JPH0812110B2 - フアブリ・ペロ−分光装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はファブリ・ペロー分光装置に関し、特に分光
を行う反射膜面を有する２枚の透明板より成るファブリ
・ペロー干渉板に入射角若しくは屈折角の異なる光束を
複数回入射させることにより所定波長の光束を容易に取
り出すことのできる簡易な構成のファブリ・ペロー分光
装置に関するものである。

（従来の技術） 従来よりファブリ・ペロー分光装置は波長分解能が比
較的高い分光装置として良く知られている。ファブリ・
ペロー分光装置に用いられている分光を行う、所謂ファ
ブリ・ペロー干渉板は例えば第３図に示す構成より成っ
ている。同図において41,43は各々高反射膜面、42,44は
各々ガラス板、45は入射光、46は透過光である。ガラス
板42,44は間隔ｈを隔てて配置され、各々の高反射膜面4
1,43で多重反射した結果生ずる多波干渉を利用して分光
を行っている。

一般にファブリ・ペロー干渉板にある所定の入射角で
白色光を入射させたとき透過光における波長分解能は間
隔ｈに依存し、例えば間隔ｈが長くなればなる程良くな
ってくる。

しかしながら波長分解能を高めると、それに比例して
隣接波長の間隔が小さくなり分光器としては波長域が狭
くなる欠点を有している。

この為従来より他の分光器、例えばプリズム分光器等
と組み合わせることにより、特定波長を高分解能で分光
させるようにしていた。

しかしながらプリズム分光器等他の分光器を併用する
と両分光器の光軸合わせや収差補正等のマッチングが必
要となり、装置全体が大型化してくる欠点があった。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は他の分光器等を併用することなく、高い波長
分解能が容易に得られ、しかも広い分光波長域が得られ
る簡易な構成のファブリ・ペロー分光装置の提供を目的
とする。

（問題点を解決する為の手段） 一方の面を反射し、且つ一定量透過する構成の反射膜
を施した反射膜面を有する透明板を２枚、各々の反射膜
面が互いに対向するように配置したファブリ・ペロー分
光装置において、前記２つの透明板のうち少なくとも一
方の透明板を該透明板の反射膜面の反対側の面の少なく
とも一部を該反射膜面に対し非平行とし、更に前記２つ
の透明板の各々の反射膜面とは反対側の面に部分的に反
射膜を施し、対向する前記各々の反射膜面に光束を３回
経由させるように構成したことである。

（実施例） 第１図は本発明の実施例の前提となるファブリ・ペロ
ー分光装置に用いるファブリ・ペロー干渉板と分光され
た透過光を集光する集光レンズの概略図である。図中1,
2は各々透明板、3,4は各々透明板1,2に吸収がなく高反
射でしかも一定量透過する構成の反射膜を施した反射膜
面、５はピエゾ素子で透明板1,2を所定の間隔で平行に
保持している。Ｌは集光レンズである。

又ピエゾ素子５に電圧を適当に印加することにより２
つの透明板1,2の間隔を制御している。

反射膜面３と４とで構成する間隔ｈを制御することに
より、所定の波長分解能を得ている。

本実施例におけるファブリ・ペロー干渉板において
は、反射膜面３と４に少なくとも２回、屈折角が異なる
ように光束７を入射させる為に透明板２の反射膜面４の
反対側の面６を反射膜面４に対して非平行となるように
所定の角度を付与し、かつ面６に反射膜を施して反射面
としている。これにより所定の波長のみを有した透過光
７′とし集光レンズＬで集光している。即ち光束７を反
射膜面3,4より成る間隔ｈのファブリ・ペロー干渉板に
屈折角がθ１′となるように入射させ、透過光を面６で
反射させ再度ファブリ・ペロー干渉板に屈折角がθ２′
となるように入射させ、これにより隣接波長を除去し、
所定の波長のみを有する透過光７′として取り出してい
る。

次に本実施例における反射膜面４と面６との角度設定
について説明する。

反射膜面３と４の間の媒質の屈折率をｎ′、透明板２
の屈折率をｎ、第１番目の反射膜面３と４の間の媒質中
での光束７の屈折角をθ１′、第２番目の反射膜面３と
４の間の媒質中での光束７の屈折角をθ２′、前記屈折
角θ１′とθ２′の透明板２中の屈折角を各々θ１とθ
２、反射膜面３と４の間隔をｈ、反射膜面３と面６の所
定の角度をα、光束７のうち透過する波長をλ、前記屈
折角θ１′でのファブリ・ペローの干渉次数をＭ、前記
屈折角θ２′でのファブリ・ペロー干渉次数をＮとする
と次の関係式が得られる。

ここで（１）式は次のように書き替えることができ
る。

例えばθ１′＝36.94゜,M＝4,N＝5,n′＝1,n＝1.46と
した時の角度αは次のようになる。

θ２′＝2.46゜ このように本実施例では反射膜面４と面６とのなす角
度αを設定することにより所定の波長のみを有する光束
を高い波長分解能で取り出している。即ち所定の間隔ｈ
を有するファブリ・ペロー干渉板に複数個（本実施例で
は２回であるが２回以上であっても良い。）光束を入射
させることにより干渉を強めさせ、特定波長のみを高い
波長分解能を有しつつ効率的よく分光して取り出すよう
にしている。

第２図は以上の前提をふまえた本発明の一実施例の概
略図である。同図において第１図と同じ要素には同符番
を付してある。

第２図に示す実施例では透明板１の反射膜面３の反対
側の面８の一部分に反射膜を施し反射面９としている。
又透明板２の反射膜面４の反対側の面のうち一部分10を
所定の角度を有し、かつ反射膜を施した反射面とし他の
部分11を透過面となるように構成している。

本実施例では光束12を反射膜面3,4に対し、まず１回
目の透過を行い、反射面10で反射させた後、反射膜面3,
4に対し、２回目の透過を行っている。そして反射面９
で反射させた後、反射膜面3,4に対し３回目の透過を行
った後、透過面11より出射させている。

このように本実施例では反射膜面3,4を２回以上透過
させることにより、より良好なる分光を行っている。

尚本実施例のように反射膜面3,4を３回透過させる場
合、２回を光束が同一屈折角となるようにすれば分光さ
せた光束の半値幅を減少させることが出来る。又反射面
９を反射面３に対して傾ければ反射膜面３と４との間の
媒質中での屈折角を更に１つ増やすことになり、使用波
長域をより増加させることができる。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば２つの透明板を前述の如
く構成したファブリ・ペロー干渉板を利用することによ
り、外気の温度や振動等に対して安定性があり、又構成
要素が少ない為、装置全体の小型化が容易で更に組立時
の調整が容易な高精度のファブリ・ペロー分光装置を達
成することができる。

本発明は特に２つの透明板の各々の反射膜面とは反対
側の面に部分的に反射膜を施し、対向する各々の反射膜
面に光束を３回経由させるように構成したことによっ
て、他の部材を介することなく取り出される所定波長の
光束の波長分解能を向上でき、また隣接波長の間隔を大
きくして自由スペクトル域を拡大できる。又同時に光束
の入射時と出射時の進行方向を概略同じにできるので、
入出射光路を逆向きにしなければならない構成に比べて
他の光学系配置がより容易にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の前提となる光学系の概略図、第２図は
本発明の実施例のファブリ・ペロー干渉計の概略図、第
３図は従来のファブリ・ペロー干渉板の説明図である。
図中1,2は透明板、3,4は反射膜面、５はピエゾ素子、6,
9,10は反斜面、7,12は入射光束、７′,12′は射出光
束、Ｌは集光レンズである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴 攻 神奈川県川崎市中原区今井上町53番地 キ ヤノン株式会社小杉事業所内 (72)発明者 原 和彦 神奈川県川崎市中原区今井上町53番地 キ ヤノン株式会社小杉事業所内 (72)発明者 此内 修 神奈川県川崎市中原区今井上町53番地 キ ヤノン株式会社小杉事業所内 (56)参考文献 特公 昭53−31027（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭52−8104（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一方の面を反射し、且つ一定量透過する構
   成の反射膜を施した反射膜面を有する透明板を２枚、各
   々の反射膜面が互いに対向するように配置したファブリ
   ・ペロー分光装置において、前記２つの透明板のうち少
   なくとも一方の透明板を該透明板の反射膜面の反対側の
   面の少なくとも一部を該反射膜面に対し非平行とし、更
   に前記２つの透明板の各々の反射膜面とは反対側の面に
   部分的に反射膜を施し、対向する前記各々の反射膜面に
   光束を３回経由させるように構成したことを特徴とする
   ファブリ・ペロー分光装置。