の空間の作動媒体の圧力を
示し、図のP2はフリーピストンの右側の空間の作動媒
体の圧力を示すものである。
【図5】図5は、従来公知のヒートポンプシステムの一
例を示す系統図である。
【図6】図6は、従来公知のランキンサイクル蒸気圧縮
ヒートポンプシステムの一例を示す系統図である。
【図7】図7は、従来公知のランキンサイクル蒸気圧縮
ヒートポンプシステムの他の例を示す系統図である。
【図8】図8は、従来公知のランキンサイクル蒸気圧縮
ヒートポンプサイクルに使用されている膨張圧縮機のT
ーs線図である。
【図9】図9は、従来公知のフリーピストンを利用した
膨張圧縮機の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
31 蒸気発生器 32 凝縮器 33 蒸発器 34 配管 35 ポンプ 36 膨張弁 37 膨張圧縮機 38 配管 39 集熱器 40 配管 40A、40B 分岐配管 41 切り換え弁 42 室内熱交換器 43 室外熱交換器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸気発生器と、凝縮器と、蒸発器と、膨張
    弁と、膨張圧縮機とからなり、作動媒体を循環させてラ
    ンキンサイクルによって熱源から仕事を取り出し、該取
    り出された仕事によって逆ランキンサイクルからなるヒ
    ートポンプサイクルを駆動させるランキンサイクル蒸気
    圧縮ヒートポンプサイクルにおいて、 単一のシリンダーと該単一のシリンダー内を往復動す
    るフリーピストンと、該フリーピストンの左右の空間に
    高圧の作動媒体を導入する高圧弁と、該フリーピストン
    の左右の空間に低圧の作動媒体を導入する低圧弁と、該
    フリーピストンの左右の空間から作動媒体を排出する排
    出弁とからなり、該フリーピストンの左右の空間に作動
    媒体を導入して一方の空間に導入された高圧の作動媒体
    によって他方の空間に導入されている低圧の作動媒体を
    圧縮するようにした膨張圧縮機を使用し、該フリーピス
    トンの慣性力を利用して次のような状態変化の膨張圧縮
    サイクルとする。 状態(1)において、シリンダーの左側の空間は高圧の
    作動媒体PHの状態となっておリ、シリンダーの右側の
    空間は低圧の作動媒体PLの状態となっており、圧力P
    Hは前記蒸気発生器の内部で作動媒体が加熱されたとき
    の圧力であり、圧力PLは前記蒸発器の内部で作動媒体
    が蒸発したときの圧力である。この状態では左右空間の
    作動媒体の比エントロピは同じとなっている。また、左
    右の高圧弁、低圧弁、排出弁は閉鎖している。 状態(1)から状態(2)へ移行するときには、左側の
    高圧弁が開かれ、シリンダーの左側の空間に高圧の作動
    媒体PHが吸入され、フリーピストンが右方へ移動して
    右側の空間の作動媒体が断熱圧縮される。左側の空間の
    作動媒体PHは同一温度かつ同一圧力となっている。 状態(2)から状態(3)に移行するときには、左側の
    高圧弁は閉鎖され、フリーピストンの慣性力によって左
    側の空間の作動媒体は断熱膨張し、右側の空間の作動媒
    体は引き続いて断熱圧縮される。状態(3)に到ったと
    きには、左側の空間の圧力は低圧の作動媒体PLと同一
    となっている。 状態(3)から状態(4)に移行するときには、フリー
    ピストンの慣性力による移行は継続されており、左側の
    低圧弁が開かれ、左側の空間に低圧の作動媒体PLが吸
    入され、右側の空間は更に断熱圧縮される。状態(4)
    に到ったときには、右側の空間の作動媒体PMの圧力は
    前記凝縮器の圧力と同一となっている。 状態(4)から状態(5)へ移行するときには、フリー
    ピストンの慣性力による右方向への移行は継続されてお
    り、左側の空間には更に低圧の作動媒体PLが吸入さ
    れ、右側の排出弁が開かれ、右側の空間の作動媒体PM
    が排出される。この間右側の空間の作動媒体PMの温度
    圧力は一定である。 状態(5)から状態(6)へ移行するときには、フリー
    ピストンの慣性力による右方向への移行は更に継続され
    ており、右側の排出弁が閉鎖され、右側の空間は断熱圧
    縮される。 状態(6)になると、左側の低圧弁が閉鎖され、左側の
    空間には低圧の作動媒体PLが封入され、右側の空間は
    断熱圧縮により高圧の作動媒体PHと同一状態となり、
    前記状態(1)と左右逆転の状態とする。 状態(6)となった後、次にはフリーピストンが左方向
    に移行させながら前述の状態(1)から状態(6)まで
    の変化を生じさせ、順次この動作を繰り返す。
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