JPH08117245A - 歯科用ハンドピース - Google Patents

歯科用ハンドピース

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JPH08117245A
JPH08117245A JP6255602A JP25560294A JPH08117245A JP H08117245 A JPH08117245 A JP H08117245A JP 6255602 A JP6255602 A JP 6255602A JP 25560294 A JP25560294 A JP 25560294A JP H08117245 A JPH08117245 A JP H08117245A
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JP
Japan
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bearing
lubricant
oil
cage
resin
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JP6255602A
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English (en)
Inventor
Shigeki Matsunaga
茂樹 松永
Toshimi Takagi
敏己 高城
Shunichi Yabe
俊一 矢部
Mitsuyoshi Ooi
三佳 大井
Hiroshi Tanaka
洋 田中
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/66Special parts or details in view of lubrication
    • F16C33/6637Special parts or details in view of lubrication with liquid lubricant
    • F16C33/664Retaining the liquid in or near the bearing
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【目的】潤滑剤を外部から供給する必要がないメインテ
ナンスフリーでかつ従来より一層長寿命の歯科用ハンド
ピースを提供する。 【構成】ハウジング1の軸心部に軸受2を介して回転自
在に支持されて先端に工具4が取り付けられる回転軸3
と、回転軸3に固定して取り付けられたタービン翼5
と、タービン翼5を回転させる気体の供給部6および排
気部とを有する歯科用ハンドピースにおいて、軸受2は
軸受内に耐熱性を有する潤滑剤供給材を含有し、該潤滑
剤供給材から経時的に且つ自動的に供給される潤滑剤で
潤滑されるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯科用ハンドピースに関
し、特に、内蔵した潤滑剤を自動供給する軸受機構を備
えることにより、毎分30万回転以上の高速回転と10
0℃を越える殺菌消毒温度にしばしばさらされる工具回
転軸の長期間にわたる安定した作動を可能にする歯科用
ハンドピースに関する。
【0002】
【従来の技術】ドリルや砥石のような工具を回転させて
歯の治療を行う一般的な歯科用ハンドピースは、工具を
取り付けた回転軸を一対の軸受を介してハウジングに支
持し、エアタービンで超高速回転させる機構になってい
る。その軸受の潤滑は、一般的には潤滑剤のミストをエ
アーと共に送って連続的に潤滑したり、ハンドピースの
洗浄および殺菌消毒時に、軸受内に潤滑剤を一定量供給
して間欠的に行い、摩擦を低減させている。
【0003】このように潤滑剤を外部から供給するの
は、ハンドピースを蒸気熱殺菌したり洗浄したりする際
に、潤滑剤が高温で蒸発したり洗浄で洗い流されたりし
て消耗するためである。これに対して、例えば公表特許
公報平4−500477号には、無潤滑で使用される歯
科用ハンドピースが提案されている。このものは、回転
軸を支持する軸受の構成部材である外輪,内輪,転動
体,保持器のうち、少なくとも転動体を窒化けい素のよ
うなセラミック材料で形成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、潤滑剤
のミストを軸受に供給して潤滑するものでは、ミスト供
給装置を必要とするので設備費が高くなる。また、ハン
ドピースの殺菌・洗浄の度に一定量の潤滑剤を供給する
ものでは、手間がかかるし、潤滑剤の供給を忘れると軸
受故障の原因になるという問題点がある。
【0005】他方、転動体などをセラミックで形成して
無潤滑で使用するものは、潤滑剤併用によりさらに軸受
寿命が延長される余地がある。そこで、本発明は、上記
従来の問題点に着目してなされたものであり、潤滑剤を
外部から供給せずに軸受の内部から経時的に自動的に供
給することにより、メインテナンスフリーでかつ従来よ
り一層長寿命の歯科用ハンドピースを提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、ハウジングの軸心部に軸受を介して回転自在に
支持されて先端に工具が取り付けられる回転軸と、該回
転軸に固定して取り付けられたタービン翼と、該タービ
ン翼を回転させる気体の供給部および排気部とを有する
歯科用ハンドピースに係り、前記軸受は、耐熱性を有す
る潤滑剤供給材を軸受内部に有し、該潤滑剤供給材から
供給される潤滑剤で潤滑される外輪,内輪及び多数の転
動体を少なくとも備えていることを特徴とするものであ
る。
【0007】ここで、前記軸受は外輪,内輪,多数の転
動体,保持器を備えるとともに、該保持器が前記耐熱性
を有する潤滑剤供給材からなるものとすることができ
る。また、前記軸受は外輪,内輪及び多数の転動体を少
なくとも備えるとともに、前記多数の転動体の一部が耐
熱性を有する潤滑剤供給材からなるものとすることがで
きる。
【0008】また、前記軸受は外輪,内輪及び多数の転
動体を備えるとともに、それら外輪,内輪及び多数の転
動体の間の軸受空間内に耐熱性を有する潤滑剤供給材を
含有してなるものとすることができる。
【0009】
【作用】本発明の歯科用ハンドピースにあっては、工具
の回転軸を支持する軸受の外輪,内輪及び多数の転動体
が、軸受内の耐熱性を有する潤滑剤供給材から経時的に
徐々に分離して供給される潤滑剤で潤滑される。その潤
滑剤は軌道輪と転動体との接触面に均一にくまなく供給
されるから、転がり軸受にオイルミスト供給装置等の外
部の給油装置から潤滑剤を給油しなくとも、装置は長期
間にわたり円滑に作動して、安定した機能を発揮するこ
とができ、メインテナンスフリーである。
【0010】軸受内で潤滑剤供給材に保持されている潤
滑剤は、ハンドピースの高温殺菌・洗浄時にも、軸受内
部に保持されたままであり、軸受外部へは流出しない。
したがって、殺菌・洗浄の度にいちいち潤滑剤を補給す
る必要はない。かくして、本発明の歯科用ハンドピース
は、その工具の回転を支持する転がり軸受が長期間にわ
たり安定した軸受機能を発揮するので、歯科用ハンドピ
ース自体がメインテナンスフリーでかつ従来より一層長
寿命のものとなる。
【0011】以下、さらに詳細に本発明を説明する。図
1は、本発明の歯科用ハンドピースの一実施例の断面を
示したもので、ハウジング1の軸心部に一対の転がり軸
受2,2を介して、回転軸3が回転自在に支持されてい
る。その回転軸3の先端には、砥石やドリルなどの加療
用の工具4が着脱可能に装着されている。その回転軸3
には、タービン翼5が一体的に回転可能に固定して取り
付けられている。このタービン翼5はハウジング1に設
けられた気体供給部(導入路)6から供給される空気に
より高速回転するもので、その回転数は毎分30万回転
以上に達する。
【0012】ところで、回転軸3の安定した高速回転は
転がり軸受2,2の性能に大きく左右される。その転が
り軸受2の形式は特に限定されないが、ラジアル荷重と
アキシアル荷重との両方を受けることができるもの、例
えば図2に示す開放形深みぞ玉軸受、図3に示す開放形
アンギュラ玉軸受等を代表的なものとしてあげることが
できる。いずれの転がり軸受も、外輪10,転動体1
1,内輪12を必須の部材として備えているが、保持器
13については有るものと無いものとを使い分けること
ができる。更に、必要に応じてその他の部材が付加され
る。例えば、図4に示すものは図2の開放形深みぞ玉軸
受の両側にシールド板14を装着した両シールド付き深
みぞ玉軸受である。使用条件によっては片側シールド付
きも用いられる。図5のものは同じく開放形深みぞ玉軸
受の外輪にフランジ15を有するフランジ付き深みぞ玉
軸受である。
【0013】ここで、本発明に用いる転がり軸受の構成
部品である外輪10,内輪12,転動体11の材質につ
いて述べると、本発明にあっては、これらの軸受構成部
品の材料としてステンレス鋼を用いることができる。こ
の場合、耐食性のみでなく転がり疲れ強さならびに耐摩
耗性も同時に必要とされることから、軸受用ステンレス
鋼であるSUS440Cなどの中炭素高Crのマルテン
サイト鋼が使用できる。また、特に高度の耐食性が要求
される場合には、SUS630等の析出硬化系のステン
レス鋼を用いることも可能である。
【0014】外輪10,内輪12,転動体11には、ス
テンレス鋼の他にまた、セラミックス材料を使用するこ
ともできる。その場合は、窒化けい素,炭化けい素,酸
化ジルコニウム,サイアロン,酸化アルミニウム等が良
い。特に、比重5以下の材料である窒化けい素系のもの
が良い。また、低コスト化にために、HIP(hot isos
tatic pressing) 法より、焼結が容易な常圧焼結法を用
いて製造するのが良い。
【0015】特に、セラミックス製の転動体11につい
ては、特開平6−108117号公報に開示されている
微小ボールの造粒法により製造したものが良い。造粒法
による場合は、微小ボールの素材は、ブロック状のイン
ゴットを粉砕し、篩分けした微小粒を球状化し、これを
半焼結して篩分けされた一定範囲内のものを第一次素材
とする。この第一次素材を核として、その周囲に、追加
供給された原料粉末による付着層を形成する。次いでこ
の付着層が形成されたものを半焼結することにより成長
粒とする。得られた成長粒を篩分けして一定範囲内に区
分した後、焼結して微小ボール素材が得られる。
【0016】転動体をセラミックス製のものにすること
により耐磨耗性,耐焼付性が向上し、潤滑剤の供給量が
少なくなっても長時間運転が可能になる。また、セラミ
ックス玉の比重はステンレス鋼球のそれより小さいの
で、より一層の高速回転が可能になり、その結果、歯科
用ハンドピースによる歯の切削性能が増す。
【0017】また、歯科用ハンドピースの発生する騒音
対策の面でも、ステンレス玉の場合は軌道輪との金属同
士の接触による音の発生が問題になるが、セラミックス
玉の場合は異種材料の部材同士の接触であるから音が静
かになる。続いて、本発明の歯科用ハンドピースに用い
る転がり軸受の構成部品である保持器13に関して以下
に述べる。
【0018】保持器の形式は、特に限定されない。図6
に、代表的な例として冠形保持器を示した。その他、例
えばプレス保持器,もみ抜き保持器,成形保持器,ピン
形保持器等のいずれでも良い。本発明の保持器の材質
は、上述したステンレス鋼やセラミックス材料のみに限
られない。その他に耐熱性を有する潤滑剤供給材をあげ
ることができる。ここに、本発明にいうところの「耐熱
性を有する潤滑剤供給材」とは、PTFE(ポリテト
ラフロロエチレン)その他のいわゆる自己潤滑性材料、
耐熱性耐油性の樹脂組成物の成形体に潤滑剤を含浸さ
せた含油樹脂材、ポリα−オレフィン系などのポリマ
に潤滑剤を混合してなる混合物としての潤滑油含有ポリ
マ材を包含するものである。
【0019】以下、各別に詳細を説明する。 (1)自己潤滑性材料について:本発明にかかる軸受の
保持器を形成する自己潤滑性材料としては、PTFE,
ナイロン等の高分子材料又はグラファイト,二硫化モリ
ブデン等のような高摺動性材料が良い。PTFE,ナイ
ロン等の高分子材料を用いて形成した保持器を使用した
軸受では、軸受の作動によりそれらの自己潤滑性材料が
保持器から少しづつ分離して軌道輪の軌道面や転動体の
表面に被膜となって付着し潤滑機能を発揮するから、潤
滑剤を別途に供給する必要がない。また、グラファイ
ト,二硫化モリブデン等は、予めそれらの高摺動性粉末
を軌道面や転動体の表面に被膜状に付着させることで潤
滑機能を発揮させても良い。
【0020】(2)耐熱性耐油性の樹脂組成物の成形体
に潤滑剤を含浸させた含油樹脂材について:この含油樹
脂材からなる本発明の保持器は、耐熱性及び耐油性を有
する樹脂(以下、耐熱耐油性樹脂という)とポリオレフ
ィンとを混合してなる樹脂組成物を成形母材として軸受
用保持器の形状(例えば図6)に成形し、その成形体を
潤滑剤中に浸漬して処理することにより一定量の潤滑剤
を含浸させたものである。
【0021】保持器本体を形成する前記樹脂組成物が潤
滑剤と親和性の高いポリオレフィンを含むことにより、
保持器中の潤滑剤の含有量が多くなるとともに潤滑剤の
保持力も大きくなり、もって潤滑剤が長期化安定して転
動体の転動部分に供給される。そのため、この保持器を
組み込んだ転がり軸受は回転に要するトルクが低減する
と共に、トルク変動も小さくなる。
【0022】しかも、樹脂組成物の母材となる耐熱耐油
性樹脂とポリオレフィンとは、射出成形時におけるせん
断速度下での溶融粘度が異なっており、この粘度差によ
り耐熱耐油性樹脂中に分散するポリオレフィンの縦横比
が大きくなり、その結果として吸油性能が向上する。こ
の耐熱耐油性樹脂及びポリオレフィン個々の溶融粘度の
大きさは特に限定する必要はなく、両者の溶融粘度に差
がありさえすればよい。その差は大きいほど好ましい。
特に、射出成形時のポリオレフィンの溶融粘度が耐熱耐
油性樹脂の溶融粘度より低いほど、射出成形品の表面を
ポリオレフィンが多く占有し、表面にポリオレフィンの
特性が付与されるため、更に一層吸油性能が向上するこ
ととなる。
【0023】本発明において軸受保持器に使用される上
記の耐熱耐油性樹脂は、保持器の形状を形成及び維持す
る役割を果たすために耐熱性能及び耐油性能に優れるこ
とが好ましい。例えばポリアミド(PA),ポリアセタ
ール,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブ
チレンテレフタレート(PBT),ポリカーボネート
(PC),ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポ
リエーテルサルフォン(PES),ポリエーテルイミ
ド,ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルエーテ
ルケトン(PEEK)等が好適なものとして例示でき
る。なかでもポリアミド樹脂は、耐熱性能や耐油性能に
加えて、安価でかつポリオレフィンにより容易に改質可
能なことから特に好適である。
【0024】本発明において軸受保持器に使用される上
記のポリオレフィンは、前記耐熱耐油性樹脂中に分散さ
れて、潤滑剤を保持する役割を果たすもので、例えばポ
リエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリ−
1−ブテン(PB),ポリ−4−メチル−1−ペンテン
(PMP)、及びそれらの共重合体を単独又は二種以上
組み合わせて用いて良い。
【0025】また、これらポリオレフィンは、前記耐熱
耐油性樹脂と混合した際、単に溶融混練しただけでは優
れた機械的特性が発揮されない場合には、当該ポリオレ
フィンを適当な官能基でグラフト変性したグラフト変性
ポリオレフィンとしても良い。又はそのグラフト変性ポ
リオレフィン若しくは適当な相溶化剤を、耐熱耐油性樹
脂とポリオレフィンとの相溶化のために適宜に添加して
も良い。
【0026】前記耐熱耐油性樹脂と前記ポリオレフィン
との混合割合は、耐熱耐油性樹脂100重量部に対して
ポリオレフィン5〜100重量部とする。ポリオレフィ
ンの配合量が5重量部未満の場合は保持器の吸油性が十
分ではない。一方、ポリオレフィンが100重量部を越
えて配合された場合は、製品の保持器の耐熱性,機械的
特性が劣るとともに、潤滑剤に含浸させた際に潤滑剤に
よりポリオレフィンが膨潤して寸法精度が著しく低下し
てしまう。
【0027】上記保持器の機械的強度に関しては、耐熱
耐油性樹脂とポリオレフィンとを混合した成形母材を保
持器形状に成形した後に潤滑剤中に含浸することによ
り、機械的強度に優れたものとなる。因みに、耐熱耐油
性樹脂とポリオレフィンと潤滑剤とを予め混合してから
成形した場合は、成形時にウエルドラインが発生して成
形品の機械的強度が低下する。
【0028】その機械的強度を更に増強させるべく、前
記成形母材に繊維状充填材を添加することができる。た
だし、その添加量は製品保持器の潤滑性能を低下させな
い程度とする。繊維状充填材としては、例えばガラス繊
維,炭素繊維,アラミド繊維,チタン酸カリウム繊維,
アルミナ繊維,窒化けい素繊維,ステンレス繊維等を挙
げることができる。なかでもガラス繊維,炭素繊維、及
びケプラやノーメックス〔デュポン社、商品名〕或いテ
クノーラやコーネックス〔帝人(株)、商品名〕で代表
される高耐熱性のアラミド繊維等が好適である。ただ
し、これらの繊維状充填材の配合量は、150重量部を
越えると溶融混練が難しくなり、良好な組成物を得るこ
とができなくなる。
【0029】上記の樹脂組成物並びに必要に応じて配合
される繊維状充填材は、おのおの別々に溶融混練するこ
とが可能である。また、予めこれらの材料をヘンシェル
ミキサ,タンブラ,リボンミキサ等の混合機で予備混合
した後に、溶融混練機へ供給することもできる。溶融混
練機としては単軸又は二軸押出し機,混合ロール,加圧
ニーダ,ブラベンダープラストグラフ等の公知の溶融混
練装置が使用できる。溶融混練する際の温度は、繊維状
充填材を除く各成分の溶融が十分進行し、且つ分解しな
い温度を適宜に選定すれば良い。
【0030】本発明にかかる軸受用保持器の成形方法は
通常の射出成形法であり、例えばインラインスクリュー
式射出成形機を用いて行うことができる。本発明の軸受
の保持器を構成する樹脂組成物は、上述したように耐熱
耐油性樹脂とポリオレフィンとを必須の構成成分とし、
必要に応じて繊維状充填材を配合して形成されるが、本
発明の目的を損なわない範囲で、更に適量の各種充填材
(剤)や各種安定剤を配合しても良い。例えば、有機充
填材,無機充填材,酸化防止剤,紫外線吸収剤,光保護
剤,耐熱安定剤,難燃剤,帯電防止剤,過酸化物分解
剤,流動性改良剤,非粘着性付与剤,離型剤,増核剤,
可塑剤,固体潤滑剤,顔料,染料等を含んでも良い。
【0031】本発明の樹脂組成物に含浸させる潤滑剤
は、特に限定されないが、パラフィン系鉱油,ナフテン
系鉱油の他、炭化水素系(ポリ−α−オレフィン,ポリ
ブテン,アルキル芳香族),ポリアルキレングリコー
ル,ジエステル,ヒンダードエステル,ネオペンチルグ
リコールエステル,トリメチロールエステル,ペンタエ
リスリトールエステル,ジペンタエリスリトールエステ
ル,芳香族エステル,シリコーン系(シリコーンオイ
ル,ケイ酸エステル),フッ素系(クロロフルオロカー
ボン,パーフルオロポリエーテル,フルオロエステ
ル),フェニールエーテル,リン酸エステル等の合成潤
滑油が例示できる。ポリオレフィンに吸収されやすい鉱
油又は炭化水素系,脂肪酸エステル,ポリアルキレング
リコール,フェニールエーテル,リン酸エステル系の合
成潤滑油が好ましい。特にジエステル,ヒンダードエス
テル系の合成潤滑油及びエーテル系の合成潤滑油が好ま
しい。
【0032】更に、歯科用ハンドピースは口中に入れて
使用されることから、人体に害の無いことが重要であ
り、この見地から鉱油を最高度に精製した流動パラフィ
ン等が推奨できる。また、菜種油などの植物油を使用し
ても良い。これらの潤滑油は、前記樹脂組成物を成形し
てなる保持器に対して、0.05〜2.0重量%の範囲
となるように含浸される。潤滑油の含浸量が0.05重
量%未満の場合は絶対的に潤滑油の量が不足し、保持器
から転動体の転動部分に供給される潤滑油が早期に枯渇
して軸受の耐久性を損なう。一方、2.0重量%を越え
て含浸させても実用上必要な軸受耐久性の向上を図れな
いにもかかわらず、潤滑油を含浸させるに要する時間が
徒に長くなる。そのため、保持器の生産効率を悪化させ
て転がり軸受の価格高騰の原因となる。そこで、保持器
に含浸させる潤滑油の量を保持器重量に対して0.05
〜2.0重量%とする。
【0033】上記潤滑油の粘度は特に限定されないが、
40℃の動粘度10〜150mm2/s(ISOVG1
0〜150)が好ましく、より好ましくは10〜130
mm 2 /sである。その理由は、次の通りである。40
℃の動粘度10mm2 /s(ISOVG10)未満の低
粘度の潤滑油は、保持器に含浸させた潤滑油の保持性が
悪く(早期に保持器からしみ出し)て早期に潤滑油が不
足してしまう。反対に40℃の動粘度150mm2 /s
(ISOVG150)を越えるような高粘度の潤滑油を
使用した場合には、この潤滑油が保持器の構成成分であ
るポリオレフィン中に含浸しずらくなって保持器への含
浸量が不足する。すなわち、粘度が40℃の動粘度10
〜150mm2 /s(ISOVG10〜150)の範囲
からいずれの側に外れても、保持器から転動体の転動部
分に供給される潤滑油が早期に不足して転がり軸受の耐
久性が損なわれる。そこで、保持器に含浸させる潤滑油
の粘度を40℃の動粘度10〜150mm2 /s(IS
OVG10〜150)とする。
【0034】前記潤滑油の保持器中の含浸量は、含浸さ
せる潤滑油を耐熱耐油性樹脂の融点以下の温度で加温す
ることにより、また浸漬時間を長くとることによって多
くなる。但し、潤滑油の液温が高過ぎると保持器が熱変
形をきたすため、潤滑油の液温を耐熱耐油性樹脂の融点
よりも概ね50℃以上低く設定して浸漬処理することが
好ましい。
【0035】なお、本発明の保持器に含浸される潤滑油
は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて酸
化防止剤,防錆剤,極圧剤,油性剤,粘度指数向上剤,
磨耗防止剤等を含んでいても良い。 (3)ポリマに潤滑剤を混合してなる潤滑油含有ポリマ
材について:本発明にかかる軸受に使用する潤滑油含有
ポリマ材は、その使用態様に二種類ある。一つは潤滑油
含有ポリマ材を保持器の成形材料とするもの、他は潤滑
油含有ポリマ材を軸受内部空間に充填する充填物とする
ものである。
【0036】このような態様で本発明にかかる転がり軸
受に使用する潤滑油含有ポリマ材は、ポリエチレン,ポ
リプロピレン,ポリブチレン,ポリメチルペンテン等の
ポリα−オレフィン系ポリマの群から選定したポリマ
に、潤滑剤としてポリα−オレフィン油のようなパラフ
ィン系炭化水素油,たとえば流動パラフィン,ナフテン
系炭化水素油,鉱油,ジアルキルジフェニールエーテル
油のようなエーテル油,フタル酸エステル,トリメリッ
ト酸エステルのようなエステル油等のいずれかを混合し
てなる混合物である。
【0037】上記ポリマの群は、分子構造は同じでその
平均分子量が異なっており、1×103 〜5×106
範囲に及んでいる。その中で、平均分子量1×103
1×106 という比較的低分子量のものと、1×106
〜5×106 という超高分子量のものとを単独若しくは
必要に応じて混合して用いる。また、必要に応じて前記
ポリマに酸化防止剤,錆止め剤,磨耗防止剤,あわ消し
剤,極圧剤等の各種の添加剤を加えても良い。
【0038】更に、特に耐熱性を要求される場合には、
ポリα−オレフィン系ポリマの代わりに熱硬化性樹脂を
ベースにした潤滑油含有ポリマ材が好適である。そのポ
リα−オレフィン系ポリマに代わる熱硬化性樹脂として
は、ジアリルフタレート系樹脂,フェノール系樹脂及び
ポリカルボジイミド系樹脂を挙げることができる。より
具体的には、ジアリルフタレート系樹脂は、ジアリルフ
タレート,ジアリルイソフタレート,ジアリルテレフタ
レートのモノマ或いはそれぞれの単独重合体(ホモポリ
マ),これらの中の二つ以上のモノマ或いはプリポリマ
の共重合体及びこれらの単独重合体と強重合体との混合
物等がある。そのうちのジアリルフタレート系樹脂は、
そのままでは加熱硬化させることができないので、通常
過酸化物を硬化剤(重合開始剤)として用いる必要があ
る。
【0039】そのための過酸化物としては、ベンゾイル
パーオキサイド,m−トルオイルパーオキサイド,t−
ブチルパーオキサイド,t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート,ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート,2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン,ジクミルパーオキサイドなどを用いることがき
る。これら過酸化物からなる硬化剤は、重合に際して樹
脂に対し数重量%程度、通常は1重量%程度添加され
る。
【0040】また、上記熱硬化性樹脂中のフェノール系
樹脂は、レゾールタイプの純フェノール樹脂,ノボラッ
クタイプの純フェノール樹脂及び種々の変性フェノール
樹脂である。変性フェノール樹脂としては、例えばカシ
ュー変性フェノール樹脂(ノボラックタイプ,デゾール
タイプ),油変性フェノール樹脂(ノボラックタイプ)
などが使用できる。ノボラックタイプのフェノール樹脂
はそのままでは硬化せず、硬化剤としてヘキサミンある
いはレゾールタイプのフェフェノール樹脂を添加する必
要がある。これに対して、レゾールタイプのフェノール
樹脂は無添加で加熱硬化する。また、油変性フェノール
樹脂は、硬化時に潤滑油を保持する能力が弱くて単独で
は使用できないため、他のフェノール樹脂を混合して使
用する必要がある。
【0041】上記熱硬化性樹脂中のポリカルボジイミド
系樹脂は、無添加で加熱硬化する。ポリマに潤滑剤を混
合してなる上記潤滑油含有ポリマ材において、ポリα−
オレフィン系ポリマに代わり熱硬化性樹脂を用いた場合
は、混合する潤滑剤は前記熱硬化性樹脂と相溶性がある
ことが必要である。その場合の潤滑剤として例えば、ジ
イソデシルフタフタレート,ジ−2−エチルヘキシルフ
タレート,ジイソデシルアジベート,ジ−2−エチルヘ
キシルセバケート,トリ−2−エチルヘキシルトリメリ
テートなどのエステル油,ポリオールエステル油,オク
タデシルフェニルエーテル,テトラフェニルエーテル,
ペンタフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油を挙
げることができる。
【0042】また、上記潤滑油の代わりに、それらの潤
滑油を基油とするグリースを使用することができる。そ
の場合、基油潤滑油にリチウム石けん等の公知の金属石
けん類を適量添加して調合される。なお、上記熱硬化性
樹脂の種類により、相溶性となる潤滑油の種類が異なっ
たり、また硬化前に均一に溶解していても硬化後に樹脂
と潤滑油あるいはグリースとが分離する場合があるた
め、樹脂と潤滑油との組み合わせに注意する必要があ
る。
【0043】上記熱硬化性樹脂中のジアリルフタレート
系樹脂は、前記潤滑油あるいはグリースの全てに対して
相溶性があるため、どのような組み合わせでも良好な潤
滑性組成物が得られるが、フェノール系樹脂やカルボジ
イミド系樹脂を用いる場合には組み合わせが制限され
る。例えば、純フェノール樹脂にはポリフェニルエーテ
ル油を、またカシュー変性フェノール樹脂にはジエステ
ル油及びポリオールエステル油を、更に油変性フェノー
ル樹脂にはポリフェニルエーテル油及びアルキルポリフ
ェニルエーテル油を組み合わせることが好ましい。ま
た、カルボジイミド系樹脂の場合は、ポリフェニルエー
テル油を用いることが好ましい。
【0044】上記潤滑剤含有ポリマ材の機械的強度の補
強や成形性の向上の目的で、下記のような充填材を添加
しても良い。例えば、炭酸カルシウムやタルク,シリ
カ,クレー,マイカ等の鉱物類、チタン酸カリウムウィ
スカ,ホウ酸アルミニウムウィスカ等の無機ウィスカ
類、あるいはガラス繊維やアスベスト,石英ウール,金
属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組したも
の。有機化合物では、カーボンブラック,黒鉛粉末,カ
ーボン繊維,アラミド繊維やポリエステル繊維、あるい
はポリイミドやポリベンゾイミダゾール等の各種熱硬化
性樹脂。
【0045】更に、潤滑性組成物の熱伝導性を向上させ
る目的で、カーボン繊維,金属繊維,黒鉛粉末,金属粉
末,ZnO粉末等を添加しても良い。上記潤滑剤含有ポ
リマ材には又、高吸油高分子であるポリプロピレン,ポ
リスチレン,ポリエチレン,ポリウレタン,ポリメタア
クリル酸エステル等のアクリル系樹脂あるいはポリノル
ボルネンなどを単独もしくは複数以上を混合して添加し
ても良い。また、ベース樹脂としてポリノルボルネンを
用いたものであっても良い。特に耐熱性を要求される場
合には、ポリメチルペンテンが望ましい。
【0046】以上、本発明に係る軸受の保持器の材質に
ついて詳説した。更に続いて、本発明に係る軸受の転動
体の材質について以下に詳説する。この軸受の転動体1
1の材質については、先に、ステンレス鋼又はセラミッ
クス材を使用できることを述べたが、これらの材料に限
定されない。その他の材料として、保持器の場合と同様
の耐熱性を有する潤滑剤供給材をあげることができる。
ここにいうところの「耐熱性を有する潤滑剤供給材」と
は、すなわちPTFE(ポリテトラフロロエチレン)
その他のいわゆる自己潤滑性材料、耐熱性耐油性の樹
脂組成物の成形体に潤滑剤を含浸させた含油樹脂材、
ポリα−オレフィン系などのポリマに潤滑剤を混合して
なる混合物としての潤滑油含有ポリマ材を包含するもの
であり、その詳細は先に保持器の材質の説明で述べたも
のとほぼ同様である。
【0047】しかして、上記耐熱性を有する潤滑剤供給
材を軸受の転動体に適用する場合は、機械的強度の点か
ら、多数の転動体の全てに適用するのではなく一部の転
動体に適用するものである。図7〜図10に、その適用
の態様をいくつか例示する。図7の転がり軸受は、外輪
10,内輪12の間に、保持器13に保持されて6個の
転動体(玉)11と、その間に配置した2個の転動体2
1との計8個の転動体が組み込まれている。転動体11
の材質はステンレス鋼またはセラミックスである。一
方、転動体21の方は、耐熱性を有する潤滑剤供給材
(例えば自己潤滑性材料であるPTFE)で形成されて
いる。軸受が作動すると転動体21から分離放出された
潤滑材供給材が内外輪の軌道面に転移して潤滑皮膜(転
移膜)を形成し、潤滑剤が軸受外部から供給されなくて
も十分な潤滑機能が発揮されて寿命を長くすることがで
きる。
【0048】図8の転がり軸受は、図7の場合と同様、
保持器13に保持されてステンレス鋼またはセラミック
ス製の6個の転動体11が配置され、その間に耐熱性を
有する潤滑剤供給材製の3個の転動体21が組み込まれ
ている。潤滑剤供給材製の転動体21が上記より1個増
加した分、軸受の寿命延長効果が増大する。図9の転が
り軸受は、全9個の転動体のうちの潤滑剤供給材からな
る3個の転動体22の径が、他の転動体11の径より幾
分小さく形成されている点が図8に記載のものとは異な
っている。この場合、転動体22の外周が外輪10,内
輪12の軌道面に軽く接触するだけであるから、潤滑剤
は極めて僅かづつ分離して転移膜を形成することとな
り、転動体22の磨耗が少なくなる。したがって潤滑剤
の供給時間が延びて軸受の寿命が図8のものより延長さ
れる。また、転動体22には半径方向並びに周方向に負
荷が作用しないから、長期の使用に十分耐えられる。
【0049】図10の転がり軸受は総玉軸受の場合であ
って、ステンレス又はセラミックス製の玉11と潤滑剤
供給材製の玉21とが交互に組み込まれている例であ
る。
【0050】
【実施例】以下に、本発明の効果を確認するために、実
施例および比較例について行った実験について説明す
る。 〔実験1〕歯科用ハンドピースの軸受における保持器材
質と軸受寿命との関係を検討した。
【0051】1.被試験軸受の種類 外径:6.35mm、内径:3.175 mm、幅:2.7791mmの
ミニアチュアタイプの深みぞ玉軸受。保持器は冠型のも
の。 2.試験装置 実機歯科用ハンドピース 3.試験方法 初めに少量(約4μl)の潤滑油(ポリ−α−オレフィ
ン系合成油)を軸受に封入し、その後無給油にて歯科用
ハンドピースを高速回転させる。回転数が軸受の損傷に
より初期の75%を割った時点を寿命とする。
【0052】4.試験条件 回転数:38万rpm 荷 重:予圧200gf 5.被試験軸受の材質仕様 表1にまとめて示す。
【0053】
【表1】
【0054】(注) 微量含油樹脂:ポリアミドイミド樹脂成形体にポリ−α
−オレフィン油0.2重量%を含浸させたもの。保持器成
形体を粘度がISO VG46の潤滑油中に浸漬し、こ
の潤滑油の温度を100℃に保持した状態で、オートク
レーブ中で3時間放置した。この結果、保持器には保持
器重量に対して0.2 重量%の潤滑油が含浸された。
【0055】高含油樹脂 :PPS樹脂56重量%とポ
リメチルペンテン(ポリオレフィン)24重量%とガラ
ス繊維20重量%の樹脂組成物からなる保持器成形体に
6重量%のポリ−α−オレフィン油を含浸させたもの。
含浸方法は上記に準ずる。 潤滑含有ポリ:超高分子ポリエチレン(PE)10重量
%,PE60重量% マ材 :,ガラス繊維20重量%,ポリ−α−オ
レフィン油10重量%を混合した混合物を保持器に成形
したもの。
【0056】セラミックス:Si3 4 (造粒法,常圧
焼結品) 6.試験結果 表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2から明らかなように、保持器の潤滑油
量が増加するに従い軸受寿命が長くなっている。また、
実施例4,5の結果から、シールド板14(図4参照)
の寿命延長効果が明らかである。シールド板を設けるこ
とにより、軸受内の潤滑剤が外部に出にくくなり、軸受
内部により長時間止まるためである。
【0059】〔実験2〕歯科用ハンドピースの軸受にお
ける自己潤滑転動体と軸受寿命との関係を検討した。 1.被試験軸受の種類 外径:6.35mm、内径:3.175 mm、幅:2.7791mmの
ミニアチュアタイプの深みぞ玉軸受。保持器は冠型のも
の。
【0060】2.試験装置 実機歯科用ハンドピース 3.試験方法 初めに少量(約4μl)の潤滑油(ポリ−α−オレフィ
ン系合成油)を軸受に封入し、その後無給油にて歯科用
ハンドピースを高速回転させる。回転数が軸受の損傷に
より初期の75%を割った時点を寿命とする。
【0061】4.試験条件 回転数:38万rpm 荷 重:予圧200gf 5.被試験軸受の材質仕様 表3にまとめて示す。
【0062】
【表3】
【0063】(注) 高含油樹脂 :実験1の表1に示したものと同じ。 セラミックス:実験1の表1に示したものと同じ。 自己潤滑球 :PTFE製である。配置は図9に示すも
のとした。 6.試験結果 表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】実施例1と実施例2は保持器に潤滑剤はな
く、自己潤滑性玉により潤滑皮膜が形成されるものであ
るが、ステンレス鋼球の実施例1よりセラミックス球の
実施例2の方が長寿命(従来例の2倍)である。また、
実施例2,3の結果を実験1の実施例2,3と比較する
と、保持器に高含油樹脂を用いた場合にも、更に自己潤
滑性玉を併用することにより軸受寿命がより一層延長さ
れることがわかる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
回転軸を支持する軸受内に耐熱性を有する潤滑剤供給材
を含有し、該潤滑剤供給材から経時的に自動的に供給さ
れる潤滑剤で外輪,内輪及び多数の転動体を潤滑するも
のとしたため、潤滑剤を外部から供給する潤滑設備が不
要となり、その結果、安価で且つメインテナンスフリー
で、しかも従来より一層長寿命の歯科用ハンドピースを
提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科用ハンドピースの一実施例の断面
図である。
【図2】図1に示すものに使用する軸受の一例の断面図
である。
【図3】図1に示すものに使用する軸受の他の例の断面
図である。
【図4】図1に示すものに使用する軸受の他の例の断面
図である。
【図5】図1に示すものに使用する軸受の他の例の部分
断面図である。
【図6】軸受の冠型保持器の斜視図である。
【図7】転動体の一部が耐熱性を有する潤滑剤供給材か
らなる本発明に係る玉軸受の正面図である。
【図8】転動体の一部が耐熱性を有する潤滑剤供給材か
らなる本発明に係る玉軸受の正面図である。
【図9】転動体の一部が耐熱性を有する潤滑剤供給材か
らなる本発明に係る玉軸受の正面図である。
【図10】転動体の一部が耐熱性を有する潤滑剤供給材
からなる本発明に係る玉軸受の部分正面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 軸受 3 回転軸 4 工具 5 タービン翼 10 外輪 11 転動体 12 内輪 13 保持器 14 シールド板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大井 三佳 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 田中 洋 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングの軸心部に軸受を介して回転
    自在に支持されて先端に工具が取り付けられる回転軸
    と、該回転軸に固定して取り付けられたタービン翼と、
    該タービン翼を回転させる気体の供給部および排気部と
    を有する歯科用ハンドピースにおいて、前記軸受は、耐
    熱性を有する潤滑剤供給材を軸受内部に有し、該潤滑剤
    供給材から供給される潤滑剤で潤滑される外輪,内輪及
    び多数の転動体を少なくとも備えていることを特徴とす
    る歯科用ハンドピース。
JP6255602A 1994-10-20 1994-10-20 歯科用ハンドピース Pending JPH08117245A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001152171A (ja) * 1999-11-26 2001-06-05 Ntn Corp 転がり軸受
WO2012073475A1 (ja) * 2010-11-29 2012-06-07 日本精工株式会社 エアモータ及び静電塗装装置
JP2016056842A (ja) * 2014-09-08 2016-04-21 日本精工株式会社 歯科エアタービン用軸受ユニット及び歯科エアタービン

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