JPH08126489A - 酵素担持基材、酵素担持体及びこれらの製造方法 - Google Patents
酵素担持基材、酵素担持体及びこれらの製造方法Info
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- JPH08126489A JPH08126489A JP4165822A JP16582292A JPH08126489A JP H08126489 A JPH08126489 A JP H08126489A JP 4165822 A JP4165822 A JP 4165822A JP 16582292 A JP16582292 A JP 16582292A JP H08126489 A JPH08126489 A JP H08126489A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 担体に酵素を結合させた酵素担持体に関し、
失活した酵素を常温で容易に交換できるようにするこ
と。 【構成】 酵素担持体は、担体と、担体にコートされた
ポリマーと、ポリマーにジスルフィド結合している酵素
とを備えている。この酵素担持体では、酵素とポリマー
とがジスルフィド結合しているため、酵素とポリマーと
の間の結合及び離脱反応を常温で容易に行える。この結
果、酵素担持体は、酵素が失活した場合に失活した酵素
を新たな酵素に常温で容易に交換できる。
失活した酵素を常温で容易に交換できるようにするこ
と。 【構成】 酵素担持体は、担体と、担体にコートされた
ポリマーと、ポリマーにジスルフィド結合している酵素
とを備えている。この酵素担持体では、酵素とポリマー
とがジスルフィド結合しているため、酵素とポリマーと
の間の結合及び離脱反応を常温で容易に行える。この結
果、酵素担持体は、酵素が失活した場合に失活した酵素
を新たな酵素に常温で容易に交換できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、担持基材、担持体及び
これらの製造方法、特に、酵素担持基材、酵素担持体及
びこれらの製造方法に関する。
これらの製造方法、特に、酵素担持基材、酵素担持体及
びこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオ関連研究の進歩に伴い、酵素の利
用が高まっている。例えば、酵素を用いて化合物を生産
するバイオマスや酵素により有害物質を分解除去するた
めのシステム等が開発されている。このような酵素を用
いる技術分野においては、酵素の安定性と良好なハンド
リング性とが要望されている。
用が高まっている。例えば、酵素を用いて化合物を生産
するバイオマスや酵素により有害物質を分解除去するた
めのシステム等が開発されている。このような酵素を用
いる技術分野においては、酵素の安定性と良好なハンド
リング性とが要望されている。
【0003】そこで、このような要望に応えるために、
酵素を担体に固定化した酵素担持体が提供されている。
一般的な酵素担持体は、担体に酵素を結合したものと、
酵素を担体内に閉じ込めたものとの2種類に分類され
る。担体に酵素を結合した酵素担持体は、酵素と担体と
を物理吸着、イオン結合又は共有結合したものに細分化
できるが、共有結合したものが酵素の安定性が最良であ
るとされている。ここで、酵素と担体とを共有結合する
ための手法としては、担体のアルデヒド基と酵素のア
ミノ基とによりシッフ塩基を形成する方法、担体のカ
ルボン酸を酸塩化物に変換してナトリウムアジドを反応
させ、これに酵素のアミノ基を反応させてアミド結合を
形成するアジド結合法、担体の水酸基にブロモシアン
を反応させ、これに酵素のアミノ基を結合させるブロモ
シアン活性化法、担体のアミノ基又はカルボン酸基に
酵素とカルボジミドとを同時に反応させてアミド結合を
形成させるカルボジイミド活性化法等種々の方法が提案
されている。
酵素を担体に固定化した酵素担持体が提供されている。
一般的な酵素担持体は、担体に酵素を結合したものと、
酵素を担体内に閉じ込めたものとの2種類に分類され
る。担体に酵素を結合した酵素担持体は、酵素と担体と
を物理吸着、イオン結合又は共有結合したものに細分化
できるが、共有結合したものが酵素の安定性が最良であ
るとされている。ここで、酵素と担体とを共有結合する
ための手法としては、担体のアルデヒド基と酵素のア
ミノ基とによりシッフ塩基を形成する方法、担体のカ
ルボン酸を酸塩化物に変換してナトリウムアジドを反応
させ、これに酵素のアミノ基を反応させてアミド結合を
形成するアジド結合法、担体の水酸基にブロモシアン
を反応させ、これに酵素のアミノ基を結合させるブロモ
シアン活性化法、担体のアミノ基又はカルボン酸基に
酵素とカルボジミドとを同時に反応させてアミド結合を
形成させるカルボジイミド活性化法等種々の方法が提案
されている。
【0004】一方、酵素を担体内に閉じ込めた酵素担持
体としては、ポリマー溶液に酵素を混合し、これをゲ
ル化させることにより得られるポリマーマトリックス内
に酵素を閉じ込めたもの、マイクロカプセル内に酵素
を閉じ込めたもの等が提案されている。
体としては、ポリマー溶液に酵素を混合し、これをゲ
ル化させることにより得られるポリマーマトリックス内
に酵素を閉じ込めたもの、マイクロカプセル内に酵素
を閉じ込めたもの等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】酵素と担体とを結合さ
せた前記従来の酵素担持体では、酵素と担体との結合の
安定性を重視するため、担体から酵素を離脱させるのが
困難である。このため、酵素が失活した場合に、酵素を
担体から離脱させて新しい酵素を担体に再結合し、酵素
活性を再生することができない。また、酵素と担体との
結合に用いる試薬が危険性の高いものであるため、工業
化するのが困難である。さらに、担体と酵素との結合処
理には加熱が必要なため、熱に弱い酵素には適用できな
い。
せた前記従来の酵素担持体では、酵素と担体との結合の
安定性を重視するため、担体から酵素を離脱させるのが
困難である。このため、酵素が失活した場合に、酵素を
担体から離脱させて新しい酵素を担体に再結合し、酵素
活性を再生することができない。また、酵素と担体との
結合に用いる試薬が危険性の高いものであるため、工業
化するのが困難である。さらに、担体と酵素との結合処
理には加熱が必要なため、熱に弱い酵素には適用できな
い。
【0006】一方、酵素を担体内に閉じ込めた酵素担持
体は、酵素をポリマー内部に包含しているため失活した
酵素を交換できない。また、酵素に反応基質が到達しに
くく、酵素と反応基質との反応性が十分ではない。本発
明の目的は、酵素を保持するための酵素担持基材に関
し、常温で容易に酵素を着脱できるようにすることにあ
る。
体は、酵素をポリマー内部に包含しているため失活した
酵素を交換できない。また、酵素に反応基質が到達しに
くく、酵素と反応基質との反応性が十分ではない。本発
明の目的は、酵素を保持するための酵素担持基材に関
し、常温で容易に酵素を着脱できるようにすることにあ
る。
【0007】他の目的は、酵素が担体に保持された酵素
担持体に関し、失活した酸素を容易に交換できるように
することにある。さらに他の目的は、常温で容易に酵素
を着脱できる酵素担持基材の製造方法を提供することに
ある。さらに他の目的は、失活した酵素を容易に交換で
きる酵素担持体の製造方法を提供することにある。
担持体に関し、失活した酸素を容易に交換できるように
することにある。さらに他の目的は、常温で容易に酵素
を着脱できる酵素担持基材の製造方法を提供することに
ある。さらに他の目的は、失活した酵素を容易に交換で
きる酵素担持体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る酵素担持基
材は、酵素を担持するためのものである。この酵素担持
基材は、担体と、担体にコートされかつ酵素とジスルフ
ィド結合し得るポリマー層とを備えている。本発明に係
る酵素担持体は、担体と、担体にコートされたポリマー
と、ポリマーにジスルフィド結合している酵素とを備え
ている。
材は、酵素を担持するためのものである。この酵素担持
基材は、担体と、担体にコートされかつ酵素とジスルフ
ィド結合し得るポリマー層とを備えている。本発明に係
る酵素担持体は、担体と、担体にコートされたポリマー
と、ポリマーにジスルフィド結合している酵素とを備え
ている。
【0009】本発明に係る酵素担持基材の製造方法は、
次の工程を含んでいる。 ◎担体を用意する工程。 ◎担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程。 本発明に係る酵素担持体の製造方法は、次の工程を含ん
でいる。 ◎担体を用意する工程。 ◎担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程。 ◎ポリマーを非架橋ジスルフィド結合を有する酵素によ
り処理する工程。
次の工程を含んでいる。 ◎担体を用意する工程。 ◎担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程。 本発明に係る酵素担持体の製造方法は、次の工程を含ん
でいる。 ◎担体を用意する工程。 ◎担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程。 ◎ポリマーを非架橋ジスルフィド結合を有する酵素によ
り処理する工程。
【0010】*******酵素担持基材 本発明に係る酵素担持基材は、担体と、担体にコートさ
れたポリマー層とを備えている。本発明で用いられる担
体は、酵素反応が行われる溶媒、特に水に不溶性のもの
が好ましい。このような担体としては、シリカゲル,カ
ーボン,アルミナ等の無機物、ポリアミド樹脂,ポリエ
ステル樹脂,ポリウレタン樹脂,シリコーン樹脂,アセ
テート樹脂等の樹脂、綿や絹等の天然繊維が例示でき
る。
れたポリマー層とを備えている。本発明で用いられる担
体は、酵素反応が行われる溶媒、特に水に不溶性のもの
が好ましい。このような担体としては、シリカゲル,カ
ーボン,アルミナ等の無機物、ポリアミド樹脂,ポリエ
ステル樹脂,ポリウレタン樹脂,シリコーン樹脂,アセ
テート樹脂等の樹脂、綿や絹等の天然繊維が例示でき
る。
【0011】このような担体の形状は、粒状、棒状、繊
維状、フィルム状、布帛状等のあらゆる形態のものが利
用でき、特に限定されない。但し、単位重量当たりの表
面積の大きい微粒子状又は極細繊維状のものが特に好ま
しい。上述の担体にコートされるポリマー層は、酵素と
ジスルフィド結合し得るポリマーにより形成されてい
る。このようなポリマーとしては、チオール基を有する
ポリマーが挙げられる。具体的には、ケラチン等の蛋白
質を主成分とする天然高分子、エチレンジチオール等を
共重合したポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の合
成高分子、ジスルフィド結合を有するラジカル重合性モ
ノマーや重縮合性モノマーをグラフト共重合した合成高
分子のジスルフィド結合部分を還元してチオール基に変
換したもの等が例示できる。
維状、フィルム状、布帛状等のあらゆる形態のものが利
用でき、特に限定されない。但し、単位重量当たりの表
面積の大きい微粒子状又は極細繊維状のものが特に好ま
しい。上述の担体にコートされるポリマー層は、酵素と
ジスルフィド結合し得るポリマーにより形成されてい
る。このようなポリマーとしては、チオール基を有する
ポリマーが挙げられる。具体的には、ケラチン等の蛋白
質を主成分とする天然高分子、エチレンジチオール等を
共重合したポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の合
成高分子、ジスルフィド結合を有するラジカル重合性モ
ノマーや重縮合性モノマーをグラフト共重合した合成高
分子のジスルフィド結合部分を還元してチオール基に変
換したもの等が例示できる。
【0012】なお、ポリマー層の形成量は、ポリマー層
を形成するためのポリマーに含まれるチオール基数に応
じて適宜設定され得る。本発明の酵素担持基材は、上述
の担体に上述のポリマー層をコートすると形成できる。
担体にポリマー層を設ける方法は、特に限定されない。
例えば、チオール基を有する高分子を直接担体にコート
する場合は、チオール基を有するポリマーの溶液又は分
散液に担体を浸漬又は分散させ、ポリマーを担体表面に
物理吸着させる方法が好ましい。この方法は、担体の形
態にかかわらず適用できる。担体がフィルム状又は布帛
状の場合は、パッディングやコーティング等の一般的な
被覆方法も採用できる。
を形成するためのポリマーに含まれるチオール基数に応
じて適宜設定され得る。本発明の酵素担持基材は、上述
の担体に上述のポリマー層をコートすると形成できる。
担体にポリマー層を設ける方法は、特に限定されない。
例えば、チオール基を有する高分子を直接担体にコート
する場合は、チオール基を有するポリマーの溶液又は分
散液に担体を浸漬又は分散させ、ポリマーを担体表面に
物理吸着させる方法が好ましい。この方法は、担体の形
態にかかわらず適用できる。担体がフィルム状又は布帛
状の場合は、パッディングやコーティング等の一般的な
被覆方法も採用できる。
【0013】還元するとチオール基が形成され得るポリ
マーによりポリマー層を形成する場合には、このような
ポリマーを上述の方法により担体にコートする。そし
て、コートされたポリマーを還元し、ポリマーに含まれ
るジスルフィド結合をチオール基に変換する。ポリマー
を還元するための還元剤としては、一般的なものが利用
できるが、ポリマーの耐熱性、耐酸性及び耐アルカリ性
等を考慮して選択するのが好ましい。一般的には、常温
において比較的中性に近い条件で還元できるジチオスレ
イトール(DTT)のホウ酸緩衝溶液を用いるのが好ま
しい。酵素担持体 本発明の酵素担持体は、上述の酵素担持基材のポリマー
層に酵素がジスルフィド結合したものである。
マーによりポリマー層を形成する場合には、このような
ポリマーを上述の方法により担体にコートする。そし
て、コートされたポリマーを還元し、ポリマーに含まれ
るジスルフィド結合をチオール基に変換する。ポリマー
を還元するための還元剤としては、一般的なものが利用
できるが、ポリマーの耐熱性、耐酸性及び耐アルカリ性
等を考慮して選択するのが好ましい。一般的には、常温
において比較的中性に近い条件で還元できるジチオスレ
イトール(DTT)のホウ酸緩衝溶液を用いるのが好ま
しい。酵素担持体 本発明の酵素担持体は、上述の酵素担持基材のポリマー
層に酵素がジスルフィド結合したものである。
【0014】ポリマー層にジスルフィド結合される酵素
は、特に限定されるものではなく、あらゆる種類の酵素
が結合され得る。例えば、セルラーゼ,プロテアーゼ,
リパーゼ等の分解酵素、グルコースデヒドロゲナーゼ,
ペルオキシダーゼ等の酸化還元酵素、L−グルタミン合
成酵素等の各種酵素が例示できる。このような酵素担持
体は、上述の酵素担持基材に上述の酵素をジスルフィド
結合させると得られる。酵素担持基材と酵素とのジスル
フィド結合は、酵素に含まれる非架橋ジスルフィド結合
と酵素担持基材のポリマー層に含まれるチオール基との
間のS−S交換反応により達成される。
は、特に限定されるものではなく、あらゆる種類の酵素
が結合され得る。例えば、セルラーゼ,プロテアーゼ,
リパーゼ等の分解酵素、グルコースデヒドロゲナーゼ,
ペルオキシダーゼ等の酸化還元酵素、L−グルタミン合
成酵素等の各種酵素が例示できる。このような酵素担持
体は、上述の酵素担持基材に上述の酵素をジスルフィド
結合させると得られる。酵素担持基材と酵素とのジスル
フィド結合は、酵素に含まれる非架橋ジスルフィド結合
と酵素担持基材のポリマー層に含まれるチオール基との
間のS−S交換反応により達成される。
【0015】ところで、酵素に含まれる非架橋ジスルフ
ィド結合とは、ジスルフィド結合によりポリペプチド鎖
が閉環構造を形成していないものを言う。すなわち、ポ
リペプチド鎖の末端に形成されたジスルフィド結合やア
ミノ酸配列中のシスチンが持つジスルフィド結合等を言
う。一般に、酵素タンパクは、高次構造を固定するため
に、アミノ酸配列の離れた位置にあるシステイン残基同
士のジスルフィド結合により架橋している。このように
高次構造を維持しているジスルフィド結合を酵素担持基
材のポリマー層との固定に利用することも可能である
が、ほとんどの場合は酵素分子の内部に当該ジスルフィ
ド結合が存在するため、このジスルフィド結合と酵素担
持基材側のチオール基とのS−S交換反応を行うのは困
難である。仮に、このようなS−S交換反応が実現でき
ても、酵素タンパクの高次構造が変化し、酵素活性が消
失又は低下することが多い。よって、ポリマー層のチオ
ール基とのS−S交換反応に寄与する非架橋ジスルフィ
ド結合は、酵素活性の低下や高次構造の構造変化を伴い
にくい位置にあるもの、例えば末端ジスルフィド結合が
好ましい。
ィド結合とは、ジスルフィド結合によりポリペプチド鎖
が閉環構造を形成していないものを言う。すなわち、ポ
リペプチド鎖の末端に形成されたジスルフィド結合やア
ミノ酸配列中のシスチンが持つジスルフィド結合等を言
う。一般に、酵素タンパクは、高次構造を固定するため
に、アミノ酸配列の離れた位置にあるシステイン残基同
士のジスルフィド結合により架橋している。このように
高次構造を維持しているジスルフィド結合を酵素担持基
材のポリマー層との固定に利用することも可能である
が、ほとんどの場合は酵素分子の内部に当該ジスルフィ
ド結合が存在するため、このジスルフィド結合と酵素担
持基材側のチオール基とのS−S交換反応を行うのは困
難である。仮に、このようなS−S交換反応が実現でき
ても、酵素タンパクの高次構造が変化し、酵素活性が消
失又は低下することが多い。よって、ポリマー層のチオ
ール基とのS−S交換反応に寄与する非架橋ジスルフィ
ド結合は、酵素活性の低下や高次構造の構造変化を伴い
にくい位置にあるもの、例えば末端ジスルフィド結合が
好ましい。
【0016】ところが、ジスルフィド結合の性格上、シ
スチンがアミノ酸配列の末端に位置することは極めて稀
であり、アミノ酸配列は、通常、末端以外にシスチンを
含んでいる。したがって、末端ジスルフィド結合を持た
ない酵素については、末端にジスルフィド結合を導入す
る必要がある。末端ジスルフィド結合は、アミノ酸配列
の末端にあるアミノ基又はカルボキシル基と結合し得る
官能基とジスルフィド結合とを有する化合物を酵素に反
応させると形成される。ここで用いる化合物は、常温か
つ中性付近のpHで酵素に反応させることができるN−
サクシニミディル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピ
オネート(SPDP)が好ましい。SPDPは、酵素の
末端アミノ基と反応してアミド結合を形成し、酵素に非
架橋ジスルフィド結合を導入する。
スチンがアミノ酸配列の末端に位置することは極めて稀
であり、アミノ酸配列は、通常、末端以外にシスチンを
含んでいる。したがって、末端ジスルフィド結合を持た
ない酵素については、末端にジスルフィド結合を導入す
る必要がある。末端ジスルフィド結合は、アミノ酸配列
の末端にあるアミノ基又はカルボキシル基と結合し得る
官能基とジスルフィド結合とを有する化合物を酵素に反
応させると形成される。ここで用いる化合物は、常温か
つ中性付近のpHで酵素に反応させることができるN−
サクシニミディル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピ
オネート(SPDP)が好ましい。SPDPは、酵素の
末端アミノ基と反応してアミド結合を形成し、酵素に非
架橋ジスルフィド結合を導入する。
【0017】酵素側の非架橋ジスルフィド結合と酵素担
持基材側のチオール基とのS−S交換反応は、酵素溶液
に酵素担持基材を入れて常温で反応させると達成され
る。この際、S−S交換反応は常温で進行し、チオール
基のイオウ原子と、ジスルフィド結合を構成するイオウ
原子のうち酵素側に結合しているものとの間に新たなジ
スルフィド結合が形成される。これにより、酵素が酵素
担持基材のポリマー層と結合する。利用方法 本発明の酵素担持体は、酵素により化合物を生産するた
めのバイオマス,酵素による有害物質の分解除去,バイ
オセンサー等のバイオ関連分野、高分子や繊維等の改質
加工、酵素加工での酵素の回収及び再利用等の高次加工
分野、付着した汚れを分解する自己浄化型の防汚繊維、
防臭抗菌繊維、消臭繊維等の繊維の機能化分野、消化を
促進する食物繊維等の食品分野等で利用され得る。
持基材側のチオール基とのS−S交換反応は、酵素溶液
に酵素担持基材を入れて常温で反応させると達成され
る。この際、S−S交換反応は常温で進行し、チオール
基のイオウ原子と、ジスルフィド結合を構成するイオウ
原子のうち酵素側に結合しているものとの間に新たなジ
スルフィド結合が形成される。これにより、酵素が酵素
担持基材のポリマー層と結合する。利用方法 本発明の酵素担持体は、酵素により化合物を生産するた
めのバイオマス,酵素による有害物質の分解除去,バイ
オセンサー等のバイオ関連分野、高分子や繊維等の改質
加工、酵素加工での酵素の回収及び再利用等の高次加工
分野、付着した汚れを分解する自己浄化型の防汚繊維、
防臭抗菌繊維、消臭繊維等の繊維の機能化分野、消化を
促進する食物繊維等の食品分野等で利用され得る。
【0018】このような利用分野、例えばバイオマスに
おいて本発明の酵素担持体を利用すると、化合物の生産
に関与する酵素はやがて失活する。本発明では、失活し
た酵素を酵素担持体から除去して新しい酵素を酵素担持
体に導入できる。この場合は、酵素担持体を上述のDT
Tのような還元剤を用いて常温で還元し、酵素と酵素担
持基材とを結合させているジスルフィド結合を開裂させ
る。これにより、酵素が酵素担持基材から離脱し、酵素
担持基材にはチオール基を有するポリマー層が再生され
る。次に、酵素担持基材を洗浄して失活した酵素を除去
し、酵素担持基材を非架橋ジスルフィド結合を有する新
しい酵素溶液と常温で反応させる。これにより、新たな
酵素担持体が得られる。なお、このような酵素の取り換
え処理は、全て常温で行われるため、処理中に酵素はダ
メージを受けにくい。
おいて本発明の酵素担持体を利用すると、化合物の生産
に関与する酵素はやがて失活する。本発明では、失活し
た酵素を酵素担持体から除去して新しい酵素を酵素担持
体に導入できる。この場合は、酵素担持体を上述のDT
Tのような還元剤を用いて常温で還元し、酵素と酵素担
持基材とを結合させているジスルフィド結合を開裂させ
る。これにより、酵素が酵素担持基材から離脱し、酵素
担持基材にはチオール基を有するポリマー層が再生され
る。次に、酵素担持基材を洗浄して失活した酵素を除去
し、酵素担持基材を非架橋ジスルフィド結合を有する新
しい酵素溶液と常温で反応させる。これにより、新たな
酵素担持体が得られる。なお、このような酵素の取り換
え処理は、全て常温で行われるため、処理中に酵素はダ
メージを受けにくい。
【0019】このように、本発明の酵素担持体は、酵素
担持基材に保持された酵素を容易に除去し、また酵素担
持基材に酵素を容易に結合できるので、失活した酵素の
取り換えが可能であり、また、酵素そのものの活性を長
寿命化する場合に比べて事実上長期に渡る酵素活性の有
効な利用が可能になる。
担持基材に保持された酵素を容易に除去し、また酵素担
持基材に酵素を容易に結合できるので、失活した酵素の
取り換えが可能であり、また、酵素そのものの活性を長
寿命化する場合に比べて事実上長期に渡る酵素活性の有
効な利用が可能になる。
【0020】
【実施例】実施例1 平均粒径が10μmの球状ナイロン6樹脂粒子5mg
を、羊毛から抽出したケラチン溶液(100μg/ml
のホウ酸緩衝液、pH8.0)に添加して1時間攪拌し
た。これにより、ケラチンが表面に物理吸着した球状ナ
イロン6樹脂粒子を得た。
を、羊毛から抽出したケラチン溶液(100μg/ml
のホウ酸緩衝液、pH8.0)に添加して1時間攪拌し
た。これにより、ケラチンが表面に物理吸着した球状ナ
イロン6樹脂粒子を得た。
【0021】上述の球状ナイロン6樹脂粒子を、リン酸
緩衝液を用いて5回洗浄した後に乾燥させ、1mMのジ
チオスレイトール(DTT)ホウ酸緩衝溶液4mlに添
加した。この状態で30分間放置してケラチンのジスル
フィド結合を還元し、ホウ酸緩衝液を用いて5回洗浄し
た。これにより、酵素担持基材を得た。一方、東洋紡株
式会社製のペルオキシダーゼ(西洋わさび由来のもの、
分子量40000、酵素活性260U/mg)溶液10
0μlと、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)350
μlとの混合液を調整し、これに10mMのN−サクシ
ニミディル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネー
ト(SPDP)を50μl加えて室温で30分間反応さ
せた。これにより、ペルオキシダーゼ1分子当たり1.
8個の2−ピリジルジスルフィド基が結合した末端ジス
ルフィド結合を有する酵素溶液が得られた。この酵素溶
液について酵素活性を測定したところ、2−ピリジルジ
スルフィド基により修飾されたペルオキシダーゼは、非
修飾のペルオキシダーゼと同等の酵素活性を保持してい
ることが確認できた。
緩衝液を用いて5回洗浄した後に乾燥させ、1mMのジ
チオスレイトール(DTT)ホウ酸緩衝溶液4mlに添
加した。この状態で30分間放置してケラチンのジスル
フィド結合を還元し、ホウ酸緩衝液を用いて5回洗浄し
た。これにより、酵素担持基材を得た。一方、東洋紡株
式会社製のペルオキシダーゼ(西洋わさび由来のもの、
分子量40000、酵素活性260U/mg)溶液10
0μlと、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)350
μlとの混合液を調整し、これに10mMのN−サクシ
ニミディル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネー
ト(SPDP)を50μl加えて室温で30分間反応さ
せた。これにより、ペルオキシダーゼ1分子当たり1.
8個の2−ピリジルジスルフィド基が結合した末端ジス
ルフィド結合を有する酵素溶液が得られた。この酵素溶
液について酵素活性を測定したところ、2−ピリジルジ
スルフィド基により修飾されたペルオキシダーゼは、非
修飾のペルオキシダーゼと同等の酵素活性を保持してい
ることが確認できた。
【0022】次に、上述の酵素担持基材を上述の酵素溶
液に添加して常温で2時間攪拌した。これにより、酵素
担持基材にペルオキシダーゼがジスルフィド結合した酵
素担持体を得た。この酵素担持体について、ペルオキシ
ダーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、粒
子1mg当たり7ngであった。次に、この酵素担持体
について、DTT溶液により還元してペルオキシダーゼ
を除去して洗浄した後に再び上述の操作によりペルオキ
シダーゼを結合するというペルオキシダーゼの脱離と再
結合の操作を10回繰り返し、ペルオキシダーゼの結合
量を酵素活性によって測定した。この結果、酵素担持基
材粒子1mg当たり9ngと逆に増加する傾向が見られ
た。実施例2 6mm角のポリエステル極細繊維織物(単糸繊度:0.
07d)を、羊毛から抽出したケラチン溶液(100μ
g/mlのホウ酸緩衝液、pH8.0)に1時間浸漬し
た。これにより、ケラチンが表面に物理吸着したポリエ
ステル極細繊維織物を得た。
液に添加して常温で2時間攪拌した。これにより、酵素
担持基材にペルオキシダーゼがジスルフィド結合した酵
素担持体を得た。この酵素担持体について、ペルオキシ
ダーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、粒
子1mg当たり7ngであった。次に、この酵素担持体
について、DTT溶液により還元してペルオキシダーゼ
を除去して洗浄した後に再び上述の操作によりペルオキ
シダーゼを結合するというペルオキシダーゼの脱離と再
結合の操作を10回繰り返し、ペルオキシダーゼの結合
量を酵素活性によって測定した。この結果、酵素担持基
材粒子1mg当たり9ngと逆に増加する傾向が見られ
た。実施例2 6mm角のポリエステル極細繊維織物(単糸繊度:0.
07d)を、羊毛から抽出したケラチン溶液(100μ
g/mlのホウ酸緩衝液、pH8.0)に1時間浸漬し
た。これにより、ケラチンが表面に物理吸着したポリエ
ステル極細繊維織物を得た。
【0023】このポリエステル極細繊維織物を、1mM
のDTTホウ酸緩衝溶液4mlに30分間浸漬し、ケラ
チンのジスルフィド結合を還元した後にホウ酸緩衝液を
用いて5回洗浄した。これにより、酵素担持基材を得
た。次に、上述の酵素担持基材を実施例1で用いたもの
と同様の酵素溶液に常温で2時間浸漬し、S−S交換反
応により酵素担持基材とペルオキシダーゼとを結合させ
た。ペルオキシダーゼの結合量は、酵素活性によって測
定したところ20ng/cm2 であった。
のDTTホウ酸緩衝溶液4mlに30分間浸漬し、ケラ
チンのジスルフィド結合を還元した後にホウ酸緩衝液を
用いて5回洗浄した。これにより、酵素担持基材を得
た。次に、上述の酵素担持基材を実施例1で用いたもの
と同様の酵素溶液に常温で2時間浸漬し、S−S交換反
応により酵素担持基材とペルオキシダーゼとを結合させ
た。ペルオキシダーゼの結合量は、酵素活性によって測
定したところ20ng/cm2 であった。
【0024】次に、このような酵素担持体を、熱水で1
0分間処理して酵素活性を完全に失活させてからDTT
溶液により還元し、失活したペルオキシダーゼを洗浄し
て除去してから再び同様の手法により新しいペルオキシ
ダーゼを結合させるというペルオキシダーゼの脱離及び
再固定の操作を行った。そして、ペルオキシダーゼの結
合量を再び酵素活性によって測定したところ、結果は1
8ng/cm2 であり、結合量はほとんど変化していな
いことが確認できた。実施例3 1cm角のナイロン6タフタ(経糸70デニール、12
フィラメント、緯糸70デニール、24フィラメント、
織密度縦120本/インチ、横90本/インチ)を実施
例1で用いたものと同様のケラチン溶液に1時間浸漬し
た。これにより、表面にケラチンが物理吸着したナイロ
ン6タフタを得た。
0分間処理して酵素活性を完全に失活させてからDTT
溶液により還元し、失活したペルオキシダーゼを洗浄し
て除去してから再び同様の手法により新しいペルオキシ
ダーゼを結合させるというペルオキシダーゼの脱離及び
再固定の操作を行った。そして、ペルオキシダーゼの結
合量を再び酵素活性によって測定したところ、結果は1
8ng/cm2 であり、結合量はほとんど変化していな
いことが確認できた。実施例3 1cm角のナイロン6タフタ(経糸70デニール、12
フィラメント、緯糸70デニール、24フィラメント、
織密度縦120本/インチ、横90本/インチ)を実施
例1で用いたものと同様のケラチン溶液に1時間浸漬し
た。これにより、表面にケラチンが物理吸着したナイロ
ン6タフタを得た。
【0025】このナイロン6タフタを、1mMのDTT
ホウ酸緩衝溶液4mlに30分間浸漬し、ケラチンのジ
スルフィド結合を還元してからホウ酸緩衝溶液を用いて
5回洗浄した。これにより、酵素担持基材を得た。一
方、アルカリプロテアーゼと40mMのSPDPとを3
7℃で1時間反応させ、アルカリプロテアーゼ1分子当
たり0.6個の2−ピリジルジスルフィド基が結合した
末端ジスルフィド結合を有する酵素溶液を得た。この酵
素溶液について酵素活性を測定したところ、2−ピリジ
ルジスルフィド基により修飾されたアルカリプロテアー
ゼは、非修飾のアルカリプロテアーゼの約90%の酵素
活性を保持していることが確認できた。
ホウ酸緩衝溶液4mlに30分間浸漬し、ケラチンのジ
スルフィド結合を還元してからホウ酸緩衝溶液を用いて
5回洗浄した。これにより、酵素担持基材を得た。一
方、アルカリプロテアーゼと40mMのSPDPとを3
7℃で1時間反応させ、アルカリプロテアーゼ1分子当
たり0.6個の2−ピリジルジスルフィド基が結合した
末端ジスルフィド結合を有する酵素溶液を得た。この酵
素溶液について酵素活性を測定したところ、2−ピリジ
ルジスルフィド基により修飾されたアルカリプロテアー
ゼは、非修飾のアルカリプロテアーゼの約90%の酵素
活性を保持していることが確認できた。
【0026】次に、上述の酵素溶液に上述の酵素担持基
材を常温で2時間浸漬した。これにより、酵素担持基材
にアルカリプロテアーゼがジスルフィド結合した酵素担
持体を得た。この酵素担持体について、アルカリプロテ
アーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、4
9ng/cm2 であった。次に、このような酵素担持体
について実施例2と同様にアルカリプロテアーゼの脱離
及び再結合の操作を行った。その後、アルカリプロテア
ーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、結果
は47ng/cm2 であり、当初とほぼ同じであること
が確認できた。実施例4 ナイロン6タフタに代えてポリエステルタフタ(繊度7
5デニール、36フィラメント、織密度縦98本/イン
チ、横84本/インチ)を用いた点を除き、実施例3と
同様の処理によりアルカリプロテアーゼの結合量が22
ng/cm2 の酵素担持体を得た。
材を常温で2時間浸漬した。これにより、酵素担持基材
にアルカリプロテアーゼがジスルフィド結合した酵素担
持体を得た。この酵素担持体について、アルカリプロテ
アーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、4
9ng/cm2 であった。次に、このような酵素担持体
について実施例2と同様にアルカリプロテアーゼの脱離
及び再結合の操作を行った。その後、アルカリプロテア
ーゼの結合量を酵素活性によって測定したところ、結果
は47ng/cm2 であり、当初とほぼ同じであること
が確認できた。実施例4 ナイロン6タフタに代えてポリエステルタフタ(繊度7
5デニール、36フィラメント、織密度縦98本/イン
チ、横84本/インチ)を用いた点を除き、実施例3と
同様の処理によりアルカリプロテアーゼの結合量が22
ng/cm2 の酵素担持体を得た。
【0027】この酵素担持体について、実施例3と同様
にアルカリプロテアーゼの脱離及び再結合の操作を行っ
た。その後、アルカリプロテアーゼの結合量を酵素活性
によって測定したところ、結果は19ng/cm2 であ
り、当初とほぼ同じであることが確認できた。実施例5 リパーゼBと10mMのSPDPとを室温で1時間反応
させ、リパーゼB1分子当たり1.0個の2−ピリジル
ジスルフィド基が結合した末端ジスルフィド結合を有す
る酵素溶液を得た。この酵素溶液の酵素活性を測定した
ところ、2−ピリジルジスルフィド基により修飾された
リパーゼBは、非修飾のリパーゼBと同等の酵素活性を
保持していることが確認できた。
にアルカリプロテアーゼの脱離及び再結合の操作を行っ
た。その後、アルカリプロテアーゼの結合量を酵素活性
によって測定したところ、結果は19ng/cm2 であ
り、当初とほぼ同じであることが確認できた。実施例5 リパーゼBと10mMのSPDPとを室温で1時間反応
させ、リパーゼB1分子当たり1.0個の2−ピリジル
ジスルフィド基が結合した末端ジスルフィド結合を有す
る酵素溶液を得た。この酵素溶液の酵素活性を測定した
ところ、2−ピリジルジスルフィド基により修飾された
リパーゼBは、非修飾のリパーゼBと同等の酵素活性を
保持していることが確認できた。
【0028】次に、上述の酵素溶液に実施例3で用いた
ものと同様の酵素担持基材を常温で2時間浸漬し、S−
S交換反応によりリパーゼBと酵素担持基材とを結合さ
せた。リパーゼBの結合量は、酵素活性によって測定し
たところ13ng/cm2 であった。この酵素担持体に
ついて、実施例2と同じ手法によりリパーゼBの脱離及
び再結合の操作を行った。そして、リパーゼBの結合量
を酵素活性によって測定したところ、結果は10ng/
cm2 であり、当初とほぼ同じであることが確認でき
た。実施例6 ナイロン6タフタに代えて実施例4で用いたポリエステ
ルタフタを用いて実施例5と同様の処理を行い、リパー
ゼBの結合量が20ng/cm2 の酵素担持体を得た。
ものと同様の酵素担持基材を常温で2時間浸漬し、S−
S交換反応によりリパーゼBと酵素担持基材とを結合さ
せた。リパーゼBの結合量は、酵素活性によって測定し
たところ13ng/cm2 であった。この酵素担持体に
ついて、実施例2と同じ手法によりリパーゼBの脱離及
び再結合の操作を行った。そして、リパーゼBの結合量
を酵素活性によって測定したところ、結果は10ng/
cm2 であり、当初とほぼ同じであることが確認でき
た。実施例6 ナイロン6タフタに代えて実施例4で用いたポリエステ
ルタフタを用いて実施例5と同様の処理を行い、リパー
ゼBの結合量が20ng/cm2 の酵素担持体を得た。
【0029】この酵素担持体について、実施例2と同じ
手法によりリパーゼBの脱離及び再結合の操作を行っ
た。そして、リパーゼBの結合量を酵素活性によって測
定したところ、結果は17ng/cm2 であり、当初と
ほぼ同じであることが確認できた。比較例1 ジフェニルカルボジイミド存在下において、実施例3で
用いたものと同様のナイロン6タフタとペルオキシダー
セとを40℃で10時間反応させた。洗浄後のナイロン
6タフタの酵素活性を調べたところ、酵素活性は確認で
きなかった。一方、洗浄液に反応前と同等の酵素活性が
確認された。これより、ペルオキシダーゼはナイロン6
タフタに全く固定化されなかったことが確認された。比較例2 比較例1と同様の反応を90℃で5時間行ったが、洗浄
後のナイロン6タフタには酵素活性が確認できなかっ
た。また、洗浄液にも酵素活性が確認されなかった。こ
れより、このような反応条件の下では、ペルオキシダー
ゼが完全に失活してしまうことが確認できた。
手法によりリパーゼBの脱離及び再結合の操作を行っ
た。そして、リパーゼBの結合量を酵素活性によって測
定したところ、結果は17ng/cm2 であり、当初と
ほぼ同じであることが確認できた。比較例1 ジフェニルカルボジイミド存在下において、実施例3で
用いたものと同様のナイロン6タフタとペルオキシダー
セとを40℃で10時間反応させた。洗浄後のナイロン
6タフタの酵素活性を調べたところ、酵素活性は確認で
きなかった。一方、洗浄液に反応前と同等の酵素活性が
確認された。これより、ペルオキシダーゼはナイロン6
タフタに全く固定化されなかったことが確認された。比較例2 比較例1と同様の反応を90℃で5時間行ったが、洗浄
後のナイロン6タフタには酵素活性が確認できなかっ
た。また、洗浄液にも酵素活性が確認されなかった。こ
れより、このような反応条件の下では、ペルオキシダー
ゼが完全に失活してしまうことが確認できた。
【0030】
【発明の効果】本発明に係る酵素担持基材は、酵素とジ
スルフィド結合し得るポリマー層を担体にコートしたの
で、常温でも容易に酵素を着脱できる。本発明に係る酵
素担持体は、担体にコートされたポリマーと酵素とをジ
スルフィド結合により結合させているので、失活した酵
素を常温で容易に交換できる。
スルフィド結合し得るポリマー層を担体にコートしたの
で、常温でも容易に酵素を着脱できる。本発明に係る酵
素担持体は、担体にコートされたポリマーと酵素とをジ
スルフィド結合により結合させているので、失活した酵
素を常温で容易に交換できる。
【0031】本発明に係る酵素担持基材の製造方法は、
担体を用意する工程と、担体にチオール基を有するポリ
マーをコートする工程とを含んでいるので、常温で容易
に酵素を着脱できる酵素担持基材を製造できる。本発明
に係る酵素担持体の製造方法は、担体を用意する工程
と、担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程と、ポリマーを非架橋ジスルフィド結合を有する酵素
溶液により処理する工程とを含んでいるので、失活した
酵素を常温で容易に交換できる酵素担持体を製造でき
る。
担体を用意する工程と、担体にチオール基を有するポリ
マーをコートする工程とを含んでいるので、常温で容易
に酵素を着脱できる酵素担持基材を製造できる。本発明
に係る酵素担持体の製造方法は、担体を用意する工程
と、担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程と、ポリマーを非架橋ジスルフィド結合を有する酵素
溶液により処理する工程とを含んでいるので、失活した
酵素を常温で容易に交換できる酵素担持体を製造でき
る。
フロントページの続き (72)発明者 高垣 裕 大阪市東成区中道一丁目3番69号
Claims (4)
- 【請求項1】酵素を担持するための酵素担持基材であっ
て、 担体と、前記担体にコートされかつ前記酵素とジスルフ
ィド結合し得るポリマー層とを備えた酵素担持基材。 - 【請求項2】担体と、前記担体にコートされたポリマー
と、前記ポリマーにジスルフィド結合している酵素とを
備えた酵素担持体。 - 【請求項3】担体を用意する工程と、 前記担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程と、を含む酵素担持基材の製造方法。 - 【請求項4】担体を用意する工程と、 前記担体にチオール基を有するポリマーをコートする工
程と、 前記ポリマーを非架橋ジスルフィド結合を有する酵素に
より処理する工程と、を含む酵素担持体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4165822A JPH08126489A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 酵素担持基材、酵素担持体及びこれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4165822A JPH08126489A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 酵素担持基材、酵素担持体及びこれらの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08126489A true JPH08126489A (ja) | 1996-05-21 |
Family
ID=15819661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4165822A Pending JPH08126489A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 酵素担持基材、酵素担持体及びこれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08126489A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007036235A1 (en) | 2005-09-30 | 2007-04-05 | Novozymes A/S | Immobilization of enzymes |
WO2014067933A1 (en) | 2012-10-31 | 2014-05-08 | C-Lecta Gmbh | Bioactive carrier preparation for enhanced safety in care products and food |
JP2021101015A (ja) * | 2006-11-22 | 2021-07-08 | トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド | 生物機能材料 |
-
1992
- 1992-06-24 JP JP4165822A patent/JPH08126489A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007036235A1 (en) | 2005-09-30 | 2007-04-05 | Novozymes A/S | Immobilization of enzymes |
JP2021101015A (ja) * | 2006-11-22 | 2021-07-08 | トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド | 生物機能材料 |
WO2014067933A1 (en) | 2012-10-31 | 2014-05-08 | C-Lecta Gmbh | Bioactive carrier preparation for enhanced safety in care products and food |
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