JPH08132500A - 薄肉部を有する樹脂板の射出成形方法およびそれに用いる射出成形金型 - Google Patents

薄肉部を有する樹脂板の射出成形方法およびそれに用いる射出成形金型

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JPH08132500A
JPH08132500A JP30142294A JP30142294A JPH08132500A JP H08132500 A JPH08132500 A JP H08132500A JP 30142294 A JP30142294 A JP 30142294A JP 30142294 A JP30142294 A JP 30142294A JP H08132500 A JPH08132500 A JP H08132500A
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JP
Japan
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thin
resin plate
injection molding
cavity
resistance layer
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JP30142294A
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Satoshi Kitaichi
敏 北市
Hidetoshi Kimoto
英俊 木元
Chiaki Nakamura
千明 中村
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Taiho Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/72Heating or cooling
    • B29C45/73Heating or cooling of the mould
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
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    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな面積の薄肉部を、生産性を低下させる
ことなく高い精度で形成する。 【構成】 凸部4、5を有するキャビテイ型1とコア型
2とによりキャビテイ部3を形成し、このキャビテイ部
3の一部には上記凸部4、5により薄厚部11、12を
設け、キャビテイ部3の壁面には通電可能な薄膜電気抵
抗層6、7を設け、このキャビテイ部に溶融樹脂8を射
出充填し、上記薄厚部11により薄肉部を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一部に薄肉部を有する
樹脂板、例えば底部が薄肉の凹部を有するような樹脂板
の射出成形方法およびその射出成形に用いる成形金型に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、樹脂板によりICカードを形成
する場合、樹脂板にはIC素子を収納する凹部を形成し
ており、またIC素子の容量を増大するには凹部の深さ
を大きくし、底部の肉厚を薄くする必要があり、従来に
おいては、このような凹部を有する樹脂板(図3および
図4参照)は以下に記載するようにして製造していた。
【0003】なお、樹脂板の斜視図を示す図3および図
3のX−X線における樹脂板の断面図を示す図4におい
て、101は肉厚tの樹脂板、102、103は樹脂板
101に形成した凹部で、pは凹部102の深さ、qは
凹部103の深さ、mは凹部102の底部の肉厚、nは
凹部103の底部の肉厚をそれぞれ示している。
【0004】この底部が薄肉の凹部102、103を有
する樹脂板101を製造する従来の方法としては、次の
ような方法が一般的であった。
【0005】その第一の方法は、予め所定形状に用意し
た樹脂板101の表面を機械的に切削加工して底部を薄
肉にした凹部102、103を形成する方法である。
【0006】その第二の方法は、エンボス型により底部
が薄肉の凹部を形成する方法である。この方法は、ま
ず、長尺の樹脂板材104を用意し、この樹脂板材10
4は予熱ステーション105で予熱し、つぎのエンボス
・ステーション106で凹部102、103を形成し、
ついで打ち抜きステーション107において外形を打ち
抜いて樹脂板101としていた(図5および図6参
照)。
【0007】予熱ステーション105には、ヒータ10
8を備えた上予熱板109とヒータ110を備えた下予
熱板111とが存在し、これら上予熱板109と下予熱
板111との間で樹脂板材104を所定の時間予熱して
予熱域112を形成したのち、樹脂板材104をピッチ
Pだけ矢印Aの方向に移動させてエンボス・ステーショ
ン106へ送る。
【0008】エンボス・ステーション106には、ヒー
タ113を備えたエンボス型114とヒータ115を備
えた受型116とが存在し、エンボス型114には凸部
117および118が設けられている。エンボス型11
4により樹脂板材104を受型116に押圧すると、凸
部117、118により樹脂板材104に薄肉の底部を
有する凹部102、103が形成されるので、ついで樹
脂板材104をピッチPだけ矢印Aの方向に移動させて
打ち抜きステーション107へ送る。
【0009】打ち抜きステーション107には、パンチ
119およびダイ120が存在して樹脂板材104より
樹脂板101を打ち抜いて加工が終了する。
【0010】その第三の方法は、樹脂板101における
凹部102、103を形成する凸部を有するキャビテイ
型と、コア型とにより形成されるキャビテイ部に溶融樹
脂を射出して成形する方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来における底部が薄
肉の凹部を有する樹脂板の製造方法では、以下に記載す
るような問題点を有していた。
【0012】第一の方法においては、機械的な切削加工
であるので、凹部102、103の底部の肉厚に限度が
あって薄肉のものは作り難く、また凹部102、103
の機械的加工に時間を要し、さらに樹脂板101の成形
工程と凹部102、103の加工工程とが必要となり、
製造工程が複雑で長くなるという問題点があった。
【0013】第二の方法においては、薄肉の底部を有す
る凹部を形成するエンボス・ステーション106の部分
で次のような問題点があった。
【0014】エンボス・ステーション106における動
作について、エンボス・ステーションの一部を模式図で
示した図7を参照して説明する。
【0015】樹脂板材104の肉厚は、樹脂板101の
肉厚tと同じであり、エンボス型114の凸部117に
より樹脂板材104を受型116に押圧して深さp、底
部の肉厚mの凹部102を形成するには、樹脂板材10
4の肉厚tを肉厚mまで減少させる必要がある。そのた
めには、凸部117に対向している肉厚(t−m)に相
当する樹脂を矢印Bの方向に移動させなければならな
く、また肉厚mを薄くするには多量の樹脂を移動させな
ければならない。樹脂を移動させるには、樹脂の軟化温
度以上に樹脂板材104を加熱して流動させる必要があ
るので、予熱ステーション105においてヒータ10
8、110により、またエンボス・ステーション106
においてヒータ113、115により樹脂板材104を
加熱している。
【0016】しかし、加熱して樹脂を軟化温度以上にし
ても、樹脂に流動性を発生させるためには大きな押圧力
が必要となり、そのためにエンボス型114と受型11
6とにおける押圧力C、Dは大きな力にすることが必要
となり、その結果、凹部の底部の大きさ、肉厚に限度が
あり、底部の肉厚が薄く、大きな形状の凹部は形成し難
く、その上、装置が大型化し、費用が高価になるという
問題点があった。
【0017】また、樹脂を流動させるには、かなりの時
間を必要とし、その上、つぎの打ち抜きステーション1
07においては、変形を防止するために、樹脂板材10
4が軟化温度以下に冷却されていることが必要となるの
で、エンボス・ステーション106から打ち抜きステー
ション107まで樹脂板材104が移動する時間、いわ
ゆるタクト時間が大きくなって生産性を低下させるとい
う問題点もあった。
【0018】また、押圧力C、Dが小さくても樹脂の流
動時間が短縮されるようにするには、樹脂の温度を溶融
温度近く、できれば溶融温度以上まで加熱する必要があ
り、そのためには、エンボス型114および受型116
の温度を上げることが必要となる。一方、樹脂板材10
4に形成した凹部102、103が、打ち抜きステーシ
ョン107に移動する間に変形したり、あるいは打ち抜
いた樹脂板101の外形が変形したりしないようにする
ためには、打ち抜きステーション107に送られる樹脂
板材104の温度は、樹脂の軟化温度以下に冷却されて
いることが必要である。しかし、エンボス型114およ
び受型116は一般に鋼材で構成されており、大きな熱
容量を有するので、その冷却に時間がかかり、その結
果、タクト時間が延びて生産性に影響するという問題点
もあった。
【0019】さらに、流動した樹脂により凹部102の
周縁部に盛り上がり部121が形成され、この盛り上が
り部121の角には曲面(R部)が残留して製品の品質
上好ましくないという問題点もあった。この曲面は樹脂
の温度を上げて流動性を増加させることにより小さくす
ることができるが、樹脂の温度を上げることは、すでに
説明したように生産性に影響がでるので好ましくない。
【0020】第三の方法においては、凹部102、10
3における薄肉の底部を形成するキャビテイ部に溶融樹
脂を均一かつ迅速に充填することが困難で、特に底部の
面積が大きくなると均一な肉厚に形成し難くなるという
問題点があり、凹部102を形成するキャビテイ部の模
式図を示す図8を参照してそれを説明する。
【0021】図8において、122は深さpで底部の肉
厚mの凹部102を形成する凸部123を有するキャビ
テイ型、124はコア型、125はキャビテイ型122
とコア型124とにより形成されるキャビテイ部、12
6はキャビテイ部に充填された溶融樹脂である。凹部1
02の底部の幅をL、溶融樹脂の流速をv、溶融樹脂の
粘度をμとして溶融樹脂の充填過程を考察すると、薄肉
の底部における溶融樹脂の流動距離は、凹部102の底
部の幅Lとなるので、凹部102の底部を形成するキャ
ビテイ部(厚さm、長さL)に溶融樹脂を充填するに必
要な圧力Psは次式のように表せる。なお、Kは定数と
する。
【0022】 Ps=K×μ×L×v/m2 ・・・・・・・・・・(1) また、キャビテイ部に充填された溶融樹脂は、キャビテ
イ型122およびコア型124と接触する界面において
急速に冷却されるので、粘度μは増大し、反面流速vは
減少する。
【0023】したがって、圧力Psが一定とすると、式
1より底部の肉厚mが小さくなる程、底部の幅、すなわ
ち流動距離Lが大きくならないので、従来の射出成形方
法においては、成形できる凹部の底部の肉厚ならびに凹
部の底部の大きさ、すなわち底部の面積には限度があ
り、高速高圧の加工条件でも小さい面積で肉薄の底部を
有する凹部のみが成形可能で、底部が薄い肉厚で大きな
面積の凹部は成形できないという問題点があった。
【0024】本発明は、大きな面積の薄肉部を、生産性
を低下させることなく高い精度で高速に形成できる薄肉
部を有する樹脂板の射出成形方法を提供することを目的
とし、またその射出成形に用いる成形金型を提供するこ
とを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の薄肉部を有する樹脂板の射出成形方法にお
いては、薄肉部を形成するために、樹脂温度の低下を阻
止して樹脂を高温に維持し、かつ射出圧力を必要以上に
大きくしないという成形条件は満たし、さらに樹脂温度
の低下を阻止するために、型温度を一時的に高くして
も、つぎに樹脂を冷却固化する際の冷却時間が長くなっ
て成形能率を下げることがないようにしたものである。
【0026】すなわち、キャビテイ型とコア型との間隔
を狭めた薄厚部を一部に有し、少なくともこの薄厚部を
形成する壁面には、通電可能な薄膜電気抵抗層が電気的
に遮断されて設けられたキャビテイ部に、溶融樹脂を射
出充填して薄肉部を有する樹脂板を成形するものであ
る。
【0027】また、薄膜電気抵抗層としては、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの群から選
ばれた少なくとも一つの金属の窒化物、あるいは炭化
物、もしくはほう化物のいずれかの材料により構成され
ることが好ましく、特に、TiN、TiCN、TiC、
TiAlN、CrN、TiCrNの中から選択した材料
により構成されると効果的である。
【0028】さらに、薄膜電気抵抗層は、熱容量が小さ
い薄膜状で溶融樹脂の加熱用としての電気抵抗値を保持
するために、型材とは電気的に遮断されていることが必
要で、電気絶縁性材の上に形成することが好ましく、特
に電気絶縁性セラミック材の上に形成すると良く、中で
も電気絶縁性セラミック材が、ジルコニア、窒化アルミ
ニウム、窒化珪素の群から選ばれたいずれかの場合に効
果的であり、また導電材例えばTiNを加熱酸化した絶
縁材例えばTiO2の場合も効果的である。
【0029】上記目的を達成するために、本発明の薄肉
部を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金型にお
いては、キャビテイ部を形成するキャビテイ型もしくは
コア型の少なくとも一方に凸部を設けて薄厚キャビテイ
部を形成し、この薄厚キャビテイ部の壁面には通電可能
な薄膜電気抵抗層を電気的に遮断して設けたものであ
る。
【0030】また、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、Mo、Wの群から選ばれた少なくとも一つの
金属の窒化物、あるいは炭化物、もしくはほう化物のい
ずれかの材料により薄膜電気抵抗層を構成することがで
き、特に、TiN、TiCN、TiC、TiAlN、C
rN、TiCrNの中から選択した材料により構成する
と効果的である。
【0031】さらに、薄膜電気抵抗層の熱容量を小さ
く、電気抵抗値を所定のものに保持するため、薄膜電気
抵抗層を設ける薄厚キャビテイ部の表面は、少なくとも
電気絶縁性セラミック材により構成することが好まし
く、中でもジルコニア、窒化アルミニウム、窒化珪素の
群から選ばれたいずれかにより構成すると効果的であ
り、また導電材例えばTiNを加熱酸化した絶縁材例え
ばTiO2により構成した場合も効果的である。
【0032】
【作用】上記のように、樹脂板に薄肉部を形成するキャ
ビテイ部における薄厚部の壁面には、薄膜電気抵抗層が
電気的に遮断されて存在し、これに通電すると発熱して
キャビテイ部の壁面表面は高温状態に維持されるので、
充填された溶融樹脂の冷却が起こり難くなり、溶融樹脂
の粘度の増加、流速の減少が阻止できる。
【0033】また、薄膜電気抵抗層の熱容量は小さいの
で、キャビテイ部の壁面表面の温度を上昇させたり、降
下させたりする速度を早くすることができ、型表面を所
定の温度にするに要する時間が短縮される。
【0034】また、薄膜電気抵抗層は膜状に形成するの
で、キャビテイ部の壁面表面が複雑な形状でも容易に形
成でき、温度コントロールも容易となる。
【0035】また、薄膜電気抵抗層の熱容量が小さく、
温度の上昇および降下の速度が早いことから、型表面の
温度を樹脂の溶融温度近傍の高温まで上昇させることが
でき、樹脂の流動性が向上され、転写性、離型性も良く
なる。
【0036】また、薄膜電気抵抗層を構成するTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの群から選
ばれた少なくとも一つの金属の窒化物、あるいは炭化
物、もしくはほう化物のいずれかの材料、特に、Ti
N、TiCN、TiC、TiAlN、CrN、TiCr
Nの中から選択した材料は、耐熱性、耐摩耗性、緻密性
が良く、硬度も高く、発熱効果も優れているので、これ
らの材料で表面を被覆した型は、型表面が保護されて耐
久性、転写性、離型性に優れ、また抵抗層の厚みを薄く
しても充分に発熱効果を発揮し、小さな熱容量で型表面
を所定の温度を確実に維持する。
【0037】さらに、薄膜電気抵抗層は、電気絶縁性セ
ラミック材、特に、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒
化珪素の群から選ばれたいずれかのセラミック材、ある
いは導電材例えばTiNを加熱酸化させた絶縁材例えば
TiO2の上に形成すると、密着性が向上し、機械的強
度が増加し、かつ、熱容量を小さくできる。
【0038】
【実施例】本発明の実施例について、射出成形金型を断
面にした模式図を示す図1、およびキャビテイ型の一部
の斜視図を示す図2を参照して以下に説明する。
【0039】深さp、底部の肉厚mの凹部102、およ
び深さq、底部の肉厚nの凹部103を有する肉厚tの
樹脂板101(図3および図4参照)を射出成形により
製造するのに図1に示す金型を用いる。
【0040】図1において、1は鋼材からなるキャビテ
イ型、2は鋼材からなるコア型、3はキャビテイ型1お
よびコア型2により形成されるキャビテイ部、4はキャ
ビテイ部3を形成するキャビテイ型1の壁面に設けた凸
部で、凹部102を形成するためのものである。5はキ
ャビテイ部3を形成するキャビテイ型1の壁面に設けた
凸部で、凹部103を形成するためのものである。6は
キャビテイ型1のキャビテイ部3を形成する壁面の表面
を被覆するように電気絶縁性の層を介して設けた通電可
能な薄膜電気抵抗層、7はコア型2のキャビテイ部3を
形成する壁面の表面を被覆するように電気絶縁性の層を
介して設けた通電可能な薄膜電気抵抗層、8はキャビテ
イ部3に射出充填する溶融樹脂で、ノズル9よりスプル
ー10を介して充填される。薄膜電気抵抗層6、7の何
れか一方は省略することもできる。
【0041】キャビテイ型1の凸部4の表面とコア型2
の表面とで形成されるキャビテイ部3は、肉厚mの薄肉
の底部に相当する薄厚部11となっている。またキャビ
テイ型1の凸部5の表面とコア型2の表面とで形成され
るキャビテイ部3は、肉厚nの薄肉の底部に相当する薄
厚部12となっている。
【0042】なお、凸部4、5の大きさは、凸部4の場
合を例にして説明すると、樹脂が流動する方向の長さが
L、幅がW、高さがpとなっており(図2参照)、その
凸部4により形成される凹部103の深さはp、薄肉の
底部の肉厚はm、薄肉の底部の大きさはL×Wとなる。
【0043】薄膜電気抵抗層6、7に通電してキャビテ
イ部3の壁面が加熱された状態で、溶融樹脂8をキャビ
テイ部3に充填するば、溶融樹脂はキャビテイ型1およ
びコア型2との界面において冷却されることなく溶融温
度を維持しているので、キャビテイ部3の間隔の狭い薄
厚部11、12にも均一かつ迅速に充填され、転写性の
良い薄肉の底部を有する凹部102、103を有する樹
脂板101が得られる。
【0044】薄膜電気抵抗層6、7としては、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの群から選
ばれた少なくとも一つの金属の窒化物、あるいは炭化
物、もしくはほう化物のいずれかの材料により薄膜状に
形成されており、これらの中でも特に、TiN、TiC
N、TiC、TiAlN、CrN、TiCrNの中から
選択した材料により薄膜状に形成したものが、耐熱性、
耐摩耗性、緻密性、発熱性、成膜性の面で好ましく、溶
融樹脂に充分な流動性を付与する。
【0045】また、薄膜電気抵抗層6、7を形成するキ
ャビテイ型1およびコア型2は、電気絶縁性のセラミッ
ク材により構成することもでき、また鋼材により構成し
た場合は、その表面を被覆する電気絶縁性層としては、
溶射などにより電気絶縁性のセラミック層として形成す
るか、もしくは表面に導電性層を形成し、この導電性層
を加熱酸化して電気絶縁性層として形成するかすること
ができる。
【0046】また、薄膜電気抵抗層6、7は、CVD方
式、あるいは真空蒸着、イオンプレーテング、スパッタ
リングなどのPVD方式、もしくはプラズマCVD方式
などにより2〜10μmの厚みの薄膜に形成することが
好ましい。
【0047】また、用いる電気絶縁性のセラミック材、
セラミック層としては、ジルコニア、窒化アルミニウ
ム、窒化珪素などで構成したものが、薄膜電気抵抗層と
の密着性、機械的強度が大きく、また、薄膜電気抵抗層
の熱容量を小さくすることができて効果的である。
【0048】薄膜電気抵抗層6、7は、厚みが2〜10
μmと薄く、これに通電するとキャビテイ部3の壁面表
面のみが加熱され、しかもその部分の熱容量は極めて小
さいので、キャビテイ部3の壁面の温度を速やかに上昇
させることができ、必要な電力も少なくて済むという効
果もある。
【0049】さらに、薄膜電気抵抗層6、7の熱容量が
小さいことから、通電を遮断するとキャビテイ部3の壁
面温度は、急速に降下して樹脂の冷却固化に影響を及ぼ
さないので、成形能率が低下することなく生産性を向上
させることができる。
【0050】次に、薄膜電気抵抗層6、7を形成する一
例を説明する。電気絶縁性層を形成したプラスチック成
形用鋼材金型を用い、下地処理として溶剤により洗浄し
たのち、Tiイオンによりイオンボンバードして0.1
μmのTi膜を形成する。ついで、HCD法による反応
性イオンプレーテング装置を用いて4〜5μmのTiN
層を形成する。
【0051】また、薄膜電気抵抗層6、7とキャビテイ
型1およびコア型2との間に介在させる絶縁層を形成す
る一例について説明する。プラスチック成形用鋼材金型
を用い、下地処理として溶剤により洗浄したのち、Ti
イオンによりイオンボンバードして0.1μmのTi膜
を形成する。ついで、HCD法による反応性イオンプレ
ーテング装置を用いて4〜5μmのTiN層を形成す
る。つぎに、725℃の温度で3時間加熱してTiN層
を酸化することによりTiO2の電気絶縁性層とする。
このTiO2層の上に薄膜電気抵抗層を形成する。
【0052】以上のようにして形成したTiN層からな
る薄膜電気抵抗層6、7を有する金型(図2参照)を用
い、樹脂としてABS樹脂を用い、底部の肉厚mが0.
1mm、薄肉の底部の大きさLが40mm、Wが40m
mの凹部103を有する肉厚tが0.7mmの樹脂板1
01を射出成形(射出圧力450Kg/cm2射出時間
0.3秒)した。このように成形して得られた樹脂板1
01は、肉厚が均一で凸部4の形状が正確に転写されて
いた。
【0053】また、凹部103の底部の肉厚mが0.5
mm以下、樹脂板101の肉厚tとの比、m/tが0.
5以下、長さLと肉厚mとの比、L/mは400にもな
る凹部が形成できることが確認された。
【0054】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0055】キャビテイ型とコア型とにより形成される
キャビテイ部の壁面において、少なくとも樹脂板の薄肉
部を成形する薄厚部の壁面には、通電可能で温度コント
ロールが容易な薄膜電気抵抗層が存在し、この薄膜電気
抵抗層が加熱されて溶融樹脂の温度低下を抑え、溶融樹
脂の流動性を良好に維持するので、型形状を正確に転写
した大きな面積の薄肉部を有する樹脂板を低圧高速に成
形することができる。
【0056】また、型表面すなわちキャビテイ部壁面の
温度の上昇速度および降下速度が早く、キャビテイ部の
壁面温度を所定の温度にするに要する時間が短縮され、
成形能率を低下させることなく薄肉部を有する樹脂板が
高速に成形できる。
【0057】また、キャビテイ部の壁面温度の上昇、降
下の速度が早いことから、壁面温度を樹脂の溶融温度近
傍の高い温度まで上げることができるので、樹脂の流動
性をより向上させて型の転写性が良い薄肉部を、小さな
肉厚でしかも大きな面積のものに成形できる。
【0058】また、薄膜電気抵抗層を構成するTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの群から選
ばれた少なくとも一つの金属の窒化物、あるいは炭化
物、もしくはほう化物のいずれかの材料、特に、Ti
N、TiCN、TiC、TiAlN、CrN、TiCr
Nの中から選択した材料は、耐熱性、耐摩耗性、緻密性
が良く、また硬度も充分にあり、さらに抵抗素子として
の発熱効果も優れているので、これらの材料で表面を被
覆した型は、耐久性、転写性、離型性に優れたものとな
り、また抵抗層の厚みを薄くしても充分に発熱効果を発
揮し、小さな熱容量で型表面、すなわちキャビテイ部の
壁面を所定の温度を確実に確保でき、薄肉部を容易に形
成できる。
【0059】さらに、薄膜電気抵抗層は、電気絶縁性セ
ラミック材、特に、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒
化珪素の群から選ばれたいずれかのセラミック材、ある
いは導電性材を加熱酸化して得た絶縁材の上に形成する
と、密着性が向上し、機械的強度が増加し、かつ、薄膜
電気抵抗層の熱容量を小さくすることができ、型の耐久
性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における射出成形金型の断面図
である。
【図2】同射出成形金型の一部の斜視図である。
【図3】樹脂板の斜視図である。
【図4】図4におけるX−X線で断面した断面図であ
る。
【図5】従来における樹脂板の製造工程の模式図であ
る。
【図6】同製造工程における樹脂板材の説明斜視図であ
る。
【図7】同製造工程におけるエンボス・ステーション部
分の一部を説明する模式図である。
【図8】同製造工程における凹部を形成するキャビテイ
部の動作を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 キャビテイ型 2 コア型 3 キャビテイ部 4、5 凸部 6、7 薄膜電気抵抗層 8 溶融樹脂 11、12 薄厚部 101 樹脂板 102、103 凹部

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビテイ型とコア型とにより形成され
    たキャビテイ部において、その一部に前記キャビテイ型
    とコア型との間隔を狭めた薄厚部を有し、少なくともこ
    の薄厚部を形成する壁面には電気的に遮断された通電可
    能な薄膜電気抵抗層が存在するキャビテイ部に、溶融樹
    脂を射出充填し、ついで冷却固化して成形する薄肉部を
    有する樹脂板の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 薄膜電気抵抗層が、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの群から選ばれた少な
    くとも一つの金属の窒化物、あるいは炭化物、もしくは
    ほう化物のいずれかの材料により構成される請求項1記
    載の薄肉部を有する樹脂板の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 薄膜電気抵抗層が、TiN、TiCN、
    TiC、TiAlN、CrN、TiCrNの中から選択
    した材料により構成される請求項1または2記載の薄肉
    部を有する樹脂板の射出成形方法。
  4. 【請求項4】 薄膜電気抵抗層が、キャビテイ部の壁面
    から電気絶縁性セラミック材により電気的に遮断される
    請求項1ないし3のいずれかに記載の薄肉部を有する樹
    脂板の射出成形方法。
  5. 【請求項5】 電気絶縁性セラミック材が、ジルコニ
    ア、窒化アルミニウム、窒化珪素の群から選ばれたいず
    れかである請求項4記載の薄肉部を有する樹脂板の射出
    成形方法。
  6. 【請求項6】 薄膜電気抵抗層が、キャビテイ部の壁面
    から導電性材を加熱酸化した絶縁材により電気的に遮断
    される請求項1ないし3のいずれかに記載の薄肉部を有
    する樹脂板の射出成形方法。
  7. 【請求項7】 キャビテイ部を形成するキャビテイ型も
    しくはコア型の少なくとも一方に凸部を設けて薄厚キャ
    ビテイ部を形成し、この薄厚キャビテイ部の壁面には通
    電可能な薄膜電気抵抗層を電気的に遮断して設けた薄肉
    部を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金型。
  8. 【請求項8】 Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、Wの群から選ばれた少なくとも一つの金属の
    窒化物、あるいは炭化物、もしくはほう化物のいずれか
    の材料により薄膜電気抵抗層を構成した請求項7記載の
    薄肉部を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金
    型。
  9. 【請求項9】 TiN、TiCN、TiC、TiAl
    N、CrN、TiCrNの中から選択した材料により薄
    膜電気抵抗層を構成した請求項7または8記載の薄肉部
    を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金型。
  10. 【請求項10】 薄膜電気抵抗層を設ける薄厚キャビテ
    イ部の表面は、少なくとも電気絶縁性セラミック材によ
    り構成した請求項7ないし9のいずれかに記載の薄肉部
    を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金型。
  11. 【請求項11】 電気絶縁性セラミック材が、ジルコニ
    ア、窒化アルミニウム、窒化珪素の群から選ばれたいず
    れかである請求項10記載の薄肉部を有する樹脂板の射
    出成形に用いる射出成形金型。
  12. 【請求項12】 薄膜電気抵抗層を設ける薄厚キャビテ
    イ部の表面は、少なくとも導電性材を加熱酸化した絶縁
    性材により構成した請求項7ないし9のいずれかに記載
    の薄肉部を有する樹脂板の射出成形に用いる射出成形金
    型。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007514569A (ja) * 2003-12-17 2007-06-07 ユナクシス バルザース アクチェンゲゼルシャフト 光沢レベルの調整
US9815233B2 (en) 2011-05-20 2017-11-14 Imflux, Inc. Method and apparatus for substantially constant pressure injection molding of thinwall parts

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