JPH08117524A - フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

フィルタ及びその製造方法

Info

Publication number
JPH08117524A
JPH08117524A JP6280078A JP28007894A JPH08117524A JP H08117524 A JPH08117524 A JP H08117524A JP 6280078 A JP6280078 A JP 6280078A JP 28007894 A JP28007894 A JP 28007894A JP H08117524 A JPH08117524 A JP H08117524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
deodorizing
dust removing
dust
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6280078A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Kadowaki
覚 門脇
Kunio Okamoto
邦夫 岡本
Makoto Suzuki
鈴木  誠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NipponDenso Co Ltd filed Critical NipponDenso Co Ltd
Priority to JP6280078A priority Critical patent/JPH08117524A/ja
Publication of JPH08117524A publication Critical patent/JPH08117524A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 脱臭機能と除塵機能の両方に優れ,かつ,圧
力損失が低いフィルタ及びその製造方法を提供するこ
と。 【構成】 脱臭材2と除塵材3とを混在させてなる。脱
臭材2には吸着剤を用い,一方除塵材3には帯電繊維を
用い,両者を一体的に混合してなることが好ましい。上
記吸着剤は多孔質体であることが好ましい。フィルタを
製造するには,脱臭材と除塵材とバインダとを混合し,
所望形状に成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,脱臭及び除塵機能を有
する,ガス浄化用のフィルタ及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】近年,快適志向に伴い,室内あるいは車室
内の空気中の臭気や塵埃を除去するために,脱臭機能と
除塵機能の両方を備えた空気浄化用のフィルタが使用さ
れている。従来,脱臭機能のみを有する脱臭フィルタと
しては,吸着剤として活性炭を用いた低圧損のハニカム
形状フィルタ等がある。また,除塵機能のみを有する除
塵フィルタとしては,特開平3−196813号公報に
示された低圧損のハニカム形状のものなどがある。
【0003】そして,脱臭及び除塵の両機能を備えたフ
ィルタとしては,脱臭機能を有するフィルタネットと除
塵機能を有する不織布を,2層に層状に組み合わせて作
製したフィルタ(特開平4−60320号公報)等があ
る。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のフ
ィルタ及びその製造方法においては,次の問題がある。
即ち,脱臭あるいは除塵フィルタなど一つの機能のみを
有する単機能フィルタでは圧力損失の少ない低圧損のフ
ィルタであっても,それらを組み合わせて両方の機能を
有するフィルタを作製すると,圧力損失が高くなる。一
方,圧力損失を上記単機能フィルタと同等にする場合に
は,ガス流通断面積を大きくする必要があり,フィルタ
が大型化してしまう。
【0005】また,脱臭材と除塵材とが互いに単独の層
に存在しているため,脱臭材の層中をガスが通過する際
には,臭気ガスだけではなく塵埃も脱臭材に付着し,そ
の表面を被覆してしまう。同様に,除塵材の表面には塵
埃だけではなく臭気ガスも付着してしまう。そのため,
脱臭材の脱臭機能,及び除塵材の除塵機能,即ち,本来
のそれぞれの機能の劣化が促進され,寿命が短くなる。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,脱臭機能と除塵機能の両方に優れ,か
つ,圧力損失が低く,寿命が長い,フィルタ及びその製
造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】第1の発明は,脱臭材と除塵材とを
混在させてなることを特徴とするフィルタにある。即
ち,本発明においては,脱臭機能を有する上記脱臭材と
除塵機能を有する上記除塵材とが,それぞれ単独の層あ
るいは固まり状に形成されているのではなく,入り混ざ
って一体的に存在している。
【0008】上記脱臭材には吸着剤を用い,一方上記除
塵材には帯電繊維を用い,両者を一体的に混合してなる
ことが好ましい。これにより,脱臭材と除塵材を簡単に
混在させることができ,かつ,十分な脱臭,除塵機能を
発揮することができる。即ち,脱臭材に上記多孔質体の
吸着剤を用いた場合には,吸着剤の表面エネルギーによ
り臭気ガスを効率よく吸着することができる。また,通
常,塵埃は+−いずれかに帯電しているため,除塵材に
帯電繊維を用いた場合には,塵埃を効率よく捕獲するこ
とができる。
【0009】また,上記吸着剤は多孔質体であることが
好ましい。これにより,優れた脱臭効果を得ることがで
きる。上記吸着剤としては,活性炭,活性炭素繊維,シ
リカゲル,γ−アルミナ,ゼオライト,添着活性炭等が
あり,比表面積が大きいものほど吸着性能が高い。
【0010】また,上記添着活性炭の添着剤としては,
塩基性ガス吸着用及び酸性ガス吸着用として,それぞれ
以下のものがある。塩基性ガス吸着用としては,酒石
酸,リンゴ酸等のジカルボン酸類,硝酸コバルト,鉄,
銅等の金属塩類等があり,これらはアンモニアガスと反
応するものである。また,酸性ガス吸着用としては,3
−アミノプロピルトリハイドロシラン,γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等のアミノ基を含む有機ケイ素
化合物,アニリン誘導体,金属塩類等があり,これらは
硫化水素及びアセトアルデヒドガスと反応するものであ
る。
【0011】また,上記帯電繊維としては,外部の電極
からイオンを強制的に打ち込むエレクトロ・エレクトレ
ット法を用いて,ポリプロピレン等のポリマーの繊維を
帯電させたエレクトレット繊維がある。上記ポリマーと
しては,ポリプロピレンの他に,テフロン,シリコン樹
脂,エポキシ樹脂,ポリオレフィン類,ポリスチレン誘
導体,ポリスチレン,ポリアミド,ポリビニルハライ
ト,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリカーボネイト
等を用いることができる。
【0012】また,上記帯電繊維の帯電法としては,上
記エレクトロ・エレクトレット法の外に,電界下で紫外
線などを照射するホト・エレクトレット法,高分子ポリ
マーに応力を加えて塑性流動させるメカノ・エレクトレ
ット法,温度を上昇させた状態で高分子ポリマーに高電
界を印加するサーモ・エレクトレット法,温度を上昇さ
せ磁場をかけるマグネット・エレクトレット法,γ線な
どの電磁波を照射するラジオ・エレクトレット法等を使
用することができる。
【0013】また,帯電繊維の帯電手順として,繊維の
段階で繊維全長に印加する方法と,織りあがった不織布
に印加する方法がある。この場合,前者の方法による方
が,高密度で均一な電荷が得られる。その他,2枚のエ
レクトレットフィルムを同極同士重ね合わせたものは,
電荷密度の減衰がほとんどないこという特徴もある。
【0014】上記第1の発明のフィルタを製造する方法
としては,脱臭材と除塵材とバインダとを混合し,所望
形状に成形する方法がある。具体的な成形方法として
は,押出成形法,プレス成形法,流し込み成形法,発泡
成形法,吸着剤結着成形法等がある。そしてこれらの成
形方法を用いて,上記吸着剤と帯電繊維の混合物からな
る原料にバインダを混合して,ハニカム構造,三次元網
目構造体等のフィルタ形状に成形する。以下,簡単に各
成形方法について説明する。
【0015】押出成形法においては,まず,上記原料に
バインダを加えて混練し,その混練物を押出成形機によ
り,所望形状を有する長尺の押出成形品に成形する。次
いで,所定の長さに切断した押出成形品を乾燥して,上
記フィルタを得る(図2参照)。プレス成形法には,湿
式法と乾式法がある。湿式法においては,上記原料にバ
インダを加えて混練し,土練機により,所望サイズに押
し出し切断する。次いで,連通孔を設けるためのピンが
設置してあるフィルタ成形型に入れ,プレスする事によ
り,土練機より押し出した成形品に連通孔を設ける。そ
して,その成形品を脱型して100℃において3時間乾
燥して,上記フィルタを得る。また乾式法においては,
上記原料にバインダを加えて混練し,スプレードライヤ
により造粒後,連通孔を設けるためのピンが設置してあ
るフィルタ成形型に充填して,プレスする事により上記
フィルタを得る。
【0016】流し込み法においては,上記原料とバイン
ダを混合してスラリー状にした原料スラリーを型内に流
し込み,型内で脱水,乾燥した後,型から外して上記フ
ィルタを得る。発泡成形法においては,上記原料にポリ
オール,イソシアネート及び触媒を加えて調合し,調合
した原料を発泡用容器内に入れ,発泡させて上記フィル
タを得る。
【0017】吸着剤結合法においては,原料とバインダ
を混合して型内に装入し,上型で適度に圧力を加えた状
態で熱処理を行い,成形する。その他の方法として,上
記原料にバインダと昇華性物質を加えて混合したものを
型内に入れて加熱する方法がある。これにより,昇華性
物質が昇華して多数の空隙が形成され,多孔質形状のフ
ィルタを得ることができる。なお,上記昇華性物質とし
ては,ナフタリン,ヨウ素,ショウノウなどがある。
【0018】また,上記原料として吸着剤と帯電繊維に
加えるバインダとしては,カルボキシメチルセルロース
とアクリルエマルジョンを用いることが好ましい。これ
により乾燥中にバインダが表面析出して膜が生成し,内
部にはバインダが存在しなくなるというマイグレーショ
ンを起こしにくく,吸着剤等の細孔閉塞もほとんどな
く,絶縁効果も保有できる。また,耐水性にも優れ,ス
ラリー粘度のコントロール,乾燥強度の調整も容易であ
る。
【0019】このカルボキシメチルセルロース,アクリ
ルエマルジョンの他に,カルボキシメチルセルロースの
アンモニウム塩,酢酸ビニルエマルジョン,エチレン酢
ビ共重合体エマルジョン,スチレン−酢ビ共重合体エマ
ルジョン,アクリル水溶性高分子,メチルセルロース等
の有機バインダや,アルミナゾル,リチウムシリケート
等の無機バインダを用いることができる。
【0020】次に第2の発明は,脱臭材と除塵材とが,
担体の表面に混在して担持してあることを特徴とするフ
ィルタにある。上記脱臭材と除塵材は,第1の発明と同
様に,それぞれ単独の層あるいは固まり状に形成されて
いるのではなく,入り混ざって一体的に担体表面に存在
している。
【0021】また,上記脱臭材及び除塵材としては,上
記第1の発明のものと同様のものがある。また,上記担
体としては,段ボールハニカム,ウレタンフォーム,セ
ラミックハニカム,金網ハニカム,樹脂製ハニカム等が
ある。
【0022】上記第2の発明のフィルタの製造方法とし
ては,脱臭材と除塵材とバインダとを混合し,この混合
物を担体の表面に担持させる方法がある。尚,バインダ
としては,上記第1の発明と同様のものがある。上記担
持方法の具体例としては,含浸法,スプレー法,粉末吹
付法,静電塗装法等がある。以下,簡単に各担持方法に
つき説明する。
【0023】含浸法においては,まず,担持させる脱臭
材と除塵材に,バインダと水を加えてスラリー状の原料
スラリーを調合する。次いで,担体を上記原料スラリー
中に浸漬し,担体に原料スラリーを含浸させる。次い
で,原料スラリーを含浸した担体を例えば2本のローラ
間を通して,余分な原料スラリーを除去する,又は,余
分な原料スラリーや原料スラリーの膜張り部分をエアー
ブロー等により除去して連通処理を行なう。その後,乾
燥して上記フィルタを得る。
【0024】スプレー法においては,まず,上記含浸法
と同様の原料スラリーを調合する。そして,その原料ス
ラリーをスプレーを用いて,担体に均一に十分に塗布す
る。次いで,含浸法と同様に連通処理を行った後乾燥し
て上記フィルタを得る。
【0025】粉末吹付法においては,まず,上記バイン
ダのみを担体に塗布する。次いで,脱臭材と除塵材を混
合した原料を担体に均一に十分に吹き付ける。これによ
り,上記原料は,バインダによって担体表面に接着す
る。次いで,余分の未接着の原料を除去した後,乾燥さ
せることによって上記フィルタを得る。静電塗装法は,
上記粉末吹付法における吹き付けを,静電塗装法を用い
て行うものであり,その他は上記粉末吹付法と同様であ
る。
【0026】
【作用および効果】第1の発明のフィルタにおいては,
脱臭材と除塵材とが混在し,極近傍に隣接している。そ
のため,脱臭材と除塵材との間を通過する粒子等に対し
ては,それぞれの機能が優先的に作用する。即ち,フィ
ルタを通過するガス中に含まれる臭気ガスは選択的に脱
臭材に吸着され,塵埃は選択的に除塵材に捕獲される。
【0027】これにより,塵埃が吸着剤を被覆すること
による吸着力の早期劣化を防止できるとともに,臭気ガ
スが除塵材へ付着することによる捕獲効率の早期劣化を
防止することができる。また,脱臭フィルタと除塵フィ
ルタとを互いに組み合わせる必要がないため,ハニカム
構造等の圧力損失が低い単機能フィルタと同様の形状に
することができる。そのため,脱臭と除塵の両機能を備
えていても低い圧力損失にすることができ,製造コスト
も大幅に低減できる。
【0028】また,第2の発明においては,脱臭材と除
塵材とを担体の表面に担持している。そのため,脱臭材
と除塵材の有効使用率が高まる効果と,担体の構造によ
り,圧損,脱臭性能をコントロールする効果が得られ
る。また,上記第1の発明と同様の効果を得ることがで
きる。
【0029】従って,本発明によれば,脱臭機能と除塵
機能の両方に優れ,かつ,圧力損失が低く,寿命が長
い,フィルタ及びその製造方法を提供することができ
る。また,上記製造方法によれば,それぞれ上記のごと
き優れたフィルタを得ることができる。
【0030】
【実施例】
実施例1 第2の発明の実施例にかかるフィルタにつき,図1を用
いて説明する。本例のフィルタは,図1に示すごとく,
脱臭材2と除塵材3とが,担体(図示略)の表面に混在
して担持してある。上記脱臭材2としては,多孔質体の
吸着剤である活性炭を用いた。この活性炭は,比表面積
1200m2 /g,粒径15〜1000μmの粒状の活
性炭である。
【0031】また,上記除塵材3としては,図1に示す
ごとく,+(プラス)に帯電した正電荷面31と,−
(マイナス)に帯電した負電荷面32を表裏に合わせ持
つ帯電繊維を用いた。この帯電繊維は,ポリプロピレン
を材料として用い,エレクトロ・エレクトレット法によ
り帯電させた,いわゆるエレクトレット繊維である。ま
た,この帯電繊維は,繊維の段階において全長に渡って
印加してあるため,従来の不織布に印加させたものより
も,電荷が高密度かつ均一に分布している。
【0032】また,上記担体としては,段ボールハニカ
ムを用いた。この段ボールハニカムは,JIS−Z15
16に規定された30cm当たりの段の数が51±3山
のB段の段ボールハニカムであり,その成形には,耐水
性の酢ビエマルジョンよりなる接着剤を用いた。そし
て,担体の表面には,図1に示すごとく,上記脱臭材2
と除塵材3とが極近傍に隣接して混在しており,かつ,
両者の間には数μm〜数10μmのポアー49が存在
し,多孔質状態が形成されている。
【0033】次に,本例のフィルタの製造方法につき説
明する。本例のフィルタを製造するに当たっては,含浸
法によって,上記脱臭材2と除塵材3を担体に担持させ
た。この方法においては,まず,脱臭材2と除塵材3と
からなる原料にバインダを加えて原料スラリーを調合す
る。調合手順としては,重量比で1:1の割合の脱臭材
2と除塵材3とを水中に投入し,バインダーを加えて3
0分間攪拌混合する。尚,水は上記原料に対して重量比
で4倍の量を用いた。
【0034】上記バインダとしては,カルボキシメチル
ロースとアクリルエマルジョンを用い,それぞれ上記原
料に対して10wt%,5wt%添加した。これらのバ
インダを用いることにより,マイグレーションはほとん
ど発生せず,また,吸着剤の細孔閉塞もほとんどなく,
かつ,上記活性炭間及び活性炭と帯電繊維間の絶縁を成
すことができる。
【0035】次いで,担体として使用する段ボールハニ
カムを上記原料スラリー中に5分間浸漬し,担体に原料
スラリーを含浸させる。次いで,原料スラリーを含浸し
た担体を引き上げて,エアースプレーにより空気を吹き
つけ,余分な原料スラリーを除去する連通処理を行う。
その後,60℃において3時間乾燥させることにより,
上記脱臭材2と除塵材3を担持したフィルタを製造し
た。
【0036】尚,ポリプロピレンからなる帯電繊維は,
水中においては約24時間安定であるため,上記含浸処
理においては問題は発生しない。また,上記帯電繊維
は,65℃以上に保持すると表面電荷の減衰が起こりや
すいが,本例の場合は60℃で行うため,その性能を劣
化させるような問題はない。このようにして得られたフ
ィルタに担持した原料の担持量は,0.05〜0.10
g/ccであった。
【0037】次に,本例における作用効果につき説明す
る。本例のフィルタにおいては,図1に示すごとく,脱
臭材2と除塵材3とが混在し,両者は極近傍に隣接して
いる。そのため,それぞれの機能は優先的に作用する。
即ち,フィルタを通過するガス中に含まれる臭気ガス4
は,活性炭の表面エネルギーにより選択的に効率よく脱
臭材2に吸着させることができる。また,塵埃5は,帯
電繊維の電気的作用により選択的に効率よく除塵材3に
捕獲させることができる。
【0038】これにより,塵埃5が脱臭材2を被覆する
ことによる吸着力の早期劣化を防止できるとともに,臭
気ガス4が除塵材3へ付着することによる捕集効率の早
期劣化を防止することができる。また,脱臭フィルタと
除塵フィルタを,互いに組み合わせる必要がないため,
ハニカム構造等の圧力損失が低い単機能フィルタと同様
の形状にすることができる。そのため,脱臭と除塵の両
機能を備えていても低い圧力損失にすることができ,従
来のものに比べて小型化することができ,製造コストも
大幅に低下する。また,これにより,使用しうる環境の
範囲が大幅に広くなる。
【0039】また,本例のフィルタは,上記脱臭材2,
除塵材3を担体に担持させているので,脱臭材と除塵材
の有効使用率が高まり,また,担体の構造により圧損,
脱臭性能をコントロールする効果が得られる。従って,
本例によれば,脱臭機能と除塵機能の両方に優れ,か
つ,圧力損失が低く,寿命が長い,フィルタ及びその製
造方法を提供することができる。
【0040】次に,本発明品の性能を比較品と比較調査
した結果を示す。比較調査としては,除塵性能,脱臭性
能及び圧力損失の評価を行った。本発明品としては,2
00mm(幅)×200mm(長さ)×20mm(厚
み)のものを使用した。
【0041】また,比較品としては,本発明品と同量の
活性炭と帯電繊維をそれぞれ用い,予め活性炭で作製し
た脱臭フィルタと,予め帯電繊維で作製した除塵フィル
タを用い,こられを重ね合わせた形状に組み合わせたも
のを使用した。この比較品のフィルタ容積は,本発明の
2倍の容積とした。
【0042】まず,除塵性能評価の試験方法は,対象粉
塵をたばこ塵,テストチャンバー容積を3m3 ,風量を
75m3 /hrとし,デジタル粉塵計を用いて測定し
た。そして,除塵性能は以下に示すワンパス効率の値を
用いて評価した。 ワンパス効率=チャンバー容積/(通気量×測定時間)
×ln(初期濃度/t分後の濃度),(t=10分)
【0043】測定結果は,本発明品と比較品の双方共
に,たばこ3本喫煙時にはワンパス効率が70%,18
本喫煙時にはワンパス効率が60%であった。従って,
本発明品は,従来品に比べ,容積が半分であるにもかか
わらず,同等の除塵性能を有することが確認できた。
【0044】次に,脱臭性能評価は,トルエンガスのワ
ンパス除去性能測定により行った。試料としては,本発
明品は直径31mm,厚み20mmに切りだしたものを
使用し,従来品は直径31mm,厚み40mmの本発明
品の2倍の容積に切りだしたものを使用した。測定方法
としては,初期濃度100ppmのトルエンガスを45
cm/sの流速で試料中を通過させ,試料通過後のトル
エンガス濃度を一定時間毎にガスクロマトグラフで自動
測定した。
【0045】その結果,本発明品,従来品ともに,2分
後のワンパス除去率が40%,10分後のワンパス除去
率が30%を示し,両者同等の性能を示した。従って,
本発明品の構成によれば,脱臭材と除塵材とを一体化し
てフィルタ容積を半分にしても何ら問題ない脱臭性能を
維持することができることが確認できた。
【0046】次に,圧力損失の評価は,除塵性能評価に
用いた試料を用い,デジタルマノメータによって,風量
に対する圧力損失の測定を行った。その結果,風量75
3 /hrの時の圧力損失は,本発明品が20Pa,比
較品が38Paであり,風量48m3 /hrの時の圧力
損失は,本発明品が13Pa,比較品が27Paとな
り,明らかに本発明品の方が従来品よりも圧力損失が低
く,その特性に優れていることが確認できた。
【0047】また,その他の比較例として,脱臭材を有
する脱臭部の上に,別層の帯電繊維を積層したものがあ
る。これは,除塵性能及び圧損性能においては,本発明
品と同等の性能を示したが,脱臭性能においては,本発
明品の30%程度の性能しか示さなかった。
【0048】実施例2 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例1の担体に用
いた段ボールハニカムに代えて,ウレタンフォーム,セ
ラミックハニカム,金網ハニカム,樹脂製ハニカムのい
ずれか一つを用いた。その他の構成及び製造方法は,実
施例1と同様である。本例によれば,実施例1と同様の
効果を有するフィルタを得ることができる。
【0049】実施例3 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例2において,
担体への脱臭材と除塵材の担持方法として,含浸法の代
わりに,スプレー法,粉末吹付法,静電塗布法のいずれ
か一つを用いた。その他の構成及び製造方法は,実施例
2と同様である。本例によれば,実施例1と同様の効果
を有するフィルタを得ることができる。
【0050】実施例4 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例1の帯電繊維
の材料に用いたポリプロピレンの代わりに,テフロン,
シリコン樹脂,エポキシ樹脂,ポリオレフィン類,ポリ
スチレン誘導体,ポリスチレン,ポリアミド,ポリビニ
ルハライト,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリカー
ボネイトのいずれか一つを用いたものである。その他
は,実施例1と同様である。本例によれば,実施例1と
同様の効果を有するフィルタを得ることができる。
【0051】実施例5 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例1に示した帯
電繊維を帯電する方法として,実施例1のエレクトロ・
エレクトレット法の代わりに,電界下で紫外線などを照
射するホト・エレクトレット法,高分子ポリマーに応力
を加えて塑性流動させるメカノ・エレクトレット法,温
度を上昇させた状態で高分子ポリマーに高電界を印加す
るサーモ・エレクトレット法,温度を上昇させ磁場をか
けるマグネット・エレクトレット法,γ線などの電磁波
を照射するラジオ・エレクトレット法のうちいずれか一
つを用いたものである。その他は実施例1と同様であ
る。本例によれば,実施例1と同様の効果を有するフィ
ルタを得ることができる。
【0052】実施例6 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例1の脱臭材と
して用いた活性炭の代わりに,活性炭素繊維,シリカゲ
ル,γ−アルミナ,ゼオライトのうちいずれか一つの吸
着剤を用いたものである。その他は実施例1と同様であ
る。本例によれば,比表面積が大きい吸着剤を使用した
ものほど脱臭性能に優れている。その他,実施例1と同
様の効果を有するフィルタを得ることができる。
【0053】実施例7 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例1の脱臭材と
して用いた活性炭の代わりに添着活性炭を用いた。その
添着剤としては,塩基性ガス吸着用としての,酒石酸,
リンゴ酸等のジカルボン酸類,硝酸コバルト,鉄,銅等
の金属塩類,酸性ガス吸着用としての,3−アミノプロ
ピルトリハイドロシラン,γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン等のアミノ基を含む有機ケイ素化合物,アニ
リン誘導体,金属塩類のうちいずれか一つを用いたもの
である。その他は実施例1と同様である。
【0054】本例によれば,上記塩基性ガス吸着用の添
着剤を用いたものは,特にアンモニアガスと反応してそ
の吸着に優れ,上記酸性ガス吸着用の添着剤を用いたも
のは,特に硫化水素及びアセトアルデヒドガスと反応し
てその吸着に優れている。その他,実施例1と同様の効
果を有するフィルタを得ることができる。
【0055】実施例8 本例は,第1の発明の実施例にかかるフィルタにつき,
図2を用いて説明する。本例の実施例にかかるフィルタ
は,担体を使用せずに,実施例1において使用した脱臭
材,除塵材及びバインダを用いて,直接フィルタ形状に
成形したものである。その成形方法としては,図2に示
すごとく,押出成形法を用いた。
【0056】この押出し成形法においては,まず,実施
例1において用いた脱臭材と除塵材とからなる原料にバ
インダを加えて混練し,この混練物70を押出成形機6
の原料挿入口61に投入する。次いで,スクリュウ62
の回転により,上記混練物70がダイス63を通って,
ハニカム状の長尺押出成形品に成形される。次いで,上
記長尺押出成形品を所定の長さに切断して押出成形品7
を作る。その後乾燥することにより,ハニカム状のフィ
ルタを得る。
【0057】このハニカム状のフィルターにおいては,
ハニカムの細孔中に被処理ガスを送通することにより,
被処理ガス中の臭気ガス,塵埃が上記脱臭材,除塵材に
吸着,捕獲される。その他は,実施例1と同様である。
本例によれば,担体に担持したことを除き,実施例1と
同様の効果を有するフィルタを得ることができる。
【0058】実施例9 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例8において用
いた押出成形法に代えて,吸着剤結合法を用いて成形し
たものである。この成形法においては,図3に示すごと
く,まず,実施例1において用いた脱臭材と除塵材とか
らなる原料とバインダとを混合し,その混合物85を下
型81に投入する(図3a)。次いで,上型82により
適度に加圧した状態(図3b)を保持して熱処理を行
い,フィルタ8を得る(図3c)。その他は,実施例8
と同様である。本例によれば,実施例8と同様の効果を
有するフィルタを得ることができる。
【0059】実施例10 本例の実施例にかかるフィルタは,実施例8において用
いた押出成形法に代えて,昇華性物質であるナフタリン
を用いた成形法によって成形したものである。この成形
法においては,図4に示すように,実施例1において用
いた脱臭材と除塵材とからなる原料92とバインダ93
とナフタリン94を混合し,この混合物90を容器91
内に装入する。次いで,100℃で加熱する。これによ
りナフタリン94が昇華し,それが存在していた場所に
空隙95が生ずる。
【0060】これにより,多数の空隙95を有する多孔
質のフィルタを得ることができる。その他は,実施例8
と同様である。本例によれば,実施例8と同様の効果を
有するフィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかるフィルタの脱臭材と除塵材の
混在状態を示す説明図。
【図2】実施例8にかかるフィルタの押出成形法の説明
図。
【図3】実施例9にかかるフィルタの吸着剤結合法の説
明図。
【図4】実施例10にかかるフィルタの,昇華性物質を
用いた成形法の説明図
【符号の説明】
2...脱臭材, 3...除塵材, 4...臭気ガス, 5...塵埃, 6...押出成形機, 7...押出成形品,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/38 53/81

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱臭材と除塵材とを混在させてなること
    を特徴とするフィルタ。
  2. 【請求項2】 脱臭材と除塵材とは,担体の表面に混在
    して担持してあることを特徴とするフィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記脱臭材に
    は吸着剤を用い,一方上記除塵材には帯電繊維を用い,
    両者を一体的に混合してなることを特徴とするフィル
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項3において,上記吸着剤は多孔質
    体であることを特徴とするフィルタ。
  5. 【請求項5】 脱臭材と除塵材とバインダとを混合し,
    所望形状に成形することを特徴とするフィルタの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 脱臭材と除塵材とバインダとを混合し,
    担体の表面に担持させることを特徴とするフィルタの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において,上記脱臭材に
    は吸着剤を用い,一方除塵材には帯電繊維を用いてなる
    ことを特徴とするフィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記吸着剤は多孔質
    体であることを特徴とするフィルタの製造方法。
JP6280078A 1994-10-18 1994-10-18 フィルタ及びその製造方法 Pending JPH08117524A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6280078A JPH08117524A (ja) 1994-10-18 1994-10-18 フィルタ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6280078A JPH08117524A (ja) 1994-10-18 1994-10-18 フィルタ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08117524A true JPH08117524A (ja) 1996-05-14

Family

ID=17620007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6280078A Pending JPH08117524A (ja) 1994-10-18 1994-10-18 フィルタ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08117524A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004050152A (ja) * 2002-07-24 2004-02-19 Yoshihiro Tano 混合物
US7063733B2 (en) 2001-06-22 2006-06-20 Bridgestone Corporation Filter member
KR20190092445A (ko) 2016-12-14 2019-08-07 유겐가이샤 휠코포레이션 필터 여과재, 그것을 구비한 필터 소자 및 필터 여과재의 제조 방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7063733B2 (en) 2001-06-22 2006-06-20 Bridgestone Corporation Filter member
JP2004050152A (ja) * 2002-07-24 2004-02-19 Yoshihiro Tano 混合物
KR20190092445A (ko) 2016-12-14 2019-08-07 유겐가이샤 휠코포레이션 필터 여과재, 그것을 구비한 필터 소자 및 필터 여과재의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6207255B1 (en) Adsorbent article with dust collection function
US5332426A (en) Agglomerated activated carbon air filter
US6024782A (en) Layered gas filter media
JP2002506389A (ja) 清浄空気を得るためのフィルター
JP2880442B2 (ja) 吸着性の曲げやすいフィルタ平面成形体、その製造方法および該成形体を成分として含有する空気清浄装置および保護衣服
EP0958030B1 (en) Filter material production process
JPH05305213A (ja) 空気浄化シート及びそれを使用した空気浄化フィルタ
CA2139502C (en) Agglomerated activated carbon air filter
CN103157434B (zh) 高效低阻的成型空气净化材料的制备方法
JP2002017832A (ja) 脱臭フィルターおよびその製造方法
KR101061566B1 (ko) 다공성 탈취 필터의 제조방법
JPH08117524A (ja) フィルタ及びその製造方法
CN106999907A (zh) 制造具有含多孔吸附剂的通道的蜂窝体的方法
JP2000334245A (ja) フィルタ材及びその製造方法
JP3506580B2 (ja) 流動接着方法及びその装置
US5820927A (en) Filter material production process
JP3756623B2 (ja) 空気清浄フィルター
JPH0435201B2 (ja)
JP3712084B2 (ja) 吸着材
JPH067634A (ja) 脱臭剤及びその製造方法
KR101190628B1 (ko) 다공성 습식 탈취제 필터의 제조방법
JPH09285531A (ja) 吸着材
JPH09296376A (ja) 脱臭性パッド材とその製造方法
JPS58150413A (ja) 脱臭吸着濾過シ−ト
JP2001096149A (ja) 多孔質吸着剤及びフィルター