JPH08129105A - 帯域フィルター - Google Patents

帯域フィルター

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JPH08129105A
JPH08129105A JP6266446A JP26644694A JPH08129105A JP H08129105 A JPH08129105 A JP H08129105A JP 6266446 A JP6266446 A JP 6266446A JP 26644694 A JP26644694 A JP 26644694A JP H08129105 A JPH08129105 A JP H08129105A
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JP
Japan
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wavelength
short
long
transmittance
filter
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Application number
JP6266446A
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English (en)
Inventor
Misao Suzuki
操 鈴木
Giichi Hirayama
義一 平山
Junji Amihoshi
順治 網干
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多数の発光スペクトルを有する光源の光か
ら、所望の波長域の光を選択的に透過し、不必要な波長
域の光を十分に広い波長範囲で透過を阻止する帯域フィ
ルターを得ることを目的とする。 【構成】 所望の波長域以上の長い波長域の光を透過す
る長波長透過部材と、所望の波長域以下の短い波長域の
光を透過する短波長透過部材とを同一光軸上に設け、選
択的に所望の波長域を透過する帯域フィルターについ
て、透過率の低い波長域がそれぞれ異なる短波長透過部
材を複数有した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数の発光スペクトル
また連続スペクトルを有する光源の光から紫外域の波長
成分の光を取り出すことが出来る帯域フィルターに関す
る発明である。
【0002】
【従来の技術】現在、集積化が進んだLSIを製造する
為に、縮小投影露光装置が使用されている。LSIのパ
ターンの微細化が進むにつれて縮小投影露光装置には高
い解像力が要求されており、それにともなって使用光源
の短波長化および高輝度化が進んでいる。現在主流とな
っている縮小投影露光装置に用いる光の波長は、水銀ラ
ンプの発光スペクトルの一つであるi線(365.4n
m)の光である。しかし、将来的には更にLSIのパタ
ーンの微細化を求める傾向にあるため、より短波長の光
を用いる傾向にある。将来的には、KrFエキシマレー
ザーを用いた248.4nmの波長の光、水銀ランプを
用いた250nmの波長の光、212〜222nm近辺
に強い発光スペクトルを持つCd封入水銀ランプなどの
使用が予想される。
【0003】図1及び図2は、Cd封入水銀ランプの発
光スペクトルを示している。ところで、縮小投影露光装
置に利用する光は212〜222nm近辺の波長域の光
である。しかしながら、Cd封入水銀ランプはこの波長
域以外にも紫外域から可視域の波長範囲で多数の発光ス
ペクトルを有している。このCd封入水銀ランプを縮小
投影露光装置に用いる場合、不必要な波長域の光を極力
カットする必要がある。
【0004】これらの波長域の光をカットする方法とし
て、従来、図3で示した狭帯域フィルターや図5で示し
た長波長フィルターと短波長フィルターを組み合わせた
帯域フィルターにより不必要な波長域の光をカットして
いる。図3で示す狭帯域フィルターについて説明する
と、これは基板2の一方の面(光が入射する面)に干渉
フィルター3を設け、他方の面(光が射出する面)に反
射防止膜4を設けて構成されたものである。それを保持
工具1で保持している。また、図5で示す帯域フィルタ
ーは、基板2の一方の面(光が入射する面)に所望の波
長域より長い波長域を透過する長波長透過フィルター5
を設け、他方の面(光が射出する面)に所望の波長域よ
り短い波長域を透過する短波長透過フィルター6を設け
た。そして、この長波長透過フィルター5と短波長透過
フィルター6とを設けた基板2は、保持工具1で保持さ
れている。
【0005】ところで、干渉フィルターとは、膜構成に
ついて大きく分類すると、基板側から見てミラー部、ス
ペーサー部、ミラー部の順番で設けられたものであり、
スペーサー部の膜厚は、透過させたい波長域の中心波長
λに対し、(λ/2)×n(n=1,2,3,・・・)
の膜厚を有している。また、他にはミラー部とスペーサ
部が交互に設けられているものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図3で示した狭帯域フ
ィルターの分光透過率特性を図4に示す。この図4から
わかるように、狭帯域フィルターはCd封入水銀ランプ
を利用する場合に必要な212〜222nm近辺に有す
る発光スペクトルの波長域の光を十分に透過するできる
ほどの透過する波長域の幅を有していない。また、透過
を阻止すべき波長域の光、たとえば、270nm以下の
波長域の光を透過してしまうしてしまうという欠点を有
していた。このことから従来使用されていた狭帯域フィ
ルターではCd封入水銀ランプから発生する不必要な波
長の光を十分にカットすることが出来ず、また、必要な
212〜222nm近辺の波長域に有する発光スペクト
ルの光を十分に透過できなかった。
【0007】また、この狭帯域フィルターなどの干渉フ
ィルターを用いたものは、各層の膜厚の寸法、特にスペ
ーサー部の膜厚の寸法を厳しく製造しなければならな
い。なぜなら、この膜厚に少しでも誤差が生じると、最
大透過率を示す波長が大幅に変化してしまうためであ
る。よって、干渉フィルターを製造する際、この干渉フ
ィルターの全構成層における光学的膜厚の製造上のバラ
ツキを厳しく制御しなくてはならず、また、その理由か
ら、不良品が数多く製造されてしまい、歩留まりが良く
ないという問題点を有していた。
【0008】ところで、図5で示した帯域フィルターの
分光透過率特性を図6に示す。この図6でわかるように
図5で示した帯域フィルターも図3で示した狭帯域フィ
ルターと同様にCd封入水銀ランプのような多数の発光
スペクトルを持つ光源に対して、余分な発光スペクトル
の光をカットするには不十分であった。よって本発明の
目的は、多数のスペクトルを有する光から、必要なスペ
クトルを透過し、不必要なスペクトルの光は透過させな
い帯域フィルターを得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明では、所望の波長域以上の長い波長域の光
を透過する長波長透過部材と、所望の波長域以下の短い
波長域の光を透過する短波長透過部材とを同一光軸上に
設け、選択的に所望の波長域を透過する帯域フィルター
について、透過率の低い波長域がそれぞれ異なる短波長
透過部材を複数有した(請求項1の発明)。または、所
望の波長域以上の長い波長域の光を透過する長波長透過
部材と、所望の波長域以下の短い波長域の光を透過する
短波長透過部材とを同一光軸上に設け、選択的に所望の
波長域を透過する帯域フィルターについて、透過率の低
い波長域がそれぞれ異なる長波長透過部材を複数有し、
かつ、透過率の低い波長域がそれぞれ異なる短波長透過
部材を複数有した(請求項2の発明)。
【0010】本発明では、更に上記構成に複数の長波長
透過部材のうち、少なくとも最小透過率波長の近い2つ
の長波長透過部材において、2つの長波長透過部材のう
ち、一方の長波長透過部材は、他方の長波長透過部材の
有する最小透過率波長よりも長い最小透過率波長を有す
るものであり、一方の長波長透過部材の最小透過率波長
よりも短い波長で、かつ、一方の長波長透過部材の有す
る透過率が7%以下となる第1の波長と、他方の長波長
透過部材の最小透過率波長よりも長い波長で、かつ、他
方の長波長透過部材の有する透過率が第1の波長におけ
る一方の長波長透過部材の有する透過率と同一である第
2の波長とが同一の波長であることとした(請求項3の
発明)。そして、短波長透過部材については、複数の短
波長透過部材のうち、最小透過率波長の近い2つの短波
長透過部材において、2つ短波長透過部材のうち、一方
の短波長透過部材は、他方の短波長透過部材の有する最
小透過率波長よりも短い最小透過率波長を有するもので
あり、一方の短波長透過部材の最小透過率波長よりも長
い波長で、かつ、一方の短波長透過部材の有する透過率
が7%以下となる第3の波長と、他方の短波長透過部材
の最小透過率波長よりも短い波長で、かつ、他方の長波
長透過部材の有する透過率が第3の波長における一方の
短波長透過部材の有する透過率と同一である第4の波長
とが同一の波長であることとした(請求項4の発明)。
【0011】本発明は更に、光源側の光の入射側に、前
記長波長透過フィルターのうち最小透過率波長が一番短
い長波長透過フィルターを設けたこととした(請求項5
の発明)。そして、所望の波長域とは、紫外域における
波長域であることとした(請求項6の発明)。
【0012】
【作用】本発明によれば、少なくとも一種類以上の長波
長透過フィルターと複数の短波長透過フィルターとを用
いることによって、所望の波長域の光について、十分に
高い透過率を有し、且つ不必要な波長域の光について
は、十分に低い透過率を有する帯域フィルターを得るこ
とができる。
【0013】このことについて、本発明に関する一例と
して、図1および図2の様な発光スペクトルを有するC
d封入水銀ランプの光源から212nm〜222nmの
光を取り出す帯域フィルターを挙げて具体的に説明す
る。212nm〜222nmの波長域の光を十分に透過
させるために、212nmの波長より長い波長域の光に
対して、90%以上の透過率を有し、かつ、212nm
の波長の光より短い光は、ほぼ透過しない長波長透過フ
ィルターを用いた。そして更に、222nmより短い波
長について少なくとも95%以上の透過率を有し、かつ
222nmより長い波長については最小透過率が0.5
%以下の透過率を有した短波長透過フィルターを5種類
用いた。これらの短波長透過フィルターについては、透
過率の低い波長域がそれぞれ異なるものを用いた。
【0014】ところで、この波長域だけを選択する場
合、Cd封入水銀ランプは212nmのすぐ短波長側に
発光スペクトルが存在しているので、212nm〜22
2nmの波長域の光には、十分に高い透過率を有し、か
つ、212nmより波長が短くなるに連れて、非常に急
峻に透過率が減少する長波長透過フィルターを用いた。
ところで、212nmよりも短い波長域について、より
透過を阻止したい場合は、212nmよりの短い波長域
で、最も低い透過率を有する波長域がそれぞれ異なる長
波長透過フィルターを数種類用いる。それらを同一光軸
上に配置することによって透過を阻止すべき波長域の光
を阻止すればよい。
【0015】一方、222nmよりも長波長側では、こ
のCd封入水銀ランプは240nmまで発光スペクトル
を有していない。よってこの波長域で用いる短波長透過
フィルターは、212〜222nmの波長域において、
十分透過率が高く、222nmより長い波長域で存在す
る発光スペクトルの光を透過しない短波長透過フィルタ
ーを用いた。
【0016】従来では、Cd封入水銀ランプのような2
22nmより長い波長域に多数の発光スペクトルが存在
する光を一個の短波長透過フィルターで透過を阻止する
には、そのフィルターに使用する2種類の膜物質の屈折
率の差を非常に大きくしなければならない。だが、この
目的を達成させることのできる屈折率の非常に大きい
(若しくは屈折率が非常に小さい)物質は、現在では発
見されていない。よって、ほぼ光の透過を阻止する波長
域(以下、透過阻止波長域)が異なる短波長透過フィル
ターを5種類以上を用いて、それらを組み合わせること
によって不必要な222nmより長い波長域の光の透過
を阻止した。
【0017】この様に、光源の発光スペクトルに応じ
て、必要な波長の光より短い波長の光について、ほぼ光
の透過を阻止する長波長透過フィルターと複数種の透過
阻止波長域が異なった短波長透過フィルターを用いて、
不必要な波長域の光を排除し、必要な波長域の光のみを
透過するフィルターについて発明した。ところで、本発
明では、この波長域だけを取り出すフィルターに限られ
ない。
【0018】以上に説明した本発明の一例である帯域フ
ィルターの構成を図7に示す。この帯域フィルターは3
つの光学素子からなっており、一つは212nm〜22
2nm近傍の波長域で透明な基板2にその一方の面に前
記の長波長透過フィルターを成膜し、また他方の面に前
記の短波長透過フィルターを成膜して一つの光学素子を
光学素子を形成した。また、他の2つは基板2にそれぞ
れ異なった透過阻止波長域を有する短波長透過フィルタ
ーを両面に成膜して、光学素子を形成した。これらの光
学素子を光軸方向に直列に並べて、図7のように帯域フ
ィルターを形成した。
【0019】ところで、本発明では更に複数の短波長透
過フィルターについては、それぞれ異なる透過阻止波長
域を有しており、この複数の短波長透過フィルターを用
いることによって、本発明である帯域フィルターとして
広い波長範囲の光の透過阻止を行っている。しかしなが
ら、やみくもにそれぞれの短波長透過フィルターを設計
するのでは、この広い波長域範囲の光を十分に阻止する
ことは出来ない。本発明では、各透過フィルターについ
て、つぎのように設計を行った。
【0020】各短波長透過フィルター(または、長波長
透過フィルター)について、それぞれの分光透過率特性
から、一つの短波長透過フィルター(又は、一つの長波
長透過フィルター)と、そのフィルターが最小の透過率
を示す波長(以下、最小透過率波長)に対して最低透過
率を示す波長が近い短波長透過フィルター(または、近
い長波長透過フィルター)とで、以下の条件を満たすよ
うにした。 (1)それぞれの短波長透過フィルター(または、長波
長透過フィルター)について、同じ波長で同じ透過率を
有する共通する部分がある。 (2)その同じ透過率とは7%以下である。
【0021】以上の条件を満たすように本発明の帯域フ
ィルターに使用する短波長透過フィルターを製作する。
このようにすれば、この共通した波長の光が通過した場
合、少なくとも2種のフィルターが7%の透過率なの
で、この光がこの2種のフィルターを通過すると、その
光の透過率は式1のとおりとなる。
【0022】
【数1】(7/100)2 ×100=0.49% ・・
・(式1) 以上から、帯域フィルターとしての透過率は0.5%以
下となり十分に透過を阻止できるようになる。具体的に
図8を使用して説明する。短波長透過フィルターが2種
以上有るような場合、この中で一番最小透過率波長が短
い物を短波長透過フィルターAとし、その最小透過率波
長をaとする。また、この短波長透過フィルターの最小
透過率波長に対して一番近いものである短波長透過フィ
ルターBとし、その最小透過率波長をbとする。最小透
過率波長aよりも長い波長で、そしてその波長に対する
短波長透過フィルターAの透過率が7%以下である波長
域と、最小透過率波長bより短い波長で、短波長透過フ
ィルターBの透過率が7%以下の波長域との両方の波長
域を満たした波長域で、同じ透過率で同じ波長であると
ころが有るように短波長透過フィルターBを製作する。
図8で言うと実線の曲線が短波長透過フィルターAの分
光透過率特性の曲線であり、点線が短波長透過フィルタ
ーBの分光透過率特性の曲線で、この二つの曲線が重な
り合う場所xが、7%以下となるようにした。また、こ
れと同じように短波長透過フィルターBの最小透過率波
長に対して、この波長より長い波長側で一番近い短波長
透過フィルターを製作して、複数種の短波長透過フィル
ターによって透過阻止波長域を形成してゆく。
【0023】この様な条件を全て短波長透過フィルター
に満たすように製作すれば、帯域フィルターにおける透
過阻止波長域における透過率は0.5%以下になる。よ
って、本発明の帯域フィルターは、透過阻止波長域が従
来のものに比べて各段に広くとれて、かつ、その波長域
で十分に低い透過率を有することができる。ところで、
本発明は以上に説明したように各短波長透過フィルター
の作製条件を決定することに限られたものではない。最
終的に、以上に述べたような条件に当てはまればよい。
【0024】以上のことは長波長透過フィルターを複数
用いた場合にも同様に言える。具体的には図9を用いて
説明すると、長波長透過フィルターが2種以上有るよう
な場合、この中で一番最小透過率波長が長い物を長波長
透過フィルターCとし、その最小透過率波長をcとす
る。また、この長波長透過フィルターの最小透過率波長
に対して一番近いものである長波長透過フィルターDと
し、その最小透過率波長をdとする。最小透過率波長c
より短い波長で、そして、長波長透過フィルターCの透
過率が7%以下の波長域と、最小透過率波長dよりも長
い波長で長波長透過フィルターDの透過率が7%以下の
波長域との両方を満たした波長域で、同じ透過率で同じ
波長であるところが有るように長波長透過フィルターD
を製作する。図9で言うと実線の曲線が長波長透過フィ
ルターCの分光透過率特性の曲線であり、点線が長波長
透過フィルターDの分光透過率特性の曲線で、この二つ
の曲線が重なり合う場所yが、7%以下となるようにし
た。
【0025】これと同じように長波長透過フィルターD
の最小透過率波長に対して、この波長より短い波長側で
一番近い長波長透過フィルターを製作して、複数種の長
波長透過フィルターによって透過阻止波長域を形成して
ゆくとなる。ところで、以上の各長波長透過フィルター
の決め方については、短波長透過フィルターと同様これ
に限られたものではない。
【0026】ところで、ここで述べたCd封入水銀ラン
プの発光スペクトルは、図1や図2で示した発光スペク
トルに限られるものでは無く、Cdの封入条件等の種々
の条件により発光スペクトルが異なる。よって、本発明
では、212〜222nmの波長域に限られたものでは
なく、Cd封入水銀ランプを用いた場合、その多数の発
光スペクトルのうち、必要なスペクトルを透過すること
を目的としている。
【0027】また、これら基板2に成膜されたそれぞれ
の短波長透過フィルターは、それぞれ異なった透過阻止
波長域を有している。また、これらの光学素子の間隔
は、最低可干渉距離(約1ミクロン)以上の間隔にして
配置した。ところで、本発明に関する帯域フィルターに
おいて長波長透過フィルターと短波長透過フィルターの
配列の順番について、最小透過率波長が一番短い最低透
過率波長を有する長波長透過フィルターを一番の光源側
に配置した。なぜなら、200nm近傍の短い波長域の
光は、透過フィルターを構成している膜が吸収して、透
過フィルターから熱が発生したり、短波長の光による光
CVD効果によって、大気中に存在する物質が付着する
効果を有しており、透過フィルターに対し、ダメージを
与えてしまう。だが、この様にすることで、物質に一番
ダメージを与えやすい短い波長域の光を帯域フィルター
の光源側に配置することにより、この長波長透過フィル
ター以降の各透過フィルターは実際に短い波長域の光を
照射されることが無くなる。よって、一番短い最小透過
率波長を有する長波長透過フィルターより射出側にある
各透過フィルターの寿命を長くすることができ、しいて
は、帯域フィルターの寿命を長くすることが出来る。
【0028】また、最低透過率波長が一番短い長波長以
外の各透過フィルターの配列の順番については、更に光
の入射側から、最低透過率波長が短い波長域のものから
順に配列するのも良い方法である。なぜなら、各透過フ
ィルターは透過阻止波長域の光を反射する性質があるの
で、高いエネルギーを有する短波長の光を入射側から順
次反射させることによって、各透過フィルターに対しダ
メージを与えにくくするためである。
【0029】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
(実施例1)図10は、実施例1における帯域フィルタ
ーの構成の概念図である。本実施例1は、合成石英やC
aF2 等の212〜222nmの波長域において透明で
ある基板2上に図10のように1種類の長波長透過フィ
ルター5と13種類の短波長透過フィルター6〜18を
成膜して帯域フィルターを形成している。一枚の基板2
には、両面におのおの異なった透過フィルターを両面に
成膜しており、この透過フィルターを成膜した基板2
は、それぞれ保持工具1により保持されている。この様
にして、一つの光学素子を形成し、この光学素子を計7
個用いた。これらの光学素子の間隔は、可干渉距離より
離れて、光軸方向に直列に並べられている。また、この
各種フィルターの配列については、光源側から見て、各
種フィルターの透過を阻止する波長域が短い順から順番
に配列した。
【0031】これら長波長透過フィルター5と13種類
の短波長透過フィルター6〜18は、高屈折率物質薄膜
22としてAl23(酸化アルミニウム)を、また低屈
折率物質薄膜23としてSiO2 (酸化珪素)を用いて
いる。そして、長波長透過フィルター5は、高屈折率物
質薄膜22と低屈折率物質薄膜23を基板2上に成膜
し、基板2から高屈折率物質薄膜22、低屈折率物質薄
膜23、高屈折率物質薄膜22、高屈折率物質薄膜2
2、低屈折率物質薄膜23、高屈折率物質薄膜22、・
・・、低屈折率物質薄膜23、高屈折率物質薄膜22の
順番で薄膜を成膜した。
【0032】また、短波長透過フィルター6〜18は、
基板2から低屈折率物質薄膜23、高屈折率物質薄膜2
2、低屈折率物質薄膜23、低屈折率物質薄膜23、高
屈折率物質薄膜22、低屈折率物質薄膜23、・・・、
高屈折率物質薄膜22、低屈折率物質薄膜23の順番で
薄膜を成膜した。長波長透過フィルター5の膜構成は、
図11に示す。この長波長透過フィルター5は、全部で
69層の薄膜を有している。また、短波長透過フィルタ
ー6と短波長透過フィルター7の膜構成は、図13に示
す。この短波長透過フィルター6と短波長透過フィルタ
ー7は、全部で87層の薄膜を有している。それ以外の
短波長透過フィルター8〜18の膜構成については、図
16に示す。これら短波長透過フィルター8〜18は、
全部で81層の薄膜を有している。
【0033】次に、各透過フィルターの膜厚について説
明する。ちなみにここでのλは各透過フィルターの設計
中心波長の値である。長波長透過フィルター5の各薄膜
の膜厚は、次のとおりである。基板2側から見て第1層
から第15層までは、高屈折率物質薄膜22の膜厚は
0.119λであり、低屈折率物質薄膜23の膜厚は
0.238λとした。そして、第16層から第69層ま
では、高屈折率物質薄膜の膜厚は0.125λであり、
低屈折率物質薄膜の膜厚は0.250λとした。この長
波長透過フィルター5の分光透過率特性を図12に示し
た。この様にすることで、212nmから長い波長域に
おいて、急峻に透過率が増加するようにし、かつその波
長域においては最低でも95%以上の透過率を維持でき
るようにした。
【0034】ところで、となりあった層が同じ物質から
成っている層(例えば、第3層目と第4層目、第6層と
第7層及び第15層目と第16層目など)については、
この薄膜部分を成膜する際には一体的に成膜されたもの
でも構わない。また、以下に述べる各短波長透過フィル
ターについても同様なことがいえる。短波長透過フィル
ター6と短波長透過フィルター7の各薄膜の膜層は、次
のとおりである。基板2側から見て第1層の膜厚は0.
063λ、また、第2層の膜厚は0.273λ、第3層
の膜厚は0.192λとした。第4層から第18層まで
は、低屈折率物質薄膜23の膜厚は0.124λで、高
屈折率物質薄膜22の膜厚は0.266λとした。第1
9層から第87層までは、低屈折率物質薄膜22の膜厚
は0.125λとし、高屈折率物質薄膜23の膜厚は
0.250λとした。短波長透過フィルター6の分光透
過率特性を図14に示した。また、短波長透過フィルタ
ー7の分光透過率特性を図15に示した。
【0035】短波長透過フィルター8〜18の各薄膜の
膜厚は次の通りである。基板2側から見て第1層は0.
181λ、第2層は0.314λ、第3層は0.138
λとした。第4層から第18層までは、低屈折率物質薄
膜23の膜厚は0.127λであり、高屈折率物質薄膜
22の膜厚は0.265λである。第19層から第81
までは、低屈折率物質薄膜23の膜厚は0.125λで
あり、高屈折率物質薄膜22の膜厚は0.250λであ
る。
【0036】以上の短波長透過フィルター8〜18の分
光透過率特性は、以下に挙げるとおりである。短波長透
過フィルター8の分光透過率特性を図17に、短波長透
過フィルター9の分光透過率特性を図18に、短波長透
過フィルター10の分光透過率特性を図19に、短波長
透過フィルター11の分光透過率特性を図20に、短波
長透過フィルター12の分光透過率特性を図21に、短
波長透過フィルター13の分光透過率特性を図22に、
短波長透過フィルター14の分光透過率特性を図23
に、短波長透過フィルター15の分光透過率特性を図2
4に、短波長透過フィルター16の分光透過率特性を図
25に、短波長透過フィルター17の分光透過率特性を
図26に、短波長透過フィルター18の分光透過率特性
を図27にそれぞれ示した。
【0037】本実施例での長波長透過フィルター5及び
短波長透過フィルター6から短波長透過フィルター18
までのそれぞれの設計中心波長を表1にまとめて示す。
【0038】
【表1】
【0039】ところで、本実施例での帯域フィルターに
使用される各短波長透過フィルターは、この帯域フィル
ターで透過を阻止する波長域(特に、222nmから4
20nm付近までの波長域)においては、ある短波長透
過フィルターと他の短波長透過フィルターがそれぞれ3
%以下の透過率を示す波長域で、それぞれの分光透過率
曲線が重なるようそれぞれの短波長透過フィルターを設
計した。
【0040】例えば、短波長透過フィルター6と短波長
透過フィルター7とでは、246nmの波長でその両短
波長透過フィルターの透過率がほぼ0.5%で分光透過
率特性を一致させ、また、短波長透過フィルター7と短
波長透過フィルター8とでは、259nmの波長で透過
率がほぼ1%でそれぞれの分光透過率特性を一致させ
た。同様に他の短波長透過フィルターについても、番号
の隣り合った短波長透過フィルター同士について、以上
の条件を満たすようにした。本実施例1では、次の通り
である。短波長透過フィルター8と短波長透過フィルタ
ー9とでは273nmで約1%、短波長透過フィルター
9と短波長透過フィルター10とでは287nmで約1
%、短波長透過フィルター10と短波長透過フィルター
11とでは302nmで約1%、短波長透過フィルター
11と短波長透過フィルター12とでは314nmで約
0.5%、短波長透過フィルター12と短波長透過フィ
ルター13とでは335nmで約1%、短波長透過フィ
ルター13と短波長透過フィルター14とでは348n
mで約1%、短波長透過フィルター14と短波長透過フ
ィルター15とでは371nmで約1%、短波長透過フ
ィルター15と短波長透過フィルター16とでは390
nmで約1%、短波長透過フィルター17と短波長透過
フィルター18とでは498nmで約3%の所でそれぞ
れが一致するようにした。
【0041】このようにして各短波長透過フィルターの
最適化を図った。本実施例での帯域フィルターを構成し
て得られた総合分光透過率特性は図28に示した。この
様に本実施例での帯域フィルターでは、212nm〜2
22nmの波長域で、70%以上の透過率が得られたま
ま、222nmから420nm付近までは、0.1%以
下の透過率を有することができた。これをCd封入水銀
ランプを光源として用いた場合、紫外域では、212〜
222nmに存在する発光スペクトルの光を選択して得
られた。
【0042】ちなみに、長波長透過フィルターを複数有
する場合も、同様に行うことで透過阻止波長域につい
て、十分に低い透過率を得られる。具体的には、例え
ば、最低透過率波長が一番長い長波長透過フィルターA
に対して、最低透過率波長が一番近い長波長透過フィル
ターBとで、それぞれの分光透過率特性が同じ所(同じ
波長で同じ透過率)のところを有していて、その所の透
過率が3%以下であるようにすればよい。
【0043】また、帯域フィルターに使用する透過フィ
ルターの種類数についても、この様に各透過フィルター
を設計することで、透過フィルターの種類を必要最小限
に押さえることが出来、透過波長域における透過率を極
力下げないようにすることができた。ところで、本実施
例における帯域フィルターを構成する長波長透過フィル
ターおよび各短波長透過フィルターは、光源側から透過
阻止波長域が短い順で配置を行った。その理由は、波長
の短い光は高いエネルギーを有しているので、その光が
透過フィルターを構成する薄膜に照射されると透過フィ
ルターが発熱したり、大気中の物質が付着しやすくなる
とういう傾向を有している。よって、不必要な波長の短
い光を受ける光学素子は、極力少ない方がよい。そのた
め、これら各透過フィルターは、透過阻止波長域の光を
反射して透過を阻止していることから、透過阻止波長域
が短い波長であるフィルターを光源側から、順に波長が
長い順に配置していくことにより特に短波長透過フィル
ターが変質しにくくなり、よって、この帯域フィルター
の寿命が長くなる。しかしながら、長波長透過フィルタ
ーを一番光源側に配置することだけでも、フィルターに
損傷を与えやすい光を他のフィルターに照射されること
がないので、帯域フィルターの寿命が長くなる。
【0044】ところで、本実施例1での帯域フィルター
では、420〜460nmの波長域について透過を阻止
していない。本実施例1では図1および図2の発光スペ
クトルを有したCd封入水銀ランプを光源として使用し
たことを想定しており、420〜460nmの波長域で
は透過を阻止する必要がない。よって、この波長域の光
の透過を阻止する短波長透過フィルターは、特別設けな
かった。本発明では、このように阻止する必要のない波
長域について、本発明を必ずしも用いる必要はない。最
低限、透過を阻止する波長域について本発明を利用すれ
ばよい。 (実施例2)ところで、この実施例1の帯域フィルター
は、各種の光学装置に用いることによって、有効な効果
を発揮することが出来る。たとえば、半導体集積回路を
製造では、縮小投影露光装置を用いてウェハー(ウェハ
ーとは、半導体の母材となる純度の高い珪素を円盤状に
加工したものである。)上にその回路パターンを転写す
る行程が行われている。この縮小投影露光装置は、所望
の半導体集積回路の回路パターンが描写されたレチクル
(レチクルとは、透明な基板上に光を透過しない物質で
回路パターンを形成した回路パターンの原盤)に光源の
光を通過させて、その回路パターンの像を投影対物レン
ズ群により縮小して、レジスト(レジストとは、感光剤
の一種である)を塗布したウェハー上に結像させる装置
である。
【0045】このウェハーにレジストの像を結像するこ
とにより、ウェハー上に塗布されているレジストが感光
し、それを現像することによってウェハーに回路パター
ンが縮小して転写され、所望の回路パターンを得てい
る。そして、このような作業を何回にも渡って行うこと
により半導体集積回路を製造している。ところで、この
縮小投影露光装置の光学系の構成の一例を図29に示
す。この図29における縮小投影露光装置の構成は、つ
ぎの通りである。
【0046】特にここではCd封入水銀ランプを使用し
た縮小投影露光装置について、以下に説明する。Cd封
入水銀ランプ101から発せられた光は、ミラー103
に向かう。また、その一部の光は楕円鏡102によって
反射されて、ミラー103に向かう。ミラー103によ
って反射された光は、コリメータレンズ104によって
ほぼ平行な光束にされ、本実施例1による帯域フィルタ
ー100に入射する。この帯域フィルター100により
波長の光は、オプティカルインテグレータとしてのフラ
イアイレンズ105に入射し、このフライアイレンズ1
05の後側(レチクル側)焦点面に多数の2次光源が形
成される。これら多数の2次光源からの発散光は、ミラ
ー106で反射された後にコンデンサーレンズ107に
より集光されて、被照射面としてのレチクル108のパ
ターン形成面を重畳的に照射される。この様にして得ら
れたレチクル108のパターン像は、投影対物レンズ1
09により縮小され、ウェハー110に照射される。
【0047】ところで、この縮小投影露光装置はレチク
ルの像を縮小するために、多数のレンズで構成された投
影対物レンズを用いて縮小している。投影対物レンズは
色収差を有しているため、縮小投影露光装置に用いられ
る光源の光の波長が広い範囲に渡って発光スペクトルを
有していると、ウェハー上に結像する像は、色収差の影
響で分解能の低い像が結像してしまう。その結果、微細
化を要求している半導体集積回路とって、その色収差の
影響により微細なパターンをウェハー上に転写出来ず、
その微細化を妨げてしまう。
【0048】よって、レンズによる色収差の影響を極力
少なくするため、必要な波長域の光以外については極力
少なくする必要がある。ところで、ウェハーに塗布され
ているレジストは、大体500nmより短い波長域で感
光層を有している。そこで、本実施例1のフィルターを
縮小投影露光装置の光学系に挿入することで、不必要な
波長域の光を低減し、必要な波長域の光を抽出すること
が出来る。よって、本実施例1による帯域フィルターか
ら透過される光の波長域が狭くなり、この縮小投影露光
装置の光学系に起因する色収差の影響を無視することで
きる。
【0049】ところで、本実施例1での帯域フィルター
は、420nmより長い波長の光に対して透過率を有し
ているが、縮小投影露光装置に使用される光源がCd封
入水銀ランプの場合、410nm〜460nmに発光ス
ペクトルを有さないので、従って、この波長域を本実施
例1の帯域フィルターによって阻止する必要がない。よ
って、本実施例1の帯域フィルターを挿入することで、
十分に不必要な波長域の光を透過せず阻止することが出
来る。
【0050】しかし、この波長域で発光スペクトルを有
した光源を利用してウェハーに露光する際には、後で述
べる実施例2の帯域フィルターを用いることによって解
決することが出来る。以上のように、本発明に係る本実
施例1での帯域フィルターは、縮小投影露光装置の光学
系に挿入すると、投影光学系による色収差の問題が解決
し、分解能の高い像がウェハー上に結像することができ
るような格段の解像度有する縮小投影露光装置が得られ
る効果を有している。また、更に結像性能が向上するた
め、フレアー、ゴーストの現象発生の阻止する効果があ
る。 (実施例3)次に本発明に関する実施例3についての説
明を以下にする。本実施例3では、長波長透過フィルタ
ー5及び短波長透過フィルター6〜18で構成された本
実施例1の帯域フィルターに更に短波長透過フィルター
18の射出光側(光源とは反対側)に、透過阻止波長域
が410nm〜460nmにある短波長透過フィルター
19〜21を配置した。また、更に短波長透過フィルタ
ー21よりも射出光側に反射防止膜4を配置した。この
実施例3における帯域フィルターの配置構成について
は、図30に示した。ところで、短波長透過フィルター
19〜21について、短波長透過フィルター8〜18と
同じ物質で構成されている。また、膜構成については、
短波長透過フィルター8〜18と同じ構成を有してお
り、図16に示したものである。短波長透過フィルタ1
9〜21のそれぞれの設計中心波長は表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】この設計中心波長の設定については、実施
例1と同じように、設計中心波長が近いフィルター同士
で透過阻止波長域の一部が重なり合うように設計した。
ちなみに、それぞれ最低透過率波長の隣り合う短波長透
過フィルターについて、同じ波長および同じ透過率を有
するのその値は、次の通りである。短波長透過フィルタ
ー19と短波長透過フィルター20とでは、416nm
で約1%、短波長透過フィルター20と短波長透過フィ
ルター21とでは、431nmで約0.5%とである。
【0053】この様にして製作した短波長透過フィルタ
ー19〜21のそれぞれの分光透過率特性は、短波長透
過フィルター19については図31に、短波長透過フィ
ルター20については図32に、短波長透過フィルター
21は図33に、それぞれ示した。また、併せて反射防
止膜4については、212〜222nmの波長域では反
射率が0.1%以下であるものを利用した。この反射防
止膜4の分光透過率特性は図34に示した。
【0054】これらの短波長透過フィルターについて
も、実施例1と同様、短波長透過フィルタ19および2
0は、一つの基板の両面に成膜しており、また、短波長
透過フィルター21と反射防止膜4も、一つの基板の両
面に成膜して、実施例1と同様に保持工具1により、一
つの光学素子を形成している。これらの光学素子の間隔
は、可干渉距離より離れて、光軸方向に直列に並べられ
ている。また、この各種フィルターの配列については、
光源側から見て、透過阻止波長域が短い順から順番に配
列した。
【0055】このようにして得られた実施例3の帯域フ
ィルターの総合分光透過率特性を図35に示した。本実
施例3の帯域フィルターでは、212〜222nmの波
長域では、ほぼ70%の透過率を有しており、222n
m〜520nmまでの光は本実施例3の帯域フィルター
から透過されない。この様に本実施例3の帯域フィルタ
ー用いれば、222nm〜520nmの波長域の光をほ
ぼ完全に透過を阻止でき、必要な波長域の212nm〜
222nmの波長域における光を高い透過率で透過する
ことができる。
【0056】この実施例3の帯域フィルターは、特に実
施例2で説明したような縮小投影露光装置の光学系の一
部に設置すれば、Cd封入水銀ランプ以外の光源を使用
したとしても、レジストの感光波長域に該当する光は、
212nm〜222nmの波長域の光だけなので、縮小
投影露光装置の光学系が有する色収差の影響を排除する
事ができ、よって分解能の高い縮小投影露光装置が得ら
れることが出来る。
【0057】他の用途の光学系に対しても本実施例2の
フィルターを挿入することにより、レンズによる色収差
を解消することができ、よって分解能の高い光学系を提
供することが出来る。また、結像性能の向上によって、
フレアーやゴーストの発生を押さえることができた。と
ころで、実施例1では、光源から見て、透過を阻止する
波長域が短いものから順に配置していったが、本発明で
は、長波長透過フィルターを一番光源側に配置すること
でも他の透過フィルターを保護できる。しかし、実施例
1に述べた様な順番にすることによって、各透過フィル
ターが入射する光に対して受けるダメージを更に低減す
ることができる。このことは、実施例3の帯域フィルタ
ーにも同様に言えることで、410〜460nmの波長
域を阻止する短波長透過フィルターを短波長透過フィル
ター16と短波長透過フィルター17との間に配置する
ことで更に良くなる。
【0058】実施例1と実施例3は、Cd封入水銀ラン
プが図1および図2に示すような発光スペクトルを有し
た場合について述べたが、このCd封入水銀ランプは、
Cdの封入条件や発光時の放電条件等により発光スペク
トルが変化してしまう。しかしながら、本発明では発光
スペクトルが変化しても、その変化に応じて選択したい
波長域が変われば、それに応じて長波長透過フィルター
や短波長透過フィルターの膜厚等を変化させて対応すれ
ばよい。
【0059】また、従来の干渉フィルターは各層の膜厚
に誤差があらわれると、すぐに干渉フィルターの透過率
のピーク波長が顕著に変動し、かつ変動したピーク波長
の透過率が顕著に低下してしまう欠点を有していた。し
かし、本実施例で述べた帯域フィルターは、各層の膜厚
に誤差が発生しても干渉フィルターほどその影響を受け
ることがなく、干渉フィルターに比べ容易に製造しやす
いという効果を有する。
【0060】ところで、本実施例における各透過フィル
ターの成膜方法は、通常の真空蒸着法(イオンプレーテ
ィング法、イオンビームスパッタ法を含む)を用いるこ
とが出来る。この成膜に使用する材料としては、本実施
例で挙げたAl23やSiO 2 の物質の他に、各種フッ
化物材料等紫外域で使用できる物質を用いることでもよ
い。
【0061】以上、本実施例で挙げられた各種フィルタ
ーは、入射角20゜程度の光束(あるいは、頂角20゜
程度までの円錐光)に対して対応可能である。しかし、
本発明ではこれ以外のものでも一向に構わない。
【0062】
【発明の効果】以上の様に、本発明による帯域フィルタ
ーでは、広い透過阻止波長域を持たすことが出来、かつ
透過するのに必要な波長域については、十分な波長の幅
を確保することが出来る。また、帯域フィルターを構成
する各透過フィルターについては、その透過フィルター
を構成する薄膜の膜厚に誤差が生じていても、帯域フィ
ルターが透過する波長域の変動については、さほど大き
く影響しない。
【0063】また、各透過フィルターの透過阻止波長域
を本発明のとおり重ね合わせれば、例え、帯域フィルタ
ーの透過阻止波長域が広いものであっても、その波長域
では一様に透過率の低い透過阻止波長域が得られる。ま
た、本発明により帯域フィルターを紫外域(特に212
nm〜222nmの波長域を選択的に透過するようなも
の)に適用するような場合、阻止波長域が一番短い長波
長透過フィルターを光源側に配置すると、他の透過フィ
ルターは光によるダメージを受けにくくなると言う効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】:Cd封入水銀ランプの発光スペクトル特性で
ある。
【図2】:Cd封入水銀ランプの発光スペクトル特性で
ある。
【図3】:従来の帯域フィルターの構成図である。
【図4】:図3の帯域フィルターの分光透過率特性図で
ある。
【図5】:従来の帯域フィルターの構成図である。
【図6】:図5の帯域フィルターの分光透過率特性図で
ある。
【図7】:本発明による帯域フィルターの基本構成図で
ある。
【図8】:本発明による各短波長透過フィルターの関係
を示した図である。
【図9】:本発明による各長波長透過フィルターの関係
を示した図である。
【図10】:実施例1における帯域フィルターの構成図
である。
【図11】:長波長透過フィルター5における膜構成図
である。
【図12】:長波長透過フィルター5の分光透過率特性
図である。
【図13】:短波長透過フィルター6及び7における膜
構成図である。
【図14】:短波長透過フィルター6の分光透過率特性
図である。
【図15】:短波長透過フィルター7の分光透過率特性
図である。
【図16】:短波長透過フィルター8〜21における膜
構成図である。
【図17】:短波長透過フィルター8の分光透過率特性
図である。
【図18】:短波長透過フィルター9の分光透過率特性
図である。
【図19】:短波長透過フィルター10の分光透過率特
性図である。
【図20】:短波長透過フィルター11の分光透過率特
性図である。
【図21】:短波長透過フィルター12の分光透過率特
性図である。
【図22】:短波長透過フィルター13の分光透過率特
性図である。
【図23】:短波長透過フィルター14の分光透過率特
性図である。
【図24】:短波長透過フィルター15の分光透過率特
性図である。
【図25】:短波長透過フィルター16の分光透過率特
性図である。
【図26】:短波長透過フィルター17の分光透過率特
性図である。
【図27】:短波長透過フィルター18の分光透過率特
性図である。
【図28】:実施例1における帯域フィルターの分光透
過率特性図である。
【図29】:本発明における帯域フィルターを組み込ん
だ縮小投影露光装置の光学系の基本構成図である。
【図30】:実施例3における帯域フィルターの構成図
である。
【図31】:短波長透過フィルター19の分光透過率特
性図である。
【図32】:短波長透過フィルター20の分光透過率特
性図である。
【図33】:短波長透過フィルター21の分光透過率特
性図である。
【図34】:反射防止膜4の分光透過率特性図である。
【図35】:実施例3における帯域フィルターの分光透
過率特性図である。
【符号の説明】
1 保持工具 2 基板 3 干渉フィルター 4 反射防止膜 5 長波長透過フィルター 6〜21 短波長透過フィルター 22 高屈折率物質 23 低屈折率物質 100 帯域フィルター 101 Cd封入水銀ランプ 102 楕円鏡 103 ミラー 104 コリーメーターレンズ 105 フライアイレンズ 106 ミラー 107 コンデンサレンズ 108 レチクル 109 投影対物レンズ 110 ウェハー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の波長域以上の長い波長域の光を透
    過する長波長透過部材と、所望の波長域以下の短い波長
    域の光を透過する短波長透過部材とを同一光軸上に設
    け、選択的に前記所望の波長域を透過する帯域フィルタ
    ーであって、 透過率の低い波長域がそれぞれ異なる前記短波長透過部
    材を複数有したことを特徴とする帯域フィルター。
  2. 【請求項2】 所望の波長域以上の長い波長域の光を透
    過する長波長透過部材と、所望の波長域以下の短い波長
    域の光を透過する短波長透過部材とを同一光軸上に設
    け、選択的に前記所望の波長域を透過する帯域フィルタ
    ーであって、 透過率の低い波長域がそれぞれ異なる前記長波長透過部
    材を複数有し、かつ、透過率の低い波長域がそれぞれ異
    なる前記短波長透過部材を複数有したことを特徴とする
    帯域フィルター。
  3. 【請求項3】 前記複数の長波長透過部材のうち、少な
    くとも最小透過率波長の近い2つの長波長透過部材にお
    いて、 前記2つの長波長透過部材のうち、一方の長波長透過部
    材は、他方の長波長透過部材の有する最小透過率波長よ
    りも長い最小透過率波長を有するものであり、 前記一方の長波長透過部材の最小透過率波長よりも短い
    波長で、かつ、前記一方の長波長透過部材の有する透過
    率が7%以下となる第1の波長と、 前記他方の長波長透過部材の最小透過率波長よりも長い
    波長で、かつ、前記他方の長波長透過部材の有する透過
    率が前記第1の波長における前記一方の長波長透過部材
    の有する透過率と同一である第2の波長とが同一の波長
    であることを特徴とする請求項2記載の帯域フィルター
  4. 【請求項4】 前記複数の短波長透過部材のうち、最小
    透過率波長の近い2つの短波長透過部材において、 前記2つ短波長透過部材のうち、一方の短波長透過部材
    は、他方の短波長透過部材の有する最小透過率波長より
    も短い最小透過率波長を有するものであり、 前記一方の短波長透過部材の最小透過率波長よりも長い
    波長で、かつ、前記一方の短波長透過部材の有する透過
    率が7%以下となる第3の波長と、 前記他方の短波長透過部材の最小透過率波長よりも短い
    波長で、かつ、前記一方の長波長透過部材の有する透過
    率が前記第3の波長における前記一方の短波長透過部材
    の有する透過率と同一である第4の波長とが同一の波長
    であることを特徴とする請求項1及び2記載の帯域フィ
    ルター。
  5. 【請求項5】 光源側の光の入射側に、前記長波長透過
    フィルターのうち最小透過率波長が一番短い長波長透過
    フィルターを設けたことを特徴とする前記請求項1、
    2、3、4記載の帯域フィルター。
  6. 【請求項6】 前記所望の波長域とは、紫外域における
    波長域であることを特徴とする前記請求項1乃至5記載
    の帯域フィルター。
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